スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

大相撲

大横綱・白鵬の鮮やか過ぎる引退に最後まで埋まらなかった「すれ違い」を感じつつ、今後のジャンパー姿での活躍を期待するの巻。

08:00
白鵬然とした引退でした!

去る7月の名古屋場所、千秋楽結びの一番は意外な内容でした。進退がかかる横綱・白鵬と、横綱昇進がかかる大関・照ノ富士による全勝相星決戦。その取組で白鵬は左で視界を塞いでからの右の激しいかち上げを繰り出し、照ノ富士を小手投げで破ると、土俵上で大きなガッツポーズを見せました。

過去の事例から見ると、こうした相手方の節目の取組では比較的「正攻法」での取り口が多かった白鵬が、ここまで勝ちにこだわるのはやや意外でもありました。「勝ちたがり」であることは当然ですが、千秋楽に至るまでのバックステップ仕切りなども含めて、非難上等の相撲連発でも勝とうとする姿は想像以上の貪欲さでした。

九月場所が終わり、白鵬が引退届を提出し、実は名古屋場所の時点で引退の意向があったと聞き及んだとき、合点がいくような思いがしました。あれが現役最後の場所、最後の相撲であるならば、何でもやるだろうと。それはまさに「白鵬」としか言えない姿だったなと思います。歴史上の誰よりも勝ちを重ねた、史上最強の横綱らしい最後の取組だったなと。


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九月場所は出場の意向を見せながらの全休とはなりましたが、それもコロナ禍による休場であり、七月場所より何かが悪化したというわけではありません。実質的には「全勝優勝直後に、全勝優勝のチカラを備えたまま引退」という鮮やか過ぎる引き際となりました。この数年は休場つづきではあったとは言え、過去を振り返ってもここまで鮮やかな引き際はそうそうありません。

優勝の次の場所に引退した曙は両ひざがとうに限界だったと言いますし、師匠とともに潔い引退を誓っていたという千代の富士も最後の優勝から3場所はつとめています。不祥事などを除けば、優勝直後に、まだまだやれるだろうと目されるなかでの引退は第50代・佐田の山までさかのぼります。その佐田の山にしても病気を抱えながらの土俵だったということですので、「右ひざの怪我で本場所をつとめきれない」という白鵬の引退は「歴史的な鮮やかさ」と言っていいでしょう。

それは美しくもあり、寂しくもある、すれ違いだったなと思います。

優勝45回、通算1187勝、幕内通算1093勝など数々の最多記録を樹立した白鵬は、言うまでもなく強かった。そして、強いだけでなく貪欲でした。張り差し、かち上げ、仕切りの呼吸ずらしなど、「胸を出す」横綱相撲とは異なる、立ち合いで何とか有利を取ってやろうとする取り口は多くの批判も浴びました。しかし、勝つことでその批判を封じてもきました。晩年の一層加速した取り口と批判の大きさというのも、ひとえに「白鵬が強かった」からだろうと思います。

強かったがゆえに、余裕を持って「後の先で勝つ」というような理想が追求できなくなったあとも、手練手管で勝ちつづけることができましたし、それが積み重なって批判が増そうとも、なお勝ちつづけることができました。並みの横綱ならばチカラが全盛期から少し落ちればガタッと成績が悪くなるところを、白鵬はちょっとやそっとでは崩れなかった。白鵬比ではかなり弱くなっていても、状態さえ整えば勝つことはできた。

今回の引退も、もはやどう手練手管を巡らしても場所はつとまらぬと「白鵬比での限界」を悟っての決断なのでしょうが、それがまだほかの力士よりもはるか上、「全勝」のラインにあるというのが、白鵬だなと唸ります。歴代の大横綱が現役最後に見せる「勝てないな、勝てないな」ともがきながら現役にこだわる数場所すら、白鵬には訪れなかった。牛たちのなかに混ざった象が「もう無理だな…」と言っているようなものなのかなと思います。牛から見れば「いやいやまだ最強でしょ」でも、象にとってはそうではないという、結果論的な「鮮やかさ」があるのだなと。

結果的に美しくなってしまった。

結果的に鮮やかになってしまった。

それは白鵬らしさでもあり、白鵬であるがゆえの不幸かなとも思います。負けないまま土俵を去るという強さの傑出ぶりと、負けたわけでもないのに土俵を去ったという美学の悪目立ち。白鵬の限界を十分に察することができないまま、大横綱の最後を見送ることになってしまったのは、大相撲にとっても少し残念なことだったなと思います。批判的な立場の者も含めて、労い、感謝し、万雷の拍手で見送られるだけの力士であったのに、十分にそうはできなかった。強すぎるがゆえに見誤った。そんな「すれ違い」を最後まで感じざるを得ない引退でした。




今後は親方として後進の指導、大相撲の発展に尽力することになる白鵬。一代年寄となる見込みは低いものの、すでに「間垣」株取得しているとのことですし、何よりも白鵬には親方としての手腕があります。石浦や炎鵬など「内弟子」として鍛えた力士たちは幕内をわかせる活躍を見せていますし、少年相撲の国際親善大会である「白鵬杯」のような相撲普及への取り組みを自ら行なう実行力もあります。

イベントを企画し、スポンサーを獲得し、それを10年つづける。現役力士の間にそうした取り組みをするのは並大抵のことではありません。手持無沙汰で館内をウロウロしている新米親方衆よりも、現役力士の白鵬のほうがよほど親方らしくさえあります。その意味で、白鵬親方個人としては成功間違いなしの太鼓判です。

ただ、今後は自身の「強さ」や「手腕」以外の部分が必要となってきます。よくも悪くも白鵬は「自分が強ければよいのだ」という姿勢で、横綱審議委員会のような批判的な向きや、自分より弱い師匠を軽視しているような行動が見受けられました。東京五輪期間中にモンゴルの五輪アンバサダーとして競技会場を訪問したときも、それ自体は公務であるという気持ちからなのか、協会、ひいては宮城野親方に話は通っていませんでした。芝田山親方の叱責と、宮城野親方の沈黙が、白鵬然とした振る舞いが生む軋轢を物語っていました。

