2022年05月10日

首都圏「中高一貫校」最新情報、23年入試の変更点は?【2023年中学受験】



前回と前々回は、2022年の新校長人事を取り上げた。新しい校長が何を手掛けるかで、学校の未来が大きく変わることもある。今回は、2023年入試で変更点がある首都圏中高一貫校を見ていきたい。女子校から「国際」を冠した共学校への変更や少子化が進む中での付属中学の新設をはじめ、入試の変更点など最新の状況について見ていきたい。(ダイヤモンド社教育情報)



● 私立大学が付属中学を今からつくる理由

 20世紀終わりの数年間、本郷・駒場と並ぶ三極構想の一環で、既存の研究施設を移すなどして東京大学柏地区キャンパスの整備が進んでいった。2005年につくばエクスプレスが開業、つくば学園都市よりも東京に近い千葉県北部エリアが、一大文教地区へと変貌を遂げてきている。三井資本による「流山おおたかの森」周辺の開発が象徴的だが、JR常磐線と合わせて、沿線にある柏市と流山市には子育て層が移り住むようになった。


 団塊ジュニア層が進学する以前から、沿線には私立大学の付属中高が新設されていった。中学設立が古い順に挙げると、光栄VERITAS(1983年中高)、江戸川学園取手(1978年高校、87年中学)、芝浦工業大学柏(1980年高校、99年中学)、専修大学松戸(1959年高校、2000年中学)、麗澤(1935年高校、2002年中学)、二松學舍大学附属柏(1969年高校、2011年中学)、東洋大学附属牛久(1964年高校、2015年中学)といった具合に、21世紀に入ってから付属の中学を設立した学校もあることに気付くだろう。


 少子化という逆風の中、2023年に中学を新設するのが流通経済大学付属柏である。付属高校が設立されたのは1985年のことで、その間38年の隔たりがある。ライバル校からは、「専修大学松戸の受験層に、別の選択肢があることを示したのではないか。両校ともスポーツが盛んで、運動部でも頑張りたいという層にもアピールしているようにも思う」という感想も伝わってくる。


 千葉県では、23年が15歳人口のピークとなるため、中学の段階から生徒を確保していきたいという思惑が背景にはありそうだ。22年の高校受験者数を見てみると、専修大松戸の3215人は飛び抜けているものの、二松學舍大柏が1342人、高校だけだが日本体育大学柏の1368人と、流通経済大柏の1188人を上回る人気校が周辺にある。


 12月1日午前に第一志望入試で50人を募集する点は、千葉県にある学校としては一般的な対応である。60人を募集する第1回は、千葉私立御三家で千葉市美浜区にある渋谷教育学園幕張と昭和秀英と同じ1月22日午前に4科で設定した。解禁3日目となり、他校と併願しやすい。

 第2回は専修大松戸(第2回)と同じ26日午前に4科で設けており、併願先として競い合うことになりそうだ。第3回は26日、第4回は2月4日午前にそれぞれ2科で設定、入試会場は流通経済大学の新松戸キャンパスで実施予定となっている。

 他にも、つくばエクスプレスの流山セントラルパーク駅前には、暁星国際流山幼稚園と小学校がすでにあるが、東洋学園大流山キャンパス跡地に暁星国際の中学を設立する構想が浮上しており、このエリアでの中学受験ブームはこの先も継続しそうな様相である。


 東京では、人気の世田谷区に生まれる新たな付属校への人気が高まりそうな勢いにある。この3月31日、明治大学は和泉キャンパスに近い日本学園と正式に系列校連携に関する協定を締結した。26年から男子校の日本学園は共学化して、「明治大学付属世田谷」に校名変更する。その3年後の29年の入学生から、内部推薦により卒業生の7割程度が明治大学に進学できるようにしていくことになる。


 明治大学付属明治は9割程度、明治大学付属中野八王子と明治大学付属中野は8割台がすでに内部進学している。23年に日本学園中学に入る男子は、6年後に明治大学に進む割合がこれら付属校に準じることになるわけだ。

 日本学園では圧倒的に高校からの入学生が多く、中学の募集人員は200人あるものの、実際の入学者数はその1割程度にとどまっていた。23年の募集要項は夏休み明けに公表されることになりそうだが、いまから受験者数の激増が予想される。



● 女子校再生のキーワード「国際」


 生徒募集が厳しくなってきた女子伝統校は、共学化・校名変更して新たな学校として生まれ変わる流れが、21世紀に入ってから増えてきている。中でも、新たな校名に「国際」の2文字を冠して人気化した最初の例が、三田国際学園だろう。1993年に港区芝から世田谷区用賀に移転、2015年に戸板中学校・戸板女子高等学校から現校名に変更、同時に共学化して人気が急騰した。


 戸板中高の故地で、創立120周年を機に「芝国際」に校名を変更して共学化するのが、芝4丁目にある東京女子学園である。国際と冠するだけあって、「世界標準での学びを」がキャッチフレーズであり、STEAM(Science, Technology, Engineering, Artなど多様な対象とMathematics)での学びを掲げている。


 現在、理事長補佐で開校準備室長となっている小野正人氏は、東京都市大学付属と広尾学園小石川の前身である村田女子高校の校長を務めるなど、学校改革のエキスパートでもある。宝仙学園共学部理数インターやかえつ有明高校の立ち上げ時に関わってきた開校準備室副室長の山崎達雄氏とタッグを組んでいく。


 この秋にも竣工予定の12階建てとなる新校舎の7階から10階には、東京学園女子の関係者が立ち上げたサイエンス特化の「ローラスインターナショナルスクールオブサイエンス」が入居するなど、新しい形での協同も進められていく。


 もう一つの「国際」が、学園の設立母体である扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)の名前を冠して23年から共学化し、サレジアン国際学園世田谷となる目黒星美学園(世田谷区)である。姉妹校の星美学園(北区)は22年から一足先に共学化し、サレジアン国際学園となっている。いずれも付属の人気小学校を持ち、これまで他校に進んでいた男子も取り込むことになる。最寄りがJR赤羽駅と東京メトロ南北線赤羽岩淵駅のサレジアン国際も、初年度から東京湾岸や港区などこれまであまり在校生のいなかったエリアからの志願者が集まるなど、手応えを感じている。


