真夜中の拳銃(ラオス)

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ワンワールド。それは、1年間FIXの世界一周航空券である。一年で世界一周するのは時間的にかなり厳しい。しかし、その時間制限が有ってこそ光り輝く何かがある。いわば、ワンワールドで旅をするということは、ある一つの作品を作り上げるのと同じこと。みんなそれぞれの旅がある。これはそんなワンワールドを利用し、どこまでできるかチャレンジした365日間の記録である。
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真夜中の拳銃(ラオス)  2008年01月12日

真夜中の拳銃(ラオス)


午前1時30分。ラオス。
男は銃口を向け、静かに立っていた・・・



1月9日。
前日の夜行で、ミヨシ君に再度見送られ、ニャチャンからホイアンを目指した。
早朝にホイアンに到着し、1時間少々のトランジットの間に、名物のホワイトローズを食べ、そこからさらに4時間バスに揺られ、11時半頃、古都フエに到着した。

さっそく旧市街を見学しに行った。ここは、町自体が世界遺産で、王宮などが残っている。

町自体が世界遺産のところは今まで沢山有り、少々見飽きた感があるからか、正直な感想としては、まーまーといったところだった。
個人的には、古都系の世界遺産では、グアテマラのアンティグアや、メキシコのグアナファトとかの方が好きだ。

最近はむしろ、そういった世界遺産より、ツーリストがあまり歩かないような裏道を歩くのが楽しい。
中学生くらいの女の子が、家のドアの前でおばちゃんに髪を切ってもらっていたり、庭で子供がキャッチボールをしていたり、くたくたになった洗濯物が大量に干してあったり、生活感が出ているところを見のが、なんとも面白い。

フエの午後は、気持ち良い風が吹いていた。
旅に出て、風にもいろいろ有ることに気がついた。
パタゴニアの風は、身体にまとわりつくように吹く。
強風だが、何故か優しい。好き。
サハラ砂漠に吹く風は、50度を超える気温の中の熱風だった。
カラリと乾いていて、相当熱いのだけど、何故か好きだった。
ここフエに吹く風も、心地よくて好きな風だった。

旧市街見学から帰ると、トルコで会って、イランで再会し、その後イランの空港で再々会し、一緒にドバイ、ペシャワールに行き、さらにバラナシとカトマンズで会い、バンコクで一緒にクリスマスをぶっかけ飯屋で乾杯したミヤモト君とまたもや再会した。彼はラオスから来ていたが、偶然予定を一日繰り上げてベトナムに入ったそうな。一日でもずれていたら、会うことができなかった。
不思議なもので、旅中、再会する人には何度も再会する。
みんな何かに導かれるかのように。
人の出会いには、必ず意味が有ると思う。
こうして今世界一周の旅に出たのも、何年もかけて、たくさんの偶然の出会いが重なった結果だ。
いろいろな出会いを辿っていくと、一本の線になって繋がる。
この線は、果たしてどこまで繋がっているのだろうか。
全て、大切にしよう。。

夜、ベトナムのビールで何度目かの再会に乾杯した。


1月10日。

朝7時半にピックアップのバイクが迎えに来た。
昨日ラオスのサワンナケート行きのバスチケットを買ったのだが、ツーリストバスは無いはずの日なのに、そこの旅行会社は、「有る」と言い張ったので、試しに買ってみた。
結果、、まー普通にローカルバスだった。欧米人0。英語通じる人皆無。

やれやれと思ったが、普通のローカルバスだったら、途中2回乗り換えをしないといけないのだが、このバスは国境を越え、直接ラオスへと向かえた。しかも、乗客が5人くらいしか乗っていなかったので、かなり快適。むしろ、ツーリストバスより快適だったんじゃないかと思うほどだった。しかも、ラオスの金を持っていなかった僕に、一緒にバスに乗っていた若者が、昼飯をたらふくおごってくれた。感謝。途中トイレにいきたいと言ったら、茂みでちゃんと止まってくれるし、みんな良い人達だった。

午後5時過ぎにサワンナケートに着いた。
そのままタイに抜けることも可能だったが、せっかくだから一泊泊まって、ラオスのメシでも食っていこうと思い、トゥクトゥクに乗って、町中へと向かった。

町外れの一泊3ドルの安宿へ。
そこで、思いも寄らない体験をすることになる。

宿にはレセプションなどなく、一軒家に大きめな玄関が有り、1階は広間のようになっていた。そこに年齢不詳の男(オーナー)が一人で立っていたのだが、この男を一目見た瞬間、

なんか危なそう・・・

と感じた。トルコで、

「俺はサイエンスを信じている。サイエンスこそ真だ。神など信用しない」

と、おおよそイスラム教徒らしからぬことを口走っていたスタッフがいる宿に泊まったのだが、そいつと同じ目をしていた。結局、そのトルコの宿は、以前拳銃で押し入られ、撃ち合いが有ったとか無かったとかで、今は一室を武器庫にしていて、オーナーはいつも拳銃を隠し持っていることが発覚した。そいつもやっぱりどこか危ない奴で、バックギャモンで負けるだけで、かなりムキになっていた。