強い横綱で、カリスマ性があっても、これから加わる集団は「強さ」にも「カリスマ」にも相応に自負がある面々ばかりの組織です。そのなかで「ひとり1票」という選挙を経なければ、真に大相撲発展に尽力できるような要職にはつけません。じっくりと時間をかけて、拙速に走らず、手紙を届ける使者が来たなら無視せず受け取り、大事なことは紙だけで伝えるのではなく言葉でも説明し、無駄に敵を作らず、弟子がデンモクで他人を殴ったら謝罪行脚をし、弟子が付け人を殴っちゃったらちゃんと警察に届ける、そういう地味な仕事から少しずつ取り組んでいってほしいと思います。

新米親方がよくやらされている館内警備(※基本は花道や通路で座ってるだけ)や、マスク着用の呼び掛け(※イヤそうにやってはいけない)、売店の売り子(※食パンを売らされる)なども、経験として少しはやってもらいたいなと思います。そういう取り組みから始まることで親方衆も感じるところがあるでしょうし、何よりお客さんが喜びます。次回の大相撲観戦では、ジャンパー姿の白鵬に会えることを楽しみにしています。長い間、お疲れ様でした!これからもよろしくお願いします!

↓近くで白鵬を見た、思い出の一枚を貼っておきます!2021年去る人特集みたいな一枚です!
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解説で「舞の海の言うこと全否定」とかも見たいので、お願いします!

大相撲九月場所千秋楽の観戦で感じた「出掛けて、食べて、買って、遊ぶ」をしっかり楽しもうとする前向きな雰囲気の変化の巻。

08:00
「横綱」「大関」「食パン」ののぼりが立つ国技館!

行ってまいりました、大相撲九月場所千秋楽へ。七月は久々に東京以外での開催だったということで、4ヶ月ぶりの大相撲観戦です。今場所もまた波乱万丈の場所でした。白鵬以下宮城野部屋一同はコロナ禍により休場。初日から両大関が黒星を喫し、角番の貴景勝は出だしからいきなり3連敗。初日から白星を並べる照ノ富士が13日目あたりで優勝を決めてしまうのではないか。千秋楽のチケットを持つ身としては、ハラハラする展開でしたが、最後はしっかりと格好をつけてくれました。

何と言っても妙義龍です。34歳のベテランは持ち前の前に出る相撲で照ノ富士を追走し、千秋楽まで優勝争いをつないでくれました。正代、貴景勝と大関を連破した終盤戦は、いくら大関陣がよもやよもやの不甲斐なさだったとは言っても、よくぞ勝ち残ってくれたと感謝感謝です。千秋楽は、こちらも勝ち越しが掛かって必死の明生に肩透かしで敗れた妙義龍ですが、館内はねぎらいの拍手でいっぱいでした。

その意味では、三賞授与にあたり「技能賞はあげる。敢闘賞は優勝したらあげる」という鬼のような条件をつけた協会には、敢闘を讃えるファンの気持ちがよく伝わっていないなと感じます。「少しでも賞金をケチりたいのじゃ…」という厳しい懐事情があるにせよ、賞のハードルで懐を調整するのは筋が違うでしょう。11勝4敗、両大関から白星、立派な成績です。上位との対戦が少ないという点があるにしても、ハードルは「千秋楽勝てば」までだったなと思います。優勝を逃したときにこそ「頑張ってくれてありがとな。敢闘賞あげるわ」の温もりが必要だと思うんですけどね!

↓全然決まってない情報が大きく書いてあって、小さい文字で大事な条件が添えてあるパターン!

細かい約款で真の条件が書いてあるパターン!

楽天市場とか、楽天モバイルとか、楽天カードとかでよく見るヤツです!



それはさておき、観戦自体は大変楽しいものでした。まず、雰囲気自体が変わってきたなと肌で感じました。世の流れに背いて申し訳なさそうにやっている&見ているという雰囲気ではなく、こういった娯楽は必要だし、世間も求めているから、みんなでしっかり楽しもうじゃないかという雰囲気を感じました。初場所・五月場所よりもお客さんの入りもいいですし、テンションも高めです。あるいは客入りが鈍ってチケットが取りやすくなったところに、新たなファン層が入ってきたのかなとも思います。「●●茶漬けは永谷園」の懸賞旗5連発や「高須クリニック」の懸賞旗にドッと笑いが起きたりする場面や、優勝力士がもらう賞品群へのどよめきなどは、受け手側のフレッシュさを感じました。

そして、なじみのお客さんも含めて意識も前向きになってきているのかなと感じます。特に印象的だったのは、国技館で提供されるちゃんこへの長い行列です。館内通路に長く伸びて、何度も折り返す列は「家の外で何かを食べること自体が問題行動」といった気配もあった昨年あたりの空気とはまったく違うなと思います。もしかしたら、来年の初場所あたりはもう一段前向きになって、待望の「館内寿司」復活もあったりするのかなという希望も感じるようでした。ちゃんことセットで米が食べたいという日本の魂、癒される日が早く訪れてほしいものです。

↓屋外の専用スペースで食べるちゃんこ、美味しゅうございました!
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そうした前向きな変化を待ちつつも、引きつづき「今」が苦しいことは変わりません。ただ、そんななかでも大相撲というのは意外な柔軟さでもって、生き残りを図っている組織でもあります。毎場所のように新たな施策…金儲けを画策しているわけですが、それがしっかりと「楽しさ」にもつながっているのはさすがだなと思います。

五月場所でも出展されていた芝田山親方発案による「スイーツ親方の店」では、つきっきりで芝田山親方が売り子をしているという「絶対に売る」強い気持ちを見せていました。さらに、引退して春日山親方になったばかりの勢も売り子で活躍するというあたりには、「俺たちと触れ合いたいんならスイーツを買うんだな、あん?」という真っ当な圧力を感じました。

「くぅー、触れ合いたい」
「別に記念撮影だけ頼んでも」
「親方衆は拒みはしないだろうが」
「触れ合うには何かが必要」
「パンダが笹食ってるとこを見たいなら」
「笹をあげること」
「鯉がエサに群がる姿を見たいなら」
「エサをまくこと」
「スイーツ親方と触れ合いたいなら」
「パンを買うこと」
「これは真っ当な圧力だ…!」

