2017年02月09日

東大合格2位の女子校で毎朝裁縫をする理由

東大合格2位の女子校で毎朝裁縫をする理由

8時15分からの5分間だけは、まるで時が止まってしまったかのような静寂に包まれる



名門進学校で実施されている、一見すると大学受験勉強にはまったく関係なさそうな授業を実況中継する本連載。第2回は東京・池袋の女子校「豊島岡」の「深イイ授業」を追う。
第1回:東京の進学校「海城」が学ばせる究極の対応力


■真っ白な布に、赤い糸を縫っていく

 池袋駅東口からまっすぐ伸びる大通りに面して、豊島岡女子学園中学校・高等学校(以下、豊島岡)はある。8階建ての校舎は、よく見ればたしかに学校らしいたたずまいではあるが、気をつけていなければまわりの商業ビルやオフィスビルにまぎれて素通りしてしまうかもしれない。通りの反対側から見ると、豊島岡の校舎の背後にはサンシャイン60がそびえている。

 朝7時、校門が開く。始業時間の8時10分までにはまだ余裕があるが、パンパンに膨らんだカバンを両手に持った生徒たちが吸い込まれていく。部活の朝練かもしれない。名物「月例テスト」の追試かもしれない。

 「月例テスト」とは、朝のホームルームの時間を使って実施される5~10分間の小テスト。高1までは漢字、英単語、数学の3種類。高2以降は古文単語、英単語、そして理科または社会の3種類。それぞれ月に1回のペースで実施するので、結果的に毎週いずれかの月例テストを受けることになる。しかも合格点を取れるまで追試が待っている。

 これが豊島岡生の基礎学力を担保し、昨今の大学合格実績の土台になっていることは間違いない。東大合格者数に関して言えば、いわゆる女子御三家をも凌駕する実績を誇っている。

 8時15分からの5分間だけは、豊島岡の校舎全体が、まるで時が止まってしまったかのような静寂に包まれる。私語は一切許されない。いすを引く音すらしない。「運針」の時間だ。


5分間、無言で

 豊島岡の生徒は1人ひとり、真っ白な布と、真っ赤な糸と、そして裁縫針を机の中に持っている。8時15分のチャイムが鳴ると、赤い糸で白い布の端からまっすぐに、針目をそろえて縫っていく。

 先生も黙っている。そしてただ、生徒1人ひとりの針の動かし方をじーっと見ている。

 布の長さは約1メートル。そこに赤い縫い目が描かれていく。端から端まで縫い終わると、そのまま赤い糸をすーっと抜き取り、また初めから縫い直す。5分間、無言で、ひたすらそれをくり返す。

 手際のいい生徒は、リズミカルに、針よりもむしろ白い布のほうをぱたぱたとあおぐように動かし、あっという間に端から端まで縫い終わる。何度もそれをくり返す。素早く縫っているのに、縫い目は機械で縫ったかのように均等で、まっすぐだ。縫うときの姿勢も目つきもいい。

 性格にもよるのだろう。スピードは遅くとも、一針一針確かめるように縫う生徒もいる。それはそれで、美しい縫い目ができあがる。

 一方、どうも気が乗らないのか、寝不足なのか、首をかしげながら縫う生徒も中にはいる。縫い目は大きくまばらになる。まっすぐでもない。

 素人の私が遠目に見ても、1人ひとりの針の動きがよくわかる。白い布の上に描かれた赤い糸の縫い目には、個性すら感じる。

 8時20分のチャイムが鳴ると、学校全体ににぎわいが戻る。静と動のコントラストが印象的だ。



■1日1ミリでも、昨日の自分を越えていく

 豊島岡の起源は1892年にまでさかのぼる。裁縫学校として始まった。裁縫上手な普通の女性が、近所の女子たちの手に職を付けるために、縫い物を教えたという生い立ちだ。女性の自立のため、裁縫だけではなく、算術や簿記も教え、評判となった。大正時代になると女子への教育熱も高まったため、裁縫よりも普通教育に軸足を置くようになる。

