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ここイチバン天気のよい6/18(土)、勝浦町にある大久保鍛冶屋さんに行ってきました!
まるまる一日、参加者みんなで包丁ができる過程を見学させていただきました。
駐車場のある改善センターから大久保鍛冶屋さんまで歩いていると、
鮎釣りをしている人たちの姿がちらほら。
勝浦川のすぐ傍にあるこの鍛冶屋さんで、3代目である喜正さんと息子の竜一さんが、
すべて人の手による「野鍛冶」という方法で、包丁や農具などの刃物を生み出しています。
最初に、大久保鍛冶屋さんの包丁を実際に使わせてもらいました。
まずは普通のスーパーにも売っていそうなステンレス製の包丁で、
きゅうりやじゃがいもを切ります。(うんうん、いつもこんな感じ)
次に、大久保鍛冶屋さんの包丁。(・・・!!!)
みんな言葉を失うほど、切れ味、切れる感覚に驚いていました。
近くで見ていても、野菜を切る手のチカラの入り具合や、切れる音が全然違います。
「猫の手にするんだよ~」と教えてもらいながら、キッズたちも切るのに夢中。
ストンッと切れるのが楽しくて、何度も何度も、細かく切るのに挑戦していました。
切れない状態の包丁で切ると、野菜の繊維がちぎれたり潰されたりしておいしくなく
なってしまうけれど、切れる包丁で切ると、野菜がみずみずしくおいしいまま食べられるし、
香りもよく出るんだとか。
お刺身に添えてある大根のツマも、ちゃんと包丁で切るとシャキシャキでおいしいんだと、
大久保さんが教えてくれました。
包丁によって味が変わるなんて… 切ってみると、「たしかに」と思えてくるのでした。
今回は、参加者家族それぞれ包丁を作ってもらえるということで、今多く流通している
尖っているものと、昔ながらの形、どちらがいいか決めました。
それから、包丁に入れてもらう名前も考えました。自分の名前や、好きな言葉…
「完全燃焼」なんていう参加者の方もいました。
1日にできる包丁の数は、「3本」だそうです。
それも、手作業なので、何かの工程で失敗してしまうと、3本できないこともあるそう。
そのため、今日持って帰れる人は、3人だけ。
誰が今日包丁を作るか、持って帰れるかじゃんけんで決めました。
負けて悔しくて残念で泣いちゃう子もいるくらいの熱戦…
でも、7月には、地産地消のチカラ参加家族全員に包丁が届きます!楽しみですね♪
それでは、見学開始です!
夏休みの自由研究にするために、スケッチブックにメモをしながら聴いているキッズも。
「1日に作れる包丁は3本。100年前に開業しました。この質問はしないように」と
大久保さんが早々に教えてくれました(笑)。
キッズもお母さんもお父さんも、そのフリに応えるかのように、「これは何ですか?」
「それはなんのためにやるんですか?」などと積極的に様々な質問していました。
いよいよ包丁づくりのスタート。
炭を熱したところへ鉄を入れて熱し、大槌で縦に切り込みを入れます。
その後、その間に粉末の鍛接材をかけて鋼を挟んでいきます。
この時に、火花が少し散るからと、みんなで新聞紙を足元に持って見学しました。
飛び散る火花は出来上がりに不要な不純物を取り出す過程なんだそうです。
初めて知ることばかり。
作業場の中に入ると熱気を感じます。
大久保さんが「今日は1台しか動かしていないから、そんなに熱くない方だよ」と、
ベルトハンマーを動かしながらおっしゃっていました。
このとき火の温度は約1000度。
「鉄を挟んで持っている鉄のハサミは溶けないんですか?」と質問しているお母さんがいました。(た、たしかに・・・)
「いや、溶けます。というか熱くなるのでたまに水につけてしたりします」。
一つ一つの工程に、意味があることがわかるし、子どもも大人も「知ってて当たり前」が少ない包丁の加工工程についてはみんなが初心者。質問コーナーはずっと続きました。
こんなに高温なのは、少ない回数で形成するためだそうです。
鉄に炭素が混じってはじめて鋼になるそうで、その炭素を、何度も何度も焼いていると、
表面の炭素が抜けてしまうので、高温で少ない回数で焼くのだそうです。
「熱してしまえば、ガスでも一緒だという学者もいるけれど、炭火で熱するのと、ガスでは違う」と言う大久保さん。
大量生産するために科学の力を利用するのではなく、人の手で一つ一つ作っている大久保さんだからこそわかるモノの見方を覗かせていただきました。
中は暑いので、たまに外にでてお茶タイム。試し切りのきゅうりも食べちゃえ!