↓スイーツ親方の店で大乃国と勢が売り子をつとめます!
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↓ちなみに商品は力士型のかまぼこ、食パン、焼きいも、サブレなどです!
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↓食パンには横綱の焼印が押してあります!
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↓のぼりを立てて食パンを猛烈に推しています!
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↓僕もお土産を買って、親方から手渡してもらいました!
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↓新商品の焼きいもだそうです!パンでなくて申し訳ない!
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国技館の入口には「照ノ富士」とか「正代」とかののぼりが立っていて、館内に入ると「食パン」ののぼりが立っている。チケットが売れなければパンを売ればいいじゃない。ただただコロナ禍が過ぎ去るのを待っているだけではないという柔軟で前向きな姿勢、「いやいや、もとから食べ物売るのがメインじゃないですか」という話もあるかもしれませんが、頑張っているなと思います。

↓食パンとともに存在感を主張するカレー族は、新作の北の富士カレーで攻めてきました!
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↓北の富士カレーと、「白鵬が銀座に出したちゃんこ屋のカレー」を買いました!
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↓ちなみに北の富士本人はカレーに関して他人事だし、ルーを入れてカレー作ってます!


ルーは作らないんだwwwwwwww

ルーを作らないものに名前つけるなwww

ルー作ってなかったら、そりゃ美味いだろwww



さらに、売れる売れないはさておき(※売れないと思ってるの意)、ほかにもさまざまな企画で大相撲は生き残りを模索しています。AR的な技術で力士と一緒に動画が撮影できる「大相撲マジックウォール」(1枚1000円/大相撲スマホクリーナー付きだと1500円)。人気力士を等身大サイズでお部屋に飾れる「リバーシブル等身大タペストリー」(1枚11000円)。そして、最高ランク会員だと年間33万円の会費を請求される「大相撲公式ファンクラブ」(※無料会員アリ)。

取れそうなところからは取る、という清々しいまでの施策の数々に、「うん、たくましいな」「このぶんなら大丈夫だろう」「特に僕が支援するまでもなさそうだ…」と思いながら僕も目を細めていました。年間3300円の会費でも毎回踏ん切りをつけねばならない身としては、年間33万円だと「100年ぶん」も何をしてもらえるのか想像もつきませんが、ポンと出す人は出します。ポンと出す人に対して、相応の商品を用意するというのは正しい姿だなと思います。もし会費33万円の戦士と出会ったら、ひれ伏して申し上げようと思います。「推し力士の部屋の後援会で33万円使ったら、もっといいこと起きるのでは…?」と。

↓等身大の力士を貼る天井高があるか確認してから買いたいタペストリー!
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↓入会するととりあえずうちわなどがもらえる大相撲公式ファンクラブ!
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こうした施策の魅力はもちろん、購入への導線も非常に先進的であるなと感じます。もちろん昔ながらの「ニコニコ現金払い」を店舗側としては希望しているわけですが、それだけでは現代決済事情は乗り切っていけません。各所レジにはコンビニと同レベルの「決済手段アレコレがズラリと並んだ一覧表示」がしているのはとても好印象。Payマニアとしてスマホに10種類以上の決済手段を入れている僕が、お得事情を加味してどの決済を希望したとしても、しっかり対応してくれます。

今回は国技館がある墨田区がPayPay側のキャンペーンとして「30%還元」をやっているところにしっかりと乗っかり、国技館での各種買い物で30%が還元されるという状況が生まれていました。レジから響く「ペイペイッ」の声。僕も「墨田区に来る用事はもうないから、墨田区のぶんの還元枠はなるべく今日使ってしまったほうがいいな」と買い物意欲が増進させられました。

プロ野球の球場でも今さら「d払いが使えるようになりました!(ほかのは使えないけど)」なんてニュースリリースを出してくるようなところもあるなかで、ひと通り使えたうえでキャンペーンにもしっかりと乗ってくるとは。いやー、さすが「見た目は江戸時代」の大相撲だなと思います。コロナ禍で客数が少ない今だからこそ、こうした新たな動きについて実践を通じて習熟していくこともできるというもの。そのうち国技館のおばちゃんが「はい、J-CoinPayね」「はい、WeChatPayね」「ごめんなさい、ウチはSmartCodeはダメなのよー」とかキビキビさばくんだろうなと思ったら、胸熱ですね!

↓おおお、国技館でカレーを買ったら30%還元されてきた!
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↓ちなみに、北の富士カレーは「ニコニコ現金払い」で買えとのことです!
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値段なりに3割美味しいんでしょうね!


国技館に行って、ちゃんこを食べて、買い物をして、相撲を見る。そういう当たり前のことをいろいろと楽しめるのは、やはりいいなと思います。「相撲さえ見させていただければほかの悪条件は全部飲み込みます」という気持ちがあるとは言え、できることならいろいろなことを楽しみたいですからね。申し訳なさそうな顔するでもなく、引け目を感じるでもなく、出掛けて、食べて、買って、遊ぶ。その全部が大切にされる雰囲気、引きつづきしっかりと育てていきたいなと思いました!


売店の行列解消のためにも、販売所と飲食会場をそろそろ増やしたいところです!

横綱・白鵬が抜群の力量で全勝優勝を果たすも、相撲の理想像からは少し遠ざかったので来場所こそ真の復活を期待するの巻。

08:00
木鶏どころかいまだに闘鶏でした!

コロナ禍のなかで一年半ぶりに国技館を離れて行なわれた大相撲名古屋場所。千秋楽に賜杯を抱いたのは全勝優勝で復権を果たした横綱・白鵬でした。昨年の春場所優勝後は、コロナ禍での場所中止、全休4場所を含む6場所連続での皆勤ナシという状況に「進退」を懸ける場所となっていた名古屋場所でしたが、まさにチカラでねじ伏せた格好。さすがの白鵬でした!


