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100分の1秒のお手玉!

これは神の奇跡なのか…。あまりに神々しいジャグリングゴッドの姿に僕は震えました。横浜で開催されている世界リレー2019、日本が注目する男子4×100メートルリレーでのジャグリングゴッド降臨は、来たる東京五輪へ向けても一層自信を深めてくれるものでした。「落として負ける」パターンは絶対にナイと…!

TBSが総力を挙げて全国に尻切れ中継でお届けした2019世界リレー横浜。もちろん注目はリオ大会で銀メダルを獲得した男子4×100メートルリレー。極端な話、男子4継だけやればそれでいい…最悪の場合、ほかの種目は尻切れになってもいいだろう…それぐらいの気合いでTBSはこの中継に臨みました。

↓なお、意気込みどおりに中継は尻切れとなったため2×2×400メートルリレーの銅メダルは中継には入りませんでした!

「2×2×400…?」
「シャトルハードル…?」
「正直、何のことやら…」
「それ東京五輪でやるの?」
「やらないよね」
「じゃ、よくない…?」
「全部中継できるわけないし…」
「よくない…?」
「世界にはたくさんのスポーツがあって」
「毎日何かをやっているけれど」
「全部中継できるわけないし…」
「よくない?」
「できればやりたいよ」
「そりゃもちろん」
「カメラも入れてるし」
「回線もつないでるし」
「ついでだし」
「でもハミ出しちゃったら」
「よくない?」
「リレー以外のニュースを待ってる人もいるし」
「よくない?」



日本チームは1走が多田修平、2走が山縣亮太、3走が小池祐貴、アンカーが桐生祥秀という布陣でまずは予選の走りに臨みます。リオ五輪では1走・山縣、2走が飯塚翔太、3走が桐生、4走がケンブリッジ飛鳥という布陣でしたが、ケンブリッジ飛鳥の欠場もあって桐生がアンカーに入る新布陣での走り。

8レーンを走る日本は1走・多田がバツグンの加速。さすがのロケットスタートで、一気に9レーンのカナダに迫ります。解説の朝原宣治さんもちょっと驚きを交えたテンションで「おぉ、いい、いい」と手応えタップリ。バトンもスムーズに渡って2走・山縣へとつなぎます。完璧なつなぎに多田はガッツポーズ!

お家芸のバトンパスで外側レーンのカナダをあっという間に突き放すと、内側レーンから迫ってくるアメリカ・中国というライバルをも突き放す勢いで山縣はバックストレートを駆け抜けます。3走につないだ時点で日本が先頭か。アメリカ・中国もほとんど差がなくつないでいきます。

ところが、3走からアンカーへのつなぎでトラブルが。3走小池からのパスをアンカー桐生が上手く受けられず、バトンを取りこぼしそうになります。つかみきれず空中に浮いたバトン。桐生は一度振り返り、解説の朝原さんは「ああああああ!」と大きな声を上げます。ダメだ、バトンを落とした、終わりだ…TBS中継スタッフの「明日、俺たちは何を放送すればいいんだ!!」という絶望が轟くスタジアム。

しかし、日本にはジャグリングゴッドがいた。

小池祐貴、神の右手を持つ男。

桐生がつかみ損ね、空中に浮いたバトンをジャグリングゴッドは右の手首で浮きあげると、それを右ひじから二の腕へと飛ばし、腕の振りの勢いをつかって再度桐生へとバウンドさせて見せたのです。握った野球ボールをヒジまで転がして浮き上がらせ、再度手でつかむというあの動きで。

弾むバトンと弾むような小池の笑顔。一度は「アーーー!」と慌てた声もあげますが、ゴッドの右手は華麗なジャグリングでこの危機を回避。桐生は飛んできたバトンを両手で大切に受け止め、ゴールへと走り出します。本来ならバトンを落として予選落ち不可避のトラブルでしたが、起死回生のジャグリングゴッド降臨で日本3位入線です!

↓しかし、ジャグリングゴッドの動きは「バトンは手で持ち運ぶ」というルールに違反する「投げ渡し」とされて、あえなく日本は失格に!


ゴッド:「ん?」
ゴッド:「お手玉はセーフでは?」
ゴッド:「一回は手に当ててるわけだし」
ゴッド:「バトンは落としてもいいわけじゃん?」
ゴッド:「落として拾うのと」
ゴッド:「お手玉するのでは」
ゴッド:「本質的に一緒では?」
ゴッド:「渡したってよりは」
ゴッド:「渡ったあとで落として」
ゴッド:「たまたま前走者に当たって跳ね返った」
ゴッド:「ということでは?」
ゴッド:「これはよくない?」
ゴッド:「よくない?」

ちなみに、ゴッドが降臨せずに落ちたバトンを桐生さんが拾って走るぶんにはOKです!

ゴッド、痛恨の降臨!!




まぁ、どのみちバトンを落とせば予選落ちでしょうし、あぁなった時点で挽回は難しかったかなと思います。翻ってみれば、2走から3走の時点でバトンパスがズレており、ジャグリングゴッド小池はバトンの真ん中を握るような格好になっていました(※本来ならもっと端を握る)。

日本が得意とするアンダーハンドパスは、走者の加速をスムーズに行なうのが狙いのパスで、次走者が前傾を保ったままバトンを下から押し上げて渡すような格好となるもの。前走との距離が詰まった状態で受け渡しとなるものなのですが、2走・山縣は大きく手を伸ばしているような状態でした。そこで少しだけ距離が「遠かった」ぶんを、3走からアンカーで少しだけ「詰める」ことになった。そこにズレがあった。

ほんのわずかなズレがアンカーのところでゴッドを呼び覚ますわけですが、このレースは1走から4走まで「普段とは違う」メンバー・並びでやっているわけで、その意味では仕方ない部分もあるでしょう。もちろんどの並びでもいいように練習はしているでしょうが、練習と本番はまた別物。他国は多少もたついてもオーバーハンドパスで確実につないでいますが、日本は「バトンパスを少しでも早くする」ために勝負のアンダーハンドパスをしているのですから、慣れない布陣での本番ならこんなこともあるというもの。

それでも諦めずにジャグリングの妙技でつないだ日本チーム。このレースは大本番へ向けての大きな自信となるはずです。「俺たちは絶対にバトンを落とさない」という。あの100分の1秒の刹那に、空中に浮いたバトンをジャグリングで再度つなぐことができるのですから、絶対に大丈夫。「落とすかも」という不安は完全に払拭できて、大きな収穫のあるレースでした!

↓ゴッドの妙技が克明に記録された瞬間!


すごいぞゴッド!俺たちのゴッド!

本番でもそのチカラで日本チームを救ってくれ!


↓ちなみに、たまたまタイミングが被りましたがサニブラウンが9秒台を出しました!
サニブラウンにもこれからジャグリングを練習させないとな!

日本チームの必修科目として!




ゴッドがスタンドから見守っていれば、バトンは絶対落ちない!