スポーツ見るもの語る者〜フモフモコラム

陸上

陸上のゴール通過論争ついに決着!完全にスーパーマンと化した美しいヘッスラが駆け抜け派を圧倒し、ヘッスラ大正義証明完了の巻。

12:00
またもヘッスラ派の大正義が証明されてしまったな!

2020年に向けて日本陸上界に提言したい革命的な新技術、それはヘッスラ。日本にメダルをもたらすかもしれない0.1秒を削り出すため、そしてこの一生に一度の大舞台ですべてを出し尽くすために、残りの1年をヘッスラトレーニングに充てるべき…もしもご意見箱などでもあればそんなアンケートを連日提出していきたい。僕はそう思うものです。

これまでも長く論争になってきた「駆け抜けたほうが早いよ派」と「どう考えてもヘッスラ派」の論争。客観的冷静に言って、駆け抜け派の主張には論拠がありません。リオ五輪でも女子400メートル決勝においてバハマのショーナ・ミラーさんは、アメリカのアリソン・フェリックスさんとの激闘においてヘッスラを選択し、見事に金メダルを勝ち取っています。歴史はヘッスラを支持しています。

↓やっぱり最後に勝つのは大正義ヘッスラだな!

足の先端で勝負するならともかく、胸とか手の先端での勝負ならヘッスラが負ける道理はない!

スタートで加速するときに前傾が大事なように、最後も前傾して終わるのが大事!



ただ、この際のヘッスラはお世辞にも上手とは言えないものでした。素人のヘッスラと言ってもいいドタバタしたそれは、おそらく練習を積み重ねたものではないでしょう。大本番で「最後はヘッスラに頼るしかない!」と繰り出したイチかバチかの勝負でありながら、それでもヘッスラの優位性が十分にあると示された。つまり、ヘッスラの可能性はまだ始まったばかりだということです。

リレーにおいて日本がメダルをつかむにまで至ったのがバトンパスで削り出す0.1秒であるように、このヘッスラには他国とのアドバンテージを築く伸びしろがあります。練習していないヘッスラでも「長年練習を積み重ねた駆け抜け」に競り勝つのですから、本気で練習を重ねたヘッスラならどれほどの効果を生むものか。

単純に考えれば「直立して通過する胴体」と「水平に前傾して通過する胴体」では約60センチほど先端部の位置に差があります。これは100メートル10秒のペースで言えば、タイムにして0.06秒ほどの差となります。陸上のタイム換算で言えば切り上げて0.1秒の差を生むもの。10.00秒が9.99秒になる、劇的な差を生むものです。かつて競泳の鈴木大地さんは最後の勝負に競り勝つために爪を伸ばしていたといいますが、爪よりも胴体を伸ばすほうが陸上では大正義。バルキリーだってガウォーク形態よりファイター形態のほうが速いのです。

そしてついに、世界は修練を重ねた本気のヘッスラを実戦に投入する段階に入ってきました。アメリカの大学スポーツにおけるカンファレンスのひとつである、サウスイースタンカンファレンスでの陸上競技大会でそれは実戦投入されます。男子400メートルハードルの決勝、テキサスA&M大学のタッカー選手は同じ大学のチームメートと激しいデッドヒートに。並走しながらゴールへと向かう最後の5メートル、タッカーさんは跳びます。イチかバチかではなく、思い切って。大きく腕を伸ばしてスーパーマンのように跳び出したタッカーさんの身体は、ライバルの猛追を許さず誰よりも早くゴールラインを通過しました。完勝、圧勝、最後のヘッスラで一気に突き放したタッカーさんの大正義勝利です!

↓やっぱりヘッスラのほうが速いし、伸びしろがある!


ゴール手前での差よりもゴール時の差のほうが大きい!

ヘッスラ大正義!


↓勝利へ向かってタッカーさんが跳ぶ!
完全にヘッスラ派の顔!

勝利を確信したヘッスラです!




肉体改造やスタート練習も大切ですが、ヘッスラに関してはまだまったく練習していない部分でしょう。ここを練習すれば、今までゼロだった技術がイチにもサンにもなり、どんどんアドバンテージが積み上がっていきます。これまでも幾多の無練習ヘッスラが勝利をおさめているなかで、ヘッスラを取り入れない理由はありません。十分な練習を積み、一世一代の大勝負はヘッスラで決める。残り一年、ヘッスラ特訓に充てていきましょう!


ヘッスラまでのベストな踏み切り位置を見つけ、歩数を合わせるのだ!

いけるぞ東京五輪!期待の男子4×100メートルリレーを見守る、「絶対にバトンを落とさない」ジャグリングゴッドが日本に降臨の巻。

10:00
100分の1秒のお手玉!

これは神の奇跡なのか…。あまりに神々しいジャグリングゴッドの姿に僕は震えました。横浜で開催されている世界リレー2019、日本が注目する男子4×100メートルリレーでのジャグリングゴッド降臨は、来たる東京五輪へ向けても一層自信を深めてくれるものでした。「落として負ける」パターンは絶対にナイと…!

TBSが総力を挙げて全国に尻切れ中継でお届けした2019世界リレー横浜。もちろん注目はリオ大会で銀メダルを獲得した男子4×100メートルリレー。極端な話、男子4継だけやればそれでいい…最悪の場合、ほかの種目は尻切れになってもいいだろう…それぐらいの気合いでTBSはこの中継に臨みました。

↓なお、意気込みどおりに中継は尻切れとなったため2×2×400メートルリレーの銅メダルは中継には入りませんでした!

