全詰連会長のブログ

全日本詰将棋連盟の会長です。 詰将棋の普及と発展を目指して頑張ります。

詰将棋について

捨駒を作る(1)「飛車捨て」

前回に「捨駒は詰将棋の基本」と書きましたが、まず飛車捨てを入れた詰将棋を作ってみましょう。

01
さて1図は飛車捨ての基本図です。
42飛、同馬、23金まで3手詰。

52飛以遠より打てないように置いた51歩と、43桂(31香配置だと、2手目に32香と上がられて詰まない)の配置がいかにも弱点ですね。



02 
そこでちょっとヒネッた2図のような案も考えられますね。

42飛、同角、13金まで3手詰。
        同馬、23金まで3手詰。

角と馬、どちらで飛車を取っても詰むのですね。
しかしここから発展が見えません。

03そこで今度は3図です。
(弱点の43桂と61歩はちょっと置いといて)

52飛、同馬、23金まで3手詰。

初手42飛だと33玉と上がられて詰まない。 
だから52飛ともう1つ離して飛車を打つ訳です。


04そこから2手延ばしたのが4図。

22金、同玉、52飛、同馬、23金まで5手詰。

初手52飛なら22歩合で詰まない。
22金、同玉としてから52飛に32歩合なら23金まで詰み。
ところが61歩と43桂の配置が相変わらず弱点のままです。

05 
そこでちょいと変化技を出してみましょう。
縦横の向きを変えたのが5図です。

32金、同玉、34飛、同馬、31飛、同玉、22金まで9手詰。

一度玉を吊り上げて、最後にまた玉を下げるのが味になってますね。

どっちにしても配置がちょっと重いような感じですね。
そこで前の図にあった61歩と43桂を置かないように、最初から盤面に飛車を置いて、それを飛成で動かして捨てる事も考えてみましょう。

06今度は6図を基本にして色々と考えてみましょう。

32飛成、同馬、13金まで3手詰。

今度は配置も非常にスッキリしてますね。
しかしまだここから手が延ばせます。

すぐに目に付くのは、23玉にして持駒に角を加える案です。
07 

12角、同玉、32飛成、同馬、13金まで5手詰。

ちなみに25と金は初手24金の余詰消しですが、これを飛車にすると、11桂配置を11香にする事が出来ます。(初手12角を同香なら33金まで)

ここからまだまだ延ばす事が出来ますね。
08例えば14歩を突き出すとか。 

そこで7図です。

13銀、同玉、14歩、23玉、12角、同玉、32飛成、同馬、13金まで9手詰。

なんかキレイにまとまりましたね。(笑)

いや、途中ではどうなる事かと私も不安でしたが、うまく完成しました。(爆)

詰将棋を作る時には色々な技があります。

2図のように行き詰まる時には早めに見切って諦める事も必要です。
5図のように縦横を入れ替えてみるのも一案ですね。
そして6図のように伸びそうな手応え(経験が必要ですが)を感じたら、その路線で頑張ってみましょう。

詰将棋らしい内容とは

まず次図を見て下さい。
                                                               005
53金、41玉(51玉、61玉)、42金打まで5手詰。
これは王手の連続で「詰み」まで行きますが、流石に詰将棋とは呼ばないですね。

『詰将棋には妙手が必要だ』
何か発見しにくい手がないと、これは詰将棋にならないんですね。

もう少しシンプルに言うと『詰将棋の基本は捨駒だ』となりますか。
駒を捨てる→実戦では勿体なくて指しにくい→捨駒は妙手
という流れですね。

008
左図を見て下さい。

41龍、同玉、42金まで3手詰。

今度はだいぶ詰将棋に近くなりましたね。
でも実戦では41龍は気持ちいい決め手ですが、詰将棋としてはまだまだです。

009そこで次の図。

22金、同銀、41龍、同玉、42金まで5手詰。

初手に22金と捨てて銀を動かしておくのが妙手で、こうなれば詰将棋になってますね。

もうちょっと本気を出してみましょうか。

010
・まず桂馬を打ってみたい。
・21桂は要らない。
・全体を1路寄せてみる。

こうした改良点を考慮して出来たのが左図。

12金、同玉、24桂、22玉、12金、同銀、31龍、同玉、32金まで9手詰。

もうこうなれば立派な詰将棋ですね。
簡単に作意が分からないように、
・変化…(作意以外の逃げ方を早く詰めなければならない)
・紛れ…(正解以外の誘手)
も備わっています。