 やはり22年に募集再開と合わせて校名変更・共学化をした千代田国際も、生徒像が一変した。こちらは日野田直彦校長と森上展安氏による対談記事をご覧いただきたいが、PBL教育と海外大学への直接進学を明確に掲げている点に特徴がある。


 「国際」を冠していなくても、新しい教育を大胆に取り入れて改革の実績を持つ校長などが吸引力を持ってアピールする学校は、「グローバル系」とも呼ぶことができよう。広尾学園を筆頭に、元女子校のリニューアル校がその多くを占めている。23年に「国際」を冠する港区と世田谷区の2校については、これからも注目してお伝えしていきたい。


 もう一校、こちらは高校のみだが「国際」を冠して、24年から羽田国際となる予定の学校が、昨年創立80周年を迎えた蒲田女子(大田区本羽田)だ。現状では全入状態でも在校生数は定員の2割程度という状況にある、現在、新校舎も建設中で、今回の校名変更と同時に行われる共学化は起死回生の策となる。


● 2科目入試の廃止


 以前の連載でも触れたように、首都圏の男子校で一番多く受験生を集めているのは東京都市大学付属(世田谷区)である。2500人を超えるその受験生の半分は、2月1日午後の入試に集まってくる。2022年の東大合格者数が初めて12人と2ケタになった。その勢いもあってか、悲願の2月1日午前入試に参入することになった。


 募集人員は一般入試で約240人、帰国生入試とグローバル入試(英語・算数・日本語作文)がいずれも若干名で変わらない。一般入試では、新設する1日午前は4科で約50人(II類約10人、I類約40人)となる。廃止した6日午前の約30人(II類約10人、I類約20人)に加えて、2科となる1日午後からは約20人を充てて、こちらは約100人(II類約40人、I類約60人)となる。これまで2日午前に行ってきた約60人(II類約20人、I類約40人)とグローバル入試は4日午前に移し、4日午前の約30人(II類約10人、I類約20人)は5日午前に移る。


 高校からの募集をやめて完全中高一貫化しても、初回入試を2日午前から動かさなかった豊島岡女子学園(豊島区)とは対照的な動きであり、初回の1日午前に第一志望者がどのくらい集まるか、II類の募集人員を維持した2回目となる1日午後の受験者数にどのような影響が出るかが注目点となる。


 共学校の東洋大学京北(文京区)は、 2月1日午前の第1回、2日の第3回、4日の第4回入試をいずれも4科目のみに変更する。1日午後の第2回は国数2科のままとする。22年の志願者数で見ると、第1回326人、第2回467人、第3回442人、第4回363人とバランス良く集めているが、1日午後入試は負担の少ない2科にとどめることで併願需要に応えようという思惑もありそうだ。


 香蘭女学校(品川区)は、2月1日を4科のみとする。2科の受験者数と合格者数の推移を見ると、19年62人・4人、20年41人・6人、21年36人・2人、22年23人・2人といった具合で、年々受験者数は減少傾向にあった。合否判定は4科合計点で行うが、国算各100点、理社各50点の配点はこれまで通りとなる。また、2日午後は国算2科のままだ。第一志望の受験生のために、繰り上げ合格候補者の決定は、1日と2日の両日受験生を優先している。


 神奈川県の学校でも同様の動きが出ている。これまで1日午前の第1回と2日午前の第2回で2科も選択可能だった洗足学園(川崎市高津区)では、すべての入試を4科とし、その総合点で判定することになる。これまで合格者発表数の8割を国算2科合計点の上位から順番に選び、残り2割は、まだ合格が決まっていない4科受験生の4科合計点の上位から選んでいくというユニークな混合判定は、これに伴い廃止となる。


 洗足学園では、これまで2科を設けていた理由として、「小6生になってから通学圏に引っ越してきて、準備期間の短い受験生にも広く門戸を開く」ことを挙げていた。主に帰国生が想定されるそうした受験生については、1月の帰国生入試B方式(英国算型)で対応しており、一般入試の2科の出願者数が4科の10分の1以下という現状が、今回の変更の背景として挙げられそうだ。


 帰国生ということでは、12月に行う湘南白百合学園(藤沢市)の帰国生入試でも変更点がある。面接は廃止する。海外からはオンラインで対面での入試と同時刻に実施する。また、A方式(英国算で受験し、高得点の2科で判定)もしくはB方式(国算2科)のいずれかを選ぶことができる。


 最後に人気の公立一貫校について触れておこう。東京都立の中高一貫校では、武蔵・富士・両国・大泉の4校が22年から高校募集をやめている。2005年に都立で最初に中学校を付設して中高一貫化した白鴎(台東区)も高校からの募集(2クラス80人)をやめ、中高完全一貫化することになった。都立の一貫校の多くは募集人員160人となっている。正式には10月を待たないといけないのだが、高校での募集分が加わることで、白鴎は200人ほどになるかもしれない。同校は、中高の校舎が離れているが、その点は解消しない。


 茨城県では、22年に下妻第一と水海道第一が一貫化したことにより、併設型と中等教育学校の県立中高一貫校が13校となった。東京の都立と区立を合わせた11校を上回る首都圏最多である。埼玉県は、県立1校(伊奈学園)、さいたま市立2校(浦和、大宮国際)、川口市立1校の計4校のみだが、ここに来て、県立の新設構想が浮上している。旧制中学の系譜を引くナンバースクールではない、地域2番手の伝統校などがその対象となっているようだ。


ダイヤモンド社教育情報/森上教育研究所

2022.5.10
ダイヤモンドオンライン から転載




wakabanavi01 at 16:50|Permalink 中学受験 

2022年04月29日

「共立女子」はOGが初就任、私立中高一貫女子校注目の校長人事【2023年入試版】



前回は、オーナー系の学校と大学系列校について、新校長人事を見てみた。今回は、首都圏にある私立中高一貫女子校について引き続き見ていこう。校長人事からは、各校の目指す方向と内部事情が垣間見える。女子校には男性校長が多いことにも気付くだろう。(ダイヤモンド社教育情報)