「2×2×400…?」
「シャトルハードル…?」
「正直、何のことやら…」
「それ東京五輪でやるの?」
「やらないよね」
「じゃ、よくない…?」
「全部中継できるわけないし…」
「よくない…?」
「世界にはたくさんのスポーツがあって」
「毎日何かをやっているけれど」
「全部中継できるわけないし…」
「よくない?」
「できればやりたいよ」
「そりゃもちろん」
「カメラも入れてるし」
「回線もつないでるし」
「ついでだし」
「でもハミ出しちゃったら」
「よくない?」
「リレー以外のニュースを待ってる人もいるし」
「よくない?」



日本チームは1走が多田修平、2走が山縣亮太、3走が小池祐貴、アンカーが桐生祥秀という布陣でまずは予選の走りに臨みます。リオ五輪では1走・山縣、2走が飯塚翔太、3走が桐生、4走がケンブリッジ飛鳥という布陣でしたが、ケンブリッジ飛鳥の欠場もあって桐生がアンカーに入る新布陣での走り。

8レーンを走る日本は1走・多田がバツグンの加速。さすがのロケットスタートで、一気に9レーンのカナダに迫ります。解説の朝原宣治さんもちょっと驚きを交えたテンションで「おぉ、いい、いい」と手応えタップリ。バトンもスムーズに渡って2走・山縣へとつなぎます。完璧なつなぎに多田はガッツポーズ!

お家芸のバトンパスで外側レーンのカナダをあっという間に突き放すと、内側レーンから迫ってくるアメリカ・中国というライバルをも突き放す勢いで山縣はバックストレートを駆け抜けます。3走につないだ時点で日本が先頭か。アメリカ・中国もほとんど差がなくつないでいきます。

ところが、3走からアンカーへのつなぎでトラブルが。3走小池からのパスをアンカー桐生が上手く受けられず、バトンを取りこぼしそうになります。つかみきれず空中に浮いたバトン。桐生は一度振り返り、解説の朝原さんは「ああああああ!」と大きな声を上げます。ダメだ、バトンを落とした、終わりだ…TBS中継スタッフの「明日、俺たちは何を放送すればいいんだ!!」という絶望が轟くスタジアム。

しかし、日本にはジャグリングゴッドがいた。

小池祐貴、神の右手を持つ男。

桐生がつかみ損ね、空中に浮いたバトンをジャグリングゴッドは右の手首で浮きあげると、それを右ひじから二の腕へと飛ばし、腕の振りの勢いをつかって再度桐生へとバウンドさせて見せたのです。握った野球ボールをヒジまで転がして浮き上がらせ、再度手でつかむというあの動きで。

弾むバトンと弾むような小池の笑顔。一度は「アーーー!」と慌てた声もあげますが、ゴッドの右手は華麗なジャグリングでこの危機を回避。桐生は飛んできたバトンを両手で大切に受け止め、ゴールへと走り出します。本来ならバトンを落として予選落ち不可避のトラブルでしたが、起死回生のジャグリングゴッド降臨で日本3位入線です!

↓しかし、ジャグリングゴッドの動きは「バトンは手で持ち運ぶ」というルールに違反する「投げ渡し」とされて、あえなく日本は失格に!


ゴッド:「ん?」
ゴッド:「お手玉はセーフでは?」
ゴッド:「一回は手に当ててるわけだし」
ゴッド:「バトンは落としてもいいわけじゃん?」
ゴッド:「落として拾うのと」
ゴッド:「お手玉するのでは」
ゴッド:「本質的に一緒では?」
ゴッド:「渡したってよりは」
ゴッド:「渡ったあとで落として」
ゴッド:「たまたま前走者に当たって跳ね返った」
ゴッド:「ということでは?」
ゴッド:「これはよくない?」
ゴッド:「よくない?」

ちなみに、ゴッドが降臨せずに落ちたバトンを桐生さんが拾って走るぶんにはOKです!

ゴッド、痛恨の降臨!!




まぁ、どのみちバトンを落とせば予選落ちでしょうし、あぁなった時点で挽回は難しかったかなと思います。翻ってみれば、2走から3走の時点でバトンパスがズレており、ジャグリングゴッド小池はバトンの真ん中を握るような格好になっていました(※本来ならもっと端を握る)。

日本が得意とするアンダーハンドパスは、走者の加速をスムーズに行なうのが狙いのパスで、次走者が前傾を保ったままバトンを下から押し上げて渡すような格好となるもの。前走との距離が詰まった状態で受け渡しとなるものなのですが、2走・山縣は大きく手を伸ばしているような状態でした。そこで少しだけ距離が「遠かった」ぶんを、3走からアンカーで少しだけ「詰める」ことになった。そこにズレがあった。

ほんのわずかなズレがアンカーのところでゴッドを呼び覚ますわけですが、このレースは1走から4走まで「普段とは違う」メンバー・並びでやっているわけで、その意味では仕方ない部分もあるでしょう。もちろんどの並びでもいいように練習はしているでしょうが、練習と本番はまた別物。他国は多少もたついてもオーバーハンドパスで確実につないでいますが、日本は「バトンパスを少しでも早くする」ために勝負のアンダーハンドパスをしているのですから、慣れない布陣での本番ならこんなこともあるというもの。

それでも諦めずにジャグリングの妙技でつないだ日本チーム。このレースは大本番へ向けての大きな自信となるはずです。「俺たちは絶対にバトンを落とさない」という。あの100分の1秒の刹那に、空中に浮いたバトンをジャグリングで再度つなぐことができるのですから、絶対に大丈夫。「落とすかも」という不安は完全に払拭できて、大きな収穫のあるレースでした!

↓ゴッドの妙技が克明に記録された瞬間!


すごいぞゴッド!俺たちのゴッド!

本番でもそのチカラで日本チームを救ってくれ!


↓ちなみに、たまたまタイミングが被りましたがサニブラウンが9秒台を出しました!
サニブラウンにもこれからジャグリングを練習させないとな!

