2023年09月18日 14:17
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まず、前回紹介できなかった中期(財政)計画(OVP)についてですが、いくつか反政府側(野党、メディア)から指摘されていた問題点を紹介します。先週紹介した「(OVPは)目標・期待の羅列のみで、実施手段・計画が記述されていない」という状況は大きく変わっていませんが、管理者が見た反政府系メディアでの指摘は、(1)インフレ率が2026年に一桁台まで下がるとされているが(2023年から順次65%→33%→15.2%→8.5%)、これに対して税収(納税額)は3倍になることが予定されている(つまり、今よりも実質的に納税額が増加する)。(2)失業率は一桁台に下がるとされているが(2023年から順次10.1%→10.3%→9.9%→9.3%)、若年失業率は20%を超え、実質的な失業率も20%近くあるとされている。それにもかかわらず、外国人労働者の流入・使用を認めることが予定されている。そして、(3) 上記(1)と(2)で一般国民(特に労働者)にしわ寄せをすることが明示されている一方、政府の支出削減策について一切記載がない、と指摘されています。
これ以外では、GDP成長率は2023年から順次4.4% → 4.0% → 4.5% → 5.0%、ドル/TL相場は年平均で2023年から順次23.9TL → 36.8TL → 43.9TL → 47.8TL、財政赤字の対GDP比は2023年から順次6.4% → 6.4% → 3.4% → 2.9%、経常赤字の対GDP比は2023年から順次4.0% → 3.1% → 2.6% → 2.3%などとなっていますが、これらの数字は財政再建が順調に進み、トルコ経済が輸出を増やしつつ成長することを前提としているように思われます。しかし、今ですらヨーロッパで最低、世界的にも相当低い水準になっている賃金をさらに下げる政策を取ることが明示されていることから明白なように、トルコ国内では極端な労働集約型の産業を存続させ続けて行くことが想定されています。“このような産業構造で、そもそもトルコ経済が回るのか”という大いなる疑問が残ります。(その一方で、“トルコは宇宙にも進出する(ほど科学技術を発展させる)”とエルドーアン大統領はのたまわれていますが、、、、)
最新の話題をここで紹介します。トルコとEUの関係で決定的な状況が出てきました。毎年欧州議会はEU加盟候補国について状況報告書発表しており、先週、トルコに関する報告書が発表されました(4月にも発表可能だったそうですが、選挙への影響を避けるため、9月の発表となったとのこと)。その内容は一言で言えば“惨憺たるもの”で、法の支配、司法の独立、表現の自由、報道の自由など、“民主主義の基本的な基盤が全く機能/存在していない”というもので、「トルコとはEU加盟交渉を進める状況にはない」という結論です。これだけだと例年と変わりがないように聞こえるかもしれませんが、今回は近い将来には加盟交渉が再開される可能性は全くないということが明確になった点が異なっています。いつも紹介している解説者は、「EU加盟交渉を再開しないという決定は、エルドーアン大統領が行っている現時点での政治運営について出されたもの(制裁)ではなく、エルドーアン大統領がやっていることを全てわかっていながら、それでもトルコ国民(有権者)の52%がそれを支持していることによって出された決定(トルコ国民に対する制裁)である」と紹介していました。これもその解説者の指摘ですが、「野党、そしてトルコ国民も、その政治意識はエルドーアン大統領と大差はない。そのため、もしも政権交代が起こっても、トルコ政府・国民の意識はEUの理念とは全く合致しないことが明らかになった。」とのことです。なお、エルドーアン大統領はニューヨークで行われる国連総会に出発する前に空港で行われた記者会見で、「EUはトルコとの関係を切ろうと努力していることが明らかになった」という趣旨の発言をしていました。「政治的には、トルコは親ロシア・中国路線を今後も取り続けることが明らかになった。」ということかもしれません。一方で、非宗教系の経済団体を中心に、「EUもトルコを差別、あるいは、他の候補国と違った扱いをしている。もっと、直接的で、包括的で、多様な分野での対話を行う必要がある」という指摘をしていました。これは2004年にキプロスなどがEU加盟をするときに、トルコも候補国とすることが決まった時には大いに議論され、しばらくはかなりの前進も見られたのですが、その後(2009年、2010年頃から)トルコ経済が持ち直し、また、アラブの春への対処方法、とりわけシリアとエジプトに対する対応を、エルドーアン大統領が間違えたことから、トルコの進路は大きく逸れて行ったとも言えそうです。“民主主義”を単なる多数決ととらえ、シリアのバッシャール・アサド大統領及びエジプトのシーシー大統領(イスラム(原理主義)政党をクーデターで排除した)と対立したころから、トルコ外交、更には国内政治が変わっていったようにも思えます。もしこの推論が正しいとしても、「これが原因なのか、結果なのか」はそれでも不明です。いずれにしても、「現時点では、EUとトルコでは、政治家も国民も、考え方が全く違っているため、トルコはEUに加盟することはできない」が、EUが出した答えと考えられます。ただし、トルコの加盟交渉を完全に消滅・解消させるという決議案が欧州議会で採決されましたが、こちらは反対多数で否決されたとのことです。形式的には、トルコの加盟交渉が再開され、一気に進む可能性は残されていることになります。
なお、ドイツやイタリアをはじめ、多くのEU加盟国にとってもトルコは大事な市場の1つではありますが、一方では、トルコにとっても輸出の約半分がEU加盟国向けであるため、トルコとEUの間の経済関係がこじれた場合、より大きな困難に直面するのはトルコの方だと考えられます。エルドーアン大統領がそのようなリスクを冒して、EUとの経済関係を一気に悪化させることはないと考えられます。ちなみに、トルコの輸入の40%近くはロシアと中国の2国から行われています。エルドーアン大統領が外貨不足解消のために、ロシア・中東詣でをしたり、欧米諸国からの融資や投資に期待して政策金利を大幅に引き上げたりといった「歴史的Uターン」を連発した話は以前に紹介しましたが、欧米から見れば「ロシアと中国に対するトルコの借金/赤字を肩代わり/穴埋めするための融資」ということになり、「それほど簡単に関係を解消できる可能性はない」と、上でも紹介した経済学者が指摘していました。
説明が長くなりましたので、今日紹介した話を要約するとすれば、「現時点では、トルコとEUの経済関係が一気に悪化することは考えにくいが、一方で、トルコのEU加盟交渉は事実上棚上げ(不可能)になった。」ということです。そして、これは「エルドーアン大統領とその周辺の少数の人々の責任ではなく、現体制の存続を認めたトルコ国民全体(少なくとも、大統領選挙でエルドーアン大統領に投票したトルコ国民の52%)の責任である」ということになります。
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2023年09月11日 19:46
中期(財政)計画(OVP)と世界銀行からの融資増額の話題を紹介したかったのですが、時間がなさそうです。一言ずつで紹介しておきますと、「(OVPは)目標・期待の羅列のみで、実施手段・計画が記述されていない」と「スウェーデンのNATO加盟同意への御褒美としての世銀融資増額」との見方が有力なようです。いつまで続くか予断は許されませんが、現時点では「トルコ経済は正しい方向に向かっている」と言えそうです。また、世銀からの融資増額は、エルドーアン大統領がIMFを受け入れる(軍門に下る? 歴史的Uターン再び!)前段階ということが出来そうです。
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前回は、と言いますか、少なくとも5月の選挙が終わってからは、ずっと“トルコの社会の厳しい状況”について紹介しているような気がします。後ろ向きの話題ですが、少し解説します。
その最大の理由は“経済的困窮”です。経済的困窮を作り出している2つの理由は、高インフレ率と実質可処分所得が増えないことです。後者の理由も半分は“高インフレ率”と言えますが、残り半分は“政策の結果”です。より具体的には、“低賃金+高・広税率”です。国家公務員給与及び年金は政府が決めています。給与に関しては政府が関与するのは最低賃金だけですが、国家公務員給与、年金及び最低賃金を低く抑えることで、トルコ社会全体を低賃金、低所得の国にしています。その一方で、個人所得税制度にはほとんど手を加えていないことから、インフレの継続によって、実質課税所得はどんどん下がり(同じ1万リラでも、去年と今年では価値が半分に下がっていますが、最低課税額は変わっていません)、税率も実質的に上昇しています(累進課税ですが、インフレの影響で給与が上がることによってどんどん最高税率に近づきます)。そして、税収の中心を担っている状態の間接税、特に付加価値税(KDV)と特別消費税(OTV)が高税率で、かつ広範囲にかけられています(例えば、紙おむつ、女性用生理用品、トイレットペーパーなども20%のKDVが掛けられているほか、高級車ではなく、一般的なセダンでもKDVとOTVをあわせた税率は100%を超えています。また、OTVはガソリン、軽油のほか、トースターや電子レンジといったきわめて廉価になっている電化製品にもかけられています)。