● 創立以来のOG校長が就任

 首都圏の私立中高一貫女子校でも新しい校長が続々と誕生している。女子校で、1学年の生徒数が300人を超えるような大規模校は数えるほどしかない。創立から136年、新制中学になってから75年、各学年に400人前後が在籍している共立女子で、初めて卒業生が校長になった。高校の教頭から就任した前田好子氏である。さっそくホームページで、「みなさまごきげんよう」から始まる動画のメッセージを発信している。

 共立女子学園には、中高と短大・大学・大学院に幼稚園を合わせて8200人ほどが在籍している。一方、同じ千代田区にあり、中高から大学院までを擁する大妻学院は、多摩・中野・嵐山(らんざん)にも付属の中高を持つ。在籍者数は総勢1万2000人ほどと、女子の学び舎としては最大級の規模を誇っている。

 この大妻でも校長が交代した。新校長の梶取弘昌氏は、男子校の私立武蔵OBで、東京藝術大学声楽科を卒業後、母校で芸術科の教員を務めて校長になった異色の存在である。70歳からの女子校での登板となった。前校長の成島由美氏は、ベネッセコーポレーションの執行役員から転じていたが、今回、古巣の経営陣に戻る。これにより、大妻多摩の熊谷昌子氏が、学院内の中高で唯一の女性校長ということになる。

 同じく千代田区では、麴町学園女子と神田女学園でも校長が交代している。麴町学園女子の新校長には堀口千秋氏が就任した。東京理科大卒業後、理科教員として入った獨協埼玉ひと筋で、中学校の設立にも関与、広報部長や教務主任などを経て教頭となった。前校長の山本三郎氏は、前任の帝塚山学院(大阪市住吉区)で手掛けた関学コースの実績を買われ、本校でも東洋大学グローバルコースを設けている。

 神田女学園では、第15代校長として芦澤康宏氏が就任した。2019年に本校の副校長に就任する前は、学校法人嘉悦学園の理事、大学の事務局長兼アドミッションセンター長、中学の教頭などを務めてきた。前校長の宗像諭氏は広尾学園や開智日本橋学園の共学化や国際バカロレア(IB)の導入などで力を振るった後、2018年から校長に就任した本校でもアイルランドとニュージーランドの高校とのダブルディプロマプログラムを立ち上げている。



● 女子校のこれからを託す人材

 次に、千代田区以外の東京23区内にある学校を見ていこう。男子校の女性校長はとても珍しいが、女子校の男性校長はむしろ多数派といえる。校長人事には、その学校の方向性が表れていることに注目したい。

 目黒区内には7つの中高一貫校があるものの、男女別学校は女子校のトキワ松学園だけとなった。今年で創立106年目となる伝統校は、前校長で保健体育科教員として探究型のプロジェクトアドベンチャーを推進してきた中山正秀氏から、1971年生まれの若き俊英に後を託した。新校長の田村直宏氏は、京都大理学部卒の数学と理科の教員で、教頭からの昇格となる。

 ロイロノートの使い手で、“タムタム”の愛称を持つロイロ認定ティーチャーでもあり、ICT教育の推進役でもある。前任の大阪市旭区にある常翔学園には、大阪工業大学高等学校の時代から勤務しており、物理科教員として学年主任を務め、卓球部顧問としても活躍した。2021年に教頭として本校に移り、翌年の校長就任となった。

 東京大弥生キャンパス(農学部)に程近い文京学院大学女子は、2024年に創立100周年を迎える。2009年にソニーから転じた民間出身の都立高校校長だった佐藤芳孝氏を校長に迎え、学校改革に拍車がかかった。前任の水上茂氏が中高一貫校長に就任した翌年にはユネスコスクールの認定を受けている。

 国際バカロレア(IB)認定校のアオバジャパン・インターナショナルとの教育連携も始めるなど、国際化教育の充実に力を注いでいる。中高新校長の清水直樹氏は、早稲田大教育学部卒業後、本校の世界史教員となり、2016年から高等部の校長に就任していた。

 北区にあるプロテスタント校の女子聖学院では6年間ぶりに校長が交代する。前任の山口博氏は学校法人聖学院の院長・キリスト教センター所長となる。後任には、横浜市にある捜真女学校の元校長で、男子校である聖学院の事務局長も務めた安藤守氏が就くことになった。 

 23年から共学化し、サレジアン国際学園世田谷となる目黒星美学園(世田谷区)では、女子校最後の1年間を、シスターの森下ワカヨ氏が見届けることになる。同校で教鞭を取ってきた森下氏は、学園の設立母体である扶助者聖母会(サレジアン・シスターズ)の総責任者である日本管区長である。一足先に22年に共学化し、星美学園から校名変更した姉妹校のサレジアン国際学園(北区)ともども、校長はシスターが務めることになった。




● カトリック校と神奈川の事情

 吉祥寺駅に近い藤村女子は、ユニークな入試を毎年繰り出すことで印象的な学校だ。創立90周年の今年、教頭と副校長を務めた廣瀬真奈美氏が新校長に就任した。前校長の柳舘伸氏は、中学でのコース制の廃止、高校での3つのコースへの道筋を付けての退任となった。

 カトリック女子校では、修道女(シスター)の教員が校長という例がかつては多かった。杉並区にある光塩女子学院では、2020年に就任した中高OGで上智大に学んだ前校長・佐野摩美氏の急逝を受けて、新校長に就いた鳥田信二氏は副校長からの昇格である。 

 八王子市にある東京純心も、系列の大学を持つカトリックの女子校である。長崎の純心聖母会が設置母体で、本校もシスターが創立しており、キャンパス内には修道院もある。前校長の松下みどり氏も、新校長の森扶二子氏もシスターである。