日本チームの必修科目として!




ゴッドがスタンドから見守っていれば、バトンは絶対落ちない!

陸連による選考の私物化を絶対に許さない勇者・大迫傑さんによる、東京五輪選考揉め事テストイベント開催のお知らせの巻。

12:00
バカモーン!理由を言っちゃったら「推薦」の意味ないだろー!

東京五輪に向けて各位の思惑が交錯するなか、積極的に火をつけに行く勇者が現れました。その勇者とは、マラソンなどの日本記録保持者にして、リオ五輪1万メートル・5000メートル代表ほか中長距離で数々の実績を誇る大迫傑さん。大迫さんは来たる日本選手権への「推薦枠」での出場が却下されたことを契機に、ツイッター上で「陸連を私物化するのはやめた方がいい」などの猛批判を展開。陸連恒例の「選考揉め事」を一足早くスタートしたのです。

↓大迫さんは一連のツイッターで陸連を猛批判中です!










言いたいことを言えるって気持ちいい!

これがチカラある者の生き様です!




今回問題となっているのは、今年行なわれる日本選手権への出場の可否。選考基準は昨年12月の段階で明かされており、「前回大会の優勝者」「一定期間内に参加標準A記録を突破した者」「(長距離走に関しては)前回大会のクロスカントリー競技で好成績をおさめた者」「地域選手権で好成績を挙げ、参加標準B記録を突破した者」ということが明記されたうえで、さらに陸連強化委員会の推薦、開催陸上競技会の推薦、枠が余ったときは記録上位者から追加すると規定されています。それについては大迫さん自身もスクショを貼りつけており、承知済み。

大迫さんに関しては、近年マラソンに注力していたこともあって、前回大会の1万メートルには出場しておらず、また期間内に参加標準A記録も出していません。有無を言わさず出場する権利はありませんので、「推薦」という枠での出場を模索しましたが、それが却下されたという流れ。その際、大迫さんは却下されたこと以上に、提示された理由を怒りのポイントとしており、翻っては「なんやかんやと理由をつけて、結局は自分たちの子飼いの選手を送り込もうとしてるやんけ」という、おなじみの陸連体質を鋭く突いているという格好です。

大迫さんが陸連から言われた理由として挙げているのが「大迫くんが日本選手権でいい走りをするとそれに負けた選手のランキングが下がり、不平不満が出るから」というもの。ここだけ聞くと何を情けないことを言うておるかという話にもなりますが、そっちはそっちで必死です。何せ、来年には東京五輪が控えています。誰しもが東京五輪には出たい。それにあたって、この日本選手権というのは大事な試合です。

特に東京大会では、国際陸連が大方針として「世界ランキング」と「参加標準記録突破」の併用をすることを発表しており、そのなかでも「参加標準記録は、世界ランキングで資格を得られなかった優秀な選手のために設定する」として世界ランキングを重視することを明言しています。世界ランキングを上げていくことは東京五輪への選考の一部なのです。

世界ランキングを上げていくのに重要なのは大会の「格」。同じような順位、記録であっても大会の格によってランキングポイントは異なり、大きな大会で活躍するほうが獲得ポイントは当然大きくなります。たとえば現時点での男子1万メートルの世界ランキングを見ると、日本人トップは世界ランク32位の大六野秀畝さんですが、ポイントの内訳を見ると昨年の日本選手権で優勝したことによるポイントが大きく寄与しています。

オリンピックや世界選手権、ダイヤモンドリーグ、大陸選手権などを上位に位置づけるなかで、日本選手権は比較的高いBランクに位置づけられる大会。ここでの結果には記録によるポイントはもちろん、大会の格によるポイントも比較的多く与えられるのです。日本選手権での結果は世界ランキングに大きな影響を与え、ひいては東京五輪の出場可否にも影響してくるとなれば、「マラソンの人は来ないでくれよ〜」「調整がてらに荒らしに来るなよ〜」「すげぇ迷惑…」という気持ちになったとしても責められないかなと思います。もちろん参加標準記録を突破したうえで参加するのは何ら不平不満を持つ筋合いではないわけですが、「推薦」はやめてくれよと思ったとしても不思議はありません。それは人情です。

一方で大迫さんの主張もごもっとも。「何だその理由は」と思うのは当然でしょう。事前にそんなことは聞いていませんし、さらに後出しで「室伏級の選手の救済のための規程なんで…」とか言われても、後出しジャンケンという印象にしかなりません。むしろ、そういう後出しジャンケンがあるだろうと見越して、この機会に不正を正しておくべく立ち上がったんじゃないかとも思います。かねてよりの疑念(推薦は陸連の子飼い用ではないのか?)を、自らの行動(推薦を要求して却下される)によって露見させ、世間に知らしめていこうとしたのかなと。大迫さん自身は来るマラソン代表選考レース・MGCで勝てば、嫌われていようがいまいが五輪には出られますし、最近1億円もらったので当面の不安もありませんから、思い切って本音を言えるでしょう。

そして、陸連の気持ちもわかるのです。結果が出なければ困るのは陸連とて同じこと。子飼いを出すためにメダルを失ってもいい、などとは毛頭思っていません。ただ、一発勝負でフェアな選考をするには選手のチカラに不安がある。競泳のように誰を出してもメダル争い…少なくとも惨敗はないという状況であれば常に厳しい選考もできますが、そんなに豊富な駒は陸上にはないのです。そうなれば室伏級の救済は当然として、実績の乏しい若きホープを送り込むための「何にでも使える枠」はできるだけ残しておきたい。自分たちが作る規程で、自分たちの首を絞めたくはないのです。だから「ワシらが推薦する者」という枠をキープしている。記録や結果を出した人はもちろん優先的に選んだうえで、最後の「調整枠」を残してある。

