FullSizeRender (17)
今年はゴールデンウィークで、端午の節句が終わったと思ったら、
すぐに母の日がやって来るという連続だったので、
落ち着いてプレゼントを選ぶ暇がなかったという方も多いのでは?
そして、母の日が近くなりますと、カーネーションを模った生菓子が溢れます。
職人の技術が光るさまざまなカーネーションにうっとりするはず。
でも、一方で、こんな素敵な生菓子があるのも見過ごしてはならない。
ちょうどちまき柏餅戦争を終えて、ひと休み頂いて新幹線に乗り、
高崎方面へと足を延ばしまして、群馬八幡へ。
久しぶりに、『ちごもち』(いちご餅)で話題の微笑庵へ行こうと決めた。
朝早く起きていくつもりではあったのですが、さすがに疲れも溜まっていて、
6時に起きるのはちょっと無理でしたので、『ちごもち』との再会はいずれということにして、
季節の生菓子があったら、ぜひ買いたいなあと思って訪問。


FullSizeRender (12)
以前から気になっていたのですが、
凄く名古屋の和菓子屋さんに似たものを感じていたのです。
『椿 餅』はもちろんんこと、『こうえつ』(栗蒸し羊羹)も味噌松風との二層仕立て。
いずれも、川口屋やむらさきや、芳 光など、
いろんな名古屋の銘店と言われる和菓子屋さんが思い浮かぶわけです。
個人的にも非常にお気に入りの『ちごもち』(いちご餅)が目立ちますものの、
それ以外の生菓子たちにも、ぜひ注目してもらいたいと思うわけです。
具現的な表現を得意とする東京の生菓子とも違い、
どちらかと言えば、抽象的な表現の中に奥行きを見出させる京都の生菓子に近く、
でも、間違いなく、 その影響を強く受けながら、
独自の発展を遂げた名古屋の風合いを感じずにはいられないのです。

FullSizeRender (30)
さて、群馬八幡駅からゆっくりと景色を眺めながら歩いて本店へ。
やはり、『ちごもち』は売り切れであったが、迷わず、『わらび餅』を注文して、
左手のショーケースに出ていた、何とも愛らしい生菓子『たらちね』を選ぶ。
まず、『わらび餅』ですが、どうしても名古屋の芳 光を意識しないわけにはいかない。
芳 光と言えば、あの限界とも言えるぷるんぷるんの柔らかさと、
とんでもなくみずみずしいこしあんが印象的ではありますが、
それとはまた違う、やや小ぶりの『わらび餅』は、とろんと柔らかくありつつも、
引き戻すような弾力もあって、このあたりは嘯 月の『わらび餅』を少し思い出させる。
もちろん、同じ素材を使おうとも、作り手が変われば、味わいも変わると言われますが、
というよりは、独自のわらび餅らしさをしっかりと確立されているように感じます。
極限まで柔らかい場合は、黒文字で食べるのがなかなか難しい。
しかし、微笑庵の『わらび餅』は、歯切れも良く、でも、理想的な柔らかさで、
口に含めば、あんこが心躍るほどに楽しませてくれる。
きれいな藤色のあんこは、とっても魅力的なのです。

FullSizeRender (19)
ふわふわのきんとん『たらちね』がまた目を引いた。
母の日を間近に控えて、大人気の『ちごもち』の製造に追われる中で、
どうにか間に合ったと聞き、非常にラッキーだった。
これがまたきめ細やかなピンクと白のそぼろのきんとんで、
金箔がひらりと添えられていて、とっても美しく、また愛らしいのですが、
この菓子を見て感じた第一印象は、他でもなく、優しいという形容詞であった。
よく見かけるカーネーションの生菓子ではなく、
繊細な薯蕷きんとん製の生菓子に、『たらちね』という銘を当てて、
ふんわりと抱き上げるような優しさが、菓子から溢れだしているように感じたのです。

『たらちね』は、和歌などで、母という言葉に繋がる枕詞。
ダイレクトに、母の日とするではなく、あえて母を想わせるようにしたことで、
菓子の見た目と共に、幼い頃の記憶までも引き寄せる。
練り薯蕷の香りも、インパクトのあるものではなく、柔らかく、
風薫る季節と共に、しっとりと感じさせてくれる上品さがまた程良く、
なおさらに、この菓子を味わって、いろんな思い出と共に、
感謝の気持ちをお伝え頂けたら、凄く嬉しいことだなあと思ったのです。
いやはや、言の葉を贈ることのできる和菓子の力を、
群馬県の匠に出会ってなお、改めて実感させて頂きました。

生菓子 たらちねわらび餅 各1個 税込270円

◆ 本 店/ 群馬県高崎市剣崎町1038-4 TEL: 027-343-3026
◇ 販売店/ 本店のみ
  ※ 生菓子『たらちね』は5月初旬のみに製造される意匠の生菓子となります。
  ※ 『わらび餅』は7月~9月の夏季は製造しておりませんので、ご注意ください。