全詰連会長のブログ

全日本詰将棋連盟の会長です。 詰将棋の普及と発展を目指して頑張ります。

2009年06月

捨駒を作る(2)「角捨て」

さて今度は角捨ての入った詰将棋を作ってみましょう。

A011図は角捨ての基本図です。

33角、同飛、12金まで3手詰。

最終手が22金でもいいのが気になりますが、31歩の配置を31銀にすればいい訳です。
しかし33角の打ち場所を限定する43歩がちょっとイヤ味ですね。
そういう場合は反転させて壁を利用します。

A02  
13角、同飛、32金まで3手詰。

2図から延ばすなら、21玉にして持駒に金を加える事が出来ます。
または1図で、盤面に24角とか42角と置けば打ち場所限定の歩は要らないですね。 
見え見えにならないように歩の成り捨てを加えてみましょう。

A03
32歩成、同飛、11金、同玉、33角成、同飛、12金まで7手詰。

2手目32同歩は、31金以下5手。
同じく2手目32同玉は、33金以下7手駒余り。

しかし3図には初手12銀成とか22金以下の余詰があります。

A04 
これを直しつつ、玉の往復の味を加えたのが4図。

41金、同玉、52歩成、同飛、31金、同玉、53角成、同飛、32金まで9手詰。

「飛車捨て」の5図(縦横の向きを変えた図)のような味になっていますね。これで一応の完成図です。

さて角捨ての別例(5図)もやってみましょう。

B0131角成、同玉、32金まで3手詰。

例えば玉方の12歩があったとしても、これが31歩成では11玉と逃げられてしまいます。

31角成なら、11玉には22馬までです。

ここからもう少し延ばしてみましょう。


B03 
22金、同玉、33歩成、11玉、21角成、同玉、31角成、同玉、32とまで9手詰。

6図では単に21角成を加えた後で、22金、同玉、33歩成という手順(34歩の消去)も加えてあります。
玉が戻る味も複雑になって面白くなりましたね。
しかしここからまだ延ばせます。
 B04
53角、21玉、32角、11玉、22金、同玉、33歩成、11玉、21角成、同玉、31角成、同玉、32と  まで13手詰。

7図は配置も非常にスッキリしていて簡潔な図になりました。
(でもこの図にはきっと類似作があると思います) 


詰将棋に味を加えるには
・玉を一度動かしてまた戻す
・途中に邪魔駒消去を入れてみる

さらに途中に出てきたように
・余詰のチェック
・類似作のチェック
などの面倒な作業もあります。

詰将棋をキチンと作るのはなかなか大変ですね。
でもどんどんチャレンジして、コツを掴んでみて下さい。

平成20年度の看寿賞発表

詰将棋の年間最優秀賞「詰将棋看寿賞」が先行発表されました。

詰将棋パラダイスHPです。

http://www005.upp.so-net.ne.jp/tsumepara/contents/4appre/kanju/kanju08.htm

勿論私は選考委員長ですので経過も全部分かっているのですが、なにしろ編集長からキツく口止めされておりましてねぇ。(笑)

詳細は間もなく発売される詰パラ7月号に18ページほど書きました。
どうぞジックリお読み下さい。

 



捨駒を作る(1)「飛車捨て」

前回に「捨駒は詰将棋の基本」と書きましたが、まず飛車捨てを入れた詰将棋を作ってみましょう。

01
さて1図は飛車捨ての基本図です。
42飛、同馬、23金まで3手詰。

52飛以遠より打てないように置いた51歩と、43桂(31香配置だと、2手目に32香と上がられて詰まない)の配置がいかにも弱点ですね。



02 
そこでちょっとヒネッた2図のような案も考えられますね。

42飛、同角、13金まで3手詰。
        同馬、23金まで3手詰。

角と馬、どちらで飛車を取っても詰むのですね。
しかしここから発展が見えません。

03そこで今度は3図です。
(弱点の43桂と61歩はちょっと置いといて)

