2012年03月

2012年03月29日

公立中高一貫 (2)高校から入学 進度にズレ

 「愛とお金はどちらが大切か」「人はなぜ笑うのか」。根源的なテーマについて、自ら調べて考えたことを発表する生徒たちの表情は、真剣そのものだ。

 発表の合間に、杉本豊教諭(35)が、思索を深める方法として「弁証法」を解説すると、興味深そうに聞き入っていた。

 今月1日、都立両国高校付属中学校(東京都墨田区)の2年の教室で行われた「考える国語1」の授業。学校独自の設定科目で、発表や討論などを通じて言語力を育てるのが狙いだ。「この1年で生徒たちはどんどん力をつけた」と、杉本教諭。高校でも、受験して入ってくる「高入生」と一緒に「考える国語2」を学び、論理力や記述力を磨くことになる。

 両国のような中高併設型の公立一貫校は、全国に69校。中等教育学校と違うのは、高入生が途中で加わる点だ。

 両国の高入生は毎年約80人。付属中から上がってきた「中入生」約120人との混成クラスになる。中入生が先取り学習した内容を高校で繰り返し教えることで、高入生が不利にならないよう配慮する。

 大平一男校長(60)は「中学校で先取り学習をやりすぎないようにしている。それでも、中入生と一緒の授業についていけるか、不安に感じて両国高校を受験しない生徒がいるようだ」と気をもむ。

 他方、同様に付属中を併設する京都府立洛北高校(京都市左京区)では、中入生約80人は卒業まで、高入生とは別クラスのまま過ごす。中学校で学ぶ主要5教科の内容は、中2までに多くが終了。科学教育に力を入れ、高2になると、京都大学教授らの指導で研究に取り組むなど、独自の「中高一貫コース」で学び続ける。その結果、同コースの1期生が卒業した2010年以来、毎年、京大に多数の合格者が出るようになった。

 上垣昌之副校長(51)は「学習の進度が速いため、高入生とは一緒にできない」と説明。部活動や文化祭などに合同で取り組むことで、生徒間の一体感醸成を図っている。

 中入生と高入生を高2で合流させる学校もあるが、いずれにしても、大学進学を重視する併設型にとって、進度のズレは悩ましい課題だ。反面、高入生が加わることで、刺激を受けた中入生が勉強するようになったり、友人関係が広がったりと、校内が活性化する長所を挙げる学校も多い。

 理想的な併設型一貫教育を目指し、各地で模索が続いている。

2012年3月29日  読売新聞から転載)

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wakabanavi01 at 10:38|Permalink 公立 | 中学受験

2012年03月28日

公立中高一貫 (1)先取り学習 思考力育む

白衣を着た生徒たちが、シャーレに落とした溶液の色を観察していた。今月1日、都立小石川中等教育学校(東京都文京区)の2年の理科実験。デンプンを分解する酵素・アミラーゼの働きと温度変化の関係を確かめようと、低温、常温、高温と条件を変え、ヨウ素液を使って調べていた。

 6年制の中高一貫教育を行う同校は、理科の実習が多い。自然科学で活躍できるリーダー育成を目標に掲げるためで、中学1~3年にあたる前期課程では、実験や観察が授業の7割を占める。佐藤優希さん(14)は「面白いけれど、結果を考察してノートにまとめるのが大変」と話す。久保田(さとし)・主任教諭(56)は「実験がうまくいかない場合も、その原因を探ることで思考力がつく」と強調する。

 都立中高一貫校の誕生は、他府県に比べて遅く、2005年に併設型の「白鴎」が開校。翌06年に中等教育学校の「小石川」、「桜修館」と、併設型の「両国」ができた。各校とも、国際人やリーダーの養成を目標にうたい、必ずしも進学校化を打ち出したわけではない。

 しかし、中学受験が盛んな都内では、保護者の「安い学費で私立並みの進学指導」への期待を集め、開校以来、高い入試倍率を誇ってきた。中でも小石川は、都心の文教地区にあり、私立の難関中と並ぶ人気に。今春、初の卒業生159人を送り出し、東京大学に4人、京都大学に1人が現役合格した。

 一定の合格実績を上げた要因の一つは、中等教育学校の利点を生かした教育課程の編成にある。学習内容の移し替えが認められている点を生かし、本来なら後期課程(高校1~3年に相当)で教わる数学や地歴などを前期課程で先取り学習。理科実験や課題研究などを絡ませ、思考力を鍛え上げる。最終学年の6年では、同校独自の「特別講座」で、大学入試に向けた勉強に打ち込む態勢になっている。

