英語「役立つ」7割、「生かした仕事」希望は…(3)プレテストで囲い込み【当世受験事情】

2012年02月01日

(2)地方私立中 東京で入試 【当世受験事情】

試験会場となった会議室の前の廊下に、学習塾の講師らが陣取っていた。緊張気味の受験生の手を握ったり、肩をたたいたりしながら「落ち着いて受けるんだよ」と声を掛ける。

 昨年12月18日午前8時半、東京・港区の高層ビルの21階。愛知県の海陽中等教育学校の出張入試が始まろうとしていた。

 海陽は2006年、東海地方を中心とした企業の支援を受けて開校した6年制の男子校。イギリスのパブリックスクールに範をとった全寮制教育で、リーダー人材の育成を目指している。学費は授業料や寮費など6年間で約1700万円にのぼる。

 この日は、東京を始め全国4か所で、昨季から導入された学費全額免除の特別給費生の入試を実施。年明けには一般入試を2回実施し、東京を始め大阪、福岡など各地に会場を設けた。同校の須藤厚・広報部長(56)は「全国から優秀な生徒を集めるのが目的。中でも東京を中心とする首都圏は、受験者が多いのが魅力だ」と話す。

 首都圏の中学校入試が本格化するのは、東京都と神奈川県で一般入試が始まる2月1日から。その前の時期を狙って、寮を備えた地方の私立中学校が東京で出張入試を行うケースが目立つようになった。大手学習塾の市進学院によると、今季、東京で入試を行った地方校は、前年より1校増えて17校にのぼる。

 受験生の大半は、第1志望校の入試を前に、試験慣れのために受ける「お試し受験」組。本人が希望しても親元から手放すことをためらう家庭が多く、毎年、大量の入学辞退者が出る。それでも、出張入試が増えるのは、少子化や不況に加え、公立中高一貫校の新設で、一部の人気校を除けば、地方でも生徒集めが難しくなっているからだ。

 宮崎日本大学中学校(宮崎市)は1月8日、初めて首都圏で入試を行い、129人を集めた。同校の大重美貴・企画広報室長(56)は「系列の日大に進学させようとする地元の家庭が不況で減ってきたので、関東から生徒を集めていきたい。首都圏には学力の高い生徒が多い」と話す。

 市進学院の長谷川一夫・情報出版室長(57)は「東京で入試をしていることが、地元ではブランドになる。受験料収入が魅力の学校もある」と解説する。

 出張入試を通じて、首都圏と地方の中学受験の一体化が進んでいく。(石塚公康、写真も)

 出張入試 学校所在地から遠距離に住む受験生の便宜を図るため、本校以外に会場を設けて行う入試。「地方入試」とも呼ばれる。帰国子女を対象に、海外の会場で実施する学校もある。大学では志願者増に結びつくとして盛んに行われている。



wakabanavi01 at 09:00│ 中学受験 | 入試関係
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