メーテル・リンク「青い鳥」を読んで
声の配信stand.fmのゴールディさん(https://stand.fm/channels5f6020aef04555115dd7c28c)のお話を聞いてすぐにこの本を購入した。
この作品が戯曲とは初めて知った。確かに舞台装置から、それぞれの役の服装まで細かに描かれている。
貧しい家に生まれた男の子のチルチルと妹ミチルは、クリスマスの夜、妖女の病気の娘のために、青い鳥を探す旅に出る。
妖女からもらった帽子のダイアモンドを回すと、本当は在るけれど見えないものが見えてくる。
そして、パンや砂糖、イヌ、ネコ、光とともに、思い出の国、夜の御殿、森、墓地、幸福の花園、未来の王国、そして最後にもとの家に戻ってくる。
「思い出の国」には亡くなったおじいさんとおばあさんがいる。
おばあさんの言葉:もう随分長いこと、みんなわたしたちのこと忘れているねえ。その間わたしたちはだれにも会えないのだよ…わたしたちのことを思い出してくれるだけでいいのだよ。そうすれば、いつでもわたしたちは目がさめて、お前たちに会うことができるのだよ。
「幸福の花園」にたくさんの幸福がいる。お金持ちである幸福、ひもじくないのに食べる幸福、なにもしない幸福、もののわからない幸福…という「ふとりかえった幸福」たち。
でもそれらがいなくなると、子供の幸福、健康である幸福、清い空気の幸福、星の光り出すのを見る幸福、無邪気な考えの幸福などが姿をあらわす。
そして幸福は、「大きな喜び」たちのことを教えてくれる。
「正義である喜び」「ものを考える喜び」「美しいものを見る喜び」「ものを愛する喜び」そして1番純粋な「くらべもののない母の愛の喜び」…。
「幸福」は「ぼくたちはいつだってあなたのまわりにいるんですよ。そして、あなたといっしょに食べたり、飲んだり、目をさましたり、息をしたりして暮らしてるんですよ」と言う。
光が「人が1番幸福なのは、笑っているときじゃないのよ」とも言う。
1番興味深かったのは「未来の王国」。
ここには、生まれるときを待っている子供たちがいるところ。
庭師、太陽系の遊星の総同盟を作る子、地球に純粋な喜びを持ってくる子、死を征服する子…。みんなそれぞれの役割を持っている。
恋人たちはずっと抱き合っている。
オパールの扉が開いて、「時」が出て行く子供たちを導く時には、まだ生まれる時ではないのに行きたがる子供たち…。
時:だめだ。それぞれ出て行くときは決まっているのだ。お前たちのいうことをいちいち聞いていた日にはきりがない。ひとりは行きたいというし、ひとりは行きたくないという。一方は早すぎるし、もう一方はおそすきるのだ…。
ととても苦労をしている。
子供たちを乗せた船が遠ざかっていき、
(子供たちの叫び声「地球だ。地球だ。見えるよ。きれいだなあ。明るいなあ。それに大きいねえ」すると深淵の底からわき上がるような喜びと希望の歌が、遠い遠いかなたから聞こえてくる)
光が言う。「あれはあの子たちを迎えにきたお母さんたちの歌声ですよ」
最後にもとの家に2人は戻ってくる。
子どもの頃読んだ「青い鳥」は、実はこんなに素晴らしい世界だったことを初めて知った。
そしてこの本の中に、人が生きることの真実が、深い言葉とともに描かれている。
メーテルリンクは1991年にノーベル文学賞を受賞しているし、訳者は詩人の堀口大學。
もっともっと前に読んでおきたかったと思わせる素晴らしい本でした。
声の配信stand.fmのゴールディさん(https://stand.fm/channels5f6020aef04555115dd7c28c)のお話を聞いてすぐにこの本を購入した。
この作品が戯曲とは初めて知った。確かに舞台装置から、それぞれの役の服装まで細かに描かれている。
貧しい家に生まれた男の子のチルチルと妹ミチルは、クリスマスの夜、妖女の病気の娘のために、青い鳥を探す旅に出る。
妖女からもらった帽子のダイアモンドを回すと、本当は在るけれど見えないものが見えてくる。
そして、パンや砂糖、イヌ、ネコ、光とともに、思い出の国、夜の御殿、森、墓地、幸福の花園、未来の王国、そして最後にもとの家に戻ってくる。
「思い出の国」には亡くなったおじいさんとおばあさんがいる。
おばあさんの言葉:もう随分長いこと、みんなわたしたちのこと忘れているねえ。その間わたしたちはだれにも会えないのだよ…わたしたちのことを思い出してくれるだけでいいのだよ。そうすれば、いつでもわたしたちは目がさめて、お前たちに会うことができるのだよ。
「幸福の花園」にたくさんの幸福がいる。お金持ちである幸福、ひもじくないのに食べる幸福、なにもしない幸福、もののわからない幸福…という「ふとりかえった幸福」たち。
でもそれらがいなくなると、子供の幸福、健康である幸福、清い空気の幸福、星の光り出すのを見る幸福、無邪気な考えの幸福などが姿をあらわす。
そして幸福は、「大きな喜び」たちのことを教えてくれる。
「正義である喜び」「ものを考える喜び」「美しいものを見る喜び」「ものを愛する喜び」そして1番純粋な「くらべもののない母の愛の喜び」…。
「幸福」は「ぼくたちはいつだってあなたのまわりにいるんですよ。そして、あなたといっしょに食べたり、飲んだり、目をさましたり、息をしたりして暮らしてるんですよ」と言う。
光が「人が1番幸福なのは、笑っているときじゃないのよ」とも言う。
1番興味深かったのは「未来の王国」。
ここには、生まれるときを待っている子供たちがいるところ。
庭師、太陽系の遊星の総同盟を作る子、地球に純粋な喜びを持ってくる子、死を征服する子…。みんなそれぞれの役割を持っている。
恋人たちはずっと抱き合っている。
オパールの扉が開いて、「時」が出て行く子供たちを導く時には、まだ生まれる時ではないのに行きたがる子供たち…。
時:だめだ。それぞれ出て行くときは決まっているのだ。お前たちのいうことをいちいち聞いていた日にはきりがない。ひとりは行きたいというし、ひとりは行きたくないという。一方は早すぎるし、もう一方はおそすきるのだ…。
ととても苦労をしている。
子供たちを乗せた船が遠ざかっていき、
(子供たちの叫び声「地球だ。地球だ。見えるよ。きれいだなあ。明るいなあ。それに大きいねえ」すると深淵の底からわき上がるような喜びと希望の歌が、遠い遠いかなたから聞こえてくる)
光が言う。「あれはあの子たちを迎えにきたお母さんたちの歌声ですよ」
最後にもとの家に2人は戻ってくる。
子どもの頃読んだ「青い鳥」は、実はこんなに素晴らしい世界だったことを初めて知った。
そしてこの本の中に、人が生きることの真実が、深い言葉とともに描かれている。
メーテルリンクは1991年にノーベル文学賞を受賞しているし、訳者は詩人の堀口大學。
もっともっと前に読んでおきたかったと思わせる素晴らしい本でした。