その調整枠に、出場の意志があれば期間内に標準記録を出せただろう力量の選手が、ひと悶着覚悟の姿勢で入り込もうとし、「この曖昧な部分を明らかにせよ」と言ってきている。スンナリ認めれば、その種目だけに懸けようとする選手に不利益があるかもしれない状況であり、かと言って認めなければ「闇の陸連」と世間に思われるのは避けられない。どっちにいってもピンチです。

その意味で、今回の対応は初手を誤ったなと思います。

「室伏級の救済」などの意図があるならば最初からそれを規程に書いておけばいいですし、そうではなくもっと自由に使える調整枠にしたいのならば、一切の理由を明かすべきではありませんでした。グーグルやアップルがユーザーに対して「却下」だけを言ってくるときのように、企業が採用志望者にお断りメールを出してくるときのように、何ら理由を明かさず「推薦しない」と検討結果だけを言えばよかったのです。それを中途半端に説明など試みるものだから、曖昧なところを突かれ、曖昧であることに意味がある調整枠が存亡の危機となっています。残念でした!

まぁ、こうした揉め事は東京五輪に向け、ほかの競技も含めて出てくるもの。昨年続出したパワハラ問題や山根なども、東京五輪に向けて「今こそ戦わねばならない」という覚悟から出ている部分もあるでしょう。大迫さんの件も、直前でなく1年前に揉められたことを感謝すべきです。これを機会に、東京五輪へ向けてみんなが納得できる道をつくるチャンス、是正の余地はまだあるのですから。全員の希望はどうやってもかなわないわけですが、全員の納得を求めることはできるはず。「公明正大」であることが、その近道。思いっ切り揉めて、揉めようのない形におさまってもらえるといいと思います!

↓いっそ、大迫さんはマラソンと1万メートル両方目指してみたらどうですかね!



両方の出場権獲ったうえで「ワシの裁量」でひとつをお返しする私物化で意趣返し!

大迫さんなら、あると思います!




両方目指したいから出してくれ、なら答えも違うと思います!

2時間4分台の高速決着となった2019東京マラソンで、自称・花の応援団が(ほぼ)先頭集団を別場所で6回応援してきた件。

08:00
東京マラソンマラソン自己ベスト更新しました!

僕が子どもの頃、父親が語って聞かせてくれた「私が大好きな漫画」の話。コッチが読んでない漫画の面白さを伝えようと必死に、何度も、同じ話をしてきた父親。辟易しながらも記憶に刷り込まれたその話は、『嗚呼!!花の応援団』に出てくると思しき「応援団がマラソン大会の走者を励ますために、走って先回りして何度も応援する」というエピソードでした。それ以来、僕のなかには「走者を先回りして何度も応援する」というスタイルが伝説的応援として刻まれたのです。

毎年の東京マラソン応援の際も、「先回りして応援してみたい」という想いは拭えませんでした。そして、来たる東京五輪に備えるにあたっても、世界の走りが一瞬目の前を通り過ぎるだけではもったいない。どうせ大半はテレビで見るのだろうけれど、少しでも長い時間この目に焼きつけたい。そこで昨年からは「東京マラソンマラソン」というテーマを持って、「あれ?この人何回も目の前に現れるな?」という応援を実行しているのです。このスタイルの練習を兼ねて。

↓昨年の話はコチラで紹介していますのでヒマなときにアクセスしておいてください!


昨年、僕はとあるスポットで長時間応援していました。浅草方面14キロ地点付近、蔵前一丁目交差点です。この場所は都合三度、そこそこの間隔を置いて同じランナーが通過するホットスポットです。しかも、この辺の観衆は浅草寺に吸われているので、思いのほか人混みも少ない。非常にオススメの観戦場所であろうと思っています。

↓最初に浅草寺へ向かい、次は両国から門前仲町方面へ向かい、また戻ってきて日本橋に引き返すイイ場所です!
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銀座でも同じような体験ができますが、銀座は混むでしょ?

蔵前は空いてていいですよ!



しかし、思ったのです。これは花の応援団じゃないぞ、と。こういうのは花の応援団とは言わないぞ、と。同じ場所に同じヤツがいるのは当たり前じゃないですか。それって何の感慨もなく当たり前の話。選手だって「ハイハイ、さっきも聞きましたよ…」と思うかもしれないですよね。苦しいときなら「そんなに頑張れ頑張れ言われなくたって、頑張ってるんすよ!」みたいなお怒りだってないとは言えない。

そこで今年は同じ場所で応援するのではなく、違う場所に何回行けるのかということを意識して応援することにしました。似たようなことをやっている人はそこそこいると思いますが、僕はあくまでも五輪観戦を意識して先頭集団に合わせて動きます。2時間フラットくらいを目指していくハイペースにどこまでついていけるのか、楽しみです!

↓まずは午前9時、1キロ地点に構えます!
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スタート地点の都庁に行ったほうがよいとお考えの方もいるかもしれませんが、結局都庁付近には走者しか入れないので、実は行っても無駄だったりします。そして、選手を追いかけるつもりなわけですから、ターミナル駅になるべく近いほうがいいに決まっています。選手ってめちゃ早いですからね。コッチは駅舎に入ってからホームにつくまで3分くらいかかりますが、その間に選手は隣の駅につくんです。地上を歩いたら負け。そのぐらいの気持ちで行かないと。

↓レーススタートから2分過ぎ、先頭集団の通過を確認しました!
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ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!

ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!


↓日本人の有名選手集団も確認完了!
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大迫!佐藤悠!中村!

よし、見たぞ、次!次行くぞ!