もう一つは、“未来への希望の無い状態”と“社会・制度への信頼と敬意がなくなっている状態”と言えそうです。“未来への希望の無い状態”は野党支持者・反エルドーアン勢力にとっては、まず、5月の大統領選挙で勝てなかったことであり、続いて、CHPをはじめとする野党の体たらくによって、若者をはじめ、多く人が希望を失っています。エルドーアン教徒をはじめ、今の状況に(非常に?)満足している人たちもいますが、少なくともトルコ国民(有権者)の60%以上は“経済的に厳しい”と感じているそうです(つまり、一部の人は“今(のトルコ経済)は厳しい状況だが、野党が政権を執るよりはまし”と考えていることになります)。詳しくは触れませんが、CHP内では内ゲバが続いている(クルチダルオールCHP党首派とイマムオール大イスタンブル市長を中心とする改革派。クルチダルオール党首は、トルコではしばしば見られる“居座り”型、“小さくても自分の城”型の状態です)ほか、メラル・アクシェネル善良党党首をはじめとして、“発言は言い訳や他人攻撃だけ”、“建設的なことが言えないなら、何も言わない方がマシ”という状態であり、無党派層を中心に、あきらめムードが漂っていると言えそうです。更には、クルチダルオール党首が隠してきた、5月の選挙直前のデタラメ(=マキャベリスト=成功のためには手段を選ばない)ぶりが次々と明らかになっています。こうなってくると、大統領選挙・国会議員選挙の準備(エルドーアン大統領の立候補資格への対応を含む)がデタラメだったことは既に明らかになっていますが、「“重大な過失”ではなく、“故意”であった」という説が、ますます信ぴょう性を帯びてくるように思えます。一方、今日、クルチダルオール党首は「ヤヴァシュ大アンカラ市長が来年3月の統一地方選挙におけるCHPの候補であること」を明らかにしました。既にアイドゥン市長が来年3月の選挙の候補であることを明らかにし、そのほか、イズミル、メルスィン及びアダナの各市長も候補者として近く公認されるという見方が強まっています。一方、イスタンブル市長候補は、最後の最後まで不明のままとなる可能性が高い状況です。大統領選挙直後にも指摘しましたが、共和同盟の、特にAKPとMHPの同盟が強固なため、野党が結束しなければ、イスタンブル市であれ、アンカラ市であれ、多くの都市でCHPの候補者が当選することは困難になります。別の言い方をすれば、世俗派政党の候補者が乱立し、25%の得票率で初当選したエルドーアン大イスタンブル市長(当時)と同じように、来年3月の統一地方選挙では、共和同盟の候補が漁夫の利を得て、当選する可能性が高まっています。
最後に、また暗い話題に戻りますが、「未来の希望の無いトルコ人の状況」を良く表している数字を紹介します。以前も「トルコ人の若者の最大の願いは外国に移住すること」であると紹介しましたが、アンケート調査への回答だけでなく、実際に行動に移している人もいます。これも以前紹介したような「医師の海外移住」(正式移民)だけではなく、ドイツを中心とするEU諸国やイギリス・アメリカ・カナダなどへの「トルコ国民による難民申請」が増加しています。具体的な数字も出ています。今年1〜8月にドイツに難民申請したトルコ国民の数は、前年同期比で290%増加して5,544人となり、シリア人の次いで2番目の多さとなりました。また、カナダでも今年1〜6月の難民申請で、トルコは5位となっています。期間が1〜6月や1〜8月になっているので、これだけでは今年5月の各種選挙結果が直接影響しているとは言えませんが、反対に、これだけのトルコ人が選挙結果を待つまでもなく難民申請に走っていることになり、選挙結果とその後の経済状況の悪化(インフレの高進と、賃金の低率引上げ、重税化)を受けて、今後しばらくの間は、増えることはあっても減ることはなさそうです。
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ここからはブレスレッドです。







2023年09月05日 14:25
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前回、トルコの社会状況を紹介しました。少し長くなりますが、引用します。「『そもそも政府自体が法律を守っておらず、法律など守る必要はない。裁判も全く無意味。だから、したいことは何でもできるし、政府は頼りにならないから、自分がヤラレル(殺される)前に相手をヤル(殺す)必要がある』という雰囲気が社会の中に広がっているという状況です。上で紹介した警察官への発砲事件だけではなく、部族(一族)同士の集団銃撃戦、喧嘩が高じた銃撃事件やナイフを使った殺傷事件、車強盗、街中やレストランでも銃撃戦など、西部劇やゴッドファーザーをはじめとする禁酒法時代のマフィアを扱った映画のようなシーンが実際に起こっています。更に、アメリカではあまり(ほとんど?)聞かれない、妻・元妻、あるいは恋人・元恋人を銃殺、刺殺、高層階から突き落として殺害した夫・元夫、恋人・元恋人などのニュースが頻繁に報道されています。そして、女性団体によれば、実際に亡くなった女性の何倍もの「不審な事故(=高層階からの落下死)や自殺」が存在しているとのことです。」この3日間だけでもこの状況に多くの例が加わっています。しかし、今日はこの状況を紹介するつもりはありません。が、今日のニュースとの関係で、少しだけ紹介します。
今日の1つ目のニュースは、トルコ女子バレーボール・チームについてです。3日、ベルギーで行われた2023年9月4日女子バレーボール・ヨーロッパ選手権で、セルビアをセット数3対2で破り、トルコが初優勝しました。反政府系テレビ・ニュースでは、「アタテュルク(大統領)の娘たちによる建国100周年目の栄光」として報道していました。実際、パブリックビューイングやチーム到着時のイスタンブル空港に集まった人たちは、正直言って世俗派ばかりで、イスラム色の強い人はほとんど見られませんでした。その背景には、上で紹介した女性蔑視、とりわけ、濃いイスラムの人々の倫理観と合わない部分が多く見られるためか、現チームのエースアタッカーとも言えるエブラル・カラクルト選手に対してインターネット上で執拗な個人攻撃が試合直前まで継続していました(多分、試合中も、勝利後も。性的な問題とのことでしたので、いわゆるL疑惑攻撃と想像します)。共和国建国後、「カリフ制度がなくなるくらいなら、ギリシャによる占領・支配(とオスマン家)が続いた方が良かった」と言った人たちと全く同様に、「カラクルト選手が活躍するくらいなら、トルコ女子バレーボール・チームは負けてしまえ」と宣伝していたそうです。なお、野党政治家は当然ながら、エルドーアン大統領自身もキャプテンに電話を架けて、トルコチームの勝利を祝っていました。その場で、「どこかでチームのみんなと会う機会を作る」と言っていましたが、時々紹介している外交に強い記者は、エブラル・カラクルト選手を暗示しながら、「エルドーアン大統領がチーム全員を、一人の例外もなく受け入れるかどうか、注目している」と述べていました。
せっかくの勝利に陰を差すような内容になってしまいましたが、トルコ女子バレーボール・チームの、7月のFIVBバレーボールネーションズリーグの初優勝と、今回のヨーロッパ選手権での初優勝を、心からお祝いします。
2つ目のニュースは8月のインフレ率に関するものです。今回は数字自体ではなく、TUIK(トルコ統計庁)の行動が注目されます。ENAGと略される独立経済学者グループが独自に計算したインフレ率を毎月発表しています。今回(8月の数値)は初めて、TUIKの数字がENAGの数字を上回りました。8月の“月間インフレ率”を、TUIKが9.09%、ENAGが8.59%と発表しました。念のためですが、“年率”ではなく、あくまでも“月間上昇率”です。この数字の見方は大きく分けて2種類あると思われます。管理者はこれまで何度も「TUIKが発表する数字は大本営発表に過ぎず、無意味である」と指摘してきました。これが大前提ですが、(1)性善説:シムシェキ国庫・財務大臣及びエルカン・トルコ中央銀行総裁体制の確立の結果である“経済正常化”の一環として、TUIKも正しい数値を発表する過程に入った、(2)性悪説:インフレ率が高止まり、あるいは更なる上昇が予想されるため、発表数字を事実からこれ以上乖離させることは不可能となり、また、来年に入った段階で統一地方選挙前に“インフレ率が低下し始めた”と宣伝できるよう、今のうちに現実の数字にある程度近づけた(1月頃からはまた低めに発表する)、という2つの考え方です。もしも、前者であれば、少なくとも過去2、3年分の見直し/集計やり直しを行うべきと思われます(公務員給与と年金に影響するため、現政権下では再集計が行われることはないと思います)。後者であれば、公務員給与、年金、最低賃金への影響を最小限に抑えるため、この時期を選んだということになりそうです。なお、8月末の対前年同月比のインフレ率は、TUIKが58.94%、ENAGが128・05%と発表しています。
更に、これに関連して先日発表された第2四半期のGDP成長率も、対前期比が3.8%成長、対前年同期比が3.5%となっていますので、こちらも現実に近づいているものと思われます。ただし、インフレ率をいじっている以上、正しい数字になるはずはありません。つまり、正確な計算ではありませんが単純化して紹介しますと、付加価値が昨年100で、今年が120になったとすれば、インフレ率が10%なら10%成長になりますが、インフレ率が20%ならゼロ成長(物価が上がっただけで、実質的には付加価値は全く増えていない)となります。したがって、インフレ率を低く発表すれば、必然的に成長率は高くなります。
最後に、政策金利及び成長率の発表後の“一時的なリラ高”に関する経済学者の分析を紹介します。反政府系の複数の経済学者が、「政策金利引き上げ後のリラ高は、人工的なものと思われる」と指摘していました。つまり、「“市場は政策金利引上げを好感、高成長率を好感”というシナリオを書いて、“政策金利引上げは十分に効果が出ている”というイメージを作ろうとした」というもので、実際、中央銀行は政策金利引上げ後に多額の市場介入を行ったと言われています。原則論については、すでに何度も紹介していますが、本当のインフレ率が最低でも80%〜100%と思われるときに、政策金利を25%にしたからと言って大きな効果があると思われません。上でも紹介しましたが、TUIKによる数字でも年間で約59%となっていますので、前回紹介した中央銀行の年末のインフレ率予測(60%弱)は“かなり割り引いた数字”という結果になる可能性が極めて高いと思われます。