まとめてみましょう。
「詰将棋には妙手が必要だ」「捨駒は詰将棋の基本」

さらに
「変化や紛れが無くて簡単に解けてはダメ」という事になりますか。

これが雑誌等に入選するようになるためには
「他で見た事があるものはダメ」
新味や個性までが求められます。

または同じような筋でも「完成度の高さが必要」という事になりますね。
「駒配置の効率の良さ」や「手の味の良さ」も必要です。
(なかなか説明が難しいですが)

006 もう1例見てみましょう。

33金、21玉、31角成、同玉、32金まで5手詰。

一応は捨駒も入っていますが、変化や紛れが無くて、ほぼ一本道に詰んでしまいますね。

そこで色々なステップを経て次図になります。


00733銀不成、21玉、21玉、32銀不成、同玉、33金、21玉、31角成、同玉、32金まで9手詰。

「邪魔駒消去」「銀不成」という妙手が入って、とても詰将棋らしくなっていますね。

でも上図の5手詰から下図の9手詰まで、ほんの一工夫とも言えます。

まずは色々な作品を見て、詰将棋とは何かを学んでみて下さい。
沢山の詰将棋を見れば「この筋はあったなぁ」とか分かるようになります。

やってみると詰将棋の創作は奥が深くて非常に面白いものです。
どうぞ皆さんもトライしてみて下さい。

創作のルール(2)

さて詰将棋創作のルールの続きです。

詰将棋は将棋のルールが適用されます。
(二歩、打歩詰、行き所なき駒の禁止など)

また詰将棋だけのルールもあります。
1、先手は王手の連続で攻める。
2、後手(玉方)は最長最善に受ける。
3、玉の王手が回避できなくなった状態を「詰み」という。「詰み」まで持っていくのが目的です。
4、玉方は残りの駒を全部持っていて合駒として使えるが、出題図面では表示を省略されている。
(1に攻方最善というのが付いている場合がありますが、後述します)

まあこんな所ですか。
2の玉方の最長最善ですが、詰将棋の解答を書く時には「作意」といわれる代表手順を書くのですが、その作意手順の選び方ですね。
・もっとも長い手順を選ぶ。
・同じ長さなら最後に駒が余らない手順を選ぶ。

基本的にはこの2項目です。
しかし作意が7手詰で、変化の1つが9手駒余りになる時はどうなるのか。
こういうのを「変化長手数」といいます。(略して「変長」)
昔はルールの範囲内として認められていたのですが、近年ではキズの程度が大きいという事で、まず採用されません。


さて攻方最善というルールが説明されている場合がありますね。
・最終手以下の余詰では、攻方最善ルールなので1手で詰めねばならない。
(これはちょっと違うんですね)
・7手詰に9手の余詰がある時に、9手は最善ではないので7手詰が正解。
(これは全く違いますね)

詰将棋には「変化別詰」というものがあります。(略して「変別」)
作意は7手詰とします。
しかし3手目にAという変化があり、まず目に付くのが9手詰の手順。
ところがよく見ると妙手があってAは5手で詰める事ができていて、実は変化として割り切れている。
この9手詰のニセ変化(ニセ作意というべきか)を変化別詰といいます。
この9手詰の変別を解答するとXになりますが、ここでは変化を詰めるのに攻方最善が要求されているのです。

過去にも論争がありました。
・変別も詰めているのだから〇にするべきだ。
・変化で最善を尽くしていないのだから当然Xだ。
今でも両方の主張はありますが、ともかく現行のルールでは変別はXという事になっています。


いや詰将棋のルールって面倒ですねぇ。
この他にも無駄合(馬鋸の無駄合を含む)、双玉ルールなどがあります。
詰将棋規約もなかなか決定版が出ない訳ですね。
私も長らくやっているから詳細についても分かっていますが、いきなり創作を始めようとする人にはこれは大きな壁です。
まあ普通に作っていると「変長」くらいを知っていれば大丈夫とは思いますが。
(細かいルールは稀なケースがほとんど)

