やさしい英語の本、通算36冊目は、
オックスフォード・ブックワームズの
ステージ1(400語レベル)の5冊目として、
イギリス生まれの作家
フランシス・ホジソン・バーネット
(1849.11-1924-10)の小説『小公子』を読みました。
著者36歳のとき、
アメリカの雑誌『セント・ニコラス St. Nicholas 』
誌上に1885年11月から翌86年10月まで発表された小説です。
その年のうちに単行本も刊行されました。
Little Lord Fauntleroy
Retold by Jennifer Bassett
〔Oxford Bookwoems Stage1〕
This simplified edition (c) Oxford University Press 2009
First published in Oxford Bookworms 2009
7,250語
『小公子』
『小公女』
『秘密の花園』といった
バーネットの有名どころは、
子供のころから書名のみ知っていました。
しかし当時は、
女の子が読む本だと思い込んでいたため、
まったく読んでいませんでした。
30代半ばを過ぎてから、
偶然手にした小説『秘密の花園』に感銘を受けて以来、
美しい自然の描写や、
人の感情のより美しい面を
積極的に描いていく著者の姿勢に共鳴し、
大好きな作家の一人になっています。
やさしい英語の本でも、
オックスフォード・ブックワームズのステージ1(400語レベル)で
『小公女』〔19冊目/2012年4月30日読了〕を、
ペンギン・アクティブ・リーディングのレベル2(600語レベル)で
『秘密の花園』〔24冊目/2012年7月9日読了〕を読んできたので、
3冊目のバーネットということになります。
完訳を知っている立場からすると、
もう少し詳しくてもいいかなと思える程度の手ごたえで、
あっさり読了することができました。
あらすじを簡単に追うくらいの内容なので、
母親の気品の高さ、清新さや、
セドリックの心持ちの美しさ、
気難しい老人の微妙な感情の変化など、
作品の深いところまでは描けておらず、
多少物足りなくもありました。
***
翻訳はいろいろ出ていますが、
一番のお薦めは脇明子(わきあきこ)氏の翻訳です。
(岩波少年文庫、2011年11月)
『小公子』の翻訳は、
会話文の表現が古めかしく、違和感を感じるものが多い中、
日本語で書かれたふつうの小説として、難なく読み通すことができました。
ほぼ同時期に、
西田佳子(にしだよしこ)氏の翻訳も刊行されていて、
こちらも甲乙つけがたい内容だと思うので、
脇訳とともに手に取られることをお薦めします。
(西村書店、2010年3月)
さらに最近刊行された
杉田七重(すぎたななえ)氏の翻訳は、
わかりやすさでは上のお二人を上回っていました。
脇訳と西田訳が完訳であるのに対して、
杉田訳は文意を取りやすいように、
文章をある程度整理してあるので、
その点評価が分かれるかもしれませんが、
ストーリーの省略はありませんので、
読みやすさを第一に考えるのであれば、
杉田訳が一番だと思います。
(角川つばさ文庫、2014年9月)
このほか、
過去の翻訳もざっと調べてみたのですが、
非常にたくさん出ていて、
収集がつかなくなって来ました。
バーネットの
過去の翻訳を丁寧に追うだけで、
研究書が1冊書けそうな分量でしたので、
別の機会に譲りたいと思います。
別の機会に譲りたいと思います。
※計36冊 計296,872語。

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