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2023年09月03日 12:27
なお、明るい話題はいつもどおり、女子スポーツです。女子バレーボールのヨーロッパ選手権であさって(3日)、トルコとセルビアが決勝戦を行うとのことです。最低でも銀が確定しています。
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前回、最後の雑感で、「一方で、国内政治の面では、野党の足並みが乱れまくっていること(現時点では、来年3月の統一地方選挙で統一歩調が取れるとはとても考えられない状況)、エルドーアン教徒がトルコの人口(有権者)の40%以上存在し続けていること、その結果、統一地方選挙で現状を下回る結果になることは考えられない状況であること、そして、例え現状を下回っても早期選挙(大統領及び国会議員の選挙が同時)を行う必要が生じる可能性は1%もないと考えられることなど、エルドーアン大統領はあと4年以上我慢することが可能な状況にあるため、“現状は危機的状況にはない”と考えます。」と紹介しましたが、この“流れ”から全く変わっていません。つまり、この1週間でこの見方を覆すような動きは出ていません。
とは言うものの、説明が不足していて、誤解を招いている可能性もありますので、もう少し詳しく紹介します。“現状は危機的状況にはない”と紹介しましたが、それはあくまでも“エルドーアン大統領の目から見て”、あるいは“エルドーアン大統領にとって”という意味であって、“一般トルコ市民の日常生活において”という意味ではありません。1つは、これまでも何度も紹介してきましたように、「“給与水準、年金水準は、健康的な最低限度の生活を維持するための水準(飢餓水準)”をはるかに下回った水準の給与や年金しかもらえていない人及びその(扶養)家族が、全人口の過半数」に上っていると思われる状況で、かつ、高インフレ率が継続し、それどころか今後しばらくは再上昇することが確実視されているため、一般トルコ市民の過半数の生活は極めて厳しい状況にあります。トルコもアングラ経済(闇経済)が大きいので、“目に見えない(=所得を補足できない、統計に出ない)収入”が相当あったことは事実ですが、典型的な“無税・無社会保障費の仕事であり、家計の第2の収入源”であった“家政婦=掃除婦(主婦のアルバイト)”についても、掃除婦を雇う余裕のある人がどんどん減っているので、こちらも相当細っていると考えられます。また、“年金をもらっている人で、まだ働きたい人”も相当増えているようですが、こちらも働き先が無かったり、“最低賃金以下の給与、無社会保障”でしか雇ってもらえなかったりで、家賃・食費・光熱水費をまともに払える人がどんどん減っている状況です。トルコでも、親族・家族や隣近所関係などの社会安全網(セーフティーネット)がいまでもある程度は機能していますので、何とかなっていますが、これがいつまで耐えられるかは誰にも分からない状況です。
ここまでが社会状況の説明でした。そして、ここからは“これがいつまで耐えられるかは誰にも分からない状況”を紹介します。かなり以前から、“法治国家ではなくなった=依怙贔屓と敵の(徹底的な)弾圧が行われている”という状態、もう少し具体的に書けば、“エルドーアン大統領(及びその関係者)が勝手に法律を執行し、判決を下す”とでも言えそうな状況となっています。つまり、“法律があってもなくても、判決があってもなくても、エルドーアン大統領(及びその関係者)が言ったとおりになる”という状況になっていますので、後ろ盾がある人は特に、つまり、癒着企業やマフィア、あるいは、それらを目指すような新興集団が、警察をはじめとする治安組織を全く恐れなくなってきています。そして、反政府系メディアが「テキサスと同じ状態」と呼ぶような状態になっています。「テキサスと同じ」と言えば、アメリカに失礼になってしまいますので、「西部劇の時代と同じ状況で、私兵集団同士が街のあちこちで銃を撃ち合ったり、あるいは警察に対して発砲したりするような状態」になっています。具体的には、2023年8月25日の報道ですが、「2023年、トルコでは7月末までに1938件の銃を使用した事件が発生し、1,200人以上(1日平均6人以上)が亡くなっている」とのことです。そして、この報道の前後には、イスタンブル市キャーウトハーネ区で麻薬捜査を行おうとして警察官に対して犯罪組織関係者がスナイパー銃などを使って銃撃し、警察官2人が殉職するという事件も発生しています。つまり、「そもそも政府自体が法律を守っておらず、法律など守る必要はない。裁判も全く無意味。だから、したいことは何でもできるし、政府は頼りにならないから、自分がヤラレル(殺される)前に相手をヤル(殺す)必要がある」という雰囲気が社会の中に広がっているという状況です。上で紹介した警察官への発砲事件だけではなく、部族(一族)同士の集団銃撃戦、喧嘩が高じた銃撃事件やナイフを使った殺傷事件、車強盗、街中やレストランでも銃撃戦など、西部劇やゴッドファーザーをはじめとする禁酒法時代のマフィアを扱った映画のようなシーンが実際に起こっています。更に、アメリカではあまり(ほとんど?)聞かれない、妻・元妻、あるいは恋人・元恋人を銃殺、刺殺、高層階から突き落として殺害した夫・元夫、恋人・元恋人などのニュースが頻繁に報道されています。そして、女性団体によれば、実際に亡くなった女性の何倍もの「不審な事故(=高層階からの落下死)や自殺」が存在しているとのことです。
勿論、「これらの事件は、トルコの日常生活に大きく影響を与えるほどには広がっていない」と言うことは可能です。しかし、これらの事件・状況は鎮静化する方向にあるのではなく、悪化していると考えられます。今後は、真剣なマフィア対策・麻薬対策のほか、銃規制も必要になります。そして、女性の権利、と言うよりも女性の生命を守るための対策・教育が必要になります。しかし、残念ながら、上でも紹介しましたが、「魚は頭から腐る」という状態となっています。経済をはじめ、法律、裁判、行政、教育、社会などを総合的に見た場合、“トルコ社会は良い方向に進んでいる”とはとても言えない状況です。
その背景としては、「経済政策の失敗」や「国の私物化」があることは明白と思われます。それに加えて、(健全)野党の不存在、あるいは、独裁体制の確立という問題が存在している状況です。「圧倒的多数のトルコ人若者の夢は“先進国へ移住すること”」という、いわゆる「普通の国」では、少なくとも中進国以上、あるいは、経済発展が続いている国、国民が自国の未来を信じている国では、決して聞くことがない様な、非常に悲惨なアンケート調査結果も出ています。医師の例を挙げると、外国に移住するための“医師として善良であることを記載した証明書”の発行を医師協会に求めた医師は、2012年には1〜8月期に22人でしたが、2022年同期には1,684人、今年同期は1,964人が申し込んだとのことです。いかにトルコからの医師(頭脳)の流失が進んでいるかを示す数値となっています。
そして、管理者がこれまでしばしば紹介している解説者は、この状況を、「約20年前には、トルコはEU加盟候補国(民主主義、法の支配などを受け入れる国)と受け止められていたが、今や、中東あるいは中央アジアの半独裁国家(と同じカテゴリー)に分類されている」と指摘していました。脱線しますが、管理者がいつも使っている“エルドーアン教徒”のことを、この解説者も、「エルドーアン大統領がトルコを(イスラム国家として?)再生させたと考え、信じている彼らにとっては、エルドーアン大統領が(世俗主義者・民主主義者のトルコ人にとっての)アタテュルク(元)大統領の役割にとってかわっている。エルドーアン大統領を信じる人は、エルドーアン大統領のためなら何でもするし、どんなことにも耐えられる。エルドーアン大統領が失脚することなど、絶対に受け入れることができない人々である」と指摘していました。管理者にとってアタテュルク(元)大統領は、「国のため、国民のためを考え(ていたことが大部分で)、その行動のほとんどは合理的に説明ができる」という存在ですが、エルドーアン教徒がエルドーアン大統領のどこに、そのような要素を見出しているのか、全く理解できません。そのため、管理者はそういう人々を「エルドーアン教徒」(=合理性ではなく、信仰としてしか説明しようがない存在)と一言で説明しています。
今日は野党の状況について紹介できませんでした。またの機会に譲ります。
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今日はオリーブ・オイルを紹介します。日本への売り込みにも力を入れ始めたそうです。



次は、トルコの「国家・国民酒(?)」のラクを紹介します。ギリシャやフランスなどにも、名前は違っても同じお酒があるそうですが、トルコが発祥の地と思われます。




2023年08月25日 12:04
今日は“トルコ中央銀行の政策金利引上げ”を9割、その背景を1割程度の割合で紹介します。そのため、“国家公務員給与と年金の調整(引上げ)”と外交を巡る問題については詳しくは紹介できません。
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前回、最後の雑感で、「シムシェキ国庫・財務大臣が本当に辞表を提出し、遺留されたのであれば、“トルコにとっては原則として良いニュース”ということになります。つまり、インフレ対策、そのための財政再建(KKM廃止を含む)を本気で行おうとしていることを示しているものと思われます。逆に言えば、エルドーアン大統領にはもうほとんど何の策も残されていないという意味にもなります。別の言い方では、『自転車操業を続けてきたトルコ経済(エルドーアン体制)は、遂にペダルを踏み(自転車をこぎ)続けることができなくなった』ということになります。」と紹介しましたが、今回、それがある程度証明されたことになります。エルドーアン大統領はこれまで、「(高)金利が原因、(高)インフレは結果」、「金利は宗教(イスラムの教え)上の罪。私が大統領であり続ける限り、毎年、毎月、金利は低下し続ける」などと言ってきましたが、大統領選挙後、6月、7月、8月と政策金利は3ヶ月間連続で上昇を続け、今月は750ベーシスポイントと、1回の上げ幅としては史上最大を更新しました。もう全く珍しくありませんが、またしても「歴史的Uターン」が発生しました。