 新鞍均(にいくらひとし)副校長(53)は「進学に重点を置いているわけではないが、生徒が希望する進路はかなえてやりたい」と話す。

 小石川以外でも、桜修館は東大に4人、両国と白鴎からはそれぞれ3人が合格するなど、そろって難関大学に合格実績が出た。来春の中学入試では、都立一貫校の人気はいっそう高まりそうだ。(石塚公康、写真も)

 公立の中高一貫校が注目されている。新年度、全国で併設型が新たに5校誕生する。最新事情に迫った。

 中高一貫教育 1999年に制度化。6年制の中等教育学校、中学校と高校を組み合わせた併設型、同じ地域の中学校と高校が協力し合う連携型の3タイプがある。2011年度、公立の中等教育学校は28校、併設型は69校、連携型は82校。受験界では、中等教育学校と併設型を中高一貫校として扱う場合が多い。



wakabanavi01 at 13:48|Permalink 公立 | 中学受験

2012年03月19日

都立中高一貫校人気に拍車でも入学辞退者さらに増加する理由

昨年、都立初の中高一貫校として卒業生を出した白鴎高等学校附属中学は初年度に東大合格者5名を輩出し、教育業界はいわゆる“白鴎ショック”に沸いた。

 白鴎は今年も3人が東大に合格したが、白鴎に続いて今年初めて卒業生を出した小石川中等教育から4人、同じく桜修館中等教育と両国高等学校附属からそれぞれ3人の東大合格者が出た(東大合格者数はすべて大学通信調べ)。

 これで都立の中高一貫校の人気に拍車がかかるのは確実だ。

 そもそも中高一貫には、中学校と高等学校の課程を統合した一体型の「中等教育」と、同じ設置者が中学校・高校を併設して接続する併設型の「附属中」、そして設置者が異なる中学校・高校が連携する「連携中」に分けられる。

 現在、都内には公立の中高一貫校が11校(都立10校、区立1校)ある。そのすべてが中等教育と附属中である。今年の志願倍率は最低の中学でも5.3倍、最高では8.0倍という高倍率だ。私学の雄である早慶の付属中学の一般一次(男子)の志願倍率が3.3~6.3倍であることを考えれば、圧倒的な人気を誇っている。

 それも当然のことだろう。都立の中高一貫は、授業料は公立で、カリキュラムは私立。教育のいいとこ取りを実現したものだ。公立ながら、学区の縛りはないし、脱偏差値教育の理念から、入学試験は学力テストではなく、「適正試験」と呼ばれる独特の試験を行うため、学習塾による入試対策の効果も薄いというのも追い風だ。リーマンショック以降の不況で学費の高い私立中学の志願者数が減っているのとは裏腹に格安な都立の中高一貫が人気を集めているのだ。

 ただし、不可解なのは、人気の都立中高一貫に合格しながら、入学を辞退する志願者が少なくないことだ。2010年に98人、11年に88人、12年に92人と、都立10校で約1400人いる合格者の7%前後が、入学手続きを行っていない。しかも、入学辞退者はさらに増える可能性が高まっている。

 じつは、種明かしをすれば、これは「国立中学や難関私立中との併願者が多数いて、彼らが合格辞退しているため。今や、都立の中高一貫校は、四谷大塚の偏差値60~65クラスの難関校志願者の併願校になっている。公立がこれだけの合格実績を上げたから、併願層のレベルはさらに上がる」(森上展安・森上教育研究所代表)という構造になっているからだ。

 というのも、東大合格者がまだ5名前後とはいえ、これが公立校で達成されたことは大きな意味を持つ。私立の中高一貫校の中には、特別進学コースや特待生制度を設けて、一部の学生だけが東大合格を目指すところも少なくないが、“平等”をモットーとする公立の中高一貫校は生徒の学力が均衡するため、「東大合格者が5人いるなら、他の国公立にも多数の合格者がいるだろうし、全学生の2~3割は早慶クラスに合格する」(森上代表)と予測されるからだ。

 「適正試験」で玉石混淆になりがちな生徒層を擁する公立校が難関校合格者を輩出する状況は私学経営者には脅威に映ることだろう。また年間50万円をゆうに超える私立の学費を考えれば、ほとんど無償に近い公立の学費は、この不況下で保護者に極めて魅力的だ。

 それゆえ、今後も都立の中高一貫と私立難関校の併願は増えるだろうし、場合によっては難関校を辞退する可能性も十分あり得るだろう。実際、都立の中高一貫校の中には、「早慶クラスを蹴って、うちに来る学生もすでにいる。いずれ最難関クラスからも来ることになるだろう」と広言する校長もいるほどだ。