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長い相撲の歴史でもわずか6回目だという千秋楽全勝相星決戦。前回これが起きたのは、9年前の白鵬と日馬富士によるもの。熱戦の末に、最後はケンケンから転がるように白鵬が倒れたあの一番です。この取組で日馬富士が二場所連続・通算3回目となる優勝を決め、場所後の横綱昇進を確実としており、ちょうどそのときに重なるようなシチュエーションです。横綱・白鵬か、それとも綱取りに挑む大関・照ノ富士か。9年の時を経てもなおそこに壁となって立つ白鵬というのは、ひとつの時代にはおさまらない存在だなと改めて唸ります。

そのときを思い起こしながら、僕は照ノ富士の勝ちと優勝を想像していました。壁は最後に破られるためにある。横綱・白鵬としては、「壁」としての力試しの意識で臨むだろうと。九分九厘確実とは言え、綱取りという大きな節目に差し掛かる相手に対しては真っ向からそのチカラを受け止めていくだろうと。となれば現状のコンディションなどからすれば照ノ富士が優位ではないか。あるいは復権を十分に示したところで、後継に土俵を託すということも想像の範疇にはありました。

ところがどすこい。白鵬はそんなこと知ったことかとばかりにギラギラと「勝利」だけを追い求めていました。相手の視界を手で遮ってからの実質「エルボー」と言えるかち上げ、そこから実質「ビンタ」と言える張り手の連打、小手投げで照ノ富士を倒したあとは渾身のガッツポーズ。横綱審議委員会もどこから苦言を呈したらいいか迷うほどの、おなじみの説教ポイントのオンパレードで、白鵬は雄叫びをあげていました。「木鶏たりえず」どころか現役バリバリの闘鶏のような闘争心は、さすが白鵬だなと感服するものでした。褒めはしませんが、元気で結構だなと思います!

↓怒られるポイントがたくさんあると、相手の小言が分散して威力を弱めるという高度な戦略!


まぁ、これぐらい勝ちたいんだという気持ちを、もっとほかに力士にも期待したいもの!

白鵬、まだまだ勝ちに餓えている!


さて、「優勝おめでとうございます」という気持ちはありつつも、言いたいことはたくさんあります。今場所の白鵬は横綱の相撲ではありませんでした。故障の影響、久々の場所、危うい一番もありましたし、横綱の理想とは程遠い相撲が多くありました。「後の先」などと言っていた頃の余裕はまったくなくなり、「いかにして相手のチカラを出させずに勝つか」ということに必死でした。

とりわけ14日目の正代との「距離を取っての組手争い」となった取組はいかがなものかと思います。仕切り線の遥か後ろ、土俵際まで下がって仕切る白鵬の姿は横綱が格下を相手に「胸を出す」というのとは程遠く、奇策・奇襲とも言えるものでした。白鵬自身も7日目の翔猿との取組で同じようなことを仕掛けられていましたので、「やられたことはやってもヨシ!」「よーし、自分もやってみよう」という気持ちもあったでしょうか。

あるいは、白鵬の頭には昨年春場所での正代との取組もあったでしょうか。正代のフワッとした立ち合いに、白鵬の張り差しが単なるビンタとなって空転し、そこからビンタ連発&引き技の末に正代に一気に攻め込まれ、寄り切りを許したというあの一番。どうせまわしが遠いのなら、正面からつかまえに行くよりも、距離を取って勢いを殺したほうが得、という計算もあったかもしれません。さすがに「栃煌山よりからかい甲斐のある相手」とまでは思っていないとは思いますが。とにかく、感心できない相撲でした。

↓ただ、正代も「え!?」ってなってちゃダメでしょう!


相手が勝手に土俵際まで下がってるんだからドーンと行きなさいよ!

引いたりはたいたりできるスペースなんてないんだから!


「勝てば官軍」という言葉があります。勝てば何でもいいのであると。それはある部分においては真理です。勝てば大抵のことは不問となります。ましてや白鵬は横綱です。勝たねば横綱はつとまりません。「品格力量抜群」である横綱にとって「勝つ」は最低限必要な条件です。勝てない横綱は身を退くしかない、それが綱の重みです。まさにその部分の衰えによって「進退」を問われている白鵬にとっては「勝つ」は復権に必要なステップですし、「勝つ」ことへの意欲がいささかも衰えない姿には感服します。

しかし、こうした姿は「品格」という部分においては、やはり不十分です。「勝つ」ことに特化した努力や工夫というのは「力量」の軸で評価されはしますが、「品格」の軸ではプラスにならなかったり、あるいはマイナスになるということさえあります。横綱は相撲の代表であり象徴であり看板です。生まれて初めて相撲を見た人にも、これが人生で最後の観戦と思って来た人にも「これが相撲です」という理想像を見せる必要があります。人間ですから理想通りにはできないこともあるでしょうが、少なくとも理想を目指すのだという姿勢は示さなければならない。

相撲とは何を理想とし、何が愛されるものなのか。

相撲の表記のひとつに「角力」というものがあり、現在でも「角界」などの用語に名残を残していますが、闘牛や牛の角突きのようなチカラとチカラの押し合い、ドーンと当たる迫力の力比べにこそ、相撲が相撲たる部分があると僕は確信しています。ほかのさまざまなスポーツにおいては軽微な失点・反則でしかない「場外」が勝敗を決するという特徴は、その力比べを重んじる価値観があればこそです。

↓「角力」のイメージはこんな感じです!


だからこそ、ときに200キロを超えるような巨大な力士が土俵上に並び立つという異質な光景も生まれるのです。「場外で減点1」程度の話であれば、押し合いでの勝ち負けを追求する必要もなく、押し合い一本に懸けてくる極端な力士もいなくなり、フットワークを活かして土俵のなかをにらみ合いながら周回するような戦いとなることでしょう。やがて体格や体重による有利不利が「階級」として整理され、200キロVS100キロの戦いが何のハンデもなく行なわれるような理不尽もなくなるでしょう。

そういう戦いも面白いとは思いますが、それならばレスリングや総合格闘技を見たっていいわけです。相撲の相撲たる光景というのは、その押し合いに真っ向から挑む姿勢があってこそ保たれています。西から爆走してくるトラックと、東から爆走してくる戦車がドーンとぶつかってドカーンといく。勝ち残った戦車に対して、もっとデカけりゃ吹っ飛ぶだろうと今度はダンプカーが突っ込んでいく。そういう価値観によって相撲は唯一無二の世界を保っているのです。