これまで何度も紹介してきましたが、トルコ政府及びその監督下にある機関、例えばTUIK(トルコ統計庁)などが発表する数字(統計)は、全く信用ができない状態です。その統計に基づいた分析・コメントが、インターネット上でまき散らされているように思います。欧米でも、日本でも、国際信用格付機関、銀行やFX業者などがその典型です。特に短期的、つまり、日々の、あるいは一瞬一瞬の相場には、「事実よりも、予想とどう違うかが重要」ということなのでしょうが、管理者としてはこれらの解説には大きな納違和感があります。極論すれば、「大手業者の言うことと反対に相場をはっておけば、ほぼ間違いはない」とすら言えそうなほど、事実からほど遠い解説のように思います。しつこいようですが、長期的なトレンドを知るためには、「本当のトルコのインフレ率は最低でも80〜100%であるため、それに対して政策金利や銀行金利がどうなっているか」を見る必要があります。今回の史上最大幅の政策金利の引上げで政策金利は25%になりましたが、トルコ中央銀行によれば、今年年末のインフレ率予想は約60%(これですら相当割り引いた数字)であり、また、インフレ率が継続的に低下し始める時期の予測は2024年後半(これも相当早めのタイミング)です。したがって、この推測に基づいた予想も「60〜80%のインフレ率が2024年末頃まで続く」となるのが、“常識的な”あるいは“相当控え目の”予想となります。とは言うものの、結果として選挙結果予測を外しているので、偉そうには言えませんが、、、
ただし、政策金利の行方、あるいはシムシェキ国庫・財務大臣とエルカン・トルコ中央銀行総裁がいつまで今の地位を維持できるかは、エルドーアン大統領次第となります。あるいは、今から1年半以上の期間(2024年末まで)、この二人の言うことを聞き続ける、二人が政策を実行することを認め続けることができるかどうかは、“世論、とりわけ圧力団体(主に宗教団体)の圧力次第”ということになりそうです。世論については、その批判は別の機会に譲りますが、ヨンエイレム社の世論調査で、“現在の経済危機の原因は何か”という質問に対して、40%以上が“外国勢力”と答えているそうです。この数字が正しいとすれば、まだまだエルドーアン教の信仰者が相当多く存在していることになるので、“現在は、(トルコ社会は)危機的状況にはない”と言えそうです。したがって、現時点で、エルドーアン大統領が直ちに方向転換することはなさそうです。来年3月の統一地方選挙が近づいて、“世論、とりわけ圧力団体(主に宗教団体)の圧力”が強まってきたときに、エルドーアン大統領がどう舵を切るかを注目する必要がありそうです。
最後に雑感です。今日は紹介できませんが、“国家公務員給与と年金の調整(引上げ)”に関しても、ここ数日間で2回、Uターンしています。つまり、元の方向に戻っています。“人気取りをしたくても、ない袖は振れぬ”という状態と思われます。経済面では、エルドーアン大統領は相当追い詰められています。そして、外交面でも、ワグネル(ロシアの私兵・雇われ軍人集団)創設者が“飛行機事故で亡くなる”という、普通に考えれば“暗殺された”と思われる状況も、エルドーアン大統領の行動範囲を狭めるのではないかと思います。つまり、エルドーアン大統領の表向きの強気発言は絶対に変わらないと思いますが、現実には、“どんどんと追い詰められている状況”ではないかと思います。
一方で、国内政治の面では、野党の足並みが乱れまくっていること(現時点では、来年3月の統一地方選挙で統一歩調が取れるとはとても考えられない状況)、エルドーアン教徒がトルコの人口(有権者)の40%以上存在し続けていること、その結果、統一地方選挙で現状を下回る結果になることは考えられない状況であること、そして、例え現状を下回っても早期選挙(大統領及び国会議員の選挙が同時)を行う必要が生じる可能性は1%もないと考えられることなど、エルドーアン大統領はあと4年以上我慢することが可能な状況にあるため、“現状は危機的状況にはない”と考えます。
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2023年08月21日 08:07
なお、最近、ブログが非常に長くなっているので、今回からあまり長くならないように努めます。そのため、今回は外交と経済の話題について紹介するつもりでしたが、経済に限定して紹介します。
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前回はCHP内の動きについて、「ここ数日間で少しずつ状況が変わっている」と紹介しましたが、CHP内だけではなく、トルコの外交や経済などでもここ数日間でいろいろな動きがありました。
まずは、前回紹介したところから始めます。前回、「国家公務員及び年金生活者に関する給与・年金の改定に関する政府に対する要求が大きな話題になっています。公式インフレ率でも50%近くになり、年末には60%前後になるとトルコ中央銀行及びトルコの経営者たちも予測している状況(今回追加:中央銀行はインフレ率の低下が始まるのはいくら早くて2024年末としているので、今年末のインフレ率は2024年も少なくとも同じ水準で続くことになります)に対して、(中略)政府はそれぞれ(15(前半)+10(後半の追加))%と(6+5)%というような数字を2回目の交渉でも提示し、労働者側を大いに落胆させています。」と紹介しましたが、遂に公務員労働組合はストに入る方向のようです。公務員の労働組合もいくつかあります。一方、労働組合への加入率はトルコ労働者の13%程度とも言われていて、どの程度の影響力があるかは大いに疑問です。しかも、トルコ政府が相手にしているのは、いわゆる「御用組合」で、これまではストライキをはじめとする、激しい抵抗をほとんど示していませんでした。ゲズィ公園抗議行動後、市民が集まって政府に対して抗議する動きをトルコ政府は徹底的に取り締まっていますが、今回は公務員のストが本当に行われるのか、そして、ストが行われた場合、どのような状態になるのか(どこまでやるのか)が注目されています。
次は、3つ続けてシムシェキ国庫・財務大臣に関する話題です。イマムオール大イスタンブル市長がシムシェキ国庫・財務大臣に感謝を表明するツイートを行いました。それは、4年以上にわたり、エルドーアン大統領が署名を拒否していたイスタンブル市役所の外国からの借款について、同大臣が署名したことに対して表明された感謝です。欧州復興開発銀行(EBRD)か欧州開発銀行(EIB)か、それ以外なのかは分かりませんが、民間銀行ではなく、国際機関からの融資と思われます。(1)これ以上、市長を邪魔すると、来年3月の統一地方選挙で悪影響が出ると考えた(イマムオール大イスタンブル市長が“エルドーアン大統領が邪魔している”と大々的に宣伝することが予想される)、(2)これまでユルマズ副大統領、シムシェキ国庫・財務大臣、エルカン・トルコ中央銀行総裁が融資・投資を求めて日本を含め、世界中を行脚し、更にはエルドーアン大統領自らが中東詣でなどをして外貨を求めてきましたが、結局、思うように集められていないため、外貨が獲得できるなら何でも認めることとした、などが理由ではないかと指摘されています。
3つ目は、シムシェキ国庫・財務大臣が2日前に辞表を提出したという噂です。辞意を知らされたユルマズ副大統領は大慌てで、シムシェキ国庫・財務大臣の出した条件の多くを認め、慰留に努めたというものです。もしもこれが本当であるとすれば、ユルマズ副大統領にはそんな権限は有りませんので、エルドーアン大統領の意思が働いていることは確かです。上で紹介したイスタンブル市の国際借款を認める決定とほぼ同時であることが、この噂の信ぴょう性を高めているように思います。
4つ目の話題はIMFとの関係についてです。次の話題にも関係するのですが、シムシェキ国庫・財務大臣は、トルコはIMFと協定を結ぶこと(=IMFから融資を受けること)が必要と考えていると言われています。エルドーアン大統領は2010年以降(2001年の危機をIMFの協力で乗り切り、IMFとの協定が終了した後)、「IMFは“外国勢力”の回し者であり、トルコの主権を奪い、トルコ人の生活を貧しくしようとしている。」と言って、IMFへの攻撃をしばしば行って来ました(選挙前も、「野党はIMFに泣きつくつもりだ」、「野党が勝てばトルコはIMFの支配下に入り、苦しい生活を余儀なくされる」と野党攻撃にも使っていました)。ここでも「歴史的Uターン」はあり得ますが、IMFの場合は中東諸国と違って、頭を下げる(利益を分配する?)だけではすみません。つまり、IMFから融資を受けるための条件として「融資が終わった暁には、二度と同じ困窮状況に陥らないための体制を作ること」が求められます。しかし、公平な入札を行うこと(落札業者をエルドーアン大統領が決めることはできなくなる)、(不合理な)支払保証は行わないこと(自分の懐に帰って来させるための過剰支払いができなくなる)など、エルドーアン大統領のこれまでの政策を180度転換させる必要があります。「国の威信」など全く無視して、自分の利益のためには“歴史的Uターン”を連発したエルドーアン大統領ですが、今回、IMFとの協定が実現すれば、「エルドーアン大統領は、トルコ経済を救うために自分の利益を放棄することになる」とも言えます。このような“歴史的Uターン”を、エルドーアン大統領が本当に行うのか、大いに注目されます。(ただし、その場合でも、真の目的は“トルコ国民のため”ではなく“現体制を延命させるため”であることは明白です)
