出発失敗!

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ワンワールド。それは、1年間FIXの世界一周航空券である。一年で世界一周するのは時間的にかなり厳しい。しかし、その時間制限が有ってこそ光り輝く何かがある。いわば、ワンワールドで旅をするということは、ある一つの作品を作り上げるのと同じこと。みんなそれぞれの旅がある。これはそんなワンワールドを利用し、どこまでできるかチャレンジした365日間の記録である。
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出発失敗!  2007年01月20日

待ちに待った、というより、ついに来てしまった出発日。

昨日から一睡もせず最後の準備に追われていた。
それでも用意は間に合わず、不完全な状態で出発の時間を迎えた。
荷物が多過ぎて、バックパックのチャックが閉まらないので、大量に買った物を泣く泣く置いていくことにした。
「地球の歩き方」や「旅の指さし会話帳」の整理も間に合わず、大量に家に置いてきた。
家の後ろに在る神社にお参りし、じいちゃんの仏壇に線香を上げ、いざ出発。

普通わくわくするところだが、眠過ぎて全然乗り気にならない。むしろ成田まで行くのが面倒くさい…
玄関を出ると、猫が待っていた。
お別れをしようと近寄ると、いつも寄ってくるはずの猫が「フー!」と唸って威嚇している。
眠い目を擦りながら、
「なんだ?お別れが分かって寂しいのか?」
と触ろうとすると、
「シギャー!!」
と言って逃げてしまった。
いったい何なんだ…
軽く不安な気持ちになったが、眠いし、まあいいやと家を出た。

父親に駅まで送ってもらい、いよいよ出発。
総重量30kg以上ある荷物を背負い、ホームへと向かった。
駅の階段ですでに息が切れている。こんな状況で世界一周できるのだろうか?
多分眠いから疲れているんだろう、と無理やり納得し、歩く。
余裕を持って成田に2時間半前に着くように、少し早めの電車に乗った。

3,4分遅延していたのでちょっと心配だが、このくらいならまだ平気だろう。

…そんな余裕は、10分も経たずに消え去った。
南栗橋駅を出発して二駅、約9分後。杉戸高野台駅で車内アナウンスが流れた。
「竹ノ塚駅付近にて、人身事故が発生した為、しばらく停車いたします。お急ぎのところ非常に〜」
おいおい。
これはマズイんじゃないか?
即座っていた席を立って、駅員室に聞きに行く。

「どのくらいかかります!?」

すると、何故かひそひそと、

「実は、要救助者が生きてるらしいんですよ…。だから、これからレスキュー呼ぶから、多分、2,3時間かかっちゃうと思います…」

無理!

その後もダイアが乱れて止まったり動いたりの繰り返しになるという。
タクシー代を請求するも、それは出来ないと言われた。

東武線は止まってしまったが、JRは通常通り動いているということなので、現場から一番近いJR久喜駅まで行くことに決め、駅の外に出るもタクシーがいない。
田舎の駅だからか、みんなそれで移動したからか、とにかくいない。
タクシー乗り場にも行列が出来始めていた。

すぐさま自宅に電話。

背に腹は変えられない。
よその家庭よりは確実に親子関係の希薄な父に頼みこみ、車で送ってもらうことにした。

「夜飲み会が有るから、成田までは無理だぞ」

と父。

もう何でもかまわないから早く来てくれ!

距離からして、僕の家から杉戸駅まで車で15分。
杉戸駅から久喜駅までが15分。
なんだかんだで一時間も有れば久喜駅に着ける。
1時間くらいの遅れなら、なんとか間に合う。

…しかし、父親が杉戸高野台駅についたのは、電車が止まってから約1時間後だった。
デッドロードと呼ばれる片側一車線しかない国道4号線が渋滞していたのだ。
もちろん久喜駅に向かう道も渋滞している。土日の国道4号線の渋滞は酷い。
車の中で、保険屋に電話し、飛行機に乗り遅れた場合、保障は有るのか問い合わせると、

「そういったケースは当てはまりません」

との回答。全く役に立たん。
ふと横を見ると、父親がこれまで見たことない程必死で運転している。
右折が遅い前の車にクラクションを鳴らし、

「何やってんだ!」

と怒鳴っている。細道に無理やり4WD車をねじ込み、ナビにない道をすごいスピードで進む。

親父が僕の為にこんなに必死になっている姿を見るのは初めてだ。
一応、世界一周してくるとは軽く言ったが、ほとんど無反応だった為、いつも通り関心がないと思っていた。

僕は父親に物事の相談をしたことがない。
小学生の頃から、何かしたいという度に「ダメだ」と言われ続けたから、いつしか父親に自分の考えは何も話さないようになっていた。
高校受験も大学受験も、受験にかかる費用だけ伝えただけで、その他一切、将来のことなども話したことがなかった。
19才で家を出て、8年間、ほとんど口を利くことがなかった。
実家に戻ってからも必要な事意外はあまり話したことがない。
10分以上連続で口利いた事ないんじゃないだろうか?

