2007年02月16日

死んでもいい

いい映画には“引力”がある。

この頃の石井作品にはそれがあった。


「アルゴ・プロジェクト」という表記があって
すぐ映画が・・・始まる

午後の電車の中、
乗客もまばらな座席にカラダを長々と伸ばし惰眠を貪る若い男。

この映画からなのだろうか
出演者の表記文字が若干斜めの特徴ある字体。


  大竹しのぶ

  永瀬正敏


電車から降りた男
アンパンを咥え、缶コーヒーを飲み干し、
それが屑籠に入るか否かで行き先を決める男
空き缶は目標物をわずかに逸れた・・・

駅の外は雨
建物の中から意を決した男をカメラがとらえる

左に・・・赤い傘を持った女

突然、本降りになる雨。
驚いた男の振り上げたカバンと赤い傘を広げて前へ進み出た女が
ぶつかる。

よろける女、思わず女のほうを見る男。

絶妙なスロー・モーション撮影。

画面中央に赤くにじんだ



    死 ん で も い い



実にカッコいいタイトルの出し方!!
とても久しぶりの鑑賞、このオープニングでまた惚れぼれする。
























「死んでもいい」 1992年

監督・脚本:石井隆
製作:伊地智啓
原作:西村望
撮影:佐々木原保志
美術:細石照美
編集:菅野善雄
音楽:安川午朗
助監督:横山浩幸

出演
大竹しのぶ
永瀬正敏
室田日出男
田中忍
賀田裕子
小形雄二


東大阪で起きた、タイル職人の夫をその妻と若い愛人が撲殺した事件を
元に作家・西村望が書き上げた短編「火の蛾」を石井隆が映画化。
















のちに続く「ヌードの夜」('93年)「夜がまた来る」('94年)、
宿命の2人、名美と村木、3部作の記念すべき第1作目。









な〜〜んもお話自体はそこら辺に転がっている陳腐な三角関係のもつれ。
もつれた糸を解こうとして単純思考の明日なき無謀な若人はジャマな糸を
断ち切ってしまう。
その若者に・・・そう、電車の座席で寝ていた男。


















永瀬正敏。

映画館の大きなスクリーンで観た時、「この人のお尻、キレイな形〜!」
って思ったわね〜〜。(笑)
あ、そうそう、だいぶ前に観た「緋文字(スカーレット・レター)」で
D・ムーアと共演したG・オールドマンのお尻の形も良かったわ〜〜〜。

殿方って概してアソコの出来具合と用い方しか関心がございませんよう
ですが女性は意外と男性の後姿なんぞも“見て”いますのよ〜。(笑)

何の話?

あ、永瀬クンね。
彼特有のあの軽い飄々とした無機質な倦怠感がうまく役にマッチして
とても良かったと思いました。
笑うとすごくキュートですけど彼には独特の暗さがありますね。

そして
本作を観た知人(女性)の感想。
「だいたいが、名美がハッキリしないからあんな事になるんでしょうが。
つかみどころのないヒロインよね!」

その名美を演じた大竹しのぶ。




















あ、背後霊のように見える男の方は無視して下さい。(笑)

私にとって、今、竹中直人の妻をやっていらっしゃる木之内みどりと
この大竹しのぶは日本の女優の中でも「いけ好かない」両横綱ざます。(笑)

DVDでの特典インタビューでも相変わらず“イッライッラさせる”あの喋り方で
語尾を濁すというか、話の各センテンスにキチンを結論をつけないというか、
上目使いを駆使してるのか、言葉を選んでいるのか、しっかりしているのか、
していないのか、賢いのか、ずるいのか、ピュアなのか、アホなのか、

ええええーーーーーい!!

はっきりしたら、どうやねん!!チミィー!!

って、どなりたくなるぅうううう、うう・・・大竹しのぶ!!


みなさん、知ってました?


