2017年11月

2017年11月21日

エナジードリンクを飲む子どもたちに起きている「異変」


近年、若者を中心に人気が広がる「エナジードリンク」。10代の子どもが自動販売機やコンビニで買える清涼飲料水だが、よく飲んでいる子どもたちの心身の異変を懸念する声が教育現場から上がっている。疑われているのが、エナジードリンクに含まれる成分「カフェイン」の影響だ。今回、日本体育大学・野井真吾研究室と共同で、全国の小中高など1096人の養護教諭にアンケートを実施。その結果をもとに広く実例を取材した。子どもたちの身に何が起きているのか。(ジャーナリスト・秋山千佳/Yahoo!ニュース 特集編集部)


「人が変わった」中3男子

「テンションのアップダウンが激しすぎて、(飲み続けていたら)包丁持って暴れたりしていたんじゃないかな」

静岡県に住む中学3年生のツバサ君(仮名)は、1日1本以上エナジードリンクを飲んでいた中学1〜2年生の時を振り返る。当時は周囲から「人が変わった」と言われていたという。

ツバサ君の取材には母親、養護教諭も同席した。(撮影:編集部)

入学当初はどちらかというとおとなしい生徒だった。だが、ある時期から、教室中に響き渡るような高笑いをしたり場違いなふざけ方をしたりするなど、周囲が戸惑う行動を繰り返すようになった。それを注意する教師に激しく食ってかかるようにもなった。一方で、帰宅すると、ゆううつになり、母親に「頭痛い」「死にたい」と頻繁に訴えていた。

ツバサ君が初めてエナジードリンクを手に取ったのは小学校卒業からまもない時期。最初は体がだるいと感じた時にときどき飲む程度だったが、中1の冬頃から毎日飲むようになる。カフェイン量のより多い商品を選ぶことが多くなった。

取材に応じるツバサ君(撮影:編集部)


「モヤモヤした気持ちを消したくて、寝たくないから飲む。夜10時ごろに飲んで1時間くらいして効いてくると、もうじっとしてられない。スマホでチャットしたり、テンションの高い曲を聴いたりして、気づいたら朝という感じ」

この時期のツバサ君の様子を、小学生時代からツバサ君を知る保健室の養護教諭は「彼本来の姿じゃなく、おかしいと感じていた」という。

このような心身の異変は、ツバサ君に限らない。全国の養護教諭から、エナジードリンクを常飲する子どもたちについて、懸念の声が上がっている。

都内高校で。9月に掲示されていた「高校保健ニュース」でもエナジードリンクによるカフェイン中毒に注意喚起が行われていた。(撮影:編集部)


養護教諭1096人のアンケート

筆者は2010年から各地の中学校の保健室の取材を続けており、その過程で養護教諭から子どもたちの「異変」を耳にするようになった。エナジードリンクを飲んだ後に、頭痛や頻脈(脈拍数が多い状態)などで保健室を訪れた子どもたちからも直接話を聞いていた。

子どもへの影響に焦点を絞ったエナジードリンクやカフェインについての調査や研究は見当たらなかった。そこで、筆者は日本体育大学の野井真吾教授(学校保健学)と共同で、小中高校などの養護教諭を対象に、子どものエナジードリンク摂取に関するアンケートの準備を今年1月から進め、8月に実施した。全国養護教諭連絡協議会など1都2県で行われた計4回の研修会で、全国各地から参加した養護教諭にアンケート用紙を配布。1096人から回答を得た。

寄せられた1096人の養護教諭からの回答(撮影:長谷川美折)


アンケート結果で「自分の学校に、エナジードリンクを習慣的に飲んでいる子どもがいる」と答えたのは、中学で24.4%、高校では48.4%だった。自由記述欄では「問題がある子どもを把握している」という趣旨の回答が80件あった。

こうした回答を寄せた養護教諭の協力を得て、子どもたちへの取材を行った。冒頭のツバサ君もその一人だ。

(図版:ラチカ)


「心臓がバクバクした」高1男子

新宿から電車で約30分の私立の進学校。高校1年生の男子は、中学生の時、先輩が手にしているのを見て興味本位で飲んでみたら「夜遅くまで起きられちゃった」ことから、テスト前夜には連日2本飲むことが習慣となった。

養護教諭の呼びかけでエナジードリンク好きの生徒が集まった進学校の一室。(撮影:編集部)


今年5月、中間テストの前夜、いつものように飲んだところ、突然心臓が痛み始めた。痛みは1時間ほど続き、「1キロくらい猛ダッシュした後みたいに心臓がバクバクして焦った」。結局、その夜は勉強できないまま、翌日試験に臨んだという。

今回のアンケートとは別に、筆者は問題事例を取材の過程で見てきた。

東京都内の中学校。3年生の女子生徒は、受験勉強のため、エナジードリンクを1日2〜4本飲んでいた。頭痛や頻脈が頻繁に起こるようになり、勉強をやめて、夜通しポルノ描写のある映像を見ては「私もやりたい」などと保健室で口にしだした。