 毎朝の「運針」が始まったのは戦後のことである。先先代の二木友吉校長が、幼い頃にやらされた黙想にヒントを得つつ、学校の伝統である裁縫の要素を取り入れたのだ。

 ちなみに週1回は「運針」の代わりに「月例テスト」を行う。つまり、「月例テスト」も努力の積み重ねの大切さを学び、基礎基本の大切さを知る機会であるということができる。全生徒が6年間、コツコツと努力を続けた結果が、大学進学実績になって表れているのだ。その意味で、「運針」と「月例テスト」はどちらも豊島岡の教育の柱であり、相乗効果を生み出しているといえる。


赤い糸の縫い目を見れば…

 自身も豊島岡の卒業生である竹鼻志乃校長は、「運針」を「5分間の禅」と表現する。生徒にとっては毎朝5分間、集中力を高め、心を鍛錬する意味がある。担任にとっては、生徒をじっくり観察する時間でもある。針の動かし方、赤い糸の縫い目を見れば、その生徒のその日の心の状態がわかると言う。実際「イライラしているときは針目が乱雑になります」と言う生徒もいる。心の状態が、赤い糸の縫い目に表れてしまい、ごまかしようがない。

■昨日の自分を1ミリでも越えようという意識で

 最初からうまく縫える子は少ない。中1の1学期間を経ても上達しない生徒には、家庭科の教員による夏休みの特訓が待っている。最初は5分間で10センチメートルも縫えないということも多い。しかし1年後にはほとんどの生徒が1メートルを縫えるようになり、さらに2メートル、3メートルと伸びていく。

 かといってスピードや正確さを競わせることはない。進み方は人それぞれ。まわりとの比較ではなく、昨日より今日、今日より明日と、1日1ミリでもいいから進歩することが大事。「運針」をすることで、豊島岡生は毎朝、昨日の自分を1ミリでも越えようという意識になるのだ。

 しかも運針では毎回、最後には糸を抜き去ってしまう。どんなに頑張っても形が残らない。「それが大事」とある教員は力説する。形を残すことは目的ではない。生徒たちは「大切なものは自分の中にしか残らない」というメッセージを受け取って卒業していくのだ。 



東洋経済オンライン 2/8(水)



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wakabanavi01 at 00:30|Permalink中学受験 | 私立

2017年02月01日

【中学受験2017】どうなる首都圏入試? 傾向と人気校の倍率・偏差値(まとめ)



 首都圏の中学受験が本番を迎え、2月上旬に多くの中学校が入試を実施する。東京・神奈川の中学入試解禁日は毎年2月1日に設定されており、難関校の入試は1日と2日に集中する。

◆受験パターンの多様化

 最近の中学入試の傾向としては、複数回の入試を設定し、その機会の多さや受験しやすさから多くの受験生を集める学校が増えてきている。また、午後入試が定着し、1日2回入試を行う学校もあり、受験パターンが多様化してきている。

 ここ数年、受験者数の増加で注目される広尾学園は、12月実施の「国際生」のほか、2月1日の第1回(午前)、第2回(午後)、2月2日の医進・サイエンス回、インターAG回、2月5日の第3回と6回の入試を行い、第1回は前日まで、その他は入試当日まで出願を受け付けるなど柔軟に対応する。


◆インターネットの活用

 インターネット合格発表校は年々増加しており、即日、合否が確認できる学校も増えてきている。たとえば2月1日入試校が第1志望の受験生は、当日中に合格が確認できれば、2日以降の併願校を受験せずに済み、早期に受験を終了することができる。豊島岡女子学園、世田谷学園、攻玉社、洗足学園などの難関校も即日、インターネットで合格発表を行う。

 大学入試では一般的となったWeb(インターネット)による願書受付は、中学受験においても対応校が増加してきている。一方で、未だ窓口のみで受付を行う学校もある。たとえば、桜蔭と女子学院は郵送での受付を行っておらず、麻布も「願書はなるべく持参するように」としている。


