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バカモーン!理由を言っちゃったら「推薦」の意味ないだろー!

東京五輪に向けて各位の思惑が交錯するなか、積極的に火をつけに行く勇者が現れました。その勇者とは、マラソンなどの日本記録保持者にして、リオ五輪1万メートル・5000メートル代表ほか中長距離で数々の実績を誇る大迫傑さん。大迫さんは来たる日本選手権への「推薦枠」での出場が却下されたことを契機に、ツイッター上で「陸連を私物化するのはやめた方がいい」などの猛批判を展開。陸連恒例の「選考揉め事」を一足早くスタートしたのです。

↓大迫さんは一連のツイッターで陸連を猛批判中です!










言いたいことを言えるって気持ちいい!

これがチカラある者の生き様です!




今回問題となっているのは、今年行なわれる日本選手権への出場の可否。選考基準は昨年12月の段階で明かされており、「前回大会の優勝者」「一定期間内に参加標準A記録を突破した者」「(長距離走に関しては)前回大会のクロスカントリー競技で好成績をおさめた者」「地域選手権で好成績を挙げ、参加標準B記録を突破した者」ということが明記されたうえで、さらに陸連強化委員会の推薦、開催陸上競技会の推薦、枠が余ったときは記録上位者から追加すると規定されています。それについては大迫さん自身もスクショを貼りつけており、承知済み。

大迫さんに関しては、近年マラソンに注力していたこともあって、前回大会の1万メートルには出場しておらず、また期間内に参加標準A記録も出していません。有無を言わさず出場する権利はありませんので、「推薦」という枠での出場を模索しましたが、それが却下されたという流れ。その際、大迫さんは却下されたこと以上に、提示された理由を怒りのポイントとしており、翻っては「なんやかんやと理由をつけて、結局は自分たちの子飼いの選手を送り込もうとしてるやんけ」という、おなじみの陸連体質を鋭く突いているという格好です。

大迫さんが陸連から言われた理由として挙げているのが「大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから」というもの。ここだけ聞くと何を情けないことを言うておるかという話にもなりますが、そっちはそっちで必死です。何せ、来年には東京五輪が控えています。誰しもが東京五輪には出たい。それにあたって、この日本選手権というのは大事な試合です。

特に東京大会では、国際陸連が大方針として「世界ランキング」と「参加標準記録突破」の併用をすることを発表しており、そのなかでも「参加標準記録は、世界ランキングで資格を得られなかった優秀な選手のために設定する」として世界ランキングを重視することを明言しています。世界ランキングを上げていくことは東京五輪への選考の一部なのです。

世界ランキングを上げていくのに重要なのは大会の「格」。同じような順位、記録であっても大会の格によってランキングポイントは異なり、大きな大会で活躍するほうが獲得ポイントは当然大きくなります。たとえば現時点での男子1万メートルの世界ランキングを見ると、日本人トップは世界ランク32位の大六野秀畝さんですが、ポイントの内訳を見ると昨年の日本選手権で優勝したことによるポイントが大きく寄与しています。

オリンピックや世界選手権、ダイヤモンドリーグ、大陸選手権などを上位に位置づけるなかで、日本選手権は比較的高いBランクに位置づけられる大会。ここでの結果には記録によるポイントはもちろん、大会の格によるポイントも比較的多く与えられるのです。日本選手権での結果は世界ランキングに大きな影響を与え、ひいては東京五輪の出場可否にも影響してくるとなれば、「マラソンの人は来ないでくれよ〜」「調整がてらに荒らしに来るなよ〜」「すげぇ迷惑…」という気持ちになったとしても責められないかなと思います。もちろん参加標準記録を突破したうえで参加するのは何ら不平不満を持つ筋合いではないわけですが、「推薦」はやめてくれよと思ったとしても不思議はありません。それは人情です。

一方で大迫さんの主張もごもっとも。「何だその理由は」と思うのは当然でしょう。事前にそんなことは聞いていませんし、さらに後出しで「室伏級の選手の救済のための規程なんで…」とか言われても、後出しジャンケンという印象にしかなりません。むしろ、そういう後出しジャンケンがあるだろうと見越して、この機会に不正を正しておくべく立ち上がったんじゃないかとも思います。かねてよりの疑念(推薦は陸連の子飼い用ではないのか?)を、自らの行動(推薦を要求して却下される)によって露見させ、世間に知らしめていこうとしたのかなと。大迫さん自身は来るマラソン代表選考レース・MGCで勝てば、嫌われていようがいまいが五輪には出られますし、最近1億円もらったので当面の不安もありませんから、思い切って本音を言えるでしょう。

そして、陸連の気持ちもわかるのです。結果が出なければ困るのは陸連とて同じこと。子飼いを出すためにメダルを失ってもいい、などとは毛頭思っていません。ただ、一発勝負でフェアな選考をするには選手のチカラに不安がある。競泳のように誰を出してもメダル争い…少なくとも惨敗はないという状況であれば常に厳しい選考もできますが、そんなに豊富な駒は陸上にはないのです。そうなれば室伏級の救済は当然として、実績の乏しい若きホープを送り込むための「何にでも使える枠」はできるだけ残しておきたい。自分たちが作る規程で、自分たちの首を絞めたくはないのです。だから「ワシらが推薦する者」という枠をキープしている。記録や結果を出した人はもちろん優先的に選んだうえで、最後の「調整枠」を残してある。

その調整枠に、出場の意志があれば期間内に標準記録を出せただろう力量の選手が、ひと悶着覚悟の姿勢で入り込もうとし、「この曖昧な部分を明らかにせよ」と言ってきている。スンナリ認めれば、その種目だけに懸けようとする選手に不利益があるかもしれない状況であり、かと言って認めなければ「闇の陸連」と世間に思われるのは避けられない。どっちにいってもピンチです。

その意味で、今回の対応は初手を誤ったなと思います。

「室伏級の救済」などの意図があるならば最初からそれを規程に書いておけばいいですし、そうではなくもっと自由に使える調整枠にしたいのならば、一切の理由を明かすべきではありませんでした。グーグルやアップルがユーザーに対して「却下」だけを言ってくるときのように、企業が採用志望者にお断りメールを出してくるときのように、何ら理由を明かさず「推薦しない」と検討結果だけを言えばよかったのです。それを中途半端に説明など試みるものだから、曖昧なところを突かれ、曖昧であることに意味がある調整枠が存亡の危機となっています。残念でした!

まぁ、こうした揉め事は東京五輪に向け、ほかの競技も含めて出てくるもの。昨年続出したパワハラ問題や山根なども、東京五輪に向けて「今こそ戦わねばならない」という覚悟から出ている部分もあるでしょう。大迫さんの件も、直前でなく1年前に揉められたことを感謝すべきです。これを機会に、東京五輪へ向けてみんなが納得できる道をつくるチャンス、是正の余地はまだあるのですから。全員の希望はどうやってもかなわないわけですが、全員の納得を求めることはできるはず。「公明正大」であることが、その近道。思いっ切り揉めて、揉めようのない形におさまってもらえるといいと思います!

↓いっそ、大迫さんはマラソンと1万メートル両方目指してみたらどうですかね!



両方の出場権獲ったうえで「ワシの裁量」でひとつをお返しする私物化で意趣返し!

大迫さんなら、あると思います!




両方目指したいから出してくれ、なら答えも違うと思います!