次にどこに行くべきかというのが最初の迷い所。電車の乗車時間だけを考えれば、うまくいけば飯田橋(6キロ地点)、または神田(9キロ地点)、あるいは銀座(10キロ地点)あたりで待ち構えることも可能そうではあります。しかし、序盤が長い下り坂でハイペースになることから飯田橋では一刻の電車待ちも許されないですし、神田でも「乗車時間11分、駅の出入り5分ずつ」とカウントしても電車待ちと場所取りの猶予は約6分。ワントラブルでアウトです。

そこで乗り換えのしやすさやコスパなどを総合的に勘案して、最初の先回りは蔵前(14キロ地点)としました。1キロ地点から地下に階段を降りるだけでホームにたどりつける都営大江戸線・新宿西口駅から乗り換えナシで到達できるので、かなり余裕があるはずです。そして、その後の区間は両国〜門前仲町での折り返しまで大江戸線の直上を走る流れ。コスパがいい旅ができるはずです。

↓都営線の一日乗車券を購入して大江戸線を中心に先回りしていきます!
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余裕を持ってたどりついた14キロ地点。人もまばらで沿道にもとりつきやすいです。「あぁ、ココで待ってりゃほっといても3回来るのに…」と一瞬思いますが、それは去年もやったこと。成長も進化もありません。今年はあくまでも先回りでいきます。

↓14キロ地点にきました!
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↓よし、先頭集団だな!応援するぞ!
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↓最終的に優勝するレゲセ、中村、佐藤悠もつづきます!
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↓大迫は先頭集団の後ろか!コッチも急いでるんだから急いでくれないと困る!
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ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!

ハイ、次!次行くぞ次!


構想としては、ここから一気に門前仲町まで移動して中間点に取りつく予定でした。しかし、蔵前での出入りが案外スムーズだったことと、選手たちが浅草方面へ一度向かっているので若干の余裕があります。もしかしたら、門前仲町前にもう一回キャッチできるのではなかろうか?

ということで、急遽降り立ったのが18キロ地点の森下。ペース的には蔵前から約12分で選手たちが到着するはずですが、駅さえ出てしまえば目の前の道路がコースなのでロスは少ないはず。ただ、地下鉄ではワンセグのテレビが見られないので、ラジコで中継を聴きながらだったことが失着でした。インターネットラジオは実タイムよりもちょっと「遅れている」のです。その遅れが微妙にわからない。1分ズレでも350メートル先に選手が行ってしまうのですから、あまりギリで攻めてはいけなかったのですが…

↓予定を急きょ変更して森下駅で降りてみたところ…!
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↓ヤバイ!外に出た途端に選手が通過していく!
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↓日本人集団もすぐ後ろで追いかけてきた!
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ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!

急げ!次だ!次に行かないと間に合わんぞ!


一個挟んだのは完全に失敗でした。ここから門前仲町までの2駅は、どれだけ電車がスムーズでも選手のほうが速い。蔵前から門前仲町までのエリアで2つ挟むなら「蔵前(14キロ地点)⇒選手が浅草に行っている間に隣駅の両国(17キロ地点)へ徒歩で移動⇒大江戸線で門前仲町(21キロ地点)へ移動」がベストでした。いくら電車でも、2駅では選手を抜けません。森下のホームに降りたら、早くも「間もなく中間点」のコールが。コッチは階段下りただけだってのに!人間って結構速いなぁ!

↓仕方ないので中間点先回りは捨てて、両国(返しの24キロ地点)に移動!
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↓しかし、すでに先頭集団は行ったあと!これは2号車の第二集団か!ついに先頭から遅れてしまった!
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狙っていたわけではないけれど最終的に日本人トップになる203番・中央大学の堀尾謙介(全身白)がたまたまいた!

ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!


↓189番、黄色の設楽啓太の通過も確認!

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ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!

急げ、次!次だ、次だ、次だ!




「ホントにこんなことしてていいのだろうか…」「全然応援してる気がしない…」「ていうかワシもマラソンしてる感じ…」とすでに汗だく状態。階段の上り下りなどがあるぶん、コッチのほうが走っているコースはキツイかもしれません。傘とカメラとスマホから伸びてるイヤホンが絡まってすごい邪魔でイライラします。いっそコース走ったほうがラクそう…。

そして、次の先回りポイントはちょっと苦しそうな予感のある場所です。目指した先は大門駅、スポットで言えば増上寺(33キロ地点)です。ここは大江戸線のまま一日乗車券で行けるコスパ面の利点がひとつあります。そして「最後はフィニッシュの東京駅」と決めているので、そこから逆算して手前の場所を決めているという事情もあります。東京駅の駅舎から応援コースまでは少し距離があるので、5分で沿道からホームに入り・10分電車移動・5分で東京駅駅舎からコースまで行くとしても、最低7キロは離れておかないと間に合いません。しかも東京駅付近は人気の応援スポットなので場所取りは熾烈。そのぶんを勘案して、30分弱の時間を確保する位置取りとしてセレクトしたわけです。

しかし、ここまでの慌ただしい移動で僕の足もへたっています。地図上ではすぐ近くに見えた大門駅からコースまでの300メートルほどの移動もキツイ。地味に遠い。地上の移動は信号待ちなどのロスタイムも発生します。あーーーー、森下で降りたのと両国まで戻ったのが無駄だった!

↓増上寺の門を通過してコースへ向かいます!

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↓たぶん3位のチュンバの通過中なのですが(お客の視線の向きで判断)、沿道まで到達できず柱の陰に選手が隠れて見えない!
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↓確認できたのは4位集団から!佐藤悠基もまだここで頑張っている!
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↓しかし、中央大学の堀尾謙介が追ってきている!
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ガンバレー!ガンバレー!ガンバレー!

この直後に佐藤悠基が遅れ始めたので追いつきそう!