今日最後の話題は、“為替保護付き預金(KKM)”の事実上の廃止方針が打ち出されたという話題です。20日、中央銀行は「(市中銀行に対して、)KKMから一般のTL預金への転換を誘導するように」との方針を発表しました。つまり、段階的にKKMを廃止するという意味になります。現在までの通算のKKMの規模は1,243億ドルに達していると言われています。つまり、その内の残存預金額に対して、ドル/TL相場が下落した分だけ補填し続けている (ドル/TL相場が下がる(リラ安)になる毎に財政負担が生じる) ことになります。先日も紹介しましたが、「お金持ちの預金が価値を失わないように、貧しい人から搾り取った税金で補填している」という状態です。しかも、これまでは国庫・財務省が差損の大部分を負担してきましたが、今後は中央銀行が全ての差損を負担することになりましたので、中央銀行はインフレとの闘いを行う上で、このような負担を引き受ける続けることはできないと考えたものと思われます。
最後に雑感です。シムシェキ国庫・財務大臣が本当に辞表を提出し、遺留されたのであれば、“トルコにとっては原則として良いニュース”ということになります。つまり、インフレ対策、そのための財政再建(KKM廃止を含む)を本気で行おうとしていることを示しているものと思われます。逆に言えば、エルドーアン大統領にはもうほとんど何の策も残されていないという意味にもなります。別の言い方では、「自転車操業を続けてきたトルコ経済(エルドーアン体制)は、遂にペダルを踏み(自転車をこぎ)続けることができなくなった」ということになります。
経済の話題だけに絞ったのですが、結局、相当な長文になってしまいました、、、、
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2023年08月20日 02:56
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と書きながら、いきなり脱線しますが、国家公務員及び年金生活者に関する給与・年金の改定に関する政府に対する要求が大きな話題になっています。公式インフレ率でも50%近くになり、年末には60%前後になるとトルコ中央銀行及びトルコの経営者たちも予測している状況に対して、公務員組合連合は2024年は70%、2025年は40%の賃上げを要求しましたが、政府はそれぞれ(15(前半)+10(後半の追加))%と(6+5)%というような数字を2回目の交渉でも提示し、労働者側を大いに落胆させています。今回、エルドーアン大統領は何も発言していません、より正確には、7月中に「年金については年末年始頃に改定を予定しているので、それまで待つように」とだけ言っています。しかし、これまで何度も、「過去20年(以上)にわたり、公務員、民間労働者(最低賃金)、年金生活者をインフレに押しつぶさせることなく、生活水準を高めてきた(=生活を豊かにしてきた)し、今後も改善を進める」と述べています。「何をどうしたらこういう数字が出てきて、また、現在のトルコ人の生活、特に労働者・年金生活者の生活を見て、どの口が“豊かになっている”と言うのか」と、耳を疑う、あるいは、開いた口が塞がらないという発言が、反政府系テレビの画面では何度も流れています。ただし、トルコ国民の30%程度はエルドーアン大統領のこの発言を信じています。なお、2024年前半の15%という数字は、今年7月から12月までのインフレ分を調整(復旧)するための数字ですが、15%は極端に言えば、7月の1ヶ月分、最大限に見積もって8月までの2ヶ月分にしかならないことは明白です。そこから先の4ヶ月分のインフレで、トルコ人の生活がさらに貧しくなることは明白です。そして、このような決定を行うことができる根拠は、「今年5月の大統領選挙で当選した」ということだけです。
ここからが、今日の話題です。「トルコ国民の30%程度はエルドーアン大統領のこの発言を信じています」とたった今紹介しましたが、5月の大統領選挙の時は、(公式発表では)有効投票の52%がエルドーアン大統領を支持していました。この中には、ヨーロッパやアラブ諸国など、圧倒的にエルドーアン大統領が強い国の在外投票も入っていますが、基本的には「トルコ人のエルドーアン大統領への支持率」と考えることができますが、残りの20%程度の人はエルドーアン大統領を信じていない(=支持を後悔している)という数字が出ています。より正確には、「5月の選挙について、投票(先)を後悔している」という人が、ほとんどの政党で20%を超えているというアンケート結果になっています。最近、いつも紹介している特に外交が強い記者がこのアンケート結果を数日前に紹介していました。全体では22.4%の人が「5月の選挙について、投票(先)を後悔している」と回答しているそうです。政党別でも極端な差はなく、AKP22.5(%)、CHP18.9、MHP20.9、善良党24.8、勝利党37、YSP(HDP)26.2などとなっています。最も後悔しているのが勝利党支持者で、その次がYSP(HDP)となっています。これらの支持者は「最初からクルチダルオール候補(又はCHP)にしておけば、今のようなひどい状況にはならなかったのに」という後悔ではないかと思います。一方で、「公約が破られた!騙された!(給与の引き上げなどの選挙公約が守られない)」という状況ではありますが、AKPやMHPの支持者も、ある意味では同様の後悔(最初から嘘と分かっていれば、AKPやMHPに入れなかった)をしているものと思われます。CHPと善良党の支持者は「投票に行かなかった(クルチダルオール候補に投票しなかった)こと」を後悔しているのかもしれません。なお、全く別のアンケートですが、6月上旬ころのCHP支持者に対するアンケートと結果だとのことですが、「クルチダルオールCHP党首は直ちに辞任すべきか」という質問に対しては、約60%強が“直ちに辞任すべき”と答え、30%強が“辞任の必要はない”と答えたとのことです。この記者はメトルポル社のアンケート結果としてあと2つの質問とその結果について紹介していました。1つは、「トルコにとって(軍事、政治、社会などで、経済を除く)最大の危険は何か」との質問に対しては、43.6%が無秩序(違法)移民と答え、PKKは21.1%、“外国勢力(エルドーアン大統領が困った時に使う、「トルコの全ての危機の根源的原因」です)”が18.4%となっています(この数字も、エルドーアン教徒が約20%は存在していることを示しているものと考えられます!)。最後に「トルコは、外交パートナーとしてどこを選ぶべきか」という質問について、回答は46%がアメリカ・イギリス・EU陣営で、35.5%がロシア・中国陣営、アラブ諸国はほとんどゼロとのことでした。少し解説しますと、アメリカ・EU陣営とロシア・中国陣営の数字が非常に近くなっていますが、これはエルドーアン政治の結果であって、過去20年間の新しい傾向です。なお、トルコに危機をもたらすものとして挙げられている“外国勢力”とは、当然ながらアメリカ・イギリス・EU諸国のことを指していますので、トルコにとっての最大の危険が外国勢力だと考える人は、当然ながら、ロシア・中国陣営を選択していると思われます。なお、エルドーアン政治でアラブ諸国の人気が上がったのかと思いましたが、理由は良く分かりませんが、エルドーアン以前と比べて減っていることはあっても、増えていることはなさそうです。
次に、CHPの最新状況を紹介します。基本的には、内部対立と混乱、現状維持のクルチダルオール党首派と、イマムオール大イスタンブル市長を中心とする改革派の2分されているようです。上で紹介しました“クルチダルオール党首は直ちに辞任すべきか”というアンケート調査結果でも、CHP党員あるいは支持者の多くも変化を望んでいることは明らかです。管理者は「選挙前に、クルチダルオール党首が目指した新しい政治」が間違っていたとは思っていません。残念ながら、クルチダルオール党首とその側近たちは「エルドーアン教の破壊力を侮っていた」ということになります。管理者が、というよりも反エルドーアンのありとあらゆる解説者が指摘していたことですが、「有権者リストの正確性」と「投票・開票・集計の安全確保」に十分な力を入れていなかったという致命的な失敗がありました。更に、人海戦術・戸別訪問という地道な活動を地方で行ってこなかったと言われています。その事実は、2月6日の地震で大被害受けたカフラマンマラシュ県をはじめとする11県のほとんどが圧倒的なエルドーアン大統領(及びAKPなど与党)支持であったということに現れていると思います。普通に考えれば、エルドーアン大統領の失政(地震対策行政と救出・復興作業の失敗・遅延)であることは明白ですが、「地震はアッラーの思し召し」で全てが片付いていることは、「CHPが一般市民の中に全く入れていないこと」を示していると思われます。「インターネットは使わず、本は勿論、新聞も読まず、テレビだけを見ている人」は、ほとんどはTRT(トルコ国営放送)だけか、あと1つか2つの大統領支配下のテレビ局を1年365日、1日12時間?見ている状態であり、このようなトルコ国民に対して、クルチダルオール党首やアクシェネル善良党党首を含めた野党は、全く説得力を持っていなかった(エルドーアン大統領の数々の大嘘演説を、1つも十分に否定することができなかった)ことは明白と思われます。(極端な例とは思いますが、イマムオール大イスタンブル市長が市民にクルチダルオール候補支持を訴えた時、「インフレはCHPが起こしている。(市長が)CHPになってから生活が苦しくなった。だから、CHPには投票しない」と怒っている様子がニュースになっていました)
