感情という名のもやを
ふう
吹き払うと
素のわたしが現れる
キョロキョロといつも何かを探していたり
涙に濡れたのどを
叱りつけていたり
夜になると
明日を不安がっている
穴だらけの自分
でもそれが本当のわたし
見たくなくても
見てほしがっている
ありのままの自分

ふう
時のほこり
吹き払うと
子どもの頃 
大切にしていた小さな夢たち
木の上に家を建てること
オジギソウで一日遊ぶこと
童話の中のお姫様の暮らし
少女マンガのキラキラした付録が宝物だった
あの頃

考えていること
感じること
たっぷりの時間であじわうこと
眠るときの安らぎと
どこかでたき火をしているような
朝のつーんとした空気
ふう
息で風を起こす
忙しいから
時間がないから
ぐるぐるの日常に
ふいに
玄関でチャイムが鳴る
ドアの向こうには
待ちくたびれたじぶん
立っている


………………………………………………
日常の何かを楽しんでいる人を見ると、惹かれる。それは楽しくなくなった自分がいて、初めて気がついた。
「ふ」は息を吐く音、立ち止まる音。元の字は「不」 打ち消す意味。


IMG_8426