 すでに忘れ去られてしまっているかもしれないが、公立の中高一貫校設置が可能になった1998年の学校教育法改正時、その設立の理念は「ゆとりのある学校生活の中で生徒の個性や創造性を大いに伸ばす」というものだった。だが現実には、東京都を筆頭に、中高の6年を難関大学受験一辺倒という、私立の中高一貫と大差ない状況になっているのが実情だ。理念よりも、“御利益”優先というわけだ。

 ちなみに、今年の東大合格者を見れば、都立校からは日比谷が26人、西が22の合格者を輩出、都立高校の復権も進んでいる。また、埼玉県立浦和校が39人、千葉県立千葉高校が30人など、首都圏の公立校も健闘している。

 都立、ひいては公立の中高一貫校人気と公立校の復権で、受験の勢力地図は大きく塗り替えられようとしている。
 (「週刊ダイヤモンド」編集部 小出康成)

(2012.3.19 ヤフーニュースから転載)







wakabanavi01 at 12:30|Permalink 中学受験 | 公立

海外大入学めざせ、200高校に留学支援課程

文部科学省は、米ハーバード大など難関校を含む世界の大学が採用する共通の大学入学資格取得に必要な教育課程「国際バカロレア(IB)」の国内認定校の拡大を目指すことを決めた。

 今後5年間で、認定校と、新たにIBに準じた教育を行う高校を計200校にする計画で、海外で学ぶ日本人学生を増やし、グローバル化に対応する人材を育成する狙いがある。

 日本の高校から海外の大学に入学するためには、一般に国ごとに異なる統一試験などを受ける必要があるが、IBを修了したうえで世界共通の大学入学資格試験にパスすれば、約2000大学の選考を受けられる。同省によると、IB認定校は世界に約140か国3300校あり、2010年度で計約4万2000人が共通試験に合格している。アジアでは特に中国が認定校を増やしている。

 国の「グローバル人材育成推進会議」は昨年6月、留学生を増やし、日本の学生の語学力やコミュニケーション能力を伸ばすためにIB認定校を増やすことを提言。政府は昨年8月に閣議決定した「成長戦略実行計画」にIB認定校拡大を盛り込んだ。



wakabanavi01 at 12:29|Permalink 大学受験 

2012年03月14日

14年度開校の市立中高一貫校、地元の強みや特徴学ぶ/川崎

川崎市教育委員会は12日、2014年4月に開校予定の市内初となる市立中高一貫教育校の概要を発表した。6年間を通して、ものづくりや最先端産業など川崎が持つ強みや特徴を授業で学び、進路を考える上で役立ててもらうカリキュラムが特徴。担当者は「川崎というフィールドを通して、自分が将来なりたいものをじっくり考えてほしい」と期待を寄せている。

 川崎の強みを学ぶのは、現場での体験を通して探究する「川崎文化・産業学習」。総合的な学習の時間を活用し、川崎に関連したさまざまな分野について個人でテーマを設定する。

 市教委によると、中学1、2年を「定着期」と設定。総合的な学習の時間で、農林漁業体験を切り口に、日本の産業や食、生命について考える。

 中学3年、高校1年を「充実期」と位置付け、中学3年では「川崎文化・産業学習」を導入。川崎をフィールドの場にして、テーマに関連した職場や事業所を訪れ、世の中の動きを肌で感じてもらおうという狙いだ。

 高校1年と「発展期」と設定している2年では、「川崎よいまちづくりプロジェクト」を行う。これまでの学習を基礎に、市役所や大学、研究施設と連携し、ディスカッションなどを通してよりよいまちづくりのあり方について一緒に考えてもらうという。

 一貫校の校名は「市立川崎高校」と「市立川崎高校付属中学校」。高校入学時に選抜を行わない「併設型」で、校舎は現在、同市川崎区中島にある同高校を全面改築して利用する。

 最終的な生徒数は、全日制普通科が各学年40人学級(4クラス)で計480人、付属中学校は3クラスの計360人を予定。全日制普通科は、17年度から1学級分を募集する。

 付属中学校の通学区域は市内全域。学力検査は行わず、「作文を含めた適性検査」「面接」「調査書」を資料とし、入学者を決定する。1月中旬に志願手続き、2月の第1週に検査を実施、2月中旬に結果発表を予定している。

 市教育委員会教育改革推進担当の阿部敏担当課長は「一人一人の進路実現に向けてじっくりと時間がとれるのが中高一貫校の特徴。川崎をあらためて見直してもらい、進路決定に役立ててもらいたい」と話している。





wakabanavi01 at 01:40|Permalink 公立 | 中学受験