そいつと同じ目をしている。

突然キレそうな目。

独特の雰囲気。。

このオーナー、やたらと神経質なようで、二階の数少ない客室に上がるとき、玄関で靴を脱がせ、さらに廊下を歩くときは、

「静かに、静〜かに歩くように!あ!ほらほら!バッグは引きずらないで!私が持つから!!」

とかとにかく静かにするようにと繰り返し注意された。
部屋には、注意事項がかなりたくさん張ってあったが、内容は、どれもくだらないことばかりだった。

道を聞くと丁寧に教えてくれるし、むしろ優しいのだが、なにか目が据わっているというか…。

ゲイかなんかの類かな?

そうも思ったが、外に出ているうちにすっかり忘れてしまった…。

夜の町を数時間うろついて、ラオス料理(?)のカオニャオというもち米みたいなのと、いろいろなおかずと、ビアラオというラオスビールを買って帰り、部屋で食べた。どれもこれもなかなか旨い。ただ、最近両奥歯が虫歯になったようで、もち米を噛むと、かなりの激痛が走った。しかし、あとちょっとで旅も終わるので、がんばって耐えて食いまくることにした。

そんなこんなしてる間に、夜も11時半頃になった。
宿には何人の客がいるのか分からないが、やけに静まり返っている。
あまり気にしないでぼ〜っとしていると、外で宿の門をドカンドカン叩く音がした。
どうやら、客の欧米人カップルが、酔っ払って帰ってきたようで、ドアをぶっ叩きながら、大笑いしている。

男「開けろ〜!ぼけ〜!ギャハハッハハハハ!」
女「キャッハッハハハハ!早く開けなさいよ〜!」

って感じ。 

酔っ払い鬱陶しいなぁ、と思って聞いていると、ドアを開ける音がした。
すると、

「あ、ソーリー…アイムソーリー!ソーリー!!!!」

と、先ほどとは全くテンションが変わって、必死で謝っている声に変わった。

? なんだろう…?

あのオーナーが怒ったのかな?

やっぱ変なのかなぁ。。

疑惑が少し膨らんだ。

そして、いよいよその答えが分かることになった。やっぱり危ない奴だった。

1時頃まで部屋でPCを使って、i-podの曲の入れ替えなどをやっていた。
もちろん、気を使ってイヤホンを付けて。
そして、こっそりとドアを開け、言われた通り、静かに廊下を歩き、トイレへ向かった。宿はひっそりと静まり返っていて不気味な雰囲気。
また帰りもこっそり戻ってきて、部屋のドアを閉めた。。。
すると…

トントントンントントントントントントン

なんかめちゃくちゃ小刻みにドアをノックする音がする。
その音が小さ過ぎて、自分の部屋のドアなのか、そもそもそれがノックなのかも微妙。
その音は、3分ほど続いた。かなり気持ち悪い。

ベッドの上で煙草を吸うな

そう書いて有ったのだが、部屋で煙草は吸っていたので、見られると煩いかも知れないと思い、一応、息を潜めて、音が止むのを待った。

チッ…

たしかにそう聞こえた。すると、ズズズ…
と、足を引きずるような音が、下の階へと向かって去っていった。

なんだったんだろう?

たぶんこの部屋をノックしていたのだと思うが…

やっぱりゲイか??

1時半。その時はやってきた。

i-podの入れ替えが終わり、そろそろ寝ようかと、部屋の隅に置いてあったテーブルを、もと有った場所に戻した。宿の決まりに、「部屋の物は、動かしてはいけない」と有ったので、また何か言われたら面倒だと思い、こっそりと、ほんとに、こっそりと元に戻した。すると…

トントントントントントントントントントントントン…

ひ〜〜〜!!!!

やっぱりこのドアだ!

なんなん!?