そこで「相手の側面から当たろう」とか「先にスタートして加速つけて当たろう」とか「バックして逃げよう」とか「まきびしでタイヤをパンクさせてやろう」とか「フロントに槍付けてエンジン壊そう」とか策を弄していくような行為は、相撲が相撲たる部分にそぐわないものだろうと僕は思います。「勝たねば生きていけない」という必要に迫られて、弱い者、格下の者、小さい者がいろいろと策を繰り出すのは致し方ないことですが、一番強い者はブオオオオンと爆走して真っ直ぐ突っ込んでこそです。それを保ってなお相手をねじ伏せるのが横綱であり、「あぁ、これは素晴らしいものを見た」と思わせるのが横綱のつとめなのです。

横綱に対して、奇襲を仕掛けないという不文律もルールとしての制約ではなく、示すべき理想像としての制約です。もちろん奇襲程度で慌てる者に横綱はつとまりませんが、「これぞ大相撲でございます」と世間にお示ししようというときに、ヘンなものを持ってくるなという話です。「これが寿司でござる」というときに「軍艦のなかに三日間煮込んだカレーを注ぎました」が出てきたら、何か違うでしょう。どれだけ美味しかろうが、それを代表作にされたら何か違うでしょう。カレーライスだもん。「何か違う」ことは、「何か違う」と言われない場所でやるべきであり、美味けりゃイイというものではありません。

勝ったから素晴らしい、ではなく、

素晴らしいから勝った、でないといけない。

「アウト相撲」とでも言うべき距離を取っての組手争いを自分から仕掛けたりするのは、それが相撲の理想像ということなのか。極論すれば「全部の取組がアレでもいい」と思っているかどうか、です。理想を追求したうえで、そのなかでの「勝ち」が讃えられるという順番を忘れてはいけないと僕は思います。横綱の相撲とはどの一番も、相撲の理想像というものをお示しできるように努めていってほしい、そう思います。

まぁ、今場所については休養明けで進退の懸かる場所ということでもあり、「力量」を示すことに全集中したという解釈で、今後の展開を見守っていきたいと思います。この様子なら来場所も「千秋楽全勝相星決戦」という可能性は十分にあると思いますので、そのときはこれぞ大相撲という一番を見せていただきましょう。「白鵬が後退したぞ…」「照ノ富士も下がった…」「うわ、睨み合ったまま1分経過」みたいなのは面白いですけど、ナシでOKです!



「闘牛士VS闘牛士」でお互いに布をヒラヒラさせて面白いのか、という話です!

大相撲がコロナに飽きてきてる感をひしひしと感じるので、照ノ富士のような「一日一番」の心で日々を大切に過ごして欲しいと願うの巻。

08:00
相撲がコロナに飽きてきてる説!

本日はお出掛けの記録です。今回向かいましたのは大相撲五月場所千秋楽の観戦です。緊急事態宣言の最中ではありますが、気がついたときにはすでにチケットを持っていたということもあり、「やはり僕が支えてやらねばなるまい…」とむしろ勇んで出掛けた次第。まぁ、改めて当日の状況を鑑みると「ラグビーだったな」「福岡堅樹の引退試合のほうだった」「あーーーー!」とは思いましたが、まぁこれも巡り合わせです。福岡さんには遠く国技館から労いを飛ばします。

↓こっちに来ちゃった。
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入場口は普段の千秋楽よりも閑散としています。まだチケット販売中の緊急事態宣言ということで、売り逃しもあったでしょうか。前後の人もなく入場は流れるようにスムーズです。あまりにスムーズすぎて「カメラによる顔認証タイプの体温計」を僕が見てもいない段階から「こちらへどうぞー」と館内に通されたほど。「すごい反応がいいヤツなんだよな?」「見た感じ大丈夫そうなら体温計は見ない、とかじゃないよな?」「万一見てなくても、問題があれば音が鳴るんだよな?」という質問はグッと飲み込みます。もしコレを聞いて「あー、これ今壊れてるんすわ」という回答が来たら話し合いが長くなりそうなので…。

少し前までは小分けの消毒液をくれたり、係員がみなフェイスガードをつけていたり、チケット半券の裏面に連絡先を書かされたりしたものですが、だんだんそれも面倒臭くなってきた模様。ついには、運営がときめく「やめちゃおう」の魔法によって、手荷物検査もなくなりました。コロナ禍用のチェックはいつか止める時が来るとしても、手荷物の検査は人類がテロを止めるその日まで一応キープしておいたほうがいいんじゃないかと思いますが、大相撲は思い切ってやめてみました。まぁ、見た感じテロっぽくない人は大体テロじゃない、という意見には僕もおおむね賛成です。人生で「例外」に遭遇しないことを祈るばかりです。

↓なんかこの間まで力士の写真とか飾っていた消毒液も、広告がくっつくようになった!
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カレーとハヤシとちゃんこの広告の裏に「糖質と脂質の摂り過ぎ注意」って注意書きがあるのは自己批判かな?

それともどっちかがどっちかの嫌味なのかな?


館内を散策しているとさらに「飽きてきとるなー」の光景に遭遇します。公式グッズを売る売店に立ち寄ると、何と元・琴奨菊の秀ノ山親方が売り子をしているではありませんか。親方が売り子をすること自体は国技館では特に珍しい光景でもありませんが、ちょっと前まで大関だった人が売り子をやるとは、なかなかに攻めた営業です。「琴奨菊にファンが殺到することはナイ説を採用かな?」「実際問題、殺到してなかったしな」「新米親方はこういう下働きを経験すべきではある」と揺れ動く僕の胸中。

最終的には僕も「ま、琴奨菊が売っているからと言って、いらないものを買うほどではない」と結論付けたので今回はスルーしますが、これが稀勢の里だったら大変なことになりますので、十分に注意をしてもらいたいところです。稀勢の里が売り子をやる場合は商品を倍仕入れておけ……じゃなくて、待機列などをちゃんと作るように仕切って、よしんば熱烈なファンが殺到しても安心安全に販売ができるようにしていただきたいところです。

↓琴奨菊には殺到しませんが、相手によってはわかりませんからね!
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そんななかで安堵したのは、飲食に関しては引きつづきしっかりと対策を取られていたこと。場内での食事はもちろん禁止ですし、ちゃんこなどを食べるのも指定の飲食スペースに限られています。今回も国技館名物のちゃんこをいただきましたが、日差しを浴びるオープンエアーの飲食スペースで食べるちゃんこは格別の美味しさでした。家で作っても絶対にこうはならないというコクと、あとを引く深い旨味。これを食べるためにここにきた、という気持ちにさえなります。

相撲観戦というのはマス席という名の宴会場で飲んで食って騒いでというのが醍醐味だっただけに、ちゃんこのふるまいも存分にできない状況というのは忸怩たる思いがあることでしょう。「え?食い物以外でどんなおもてなしをすればいいんですか?」くらいの迷いもあるかもしれません。しかし、飲食が一番の急所と見られるなかで、大相撲もしっかりそこを抑えているのは幸いです。なんとかそこは飽きずに頑張ってもらいたいなと思います。ポロリポロリと「飽きてきとるなー」という行動が散見され、大関朝乃山のキャバクラ巡業なども報じられた今場所ですが、ここでもうひと踏ん張りの粘りを期待したいものです!