 神奈川では、横浜女子御三家の1つである横浜雙葉が、木下庸子氏を校長に迎えている。前任の藤原恵美氏は英語科教員で、2018年に副校長から昇格していた。開校以来、聖職者が校長を務めてきた。1999年に漆原隆一氏が校長に就き、その後、千葉拓司氏が就くなど、男性信徒の校長の時期もあった。県内の女子校ではフェリス女学院が突出しており、そこに洗足学園が並ぶような状況になっている。入試の実倍率が2倍に届かない現状も含め、これからどのようにしていくのか、手腕が問われることになりそうだ。

 同じ県内のカトリック女子校では、2021年に湘南白百合学園で修道女(スール)以外の初めての校長が就任している。このあたりは学校によって対応が異なるようだ。

 カトリック校以外の神奈川県内の女子校についても見ていこう。理事長に元米国大使、学園長に前開成校長を擁する北鎌倉女子学園でも校長が交代した。新校長は、神奈川県立湘南台高校と麻生総合高校の校長、神奈川県立高等学校長会副会長を務めた佐野朗子氏である。学園内には内部昇格も視野にあるようだが、時期尚早という判断だったのだろう。相模女子大学中等部・高等部の新校長には、武石輝久氏が就任した。

 最後に、前回ご紹介できなかった共学校と男子校についても触れておこう。

 埼玉県加須市にある開智未来では、数学科教員の藤井剛氏が新校長に就任した。前校長の加藤友信氏は物理の教員で、開智学園グループのICT部門を統括する役割も担っていた。

 灘(神戸市東灘区)の卒業生で、母校の英語科教員となった和田孫博氏は、2007年に校長に就任、野球部の監督・部長も務めるなど名物校長だったが、70歳を機に後進に道を譲ることに。第9代校長となる海保雅一氏は教頭からの就任で、やはり英語科の教員である。



【訂正】 本文第17段落について、初出時『神奈川では、横浜女子御三家の1つである横浜雙葉が、シスターである木下庸子氏を校長に迎えている。』から「シスターである」を削除、『千葉卓司氏』を「千葉拓司氏」にそれぞれ訂正いたします。
(2022年4月27日18:23 ダイヤモンド社教育情報)



2022.4.29
ダイヤモンドオンライン から転載






wakabanavi01 at 17:52|Permalink 中学受験 | 私立

2022年04月19日

「渋谷教育学園」同時交代!私立中高一貫校注目の校長人事【2023年入試版】



新年度が始まる4月。2022年も首都圏私立中高一貫校の新校長について、2回に分けてご紹介する。まずは、オーナー系の学校と大学の系列校を中心に見ていこう。世襲もあれば生え抜き教員の昇格もある。その学校のこれからの姿を示すことになる新しい校長がどのような人か注目しておきたい。今年は数学の先生が目に付く傾向にあるようだ。(ダイヤモンド社教育情報)


● オーナー系学校の対照的な人事

 いまや、首都圏の共学中高一貫校の雄となった学校法人渋谷教育学園。高校の新設から立ち上がった幕張(1983年)、女子校を共学化した渋谷(1996年)ともに、理事長・校長を当初から務めてきた田村哲夫氏が、ついに両校の校長職から退いた。いずれも、副校長を長らく務めていた二人の子息につないでいる。親子間での学校承継が円滑に進んだ、最近では数少ない例といえる。

 幕張は、父と同じく銀行員から転じた田村聡明氏が就任した。渋谷も、1996年以来、同校で副校長を務めていた高際伊都子氏が就いた。高際氏は、慶應義塾大学理工学部数理科学科を卒業後、母校の東洋英和女学院中学部・高等部で数学科教員を務め、渋谷に移っている。

 入社4年で住友銀行のエリートコースを辞めて、家業である学校法人に転じて爾来(じらい)60年。1936年生まれで今年86歳になった田村理事長は、理事長と学園長を兼ねている。4月からも、学園の名物である校長講話を学園長講話と改めて続けており、意気軒高である。

 千葉私立御三家の市川もオーナー系である。理事長・学園長の古賀正一氏は、東芝副社長も務めた経営者で、父の後を継いだ。教育の現場は任せて、経営に徹している。前任の校長である宮崎章氏は筑波大学附属駒場から転じるなど、校長は外部招聘(しょうへい)が続いた。副校長から校長に昇格した及川秀二氏は、初めての教員からの生え抜きであり、男子校だった時代の卒業生でもある。

 いまでは数少なくなってきたオーナー系の学校としては他に、埼玉で人気上昇が顕著な大宮開成がある。新校長の松﨑慶喜氏は理事長の松﨑一洋氏と同様、創業家の出身である。

 関西では、東京大と京都大の合格実績で躍進した西大和学園の新校長に、教頭の飯田光政氏が就いている。母体の学校法人西大和学園は衆議院議員だった田野瀬良太郎氏が創立し、長男の太樹氏が学園の理事長、二男の太道氏が衆議院議員となっている。



● 大学系列校の人事はさまざま

 次に大学系列校の校長人事を見ていこう。大学系列校の大半は共学校である。女子校については、系列校以外も含め次回まとめて取り上げたい。付属校の校長は、大学から教授などが就く例と内部昇格する例に大別されるが、外部から招く例もたまに見受けられる。

 男子校では、学習院と東京都市大学付属で校長が交代した。学習院中等科・高等科の科長(校長)となった高城彰吾氏は、学習院大学桜艇会OBの数学科教員で、高等科の学年主管、教務課長、教頭を経るという最近多いキャリアパスでの就任となった。学習院では、高等科の教員から科長が選ばれる例が多いようだ。

 東京都市大学付属(世田谷区)の新校長には、定年退職した神奈川県立横浜翠嵐高校前校長の篠塚弘康氏が就いた。数学科教員で、母校である希望ヶ丘高校の校長も務め、教育委員会で県立高校担当の人事課長も務めている。東京都市大学で教育担当の副学長を務めた前校長の皆川勝氏は1年で交代するショートリリーフとなった。同校では、プロパー教員が校長に就くことはまれなようで、今回も外部から招いている。

