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侍ジャパン完勝スタート!

いよいよ侍ジャパンがWBC世界一の奪還を目指すワールド・ベースボール・クラシックが開幕しました。9日の初戦、日本の相手は中国。両チームには力量差があると見込まれていましたので、試合前から「勝つだろう」とは思っていました。しかし、この試合に臨む過程を見ながら、戦う前にして「勝ったな」と僕は思っていました。

前日の中国代表監督の会見にて、中国のディーン監督は怒り心頭でした。ディーン監督は6日の練習試合後に「もし可能なら、大谷選手が球場入りする時に、タクシーやバスが遅れてくれることを願っています」と発言したとされており、それを一部報道によって「白旗」発言と評されたことに対してお怒りだったのです。要するにディーン監督は怒りをもってこの報道に抗議をしたわけです、戦う前に負けを認めたことなどないのである、と。



なるほど、主張は承ります。発言は冗談だったのでしょうし、記事もやや強めに伝わっているような気がしますので「まぁまぁ」という気持ちです。しかし、僕はこの怒りようを見て「勝ったな」と感じました。真意は胸の内ですので定かではありませんが、少なくともディーン監督が日本に勝つ道をイメージできていないことは明らかでした。

力量差がある相手に勝つには、実力を発揮させないようにするしかありません。普通にやったら負けるのですから、普通じゃない戦いにするしかないのです。そうするためには「戦力が激減するほどの怪我・病気・アクシデント」の発生を待つか、精神的に揺るがして持てるチカラが発揮できないように追い込むしかありません。

「日本の宿舎に隕石が落ちる」レベルの事故を期待するのでなければ(※ひとりやふたり欠けても力関係は大して変わらない)、日本の心を揺らすしかなく、格上の相手を揺らすなら「油断させる」か「慌てさせる」かです。サッカーのワールドカップで日本代表が仕掛けたのは「油断させる」でした。死んだふりで弱いぞ弱いぞと確認させてからの反転攻勢は、ドイツやスペインを揺るがしました。雨あられのシュートを枠外に蹴らせ、時間の経過とともにアイディアも精度も欠いていきました。

ただ、それはサッカーだからできたことです。1点、2点で百戦錬磨の選手が油断するようなゲームだから、死んだふりもできるのです。野球で油断するほどの点差…5点とか6点の差がついたら容易に逆転できるものではありません。死んだら死にっぱなしです。となれば「慌てさせる」しかない。慌てさせるには相手の「核」を揺らすことです。自分たちが信じている強さの根幹が揺らぎ「あれ?おかしいぞ?」とさせることができたら、相手は揺れます。慌てます。

では、侍ジャパンの「核」とは何か。

大谷翔平、その人です。

侍ジャパンは名だたるスター選手の集まりですので、打っても投げても守っても戦えるチームではありますが、このチームの最大の強みで世界最高を自負するものは「大谷翔平」その人です。大谷が投げて大谷が打つ、戦術大谷。これが自分たちこそが世界一にふさわしく、必ず勝てると信じさせる根源です。逆に言えば、日本を慌てさせ、自滅させるなら「大谷翔平」を叩くしかないのです。投手大谷を打ち、打者大谷に仕事をさせない。このとき初めて一縷のチャンスが生まれる。

としたときに「大谷が遅れることを祈る」は日本に勝つイメージができていないことがよくわかるジョークですし、リスペクトを欠いた発言だろうと僕は思います。大谷さんがいなければ多少日本の戦力は減るかもしれませんが、侍たちは普段通りの戦いをするだけです。ほかの誰を打とうが、誰を抑えようが「あー、打たれたな」「あー、打てなかったな」と思うだけ。慌てることなどなく代わりが次々に出てきて、誰かが試合を決めてしまうでしょう。「大谷遅刻」では狼狽は生まれませんし、むしろ勝つ道が閉ざされるのです。