◆難関校の偏差値と倍率

 東京・神奈川の難関校の倍率を見ていこう。あわせて偏差値【首都圏模試センター・SAPIX小学部】も示す(※1)。

 栄光は、2015年の3.7倍、2016年の3.5倍から2017年は4.0倍と、過去3年間で最高倍率。一方で同じ神奈川で同日入試の聖光(1回)は、2015年の4.4倍、2016年の4.2倍から4.0倍と微減。開成、麻布はほぼ例年どおりの倍率となっている。

 女子学院は2015年の4.0倍から、2016年の2.9倍、2017年の2.8倍と減少傾向にあるが、2015年はサンデーショック(※2)により一時的に志願者が増加したと考えられる。

 最上位層の難関校の1日、2日の入試では、男子は3~4倍、女子は2~3倍程度が多く、目立った高倍率とはならないが、成績上位層が集中することから、倍率にかかわらず、厳しい入試が予想される。

<男子校>
開成【偏差値:首都圏模試77・SAPIX66】定員300名・応募者1,195名・4.0倍
聖光学院(1回)【76・64】定員175名・応募者695名・4.0倍
栄光学園【75・60】定員180名・応募者713名・4.0倍
駒場東邦【74・61】定員240名・応募者532名・2.2倍
麻布【74・60】定員300名・応募者967名・3.2倍

<女子校>
桜蔭【76・62】定員240名・応募者516名・2.2倍
女子学院【74・60】定員240名・応募者676名・2.8倍
雙葉【73・58】定員100名・応募者366名・3.7倍
フェリス【71・55】定員180名・応募者422名・2.3倍


◆大学附属校の人気

 今年の中学受験の傾向を聞いた11月の取材では、サピックス小学部と四谷大塚は、特に附属校志向の高まりをあげていた。人気附属校の一部の志願倍率と偏差値を見ていこう。

 早慶では、1日校の倍率に大きな変化は見られないが、3日の慶應義塾中等部の女子で、昨年の7.9倍より0.5ポイント高い8.4倍と高倍率。青山学院は、2015年4.1倍、2016年5.9倍からさらに倍率が上がり6.1倍。明治大学付属明治は、2015年の7.3倍、2016年の7.2倍から2017年は7.5倍と、過去3年間で最高倍率となった。

<2月1日入試>
慶應義塾普通部【73・57】定員(男)約180名・応募者566名・3.1倍
早稲田実業学校【72・58】定員(女)40名・応募者195名・4.9倍
早稲田(1回)【72・57】定員(男)200名・応募者787名・3.9倍
早稲田実業学校【72・54】定員(男)85名・応募者344名・4.0倍
早稲田高等学院【69・53】定員(男)120名・応募者407名・3.4倍
立教女学院【65・-】定員(女)約110名・応募者288名・2.6倍
中央大学附属(1回)【64・-】定員(男女)100名・応募者(男)182名/(女)226名・4.1倍
中央大学附属横浜(1回)【63/65・-】定員(男女)80名・応募者(男)230名/(女)259名・6.1倍
法政大学(1回)【61/64・-】定員(男女)約50名・応募者272名・5.4倍

<2月2日入試>
慶應義塾湘南藤沢【72・58/60】定員(男女)約120名・応募者(男)319名/(女)320名・5.3倍
明治大学付属明治(1回)【67/69・53】定員(男女)約90名・応募者(男)377名/(女)302名・7.5倍
立教池袋(1回)【65・-】定員(男)約50名・応募者236名・4.7倍
青山学院【64/68・-/54】定員(男女)約140名・応募者(男)360名/(女)497名・6.1倍

<2月3日入試>
慶應義塾中等部【74・63】定員(女)約50名・応募者420名・8.4倍
慶應義塾中等部【71・56】定員(男)約140名・応募者851名・6.1倍

