私はこのところ個別経営相談社長セミナー企業研修MBA授業収録などが続き、グロッキー。足もとが覚束ない。

一昨日は和田創研にとりきわめて重要な顧客で「提案営業導入講座」を行った。
かれこれ十年近いおつきあい。心より感謝。
この大手メーカーで製造・技術・開発などの主要メンバーに限定し、異例の午前9時〜午後6時の長時間研修。
大会場は満席。
私は疲労と酸欠で途中何度か酸素ボンベを吸入しながら乗り切った。
ちなみに営業職は全員受講済み。
製造業は営業単独で「ソリューション」を行うことはできない。それではライバルとの戦いで勝ち目がない。
彼らとの緊密な連携、彼らの強力なサポートが絶対不可欠である。
終了後、本社の正門で研修の事務局の方々が見送ってくれた。
その際にお一人が私の目を見ながら、「和田先生に今度お会いできるのはいつになるでしょうね」とおっしゃった。
まことにありがとうございます。

さて、私は中堅・準大手企業の経営トップを対象とした「個別経営相談」に力を入れている。
このたびの景気後退のスピードは尋常でなかったようで、皆一様に慌てふためいている。
会社の存続と社員の首がかかっているから、むろんお気持ちは痛いほど分かる。
そのなかでとくに目立つのがトヨタ系部品メーカーの社長からの相談である。

私が暮らす横浜・港北ニュータウンのセンター北駅に「レクサス」と「ネッツトヨタ」が隣り合わせでショールームを構えている。
その前をよく通るが、ガラガラ。
低価格・コンパクトの「iQ」と「ヴィッツ」をラインナップに持つネッツトヨタはまだしもレクサスがひどい。
国内シェアで半分に迫るトヨタディーラーでさえこのありさまだから、他は推して知るべし。
新車の販売不振は非常に深刻。

その自動車産業は見渡せないほど“すそ野”が広い。
トヨタが本格的な減産に踏み切り、グループ企業が巻き込まれた。
そして系列の部品メーカーも…。
しかし、ここまでは資本や人の結びつき、強固な取引関係があるからよい。
問題は、ここから先の部品メーカーである。あえて言えば「下請け」。
百名から数百名くらいの従業員を抱えるところがどうにもならない状態に追い込まれている。
当然、周辺の金型製作や人材派遣も…。

そうした会社の社長が切羽詰まった表情でしばしば相談に訪れる。
その最大の共通点は、生産の改善に熱心だったが、営業の強化に不熱心だったこと。いや、無関心。
言い換えれば、製品の品質は高いが、営業の品質は低い。
なかには営業の概念が薄かったり、営業の部門が見つからなかったり…。
ある意味で当然か?
トヨタの規模拡大に寄り添うだけで、こなしきれないほどの仕事が降ってきたのだから。

トヨタ系部品メーカーの悲鳴があちこちから聞こえてくる。

                       ◇

実は、トヨタの渡辺捷昭社長は日本経団連の会長に就任していない。
2代続けて会長を出したのでは世間のねたみを買うとの判断であろう。
いま思うに、動物が本能に従ってリスクを回避した格好になった。
大変なのは会長にまつられたキヤノンの御手洗冨士夫会長。
立場上、簡単に人を切れない。
高収益で鳴らした輸出企業、キヤノンはどう経営を建て直すのか?

                       ◇

このブログはきのうの深夜に書き、きょうの午前10時頃にアップした。
いまは午後7時前。
先ほど地下鉄半蔵門線の電車内で、キヤノンがデジタルカメラの販売不振により生産委託先の工場の人員整理に動いたとの話を耳にした。
請負従業員1千2百人弱の大量解雇らしい。
キヤノンもなりふりかまわず。
年明けから輸出関連を中心に、製造業は未曽有の大不況に突入しそう。

Copyright ©2008 by Sou Wada

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