52飛、同馬、23金まで3手詰。

初手42飛だと33玉と上がられて詰まない。 
だから52飛ともう1つ離して飛車を打つ訳です。


04そこから2手延ばしたのが4図。

22金、同玉、52飛、同馬、23金まで5手詰。

初手52飛なら22歩合で詰まない。
22金、同玉としてから52飛に32歩合なら23金まで詰み。
ところが61歩と43桂の配置が相変わらず弱点のままです。

05 
そこでちょいと変化技を出してみましょう。
縦横の向きを変えたのが5図です。

32金、同玉、34飛、同馬、31飛、同玉、22金まで9手詰。

一度玉を吊り上げて、最後にまた玉を下げるのが味になってますね。

どっちにしても配置がちょっと重いような感じですね。
そこで前の図にあった61歩と43桂を置かないように、最初から盤面に飛車を置いて、それを飛成で動かして捨てる事も考えてみましょう。

06今度は6図を基本にして色々と考えてみましょう。

32飛成、同馬、13金まで3手詰。

今度は配置も非常にスッキリしてますね。
しかしまだここから手が延ばせます。

すぐに目に付くのは、23玉にして持駒に角を加える案です。
07 

12角、同玉、32飛成、同馬、13金まで5手詰。

ちなみに25と金は初手24金の余詰消しですが、これを飛車にすると、11桂配置を11香にする事が出来ます。(初手12角を同香なら33金まで)

ここからまだまだ延ばす事が出来ますね。
08例えば14歩を突き出すとか。 

そこで7図です。

13銀、同玉、14歩、23玉、12角、同玉、32飛成、同馬、13金まで9手詰。

なんかキレイにまとまりましたね。(笑)

いや、途中ではどうなる事かと私も不安でしたが、うまく完成しました。(爆)

詰将棋を作る時には色々な技があります。

2図のように行き詰まる時には早めに見切って諦める事も必要です。
5図のように縦横を入れ替えてみるのも一案ですね。
そして6図のように伸びそうな手応え(経験が必要ですが)を感じたら、その路線で頑張ってみましょう。

詰将棋らしい内容とは

まず次図を見て下さい。
                                                               005
53金、41玉(51玉、61玉)、42金打まで5手詰。
これは王手の連続で「詰み」まで行きますが、流石に詰将棋とは呼ばないですね。

『詰将棋には妙手が必要だ』
何か発見しにくい手がないと、これは詰将棋にならないんですね。

もう少しシンプルに言うと『詰将棋の基本は捨駒だ』となりますか。
駒を捨てる→実戦では勿体なくて指しにくい→捨駒は妙手
という流れですね。

008
左図を見て下さい。

41龍、同玉、42金まで3手詰。

今度はだいぶ詰将棋に近くなりましたね。
でも実戦では41龍は気持ちいい決め手ですが、詰将棋としてはまだまだです。

009そこで次の図。

22金、同銀、41龍、同玉、42金まで5手詰。

初手に22金と捨てて銀を動かしておくのが妙手で、こうなれば詰将棋になってますね。

もうちょっと本気を出してみましょうか。

010
・まず桂馬を打ってみたい。
・21桂は要らない。
・全体を1路寄せてみる。

こうした改良点を考慮して出来たのが左図。

12金、同玉、24桂、22玉、12金、同銀、31龍、同玉、32金まで9手詰。

もうこうなれば立派な詰将棋ですね。
簡単に作意が分からないように、
・変化…(作意以外の逃げ方を早く詰めなければならない)
・紛れ…(正解以外の誘手)
も備わっています。

まとめてみましょう。
「詰将棋には妙手が必要だ」「捨駒は詰将棋の基本」

さらに
「変化や紛れが無くて簡単に解けてはダメ」という事になりますか。

これが雑誌等に入選するようになるためには
「他で見た事があるものはダメ」
新味や個性までが求められます。

または同じような筋でも「完成度の高さが必要」という事になりますね。
「駒配置の効率の良さ」や「手の味の良さ」も必要です。
(なかなか説明が難しいですが)