彼女の珍妙な逸話。共演男優とのキスで唇腫れ事件?
ううん、そうじゃなく。
私の聞いたのは、「徹子の部屋」だったかしら。
彼女、最初の結婚時、洗濯機に洗濯物を入れたら洗い上がるまで
ずっとソレを見てるって。
一つのことが完了しないと次の作業に移れないから家事にすごく時間が
かかるって・・・。

それって、私から言わせると

・・・・・・・アホだね。(笑)


とっころが、ところがじゃ、世の男性諸君はこれらを

“かわいい”、と称する。

男の庇護本能をくすぐるんじゃと。


ええい!勝手にしくされば〜!

って言いたいけれど

それも、私からすると

・・・・・・・・アホだね。(笑)

こういう女こそ、“おっとろしーーーーい”のを知らないのね〜。



でも、実は
大竹しのぶは本作あたりから印象が少しづつ変わってきましたかしらね。
今回観直しても彼女、さすが、上手いわ!
最大限に発揮された集中力とその女優魂が画面から飛んでくるもの。

「黒い家」あたりからちょっとエキセントリックな芝居が鼻につくのが
気になりますがね。(舞台では映えるかも知れませんが)
ーーーーリキまなくてもいい演技力持っているんだから・・・・


そして名美の夫に扮した室田日出男。















この写真はけっこう晩年の室田日出男ね。
晩年ったって64歳で亡くなってしまったんですからね〜。

この男優さんの作品で思い出深いのは


























粗野で乱暴ですが、想い焦がれる女性には、心底、惚れ抜く一途な男の
心情をあの風貌と存在感で朗々と演じ切った。
























映画・ドラマ、出演作その数700本余り!
酒とタバコとオンナが大好きで、入院中も医師の言うことなど、
ハナから受け付けず、大酒を延々と泥飲、手からはタバコを離さず
肺がんで4年前に逝っちまった「ピラニア軍団」の大親分、室田日出男。

豪放で無頼で偏屈で、そして男の情けなさ・悲しさを
その大きな風体に滲ませ演じることに命を削った男優、室田日出男!

好きでした〜〜室田日出男。
・・・・(成田三樹夫もよかったわ〜〜〜)
・・・・(岸田森も〜うんうん〜〜〜)
ご存命ですけど〜、石橋の蓮ちゃんも好きーーーーーっ。
あのスケコマシ〜火野正平(こんな字だったっけ?)は今どこに?・・・

こう見てみると私の好きな俳優さん、みんなクセモノばっかね!(笑)


石井隆監督は絶対あの故神代辰巳監督の影響を受けていると私、思うの。
綿密な打ち合わせと妥協しない大胆な演出(極端な長回し)から生まれる
官能的で激しくリアルな映像表現。

物憂げな、ちあきなおみの歌う「黄昏のビギン」にのせて奏でられる
妖しく官能的な夜と雨に浮かび上がる、女と男の情念の美学。

さて、今宵は、石井隆の“引力”に酔ってみませんか・・・









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1. 死んでもいい  [ ☆☆☆ 二番館劇場 ☆☆☆ ]   2009年01月28日 09:29
  「ありふれた三面記事の映画化」というご意見を目にしました。その通りで、これは西村望の原作を映画化したもので、その西村望は実話を叮..

この記事へのコメント

1. Posted by ぷりぷり   2007年02月16日 20:26
火野正平はこの前、NHKの朝ドラに國村隼(素敵!!)のお兄さん役で出てました。
頭がつるつるで蛸入道みたいでしたが、女にだらしない男という今までと変わらないキャラでしたよ。
ちなみに私、大竹しのぶの映画もドラマも見たこと無いです。
というか見たくないです。
スミマセン
2. Posted by viva jiji   2007年02月16日 22:00

ぷりぷりさん。

火野正平氏の「アノ人は今」情報ありがとうございました!(笑)
彼、私がだいぶ前、見た時も太っちゃって顔面が顔肉に埋もれてる・・
そんな感じでしたが。(笑)

>というか見たくないです。

と、いう方が多いですね。

とても、よく、わかります。(笑)
3. Posted by オカピー(プロフェッサー)   2007年02月17日 15:31
実年齢以上にクラシックな私は、ジュールス・ダッシン監督、メルナ・メルクーリ(ダッシン夫人)とアンソニー・パーキンズの同名映画かと思いましたよ。しかし、今となっては大珍品、あの映画。
ダッシンは戦後アメリカが産んだ10大監督に入れて良いと思うけど、今ダッシンを語る人を殆どいませんね。
「裸の町」「街の野獣」「宿命」「掟」「日曜はダメよ」と傑作ばかりです。
「死んでもいい」が観られたら死んでもいい、というのは嘘です(笑)。