「エナジードリンクを飲まないとやってらんない」。その言葉に依存を疑った養護教諭が諭すと、生徒は「それでも手が出ちゃうの!」と叫んだ。養護教諭や友人らが説得を続け、生徒が飲むのをやめると、次第に異変は落ち着いていったという。


頻脈、胸痛を引き起こす「カフェイン中毒」

「興奮状態やいらつき、頭痛はカフェイン中毒のよくある症状です。頻脈や頻呼吸、胸痛などが現れる人もいるし、依存性もあります」

カフェイン中毒に詳しい上條吉人・埼玉医科大教授はそう語る。

冒頭のツバサ君の問題行動や身体的な異変についても、エナジードリンクを日々飲む習慣と一致して出現していることから、カフェイン中毒の影響である可能性が「十分にある」と上條教授は指摘する。

救急搬送の際、「カフェイン中毒はあまり救急隊員に認知されていない」と語る埼玉医科大学の上條吉人教授。(撮影:編集部)


日本でカフェインの健康被害が注目されるようになったのは2015年12月、九州の20代男性の死亡例が報道されたことだった。24時間営業のガソリンスタンド勤務だったその男性は、エナジードリンクを常飲しており、福岡大学法医学教室の分析では、胃からはカフェイン錠剤も見つかったという。血液からは致死量に達する1mlあたり0.182mgのカフェインが検出された。

今年6月、上條教授が日本中毒学会で発表した調査では、2011〜2015年度に全国38の救急施設に搬送されたカフェイン中毒患者は101人。7人が心停止で、うち3人が死亡した。患者の多くは濃度が高く安価なカフェイン錠剤が主因と診断されているが、エナジードリンクだけで搬送された例も4人あった。

(図版:ラチカ)


「子どもの手が届きやすい」エナジードリンク

そもそもカフェインは、コーヒー(1杯あたり約65mg)やお茶など多くの嗜好品に含まれる。だが、清涼感のある炭酸飲料であるエナジードリンクは「子どもの手が届きやすい」と複数の養護教諭が指摘する。代表的なエナジードリンクのカフェイン含有量は、レッドブルが250ml缶で80mg、モンスターエナジーは355ml缶で142mgだ。

市場調査会社の富士経済によると、国内のエナジードリンク販売額は2007年からの10年でおよそ34倍に伸びている。

(図版:ラチカ)

「飲んだら受験勉強に集中できるよ」と

野井教授とのアンケートや調査後の養護教諭や生徒への聞き取りを整理していくと、子どもがエナジードリンクを摂取する目的は、おおよそ二つに大別される。

一つは勉強やスポーツのため、もう一つは日常の息苦しさ・生きづらさを紛らわせるため、だ。

まず前者の勉強やスポーツ。中学や高校、特に進学校では、テスト勉強や受験勉強を機にのめり込む生徒がいるという回答が複数あった。

筆者が会った都内屈指の進学校である私立高校に通う1年生女子は「高校受験の時に、進学塾の大学生の先生から『飲んだら集中できるよ』と勧められて飲み始めた」と取材に答えた。

夜、勉強をする前に、エナジードリンクをスマホで撮影し、SNSのグループにアップ。「グループトークでオンラインでつないだまま勉強するのが多いです」とある高校生は語った。(撮影:長谷川美祈)


神奈川県の県立高校では、バスケットボール部の2年生の女子生徒が、試合間の休憩時間に「気持ち悪いし、心臓が痛い」と訴えた。平常時は1分間に70回台の脈拍数が、運動直後ではないのに110回を超えていた。同校の養護教諭が聞き取りをしたところ、直前にエナジードリンク2本(カフェイン計280mg)を飲んでいたことがわかった。女子生徒は「飲めばパフォーマンスが向上する」と信じ、試合前の「ルーティン」となっていた。

養護教諭はこの女子生徒について「彼女は『食事代わり』というくらいよく飲んでいた」と話す。

「それが関係しているのか、内科健診で心臓に異常がなかったのに、突然頻脈が発生し、心臓が痛いという訴えが1年間で4回もありました」

家庭などに複雑な事情を抱える子どもがエナジードリンクを常飲するケースもある。

過剰摂取後に救急搬送の短大生

(撮影:長谷川美祈)

静岡県内の中学校の養護教諭は、経済的に厳しい家庭環境の子どもほどエナジードリンクへの依存性が高い可能性があると指摘した。2017年3月に卒業した男子2人は「多い日は5本」と日常的に飲んでいた。2人とも母子家庭で、ワイシャツが破けても買い換えずに着続けるなど、経済的に苦しいところがあったが、どちらも親から食費として渡されるお金までエナジードリンクに費やしていた。

また、夜中まで起き続けることで2人とも睡眠時間が短く、そのせいか学校でささいなことにもイライラするような態度が続いていた。荒れた生活を心配していた養護教諭は2人と保健室で話をするようにした。「受験勉強が手につかず、自己肯定感も著しく低下していた」という。

「原因不明」と診断されているものの、エナジードリンクの過剰摂取後、救急搬送された事例もある。

東京都内の短大。養護教諭によると、4年前、男子学生がテストの最中に過呼吸状態になった。学生は「心臓のあたりにドンと衝撃が走った」と語り、さらに手足のしびれも訴えたため、救急車を呼んだ。