話が逸れてしまいましたが、変化を起こそうとしているイマムオール大イスタンブル市長とその支持者、つまり、オゼルCHP国会会派代表などの改革派の人々は行動に移りました。先日、イマムオール大イスタンブル市長が記者会見を開き、「イスタンブルを再び勝ち取るために出発する」と述べ、改革をスタートさせることを宣言しました。「イスタンブル市長候補になるのか、それとも、党首候補となるのか」との質問に対しては明確には答えませんでした。最も可能性が高いと言われているのは、「イマムオール大イスタンブル市長が2期目を目指し、オゼル会派代表が党首候補になり、来年3月の統一地方選挙で勝利を勝ち取る。次の大統領選挙までの適当な時期に党首を交替する」というシナリオです。そうなるかどうかは分かりませんが、先ずは今秋にCHP党大会が開催され、党首選挙が行われることはほぼ確実になっているように思います。党内では圧倒的な権力を持っているはずの党首でありながら、執行委員会ですらほぼ2分され、ましてや世論は完全に逆風となっているクルチダルオール党首ですが、もしも党首に再選された場合、来年の統一地方選挙における野党共闘はほとんど不可能(誰も同じ失敗を繰り返したくない)になると言われています。「最初の変化(大統領選挙)は壁にぶつかり砕け、次の変化(CHP党首交代)は握りつぶされる」と、多くの野党支持者が閉塞感に押しつぶされていたこの2ヶ月間でしたが、3ヶ月目にしてようやく希望の芽が出てきたような雰囲気になってきました。
最後に再び脱線します。5月の選挙後には、若者を中心に、敗北感・脱力感・無力感などが広がり、政治への関心が極端に下がり、若い人を中心に「移民・移住することだけが唯一の希望」と考える人が急増しているそうです。そのためだと指摘されていますが、EU諸国を中心に、トルコ人に対するビザ(査証)の発給が極端に厳しくなっていると言われています。以前、紹介したと思いますが、EU諸国に対して難民申請をする人の国籍別ランキングで、トルコが4位に入っているとのことです。この数字は2022年の数字で、追加対策を取らなければ2023年には急増することが予想されたため、EU諸国もビザの発給を制限しているものと考えられます。
最後の最後に一言。管理者が使っている情報源の多くは「反政府系」と称されるメディアや個人の動画サイトですので、「悲観的」バイアスが強いことは確かです。しかし、インフレ率をはじめとして、「明らかに事実と違う」と容易に判断されるような統計や予想が政府・政府系機関から出されていることも完全な事実です。そのトルコ公式統計に基づいて出される、日本を含めて、外国の機関・組織が出すトルコに関するレポートの指摘は、「大きく事実と異なっている」と管理者には感じられることが多々あります。このブログの読者の皆様は、管理者のことを“悲観主義者だ”と思われるかもしれませんが、このような背景があるために、「より合理的、より事実に近いと思われる情報」を紹介した結果として、「管理者の指摘する内容が、(非常に?)悲観的に見える」という可能性は大きいと思います。
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2023年08月15日 14:11
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大統領選挙(及び国会議員選挙)後に、内閣改造(大臣のすげ替え)と中央銀行総裁の交替が行われました。その時に、注目人事として、ソイル内務大臣(以下全て「当時」)、アカル国家防衛大臣及びフィダン国家諜報庁(MIT)長官の3人を紹介しました。少し長くなりますが、引用します。「特に注目されたのがソイル内務大臣とアカル国家防衛大臣でしたが、この二人も大臣には再任されませんでした。(中略) もう一つの注目人事は、フィダン国家諜報庁(MIT)長官の外務大臣任命でした。後任のMIT長官には、側近中の側近であるカルン大統領府報道官が就任しています。カルン新MIT長官もソイル内務大臣とは犬猿の仲と言われているので、“ソイル包囲網”あるいは“ソイル無力化”が図られことは明白と言われています。警察及びジャンダルマ(内務省軍)を使って、身内への諜報活動?もやりたい放題だったソイル内務大臣に手を焼いていたエルドーアン大統領の練りに練った作戦(バフチェリMHP党首から反対されないよう、国会議員になった全ての前大臣からは一人も入閣させなかった)だったという解説もありました。管理者も、この指摘は当たっていると考えます。意見が分かれているのがフィダンMIT長官(新外務大臣)です。“諜報機関のトップから外し、後任に側近中の側近を送った(外務大臣としてはカルン前大統領府報道官の方が何倍も相応しいという指摘もあります)こと ”に関して、ソイル内務大臣と同様に、“影響力を削ごうとした”という否定的評価がある一方で、“裏(諜報)の政界から表(外交)の世界に飛躍させた。ポスト・エルドーアンの最有力候補”という真逆の肯定的評価もあります。管理者は現時点ではどちらの評価が正しいのか分かりません。が、経済分野でのエルドーアン大統領の動きを考えると、前者(=危険人物の影響力を削いだ)に近いように思います。」
あれから2ヶ月以上経過しましたが、国会議員(かつ委員会委員長)に転出させたソイル前内務大臣とアカル前国家防衛大臣については、完全に予想が当たり、この2人に関するニュースは全く聞かれなくなりました。さらに、内務省とトルコ軍において大規模人事も行われ、この2人に近い人物はすべて左遷され(言いすぎであれば、重要なポストから監視できる役職に移動させられ)、この2人の影響力は完全に消滅させられたという解説がありました。管理者もこの解説はほぼ完全に正しいと考えます。一方、フィダン前MIT長官については、外務大臣としては活躍していますので、「左遷された」は完全には正しくないとしても、トルコにおける権力者としては、格付けとしては上がって(長官から大臣へ)いても、MIT長官の持つ情報力からは遠ざかっているため、「影響力を削がれた」という観点については、正しかったと考える人が多そうです。
内務大臣、国家防衛大臣、MIT長官及び外務大臣の人事、そして、元大臣は全て国会議員にし、かつ、委員会委員長という名誉職につけ、また、カヴジュオー前トルコ銀行総裁を銀行監督監査委員会(BDDK)委員長にしていることから、エルドーアン大統領の党内権力掌握方法は、人事権であり、「ナンバー2も作らず、敵も作らない」という手法と思われます。「ナンバー2を作らない」を簡単に証明できる方法は、「今、何らかの事情でエルドーアン大統領が大統領でなくなった場合、後を引き次ぐのは誰か」と質問することです。“誰も答えられない”か“100通りの回答が出る”という状態です。ビラール・エルドーアンという長男を中東訪問に連れて行き、トルコ政府と無関係であるにもかかわらず席次を2番目にするということをしていますが、「ビラール・エルドーアンが後継者である」と考えている人は、現時点ではそれほど多くないと思います。実子以外では、ベラート・アルバイラク元国庫・財務大臣と、武装無人機バイラクタル2の開発者兼経営者(バイカル社最高技術責任者)であるセルチュク・バイラクタル氏という2人の娘婿がいますが、豊臣家(秀次と秀頼)と同じ状態にならないとは限りません。日本の例を引くまでもなく、トルコでも大人気を博し、日本でも紹介されている“Muhtesem yuz yil(栄光の世紀) ”という長編ドラマでも描かれていましたように、オスマン家跡継ぎ問題は、あるいは帝位継承は“身内の殺し合いの結果”という側面もありますので、“エルドーアン後(ポスト・エルドーアン) ”は大混乱になるかもしれません。
なお、トルコ政治で忘れてはならないのは、エルドーアン大統領の前、より正確には、憲法裁判所長官から大統領になったセゼル大統領の前のデミレル大統領とオザル大統領はそれぞれ院政を引こうとしましたが、いずれも失敗したと言えます。つまり、トルコでは、一旦、最高権力が他人に移れば、その最高権力者を、前任者も含めて誰もコントロールできないということです。ある意味で、世界中のどこでもあることとは思いますが、トルコでは“小さくでも俺の物(が良い、でなければならない)”、“鶏口となるも牛後となるなかれ”で、自分がトップに立つことを重視しますので、「形式的に最高権力を引き継いだ人なら誰でも、実質的な最高権力者になろうとする」のは当然と思われます。トルコにおける最近の例外は、ギュル前大統領くらいではないでしょうか(この時はまだ、実質的な最高権力者は「大統領」ではなく、「首相」だったとは言えますが、、、)。したがって、余程信用できる人でなければ、自分の後継者にすることはないと考えられます。別の言い方をすれば、「トルコには諸葛孔明はいない」ということになります。ウィキペディアから少し編集して引用しますと、「三国時代の蜀の皇帝である劉備は崩御にあたり諸葛孔明に対して『そなたの才能は曹丕の10倍ある。きっと国を安定させて、最終的に大事を果たすだろう。もし我が子(劉禅)が補佐するに足りる人物であれば補佐して欲しい。もし我が子に才能がなければ迷わずそなたが国を治めてくれ』と李厳と共に事後を託した。これに対し、諸葛孔明は、涙を流して股肱の臣下としての忠誠を誓った。」とのことです。しかし、エルドーアン大統領(劉備)がビラール(劉禅)の補佐を諸葛孔明(後ろ盾になってもらいたい誰か)に託したなら、トルコの諸葛孔明?は“必ずや劉禅を排し、あっという間に自分が帝位につく”という意味です。
引用が長くなりましたが、結論を一言で言えば、「現時点では、ポスト・エルドーアンはブラックボックスの中」ということになります。いずれにしても、エルドーアン大統領にとっては、「トルコには諸葛孔明がいない以上、ナンバー2は絶対に作ってはいけない」という状態と思われます。そして、過去21年間、より正確には「特くに大統領就任後の過去10年間」で、「能力のある人を登用する・就任させるのではなく、自分の指示・命令に100%従う人を重要なポストに付ける」という対応をして来ましたが、今後もこの状況は続くと思われます。このことを野党関係者などは、「liyakat(リヤーカット。能力)よりもsadakat(サダーカット。忠誠)を重視した人事だ」と指摘してきました。(その典型例は、ネバティ前国庫・財務大臣ではないかと思われます)
この話題以外では、メトロポ(‐)ル社が行った面白い?アンケート調査の結果を、時々紹介している外交が強い新聞記者が紹介していました。別の機会に紹介したいと思います。