006 もう1例見てみましょう。

33金、21玉、31角成、同玉、32金まで5手詰。

一応は捨駒も入っていますが、変化や紛れが無くて、ほぼ一本道に詰んでしまいますね。

そこで色々なステップを経て次図になります。


00733銀不成、21玉、21玉、32銀不成、同玉、33金、21玉、31角成、同玉、32金まで9手詰。

「邪魔駒消去」「銀不成」という妙手が入って、とても詰将棋らしくなっていますね。

でも上図の5手詰から下図の9手詰まで、ほんの一工夫とも言えます。

まずは色々な作品を見て、詰将棋とは何かを学んでみて下さい。
沢山の詰将棋を見れば「この筋はあったなぁ」とか分かるようになります。

やってみると詰将棋の創作は奥が深くて非常に面白いものです。
どうぞ皆さんもトライしてみて下さい。

創作のルール(2)

さて詰将棋創作のルールの続きです。

詰将棋は将棋のルールが適用されます。
(二歩、打歩詰、行き所なき駒の禁止など)

また詰将棋だけのルールもあります。
1、先手は王手の連続で攻める。
2、後手(玉方)は最長最善に受ける。
3、玉の王手が回避できなくなった状態を「詰み」という。「詰み」まで持っていくのが目的です。
4、玉方は残りの駒を全部持っていて合駒として使えるが、出題図面では表示を省略されている。
(1に攻方最善というのが付いている場合がありますが、後述します)

まあこんな所ですか。
2の玉方の最長最善ですが、詰将棋の解答を書く時には「作意」といわれる代表手順を書くのですが、その作意手順の選び方ですね。
・もっとも長い手順を選ぶ。
・同じ長さなら最後に駒が余らない手順を選ぶ。

基本的にはこの2項目です。
しかし作意が7手詰で、変化の1つが9手駒余りになる時はどうなるのか。
こういうのを「変化長手数」といいます。(略して「変長」)
昔はルールの範囲内として認められていたのですが、近年ではキズの程度が大きいという事で、まず採用されません。


さて攻方最善というルールが説明されている場合がありますね。
・最終手以下の余詰では、攻方最善ルールなので1手で詰めねばならない。
(これはちょっと違うんですね)
・7手詰に9手の余詰がある時に、9手は最善ではないので7手詰が正解。
(これは全く違いますね)

詰将棋には「変化別詰」というものがあります。(略して「変別」)
作意は7手詰とします。
しかし3手目にAという変化があり、まず目に付くのが9手詰の手順。
ところがよく見ると妙手があってAは5手で詰める事ができていて、実は変化として割り切れている。
この9手詰のニセ変化(ニセ作意というべきか)を変化別詰といいます。
この9手詰の変別を解答するとXになりますが、ここでは変化を詰めるのに攻方最善が要求されているのです。

過去にも論争がありました。
・変別も詰めているのだから〇にするべきだ。
・変化で最善を尽くしていないのだから当然Xだ。
今でも両方の主張はありますが、ともかく現行のルールでは変別はXという事になっています。


いや詰将棋のルールって面倒ですねぇ。
この他にも無駄合(馬鋸の無駄合を含む)、双玉ルールなどがあります。
詰将棋規約もなかなか決定版が出ない訳ですね。
私も長らくやっているから詳細についても分かっていますが、いきなり創作を始めようとする人にはこれは大きな壁です。
まあ普通に作っていると「変長」くらいを知っていれば大丈夫とは思いますが。
(細かいルールは稀なケースがほとんど)

さて面倒な事はこの辺で終わりとして、次は創作すべき内容について書いてみましょうか。
つまり「詰将棋には捨駒が欲しい」とか、内容に関する指針ですね。

「詰め将棋日めくりカレンダー」の投稿作を見ていると、実に色々な人から送られてきます。
しかしルール自体が分かってない人や、内容が詰将棋になってないような作品もあります。
まだまだ詰将棋というものが世の中に分かって貰えていない。
そこでこんな事を書き始めた訳ですが、なかなか道は遠いようです。

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