だから、勝つためにも、素晴らしい試合とするためにも、大谷さんと対戦できることは大歓迎であるべきなのです。「大谷翔平と対戦できることを光栄に思う」「我々はすべてのチカラを注いで世界最高の選手に挑む」「そして勝つ!」という姿勢でなければおかしいし、そこで「遅れりゃいいのに」などというジョークが出るのは心の深いところでリスペクトに欠けています。陸上男子100メートルで「ボルト来なきゃいいのになぁ」なんてジョークを言ったら、その競技への敬意を欠いているとしか思えないでしょう。そういうジョークを言っておいて、「白旗」記事には怒るとは片腹痛い。「図星だな」「舐めてるな」「勝ったな」としか思えませんでしたよね。

↓日本の先発は大谷翔平さん!大会の幕開けに最高の選手を送り出す、この采配やよし!



日の丸を背負い、世界一への第1球を託されてマウンドにあがるのは、もちろん大谷翔平さん。日本の誇り、世界の二刀流が威風堂々頂点への第一歩を踏み出します。一部韓国からは「我々との対戦から逃げた」という声も上がっているようですが、そんなはずがありません。この大会を勝つことに全力を尽くすからこそ、第1戦には最高の選手を送り出すのが当然なのです。

大谷さんに託されたのは単に中国に勝つということだけではありません。この大会において、日本の、侍ジャパンの野球が世界一にふさわしいものであると示し、頂点へとつづくグローリーロードを描き出すことです。おかしな方向へ踏み外すことなく、強くて大きな一歩を踏み出す。大会の最後までを見据えるからこそ、大会への敬意を払うからこそ、ここで大谷、ここは大谷なのです。

迎えたプレイボール。大谷さんの初球は力強い真っ直ぐでした。コースは低めに外れてボールとなりますが、ここでカーブとかチェンジアップとかからゆるーく入るようでは世界一などおぼつきません。誰が来ても勝つ、そういう心意気の真っ直ぐです。そして、大谷さんは「やっぱり大谷すごかった」を見せつけるように三者凡退で初回を終えます。投手大谷、最高の発進です。

つづく1回裏日本の攻撃。素晴らしい立ち上がりを受けて、日本は早くも先制点をあげます。先頭打者ヌートバーさんがセンター前にクリーンヒットを放って「国際大会ならでは」の重苦しさをふり払うと、四球・四球で早くもノーアウト満塁という状況に。ここで日本の4番・村上さんは四球を選んで、押し出しに。日本先制。後続は連続でフライアウトとなり、さらにタッチアップを狙った近藤健介さんがホームでアウトになったことで1点止まりとはなりますが「先制」できたのですから十分です。これで日本を慌てさせるには「最低2点」が必要になり、グッと中国の状況は厳しくなりました。1点取ることの積み重ね、それが大事です。

↓このタッチアップは無理めだけれど、国際大会ならではの判断だったと思います!


1点が重い国際大会だからこそ、ときには思い切ったチャレンジも必要!

硬くなってプレーが小さくなるよりは、無理めでも大胆に!

今いけなくて、いつかくる大本番でいけますかと!

積極走塁、積極盗塁、積極打撃から入るべき!


2回表を大谷さんが三者凡退で抑えると、裏の攻撃ではまたも日本がチャンスを作ります。下位打線ながら当たりが出ている源田さんがヒットで出塁すると、牽制死⇒四球⇒(牽制悪送球)⇒四球⇒四球として二死満塁で大谷さんの打席を迎えることに。勝負にいきたくはないところでしょうが、満塁ということで勝負を避けるのも難しくなりました。場内でも大歓声があがり「打てば試合が決まる」ような場面でしたが、ここは大谷さんがショートゴロで得点には結びつかず。ふぅー、国際大会らしい重たい展開です。

ただ、その重苦しさをかき消したのはやはり大谷さんでした。4回裏、9番から始まった攻撃は、一死からヌートバーさんと近藤さんの連打で一・三塁のチャンスを迎えます。ここで打席に入るのは大谷さん。やはり「ここぞ」は大谷さんにまわってきます。それがチームの「核」の天運です。この日、三度目の打席は文字通りの「三度目の正直」となります。あわやホームランというフェンス直撃の2点タイムリーツーベースで日本追加点!3-0とリードを広げ「勝負合った」の手応えアリです!