大竹しのぶ・・・若い時はあの舌足らずでどこが上手いのかと思いましたが、「黒い家」もオーヴァーアクトで丁度いいのではないかと思ったりします。

オーヴァーアクトと言えば、ジャック・ニコルスンの方がついていけませんです。「カッコーの巣の上で」「シャイニング」以降何をやっても狂人にしか見えません。彼だけのせいではないのですが。
4. Posted by viva jiji   2007年02月17日 16:50

プロフェッサーさま。

はーーーい。
プロフェッサーなら、そう思われると感じてましたわ。(笑)

「日曜は〜」はCSで時々かかりますが「死んでもいい」は
まず観れませんね。
レンタルにも今のところありませんし。
メルクーリよりもパーキンスの芝居を観たいのです。
「さよならをもう〜」と「死んでもいい」「サイコ」の頃の彼は
切なくて良かったもの〜。
プロフェッサーならご存知でしょうね、K・ターナー主演の
ボンテージもの「クライム・オブ・パッション」。
あれでのパーキンスはもう変質者怪優になってかわいそうで・・・。
1曲だけでしたが彼の歌もなかなか良かったでしょ?「月影の〜」
「パームスプリングスの〜」のドナヒューよりは、断然、うまい!(笑)
5. Posted by viva jiji   2007年02月17日 17:00

プロフェッサーさま。

大竹しのぶ。
実は今回本作を取り上げたのも私の中で大竹しのぶ像が変化しつつ
あるからなのです。
やはり彼女は、“うまい”。
この際、好き嫌いは別。
彼女、つかこうへいに洗脳された時期があったでしょ。
あれって、良し悪しだと私、思うの。
彼女の抜群の集中力がオーバーアクト先行になった演技に移行した気が
するのです。
「黒い家」はあれはあれで良かったですよ。

J・ニコルソンの件。
ブロガーお仲間にニコルソン・ファンがいらっしゃるので大きな声では
言えないのですが(言ってますが)
アメリカ映画をダメにしたのは
デ・ニーロとホフマンとニコルソンの3人だっていう説があります。
私、全面的支持はしませんが
“わかる”んです、論者の気持ち。(笑)
6. Posted by 優一郎   2007年02月20日 09:43
大竹しのぶを見て「かわいい」なんて一度も思ったことないっすよ!
むしろ「怖っ!」 という印象ばかりです。
この彼女の怖さというのは、人間として必要な何かが欠損している不気味さなんだと思うんです^^;
何かが憑依したかのように「大竹しのぶ」という主体を無くして、どこかにぶっ飛んだような視線で演技をしている彼女は、演技が上手いとかなんとか言う領域を超えて、凄まじく不気味です^^;
「ちょっと変わった子で面白そう」 などと軽い気持ちで、ちょっかいを出すと、一生後悔するハメに。男が最も手を出してはいけない女の、ひとつの典型が大竹さん(笑)
7. Posted by 優一郎   2007年02月20日 09:43
「黒い家」は監督に求められての新劇芝居でしょうが、確かに近頃の彼女はエキセントリックな芝居を要求されているのか、それとも持ち前の芸風なのか分からないところがあります。
「GO」の関西のオカン、「恋の門」でのメーテルのコスプレ。どれも、私には笑いのツボでしたが(笑)

室田日出男、成田三樹夫、岸田森・・・すんばらしいご趣味!
「爽やかという言葉からはほど遠いクセ者役者の御三家」ではないですか!(笑)

ちなみに、デ・ニーロとホフマンとニコルソンの3人が戦犯・・・という話、確かに功罪が合い半ばしているかもしれません。
特にデ・ニーロとホフマンの最近の節操がない仕事ぶりは、かつての名優だった彼らを知っているだけに、痛々しい気さえします。
もっとも、ハリウッドをダメにしたのは、ルーカスとスピルバーグだ・・・と、私はここでも正論を主張するのでした(笑)
8. Posted by 優一郎   2007年02月20日 09:49
あ、これじゃあ大竹しのぶを貶しているような書き込みに見えますかね^^;

