かつて観光地に大量発生していた、ファンシーなイラストが書かれたゆるいおみやげ。絶滅寸前の危機にある「ファンシー絵みやげ」の保護・収集活動をしている山下メロ院長に、80年代再評価の機運が高まる今、インタビューを行った!
「おみやげの世界でいうと、ペナントとか提灯って、ファンシー絵みやげよりもずっと古いものなのに、話題に上り続けてるんですよ。
それは、ちゃんとしたジャンル名があるから。でもこれら(現在『ファンシー絵みやげ』と名付けたもの)に関しては、『ホラ昔あったじゃん、こういう絵が書かれててさ~』っていうお互いの認識が一致してやっと話が始められる……これじゃ話題にならなくて当然だろうと。そこで『ファンシー絵みやげ』と名付けました。残念ながら今年は流行語大賞に選ばれなかったですね……。
でも今、お土産屋さんを回っていても、こういうものは数軒回ってなんとか見つかるという感じで、なにも見つからないケースもたくさんあります。80年代のタレントグッズやサンリオものはずっと集めていたんですけど、5年前、フリーマーケットでファンシー絵みやげが10円で売られていたのを見つけるまで、ずっと存在を忘れていたんですよ。
最初は『うわーこういうの、めちゃめちゃ集めてたー!』って嬉しくなったんですけど、その喜びもつかの間、すごい危機感を感じたんです。これだけ80年代の文化を追いかけてきたのに、その間一度も思い出さなかった。カルチャー本やネットを見ていても情報が出ておらず……。観光地に行けば嫌でも見ざるを得ないくらい存在していたものなのに。これは保護せねば! と思って、集め始めました。
しかしこれ、なんなんですかね……。私はもう冷静に見られなくて全部カワイイと思ってるんですけど、客観的に見るとこのキーホルダーのKYOTOの「O」の字の位置も、はみ出しそうなくらいギリギリじゃないですか? 60年代や70年代のデザインが昭和レトロとして評価されているのと違って、クオリティはイマイチなものが多いです。
国内旅行が一番盛り上がっていた、バンバン出せば売れる時代のせいで『コレ、どうしたんだろう』みたいな商品が大量に世に出てしまったんだと思います。
ファンシー絵みやげが減ったのは、バブルがはじけて国内旅行の需要が減ったのが大きいと思うんです。ご当地キティとか、確実に売れる版権ものが主流になって、オリジナルで絵を描くことも少なくなった。でも、みんなが所有したいものではないとしても、そういう文化があったことすら消えてしまうのは恐ろしいと思いました。
バブルっていう特殊な時代に、人々が何を感じて、何を買っていたか。こういう商品を作って売る仕事をしていた人がいて、それをみんなが買っていたっていう歴史的事実があるのに、それが消えかかっていたので、これは保護して伝えていかないと、と思ったんです。
これが、日本の経済が特殊だった時代のカルチャーだ! ということで、海外のお固い博物館に収蔵してほしいですね。エドワード・モースが日本の庶民のちびた下駄とかを集めて『なんでゴミ集めてるんだ!』ってバカにされたけど、のちにそれが評価されて博物館に展示された…みたいな感じです。とにかく私は、すべてのファンシー絵みやげを見たいんです」
山下メロ院長
ファンシー絵みやげ研究家。8 0年代・90年代の庶民風俗を研究。特に観光地のファンシーイラストが描かれたお土産雑貨=「ファンシー絵みやげ」を収集・研究しており、各種メディアで保護を訴えている。訪問した土産店は1500店を超え、所有するファンシー絵みやげは4000種を超える。Webマガジン『雛形』にて連載中
当時新しい文化だったCDを大胆に取り入れオーロラ仕様に。discというマークがあるが、もちろん規格に準拠していない。「『CDって虹色に光るらしいぞ』『丸いらしいぞ』って本物見たことない人が作った感じがするんですよね
ぜひ取り上げていただきたいのがこのMAJOON(マジューン)というキャラ。最初はファンシーじゃないと思って無視していたんですけど、いろいろバリエーションもあって、けっこう見かけます。下に書かれている「BISHIGURO」の意味はいまだに謎。なんなのかをほんとに聞きたいです。石みたいな質感のマグカップ、今は全く流行ってないですけど昔は逆にこれがナウかった
ファンシー絵みやげの3か条
1.キャラクターの目と眉毛が離れている
2.派手なデザイン
3.日本語をローマ字で書く








コメント