最終応援ポイント東京駅まで30分弱の時間がありますが余裕はまったくありません。ここから東京駅に向かうには増上寺から徒歩11分の浜松町駅に行って、そこから山手線か京浜東北線で東京駅まで6分かけて移動するルート。少しでも早く到達すればそれだけ場所探しができるので、徒歩11分の距離を走って移動します。目論見の「駅まで5分で行って」と全然計算が合わないし、何かすごいキツイ…。もっと遅い人を応援すればよかった…。友だちとか同僚とかもっと遅い人を…。

何とかたどりついた東京駅。丸の内の沿道に向かいます。人がたくさん並び、垣根のようです。何とか身体をねじこんで応援場所を確保したとき先頭集団は…まだ来ていない!よし抜いた!第二集団からフモフモ編集長選手がものすごいスピードでペースを上げてきました!この9キロは20分で移動してきています!これはトラックなら1万メートルの世界記録を大幅に更新するペースです!すごいぞフモフモ!ガンバレフモフモ!他人に迷惑をかけない程度に!

イェェェェェェス!!ものすごい達成感が訪れました。やった、勝った。僕は拳をつきあげてガッツポーズです。トップグループの選手の身内以外で、あの場でガッツポーズしてたのは僕だけでしょう。世界の選手を相手に走り切り、そして勝ったのです。一度は第二集団まで落ちながらも、最後のロングスパートで逆転するなんて、MGC出場権を僕にもくれていいくらい。2時間5分を切るハイペース決着のレースの間に僕は何と6回も先頭付近の選手を応援し、「スタートのときにいたヤツがちょこちょこ現れながらゴールでもやっぱりいた」を見事に達成することができたのです。自分(しか褒めてくれないと思うの)で自分を褒めたいと思います!「へー、すごいね」!

↓これは優勝したレゲセ!抜いたぞ!勝ったぞ!どうだ!
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いってらっしゃいレゲセかーらーのー、おかえりなさいレゲセ!

何回か会った沿道の輩は僕です!


↓日本人トップの堀尾も到着!
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よっ、何回か会ったな!

序盤は会ってないかもしれないけれど!


こうしてトライして思うのは「都内の交通機関はいっぱいあるなぁ」ということです。ルート選定もなかなかベストが見い出せませんでしたし、バスという選択肢はあまりに複雑なので最初から調べもしませんでした。もしかしたらピンポイントで都合のいいバスをつかまえたら、マリオカートのタイムアタック並みに「ここがショートカットできるのかぁ!」的発見もあるかもしれません。この応援スタイルにはまだまだ奥があるなと思います。

次回は「新宿⇒総武線で浅草橋」という初手も試してみたいですし、「両国⇒都営浅草線で高輪方面へ」というルートも有力な手となりそう。今回はケチって封印しましたが、タクシーという禁断の最終手段だってあるかもしれません。欲をかいて先頭集団から遅れてしまうなど反省点も多かったので、来年はとりあえず「6回応援、全部先頭に取りつく」というのを目標としたいと思います。いつかコレを極めて行けば、花の応援団になれるのだと信じて!

↓今回の応援はこんな感じでした!移動に使ったお金は「都営線一日乗車券=700円」と「浜松町⇒東京の154円」で合計854円です!
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地図で見ると、やはり1回目と2回目の間にもう一個挟むか、2回目をもう少し手前に置けるとよかったかも!

反省しつつ来年に備えます!




本番前に応援団も少し走り込んでおかないと、体力的にもキツイです!

「正月にダラダラしながら見る駅伝は最高!」という確信を胸に、この盛り上がりを受け止める舞台のなさを物足りなく思う件。

15:30
原監督、一緒に変えていきましょう!

2018年の始まり。僕は家でダラダラとひたすら箱根駅伝を見ていました。往路の接戦と、復路での青山学院大学の圧勝劇。山の神と呼ばれるような絶対的な個は登場しなかったものの、青学7区林選手が設楽悠太さんの区間記録を更新してしまった驚きと、青学8区のイキリオタクこと下田選手が他大学に完全にトドメを刺した力走(3年連続3度目)は、平地での決着ということもあって、将来のマラソン種目への期待感も高まるものでした。

珍走車の乱入や残り数秒での襷リレー失敗、日テレ中継陣の正月ボケによる校名実況間違い事件や「襷」と「欅」の書き間違い事件(欅坂46のせい)、「陸王」から視聴者を奪ってきたメーカー間靴底戦争など、例年以上に見どころも充実していました。改めて日本のスーパーボウルは箱根駅伝だなという思いを強くする正月となりました。

↓実況に「卒業後は小田急電鉄に就職し、箱根を目指す人生です」と上手いこと言われた選手も!
ツイートをさかのぼっていくと「鉄道模型のレイアウトができないから入寮しない」などの逸話も!

むしろ人生全体で鉄道に乗っており、その合間に趣味で線路沿いを走ってるだけ、という印象も!

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しかし、勿体ないのは箱根駅伝の盛り上がりがその後の陸上界に積み上がっていかないこと。これだけ盛り上がったコンテンツのまっとうな受け皿が正しく用意されていないというのは本当に残念なことだと思います。高校野球の先にプロ野球がなく、社会人野球だけ行なわれているような感覚。「山の神」がその後の競技人生で山を走らずに終わるのは、人気漫画の続編に主人公がいないようなものだと僕は思うのです。


箱根駅伝の人気を生む特異性

まず、何度目かの繰り返しになりますが、箱根駅伝がここまでの人気を持つに至った理由を考えていきます。箱根だけが特別であるのは出雲・全日本というほぼ同じメンバーで争う大学駅伝の注目度と比較すれば議論の余地はないでしょう。「チカラ」以外の部分に箱根の人気はあります。