 共学校について、東京から順に見ていこう。女子受験生の人気も高い同じく世田谷区にある東京農業大学第一では今回、東京都立立川国際中等教育学校の校長を務めた幸田諭昭氏が就任した。幸田新校長は数学科の教員で、都立の拝島高校や青井高校の校長も経験している。前校長の田中越郎氏は内科医で、東京農業大学応用生物科学部の教授も兼ねる生理学と栄養学の専門家という異色の人材であった。

 日本大学の準付属となり、日出学園から目黒日本大学に校名を変更した2019年に校長となった井原渉氏は日本大学豊山の教頭から転じた。その後、学校法人目黒日本大学学園理事長を兼任する小椰治宣氏が校長を務めていたが、この7月から小野力氏が校長に就く。小椰氏は日本大学経済学部長や副総長などを歴任した日大OBである。小野氏も日大文理学部出身のOBで、県立平沼高校校長や全国高等学校体育連盟会長も務めた神奈川県立高校の体育科教員だった。日大系列校では、このように日大関係者で固める傾向が見受けられる。

 板橋区にある帝京大学系属帝京は、東海林啓造氏が教頭から昇格した。東海林氏は理科教員(生物)で、日本大学櫻丘高校と日大のOBでもある。豊島区にある城西大学附属城西では、教頭の神杉旨宣氏が校長に昇格している。前任の斉藤栄氏は城西川越と本校の校長を10年以上にわたり歴任したが、70歳となり、後進に道を譲ることになった。

 千葉県柏市にある麗澤には、櫻井譲氏が新校長として赴任してきた。文教大学付属から新規開校した関西大学中等部・高等部に移った英語教育の専門家である。同じ市内にある芝浦工業大学柏では、毎日新聞で教育分野を長く担当してきた中根正義氏が校長となっている。学校法人芝浦工業大学の評議員も務めており、理事会から声を掛けられた。教職の経験はないが、千葉大学教育学部の出身。教職に就くつもりでいたものの、たまたま受けた毎日新聞に合格したことで記者になったという。



● 多彩な新校長のキリスト教学校

 ここからは、キリスト教主義の学校について見ていこう。いずれもユニークな人材が新たに校長となっている。

 桜美林学園理事長・学園長の佐藤東洋士氏が急逝したのは2020年10月のことである。同年6月に日本私立大学協会の会長に就任したばかりだった。桜美林大学OBで、学園の中核的な存在だったこともあり、学園内は事後対策に追われた。

 桜美林大学副学長を10年間務めたあと、2013年から9年間にわたって中高の校長を担ってきた大越孝氏の後任には、堂本陽子氏が就いた。神学研究で同志社大学の修士号を持つ日本キリスト教団の牧師で、2003年から中高のチャプレン(学校付き牧師)を務めてきた。こうした例は珍しいが、一挙に若返り、学校のイメージも一新しそうだ。

 昭島市にある啓明学園は、帰国生や国際生の比率が高く、まるでインターナショナルスクールのような雰囲気の学校である。理事長の北原都美子氏(明星元校長、数学科教員)、学園長の北原福二氏(本郷元校長、物理)夫妻が支える中、新校長に迎えられたのが、芝浦工業大学附属の校長を2012年から21年まで務めた大坪隆明氏である。早稲田大学教育学部を卒業後、東南アジアで日本語教育と帰国子女教育に従事。芝浦工業大学に事務職員として入り、就職課長や学事部長などを経て付属校の校長になった珍しい経歴の持ち主である。

 森村財閥創設者でクリスチャンの森村市左衛門が立ち上げた森村学園(横浜市緑区)では、新校長にオーストラリア出身のブレット・マックスウェル氏が就任した。20代で来日して以来、私立高校や公立小中学校などの英語教師を務め、湘南地方で「マックスウェル英会話」というスクールも経営。言語学教育修士号と経営学修士号(MBA)も取得、京都聖母学院小学校、同中高の校長から転じるという、実に多彩な経歴の持ち主である。

 中高一貫校ではないが、東京・小平市にあるサレジオ小学校・中学校にも触れておこう。新校長の北川純二氏は、横浜サレジオ修道院の院長などを務めてきたサレジオ会に所属する神父である。同じ修道会のつながりで、男子校のサレジオ学院(横浜市都筑区)でも宗教教育を担ってきた。

 仏教系の学校はどうか。曹洞宗の大本山・総持寺の学園である鶴見大学附属では、7年間校長を務めた亀山仁氏の後任に、数学科教員で広報部長などを務めた岸本力也氏が就いた。

 鎌倉五山第一位の臨済宗・建長寺の教育施設「宗学林」が前身となる男子校の鎌倉学園は、昨年創立100周年を迎えた。この4月から新校長になった松下伸広氏は副校長からの昇格である。2007年から校長を務めた前任の竹内博之氏は、早稲田大学卒業後、数学科教員として半世紀期近く本校ひと筋だった。この間、2月1日午後の数学選抜入試を導入するなどして、受験者増に寄与している。


● 各校の課題に応える人材を配置

 オーナー系、大学の系列、宗教系の学校を見てきた。それ以外の学校について、改めて東京から挙げていこう。

 東村山市にある明法は、高校に女子生徒を受け入れて共学化した2019年に、東京都教育庁の主任指導主事や都立大崎高校や町田高校の校長を歴任、全国高等学校情報教育研究会会長も務めた牛来峯聡氏を校長として迎え入れた。“共学化元年”とアピールしたが、現状でも中学校は男子校のままである。

 この3月下旬に畠山武氏の新校長就任が発表されたことで、唐突な印象を与えたようだ。畠山氏は西武学園文理で教頭を務めた後、2015年から府中市にある明星の校長に。その後、学校法人東京農業大学の初等中等教育部で参与を務めていた。