男子学生は前日あまり食事を取らずに、テスト勉強のために一晩でエナジードリンクを5本飲み、さらに朝登校してテスト前にもう1本飲んでいたという。24時間のカフェイン摂取量は合計840mgになっていた。養護教諭はカフェイン中毒を疑い、学生にその可能性を指摘した。

「しかし、このことを学生自身が搬送先の医師に伝えても、カフェインに対する検査はされなかった。結局、『原因不明』ということで終わったそうです」(養護教諭)

都内の中学校でもエナジードリンクを1日4本(カフェイン計560mg)ほど飲んでいるという男子生徒が授業中に倒れて救急搬送されたが、行われた検査の内容としては異常なし。診断は原因不明とされたという。

(撮影:編集部)

前出の上條教授は、「診断する医師にカフェイン中毒という観点がなく、見逃されている症例がたくさんあると思う」と言う。

「カフェインは昔からコーヒーなどの嗜好品に入っている天然の成分だから、たいしたものじゃないという先入観が一般にある」


カフェインの半減期は成人で2〜7時間

米国精神医学会の医師らによる医学書『アディクション・ケースブック』によると、カフェイン中毒の特徴的な症状としては、興奮/不安/ふるえ/頻脈/利尿/胃腸系の障害/痙攣/不眠がある。さらには、黙っていることができず話し続けたり異常な妄想にとらわれたりといった、躁病に似た症状も見られるという。

(図版:ラチカ)


カフェインの血中濃度が最大になるのは摂取から1時間以内で、その濃度が半減するまでの「半減期」は、成人でおおむね2〜7時間だ。

そこで問題となるのが、子どもにおけるカフェインの作用だ。

国立成育医療研究センターの和田友香医師は、「代謝酵素が未熟な子どもの場合、カフェインの半減期はもっと長く、新生児の場合は100時間以上かかる」と警鐘を鳴らす。

「子どもにとってタバコやお酒は危険だと誰もが思うでしょうが、カフェインも同じ。中毒になりかねないものなのに、あまりに知られておらず啓発もされていないのが現状です」

国立成育医療研究センターの和田友香医師。(本人提供)


死亡例でも子どもと成人ではカフェインの摂取量で違いがある。

日本中毒学会理事の監修による『臨床中毒学』によれば、成人でも短時間にカフェイン1g以上の過剰摂取をするとカフェイン中毒を引き起こし、5〜50gでは死に至る可能性がある。だが、体が小さい子どもの場合、その量より少なくても中毒を引き起こす可能性がある。

米国では、2011年にメリーランド州の14歳の少女が、24時間で700ml入りモンスターエナジー2本(カフェイン計480mg)を摂取し死亡。検死によって死因は「カフェインの毒性による不整脈」とされ、訴訟が起こされた。その米国では、薬物乱用・精神衛生管理庁(SAMHSA)によると、救急外来で受診したエナジードリンク関連の患者数は、2011年で2万人超。2005年のおよそ14倍に増えている。1日に50人以上が救急外来で病院を訪れたことになっている。

(図版:ラチカ)

カナダ保健省は注意喚起

カナダ保健省は2010年、13歳以上の青少年や成人について1日に体重1kgあたり2.5mg以上のカフェインを摂取しないようよう、注意喚起を行った(12歳以下はさらに少量)。日本では独自の基準値を設けず、農林水産省や内閣府の食品安全委員会が、カナダのこの数値を引用して「過剰摂取には注意が必要」と示している。

この基準値に照らすと、「モンスターエナジー」の場合、355mlの缶1本分にカフェイン約142mgが含有されているため、体重56kg未満の子どもは1日で飲みきると基準を超える計算になる(カフェイン2.5mg×体重56kg=140mg)。

(撮影:長谷川美祈)

欧米におけるカフェイン摂取の事例に詳しい米国在住の内科医・大西睦子氏によると、科学的検証はまだ必要だとしつつも、米国の医学界ではエナジードリンクのリスクを指摘する報告が複数上がっているという。

「たとえば、2013年2月、医学雑誌『Pediatrics in Review』でバージニア州のポーツマス海軍医療センターの研究者は、アルコール入りエナジードリンク1缶(695ml)を飲むことは『ワインのボトル1本あるいはビール6缶(355ml)と、5杯ものコーヒーを一緒に飲むのと同じ影響がある』と指摘しています」

大西氏は「カフェインにはある程度のリスクがあることは、子どもにもっと知られてよいのではと思います」と話す。

カフェインの「依存性」

米国精神医学会の診断基準(DSM-5)によれば、カフェインには「依存性」はあるものの、使用そのものを治療の対象としなければならないような「依存症」はないとされる。つまり、カフェインの過剰摂取は様々な問題を引き起こすものの、「十分に教育して理解すれば自分の意思でやめられるはずだ」と見なされている。

だが、社会的な背景を含めて考えると、そう単純なわけではないと指摘する研究者がいる。精神科医で国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長の松本俊彦氏だ。