↓「大谷が投げて、大谷が打つ」というチームの核が機能した素晴らしい展開!

「世界一までこれでいけるぞ!」「いくんだ!」そういう気持ちになれる一打!

この確信が初戦で欲しかった!

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もしWBCの魔物というものがいるのなら、この一打でお引き取り願えたのではないかと思います。大本番だからといってチカラを発揮できないはずがない。やるべきことをやれば、いつもと同じ野球ができる。ならば世界一になる。そういう確信を得た今、ここから先は安心して見ていられるというもの。6回表には2番手・戸郷さんが中国に一発を許しますが、「あー、一発を許したな」と思うだけでした。動揺も衝撃もなく、ここまで来るチームであれば当然こういうチカラはあるだろうな、そりゃそうだなと、むしろ落ち着くような気分にさえなりました。

そうした落ち着きのなか、7回裏にはスタメン二塁に入っていた牧さんが世界の野球界に「デスターシャ!」を届けるホームランで、再び中国を突き放します。大谷さんもベンチの柵に足を掛けたままガッツポーズで大喜び。さらに8回裏には大谷さんのヒットを足掛かりに、安打⇒三振⇒四球⇒四球(満塁)⇒安打(+1点)⇒四球(+1点)⇒二塁打(+2点)で4点追加。練習試合からお眠りがつづいていた山田哲人さんにもタイムリーが生まれて、侍ジャパンの不安要素はさらに少なくなっていきました。視界良好、世界一へ待ったなし。その確信は深まるばかりです!

↓活躍がつづけば世界の野球界に「コレ何?」から始まる長い説明が広がりそうですね!


↓山田さん!二度寝が始まった村上さんも起こしてあげてください!


終わってみれば8-1、力量通りの快勝となりました。しかし、しっかりと力量通りの快勝を手にするまでには難しさもありました。序盤には満塁の場面が幾度もありながら試合を決める大量点は生み出せませんでした。重苦しかった。ただ、それは当然のことであり、国際大会で毎度苦しむ当たり前の出来事です。一戦必勝で1点もやるまいと思っている相手から点を取るのは簡単ではないのです。

だからこそ、どんな形でも先制し、チームの「核」である大谷さんのタイムリーが生まれるまでしっかりと大谷さんが無失点で投げ切ったことが大きかったなと思います。こういう戦いが、きっと最後の大本番でも待っています。点が取れない、苦しい、重い、そういう試合が。そんなときに指針となるような試合がこの中国戦でした。「大谷が投げて、大谷が打つ」という世界最高の形をこのチームは持っている。その「核」を最大限に活かすことを考えて各位が役割を果たせば、必ず勝ち抜ける。そう確信する初戦でした。

そういう意味では、打者・大谷さんの後ろにはプライドや格は考えずに「もっとも当たっている打者」を置くようなことであったり、投手・大谷さんを最大限に起用するためのローテーションや継投策であったり、世界最高の形から逆算した采配が求められてくるのかなと思います。普段と違う仕事を求められる選手も出るかもしれませんが、それがチームで戦うということです。もともと世界一はハッキリと見えていましたが、見事な初戦を経てさらにハッキリと見えてきました。あまりにハッキリ見えてきたので、今考えていることは「プレミア12⇒五輪⇒WBC」で連続世界一となることを、どういう名前で呼びばカッコイイのかということ。定番の形だと「ゴールデンスーパースラム」とかですかね!

↓大谷さんがヒーローとなる最高の初戦!この雰囲気を初戦で作ることが大事でした!

なお、大谷さんは「まだまだ声援が足りない」とのこと!

わりとデカめの声援だったと思いますが、まだだそうです!

大谷さんがそう言うんじゃ、しょうがない!



韓国戦に勝てば準々決勝進出はほぼ確実!勝って淀みなく決めてください!