厚生労働省の臓器移植委員会「臓器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等に関する作業班」(班長=新美育文・明大法学部教授)は3月30日、4月に開かれる同委員会に報告する最終的な提言を取りまとめた。この日は、結論が持ち越しとなっていた「知的障害者等の意思表示の取り扱いについて」と「虐待を受けた児童への対応について」の2点を集中的に議論。死亡した児童について、虐待が疑われても、死亡に「深く関与」していないと判断された場合には、臓器提供を可能とすることで合意した。

 「知的障害者等の意思表示の取り扱いついて」は、前回会合で見解が分かれた、身体的・能力的に意思表示が困難な障害者の臓器提供の意向をどう扱うかをめぐって再度、班員が意見を交わした。その結果、「年齢に関わらず、当面、法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は見合わせることが妥当である」としつつも、「有効な意思表示が困難となる障害を有する者について、一律のその意思表示を有効と取り扱わない運用は適当ではなく、また一方で、意思表示がないことをもって、一律に臓器提供に関する意思がないものとする運用にも問題があることから、その運用については、今後さらに検討すべき」という事務局側が示した案で決着した。

 「虐待を受けた児童への対応について」は、虐待の判断を医療機関がどう行うかについて班員の間で大きく意見が分かれていたことから、事務局側から「具体的な手順」を示した新たな案が提示された。これについて水野紀子班員(東北大大学院法学研究科教授)は、「虐待の判断を誤ることへの非難を医療機関側が恐れて、その結果、多くのケースで判断が『虐待の疑いのあるケース』に偏っていくのでは」などと指摘。また手嶋豊班員(神戸大大学院法学研究科教授)は、「(医療現場が迷わずに虐待を判断するための)例示はできないのか」などと提案した。これに対して、宮本信也参考人(筑波大大学院人間総合科学研究科感性認知脳科学専攻教授)は、「それをすると、リストの羅列になってしまう。むしろ、現場がきちんと判断できることの方が大事」と述べた。また、「虐待の疑いがなくなった場合の対応が不明確」「臓器提供のルートに戻ることが可能であれば、それを明示すべき」などの声が上がり、「虐待が児童の死亡に深く関与していた疑いが否定された場合には、臓器提供は可能」という内容を盛り込むことで最終的に合意した。

 事務局では、細かな文言の修正を行った上で、4月5日の同委員会に最終的な提言として報告する。


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