やさしい英語の本、通算34冊目は、
ペンギン・アクティブ・リーディング、
レベル2(600語レベル)の5冊目として、

アメリカ合衆国の作家
ジャック・ロンドン(1876.1-1916.11)の
小説『野性の呼び声』を読みました。

著者27歳の時(1903.7)に出版された作品です

Penguin Active Reading: Level 2 The Call of the Wild (CD-ROM Pack) (Penguin Active Readers, Level 2)


Jack London
The Call of the Wild

Retold by Tania Iveson
〔Penguin Active Reading Level2〕
First published by Puffin Books 1982
First published by Penguin Books 2000
This edition published 2007
9,280語

カリフォルニアで
のんびりと暮らしていた
飼い犬バックが、

アラスカでそり犬となり、
厳しい環境で生きていくうちに野性を取り戻し、
やがて狼の群れとともに生きていく、

これまで読んだことのないタイプの動物小説でした。

『シートン動物記』に似たスタンスですが、
もっと小説として読ませる要素が強く、密度の濃い印象でした。


1899年に、
アラスカで金が発見され、
ゴールドラッシュが起こり、

当時この地で、
犬ぞりの需要が高まっていたことが、
物語の背景となっているそうです。


犬と心が通いあう、
心暖まる物語を期待していたところ、
そうした場面も少しは描かれているものの、

調教のために犬を虐待する場面や、
喧嘩で犬同士が殺しあう場面や、
そりを引けなくなった犬をやむなく射殺する場面なども描かれていて、

自然の中で生きていく厳しさをきちんと描きながら、

それでも力強く生きていく
バックの前向きな生きざまに感動しました。


ロンドンはアメリカ人に珍しく、
社会主義者として知られているようですが、

インテリのカッコつけに
正義感ぶるところはないので、
この『野性の呼び声』に限っていえば、
政治的主張とは関係なく、読ませるところの多い力作だと思いました。


  ***

翻訳は1950年代、60年代まで遡ると
たくさんあるのですが、

90年代以降に限定すると、
3種しか刊行されていません。

深町眞理子(ふかまちまりこ)訳
『野性の呼び声』
(光文社古典新訳文庫、2007年9月)

野性の呼び声―動物小説集〈1〉 (現代教養文庫)


辻井栄滋(つじいえいじ)訳
『野性の呼び声』
(現代教養文庫、2001年12月)
 ※辻井訳『決定版 ジャック・ロンドン選集1』(本の友社、2005年10月)に再録。

海保眞夫(かいほまさお)訳
『荒野の呼び声』
(岩波文庫、1997年12月)

3者ともよく練られた翻訳ですが、

個人的に一番読みやすかったのは、
辻井栄滋(つじいえいじ)氏の翻訳です。

他の2人に比べると、歯切れのよい文体で、
リズムよくどんどん読み進めることができました。


※計34冊 計279,759語。

※Wikipedia の「ジャック・ロンドン」「野生の呼び声」を参照。
※日本ジャック・ロンドン協会のホームページ
〈http://www2d.biglobe.ne.jp/~to_yoshi/JLJAPAN.htm〉を参照。


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