●正月という特別にヒマな日取り
まず正月はみんながヒマです。出かけるという選択肢はもちろんありますが、家にいる場合やることがない。歌や演芸も年が明ければ飽きてきます。そこに録画ではないリアルタイムのコンテンツがあれば、ダラけた空気に一筋の清涼感も差し込むでしょう。アメフトのライスボウルやラグビーの大学選手権など、正月だけつい見てしまうというものもあります。正月は圧倒的なチャンスなのです。

●親族が集合する文化への親和性
最近はすたれつつあるのかもしれませんが、正月には親族が集合し、ダラダラと宴会をするもの。メインは一家団らんであり宴会なのです。その際、集中して見守るコンテンツは消費しづらく、全員が共有できるものも少ない。紅白歌合戦は「細切れ」に「多様な世代の」コンテンツを入れることで対応していますが、箱根駅伝は「大人でも子どもでもない大学生」による「しばらく見てなくても状況に大きな変化はない」「走るだけの」コンテンツとすることでさまざまな層による宴会にマッチさせています。エロ・グロがないことも、そうした場に垂れ流すコンテンツの安心感としては重要です。

●人生を重ねたい時期
「正月だから」という話のつづきではありますが、とりわけ正月には長距離走が似合っていることも重要です。一年の計は元旦にあり、などと言いますがどんなボンクラもこの時期は人生について想いをめぐらすもの。長距離走と人生をクロスさせる日本の文化は、正月の駅伝というものをとりわけ大層なものとして受け止める傾向があるでしょう。頑張ること、やりつづけること、諦めないこと、仲間との絆、そういったコンテンツを見守りながら自分自身も新年への想いをめぐらすのです。クリスマスに恋愛映画を見るのと同じ仕組みで、正月に長距離走を見守りたくなるのは、自然なこと。戦略戦術よりも、頑張りが問われるようなものこそがこの時期には合っているのです。「人生」を感じられるものが。

正月に宴席に集った親戚一同が、ダラダラと酒を飲みながら駅伝を垂れ流し、自分の若き日の思い出や新年への決意を重ねながら、親戚の子どもにお前は最近どうなんだと話しかけたりする……箱根駅伝とは正月の過ごし方とセットの存在になっており、それはまさに風物詩と呼べるものなのだろうと思うのです。




箱根の盛り上がりを十分に引き継げていないニューイヤー駅伝

そのような観点から言うと、箱根の盛り上がりを100%引き継ぐのが難しいことは確かです。「まだ何者でもない」若い学生が頑張っているからこそ、ジジババは安心してウエメセで人生に思いをめぐらすことができますし、子どもたちも身近な世界の出来事として受け止められます。これが社会人とか30代のベテランともなると、子どもたちにとってはだんだん遠い世界の出来事になりますし、ジジババにとっては「ワシより頑張っとる…」「ワシの人生のピーク、めっちゃ低い…」「こんなに頑張れない…」と切なくなってしまうでしょう。ヘタに説教でもしようものなら、「お前、コイツより年食ってるのに一度も世界で戦ってないやんけ」などと突っ込まれかねない。

ただ、もう少し改善の余地はあるはずです。箱根以降の世界観において「五輪」「世界陸上」「マラソン」しか目標が設定できていないのは、受け皿側の問題です。その設定だとまともにコンテンツとして成立するのは「3選手〜5選手」ぶんしかありません。せっかく箱根で大量の種をまいたというのに、次の受け皿がそんなに小さいのでは取りこぼしが多すぎる。「山の神がその後パッとしない」などというのも、受け皿が狭くて小さいからです。山登りが早いということで盛り上がったものを、山登りさせずにパッとしないなどと言うのは、使い方を間違っているからでしょう。山の神を三人集めて山を登らせるという一番単純な受け皿さえ用意できていない。まずは元日のニューイヤー駅伝、箱根に一番設定が近く、視聴率などからうかがえる注目度が高いこの舞台を、箱根の受け皿として整えていくことに期待したいもの。そこそこ同じ選手が走っているのに、コンテンツとしての連続性がないのは、日本陸上界にとってバカバカしいことのはずです。ほぼほぼ「続編」なのですから。

↓箱根からニューイヤーへの連続性、そして社会人ならではのスケールアップ感をもっとアピールしていきたい!
●大胆な距離延長
そもそも学生が二日間で217キロあまりを走るのに、社会人が一日かぎりで100キロ勝負というのはスケールダウン感が否めない。箱根の往路より短い距離で、どうやって人生を感じさせていくというのか。日程延長は容易ではないことを鑑みて、キリのいいところで150キロを求めたい。また、号砲が9時15分というのもいただけない。始業時間に合わせた嫌味かもしれないが、社会の厳しさを思い知らせるためにも箱根より早い7時スタートを求める。2時間延ばせばあと50キロ積めるだろう。「朝起きたらもう走ってた」こそが、日本社会に生きるブラック労働者のあるべき姿。早起きな子どもたちも「うわぁ…」と驚くだろう。

●楽しそうな名前をやめる
ニューイヤーって前後に「ハッピー」しかつかない感じがする。違う、違う。駅伝とか長距離走は「他人が苦しんでいる姿」に萌える競技であり、だからこそたまに楽しそうに走るQちゃんとかがいるとパッと華やぐのだ。箱根駅伝って、何か辛そうじゃないです?山っぽいし、天下の剣だし、距離感がつかめて苦しそうじゃないです?三蔵法師だってめちゃめちゃ遠い天竺まで行くからご立派なのであって、ハッピーニューイヤーなら何の修行にもならない。

名称については現行開催地の群馬という特性をもっと押し出していくべき。「群馬駅伝」だと地方大会のように見えるなら、もっとハッキリ「元旦から何故俺たちは群馬くんだりに行かねばならんのだ駅伝」とか「え!?電車でも行きたくないのに走って行かされるんですか!?それは会社としての命令ですか!?群馬駅伝」とか「あーホノルルとか走りてぇなあと思いながら目覚めたら群馬駅伝」とかいかにもツラそうな感じにしていくと、「こりゃあ箱根よりキツイ」「箱根は温泉とかあって楽しそうだし」「さすが社会人」という感じも出るでしょう。

