春の祈り 銀色夏生
目をつぶるとかなしいきもちがやってくる
だから目をあけて
次つぎといろんなことをして
気もちをやってこさせないようにした
そんなことがいくつもあって
もうだいぶんつかれていた
冬はさむくこごえていたから
つめたい風をさけるために
いつもうつむいて歩いていた
ぼんやりとしていたら
いつのまにか 風がつめたくなくなっていて
よい香りもしていた
うす緑の新芽があざやかだった
やわらかく 空気がほどけていくようで
ひさしぶりに目をつぶってみた
どんなにかたくつぶっても
いつものあのかなしい気もちが
いつまでもやってこなかったので
あまりにもやってこなかったので
不思議に思って目をあけた
いつどこがどんなふうにかは わからないけど
すべては変わっていくだろう
希望は明日へすいよせられる
変化という包容力
さっぱりとしたいさぎよさの
毎日がはじまる
先日、久しぶりにこの詩を音楽をかけながら読んでみた。
暖かい陽射しがいっぱい降りそそぐセラピールーム。
まだ、これから寒くなってくる頃なのに
春がヒタヒタ満ちてくるようだった。
言葉と声、そして音楽。
それだけあれば、こんなにも豊かな時間を過ごすことができる。
人に生まれてよかった…と思ってしまった。
静かな午後のひとときでした。