 葛飾区にある共栄学園は女子バレーボールの強豪校として全国的に有名で、新校長の御宿重夫氏は、中学校バレーボール部監督として全国的に名をはせている。

 神奈川では、共学校の桐蔭学園中等教育学校(横浜市青葉区)の新校長に、副校長の玉田裕之氏が昇格した。玉田氏は、いまや桐蔭学園の代名詞となっているアクティブラーニング型授業の「言語活動」をリードしてきた存在である。桐蔭学園の卒業生で国語科教員だった前任の岡田直哉氏は、高校と中等教育学校の統括校長に就任した。また、同じく中等教育学校の自修館(伊勢原市)では、教頭の小河亨氏が昇格している。

 埼玉の武南(蕨市)では、県立伊奈学園総合高校の校長を務めた遠藤修平氏が新校長に、同校の卒業生で県立越谷東高校校長と川口市立高校副校長を務めた鶴見秀海氏が新教頭となる。元県立高校の校長が同時に就任するという珍しい人事となった。本庄第一中学(本庄市)では、樋口綾乃氏が新校長に就任している。

 国立校では、大学の教授が校長になることが一般に見られ、現場の実務は副校長が仕切っている。東京学芸大学附属世田谷中学の校長には、教育支援協働実践開発を専攻する同大学次世代教育研究センター所属の前原健二教授が就いた。

 皇族が初めて高校に入学することで話題となっている筑波大学附属では、中学校の新校長に筑波大学教授でメンタルヘルスやストレスマネジメントなどを研究している精神科医の水上勝義氏が就任した。同附属高校の校長には、心理学と認知行動カウンセリングが専門領域で、臨床心理士などの資格を持つ筑波大学教授の藤生英行氏が2020年に就いている。

 公立校では、東京都立立川国際中等教育学校の新校長に市村裕子氏が就任した。22年開校の東京都立立川国際中等教育学校附属小学校の初代校長でもあり、全国の公立校で初となる小中高一貫12年教育を統べる重責を担うことになる。前校長の幸田諭昭氏は、先述したように東京農業大学第一の新校長に転じた。


2022.4.19
ダイヤモンドオンライン
から転載







wakabanavi01 at 12:30|Permalink 中学受験 | 私立

2022年02月24日

首都圏「中学受験2022」を総括、史上最高水準の受験比率となった2月1日入試



 コロナ禍で2回目となる2022年中学入試がほぼ終わった。その結果を見ると、年末の四模試結果でもうかがえたように、21年比で大幅に受験者を増やしている。特に埼玉は+18%と劇的に増加、東京も+3.5%で盛況だった。受験した小6の割合も過去最高水準だった。首都圏中学入試の状況を総括していこう。(ダイヤモンド社教育情報)


● 埼玉の受験者数は前年比18%増に

 首都圏1都3県では、まん延防止等重点措置が適用されて実施された2022年中学入試。昨年内に行われた模試参加者数の動向から、21年に比べて大きく志願者数を増やすことは確実視されていた。実際はどうだったのか、2月21日時点で森上教育研究所が集計したデータに基づき、その状況を総括していきたい。

 まず大前提として、2001年に首都圏1都3県の小6人口は、01年に30万人を割り、16年に29万人を割るなど、減少が続いていたことが挙げられる。加えて21年には、東京都以外の3県では小6人口が減少していた。


 つまり、受験比率が高まらない限り、受験者数は増えない。22年に最も顕著だったのが、埼玉での受験者数の伸びである。栄東の第1回入試志願者数が7000人を超え、大宮開成も史上最高の受験生を集めたように、どの学校も絶好調だった。1月10日から12日までの3日間の受験者数合計では、21年比+18%の3万0981人となっている。18年が2万2045人だったことを考えると、埼玉入試の受験者の増え方に驚かされる。


 昨年もNHKはニュース番組で、首都圏中学受験の皮切りとなる栄東からの中継を一日中流し、その徹底した新型コロナ感染対策を紹介していたことも大きいが、その入試問題がバランスの取れた内容で、塾にとっても受験生にとっても“想定内”であることが、最後の模試的な位置付けでの人気を呼んだ要因とみられる。

 さて、少子化が進む埼玉で、なぜかくも大きく伸びたのか。緊急事態宣言下だった21年は東京都内の受験者が荒川を越えることをためらったものの、22年は東京から多くの受験生が埼玉に押し寄せた。前年比の増加分はほぼ東京からの受験生によるものと考えていい。埼玉の実倍率(受験者数と合格者数の比)は、2倍を切る1倍台後半の入試が多く、いち早く合格を得たいという気持ちが受験生の後押しをした。

 そのことは、1月20日から始まる千葉の動向と比べるとより分かりやすい。実倍率2~3倍台の入試が多いため、埼玉と比べ合格は得にくい。それでも、22日までの3日間合計で前年比+3%と増加している。こちらも東京からの受験生が江戸川を渡ったことが大きい。渋谷教育学園幕張の復調がその象徴であり、都立中高一貫校志願者が適性検査型入試を受けるため23区東部から千葉に向かう動きも見られた。


 このように、1月の埼玉と千葉の受験者増には、東京からの受験者の回復が大きいものとみられる。では、2月1日から始まる東京と神奈川の入試はどうだったのか。次ページで見ていこう。



● 少子化が進む中、受験者数も史上3番目に

 東京と神奈川の入試解禁日である2月1日午前に合計何人が私立中学を受験したのか。これが首都圏中学受験市場の勢いを測るバロメーターとなる。図1は、05年から22年の2月1日私立中学受験者数(棒グラフ)と小6人口に対する受験者数の割合を示す受験比率(折れ線グラフ)を示したものである。


 まず、受験者数のピークは、07年の4万3716人だった。次いで08年の4万2441人となり、22年は4万2357人で3番目となる。08年秋のリーマン・ショック以降の経済悪化で、年々低下していった中学受験熱は、15年の3万5655人で底打ちし、16年以降は回復傾向が続いていた。


 この数値だけを見ると、22年は“史上最多”には及ばないように見えるが、実際には先述したように年々小6人口は減少する一方だったことを忘れてはいけない。そこで、“中学受験熱”をより的確に示す、その年の小6人口に占める受験生の割合である「受験比率」の傾向も見ておきたい。