って思ったが、絶対にあの男、かなりの神経質で、今の微妙な物音に気付いたんだ。

そう思いなおし、とりあえずゲイ的用事ではないだろうと判断。無視して後で罰金請求などされても嫌なので、とりあえずごまかそうと思い、ドアを開けた・・・

「yes?(小声)」

言った瞬間、目の前に銃口が現れた。男の目は虫けらを見るように据わっている。

「出た!」

と思ったが、もちろん声には出さず、一瞬で考えた。
不思議なもので、銃口を向けられていたのだが、全く恐怖は感じなかった。

「どうしようか?」

とだけ思った。

とりあえず、刺激したらヤバい気がする。巧く雰囲気を変えるしかない。

視界には思いっきり銃が入っているが、全く気付かないフリをして、男の顔だけを見つめ、怪訝そうに、

「こんばんわ?どうしたんですか?」

と尋ねた。すると男は、

「1時30分だ…」

とだけ呟く。

「あ、、本当だ!もうそんな時間だ!」

わざとらしくリアクションをとってみると、

「1時30分だ…」

また言われる。

「そ、そうですね!もうこんな時間!早く寝ないとですね!ありがとう、わざわざ!」

何故かお礼を言ってみると、ふっ…と男の表情が変わった。。。
銃をズボンの中に仕舞いながら、小声で、

「ほら、みんな寝てる時間だから、静かにね!静かに!」

と優しく言われた。

「あ!すみません!そうですね、もうこんな時間だとは!し〜…ですね!寝ます!」

僕も小声でそう答えると、

「OK…おやすみ…」

そういって去っていった。

うっわ〜…やっぱ危ねぇ奴だった…

やっぱり、不思議と恐怖は全く感じなかった。ブラジルで強盗に襲われてぶん殴られた時も、何故か不思議と恐怖は感じず、

「よっしゃ!ネタゲット!!」

なんて思ったのを覚えているが、今回は、そんな興奮もなく、ただ、たんたんと、第三者を見るように、自分を見ていた。旅でどこかの神経が麻痺しているのだろうか・・・。
今思い出しても、怖かったと感じない。
むしろ何か、不思議な体験をしたような気がした…。

とりあえずさっさと寝ようと思い、部屋でこそこそと、ほんとにこそこそと歯を磨いていると、

トントントントントン…

また来た…。今度はなんだよ…

わざと驚いたふうに、それでいて小声で、

「はい!?どうしました??」

ドアを開けてそう聞いた。今度は銃は出していない。
僕が歯を磨いているのに気がついて、

「…5分だ。5分以内に寝るように…」

そう言って闇に消えていった。

なんなんでしょう・・・

さっさと歯を磨いて、電気を消してベッドに横になった。

数分すると、どこかの部屋から、欧米人カップルの小さな笑い声が聞こえた。

トントントントントントントン…

「そ、ソーリー!ソーリィィィーー!!」

宿の外では、犬が月に向かって吠えていた・・・


1月11日。
午前中にメコン川など、まだ見ていないところなど回って、12時にチェックアウト。
オーナーは優しくなっていた。

バス停に向かい、タイ側国境の街、ムクダハン行きのバスに乗り、タイを目指した。
ラオスイミグレで、TAXなんだか賄賂なんだか分からないが、20B(約80円)を請求された。みんな払っていたので、とりあえず払っておいた。なんだったんだろう??
順調にムクダハンに到着し、3時間ほど待ち、そこから夜行でバンコクへと向かった。

カラオケがけたたましく流れるボロバスだったが、まだ真っ暗な朝6時、順調にバンコクに到着した。

バスターミナルから市バスで30分ほど揺られ、住み慣れたカオサンに戻ってきた。
あれだけつまんないと思っていたカオサンだが、住めば都か、なんかちょっとほっとした。

夜には、この旅でカンクンに行った時に宿で語ったマイルマニアのリョウ君が、バンコクに旅行に来ていたので、会いに行って遅くまで話した。

そして、午前1時。また、宿に戻ってきた。楽しい時間だった。


1月2日にスタートした、超小回り東南アジア一周の旅は、早くも幕を閉じた。
8泊11日の旅だった。やればできるもんだ。
二日滞在して夜行、なんてパターンで無理やり来たもんだから、4日にシェムリアップを出てから、今日まで一度も連泊無し。かなり疲れた。相当寝不足。しかし、アフリカダッシュに比べれば、全然楽な気がした。
旅自体は、順調に進みながらも、いろいろな出来事やハプニングが有って、やっぱりとても楽しかった。

そして今日、また予定を変更し、明日の朝(1/13)にはシンガポールへ向かうことになった。それから先は、まだ未定・・・

いよいよ、残り後1週間。

最後まで駆け抜ける旅を!


写真;
1.ホイアンはバイクよりチャリだらけ。二人乗りしている女の子は、二人で足を合わせてペダルをこいでいた。1



2.ホイアン名物「ホワイトローズ」2



3.フォーン川3



4.チェー。美味い!4



5.チェー屋台5



6.フエ名物「ブンボーフエ」これまたかなり旨い6



7.サッカーをする少年達7



8.何かを洗っている。この後挨拶してくれた。感じいい。8



9.川から石を拾うおっさん9



10.王宮入り口。なんとなく、中には入らなかった。10



11.こんな絵も好き11



12.がらがらのラオス行きバス12



13.メシをおごりまくってくれた兄ちゃん13



14.サワンナケート14



15.ラオスメシ15



16.メコン川を眺める若者16



17.メコン川を眺める三十路のおっさん17



18.ロケットみたいな教会18



19.「三菱」なのに「SHARP」のステッカー19



20.日本のラーメンチェーン店「山小屋」。昔働いてた会社のビルにも入ってた。まさかバンコクに在るとは・・・
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