国際バカロレア   (6)「社会経験」2年で150時間国際バカロレア  (8)世界に羽ばたく卒業生

2012年10月19日

国際バカロレア   (7)「黒船襲来」教師の挑戦

「日本の先生には、教育界の黒船襲来と受けとめられている。説明には配慮が必要だ」

 8月下旬、東京都町田市の玉川大学で、国際バカロレア(IB)の教員研修の指導者を育成するための講習会が開かれた。参加者は既にIBを導入している学校の教師ら35人。彼らが普及の課題に挙げたのは、教育現場での抵抗感だった。

 日本の学校の先生には、これまでの指導法を否定され、欧米流を押し付けられるという感覚が強いのだという。「日本流を否定しているのではなく、日本の教育にIBの要素を付け加えるという伝え方が大切」。講師はそう助言した。

 「最初はIBがあまりにも異質に映り、抵抗感しかなかった」。研修では、そんな告白も飛び出した。学校教育法1条で定めた「学校」で、全国で初めてIBを導入した加藤学園暁秀中学・高校(静岡県沼津市)の教諭だった。

 加藤学園では、1998年に中学1年~高校1年向けの中等教育課程、2002年からは高校2、3年向けのディプロマ資格課程の授業を始めた。導入を巡っては、管理職を含む一部の教諭が反発、関わりを避けようとする教諭も多かったという。

 「具体像が見えない中、変化への抵抗と、一つの正解を求める大学受験に対応できなくなるとの不安が強かったようです」。マイク・ボストウィック副校長(60)は振り返る。

 結局、理事長のトップダウンで無事船出を果たしたが、教員の間に協力的な雰囲気が広まったのは、1期生が国内外の有名大学に合格し、入試でも高い効果を生むことが実証されてからという。

 導入に向けたハードルは多い。授業計画は、日本の学習指導要領が求める内容と、IBが求める学習目標や評価基準の双方を同時に満たし、しかも身につけた知識が長期的にどう役立つかを考慮しながら作らなければならない。他校での実践例は入手可能だが、誰もが一律に授業が展開できる虎の巻のようなものは存在しない。

 「それでも、教育に真摯(しんし)に取り組む先生は、IBの良さが分かると、熱心なサポーターに変わることが多い」とボストウィック副校長は語る。

 IBが提唱する10の学習者像を、教師が生徒に示すことも求められている。その一つが「挑戦する人」。トップの指導力と教師の気概が、普及の大きな鍵となりそうだ。(小寺以作、写真も)

◆IB普及に向けた課題

 ・入試で評価する大学が少ない

 ・日本の大学受験と両立する場合の生徒の負担

 ・学習指導要領を同時に満たすことへの教員の負担

 ・理科実験室や図書室など施設基準を満たすための経済的負担

 ・生徒に学習者像を示すことができる教員の確保



wakabanavi01 at 10:27│ 国際バカロレア 
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