「依存には、単に物質の薬理作用だけでなく、その人の置かれているつらい状況、抱えているトラウマという心理・社会的な要因も関係しています。その物質を摂取することで、悩みや苦しみが一瞬でも和らいだり消えたりするという体験をすると、やめられなくなる」

国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部長の松本俊彦氏。(撮影:編集部)


松本氏は、「カフェインは、薬理学的には覚せい剤と同じく気分を高揚させるアッパー系ドラッグの一種」だと言う。

たとえば受験生や進学校に通っているような子どもの場合、「ちょっとでも気を抜いたらライバルが迫ってくるのでパフォーマンスを維持しないといけない、というものすごいプレッシャーの中で生きている子たちにとって、エナジードリンクは大きな必要性がある」と松本氏は解説する。

前出の米国在住の大西医師によると、米国でも「スタディドラッグ」という言葉がある。多くの子どもが夜遅くまで勉強するためにエナジードリンクを摂取しているというのだ。

松本氏が最も不安視するのが、日常の息苦しさ・生きづらさを紛らわせるための摂取だ。

いじめ、暴力、家庭内の不和、貧困など、身近な問題やトラウマを抱えている子どもの場合、カフェインをなかなかやめられないという。

「健康な子たちであれば、エナジードリンクもすぐ飽きるかもしれない。しかし、つらい境遇を抱え、やっとこさ表向き普通の中学生をやっているような子たちは、飲むとすこし気分がスッキリする。そこで、ハマっちゃうんだろうなと。つまり快感じゃなくて苦痛の緩和こそが、子どもを依存症にさせるのです」


厚生労働省とメーカーの考え

松本氏は「子どもたちがあまりに早い段階でカフェインに遭遇しないような販売上の気遣いは必要」と話す。だが、エナジードリンクは清涼飲料水という「食品」。自動販売機やコンビニエンスストアで目立つ位置にあることも珍しくない。また、一部商品に「お子様、妊娠中または授乳中の方、カフェインに敏感な方にはお勧めしません」といった注意喚起表示はあるが、実際の販売現場では子どもに対する規制はない。

こうした状況の中、厚生労働省はどう考えているのか。

厚生労働省の食品基準審査課と医薬品審査管理課の担当官は、死亡事故を含め、カフェイン中毒による搬送事例が起きていることは把握していると認める。その一方で、カフェインに対して規制まで行うのは難しいという見解を示した。

(写真:アフロ)


カフェインは天然由来の食品に含まれる成分のため、含有量ではなく、効果効能をうたうかどうかで医薬品か食品かの線引きがされる。そしてエナジードリンクのような食品の場合、「カフェインの量に法的な上限はない」と解説した。

だが、カフェイン含有量や販売上の規制がないままで、子どもたちへの健康被害は防げるのだろうか。その問いに同省の新井剛史衛生専門官はこう答える。

「人によって(カフェインへの)感受性は異なるので、まずはカフェインのリスクを知っていただくことが大事かと思っております」

そのため子どもに特化せず、周知を図る方針で、今年7月、同省のサイトに過剰摂取への注意喚起の文章を掲載した、という。

2017年7月に公開された厚生労働省の注意喚起のページ。同省ウェブサイトから。


メーカー側はどのように考えているのか。

世界のエナジードリンクを代表する2社、モンスターエナジー社(本社・米国)とレッドブル社(本社・オーストリア)に日本法人を通じて、書面で2点について回答を求めた。

英語と日本語の併記で届いたモンスターエナジー社、レッドブル社からの回答。(撮影:編集部)


1点目は、子どもの飲み方について摂取量や頻度での目安があるのかどうか。2点目は、われわれの行ったアンケートに基づき、頻脈や頭痛など心身の不調が出ており、カフェインの影響が疑われていることについて、どのように考えているか。

モンスター社は、1点目について、「10代を含めた全ての年齢層で、エナジードリンクの消費量は低水準を維持しています」とし、カフェイン含有量は同容量のコーヒー飲料よりも低く、安全だとしたうえで「エナジードリンクを日常的に飲んでいるのはごくわずかな割合の未成年のみです」と回答。2点目の問いについては、欧州食品安全機関(EFSA)の研究から、「エナジードリンクを摂取する10代において、エナジードリンクまたはカフェイン摂取により健康に影響を及ぼすリスクが増加したり、特有のリスクが現れたりするということはない」とし、「エナジードリンクが多くの重篤な症状の原因であるという指摘には全く根拠がなく、医学・科学文献により裏付けられているものではない」と回答した。

(撮影:長谷川美祈)


レッドブル社は、1点目の問いについては、「子どもは体重が軽いので、一般的に成人よりカフェイン摂取を控える必要があります」と体重とカフェインの関係から摂取を控える必要性を指摘。その上で「そのため、レッドブル・エナジードリンクは子どもたちにマーケティングはしておりません」と記した。ただし、2点目の問い──子どもに起きている頻脈や頭痛などの心身の不調に関する問いには直接答えず、250mlのレッドブルに含まれるカフェインはコーヒーと同じ含有量であることから、「すべての年齢層の人々が日々カフェインを摂取する主な方法とエナジードリンクを分けて扱う科学的な根拠はありません」とした。