※1 志願者数は日能研入試情報の「倍率速報」を参考にした。


 偏差値は「首都圏模試センター:1月更新の2017年予想偏差値」と「SAPIX小学部:第4回 12月4日(日)の合格力判定サピックスオープンの結果をもとにした2017年中学入試 予想偏差値」より掲載。いずれもWebで公開されている情報に基づいて掲載した。情報が公開されていないものは「-」とした。共学校で男女別の定員がなく、偏差値が異なる場合は「男/女」と示した。

※2 入試日の2月1日が日曜日にあたるため、プロテスタントの女子学院が2月2日に入試日を変更することにより桜蔭と女子学院を併願可能になる。

リセマムから転載   2017.2.1



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2017年01月31日

<私立中入試>英語を実施 首都圏、選択科目で95校に


毎日新聞 1/31(火)  

<私立中入試>英語を実施 首都圏、選択科目で95校に

1月20日に千葉市の幕張メッセで実施された私立市川中の入試。初めて英語を選択科目にした=首都圏模試センター提供

 首都圏の私立中学入試が2月1日にピークを迎える。2020年度の大学入試改革や、同年度から順次実施される次期学習指導要領に基づき、小学校5、6年で英語が教科化されることを見据え、これまで帰国生を対象にしていた英語入試を一般枠でも実施する動きが急速に進んでいる。学校側は入試を多様化させて選択肢を増やすことで受験者の取り込みを図る考えだ。

 中学入試の模試を実施している首都圏模試センター(東京都千代田区)によると、東京▽神奈川▽埼玉▽千葉▽茨城--の1都4県で昨年、私立・国立中学校を受験したのは推計4万3700人。ピークの07年には5万500人に上ったが、08年のリーマン・ショック以降は私立の高額な学費を敬遠する傾向が強まり、14年には4万2800人に減った。ここ2年は持ち直している。

 受験者の確保に力を入れる私立中は、大学入試改革の動向に対応した入試を実施している。大学入試は20年度に現行の大学入試センター試験から新共通テストに代わり、英語は従来の「読む・聞く」の2技能に加え「話す・書く」の4技能で学力を測る方向だ。

 また、小学校の英語は20年度に3、4年で楽しみながら学ぶ「外国語活動」になり、5、6年は正式教科になる。このため私立中学でも入試に取り入れる学校が急増している。

 1都4県では、10年ほど前は帰国生を対象に数校が実施する程度だったが、15年には14年の15校から倍増の33校に。16年には更に倍近い64校になり、今年も増えて95校に上る。

 難関の市川中(千葉県市川市)では今年、選択科目に初めて英語を設けた。同校の試験科目は国語▽算数▽社会▽理科--の4教科だが、英語を選択すれば社会と理科は免除される。問題は英検2級レベルと高難度だが、宮崎章校長は「最近の英語教育の低年齢化で、帰国生と変わらない英語力を持つ子は相当数いる。そうした子は入学後に帰国生と同じ授業を受けてもらい、能力を伸ばしてほしい」と狙いを明かす。

 英語教育を重視する東京女子学園中(東京都港区)は昨年、従来実施していた国語▽算数▽社会▽理科--の4教科の入試などに加え、国語▽算数▽英語--の3教科の入試も始めた。今年は3教科入試をやめ、英語の「話す・聞く」の2技能だけの入試にする。辰巳順子・校長補佐は「大学入試改革を見据えて取り入れた。英語が好きで、世界各国の人と交流したい子に受験してもらいたい」と呼びかける。

 首都圏模試センターの北一成・教務情報部長は「英語教育の低年齢化が進み、英語入試は間違いなく今後も増える」と分析している。

 ただ、こうした流れを危険視する声もある。英語教育に詳しい大津由紀雄・明海大教授(認知科学)は「英語入試が増えると、中学受験を目指す児童には小学校の英語が物足りなくなり、英会話教室などで学ぶケースが増える。学外での学びは経済的な余裕のない世帯には負担となり、教育格差が広がる恐れがある」と指摘する。



