十三人の刺客
総論:十三人のMy Men!遠山の金さん大暴れ!

時は弘化元年(1844年)。徳川第12代将軍の弟、明石藩主・松平斉韶(まつだいらなりつぐ)の暴虐を幕閣に告発するため、その家老であった間宮図書が訴状を残し切腹した。これにより斉韶の非道は幕閣(今でいう内閣)の知るところとなったが、事情を知らぬ将軍は弟の幕閣入りを決定してしまう。この事態を憂いた筆頭老中・土井利位は斉韶の暗殺を決意。この密命を受けた島田新左衛門(役所広司)は十三人の豪傑を集結させ、参勤交代により帰国の道中にある斉韶一行を中山道落合宿で襲撃する。相手は200人を超える大軍勢!新左衛門達は、この幕末最大のミッションを果たすことができるのだろうか!!?

ということで映画「十三人の刺客」を観てきました。いや~ホント面白かったです!!

泰平の世で死に場所を失った武士の悲しい性分。ついに廻ってきた天命への武者震い。しかしそれを与えたのは残額非道な暴君という皮肉!これは砕け散る魂の宴ですよ!俺はこういう直球勝負な映画が観たかったんだ!役者、監督、スタッフ。この映画をつくった全員に感謝です。ってことでこれからこの映画を褒めちぎるんだけど、まずは十三人のMy Men達を紹介するね(笑)

役所広司:島田新左衛門
山田孝之:島田新六郎
松方弘樹:倉永左平太
沢村一樹:三橋軍次郎
石垣佑磨:樋口源内
近藤公園:堀井弥八
高岡蒼甫:日置八十吉
六角精児:大竹茂助
波岡一喜:石塚利平
伊原剛志:平山九十郎
古田新太:佐原平蔵
窪田正孝:小倉庄次郎
伊勢谷友介:木賀小弥太

どうですか!この若手・中堅・ベテランとバランスの良い豪華ラインナップは!上は「遠山の金さん(松方弘樹)」から、下は「電車男(山田孝之)」まで、どんな場所でも勝負できる実力派俳優が勢揃い!!主役の役所広司を筆頭に、死を覚悟して弾けまくる男達の姿にはどうしたってアガるよね(笑)その威風堂々とした姿を141分も巨大なスクリーンで拝めるんだからホント最高でした。

この映画はまずなんたって役所広司の眼光がヤバイです。映画全体が放つ"殺気"の発信源は彼の目だよね。こっちをギラっと睨む度に心臓がドキッとさせらっぱなし。てか新左衛門絡みのシーンは全て最高なんだけど、老中から密命を受けるシーンの、ある被害者の呪いが新左衛門に伝播するとこが特にヤバイ。オシッコちびりそうになったよ(笑)そこで彼は武者震いしながら笑うんだけど。そこで文字通り目の色が変わる。命を賭けるのに相応しい大義が与えられた喜びと、被害者の怒りと悲しみを綯い交ぜにして、己の内に潜む鬼を目覚めさてしまったような、まさに修羅の目だった。これぞ主役ですよ!

伊原剛志の質実剛健っぷりもヤバかった。高潔なパワーがオーラとなって滲み出てました。ってか刀を構えてるだけでマジカッコイイんスわ!!そんな彼がだよ、「戦にあっては武士道も卑怯もない!刀がなければ棒を使え!棒がなければ石を使え!石がなければ拳を使え!何をしてでも相手を五体満足にしておくな!!」とか言って若手を鍛えまくるわけ。そりゃあ一挙に修羅になるよ!アニキ最高っス(笑)

殺陣はやっぱ松方弘樹が抜群でしたねー!動きが一人だけ桁違い!「遠山の金さん」で鍛えた太刀筋はだてじゃない(笑)長年に渡って練り上げたあの流麗な刀捌き。本当に素晴しかった!もうカッコイイを突き抜けてたし、眉をグッと寄せる度に笑っちゃったよ(笑)殺陣シーンのベストアクトは松方弘樹に決定!!大先輩の熟練の技しかと目に焼き付けました!アザス!!