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2023年08月13日 22:27
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非常に大事なポイントですので、前々回、前回に続き、3回目ですが、引用します。「エルドーアン大統領に対インフレ策はなく、その意思もない。表面を取り繕って、何とか来年の統一地方選挙を乗り切ることだけを目的としている。したがって、今後もトルコ経済は悪くなることはあっても、良くなることはなく、ましてや統一地方選挙後は、トルコ経済は一層悪くなる。」 ということが、更に明確化しています。エルドーアン大統領の娘婿であるアルバイラク元国庫・財務大臣が大臣だった時に言った“ここが重要だ”と言うフレーズが、この引用部分にぴったりと思われます。
なお、エルドーアン大統領の誤算(最大の問題)?は、「“自分はマクロ経済を分かっていない”という自覚がない」ことだけではなく、「能力のある人物を選ぶ力もなく、例え、選択が正しくても、行動の自由を与えていない」ということにあると思われます。つまり、“(高)金利が原因で、(高)インフレが結果”という世界で唯一の理論(実は、「エルドーアン大統領が原因で、インフレは結果」)を適用してトルコ経済を滅茶苦茶にした結果を改善するために、シムシェキ国庫・財務大臣とエルカン・トルコ中央銀行総裁を採用したのですが、それが正しいのかどうかはまだ分かりませんが、もしも正しい選択だったとしても、二人の手足を縛って、包括的かつ徹底的なインフレ対策の実施を認めていない結果、現時点ではインフレが加速しただけで、トルコ経済の回復の兆しは全く見えない状態です。シムシェキ国庫・財務大臣とエルカン・トルコ中央銀行総裁については“現時点では評価は不能”ですが、徹底的なインフレ対策が実施できないのは、エルドーアン大統領に大きな責任があると思われます。つまり、「金利は(宗教上の)罪」や「癒着企業にだけは、低金利で無制限の融資を認める」ために、政策金利の引上げを殆ど認めていません。「ほとんど認めていない」というのは、現在の超低金利、より正確には「大幅な実質マイナス金利(インフレ率70〜120%に対して、銀行金利は30〜50%程度)」を維持させています。一部では実際に行われているようですが、「銀行から可能な限り多く借入れて、ドル・ユーロなどの外貨や金(Gold)を買っておくだけ」で大規模な利益を得ること(金利を払う以上に、外貨・金が値上がりする)ができます。あるいは、“為替保護付き預金(KKM)”をすることでも、確実に利益が出ます。それ以上に財政赤字を拡大させる元凶となっているのは、橋、高速道路、病院などです。BOT方式(建設費用は民間企業が負担し、民間企業は建設した施設の運用から得られる利益で投資を回収し、最後はその施設を政府に引き渡す)で建設させ、施設運用に関して3〜5年程度で同じ施設を作ることができるほどの“保証金”を建設企業に支給しているため、オスマン・ガーズィー大橋(イズミット湾横断橋)をはじめ、橋、高速道路、病院などで、大規模な財政支出を発生させています。つまり、100%赤字になる(巨額の保証料の支払いが発生する)こと、そして、政府予算で作れば3〜5年分の保証料で建設できることを分かっていながら、あえてBOT方式で癒着企業に建設させているということです。今でもこのような政府の巨額の無駄遣い(これと比べれば、エルドーアン大統領の護衛大軍団への無駄遣いは“かわいいもの”と言えます)が続いています。つまり、為替保護付き預金(KKM)の差額補填から生じる巨額の財政負担(最近、国庫・財務省から中央銀行の負担に変更)や保証料という名の資産移転(無償贈与)が巨額の財赤字の原因となっています。「財政倫理」などと言っていますが、この赤字(財政支出)を埋め合わせるために増税を行わざるを得ません。本来は支出を大幅にカットすれば増税する必要は全くありませんが、「支出(無償贈与)ありき」で垂れ流しを続けていながら、一方では「貧しい国民に関連する増税、給与・社会保障の凍結・低率引上げ」が行われています。
結局、インフレの説明が長くなってしまいましたが、「増税すれば国民が困窮し、消費が振るわなくなる(ただし、「現金から物への交換」は加速)。また、インフレ対策などのために外貨相場の上昇(暴騰?)を抑え込んでいるため、トルコ人にとってだけではなく、外国(EU諸国、アメリカ、イギリスなど)からの観光客にとってですら、トルコの物価(例えばホテル代、食事代)は上昇して、競争力を失っている。また、過去20年間で、農産物をはじめ、様々なものを癒着企業に輸入させて儲けさせていたため、農産物や多くの工業製品も、トルコで生産せず、輸入(を増加)させてきたため、輸入も止まらない。」という状態です。賃金水準が異常に低いにもかかわらず外国と比べて競争力がなくなっているため、夏の農産物の収穫期、観光のハイシーズンにもかかわらず、TUIKの統計ですら今年6月の失業率が上昇しました。現時点では失業率の上昇率はそれほど目立ったものとは言えませんが、上記のように、今後トルコ経済は一層悪くなることが確実であり、少なくとも“本当の失業率”は上昇することが確実視されています。インフレも生活を苦しめる重大問題ですが、そもそも収入がなくなる(減る)「失業」はさらに深刻な問題と言えます。今後は、インフレ対策の名の下に、これまで以上に「国民の負担増加と国民への支援減少」が予想されているため、年末、あるいは年始までは一般トルコ人にとっては非常に厳しい状況が予想されています。トルコの人口が約8,500万人ですので、トルコ人の5%がバカンスに出かければ、400万人以上が移動することになりますが、これですら、困難な状況となっているようです。上でも紹介しましたが、例えば、スペインやクロアチア、とりわけすぐ隣のギリシャと比べても、(国際)競争力がなくなっているということで、トルコの観光業は相当厳しい状況が予想されます。
最後に、TUIKの失業率は全く信用できません(数字を堂々と?いじることができる季節調整後の数値となっています)がその失業率と、多少なりとも信用のできる(相手があるので大嘘はつけない)貿易統計について、参考までに紹介します。いずれも6月の統計です。上で説明した状況が、TUIKの数字からもにじみ出ています。
季節調整後の失業率(16〜64歳) 9.6%(前月から0.1ポイント上昇)
男性の失業率 7.8%
女性の失業率 13.2%
雇用率 47.8%(前月から0.6ポイント低下)
男性の雇用率 65.2%
女性の雇用率 30.8%
雇用参加率 52.9%
若年失業率 18.6%
広義の失業率 24.2%(前月から1.7ポイント上昇)
「広義の失業率」=「未活用労働指標」については、いろいろと定義があるようですが、日本では、最も範囲を広げた「未活用労働指標LU4」=「(労働力人口+潜在労働力人口)に占める(失業者+追加就労希望者+潜在労働力人口)の割合」とのことです。なお、追加就労希望者は「今よりも労働時間を増やしたい人」、潜在労働力人口は「就職活動はしていないが、働くことができる人」といった感じのようです。
6月の輸出 209億400万ドル(前年当月比10.5%減)
6月の輸入 260億6,400万ドル(前年当月比17.5%減)
6月の貿易赤字 51億6,000万ドル(前年当月比37.3%減)
1〜6月の輸出 1,233億4,100万ドル(前年当月比1.9%減)
1〜6月の輸入 1,845億7,600万ドル(前年当月比4.1%増)
1〜6月の貿易赤字 612億3,500万ドル(前年当月比18.7%増)
つまり、TUIKの統計でも、実質的に「4人に1人が失業状態」ということになります。また、貿易も半年で見れば輸入も輸出も昨年から大きくは変わっていませんが、貿易赤字は拡大しています。つまり、リラ安が進んでも、輸出はほとんど増えておらず、貿易収支も改善していません。これも上で説明しましたが、貿易に関しては「インフレ率と為替相場の変動の影響」だけではなく、トルコの産業構造の変化が影響していることを示しているものと考えます。野菜、果物、生花などをアンタリヤなどからイスタンブルまで運ぶのと、イギリス、ドイツ、フランスのようなEU諸国へ輸出するのでは、軽油価格や高速道路・橋の通行料などの国内輸送コストが急上昇しているため、大きな差はなくなっているので、輸出が増えてもよさそうなものですが、オリーブオイルなどは、国内価格の上昇を抑えるために輸出禁止措置が取られているという話もあります。新型コロナウイルス(KOVID-19)の流行期などに、レモンやジャガイモの輸出を制限したことがありましたが、その結果は、「国内の価格は下がらず、輸出市場を失って、農家が大被害を受けた」という結果になっています。加工食品であれ、生鮮食品であれ、輸出を禁止したからと言って国内価格が下がることはほぼありません。なぜなれば、農家・工場の売り渡し価格とイスタンブルの小売価格で元々非常に大きな差が既にあり、根本的原因は輸送コストを中心とする仲介業者、販売業者の段階にあって、農家や工場にあるわけではないためです。
まとまりがなくなってしまいましたが、失業率は、「高インフレ率と、それに対するとりあえずの対策」の結果、来年3月の統一地方選挙までにも上昇する危険性が高いと考えられています。そして、選挙対策としての弥縫策も崩壊する来年4月以降は、TUIKの発表はいざ知らず、本当の失業者数、失業率は大幅な上昇が懸念されています。
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2023年08月07日 10:23