「包丁買ったら自分で料理するんだ!」と、休憩中も練習するキッズたち。
「猫の手猫の手」。今度は重ねて。次は薄くスライス。
ハンマーで叩くと、なんとなく包丁のカタチになってきました。
そしたら、「焼きなまし」という工程に入ります。灰の中に入れて熱を冷ますのです。
約40分。こうやってゆっくり熱を冷ますことによって、鋼の性質が均一になるそうです。
冷ましている間に、包丁の手入れ講習を受けました。
毎日包丁を握っているお母さんたち皆真剣です!
職人であるお二人のお話しに耳を傾けていると、料理が、包丁の切れ味や道具の手入れの
仕方によって変わってくるということがわかります。
包丁の研ぎ方も教わりました。
研石に包丁をぴったりつけて、力を入れ過ぎずに研いでいきます。
大久保さんの技術に届くには大分時間がかかりそうですが、手入れをして、
包丁にとってよい状態を保つことが自分の手でできたら、暮らしの中の包丁が変わって、
料理がもっと楽しめそうです!
包丁が冷めたら、今日持ち帰るみんなが名前を彫ってみます。
キッズ3人真剣に自分の名前を掘ります。トンカチで一点集中して狙うのはなかなか難しそうでした。
でも、みんな上手に掘れました!
自分の名前が入った世界に1つだけの包丁。出来上がりがわくわく♪
この時の包丁はまだ鉄と鋼の層が見えていて、まだ切れない、鉄の板です。
これがどんな風に包丁になるのか、午後のお楽しみ!
お昼休憩のあと、包丁を叩いてゆがみを整えたら、いよいよ包丁になる工程です。
削って包丁の形に。火花が散るので外側から静かに見学。
その後の作業はちょっと神聖な空気。
「焼き入れ」という工程で、作業場を暗くして、火の温度を色で判断して調節していきます。
この温度調節がとても重要なだそうです。この時の炭は松の炭。
約800度です。その後水に入れて一気に冷ますことにより、硬く強い鋼になります。
そして、再度加熱して「焼き戻し」という作業を行います。
この時は、包丁に水を垂らして温度を計ります。どれも職人技!!
そして、円盤の大きなやすりと砥石(グラインダー)で包丁の形を再度整えていきます。
その後は5段階の砥石を経て、完成へ。
みるみる包丁ができていく過程を目の前に、キッズもお母さんお父さんも飽きずに見入っていました。
みんなが名前を掘った包丁の刃に柄をつけて、完成!!