あと山田孝之ね。彼は本当にアビリティが高いですね。特筆して「ここがハンパない!」とかは特にないんだけど、画面が引き締まるし独特の雰囲気が出るんだよね。画面を支配しちゃうっていうかさ、なんかずっと観てたい気分にさせる。この男は将来名俳優になると思うなぁ。ちなみに彼はこの映画の「無駄に生きるか?何かの為に死ぬか?」っていうテーマにおいて結構重要な役割を負ってるよね。彼の動向には注目です!

敵側の暴君・松平斉韶を演じた稲垣吾郎も良かったねー!ってか超スプラッタ描写満載!いいの!?アイドルがあんなんやって!(笑)最期の決戦はちょっと「あずみ」の美女丸化してたけど、共同体の中で生きるには致命的な欠落を抱えた狂人を堂々と演じてたと思う。しかもあのメシの食い方ね(笑)嫌悪感を抱かせる過剰な演出だけど、フード理論的に完璧でした!

最後に、新左衛門の同門で、哀れにも殿様への忠義を貫く頑固者・鬼頭半兵衛を演じた市村正親も忘れちゃいけないね。暗殺計画に気づき、その真意を確かめるために新左衛門の家に単身乗り込んできた時の二人の会話。お互い認め合った友だったのに、運命が二人を・・・みたいなさ!あそこヤバかったー。この部分は映画「ヒート」でアル・パチーノとロバート・デニーロが交わした「次会う時は・・・お前を殺す」バリの緊張感なんだけど、俺はね、この映画で役所&市村はパチーノ&デニーロを超えたと断言するよ!(笑)あとハエの死亡フラグ。演出細かいねぇー。素晴らしい!

という具合に思いつくままピックアップしただけでもこんだけ見所満載なんだけど、こんだけ役者が伸び伸びと演技できるんは紛れもなく脚本・演出が素晴らしいからだよね。最近多いパズル型やどんでん返し型のストーリーとは違う、超どストレートな直球勝負。この飾らない姿勢がスガスガしかった。

展開は教科書通りの起承転結そのままに、暴君が非道を見せつけ、被害者の悲しみや呪いに触れ、男達が結集し、計略を練り上げ、駆け引きと大決戦を乗り越えて決着をつける。ただそれだけの一本道勝負。そのシンプルさ故に誤魔化しが利かないんだけど、あらゆる場面で手を抜かず、一つ一つを丁寧に描写していく。「おお・・・いいねぇ!」と何度手を打ったことでしょうか。もうこれは快感の域に達してますよ。

んでやっぱスゲェのは最期の大合戦シーンですよ。序盤の戦いがどんどんエスカレートしていくあの感じに、中盤の各人の見せ場、最後は敵・味方グズグズになって「ぐにゃ~!!」っと狂気が満ちていく感じ含めて、口あんぐりですよ(笑)これは映画史に残る名シーンだと思うなぁ。途中劇場で声出して「うおおおっ!!」って言っちゃったし!!(爆音で掻き消えたけど)これは絶対に劇場で観るべきです。いや~素晴らしい(←しつこいすねw)

ただね、ツッコミどころもあるっちゃある。例えば、刺客の数が十三人と多いので、どうしたって背景の描き込み不足があって「コイツは参加する動機が薄くねーかな?」みたな人がいるんだけど、そこはもう"役所広司力"で乗り切ってしまった感があるんだよね。あの鋭い眼光で「預かったお主たちの命、使い捨てに致す。覚悟は良いな!(刺客達:「はっ!」)」って言われたらもうそれでオッケイ!って感じでした(笑)

あと「キャシャーン」じゃなくて伊勢谷友介のモロモロ。物語上の重要度が低いわりに尺長くねーか!?(笑)特に岸部一徳とのナニは作品のトーンからの逸脱が大きすぎて「そういうのいーから・・・」って小さい声でツッコミを入れちゃったよ。いや、笑ったけどね(笑)

ということで映画「十三人の刺客」。絶対×100オススメです!!
⇒「十三人の刺客」のテーマについての評論はコチラ


「十三人の刺客」
公開:2010年9月25日
配給:東宝
監督:三池崇史
脚本:天願大介
出演:役所広司、山田孝之、松方弘樹、沢村一樹、石垣佑磨、近藤公園、高岡蒼甫、六角精児、波岡一喜、伊原剛志、古田新太、窪田正孝、伊勢谷友介、稲垣吾郎、市村正親
上映時間:141分
⇒公式ホームページ

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