↓日差しを浴びながら換気100%の屋外でちゃんこをいただきました!
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↓日本相撲協会は「安心・安全な大相撲観戦」のため、感染防止対策に全力で取り組んでいます!
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↓大関陣からも感染防止対策へのご協力をお願いします!
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もうすぐ2人になりますが、頑張って大相撲を支えていきます!

大関陣からのお願いでした!



さて、幕内の取組が始まり、普段なら土俵に集中している頃も引きつづき散策をつづけていると、またも珍しい光景が。「毎回やっているのだろうが、あえて見に来たことはなかった」天皇賜杯ほかのトロフィー類を展示ケースから運び出していく場面に遭遇したのです。改めて見ると雑というか、「よっこらせ、どっこいせ」くらいのノリで運び出されていくトロフィーたちの扱いは極めてカジュアルです。もちろん落としたり投げたりはしませんが、「万が一手が滑ったらしゃーない」という割り切りは垣間見えます。なにせ、わりと大きいヤツでもひとりで持ってひとりで運ぶのですから。ひとりが手を滑らせたら即座にドンガラガッシャーンです。

とりわけ目を引いたのは大人気のマカロンを副賞に据えた日仏友好杯です。副賞のマカロン(の模型)を友好杯のカップにポーンと入れまして、遠目に見たら銀皿に載ったハンバーガーみたいな感じで運んでいきよります。表彰式で渡すときは、呼出しがそんきょしてマカロンを掲げていたりもしますが、普段はこの感じの扱いなら、表彰式でもカップにマカロンをポーンと入れて渡してもいいんじゃないかという気もします。あまりにもおさまりがよく、完全にハンバーガーの皿でしたから!

↓皿に載ったハンバーガーみたいですが、これが日仏友好杯と副賞のマカロンです!
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↓トロフィートレインが出発!
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↓そしてトロフィーはいなくなった…!
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散策も終えていよいよ土俵に集中です(←ここまで散策ばかりで全然集中してない)。今場所の主役はやはり大関に復帰した照ノ富士です。序盤から順調に白星を重ね、もっと早い段階で照ノ富士が優勝を決めそうな雰囲気もありましたが、11日目にはマゲに手がかかったとしての反則負けがあり(※これは致し方なし)、14日目には遠藤との死に体同士の投げの打ち合いから行司軍配差し違えによる負けがあり(※これもその通り)、優勝争いは千秋楽までもつれました。

どちらも「その通り」な判定ではあるのですが、「惜しい」とか「損した」という気持ちになりやすい負け方でもありました。特にマゲのほうはまったく勝負に影響しない「事故」のようなものでした。その意味では、もつれたこと自体への苛立ちもあるのかなと思っていました。しかし、照ノ富士は落ち着いていました。「ハッ!」と気迫を発する場面こそありますが、焦りや苛立ちはまったくなく、静かに本割の土俵を迎えます。

本割の土俵では優勝を争う貴景勝が、強く当たってからの引き技でまずは先勝。ただ、これで優勝の行方は大きく照ノ富士に傾きました。2番つづけて勝たねばならない貴景勝は負けられないがゆえに、本割のほうで引き技を使ってしまった。もともと突き押しの相撲で「組んだら大したことはない」貴景勝ですので、押して勝つか引いて勝つかの二択しかありませんが、ストレートとフォークのどっちが来るかみたいな話で、どっちが来るかわからないから相手も難しいのです。強く当たれば引き技を喰うかもしれないし、中途半端になれば一気に押し出されるかもしれない、そういう迷いが相手を困らせるのです。

それが本割で引き技を出してしまえば、まずもって2回連続はありませんので、次は素直に当たっていくしかない。素直に当たってくるしかないのなら、立ち会いの勢いさえ止めてしまえばあとはどうとでもなる。休憩を挟んでの優勝決定戦、案の定貴景勝は素直に当たりに行き、照ノ富士はそれを突き放して勢いを止めました。これでほぼ勝負アリか。あとは「もうひと当たり」を狙って貴景勝が突っ込めるかどうかでしたが、最後はその突進を闘牛士のように照ノ富士がかわして貴景勝はバッタリ。優勝決定戦での負けがつづき、決定戦に弱いという話も出ていた照ノ富士ですが、決定戦を制し、大関として初の優勝を決めました!

↓リードしているほうが強い、追いついて勝つのは難しい、そういう決定戦でした!



突き押し一辺倒の貴景勝だから、という側面は否めませんが、それを割り引いても照ノ富士は強かったし、強くなったなと思います。ギラついていた一度目の大関時代のほうが身体や技は万全だったかもしれません。ただ、今場所のような不運に見舞われるなかで、それをも受け止め、自分にできることを粛々と積み上げるような振る舞いは果たしてできただろうかと思います。

優勝後のインタビューではいつもと同じ言葉を繰り返すように「一日一番」と語った照ノ富士ですが、怪我や大きな苦境を乗り越えるなかで、日々の一瞬を大切に過ごし、過ぎたことや先のことに囚われないという、一種の悟りのような境地に至ったでしょうか。あれほど横綱への野心を隠さなかった男が「なろうと思ってなれるものではない」と綱への関心を平常心で受け流すというのも、新たな照ノ富士の強さなのかなと感じました。

それは横綱として土俵をつとめるのにも必要な強さだろうと思います。横綱には終わりがありません。いくつ勝ったら横綱で、どうなったら合格で、という基準はありません。「品格力量抜群」という答えのない目標に向かって自分を高めていく途中に、人々から横綱と認められる時が来るというだけのこと。なったら終わりというものではなく、むしろ横綱となったあと「この先は何を目指せばいいんだ」という始まりが来るのです。

今の照ノ富士ならば綱の重みも受け止められる、そう思います。身体は相変わらず厳しく、年齢とともにどこかで限界は来るかもしれませんが、そのときまで自分を高め、横綱とは何かを探っていってほしいもの。個人的にはもう上げてしまっても…とは思いますが、厳しい目と試練のなかで上がってこそ照ノ富士らしい綱取りでもあるでしょう。優勝次点などではなく、スッキリと三場所連続優勝で決めてほしいもの。最近、いつ行っても横綱がいないので、早く誰か昇進してほしいです!