無規制の販売のあり方は妥当か

エナジードリンクの販売のあり方については、世界保健機関(WHO)欧州事務局が2014年、小児・青少年へのエナジードリンク販売の規制を提唱しており、すでに取り組みを始めた国もある。

(撮影:長谷川美祈)

リトアニアは2014年、未成年(18歳未満)へのエナジードリンクの販売を禁止、未成年に販売した者は400リタス(約16300円)の罰金が科せられることになった。エジプトでは2014年、エナジードリンクの広告が全面的に禁止されるとともに、教育・スポーツ関連施設でのエナジードリンク販売が禁止された。また米国でも、2013年、米国医師会が20歳未満へのエナジードリンク販売禁止を呼びかけるといった動きが広がっている。

前出の松本氏は、「日本でもたとえばコンビニでアルコールの販売エリアを分けているようにエナジードリンクも別枠にするとか、15歳以下や、せめて小学生への販売はダメとか、どんなことができるか広く議論したらいい」と述べる。

一方で、それ以前に考えなければいけない大事なことがある、とも言う。

「エナジードリンクにはまる子どもたちは、カフェインというターボチャージャーをつけてやっと普通の子になれると思っている可能性がある。そんな彼らからすれば、大人に無理やり取り上げられたら『もう人並みに生きていけない』という絶望感が生まれる。そういう子たちを救うためには、『ありのままでいいんだよ』というメッセージをいかにいろんな形で伝えられるかと考えることも必要です」

アンケートの詳細など関連記事『「エナジードリンク」養護教諭アンケートから――現場の懸念浮き彫りに』はこちら。





秋山千佳(あきやま・ちか)

1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。記者として大津、広島の両総局を経て、大阪社会部、東京社会部で事件や教育などを担当。2013年に退社し、フリーのジャーナリストに。著書に『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル』『戸籍のない日本人』。公式サイトで本件に関する情報を募集中。

[写真]
撮影:長谷川美祈
写真監修:リマインダーズ・プロジェクト
後藤勝


2017.11.21
ヤフーニュース から転載



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2017年11月20日

中学受験 テストで点が取れない子の3つの行動


塾の授業の内容は理解できている。週例テストもそこそこに点が取れる。なのに、組分けテストや模試などの大事なテストになると点が伸びない。そんな悩みを抱えている中学受験生は少なくありません。「しかし、『今回はたまたま悪かっただけ』と軽く考えるのは要注意。なぜなら、テストで点が取れないのはそれなりの原因があるからです」。そう話すのは中学受験のプロ家庭教師、西村則康先生。では、その原因にはどんなことが挙げられるのでしょうか? そして、それを克服する手立てはあるのでしょうか? 西村先生に聞いてみました。


●塾の授業は理解できているのに、テストで点が取れない子の3つの特徴

 塾の内容は理解できているのに、テストになると思うように点が取れない子がいます。中学受験は結果がすべてなので、「なんで点が取れないのだろう……」と親子でガッカリしてしまいますよね。

 「でも、それにはちゃんと原因があるのですよ」と西村先生。

 そもそも知識がないというのは別ですが、西村先生によるとテストで点が取れない子には、次の3つの特徴があるといいます。

【テストで点が取れない子の3つの特徴】

①問題文を読まない

②当てずっぽうで答える

③ぽかミスをする

 西村先生はこう言います。

 「テストで点が取れない子の共通の特徴は、アウトプットを意識していない点にあります。授業とは知識を得るというインプットの作業であり、テストは問題を解くというアウトプットの作業です。まずそのことを理解し、取り組むときの意識を変えなければいけません。アウトプットが苦手な子の多くは、面倒なことが嫌いで、答えを出すために必要なプロセスを省略しようとします」

 アウトプットに必要なのは次の2つです。

①正解を出そうと強く意識する

②正解を導くために正しい方法を使う

 「②の正しい方法というのは、例えば国語の読解なら大事なところに線を引く。算数の図形なら線分図を書くなどです。こうしたやり方は塾の授業で習いますので、まずはそれを素直にやってみることが、得点につながります。これを面倒臭がってしまう子は、いくら知識があっても正しい答えに到達できる確率が大きく下がります」

 「①の正解を出そうと意識している子は、問題文をしっかり読み、正しい答えを出すためにはどうしたらよいかをきちんと考えながら解き進めていきます。逆にそれができない子というのは、先に挙げた『テストで点が取れない子の3つの特徴』に当てはまります」

 では、西村先生にそれぞれの特徴を詳しく説明してもらいましょう。


●【問題文を読まない】類似題をくり返し演習させることで陥る早とちり

 「テストで点が取れない子に最も多いのが、『問題文をよく読まずに解こうとする子』です。そういう子は、塾のテキストや市販の問題集に入っている典型問題は解けるのに、ほんの少し条件が変化し、要求されている結論をずらされると、見事に間違えてしまうのです」

