6月に学んだ垂仁天皇の妻、沙本比売(さほひめ)は、兄と一緒に籠もった稲城を燃やして出産した。そうやって生まれた本牟智和気の御子は、大人になるまで言葉を発しなかった。
悩んだ天皇は、御子を連れて鎮魂めのための舟遊びをした。
その時、空を飛ぶ白鳥を見て、初めて御子は「あぎ」ー幼児言葉ーと言った。
そこで天皇は家来に言いつけて、その白鳥を追い求め、ようやく捉えて御子に見せたが、御子は何も言わなかった。
その後占いで、これは大国主命(おおくにぬしのみこと)の祟りだとわかり、御子を出雲に参拝させたら、スラスラとものを言うようになったとある。

御子が話さないことに悩む天皇の姿。そしてようやく喋った時、お供の家来たちは
「聞き歓び見喜びて」天皇のもとに早馬を走らせて知らせた。
この時の喜びようは、大変なものだった。
いつの時代も子育ては苦労がつきものなのだなと思う。

本牟智和気の御子が言葉を発しなかった理由は、
一つは火の中で生まれた出産の異常さによるもの
本当は兄沙本比古王(さほびこのみこ)との近親相姦で生まれた子だからという説もある。
でも、私は、兄にも夫の垂仁天皇にも、本当の気持ちを言えなかった沙本比売だったからではないかと感じている。
自分の本当の気持ちを言うのは、難しいけれどとても大切なこと。
自分もできているわけではないが、きっと言うことによって、自分に嘘をつかない生き方ができるような気がする。


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