 最高値は08年の14.8%で、それに次ぐのが22年の14.7%である。小数点2ケタで比べると、14.76%と14.73%であり、その差はわずか0.03%である。実質的に最高値に並んだと考えていい。22年入試は、リーマン・ショック以降の低迷から完全に脱却した年となった。


 07~08年頃は女子校の受験者数が多かったが、それ以降は顕著に減少していく。生き残りをかけた女子校は共学化し、教育内容も含め大きくリニューアルしていくことが常態化していった。結果として、共学校のボリュームが22年には非常に大きくなっている。


 21年入試では、四谷大塚結果偏差値で40台の中位校が受験者数を大きく伸ばした。その結果、そうした学校の偏差値が上がり、40台後半から50台になる動きも見られた。22年は、まさにこうした中堅校が人気の中心となっている。


 その影響は、特に共学校で顕著に表われた。2月1日午前の偏差値50台前半の中堅校は、20年3301人、21年3611人、22年4144人と恐ろしい勢いで受験生が増えており、その実倍率が3.01倍となった。3倍ということは、1人の合格者の陰には2人の不合格者がいることを意味する。緒戦からシビアな戦いを余儀なくされたわけである。


 この偏差値層で受験者数が増加したのは女子校も同様で、20年1600人、21年1321人、22年1758人で、実倍率は2.23倍だった。男子校の受験生は偏差値50台後半の中堅校に多く集まっている。20年2580人、21年3044人、22年は3020人で2.58倍となっており、前年並みである。実は、22年の男子校は、難関校でも受験生を大きく増やしていた。20年2159人、21年2518人だったものが、22年には3139人と前年比+25%と大きく伸ばしている。実倍率も2.81倍と厳しいものがあった。



● 午前午後セットの短期決戦が定番化


 22年2月1日午前の受験者数(21年比増減)は、東京が3万4200人(+3.5%)、神奈川は8157人(▲0.1%)となっており、前年並みの神奈川に比して、東京の伸びは大きかった。東京はまだ小6人口が前年比で増加しており、3県と比べて所得水準が高く、高校生への助成が手厚いことも影響しているだろう。


 22年の東京・神奈川入試でもう一つ顕著に見られたのが午後入試の隆盛である。午前の受験者数を100として、19年から22年の午後の受験者数を見てみると、1日午後は53、58、61、64と年々高まり、3人に2人は午後も引き続き受験したことを意味している。2日午後も同様に、42、47、49、52と過半数を超え、2人に1人は午前午後とセットで受験したことが分かる。午前の難関校の併願先という受験動機に加えて、共学校の中には午後入試が本命校という動きも見られるようになり、女子校でも同様の動きが出ている。


 併願パターンも偏差値だけではなく、校風を加味した動きが見られる。例えば、女子美術大学附属(杉並区)の午後の併願先で多いのは恵泉女学園(世田谷区)だが、どちらも明るく楽しい雰囲気という共通点がある、といった具合に。


 また、これまでの共学校人気は優秀な女子がリードしてきた側面があったが、22年は、広尾学園や渋谷教育学園渋谷でも男子受験生の増加が見られる。元女子校ながら男子受験生に人気の青稜は女子受験生が増加、いずれも男女の受験者数格差が是正される傾向にあることも注目される。


 午後入試は、1日と2日以外に、3日も4日も受験生が増加している。22年ではっきりしてきた動向は、1日の午前・午後、2日の午前・午後、そして3日の午前という5回連続の受験が、一つの大きなパターンとして定着してきたことだろう。どのように入試を組み合わせるのか、そこで保護者の手腕が問われる。3日の午前入試までで合格が得られなかった場合は、4日や5日の超高倍率の荒波に立ち向かい、そこでも合格を得ることができなければ、そのまま漂い続けることを意味するからだ。


ダイヤモンド社教育情報 から転載
2022.2.24






wakabanavi01 at 09:46|Permalink 中学受験 

2022年02月10日

【どこよりも早い2022中学受験概況】大学附属校離れ? そして、成城・獨協・実践など中堅校の飛躍



オミクロン禍のなかで行われた今年の中学受験。受験生はもちろん、その保護者も大変な思いをされたことだろう。第一志望に合格できた子も、希望が叶わなかった子も、4月からは新しい環境で大いに学び、遊び、成長してほしい。

その一方で、すでに来年度の中学入試は始まっている。より確実に第一志望合格をたぐり寄せるため、明らかになったばかりの2022年中学受験の傾向を、計27年間中学受験の世界に身を置き、『令和の中学受験 保護者のための参考書』の著者でもある、矢野耕平氏が分析する。>これまでの連載はこちら! 

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過熱する首都圏中学入試、今春もさらに受験者総数は増加か!?



 近年、首都圏の中学受験が過熱している。

 このことは下の表に目を向ければ一目瞭然だろう。

 一体なぜこんなにもいま中学受験が盛況を博しているのだろうか。

 その理由の最たるものと考えられるのが、大学入試動向の変化だ。昨年より新規導入された「大学入学共通テスト」の出題内容をめぐる一連のゴタゴタは記憶に新しいだろう。入試方式が突如変更されたり、出題傾向が当初意図していたものと違っていたり……。

さらに、新学習指導要領の施行で、今後大学入試にもさらなる変革がおこなわれるとされている。こんな不確かな状況に不安を覚えた小学生保護者が、これらの変化に対して柔軟に対応してくれそうな私立中高一貫校を選択するようになったと考えられる。近年は大学付属校に人気が集中しているのも大学入試動向の影響の大きさを物語っている。 加えて、コロナ禍が大きい。満員電車に乗って遠方まで通学……などと考えると、コロナ禍は中学受験に影を落としそうなものである。しかし、緊急事態宣言下の休校期間中、公教育と比較すると、多くの私立中高一貫校ではオンラインを活用して、子どもたちひとりひとりの学びを充実させるべく創意工夫を凝らしていた。結果として、コロナ禍は私学教育が改めて注目される契機となったのだ。