 「問題をしっかり読まないうちに解き始める子というのは、例外なく多くの演習問題をこなしています。そうさせているのは、塾が原因でもあるのです。例えば、難関校に強いと言われているSAPIXは、その週に学習する内容を1冊にまとめたテキストを使って授業を進めていきます。授業で使うテキストの裏面には家庭でやる宿題が載っているのですが、その問題文は授業で習った問題の数字を変えているだけ。問題文をしっかり読もうとする意欲が高まりません」

 「類似問題をくり返し解くことで解き方や考え方を身に付けるという方法は間違ってはいないのですが、そういう宿題に慣れてしまうと、問題を1行読んだだけで、『あ、これはあのやり方だ』と思い込んでしまい、問題文を最後まで読まずに解き始めてしまう危険性があります。そういう子は、問題をしっかり読むトレーニングをしなければなりません」

 「こういう子におすすめの対策は音読です。音読は一語一語読まなくてはならないので、読み落としを防ぐことができるからです。問題の読み落としが多い子は、家庭学習でテキストを音読する習慣をつけさせましょう。実際のテストでは音読はできませんから。最終目標は音読をするように黙読をすることです。それが習慣づくと、問題文を読み飛ばすことが防げます」

 それともう一つ、西村先生は問題を解くときの“向き合い方”についてこうアドバイスをします。

 「勉強には、スピーディーな学習とスローな学習の2種類があります。スピーディーな学習は算数の計算、国語の漢字や語句、理科・社会の暗記など、くり返し学習することで覚えるものです。一方、スローな学習は、算数なら計算問題以外すべて、国語なら読解力、理科・社会なら説明文を読んで全体のイメージをつかむ、といったことが挙げられます」

 「中学受験の勉強では、スピーディーな学習とスローな学習の両方をバランスよく取り入れることが大切です。大手進学塾の場合、中学受験に向けた3年間の学習カリキュラムがきっちりと決められていて、日能研を除くほとんどの塾では、5年生までに中学受験に必要な範囲を終わらせます。4年生ではその基礎を学習するため、公式や知識を暗記するスピーディーな学習が中心になります。こうした授業に慣れた子どもたちが、5年生になって登場する発展問題や応用問題を同じように解こうとしても、正解を導くことはできません。なぜならこれらの問題は、『なぜそうなのか』を理解していなければ解けない問題だからです。つまり、スローな学習で理解を深めていかなければならないのです」

 「入試ではこれらの問題がミックスされて出題されます。そのため、取り組む問題ごとに、今はどの学習の問題なのかを意識して取り組むことが大切です。例えば計算問題なら、『正確に』『スピーディーに』解くことが求められます。一方、考える問題はきちんと『理解し』『納得する』ことが求められます。それなのに、時間を気にせずにダラダラと計算問題に取り組んでいたり、問題文を読みじっくり考えるべき問題で、読み飛ばしや思い込みで解いたりしていては、テストで点を伸ばすことはできません。テストに取り組むときはもちろん、家庭学習をするときでも、取り組む問題ごとに『これは覚える問題だ』『これはじっくり考える問題だ』と意識して取り組むようにしましょう」


●【当てずっぽう】「分からなかったら、何でもいいから書いておけ」はNGワード

 「問題文を読まない子」と重複する点もありますが、「当てずっぽうで答える子」もテストで点が取れません。

 「このタイプの子には共通した特徴がある」と西村先生は言います。

 「まず、答案用紙はほとんど埋まっています。問題用紙の空きスペースに、式まで書いてあることがあります。にもかかわらず、答えは×だらけで、点数は半分以下。なぜだろう? と痕跡をたどっていくと、部分部分は合っているのに、なぜこの数字が出てきたのだろう? と首をかしげる箇所があります。そこで、『この数字(式)で正しいという気持ちは何%くらいあったの?』と聞くと、ほとんどの子どもは0%とか20%とか自信がなさそうに答えるのです。つまり、正しいと思ってもいないのに、その数字を書き、その式の計算を続けているのです。それは、何とか解答用紙を埋めなければ! という不安な心理からくる行動なのだと思います」

 「しかし、そうさせてしまう原因に、実は大人たちの言葉が大きく影響を与えています。当てずっぽうの答えを書いた子どもに『なぜ、その数字を書いたの?』と聞くと、『だって、塾の先生が分からなくても空欄を作るな、何でもいいから書いておけ、って言ってたもん』という返事がくる子が少なくありません。『親から言われた』という子も多数います」

 「そして、そういう子の塾のテストを遡って調べていくと、そういう取り組み方が4年生の段階で既に始まっていることが分かります。そういう子は、例外なく問題文を読むところからいいかげんです。そして、答えを書くまでの時間が極端に短いという共通点があります」

 「ところが、4年生のうちは、この当てずっぽうの答えがたまに正解することがあります。記号問題や、算数の問題でも答えが整数であるために、意外と当たってしまうのです。この時期に、当てずっぽうでも正解になる可能性があると味をしめた子どもは、この癖からなかなか抜け出すことができなくなります。そして、5年生になって考えたり、理解したりしないと解けない問題が出てくると、当たりの確率が下がり、テストで点が取れなくなってしまうのです」

 では、どのような対策が必要なのでしょうか?