↓師匠の伊勢ヶ濱親方から優勝旗をいただきました!
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↓マカロンは皿と別々でいただきました!
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さっきまで皿に乗ってたのに!

いっぺんに渡してもらっても大丈夫です!



名古屋場所で綱取りを決めてもらい、九月の国技館で土俵入りを待ちます!

国技館ちゃんこ復活に「大相撲の気が緩んできたか?」と不安説飛び交うものの、ちゃんこ会食開催は土俵際で踏みとどまっていた件。

08:00
大相撲の気が少し緩み始めているのではないか説!

行ってまいりました、大相撲三月場所観戦へ。初場所は千秋楽の観戦に繰り出し、大栄翔の初優勝を見守ったわけですが、その際は休場関取が19名もいるという戦後最大のお休み場所でした。人数が欠けていたらつまらないというわけではないですが、いるはずの人がいないというのはやはり寂しいもの。今回はひととおりの顔ぶれを見たい。場所の最後のほうだと怪我等で休みが増えるということを勘案しつつ、プロ野球の開幕との兼ね合いも考慮して、今場所は中日8日目の観戦とした次第です。

「ま、中日でも遅かったが」
「白鵬もすぐに休んでしまったし」
「白鵬休むの早かったな…」
「次は初日にしておくのがよさそう」
「ていうか来場所は鶴竜が出るなら」
「初日しかチャンスないかも」
「初日に見ておいたほうが確実」
「鶴竜とも長い付き合いだし」
「憎からず思っているし」
「しっかりと目に焼き付けて」
「感謝の念を送りたい」
「とりあえず来場所は初日で決まり」
「初日ならいくらなんでもさすがに」
「出るつもりのヤツは全員おるやろ…」

中日ということで優勝争いなどはまだこれからというところ。折からの雨で足元も悪く、お客の出足も若干鈍かったかもしれません。開場時刻に国技館に向かっても、人垣はほんのわずかです。というか、ゴチャッと固まって若干名が待っています。「あれ?」と思います。この一年、「ゴチャッと固まっている」機会などなかったはずの入場口でお客がゴチャっと固まっているとは、これいかに。

確か先場所までは待機列を作らされて、テントで作った細い通路をくぐり、手指消毒をしてから館内に入っていたはず。まぁ、雨だけでなく風も非常に強かったのでテントは撤去したのかもしれませんが、それなら敷地周辺に立てている「のぼり」も一緒に撤去すべきでしょう。係員が「本日は強風でのぼりが折れる可能性があります!のぼりから離れて歩いてください!」とアナウンスしていましたが、強風で折れる可能性を考慮するならそっちこそ撤去ではないかと思ったりします。

↓これが折れて倒れる事態を想定したとき、むしろ根本に近いほうが助かる気がするが…?
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テントの有無はさておき、雨だろうが風だろうが待機列はきっちり作って、間隔をあけて入場するという仕組みは維持するものかとばかり思っていたのでちょっと拍子抜けです。雨なので一刻も早く館内に入れてあげたい親切心と見るべきかどうか。一旦判断は保留したまま入場します。

消毒・検温を行なって館内に入ると、そこにまた若干の変化が。先場所は「チケットの半券に名前を記入せよ」とか「テイクアウトライフなるアプリを登録せよ」など、万一に備えてクラスター情報伝達の手段を確保するよう努めていたものですが、今場所はその辺の話がすっかりなくなりました。「ココアに登録してください。半券捨てないでください。以上」で呼び掛けは終わり。まぁ、どこもそうですし「テイクアウトライフ」とかいうアプリはそれ以前もその後もほかで聞いたことのない仕組みでしたから、「ココア登録、半券保管」という標準対応に戻ったという意味では何も悪いことはないのですが、急激な方針転換に違和感はどんどん高まっていきます。

そして、とある掲示を見て僕の違和感は確信へと変わっていきます。

↓今場所より国技館名物ちゃんこ復活のお知らせ…!だと…!
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しかもカレーもあるだと…!

ちゃんこをおかずにカレーを食べよと…!?

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何と、これまで頑なに提供を拒んできた国技館ちゃんこを、国技館館内1階に設けられた飲食スペースで提供するというのです。もちろん飲食スペース以外で食べることはできませんが、確実に大相撲のなかで何かが変わっている気配がします。そうです、大相撲の根源的な欲求である「食べたい、食べさせたい」がついに首をもたげてきたのです。

コロナ禍について真摯に学び、部屋単位のクラスターなども発生させながら「やっぱり会食はアカンのぉ」ということで、断腸の思いで「ちゃんこは…ふるまわない…!」と決断したはずの大相撲。しかし、緊急事態宣言も解かれるという感染拡大ペース鈍化を受けて、「やっぱり…ちゃんこを…ふるまいたい…!ついでにカレーも…!」と欲望が膨らんできてしまったようです。クスリを何度もやっちゃう人みたいなガマンの効かなさ、何たることでしょう。

僕はそのゆゆしき事態を直視すべく、観戦はさて置いて真っ先にちゃんこ待機列に並びます。飲食スペースは距離を取りながら密を避けての運営のため、列は一向に進みません。しかし、ちゃんこ直視のためには待つのみです。しばしの待機後、僕はレジで待ち受ける国技館サービスの人に言ってやりました。「ちゃ、ちゃんこがあるんですか!」と。その声音には少しの憤りあるいは空腹による苛立ちがこもっていたかもしれません。

しかし、対応したレジの人は何ら悪びれる様子はありません。本当にちゃんこを出す気なのか。僕は確認の意味で「ちゃんこひとつ」と注文をしてみます。500円(※何か急に値上げされてた)を払うと、よもやよもや「かつての日常」と同じちゃんこが出てきました。かー、けしからん。せっかく我慢して運営してきていたのに。ちゃんこがシレッと復活しているではないですか!