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2017年01月26日

【中学受験2017】男女御三家の最終倍率・出願状況…開成4.0倍・雙葉3.7


 麻布中学校と雙葉中学校が1月25日に出願を締め切り、男女御三家の出願倍率が明らかになった。男子は、開成が4.0倍、麻布が3.2倍、武蔵が3.7倍。女子は、桜蔭が2.2倍、女子学院が2.8倍、雙葉が3.7倍。麻布は前年度3.0倍より倍率があがった。

 男子の最終出願状況をみると、

開成は募集人数300人に対して出願者数は前年比16人減の1,195人、倍率は4.0倍(前年4.0倍)。

麻布は、募集人数300人に対し出願者数は前年比59人増の967人、倍率は3.2倍(同3.0倍)。

武蔵は、募集人数160人に対して出願者数は前年比16人減の592人、倍率は3.7倍(同3.8倍)。

 女子では、
桜蔭は募集人数240人に対して出願者数は前年比22人減の516人、倍率は2.2倍(同2.2倍)。

女子学院は、募集人数240人に対して出願者数は前年比19人減の676人、倍率は2.8倍(同2.9倍)。

雙葉は、募集人数100人に対して出願者数は前年比10人増の366人、倍率は3.7倍(同3.6倍)。

 いずれの中学校とも、入試は2月1日に行われる。出願状況は、各校のWebサイトをはじめ、日能研や首都圏模試センター、サピックス小学部などの出願倍率速報からも確認できる。


リセマム 2017.1.26  から転載


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2017年01月25日

中学受験「子の近視&親の高学歴」のスゴい相関


プレジデント 2017.1.25   から転載

中学受験「子の近視&親の高学歴」のスゴい相関



■中学受験率 文京区45% 港区38% 千代田区38%

 そろそろ中学受験のシーズンになってきました。以前に比して、国立や私立の中学校に進学する生徒は多くなっていることでしょう。

 国・私立中学校の生徒数は、1990年では23.8万人でしたが、2016年現在では27.2万人となっています。学校数も、同じ期間にかけて647校から849校に増えています(文科省『学校基本調査』)。少子化傾向にかかわらず、生徒数・学校数ともに増えているわけです。

 中学受験は都市部ではかなり広がっており、大都市の東京では、今となっては中学生の4人に1人が国・私立校の生徒です。昨年春の統計によると、都内の公立小学校卒業生の17.4%が国・私立中学に進学しています。

 なお、都内の地域別にみるともっとスゴい値が出てきます。都内の市区町村別に国・私立中学進学率を計算し、マップにすると図1のようになります。大都市・東京の中学受験地図です。

 東高西低の模様で、都心の区部で中学受験は広がりを見せています。濃い色は3割を超えるエリアですが、見事に固まっていますね。予想はしていましたが、こうも明瞭な地域性があることに驚きます。

 トップは文京区の44.9%、2位は港区の38.4%、3位は千代田区の37.8%となっています。これらの区では、地元の小学校卒業生の4割が国・私立中学に進学すると。スゴいですねえ。わが子を受験勉強に集中させるため、夏休みの宿題を代行業者に外注する家庭も少なくないのではないでしょうか。


中学受験「子の近視&親の高学歴」のスゴい相関

 


■高学歴で高い年収の親は、子を中学受験させる

 地図の模様や上位の顔ぶれから想像がつくと思いますが、国・私立中学進学率が高いエリアは、富裕層が多いエリアと重なっています。2013年の総務省『住宅土地統計』から都内49市区の平均世帯年収を出し、上図の国・私立中学進学率との相関をとると、相関係数は+0.770となります。リッチな地域ほど、中学受験をする子どもが多い傾向です。

 私立中学は学費が高いですし、幼少期からの塾通いの費用負担もありますので、経済力と関連するのは頷けます。ちなみに年収1000万以上の家庭の割合は、公立中学では14.6%ですが、私立中学では52.9%にもなっています(文科省『子どもの学習費調査』2014年度)。

