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2012年10月16日

国際バカロレア (5)「知識とは?」学び深める

 「著作権は創造した本人を守るもので、他人が所有者となるのはおかしい」。

 玉川学園(東京都町田市)の12年生(高校3年)、寺井俊祐君(18)が、約10分の英語のスピーチを力強い言葉で締めくくった。「知識は占有できるか」をテーマに、クラスメートと数週間かけて準備した発表は、訴訟を例示して説得力を持たせた。担当のオリバー・ファーニバル教諭(37)は「具体的な問題からテーマを見つけ論証できた」と評価した。

 国際バカロレア(IB)ディプロマ資格課程の教科外活動の一つである「セオリー・オブ・ナレッジ」(TOK=知の理論)の授業。個別の事例を普遍的な問いかけにつなげて論じる手法を学び、「知識の使い方」を身につける。客観的な見方や多角的に考察する力を養うとして、文部科学省がIBの中で最も注目している。

 授業では、まず自分の持つ「知識」を題材に、知識そのものについて検証する。どんな知識か、どうやっていつ獲得したか、何を根拠に正しいと思うのか、偏見や誤解などが含まれてはいないか――などを繰り返し問いかけ、考えを引き出していくのだ。

 南半球で使われる上下逆さまの世界地図を見せ、「当然と思っていることも、違う立場から見れば当然ではない」と気づかせる。「人は空を飛べる」と信じている子どもを例に、「なぜ信じたか」「大人になるとなぜ信じなくなるか」を考えさせ、知識は修正されることもあると実感してもらうこともある。

 「手助けすれば、生徒はどんどん理解を深める。繰り返すうちに、持っている知識の整理ができる」とファーニバル教諭は話す。

 「知識」は正しく覚えるべきものと思ってきた日本の生徒には、戸惑いも大きい。「最初は何を言っているのかよく分からなかった」と寺井君。「今ではニュースを見て、本当に客観的な報道なのだろうかと、思いを巡らせることが増えた」という。

 「大学での学びに欠かせない」と、昨年4月から一般クラスでも日本語による「知の理論」の授業を始めた。2人の教諭が1年間かけて英語の授業を日本語に置き換えた。「IBの授業を体験すると、発想自体が変わってくる。国語や社会など普段の授業で、広い視野から問題意識を持つ生徒が増えた」と、担当する阿部恭士教諭(42)は話す。

 知への理解が学びを深めるカギとなっている。

 セオリー・オブ・ナレッジTheory of knowledge、TOK
 IBのディプロマ資格課程の中核となる教科外活動で、「知識」とは何かを掘り下げ、論じる手法を学ぶ。文部科学省は、先進校のTOK指導案を和訳してまとめ、普及を進めている。直訳は「知の理論」だが、同省は訳語を使わず「TOK」と呼ぶ。

2012年10月12日  読売新聞から転載)


wakabanavi01 at 09:37│ 国際バカロレア 
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