08:00
ファンタジーの世界に行ってきました!

長く苦しい労働を終えた5月。個人的には久方ぶりにグッタリするような月末です。身体の疲れは寝れば取れたとしても、心の疲れは簡単には取れません。体力の上澄みのようなものがポタリポタリと落ちてくるのを待つだけ。しかし、僕には魔法があったのです。心を回復させる魔法のアテが。

それがこの週末から全国各地へのツアーを開始したアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」です。この公演には北京五輪以来の公の場・演技披露となる羽生結弦氏が「全公演イン」を表明しており、まさに魔法のように心を回復させてくれる効果がある。だから、何があってもここまでは頑張ろう、そう思って過ごしてきました。心はシンデレラエクスプレスで超特急です(JR京葉線に乗ったよの意)。

↓やってまいりましたファンタジー・オン・アイス幕張公演!
P5283664


お日柄もよく絶好の行楽日和となったこの日。現地は大変な盛り上がりです。アイスショーを見に来たであろうご婦人たちと、ロッテVS阪神戦を見に来たオッサンと、何やらアニメ的なライブなどがいろいろあったらしく軽めのコスプレをした人も集い、祭りのような大活気。他人の元気のおこぼれにあずかり、僕のテンションもガンガングングンズイズイ上昇していきます。

↓エキナカでは羽生氏関連スポーツ新聞のまとめ売りなども行なわれていました!
DSC_4764


会場に到着すると、そこには3年ぶりの公演となる「ファンタジー」を楽しみにしている人たちが集っています。以前の公演のTシャツを着ている人、推しへの思いがあふれる公演のシャツを着ている人、現在開催中の羽生結弦展のトートバッグを持ってきた人。それぞれがそれぞれの形で「私、これが好きなんです!」を伝えています。こういう集いにいると幸せが倍増していくようです。今日は、みんなが楽しみにしている特別な日なんだ、とうれしくなってきて。僕も早速ツアーTシャツなど買いまして装備をアップグレードします。

↓パンフレットとTシャツを買いました。
P5283680

P5283683


そんなテンションの盛り上がりのせいか、普段とは違う振る舞いも出てきます。たまたま男子トイレで居合わせたご年配のファンに(※全身グッズで固めているので確実)、ちょっと声など掛けてしまったのです。声を掛けたというよりは漏れたと言ったほうがいいかもしれません(※トイレの話だけどそういう意味ではない)。すごいですね、熱いですね、と。

もしかしたらその人もうれしくなってくれたのかもしれません。しばしお話をして、これからのツアー参加の予定や、これまでに見てきた試合の思い出話などをする流れになりました。まぁ、トイレが会場から遠かったせいでもありますが。そして最後は自慢のバナーを広げたその人の写真を撮ってあげる流れとなりました。ひとりで参加し、ひとりで全国をめぐっているのだというその人は、次の会場でもまたそのバナーをかかげて応援する予定なのだといいます。これは自分の未来の姿かもしれないな、楽しそうで悪くないな、そんなことを思いながらの会場インです。

↓幕間は記念撮影OKとのことで「来たぞ」の写真を撮りました!
P5283727


公演を待つ間、僕の席のすぐ近くのあたりに人だかりができています。見ると、スタンドの一角に羽生氏のジャンプコーチもつとめるジスラン・ブリアンさんがいるではありませんか。ジスランさんは皇族が挨拶するときみたいな位置取りでスタンドの最前列に立つと、人々に笑顔で手を振っています。その笑顔を撮影する観衆と、カメラに向かっていろんなポーズを決めるジスランさん。「再会」という言葉が浮かぶ場面でした。会えない時間、会えなかった人、失くしてしまったパスポート、そういうものを取り戻せそうな気がしてきます。きっと、きっと。

そして始まった公演。ファンタジー・オン・アイスはトップアーティストとのコラボ演目が特徴的なアイスショーですが、オープニングでは早速コラボが見られます。おなじみのBGMで入場してきた羽生氏をはじめとする選手たちとともにステージに現れたのは、「プロフェッショナル 仕事の流儀」の歌でおなじみのスガシカオさん(※視野が狭い紹介)。スガさん(※苗字の概念はあるのかな?)は人気曲「午後のパレード」を披露し、スケーターたちは歌に合わせてダンスをします。

スガさんのPVで見た小粋なダンスをスケーターたちがみんなで踊っています。もちろん羽生氏も金色と黒のラメ入りスーツ風衣装で、誰よりもキレッキレに踊り上げます。「羽生氏は率先してやりそうではあるが、パパシゼにも覚えさせたんか!?」と驚きつつ、とても楽しい時間です。自分の席のあたりにも来てくれて、踊りを見せてくれて、遠慮しつつ僕も一緒に踊ったりしました。通常のスケートの試合では推しと一緒に踊ったりすることはないわけですが、今日はそんな体験もさせてもらえている。こういう日があるから生きていけるのだなと改めて実感します。

↓これから行かれる方は雰囲気つかんでおくといいかもです!


細かいところは変えているでしょうが、雰囲気はこの感じです!