 なお、高学歴の住民の割合とはもっと強く相関しています。図2は、都内49市区の住民(学生は除く)の大卒率と国・私立中学進学率の相関図です。

 大卒の住民が多い地域ほど、国・私立の中学に進む生徒が多い。相関係数は+0.8076で、先ほどの年収よりも強い相関です。稼ぎがなくても文化的教養が高く、わが子の教育に熱心な家庭も多いですからね。どちらかといえば、家庭の経済資本よりも文化資本が効くようです。

 東京の地域単位のデータですが、中学受験は社会階層と非常に強く関連していることがうかがわれます。「それがどうした? 」と言われるかもしれませんが、東大などの有力大学の入学者の多くが、中高一貫の私立校の出身者で占められていることを思うと、公正の観点からしてどうなのか……。

 早期受験は、富裕層の親が自分の子どもに、高い地位や財産を巧みに「密輸」する装置として機能しているのではないか。早い段階から私立校に行かせるには、お金がかかりますからね。90年代の初頭でしたか、この問題が認識され、私立校からの東大入学者の枠を制限しようという議論があったほどです。詳細は、苅谷剛彦教授の『大衆教育社会のゆくえ』(中公新書)という本を読んでいただければと思います。本連載の第9回記事でも、ちょっとばかり触れています。

中学受験「子の近視&親の高学歴」のスゴい相関




■中央区の子供の3割は、視力0.3未満

 私も東京暮らしが長くなりましたが、夜の電車で、分厚い参考書を食い入るようにして眺めている小学生をよく見かけます。中学受験をするため、塾通いをしているお子さんでしょう。

 目が悪くなりはしないかと心配になりますが、統計でみるとこれが当たってしまっている。中学受験が浸透している地域では、目が悪い子どもが多いのです。図3は、国・私立中学進学率と小学校6年生の近視率の相関図です。近視率とは、裸眼視力が0.3未満の児童の割合を意味します。

 2つの指標の間には、+0.8343もの相関関係があります。中央区では、3割近くが視力0.3未満なのですね。眼鏡をかけている児童も、さぞ多いことでしょう。食生活の乱れ(夕食をいつもファストフードなどで済ます)や運動不足による、肥満の増加も懸念されます。早期受験をさせるご家庭では、お子さんの健康に気を配っていただきたいと思います。頭が訓練されても、「カラダ」が蝕まれては何にもなりません。

 私は子どもの頃、塾通いは一切しませんでした。朝から夕方まで教室で座学してヘトヘトなのに、それをさらに夜遅くまでやらされるなど「真っ平ごめん」と考えていました。仮に週4日や5日も塾通いさせると言われたら、「虐待だ! 」と児童相談所に駆け込んでいたと思います。

 「虐待」という穏やかでない言葉が出ましたが、この言葉の原義をご存じでしょうか。虐待を英語でいうと「abuse」ですが、この単語を分解すると、「ab(異常に)+use(使う)」です。すなわち、虐待の元々の意味は「乱用」ということになります。

 昔は、この意味合いで「児童虐待」という言葉が使われていました。戦前期の新聞をみると、児童を長時間工場で働かせる、過重の宿題を課す、父母の虚栄心を満たすため女児に遊芸を無理矢理仕込む、といった行いが「児童虐待」として告発されています。まぎれもなく、「abuse」です。

 子どもが長時間工場で働かされるような「abuse」は無くなりましたが、現在では別の意味の「abuse」が出てきていることに注意が要ります。親の虚栄心(見栄)のため、子どもに早期受験を強制するなどは、その最たるもの。

 児童虐待が社会問題化していますが、殴る・蹴るといった身体への侵害だけでなく、本来の意味の「乱用」にも行政は目を光らせるべきかと思います。われわれは今、この言葉の原義に立ち返ることを強く迫られているといえるでしょう。

武蔵野大学、杏林大学兼任講師 舞田敏彦=文・図版



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