その父親が、今僕のために必死でがんばっている。
初めて親父らしい姿を見た気がした。
少々感動してしまったが、もちろんそれは口にはしなかった。

結局、久喜駅に着くまでに、30分以上かかってしまった。
予定ならもうそろそろ成田に着く頃だった。
すぐさま携帯でルートと到着時間を計算。
18時半前に成田に着ける。
ちなみに、フライト予定時刻は19時00分。
チェックインの締め切りは、一応18時となっている。

電車は無事動いていた。
ホームに立っている僕の前にカラスが飛んできて、突然大声で泣き叫びだした。
一体どれだけ縁起悪いのさ!?
これは今日は行かない方が良いんじゃないのか?
なんてことも頭をよぎったが、空港で今日一緒に旅立つT先輩が待っている。何もしないわけにはいかない。
友達からも沢山のメールが来ている。がんばろう。

電車の中では電話はしない主義だったが、緊急事態なので構わず旅行会社の神足さんに連絡した。
T先輩からの連絡はないかと聞くも、「ない」と。

T先輩は携帯を解約している。こちらからは連絡の取りようがない。
たぶん彼の性格からして心配は全くしていないだろう。
むしろ怒ってるはず。

やれやれ、言っても信じてもらえねーだろうな…。

昨日僕が寝ていないことは知っているから、間違いなくうたた寝して寝過ごしたと思われているだろう。
やれやれ、初っ端から面倒なことになった。
言い訳を信じない人だから、一方的に嫌味を言われるだろう。

なんで人身事故を起こした人は鉄道会社に損害賠償を請求されるのに、乗客は鉄道会社に損害賠償請求できないのだろうか?
実際被害に遭っているのは僕たちなのだ。
そういや電車が故障しましたとか言って朝からしょっちゅう止まってるダメ鉄道があるけど、アレってどうなんだろう?

なんてどうでもいいことを考えながら、混みあっている電車に揺られ、重く大きな荷物を周りの客から白い目で見られながら、どうにかこうにか成田へと向かった。

成田に着いたのは18時20分頃だった。

ダッシュで出発ロビーを目指す。
ついでにau解約できる場所も探す。
インフォメーションに嘘を教えられ、5分ほどロスするも、何とかアメリカン航空のチェックインカウンターにたどり着いた。
しかもauはチェックインカウンター入り口の目の前だ。
客も全然居ないし、30分有れば全部間に合う。
ちょうどスタッフがゲートを閉めようとしていた。

「すみません!人身事故で!」

言葉少なめに急いで状況を説明すると、

「急いで荷物を通して下さい!」

とそこに居た若いスタッフの皆さんが迅速な対応をしてくれた。

「au解約しないといけないんですけど!」

「大丈夫です!まずチェックインを!」

なんて対応良いんだアメリカン航空。今後もひいきしよう。
とりあえず間に合いそうだ。

…しかし、ほっとしたのも束の間、チェックインカウンターにボスのような態度で、でん、っと座る、巨大なモンスターのような女性(?)スタッフが現れた。

息を切らしてやってきた僕を、なんとも面倒くさそうな目つきで見ている。
僕のイメージ映像では、鼻くそをほじりながら下目でこちらを見ていた。

「間に合いますか?」

「さあ。どうでもいいけど、荷物は自分で持っていって下さいよね」

とにかく面倒くさそうだ。
ワンワールドの20枚綴りの手書きのチケットを見せると、さらに顔つきが面倒くさそうになった。
初めて見たかのように、パラパラとチケットをめくって見ている。
実際このチケットは珍しいらしいので、本当に初めて見たのかもしれないが。

「大丈夫ですか?」

無視してパラパラしている。

「au解約しないといけないんですけど」

そういった瞬間、突然ボスモンスターは机を両手で叩いて、思い腰を勢いよく持ち上げて、

「よし!もう今日は止めにしましょう!お終い!」

と勝手なことを言い出した。

「はぁ!?意味分かんないんですけど!?さっき間に合うって言ってましたけど!?」

そう食い下がると、

「搭乗ゲートが遠いからダメ!明日にしましょう!明日のチケットを今日と同じ時間で予約しておきますからね!言っておきますけど、こういうことは普通できないけど、特別にやってあげるんですからね!」

と、勝手に早口で一人で言っている。
そもそも、こういうケースの場合、次の日開いていれば普通に振り替えできるし、さっき旅行会社の神足さんにも電話していて、明日のその便は空席も有るので、乗り遅れたら振り替えしますと言っていたばかりだった。

つまり、このデブモンスターは嘘を言ってきたのだ。

「それは普通にできることだろう!?」

そう指摘するも、その答えはなく、

「はい、明日の席取れました。じゃあ明日また来てください!」

と物っ凄い偉そうに鼻息を荒くして言われた。

最悪の対応だった。


もういい、疲れた…


一つため息をつき、外人がやるように両手を斜め前に出して、首を振って、「話になんない」のポーズをして、とぼとぼと既に閉まったゲートから出た。
若いスタッフさん達は、おろおろとしながら申し訳なさそうにしていた。
多分、デブモンにはみんな逆らえないのであろう。
分かってます。

そばに有ったベンチに腰掛け、しばし呆然と天を仰いだ。
30分ほどしてから、友達数名にメールをし、その場を後にした。
外に出て、誰も居ないタバココーナーで一服していると、飛行機が東の方へと飛び去っていった。
あの飛行機にT先輩は乗っているのだろうか?
タバコを吸いながら、物凄い無念と、なんともいえない寂しさを味わった。

既に30時間以上寝ていなく、クソ重い荷物を持って立ちっぱなしだった為、疲労と空腹で朦朧としていたら、帰りの電車の乗り換えを間違えてしまい、家に帰るのに4時間もかかってしまった。携帯の電池も切れていた。

23時過ぎ、やっと帰宅できた。

風呂に入っていると、

「なんで俺、ここで風呂なんか入ってるんだろう…」

なんて思って、本当に世界一周しに行くんだろうか?と自分でも疑問に思えてきた。

しかし、あまりにもおかしな偶然が重なったので、今日は行かなくて良かったのかな?
なんて思って、ひとまずゆっくり寝ることにした。。。

ほんと、死ぬほど疲れた・・・


みんなありがとう!1



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『WAiのワンワールド世界一周365日の旅の記録@2007』


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