超楽しい!

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ZC71389【中古】【CD】 午後のパレード/スガシカオ
価格:150円(税込、送料別) (2022/5/28時点)



そこからのショーはまさに魔法のような時間です。スケートだけでも楽しいところに、アーティストの生演奏が重なるコラボがあり、アクロバット的な演目があり、ちょっとコミカルな演目がありと、一般的なアイスショーよりもかなりエンタメに振っているのがこのファンタジー・オン・アイスというショー。次から次へと素晴らしい演目が披露され、そのたびにスタンディングオベーションなどするものですから(※厳選した結果、ほぼ全部スタオベしてるチョロいファン)、ちょっとした運動にもなるほど。

全部を挙げているとトリにたどりつかないので超厳選で触れていくと、とりわけ印象に残ったのは三原舞依さんと広瀬香美さんのコラボによる「ゲレンデがとけるほど恋したい」、これは「惚れてまうやろー(※浮気感)」となるくらい素敵でした。三原さんが可愛らしいし、観客とのコネクトが上手で僕も目が合ってしまうし、広瀬さんの歌が描く90年代のキラキラした恋が三原さんに宿って胸をときめかせます。青春が甦ってくるかのよう。ディズニー風に言えば「妖精の粉が舞っている」ようなキラキラした夢の空間に幕張メッセが変わっていきました。クリスマスに見たい、クリスマスは全日本だから全日本で見たいということになってしまうが見たい、そう思ってしまうようなハッピーでラッキーな演目でした。

そして、織田信成さんの「キンキーブーツ」。ミュージカル「キンキーブーツ」を題材としたこの演目は、ドラァグクイーンが中心的キャラクターとして登場することから織田さんも「殿」から「姫」の出で立ちへと模様替えし、メイクもドラァグクイーンをイメージしたそれです。メイクや衣装がすごく目を惹きます。……と、ここまでは想像の枠内でした。僕も隔月で寄稿させてもらっている雑誌『SPUR』の織田さんの連載記事のなかで「演目はキンキーブーツ」だと事前にネタバレされていたので、そういう感じのものになることはある程度想像できていました。

だからこそ、ネタバレしても大丈夫なのかという心配と、一部分だけを切り取るのは難しそうな題材であることへの不安から、どうなるのだろうと思いながらの鑑賞でした。しかし、織田さんは想像を超えていきました。まず身体が切れています。動きは機敏で滑らか、動きだけなら現役当時以上かもしれないくらい。そうした肉体的な裏付けがあることで、まるでミュージカルが第一幕から第二幕へと進んでいくように、しっとりした前半からド派手な後半へと曲想を変えながら、物語の一部分だけを切り取るのではなく、物語の大きな流れをしっかりとプログラムに取り込んでいます。演技全体でトータルするとフリー1本分以上はあるのではないでしょうか。ジャンプも跳びながらフリー1本分を演じるなんて、現役かと。

原作でも見せ場となるドラァグクイーン用の真っ赤なハイヒール「キンキーブーツ」を履くくだりでは、驚きの仕掛けが。昨今のフィギュア界でトレンドになっていた仕掛けを、自分のプログラムにもしっかり取り込んできたなとうなりました。テーマ、トレンド、コンディションが非常に高い次元で調和している。演技を見せるパートもあり、会場とコネクトする楽しい場面もありと盛りだくさんで隙がない。なるほど、ネタバレしたのは「自信があります」という意味だったのですね。会場を去るまでドラァグクイーンを演じつづけた世界観づくりも含めてお見事でした。

↓日本フィギュア界を代表するエンターテナー、引きつづき最前線で活躍中!


夢のような時間を堪能しながら、最後の大ごちそうとしてやってくるのが羽生氏の時間。初日公演の報道でチラ見してしまいましたが、今回はスガさんと「Real Face」でコラボします。スガさんが歌詞を提供したKAT-TUNの代表曲。作曲はB'zの松本孝弘さんということで、かねてより松本さんご希望のとコラボも成立するという一石二鳥のセレクトです。このコラボに、SNSのタイムラインではハイフン(※KAT-TUNのファンの意)たちも色めき立っていました。「羽生氏がリアフェ」の情報が駆け巡り、リアフェがトレンド入りし、「そう略すのか!」という豆知識が日本に広がりました。こういう広がりがあると、コラボした双方が活気づく感じがして、とても楽しくなります。

ニースのロミジュリをどことなく彷彿とさせる衣装で登場した羽生氏は、浅めにフードをかぶるとこれから一戦交えそうなダークな表情で滑り出します。曲冒頭の歌詞、「アスファルトを蹴り飛ばして 退屈な夜にドロップキックした」の部分では、これは当然するでしょというハイキックを披露。原曲では「したつもりが滑って空振り」とつづくわけですが、羽生氏の蹴りは完全に決まっています。もうこれは歌詞のほうを変えて「退屈な夜にドロップキックしたところ2万人倒れた」くらいにしたほうがフィットするかもしれないなと思います。