あの鉄の塊がこうなることが信じられないくらい、刃がきれいに磨かれて、キレイな包丁です。
「お母さんにも使わせてね」と、嬉しそうなキッズに声をかける雰囲気が、今日の一日を物語ってくれるようでした。
体験を終えてみんなが帰ったあと、グラインダーを砥いでゆがみを直す大久保さんの姿が。
30分かかるそう。道具を生み出す職人さんは、当然のことながら、自分が使う道具も毎日自分の手で整えているのだということがわかりました。
「バランスが重要」とおっしゃる大久保さん。
「切れる包丁」というのは、「切れる刃かどうか」というよりも、全体のバランスが整っているかどうかが重要なのだそうです。
いくら刃を砥いで鋭くしたとしても、元々の包丁のバランスによって、切れるか切れないかが決まるということです。
すべての過程を人の手で行うことによって、そのバランスを生むことができると教えてくださいました。
今回の「道具のチカラ」では、当たり前にある物なのに作られていく過程を知らなかったことに気づき、知った今はいつものキッチンがちょっと変わって見える気がしました。
キッズたちには長くこの包丁を使って欲しいし、いつまでもこの情景を覚えていて欲しいと思います。
モノに対する愛着が湧く上に、鍛冶職人さんが少し身近に感じられたら、様々なモノ・道具に興味をもっていけると思います。
大久保さん、ありがとうございました!!
(ブログ担当:西野 亜貴、大場 あかり)
本日は地産地消のチカラの最終回、「道具のチカラ」です。
大久保鍛冶屋さんでの包丁作り見学と鍛冶体験です!
まず、包丁作り見学の前にその包丁の切れ味を実際に体験しました。
じゃがいもと玉ねぎをキッズたちが実際に切ってみると、
そんなに力を入れなくてもサクサク切ることができるのです。
キッズたちもその切りやすさに驚いていました!
また、玉ねぎはなんと皮ごと切っても難なく切れるのです。
そして驚くべきはこの包丁を使うと、玉ねぎを切っても涙が出ないのです。
玉ねぎの繊維をつぶすことなく切れているというすごい切れ味の包丁なんですね。
さあ、先入観無しで使ってみたところでその包丁ができる行程の一部を実際に見学します。
鍛冶場に入ってみると、薄暗く道具も多い部屋でキッズたちもドキドキです。
ここの包丁は鉄に鋼を挟むという昔からの方法で作っているのですが、
この鋼は温度管理など、扱いが難しいそうです。
その温度加減を熱した鉄の赤い色で判断しているので、部屋を薄暗くして、
見やすくしているんですね。
包丁をたたく作業や形を整える作業にキッズたちは真剣に見入っています。
どんどん形ができていき完成かなと思ったら、まだここまでの段階でも
1/5~1/4程度だそうです!
包丁1本を作るのにはかなりの技術と手間がかかっていることを知ることができました。
次に「草抜き名人」を作る様子をみせてもらいました。
ただ曲がっている棒のように見えますが、この道具にもかなりの技術が隠されているのです!
右手のたたく作業に見入ってしまいますが、左手で少しずつまわしながら形を整えているのです!
また、熱しすぎると溶けてしまうそうで、素人がすると溶けてなくなってしまうこともあるそうです。
ここでも熟練された技を見せてもらうことができました!
次に実際にキッズたちも鉄をたたいて曲げる作業をさせてもらいました。
「思ったよりやわらかかった!」
という声が上がっていましたね。
最初はおそるおそるでしたが、みんな上手に鉄をたたくことができていましたね!
最後の仕上げは大久保さんにお願いします!!
最後に包丁の研ぎ方を教えてもらいました!
包丁を研ぐときは角度を斜めにして研ぐのではなく、
角度をつけないで研ぐということを教えてもらいました。
また、家庭で包丁を研ぐことはあまりないですが、
1週間に1度くらいは研いだ方がいいそうです。
道具の維持にも手間を惜しんではダメなんですね。
このような手作りの鍛冶屋さんは徳島ではもうここしかありません。
本物の技術はやはり伝えていってほしいですし、僕らも本物を見て、
そしてそれを使っていくということが大事になってくると感じました。
これで1年間の地産地消のチカラもおしまいです。
キッズたちも1年前と比べて本当に成長することができたのではないでしょうか。
本当にいろいろなことを感じ、考える力も育まれたと思います。
1年間、本当にお疲れ様でした。
またどこかでお会いしましょう♪
ブログ担当:(大塚製薬工場 管理栄養士 前田 翼)