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「あんなんでアウトになるなよー!」

21日に行なわれたプロ野球の中日VSヤクルト戦で、痛恨のプレーがありました。5回表、一死二塁という状況でのヤクルトの攻撃。ヤクルト上田の放った打球はセカンド後方へと飛んでいきました。これを中日の堂上が捕球すると二塁へ送球。飛び出していた二塁走者雄平は戻れず、中日のアピールによってアウトとなる…はずでした。

しかし、ここで二塁塁審の下した判定はセーフ。その判定もさることながら、場内に映し出されたその場面のリプレイでは、二塁塁審が一塁方向を凝視しており、帰塁したタイミングではまったく視線を二塁に送っていなかったのです。「よそ見してるぞオイ!」とざわつく観衆。「よそ見すんなコラ!」と飛び出してきた中日・与田監督。よそ見に対する説教をひとしきり行なったのち、リクエストを行なうと、判定は覆ります。だって、どう見ても完全にアウトだったから…。

↓まずは一回、こんな感じだったというのを見ていきましょう!



解説:「見てないですもんね」
実況:「あーー見てない!!」
解説:「見てないですね」
実況:「見てない、見てませんね」
実況:「これは動かぬ証拠が映ってしまいました」
解説:「アウトですね」

あー、アウトですなぁ!

そしてよそ見ですなぁ!



誰がどう見ても「よそ見でテキトー判定」という見た目ではありますが、二塁塁審にも言い分はある…あると思います。確かに一般論で言えば、セカンドがフライキャッチしたあと、プレーが起きるのはもう二塁だけなのですから、二塁をジッと見ておれば何も難しいことはなかったとは思います。

ただ、それは全体をフワーッと見ているプレーヤー、ファンの視点だから思うこと。審判員はプレーを正確に裁くために「フワーッと全体を見る」わけにはいきません。ひとつひとつのプレーに対して「しっかりと見る」必要があり、そのために状況ごとに分担をしています。全員でフワーッと見るのではなく、誰かが「これは私が!」としっかり見るようにしているのです。全員とフワーッと見て、全員でジャッジしたりはしないのです。

この状況、二塁塁審は内野に入っていました。ここで飛球が上がった場合、内野フライは球審が担当し、外野フライは一塁・三塁の塁審が担当します。いずれにせよ、二塁塁審はフライのキャッチを判定する担当ではありません。もう一度、二塁塁審の視線を見ていくと、セカンドが打球に触れるところまではボールを追っていた視線が、直後に二塁走者方向へと向き直ります。

これはタッチアップ(タッグアップ)の判定のためです。いわゆるタッチアップでは、フライを捕球されたあとに走者がスタートを切りますが、その際に走者は占有していた塁にリタッチしている必要があります。その際、「野手がボールに触れたあと」にリタッチしていればよく、塁に到達する前に蝕球されなければ次の塁に進むことができます。

タイミングは「野手がボールに触れたあと」であって、「捕球したあと」ではありません。お手玉しながらボールをキャッチするような場合も、最初にボールに触れたタイミングでリタッチしていればOK。逆に完全捕球まで待たなければいけなかったら、犠牲フライになりそうなプレーでは外野手がお手玉を繰り返しながら内野方向に寄ってくるでしょう。「ボールに触れたらタッチアップしてOK」なのです。

二塁塁審はセカンドがボールに触れたところまで見たあと、素早いスタートに備えて二塁走者のリタッチを確認しました。視線を素早く送り、機敏な動きです。その後、キャッチの確認および「もしもキャッチしていない場合は、一塁塁審は外野方向に向かっているであろうから、自分が打者走者の一塁蝕塁を見ておかなければならない」ということで一塁方向に視線を送っています。

そこで二塁塁審は「キャッチのコールがないなぁ…」と思っていたかもしれません。全体図が映っている映像が見つけられなかったので何とも言えませんが、二塁塁審としてみれば「誰かがキャッチをコールしてくれないと困る」わけです。「野手がボールに触れたあと」即座に目を切って「走者のリタッチを確認」しているのですから、万が一お手玉落球などあってもそれを見てはいないのです。

あるいはここで、二塁塁審は「一塁塁審がキャッチと言うだろう」と思っていたけれど、そのコールがなかったとしたら。一塁塁審がキャッチをコールせず、二塁塁審は一塁塁審のコールを待っていたとしたら、あの「よそ見」というか凝視もあり得るかもしれないでしょう。「ワシはちゃんと捕ったかまでは見ておらんから、コールをくれ!」という意味で。

もしも、キャッチのコールを待っていたのにそれがないままにセカンドから「これはアウトではないのか?」とアピールをされたら、キャッチじゃないならば走者への蝕球が必要なのだからさすがにそれはタイミング的にナイということで「自信を持ってセーフ」をコールするということもあったかもしれませんよね。ないとは思いますが、あったかもしれないですよね!

↓「んなことあるわけねーだろ!」と怒りの声がわき上がっております!

まぁ、ないとは思いますよ!

でも、あったかもしれないですよね!




そして、二塁塁審のクチからはもちろん「見てませんでした。てへぺろ」とは言いづらいでしょうが、もっと言いづらいこともあるはずです。それは「あんなんでアウトになるなよー」という二塁走者・雄平への文句。確かにセカンドは背走こそしていますが、めちゃめちゃ難しい打球というわけではなく、「まぁ捕るだろうな」という当たりじゃないですか。

セカンドからセンターへの浅い打球ですので、仮に落球したとしても本塁に生還することは困難であり、三塁到達がせいぜい。であるならば、あんなにアホみたいに飛び出す必要はまったくなく、すぐに帰塁できる場所で待ち、よしんば落球したら三塁へ走ればよかっただけのこと。どんだけ飛び出しているのだと。

二塁塁審にしてみれば「信じるぞ…プロの選手を信じるぞ…!」「こんなんでアウトになるわけないよな…!」「信じてるぞ雄平!」という気持ちも含めてのセーフ判定だったのではないか。もっと疑いの心を持って、「雄平なら暴走するかも」とほかの審判に意見を求めていればこんな事態にはならなかったのに、プロを信じすぎてしまった。

それでも決してそんな愚痴をクチにすることはなく、「あんなんでアウトになるなよー!」「アウトになったアイツがクソ」「プロのプレーではない」を飲み込んだ二塁塁審は「漢」だったと思います。この先、一軍の試合を裁く機会はなかなか訪れないかもしれませんが、今後もその男気を貫いて頑張ってほしいものですね!

↓あと「首はコッチ向きだけど目はそっち向き」的なことだって絶対になかったとは言えない!

眼球と耳を同時に二塁方向に向けるためのベストな首の向きがコレ、というパターン!

ないとは思いますけど、絶対にナイとは言えないですよね!




あと、ここでポップ打ち上げるバッターも地味にどうかと思います!