11人が死亡した兵庫県明石市の歩道橋事故(01年7月)で、検察官役を務める指定弁護士は20日、県警明石署の榊和晄(さかき・かづあき)・元副署長(63)=退職=を業務上過失致死傷罪で在宅で起訴した。昨年5月施行の改正検察審査会法に基づき強制的に起訴する全国初のケースとなった。

 起訴内容は、同署の警備本部副本部長として事故を予見できたのに、不十分な雑踏警備計画を是正しなかったうえ、当日も、歩道橋の状況を把握して通行規制など事故防止策を指示する義務を怠った、としている。今年1月の神戸第2検察審査会の起訴議決を踏襲した内容で、榊被告はこれまで否認している。

 神戸地検は02年12月、書類送検された12人のうち、同署、市、警備会社の各現場責任者ら5人を起訴。事故当日の過失に限定して検討し、元署長(07年7月に病死)と榊被告については「現場の状況把握が困難だった」として容疑不十分で不起訴処分にした。しかし、指定弁護士らは「警備計画作成段階にさかのぼらないと事実関係は理解できない」とする同検審の判断にならい、事故当日だけでなく計画段階の過失も起訴の対象にした。

 また、同罪の公訴時効は5年だが、指定弁護士らは同署元地域官の金沢常夫被告(60)=上告中=を共犯者と認定。刑事訴訟法の共犯の時効規定に基づき、榊被告の時効は停止していると判断した。

 指定弁護士は公判で冒頭陳述や論告・求刑なども行う。公判では、遺族のほか、公訴時効について専門家から意見を聞く方針。【重石岳史】

 ◇指定弁護士3人「やっとここまで来たという感じ」

 指定弁護士3人は20日午前11時半から記者会見。主任の安原浩弁護士は「やっとここまで来たという感じ。今後の立証も大変だが、身が引き締まる思い」と話した。補充捜査の対象については「言えない」と答えるにとどまった。

 また、安原弁護士は、起訴議決をした検察審査会の判断について、「(今回調べてみて)起訴されてしかるべき事案だと確信した」と話した。被害者参加制度については、「被害者と密接に連携をとってサポートしたい」と話し、積極的に活用する方針を示した。

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