100円ショップってのは、やっぱ素晴らしい。今の時代、モノ探すなら、まずは100円ショップを覗くのが賢者の成功法だ。かの孫正義が松下幸之助から受けた助言の1つに、「まずは100円ショップから攻めなさい」っていうのがあったはず。あんなものからこんなものまで、大きな店舗であればあるほど、意外なものがワンコインで揃うなんてなぁ。喜ぶべきはそのクオリティー云々よりも、まずは「発見できる」ということだね。買うか買わないかチョイスができる。これも醍醐味のひとつ。

ということで、最近は100円ショップを発見しては、撮影備品やら撮影小道具やらを吟味したり、消耗品、生活雑貨を入手しているのでごじゃりまするよ。

正月ボケもそろそろ収まりつつあるそんなある日、近所にある大手100円ショップ『ダイソー』にて、オレはひとり、若干の興奮状態を悟られないよう店内を徘徊していた。外側が接着式の両面のマジックテープを探していたのだ。広い店内が故に、なかなか見つけ出せないジレンマもあり、その途中で新たな発見もしたりするものだから、相乗効果で勃起しまくり。故にお目当てを発見したときの喜びも大きい。結果、余計な買い物が増える。これは店の策略だ。まんまと罠にハマっておる。そんなときだった。不意に背後からオレを呼びかける声がしたのは…。

「兵隊さんかい?」

耳を疑う。だが確かにそう言われた。振り返ってみると、手にカゴを携えたジイさんが立っていた。齢70〜80歳くらいだろうか。上下グレーのスウェットで、白髪まじりの鼻毛が垣間みれる。目が合ったオレに対し、彼は質問を続けた。

「その帽子カッコイイねぇ。どこに売ってるんですか?最近はそういう帽子かぶってる人も減ったからなぁ。どこにも売ってないんだよ。どこに売ってますか?その帽子」

100均の店内で、まさかの質問。ファーストコンタクトがこれか。厳しいな。話の内容からすると、戦争を経験されているお方です。これはあれか。映画『フィールドオブドリームス』的な感じの遭遇なのか。今オレが見ているご老公は、この店に取り憑く地縛霊か何かか。オレを通りすぎる客は、まったくこのジイさんに違和感を感じていない。それとも『シックスセンス』的な方なのか?いずれにしろ、オレにしか見えてないと錯覚するほど、周りは関与していない。あ!『ベンジャミンバトン数奇な人生』ってことか?! ふ、不安だ。

そんな心境のままジイさんの質問に答えるべきなのか?兵隊かどうかの下りは、おそらく「こんにちは」くらいのニュアンスだと解釈するとして、どこに売っているかを本気で聞こうとしているのだろうか。だとしたら、面倒臭すぎるだろ。どう考えても、新宿東口の「TOPMAN」を知っているとは思えない。

「TOPMANです」

いやいや、言っても絶対に通じないさ。ジイさんが本気でTOPMANにいたら、相当すごい画になるけど。ちなみに、オレがそのときかぶっていた帽子はコレ↓
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確かに言われてみれば日本兵がかぶってたヤツに見えなくもない。けど、これ絶対に兵隊の帽子ではないよなぁ。ジイさん完全に兵隊の帽子って決めつけて会話しているし。でも、徐々に確信は分かってきた。ジイさんは誰かと話がしたかったんじゃないかって。新手のナンパです。イビツなアプローチだこと。段々それに乗っかるのが楽しくなってきちゃってね。もういいですよ兵隊で。兵隊の帽子でいいですよ。ええ、帽子をとればボウズですし。ついでにTOPMANも教えてあげました。

だけどまあ、ジイさんTOPMANにたどり着けるだろうか。若者しかおらんぞ。それに、帽子売り切れてたら、その場で死んじゃわないだろうか。たどり着けることを祈ります。ジイさんがその帽子をかぶって、兵隊だったあの日の若き自分に戻れることを祈ります。

100円分のスリルとメルヘンだったな。