やさしい英語の本、通算33冊目は、
オックスフォード・ブックワームズのステージ1(400語レベル)の4冊目として、

アラビア語でまとめられた民話集
『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』
の有名な説話の一つとして知られる
『アラジンと魔法のランプ』を読みました。

Aladdin and the Enchanted Lamp CD Pack (Oxford Bookworms Library)


Aladdin and the Enchanted Lamp

Retold by Judith Dean
〔Oxford Bookworms Stage1〕
This edition (c) Ocford University Press 2008
First published in Oxford Bookworms 2000
5,240語

幼いころには読んでいたはずですが、
もうすっかり記憶から消え去っていました。

日本の昔話はもちろん、
イソップ童話やグリム童話などとも違った印象があって、

異国情緒あふれる
奇想天外な軽めの楽しいお話を、
新鮮な気持ちで読み進めることができました。


   ***

『アラジンと魔法のランプ』は、

アラビア語でまとめられた民話集
『千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)』
のなかのお話として知られるていますが、

実は、
アラビア語の写本にまで遡ると
この有名な話は収録されておらず、

18世紀はじめに、フランスの東洋学者
アントワーヌ・ガラン(1646-1715)によって出版された
フランス語訳『アラビアン・ナイト』によって、
初めて紹介されたものだそうです。

大人向けの本格的な翻訳は4種刊行されています。

アラビアン・ナイト (1) (東洋文庫 (71))


前嶋信次・池田修訳
『アラビアン・ナイト』※アラビア語からの直訳。
(全19冊。東洋文庫。
  第1~12巻・別巻は前田訳、1966年7月~1985年3月。
  第13~18巻は池田訳、1985年9月~1992年6月)

大場正史 訳
『バートン版 千夜一夜物語』※バートン版=英訳
(全11冊。ちくま文庫、2003年10月~2004年8月)

佐藤正彰 訳
『千一夜物語』※マルドリュス版=仏訳
(全10冊。ちくま文庫、1988年3月~1989年2月)

豊島与志雄・佐藤正彰・渡辺一夫・岡崎正孝 訳
『完訳 千一夜物語』※マルドリュス版=仏訳
(全13冊。岩波文庫、〔改版〕1988年7月)
 ※岩波文庫での改版前の出版の状況は、
  雑然としていて整理できませんでした。

とりあえず1種類だけ手元に置いておくとしたら、
アラビア語から直接翻訳された前嶋信次・池田修訳でしょうか。


  ***

いきなりの完訳版は手ごわそうだったので、
子供向けの選集で手ごろな翻訳はないか探してみました。

その中では、
川真田純子(かわまたじゅんこ)氏の翻訳が、
特に優れていました。

もとは全7冊の選集(1987-92年刊行)で刊行されましたが、

2002年に上下2冊(13編収録)、
2014年には1冊(4編収録)に編集し直されたものが刊行されています(いずれも講談社青い鳥文庫)。

アラジンと魔法のランプ 新編 アラビアン ナイト (講談社青い鳥文庫)


川真田純子訳
『新編アラビアンナイト ―アラジンと魔法のランプ』
(講談社青い鳥文庫、2014年6月)
 ※全7冊の『アラビアン・ナイト』(1987-92年刊)を新編集し、
  「アラジンと魔法のランプ」「アリ・ババと四十人の盗賊」
  「王子と魔神の物語」「ハーシブとクジャクの王子の物語」
  の4編を収録。

川真田純子訳
『新編アラビアンナイト(上)―アラジンと魔法のランプほか』
『新編アラビアンナイト(下)―船乗りシンドバードの冒険ほか』
(講談社青い鳥文庫、2002年5・9月)
 ※全7冊の『アラビアン・ナイト』(1987-92年刊)を新編集し、
  上巻6編、下巻7編を収録。

川真田純子 訳
『アラビアン・ナイト(1-7)』
(講談社青い鳥文庫、1987年2・3月〈1・2〉、
 1988年9・11月〈3・4〉、1991年11月〈5〉、
 1992年5・10月〈6・7〉)
 ※「アラジンと魔法のランプ」は第5巻に収録。

川真田訳は、
翻訳とは思えない良くこなれた日本語で、
今読んでも全く古さを感じさせません。
センスの良さが光る名訳だと思います。

川真田氏はこの他にも、
『千一夜物語』によらないアラビアの民話を集め、

『アラビア物語(1・2・3・4)』
(講談社青い鳥文庫、1989年10・11月、90年6・11月)

を刊行されています。
今では古本でしか手に入らないので、
そろそろ7冊の選集も含めたかたちで復刊されないかな、と期待しています。


『アラビアン・ナイト』ともなると、
それだけで一生をかけるに足る研究テーマになるようで、
面白そうな入門書を2冊手に入れいました。

アラビアン・ナイトの世界 (平凡社ライブラリー)


前嶋信次著
『アラビアン・ナイトの世界』
(平凡社ライブラリー、1995年9月)

西尾哲夫著
『アラビアンナイト ―文明のはざまに生まれた物語』
(岩波新書、2007年4月)

これから読むところなので、
読了次第、ブログにアップします。

※計33冊 計270,479語。

※Wikipediaの「千夜一夜物語」「アラジンと魔法のランプ」「アントワーヌ・ガラン」を参照。
 

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