そして、絶対に見極めようと思っていた「舌打ち」の場面。この曲では歌詞のなかにある「夢を語るフリしてれば なんか大人になれる気がして舌打ちをした」というくだりに合わせて、メンバーが舌打ちをするのが見せ場でした。羽生氏がこの曲を演じる以上、舌打ち要素をやらないはずはないのですが、どんな感じでどう行なうのかはしっかりこの目で見たい、そう思って目を凝らしていたのです。

そしたら、驚きましたよね……

舌打ちに合わせてジャンプするんだもん……

えええええええ……

「絶対舌打ちしているはず」という確信と、「回転が速くて見えねぇ」という絶望。これはもしかして、後日テレビ放送でスローVTRを確認しろという意味なのでしょうか。「羽生氏がリアフェで舌打ちしているかしていないか問題」は何度もスローを見て確認するしかなさそうです。もし、舌打ちが確認できたら、こちらもそれに合わせて舌打ちをできたらいいなと思います。羽生氏が「チッ」と舌打ちし、僕も「チュッ」と舌打ちする。チッチュッチッチュッしていく新たなコラボの予感です。

とまぁ「舌打ちする羽生氏」というレア場面は確認できなかったものの、この演目にはお宝のような見せ場がほかにもあります。リンクの一角に置いておいたコップから水をかぶって「水も滴るいい男」を演じてくれるというお宝場面が。まぁ演目的には「水も滴る」を演じているわけではなく、歌詞にもある「ずぶ濡れの火曜日=ままならない現実」と「その閉塞感を打ち破っていく」ことを表現しているのだと思いますが、これもさっきのドロップキックと同じで歌詞を変えるしかないという格好。羽生氏をナミダナゲキで濡らす表現なら、会場全体に雨でも降らせるしかないかなと個人的には思います。この熱気の前では滴るくらいの水などすぐに蒸発してしまいますからね。いっそ「演出上、めちゃめちゃ濡れる場合がございますので…」と事前にお知らせいただきまして、会場全体にドバーッと行くというのもアリかなと思いました。羽生氏と一緒にズブ濡れになって、濡れ髪でコネクトできたりしたら、最高の夏って感じがしますからね!(※まだ5月だけど)

↓まったく関係ないですが「一緒に海に行きたい」って思いました!自然に!

なんでそう思ったかは自分でもわからないです!

ただ、一緒に、海に、行きたい!



「かっこいい……」とグッタリする僕を尻目にショーはフィナーレへ。ラストは広瀬香美さんの「ロマンスの神様」に合わせてスケーターたちがみんなで踊ります。心のなかで「ロマンスの神様、この人です!」「この人です!」「この人です!」と叫びながら全力の拍手で盛り上げます。そうそう、このフィナーレでは個人的にとてもうれしいことがありました。曲の後半で「今週も来週も再来週もずっと…OH YEAH!」という部分があるのですが、ここで羽生氏と一緒にOH YEAHできたのです。

もちろん事前情報などなかったのですが、世代の一員として濃密に聞き込んできた「ロマンスの神様」と、羽生氏の人となりとが自分のなかで結びつき、「ここは一緒にOH YEAHする場面だ」と身体が自然に準備し、反応していたのです。羽生氏が跳び、香美さんが応え、そこに僕が重なる。「コネクトできた」という思いで激アツな場面でした。この激アツな思いがあればロマンスの神様から「あなたにとってはその人かもしれませんが、その人にとってあなたがそうであるとは限りません」みたいな正論が返って来ても耐えられるんじゃないかなと思いました。

夢のような時間は着実に終わりに向かっていきますが、最後まで羽生氏は観衆を楽しませようとしてくれています。4回転トゥループからのトリプルアクセルも美しく決めてくれました。踊り、手を振り、視線を送り、コネクトしてくれています。アーティストさんたちが見守るステージの前を過ぎるときには、ひざまずいて拍手を送るなど、この場に集った人とこの場でまた集う機会を得たことに、感謝を捧げてくれています。正式にそういう役職を負っているわけではありませんが「座長」だなと思います。コロナ禍による長い中断を乗り越え、素晴らしい公演を復活させてくれた名座長だなと。

最後まで観衆とコネクトしつづけた羽生氏。舞台を去るとき恒例の「ありがとうございました!」を肉声で叫ぶ場面では、誰から合図があったわけでもないのに、羽生氏がその動きに入った途端に会場はスッと静まりました。一体感、一体感でした。声を出すことや一緒に歌うことで感じる一体感もあるけれど、声や拍手を鎮めることで生まれる一体感もあるんだと思いました。開始から終了まですべてが幸せに満ちていた、魔法のような公演でした。久々の「全回復」、感じました。

素晴らしい公演を作ってくれたみなさんに、こちらからも「ありがとうございます!」です!

この先のツアーでも楽しませてください!引きつづきよろしくお願いいたします!

↓めちゃめちゃ楽しかったです!

ま、実は今日も行くんですけどね!

今日もめちゃめちゃ楽しみます!



すでに心は全回復している気がしますが、念のためもう一度回復する所存です!