 「『しっかり考えろ!』『最後まで粘って解いてみろ!』と叱ってみたところで、改善は望めません。この手のタイプの子を立て直すには、その子が知っていることや理解していることを把握したうえで、『今、ここまでは分かっている。次にここに気づけば、先に進めるはずだ。そのためにはどんなヒントを与えるのがよいだろう』と考える手助けをするような声かけが効果的です。この場のヒントや刺激は、その子自身が気づくことができる範囲の中で、できる限り遠くに設定する必要があります。しかし、それを親がやるのは難しいかもしれません。また、大手進学塾では生徒一人ひとりをそこまで見てあげることはできませんので、中学受験に熟知した個別指導塾かプロの家庭教師に委ねるのが理想です」

 「ただし、4年生の段階であったり、そこまで常習でなかったりすれば、親でも対応はできます。算数なら『この問題では何を聞かれているの?』『何を書けば解けそうな気がする?』『その差は何だろう?』『今の式で何が分かったの?』といった質問をしながら進めていきましょう。そして、『しっかり考えれば、正解が出せる』という経験を積み重ね、自信を持たせてあげるのです。そうすれば、子ども自身が分からない問題に遭遇しても、焦ることも、諦めることもなく、『よし、まずは考えてみよう!』と立ち向かっていけるようになります」


●【ぽかミスをする】よほど痛いミスをしないと受験本番まで直らない

 最後に挙げる「ぽかミス」は、「問題文をよく読まない」「当てずっぽうで答える」とは次元が違うミスです。

 「『ぽかミス』とは、本人が無意識にやってしまう頭の痛いミス。例えば、答えの数字は合っているのに単位を書き忘れた、記述の最後に『。』を書き忘れたなど、悔やんでも悔やみきれないような間違いをしてしまうこと。しかし、こうしたミスは本人の意識を変えない限り、なかなか直りません」

 「私の教え子にも、ぽかミスばかりする子がいました。何度注意を促しても直らず、親御さんも私もいつもやきもきしていましたが、一向に直る気配がありませんでした。そんな中で迎えた本番。やはり悪い予感は的中し、ぽかミスをやってしまったのです。千葉・埼玉での前哨戦でそれが二度続いたとき、さすがに本人もこのままではマズイと思ったのでしょう。この時点でやっと本気になったのです」

 「中学受験では、特に男の子に多いのですが、本番まで自分のことと捉えることができず、何となく受験勉強を進めてしまう子がいます。そういう子は危機感を感じていないので、ちょっとやそっとのぽかミスでは反省をしません。でも、さすがにこのままではマズイという状態になったときに、これまでになかった集中力を発揮することがあります。親御さんとしてはヒヤヒヤしてしまいますが、発達段階の途中にある小学生にはこういうこともあるということを知っておいてほしいと思います。そして諦めずに言い続けてあげてください」

 「ぽかミス」は本人の性格や真剣さの度合いによるものなので、対策が難しいけれど、「問題文を読まない」「当てずっぽうで答える」に関しては、きちんと対策を取れば、必ず克服していけます。次のテストでよい結果が出せるように、早速改善していきましょう。


2017.11.20
日経デュアル から転載



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2017年11月09日

「女子校にイジメがない」って本当? 男女別学の“あるある”座談会


 男子校、女子校離れが進んでいる。2018年は首都圏で3校の女子校が共学化する。ちょっと分が悪い男女別学だが、今回は別学出身者が別学“あるある”座談会を開催。原湖楠さん(88年生まれ。桐光学園中学高校卒業、東京大学大学院医学系研究科博士課程在籍中)、高橋勇貴さん(91年生まれ。立教池袋中学高校卒業、東京大学大学院修了)、安田理さん、森下英郎さん(83年生まれ。桐朋中学高校卒業。東京大学大学院修了)、古谷槙子さん(84年生まれ。恵泉女学園中学高校卒業、京都大学大学院修了)、甲斐菜摘さん(91年生まれ。吉祥女子中学高校卒業、お茶の水女子大学卒業)が、別学の良さを語った。

*  *  *
安田理(以下、安田):別学の良さをご自身の経験も併せて教えてください。

森下英郎(以下、森下):異性を気にしないで勉強に集中できたことかな。というか、せざるを得なかったんですが。友達とは6年間一緒にいるので仲がよくなりますね。今でも1年に1回は会っています。

安田:桐朋には女子校もありますよね。交流はなかったの。

森下:中高時代は無縁でしたね。大学も僕が進んだ物理工学科は女子がゼロ。男ばかりでした。

古谷槙子(以下、古谷):私の学校は、自分のことを深く考え、みんなの前で発表させる機会が多いんです。異性がいたら、素をさらけ出すことができなかったですね。そのおかげで、本音で話し合える友達ができました。今でも悩み事があると、中高時代の友達に連絡します。