さて面倒な事はこの辺で終わりとして、次は創作すべき内容について書いてみましょうか。
つまり「詰将棋には捨駒が欲しい」とか、内容に関する指針ですね。

「詰め将棋日めくりカレンダー」の投稿作を見ていると、実に色々な人から送られてきます。
しかしルール自体が分かってない人や、内容が詰将棋になってないような作品もあります。
まだまだ詰将棋というものが世の中に分かって貰えていない。
そこでこんな事を書き始めた訳ですが、なかなか道は遠いようです。

詰将棋創作のルール

前回のブログで、詰将棋では最終手以下の余詰はOKだという事を書きました。
この際だからちゃんと詰将棋創作についてのルールを説明しておきましょうか。

詰将棋には答えは1つ。
これを唯一解といいます。
別な詰め方があると、これを余詰(よづめ)といいます。

001
左図の解答は
11飛、同玉、23桂、同金、12金まで5手詰。

しかし41飛、31歩合、33桂でも詰み。
また33桂、同金、11飛以下でも詰み。

こういう風に複数の詰め方があるものは余詰といって不完全作品になります。

例えばこういう時は、持駒の桂を15桂と置けば別詰は消えます。

002もうちょっと詰将棋らしくするために、13歩を置いて24桂と打つ所から始めてみましょうか。

24桂、21玉、11飛、同玉、23桂不成、同金、
12金まで7手詰。

ほら詰将棋らしくなったでしょう?


先にも書いたように最終手からの余詰は許容されています。
もうひとつ例外規定があって、左右対称形では、右から詰める手、左から詰める手、の2つがあってもいい事になっています。
003
43桂、同金、63桂、同金、52香まで5手詰。
63桂、同金、43桂、同金、52香まで5手詰。

まあこれも許容されているとはいえ余詰の一種ですから、個人的には無いに越した事はないと思いますが。


他にも変化長手数とか詰将棋には面倒なルールがあります。
しかし長くなりそうなので、続きはまた次回に。

七色の作意

ここの所、「詰め将棋日めくりカレンダー」で忙しいと言い訳ばかりしていますね。
(いや申し訳ないです)

IMG

ところで「日めくりカレンダー2009」の6月10日の作品が話題になっているようです。

加賀さやかさん作、1手詰

この作品、実は答えが7つもあるのだ。


・3三歩成まで1手詰
・4三香成まで1手詰
・4三桂成まで1手詰
・3三銀成まで1手詰
・2二金まで1手詰
・2二角成まで1手詰
・1二飛成まで1手詰

なんと1つの詰将棋に7種類の駒による詰め方が存在する。
「詰将棋の答えは1つだけ」というのが一般に知られたルールです。
しかし唯一、「最終手からの余詰だけは許される」という例外規定がある。
IMG_0002

左図は煙詰などでよくある収束の図。
ここから2三飛、1四玉、2四飛成。
または2三飛、1二玉、2二飛成となる。
しかし2三飛、1四玉に対して2五飛成とイジワルな答えはどうするか。
(または2三飛、1二玉に2一飛成も同様)
煙詰だけに、これはもう消しようがない。
「まあそのくらいはいいではないか」というのが、最終手からの余詰は許されるというルールなのだ。

このように最終手からの余詰を利用して1作で七種駒王手を表現したのは詰将棋では初めてだ。
実はチェスの世界では複数解の作品というのが既にある。
そちらの世界にも詳しい小林敏樹氏(審査委員)が絶賛するのもよく分かる。

実は、詰工房に行った時に何人かで改作を試みた事がある。

七種類の駒が(成+六種不成)、さらに攻方玉の開王手を加えた14種類詰だ。
確か出来たと思うが、図面は保存してないです。
(試しにやってみたらいかが?)

しかしこういうのはコロンブスの卵であって、後から改作したって少しもエラくない。
なんといっても最初に思い付いた人が偉大なのである。



     

 

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