 それでは、終わったばかりの2022年度の首都圏中学受験の模様はどうだったのだろうか。中学受験者数総数は、現時点で公開されているデータではまだ正確な数値は算出できないが、1月におこなわれた埼玉県や千葉県の受験者数から考えると、前年比で3~5%程度は受験者総数が増加すると見られている。

 現時点で公開されているデータに基づいて今春の中学入試概況を説明していこう。


麻布・武蔵・女子学院・フェリス 人気を博す難関校の特徴


 まずは、首都圏トップレベルの男女別学校から見ていこう。

 男子御三家と形容される麻布・開成・武蔵、女子御三家と形容される桜蔭・女子学院・雙葉、そして、駒場東邦・フェリス女学院というトップ校の実受験者数推移を下の表にまとめてみた。

 これらの学校は例年受験者数の増減幅は大きくはない傾向にあるが、今春人気を博したのは、麻布・武蔵・女子学院・フェリス女学院である。この4校に共通するのは、進学校でありながら子どもたちの自主性を重んじるのびのびとした校風を有していて、「アクティブラーニング」を地でいくようなところばかりだ。

 これも大学入試改革で目指すところが従来の「知識・技能」重視ではなく、それらを土台にした「思考力・判断力・表現力」、さらにそれらに基づいた「主体性・多様性・協働性」を持った人間形成である点に関係しているのだろうか。とりわけ武蔵については、前年度3.1倍の実施倍率を3.5倍に伸長させた。いわゆる「ボーダー層」にとっては大変に厳しい入試であったと見ることができる。



MARCHを中心に大学付属校人気にブレーキ


 冒頭で言及したが、近年人気を集めていた大学付属校の動向を見ていこう。

 結論から申し上げると、その人気にブレーキがかかった大学付属校が目立った。

 一体どうしてか? これもわたしは大学入試の影響と考える。昨春の大学入試では、首都圏の私立大学各校の受験者が大きく減少し、全体的に易化する傾向が見られたのだ。少子化による高校卒業生数が約2.6%減少していることも一因として挙げられるだろうが、コロナ禍による以下の2つの原因が大きいと見られている。

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1)従来であれば地方から首都圏大学を受験する層が激減した。緊急事態宣言の発出されている首都圏まで足を運ぶのをためらった結果と考えられる。

2)上の1と関連するが、このさきも対面授業が果たして成立するか否かが見えない首都圏の私立大学を避ける傾向にあった。
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 このような大学入試動向を踏まえると、中学受験の段階で何も進学する大学を決めなくてもよいのではないかという小学生保護者が多くなるのは想像に難くない。

 論より証拠である。首都圏の主要な大学付属校の今春の中学入試状況を一覧化したので見てほしい。早慶レベルはそうでもないが、MARCHを中心とした大学付属校では前年比で受験者数を減らしているところが目立つだろう。


成城・獨協・実践……目立つ中堅校の大躍進



首都圏の中学受験者総数はまだ算出できないものの、3~5%程度の受験生増が見込めると申し上げた。そうなると、受験者増のあおりを最も受けるのは受験生のボリュームゾーンとなる偏差値50前後の「中堅校」となる。今春、前年比で大きく受験者数を伸長させた学校を幾つか紹介したい。以下の表を見てみよう。 男子校の成城は前年比150%、女子校の実践女子学園にいたっては前年比168%の受験者を集めたのは驚きだ。特に実践女子学園については前年の入試でも2年前と比較すると大勢の受験生が挑み、話題になった学校であり、2年連続の大飛躍である。

 実践女子学園中学校高等学校の広報部部長補佐・岡田昌利先生は語る。

「何でこんなに多くの受験生が!? ……こんなふうにわたしたちも正直驚いているのです。昨年春から5年生・6年生のご家庭を対象に感染対策をしっかり講じた上で『個別見学会』をおこなったのが功を奏したのでしょう。教員1名につき1家庭を案内するのですが、結果的に約300家庭が来訪してくださいました」 また、在校生たちも自校の魅力を発信しようと努めたという。

 「『JJブロッサム』という在校生たちによる広報部隊が生まれ、生徒たちそれぞれが創意工夫を重ねて、実践女子学園の魅力を伝えようとしてくれたのです。たとえば、『生徒タクシー』というイベントがあるのですが、生徒1名が1家庭を案内して、実践女子学園のあれこれを紹介するというものです。そんな生き生きとした生徒たちに憧れたり感心したりする親子が多かったのでしょうね。また、渋谷のすぐそばにある広大なキャンパスを有する学校ということを訪れてみて初めて知ったご家庭も多く、本校を志望してくださったのでしょう」

  ほかに東京都内だけでも、聖学院(男子校)、東京都市大学付属(男子校)、大妻中野(女子校)、玉川聖学院(女子校)、中村(女子校)、富士見(女子校)、山脇学園(女子校)、開智日本橋(共学校)、かえつ有明(共学校)、工学院大学附属(共学校)、多摩大学聖ヶ丘(共学校)、東京電機大学(共学校)、広尾学園小石川(共学校)などが前年比で受験者数を大きく増やしている。



さらなる激戦が予測される中学受験


 東京・神奈川の中学入試は2月1日からスタートし、2月5日・6日頃にその大半の入試は終わりを迎える。今春の出願状況推移を見ていると、入試終盤の2月4日~5日にかけて急遽ネット出願するご家庭がかなり多く見受けられた。「安全校のつもりで受験した学校で手痛い目に遭ってしまった」……そんなご家庭がひょっとしたらたくさんあったのかもしれない。

 来春の中学入試も激戦が見込まれている。

 中学受験生保護者に求められるのは、わが子の成績を客観視し、入試変動まで予測した上で慎重な受験パターンを構築することにある。

 拙著『令和の中学受験 保護者のための参考書』(講談社+α新書)では、令和の時代の中学受験地図を俯瞰するとともに、どのような戦略を立てて受験校を選定すべきかについて言及している。ぜひ手に取ってもらいたいと思う。



現代ビジネス
2022.2.10 
から転載




wakabanavi01 at 12:49|Permalink 中学受験