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前回、前々回を引用して、「(いつも紹介している)解説者は、一言で言えば、『エルドーアン大統領に対インフレ策はなく、その意思もない。表面を取り繕って、何とか来年の統一地方選挙を乗り切ることだけを目的としている。したがって、今後もトルコ経済は悪くなることはあっても、良くなることはなく、ましてや統一地方選挙後は、トルコ経済は一層悪くなる。最悪なのは、“トルコ(経済)が長いトンネルに入ったこと”ではなく、“トンネルの出口が全く見えないこと、あるいは、出口があるのかどうかですら分からないこと”である』と指摘していました。」と紹介しました。そして、前回はこれに加えて、「今回の結論としては、『トルコ経済は破綻状態。本来であれば、政府が緊縮する必要があるが、負担を貧しい国民に押し付けている。それでも、今年末頃まではそれなりに正当な経済再建政策も取られるが、年末から来年3月の統一地方選挙までは再びバラマキ政策に戻る。その結果、来年4月以降、トルコ経済は今以上に目も当てられない悲惨な状態となる。』ということになりそうです。この見方は、トルコの評論家の間ではかなりの程度受け入れられているのではないかと思います。」と紹介しましたが、残念ながら、この状況を変えるものは何もありませんでした。
このブログの読者の皆様も、エルドーアン大統領及びその閣僚たちのマキャベリズムぶりに関する説明にはもう飽き飽きしていますので、詳しくは紹介しません。一方で、野党の迷走ぶりは、どうしようもないレベルに達しているように思います。一部の解説者・識者はCHPの変化の動きに一縷の望みを見出しているようです。残念ながら管理者はそうは思えません。管理者は、クルチダルオールCHP党首のことを完全に勘違いしていました。もう少し「国民のこと、トルコのことを考えている人」かと思っていましたが、トルコ人の一つの典型である「小さくても自分の物(自分が支配できるもの)が良い」にほぼ100%合致している人であることが明らかになっています。一方のイマムオール大イスタンブル市長も1年ほども前の黒海地方への遊説の際、「ミニ・エルドーアンである」という点で完全に馬脚を現しています。現在も、暗闘なのか、明闘?なのか分かりませんが、管理者が目にできる(耳にすることができる)限りにおいて、「CHPには変化が必要である」ということは全員が認めているものの、現時点でやっていることは、「CHP党首にしがみついている人(々)と引きずり降ろそうとしている人(々)」の2種類の人々が存在しているだけで、建設的な部分は全く見えてきません。勿論、(反政府系)メディアが面白おかしく報道しているだけで、実勢には“建設的な激論”が行われているのかもしれませんが、少なくとも報道では全く見かけません。
なお、最後に明るい話題も紹介します。ヤヴァシュ大アンカラ市長は、困窮しているアンカラ市民=アンカラ県民の支援のための生活保護政策の強化を打ち出しました。早速、与党は「市長は、人気取りのためにトルコ人の困窮状態を悪用している。政府の仕事に首を突っ込む前に、(自分たち与党が否決して実現できなくした)市民に約束した政策を実現させるべし」との批判をしているという報道もありました。内部抗争にうつつを抜かすよりも、市民が裨益する政策をしっかり実施することがより有効だと思います。(ヤヴァシュ市長は大統領選挙の時のも一切色気を表にすることはありませんでしたが、今回のCHP内部抗争にも距離を置いているのかもしれません=「党首を狙っていない」という意味ではありません)
政治状況の説明が長くなりましたので、ここからは、今日の主要テーマ?であるインフレ率と為替相場に関する話題ついて紹介します。毎月1日にイスタンブル商業会議所(ITO)が前月のイスタンブルの消費者物価(給与所得者生活指数)と卸売物価を紹介します。そして、3日にはトルコ統計庁(TUIK)が消費者物価指数(TUFE)と国内生産者物価指数(YI-UFE)を発表しています。これ以外に、有志の経済学者集まって計算したENAGの消費者物価が発表になっています。TUIKには何年も前から“数値操作疑惑”が指摘されていましたが、現在は、疑惑ではなく、判決を無視することで「自白状態」となっています。DISK(トルコ革命的労働組合連合会)という、今は理論的論戦と法に従った抗議行動のみを行っている、しかし、最も政府に対して正々堂々と要求を突き付けている組合(そのため、政府の交渉の場にはほとんど呼ばれない)が、「TUIKが消費者物価指数の計算に使っているバスケットの内容を発表しないのは違法だ」と訴え、裁判所がTUIKに開示を命じる判決を下しましたが、TUIKは数ヶ月経っても発表していません。正しくは、TUIKの上級官庁である国庫・財務省を訴え、判決が下されたものですが、誰の責任であれ、「どんな数字(価格)が集まり、どうやって計算したか」については今でもブラックボックス状態となっています。「数年前から誤魔化し続けてきたものが、事実と発表数字の差が余りにも大きくなりすぎて、最早、誤魔化しきれなくなった」ため、根拠を全く示さず、単に先月は50%で、今月は45%などと、適当な数字を発表していることになります。イスタンブル商業会議所(ITO)の役員はAKP寄りであっても、会員は反AKPも当然いると思われますので、ITOはさすがにTUIKのほどはデタラメを数字が出すことはできないためか、元々TUIKよりもやや高めの数値を発表していましたが、最近ではTUIKとの差が大きくなっています。ENAGは全ての数字と計算方法を明らかにしているため、検証可能な数字と言われています。問題があるとすれば、「価格調査地点・時期が不適切、計算(方)式が不適切」という批判は可能ですが、少なくとも検証可能という時点で、「何を表わしているか(どんなバスケットを採用しているか)」を除けば、数値自体は正しいことが保証されています。またまた解説が長く案ってしまいましたので、ここで7月のインフレ率(消費者物価指数)の数値を紹介します。
機関 月間 年間
TUIK 9.49 47.83(%)
ITO 9.84 63.76
ENAG 13.18 122.88
TUIKの数字を採用するとしても7月の月間インフレ率が、世界の100ヶ国以上の国々の年間インフレ率を上回っている状態です。この数字を使って解説を行っていた経済学者は次のように述べて、中期的な為替相場予想を述べていました。
その根拠となるのは、次の4点と紹介されていました。
1 エルドーアン大統領の経済政策には大きな変化はない
シムシェキ国庫・財務大臣やエルカン・トルコ中央銀行(TCMB)総裁を採用した後でも、実質金利は大幅マイナスなままで、低金利を癒着企業に提供し続ける。嘘のインフレ率を発表して、公務員給与、最低賃金、年金などは低く抑え、一方で、一向に減らない垂れ流し(大統領府などの行政機関経費や癒着企業への支払い)の埋め合わせのための増税を続け、「財政倫理を守る」と主張する。(増税によるインフレ加速も起こり得る)
2 そのため、欧米諸国をはじめとする国際投資家からのエルドーアン大統領の信頼回復はない。勿論、「司法の独立、法の支配、行政・経済の透明性」などの基本原則の欠如も一向に改善されていない。したがって、海外直接投資がトルコに入ることもなければ、海外からの借入でも高利貸し金利でしか借入することができない。(中東諸国からも足元を見られており、国家資産の叩売りを行うことになるか、あるいは噂されているような、「スウェーデンのNATO加盟の代償としてIMFからの融資実現」という裏取引が必要になる)
3 以上2つの結果として、インフレ率は、これから“更に管理不能状態”に陥る可能性が高くなっている。
4 貿易赤字が拡大する(経常赤字も拡大する)
激しい物価上昇が続くため、トルコ国内ではリラ現金を保持することはなくなり、金持ちも貧乏人も、可能な範囲で資産を“物に換える”、つまり、家、自動車は勿論のこと、トイレットペーパー、洗剤など、可能な範囲で物を買いまくる方向に動く。農業(小麦、綿花、茶、ヘーゼルナッツなどほとんどすべての農畜産物)をはじめ、多くの分野(紙、砂糖など)で工業生産(工場操業)が止まっていることもあり、輸入が一層増加する。当然ながら、外貨や金(Gold)も主要投資先となる。
以上のようなトルコの経済状態を反映して、「中期的には1ドル=45リラ、1ユーロ=50リラになる」と予想していました。
いつ頃、この水準に達するのかは分かりませんが、管理者も何度も指摘していますが「それでもリラ安は止まらない」が正しいと思っています。いつかどこかで反転しますが、それは、「トルコ社会/経済がひっくり返るところまで行ったとき」と言うことになりそうです。選挙によってひっくり返る可能性があるのは、原則として、今から約5年後になります。来年3月の統一地方選挙は、野党の足並みが乱れているので、「そもそも野党市長がどれだけ生き残れるのか」という状態ですが、例え、市長だけではなく議会も、しかも、5月の選挙でエルドーアン大統領への支持率が55%、あるいは60%以上あったような小アジア半島の大部分で与党が敗れ、野党が勝利しても、政権交代にはつながりません。多くの民主主義国であれば、「国民の意思を改めて問う国政選挙(トルコでは制度上、大統領選挙と国会議員選挙が同時に行われる)」を行う可能性が高いのですが、エルドーアン大統領がそうする可能性は万が一にもないと思われます(大統領権限があれば、いかようにも対処できます)。100歩譲って?、トルコ経済が完全に崩壊した後、エルドーアン大統領はようやくトルコ経済の本気の再生を行うことになると思われます。が、「経済再建は、経済システムの変更だけでは実施不可能。まずは、司法制度の改革、司法・行政の透明化が必要」と多くの識者が指摘しているように、どん底に落ちた後でも経済再建がどの程度実現するかは未知数です。
なお、選挙後は、反政府系報道機関関係者の逮捕や再収監、TV局への放送禁止など、反政府系メディアへの締め付けが一層強くなっています。これは、次々と打ち出した増税などの結果によるインフレの高進と、その真逆の賃金・年金の低引上げ・据え置きによるトルコ国民の生活困窮状態を報道させないためと思われます。
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