私は彼女は天才だって思います。
舞台中継なんぞご覧になられたことあります?
特に彼女のひとり芝居なんぞ見ると、あまりの凄まじさに、悪い夢でも見ているのではないか、と思わされるほどです。

繰り返して言いますが、彼女は天才ですよ!
9. Posted by viva jiji   2007年02月20日 17:25
優一郎さん。

きょうのシネコンの予告でマイケル・ベイとスピルバーグが雁首並べて
「トランス・フォーマー」の宣伝を日本語でロボットみたいに
しゃべっているのを観て私、いささか具合悪くなりました〜。(笑)
またM・ベイのドンガラッカのテンコ盛りで日本でガッポリ、君たちは
稼ごう!という魂胆なのね〜って。

3人の戦犯?(笑)。

オーバーアクトというかお顔自体が揃いも揃って老醜というか
老臭(笑)というか、みなさん“強面”になっちゃったーー。
3人共、渇舌悪いし、デ・ニーロなんてナニ言ってんだかわかんないし、
ホフマンは、ホフホフ・・・して〜(笑)

ひとり芝居。
大竹しのぶのはぜひ観てみたいですね!
渡辺美佐子と風間杜夫のは知っています。

舞台中継。
この間、加藤健一の芝居、観ました。
彼はビッグになりましたね〜〜。
私が知ってる彼はまだペーペーだったのに。(笑)
10. Posted by 優一郎   2007年02月21日 07:13
スピルバーグとルーカスは才人。でも、ショウビズの才能もあって、その金儲けのやり方ばかり真似されてしまったわけですよね。ルーカスたちが自分の優れた商品を売ている分には良いのですが、若手の粗悪品で金儲けするので、ハリウッドはダメダメに^^;

マイケル・ベイは小物すぎて彼らに並べるなど、とんでもない!(笑)
というか、マイケル・ベイの悪口を言わせたら、私の方がviva jiji様よりずっと辛辣だろうと思うのですが、言わずもがなで省略(笑)

渡辺美佐子、風間杜夫、加藤健一・・・どなたも名優、舞台役者! という感じですね。大竹さんもその系譜でしょう。
加藤健一などはその昔、森昌子に対して 「釣った魚にエサをやる男がどこの世界にいるんだ」なんて言ってらしたのに、本当にビッグになったものです(笑)
11. Posted by viva jiji   2007年02月21日 08:34
優一郎さん。

>私の方がviva jiji様よりずっと辛辣だろうと思うのですが・・・

それは、もう、よ〜〜く、存じておりますわ〜〜〜ん!(笑)

何せ、お言葉が生業のお方でいらっしゃいますものーーー・・・

>言わずもがなで省略

ほら、「能ある鷹は爪隠す」で、ごじゃりますですよね。

そこへ行くってぇーーと、長くもない爪なんぞ、キャリン、キャリン、
言わせましてですな、私めなど、ただ“押し出し”の強すぎる
人間トコロテンの機械みたいなもんどすえーーー!
グワッハーーとな!(笑)

まだまだ辛辣さの修行にかけては未熟者ゆえ、これからもご指導、
ご鞭撻のほど、よろしゅうおたの、申し上げまするぅーーー!!
12. Posted by junec1   2009年01月28日 10:02
TB返しさせていただきました。

この頃の石井隆は、裸を売りにしていない。だから、大竹しのぶで何の不都合もなかった。
お互いの方向性がだいぶ違ってきたというか、、、、、

体型も変わり果てた。
13. Posted by vivajiji   2009年01月28日 12:10

junec1さん。

ブログ再開おめでとうございます。

>TB返しさせていただきました。

まあ〜よく覚えていらして〜。
junec1さんと言えばシネマ蟻地獄の
優一郎さんが懐かしく浮上します。

石井隆監督、裸に移行する前の
一過性のパッション、見せて
くれたのかしら。

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