都立中高一貫校人気に拍車でも入学辞退者さらに増加する理由公立中高一貫 (2)高校から入学 進度にズレ

2012年03月28日

公立中高一貫 (1)先取り学習 思考力育む

白衣を着た生徒たちが、シャーレに落とした溶液の色を観察していた。今月1日、都立小石川中等教育学校(東京都文京区)の2年の理科実験。デンプンを分解する酵素・アミラーゼの働きと温度変化の関係を確かめようと、低温、常温、高温と条件を変え、ヨウ素液を使って調べていた。

 6年制の中高一貫教育を行う同校は、理科の実習が多い。自然科学で活躍できるリーダー育成を目標に掲げるためで、中学1~3年にあたる前期課程では、実験や観察が授業の7割を占める。佐藤優希さん(14)は「面白いけれど、結果を考察してノートにまとめるのが大変」と話す。久保田(さとし)・主任教諭(56)は「実験がうまくいかない場合も、その原因を探ることで思考力がつく」と強調する。

 都立中高一貫校の誕生は、他府県に比べて遅く、2005年に併設型の「白鴎」が開校。翌06年に中等教育学校の「小石川」、「桜修館」と、併設型の「両国」ができた。各校とも、国際人やリーダーの養成を目標にうたい、必ずしも進学校化を打ち出したわけではない。

 しかし、中学受験が盛んな都内では、保護者の「安い学費で私立並みの進学指導」への期待を集め、開校以来、高い入試倍率を誇ってきた。中でも小石川は、都心の文教地区にあり、私立の難関中と並ぶ人気に。今春、初の卒業生159人を送り出し、東京大学に4人、京都大学に1人が現役合格した。

 一定の合格実績を上げた要因の一つは、中等教育学校の利点を生かした教育課程の編成にある。学習内容の移し替えが認められている点を生かし、本来なら後期課程(高校1~3年に相当)で教わる数学や地歴などを前期課程で先取り学習。理科実験や課題研究などを絡ませ、思考力を鍛え上げる。最終学年の6年では、同校独自の「特別講座」で、大学入試に向けた勉強に打ち込む態勢になっている。

 新鞍均(にいくらひとし)副校長(53)は「進学に重点を置いているわけではないが、生徒が希望する進路はかなえてやりたい」と話す。

 小石川以外でも、桜修館は東大に4人、両国と白鴎からはそれぞれ3人が合格するなど、そろって難関大学に合格実績が出た。来春の中学入試では、都立一貫校の人気はいっそう高まりそうだ。(石塚公康、写真も)

 公立の中高一貫校が注目されている。新年度、全国で併設型が新たに5校誕生する。最新事情に迫った。

 中高一貫教育 1999年に制度化。6年制の中等教育学校、中学校と高校を組み合わせた併設型、同じ地域の中学校と高校が協力し合う連携型の3タイプがある。2011年度、公立の中等教育学校は28校、併設型は69校、連携型は82校。受験界では、中等教育学校と併設型を中高一貫校として扱う場合が多い。



wakabanavi01 at 13:48│ 公立 | 中学受験
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