↓かー、塩味がきいて鶏肉がふわふわだー!
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こんなもん食べたら、一席空けていたとしても「美味い!」って言ってしまうでしょうが!

け、け、けしからん!


ふぅー、美味かった。調査完了。僕は「美味しくてけしからんぞ」という気持ちをこめたお辞儀をして飲食スペースをあとにします。その後は館内散策に繰り出しますが、やはり全体的に気の緩みは否めません。先場所は大量の未使用鉛筆を用意してグッズの注文などを受け付けていたものがひとりに一本ずつ渡されるだけになりましたし、売店のディスタンス待機列作りなども足元にテープが張ってあるだけで通常の列作りに戻りました。もぎりの緊張感とか、消毒しない輩への突き刺さる視線とか、全体的にそういうのが薄れている感じがします。

さらに2階には驚愕の光景が広がっていました。「徹底的に換気をしよう」という精神で、開けられる窓という窓をすべて開け放ち、11月だろうが1月だろうが外気を全開で取り入れていたはずの大相撲が、ついに、けしからんことに、窓を閉め始めたのです。うっかり開け忘れなんてレベルではありません。しっかり閉めたうえに、こんな掲示までしている徹底ぶりで、完全に閉めにきやがりやがっているのです!

↓「記者クラブの方は、ドアを開けっ放しにしないようお願いいたします」だと…!?
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閉まってたら開けてくれ、ではなく!

あー、オワタ。何たることでしょう。どのスポーツよりも徹底的な取り組みで「コロナを押し出そう」と奮闘努力していた大相撲は一体どこへ行ってしまったのでしょうか。たくさん感染者が出たことで、逆にたかをくくってしまったのでしょうか。「大相撲がちゃんこを我慢しているなんてエライぞ」「真冬でも窓を開けててエライぞ」「テイクアウトライフとかいう知らないアプリを見つけてきてエライぞ」と思っていたあの冬は何だったのか。

これは完全に舐めてきておりますよ。今までが過剰対応だったぶん標準に戻ってきただけではありますが、「このぐらいでええやろ」感が出てきたという意味では、この先はあっという間です。地下大広間でのちゃんこふるまいの復活も目前でしょう。「飲食スペースで食べていい」ことにしたのなら「大広間でも換気しながら距離を取って食べればいいんじゃない?」「よしんば地下はダメでも飲食スペース広げればいいんじゃない?」「ちゃんこふるまっていいんじゃない?」までは早晩思い至ることでしょう。そしたら出ますわな、ちゃんこが。オープンエアーでテーブル並べて小粋なちゃんこランチが始まりますわな。

いいですか、飲食スペースだけ対策を上手くやっても不十分なのです。昼に美味しいちゃんこを食べたらどうなるかわかりますか。「夜も食べたくなる」んですよ。さっきのドンブリだと、もうちょっと食べたいくらいの量なんですよ。で、ちゃんこを食べるとき、ひとりで鍋はキツイですよね。量的に。そうしたら連れ合いの人と2名くらいで連れ立っていきますよね。ちゃんこ美味いですよね。盛り上がりますよね。ちょっとお酒なんて飲んじゃったりしますよね。ハイ「鍋会食」という考え得るなかで一番可能性高そうなヤツが始まってしまうじゃないですか。「キスしたら歯止めがきかない」くらいの確実さで「昼ちゃんこは夜ちゃんこ」なんですよ!

これはもう理事長直談判しかない!

ストップちゃんこを訴えるしかない!

理事長室がどこにあるのかはよくわかりませんでしたが、とりあえず誰でもいいから抗議をしようと「ちゃんこ美味くて盛り上がっちゃうからけしからんぞ!」と売店で売り子をしている親方を捕まえた僕。しかし、振り上げた僕の拳に、親方はそっと大相撲の良心を差し出してきたのです。「ご安心ください、お客様」「昼ちゃんこは夜ちゃんこ、よーくわかります」「ちゃんこ会食を避けるための秘策を用意しておきました」とばかりに渡されたそれは、確かに鍋会食を回避することができる完璧な秘策でした。その手があったかと唸らされるその秘策とは…!

↓おおっ、持ち帰り用のちゃんこ…!
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フリーズドライ製法で、部屋秘伝の味をお湯をかけるだけで楽しめる!

これならそれぞれ家でちゃんこすればいいという寸法!

鍋にしなくてもいいひとり用の食べきりサイズ3食入り!



よかった。安堵した。大相撲は厳戒態勢は解きつつあるものの、「ちゃんこの時間だー!」と割り箸を持って突撃しているわけではありませんでした。ちゃんとお客様の安心安全を考えたうえで、できる範囲でちゃんこの提供をしてくれていたのです。しかも「どうせ夜もちゃんこしちゃうんでしょ?会食はダメです個食でどうぞ」というところまで先回りして。

これならば感想戦は鍋以外を黙食ののちに行ない、ちゃんこは各自自宅で楽しむことができそうですよね。持ち帰りちゃんこ買ったら早速食べてみたいですが、。昼ちゃんこ夜ちゃんこ翌日ちゃんこはちゃんこ過多ですからね。先にテイクアウトのちゃんこを握らせてしまえば、自然と当日夜のメニューはちゃんこ以外を選択することになるでしょう。ふー、まさに土俵際で踏みとどまったなというところでした!

↓その後は安心して大相撲観戦を楽しむことができました!
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優勝争いへの布石となる注目の一番、照ノ富士と高安の取組では、高安の意地が上回った!

これはよもやよもやの今頃になっての初優勝、あるかもしれませんね!


↓引き続き感染拡大防止に努めながら、大相撲を開催していきましょう!
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なお、持ち帰りちゃんこは手軽で美味しい逸品でした!お土産にもよさそうです!

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