●より極端で個性際立つコース設定
箱根には山登りだの山下りだの、海風を受けるだの、大手町市街地コースだのと区間ごとに特色があるのに、群馬県内を一周するコース(周回コースだというのも知られていないと思うが)では、映る景色にも代わり映えがしなくて面白味にかける。本来なら箱根路に沿っていたほうが沿道の盛り上がりにも連続性があるというなかで、それでもあえて群馬を走るというなら、箱根以上に環境映像としてのバラエティ豊かさを求めたいもの。

そして、同時に社会人としての頂点である「五輪」「世界陸上」につながるコース設定と、箱根を受け継ぐコース設定も盛り込んでいきたい。具体的には「1万メートルピッタリの平坦な区間(目指せ世界標準タイム)」「42,195キロピッタリの区間(目指せマラソン)」「極端な山登り、山下り(山の神直接対決)」はスケールアップ感として最低限必要だろう。駅伝ばかりやっているからマラソンが弱くなる論者も、42キロ区間があれば納得のはず。視聴者的にもマラソン区間で選手が吐いてギブする姿を見ながら「成果が出せないのは努力が足りないからだ!」などと社畜罵倒をするのは気持ちいい。

●タスキじゃないものをつなぐ
昨今の物流環境のブラック労働化は、社会の厳しさを知らしめる象徴的な事例のひとつでしょう。駅伝=タスキという固定観念もそろそろ変えていきたいもの。そもそも学生がタスキをつないで絆うんたらかんたら言っているのに、社会人が同じような甘ったれた気持ちでいいはずがありません。別に今年タスキが途切れたところで、それが人生に後悔となって刻まれるわけでもないですし、友情のヒビになるわけでもないでしょう。次の年に同じメンバーでやり直せるものに後悔などないのです。

だから、ニューイヤー駅伝では繰り上げスタートがあっても萌えないのです。日テレの実況が「あと5秒!わずかなところでタスキがつなげませんでした…!(喜)」と盛り上がる名場面が、社会人は作り出せていない。社会人がつなぐべきもの、それは企業の看板にほかなりません。ビブス的あるいはゼッケン的なるものをリレーし、その品物にだけでっかく企業ロゴが入っている。それぐらいのリスクを負ってこそ、つなぐことへの熱い想いというもの生まるというもの。

「間もなく繰り上げスタート」
「セキノ興産は間に合わない!」
「無念の繰り上げスタートです!」
「ゴールまで企業ロゴをつなげなかった!」
「これは年明けの社長挨拶で」
「ロゴも出せない陸上部を」
「なぜワシはやっておるのだと」
「社長からの嫌味も出るでしょう!」
「『陸王』のビブスをつけている選手」
「こちらが先ほど繰り上げとなりました」
「セキノ興産の選手です」
「彼が胸に大きく掲示する」
「『陸王』DVDBOXは近日発売」
「近日発売であります!」

視聴者は「つなげなくて心底ガッカリしている姿」が見たいのです。「つなげなかったな」と思っているだけの顔など、面白くも何ともない。「石を運べ」とか言われなかっただけでもありがたいと思う、そんな気持ちで受け止めてほしいもの。本心では「企業ロゴが入った石碑」とかを背負わせて走らせたい、そのぐらいの気持ちです。

TBSの実況も恥や外聞を捨てて、ひたすら箱根の話をするぐらいでもいいでしょう。実績ある選手なら社会人としての活動(世界陸上に出たとか、マラソン日本代表とか)に触れてもいいですが、大半の選手はさしたる実績もないわけですから。それよりも箱根に出た・出ないと、何区を走って何位で、誰に勝った・負けたを伝えるべき。

2018年で言えば、コニカミノルタから神野大地さんが登場した7区などは、大変に盛り上がる争いでした。1万メートル日本歴代2位の鎧坂哲哉さんや、佐藤悠基さん・前田和浩さんら実績ある選手の走り以上に、「箱根で名をはせた神野」を中心に見る順位争いが熱かった。「名」を奪い合うような戦いになってこそ、箱根で得た価値というものが「本人が名を高めていく」か「誰かがそれを奪い取るか」という形で活きていくはずです。


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「箱根から世界へ」では途中の絞り込みがキツすぎやしないでしょうか。冷静に考えれば、世界の中長距離界では日本とアフリカ勢のチカラはどんどん開いています。マラソンで言えば、世界のトップは2時間を切ろうかというところまでタイムを上げているのに、日本では日本記録の更新すら16年止まったまま。

大谷翔平だって一回プロ野球で弾みをつけてからメジャーリーグに行くのです。弾みをつける舞台を整備してこそ、ホップステップジャンプもあるというもの。そこそこのステップを作り、ステップで止まってしまってもスターになれるような仕組みづくり。それが日本陸上界にできることだろうと思います。

スターが勝ったり負けたりするからこそ、世界の舞台へののめり込みもある。知らんヤツが負けただけでは、「ふーん」と思って終わりです。「箱根でご存じの彼が、こんなにスケールアップしたんですよ」を見せる機会は、同じ正月のニューイヤー駅伝でしょう。マラソン代表選考の仕組みより、駅伝をいろいろといじくるほうが建設的な話である、僕はそう思うのです。

世界で日本ただ一国だけが駅伝に夢中でも別にいいじゃないですか。

世界に取り込まれなくても生きていける道があるなら、そのほうがずっと幸せなのです。


「心身ともに限界までツラい」それが長距離走の醍醐味!
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