私立大の46%が定員割れ、大学選びにも影響国際バカロレア   (7)「黒船襲来」教師の挑戦

2012年10月18日

国際バカロレア   (6)「社会経験」2年で150時間

京都市右京区にある妙心寺の塔頭(たっちゅう)・春光院。(りん)とした静寂の中、立命館宇治高校(京都府宇治市)の1年生11人が座禅を組んでいた。

 川上全龍・同院副住職(34)が、生徒の肩を棒でたたきながら、英語を交えて語りかける。「It is not for punishment(これは罰ではない)。集中力を高めるための刺激を与えているのだ」

 座禅を組むのは、国際バカロレア(IB)で「CAS(キャス)」と呼ばれる教科外活動の一環だ。CASは、「創造」「活動」「奉仕」の3分野に分かれており、挑戦する力、協力する姿勢、責任感などを育む。2年間で英語、数学などと同水準の150時間以上の実施が求められており、IBでいかにこの活動が重視されているかがわかる。

 春光院を選んだのは、川上副住職にアメリカ留学の経験があり、妻もアメリカ人、外国人観光客には座禅の指導を英語で直接行うなど、国際色豊かな禅寺であるためだ。川上副住職は「伝統文化を支える日々の営みを体感し、自分の言葉で世界に伝えてもらえればと思った」と話す。

 生徒たちは、IBの「ディプロマ資格課程」が始まる高校2年を前に、CASのリハーサルとして、今月末まで計5回、同院を訪問。境内の草むしりをしたり、建物や扉の手入れの仕方を学んだりして理解を深め、最終的には外国人観光客を案内する。CASで言う「奉仕」だ。

 授業は2班に分かれて行われており、もう一方の班は大阪の劇団に仮入団、自分たちで寸劇を作り上げる活動に取り組んでいる。CASの「創造」「活動」に当たる。

 生徒の1人、河之口みなさん(15)は「授業で学んだ知識よりも、寺を支える人々の思いが心に響いた。その感覚をどう伝えればよいか、じっくり考えたい」と話す。

 生徒は活動の度に、何を学んだか、どんな点で成長できたか、活動を通して感じた自分の長所や短所は――などをまとめたリポートを担当教諭に提出し、アドバイスを受ける。同校でIB教育のとりまとめ役を担うマシュー・トーマスさん(38)は「学校で勉強しているだけでは視野は広がらない。社会で様々な経験を積むことは、将来の自分を見つめる絶好の機会となる」と話す。

 社会と学校をつなぐ仕組みが、国際標準の教育には組み込まれている。

 CAS 
IBディプロマ資格課程の教科外活動。演劇や作曲などによる創造(Creativity)、スポーツなどの活動(Action)、ボランティアなどの奉仕(Service)の3分野からテーマを設定し、数人で計画を立て、各分野でおおむね50時間ずつ実践する。

2012年10月13日  読売新聞から転載)


wakabanavi01 at 10:12│ 国際バカロレア 
私立大の46%が定員割れ、大学選びにも影響国際バカロレア   (7)「黒船襲来」教師の挑戦