高橋勇貴(以下、高橋):小学校から立教で、男子校しか知らなかったんです。共学は更衣室で着替えをすると聞いた時には、新鮮な感じを受けました。大学のサークルでつい部室で着替えようとしたら、女子から「やめろ!」と。

安田:立教にも女子校がありますよね。

高橋:小学校の時は交流があり、一緒に運動会をしました。高学年になると、一緒に手をつないでダンスをするのが恥ずかしくってね。男子のほうが多かったので、背の高い僕はいつも男同士でダンスをしていました。


甲斐菜摘(以下、甲斐):小学6年生の時、つまらない悪口を言う男の子がいて、女子だけだったら楽しいだろう、と思いました。男子の目がない分、自由でしたね。いい意味でお互いに干渉しすぎない。お昼を一人で食べても平気。雰囲気がサバサバしていました。

安田:女子校はいじめがあってジメジメしたイメージを持つ人もいますが。

甲斐:自分の意見をはっきり言えるのが女子校の良さ。気が合わない子がいても、干渉しなければいいだけですから。

原:母校の別学は男子部、女子部に分かれており、どんな感じかというと、棟も授業も別です。女子棟に入ると退学になるといううわさもあって(笑)。

一同:え~っ!

安田:境界線のラインが引いてあるとか。

原:そうです。最近女子が増えたので、男子の領地に侵入してきたんです。基本的に女子とはしゃべりませんね。

古谷:行事は一緒じゃないの。

原:文化祭は一緒で、この時だけは女子棟に入れるんですよ。特に交流もなく別な学校が、同じ敷地でやっているような感じです。僕の感覚としては、ほぼ男子校。メリットとして、女子がいるので、見ることはできる。

安田:あの子いいな、という恋心はわかなかったの?

原:そこまでいきませんでしたね。テレビのアイドルを見ている感覚です。付き合っている生徒もいましたが、少数派でした。

(ライター・柿崎明子、甲斐さんの談話は後日取材)

※AERA 2017年11月6日号より抜粋



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wakabanavi01 at 11:13|Permalink 中学受験 | 週刊誌から

2017年11月07日

南陽高に来春付属中 京都府南部初、中高一貫校に熱視線


南陽高(京都府木津川市兜台)は来年4月に付属中を併設し、府南部で初の公立中高一貫校となる。英語教育や海外留学といった「グローバル教育」と、関西文化学術研究都市の立地企業や研究機関との連携を一貫教育の柱に掲げており、保護者の関心も高い。一方で、近隣中学への影響や受験競争の過熱を懸念する声もある。


 府教育委員会は、2004年に洛北高(京都市左京区)、06年に園部高(南丹市)、15年に福知山高(福知山市)に付属中を開校した。府南部でも進路選択の公平性から検討を進め、昨年7月に木津川市、同9月に精華町からの要望を受け、南陽高への設置を決めた。


 南陽高付属中は定員40人の1クラス。中2で中学の学習内容を終え、中3から高校の内容を先取りして学ぶ。英語は時間数を増やし、中3で英検準2級以上の習得を目標とする。

 高校は、全員がサイエンスリサーチ科に進み、高1で3~4カ月の留学を奨励する。最終的に「TOEFL iBT」で米州立大に進学できるレベルとされる61点以上を目指す。

 高校受験がない「ゆとり」を生かし、中学からグループで探求学習に取り組む。学研都市の研究者による授業など、情報技術(IT)やライフサイエンスなどの分野で専門性の高い教育を進めるという。

 越野泰徳校長は「個性を多様に発揮し、新たな価値を生み出せる生徒を育てたい」と話す。

 南陽高付属中の通学圏は京都市を除く府内全域で、府南部の保護者の関心は高い。南陽高によると、これまで開いた4回の説明会に各回千~400人が参加し、6割が同高に近い木津川市、精華町、京田辺市からで、4割が宇治市などだった。

 10月21日の説明会に参加した城陽市の母親(42)は「私学のように多彩な教育が期待できそう。学研都市との関わりが魅力」といい、木津川市の母親(40)は「京都市内の私学も考えるが、費用や通学時間が気がかり。ここなら自転車でも通えるし安心」と話した。

 府教委高校教育課によると、木津川市や精華町は例年、地元の公立中へ進学せず、私学などに行く児童が1割を超え、府内でも多い地域という。京都市内のほか、通学しやすい奈良県や大阪府の国立や私立中に進学する児童も多いとみられる。公立中高一貫校の誕生で、他府県に流出していた児童が地元にとどまることも考えられる。

 一方で、懸念も出ている。精華町は町内3中学のうち、南陽高に最も近い精華南中は近年、生徒数の減少が続いている。2025年度には1年生が1クラスになる予想だが、南陽高付属中に生徒が流れればさらに早くクラスが減る。

 町は、適正な学校規模が維持されることを望む意見を府と府教委への設置要望書に盛り込み、過度な受験競争が生じないよう配慮も求めた。
 町教委は「詰め込むだけが教育ではない。子どもの人間教育やさまざまな活動が十分できなくなるのであれば良くない」と説明する。

wakabanavi01 at 23:46|Permalink 中学受験 | 公立