国際バカロレア   (7)「黒船襲来」教師の挑戦課題山積の部活動 外部との連携も必要

2012年10月19日

国際バカロレア  (8)世界に羽ばたく卒業生

 「世界中から暁秀(ぎょうしゅう)ファミリーが集まってくれました!」。静岡県沼津市の加藤学園暁秀中学・高校で7月に開かれた国際バカロレア(IB)修了者と在校生の交流会。マイク・ボストウィック副校長があいさつすると、体育館は拍手に包まれた。

 1998年、日本の一般校として初めてIBの授業を始めたパイオニア校の卒業生は140人を超え、その多くが世界を相手に活躍する。交流会には26人が駆けつけ、在校生にメッセージを送った。

 米シカゴ美術館付属美術大学に進んだ稲葉美里さん(25)は、卒業後エジプトに渡り、農家に住み込んで農作業を手伝いながら、地域の農業の活性化に力を注ぐ。アラビア語に四苦八苦していると言いながらも「世界に出て行くのに必要なのは言葉ではない。自分の思いや考えをしっかりと持ち、どう他の人を受け止めるかがIBのテーマだった」と振り返った。

 オーストラリアの大学に1年間留学した早稲田大学3年の仲なつきさん(20)は、「英語は十分話せるのに、課題にどう取り組んでよいのか分からず困っている日本人留学生が多かった」と話し「学び方を知らないまま留学しても意味がない。TOK(知の理論)やEE(課題論文)で、勉強の仕方を身に着けてほしい」と在校生に呼びかけた。

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学に進んだウェンドフェルト華さん(21)は、IBで得たものを「仲間」と表現。「難しい課題をたくさん出され、みんなで必死に勉強した。その結束力を大切にしてほしい」と話した。

 米ミシガン大学卒業後、TDKに就職した田中達也さん(25)は、「物事に対するアプローチ、チャレンジする気持ち、取り組む姿勢を学んだ。簡単にはへこたれない精神力が身に着いた」と話した。

 IBで培った多角的な視点は、国内の大学に進学しても生かされているようだ。

 田中さんと同じTDKに就職し、携帯電話のアンテナを設計する1期生の日比康太さん(27)(宇都宮大学卒)は、「技術屋は視野が狭いと言われないよう、消費者や営業の人など、様々な視点を意識している」と明かす。

 育児用品メーカーで働く根上友花さん(24)(上智大学卒)は、フィリピンでの販売促進活動を担い、現地とのやりとりに奔走する毎日。「打ち合わせで必ず、あなたはどう思うと聞かれる。常に自分の考えを持つよう求められたIBが生きている」と話す。

 大手ホテルで経理を担当、教育実習で教壇に立った経験もある池田知代さん(26)(同)は、「知識を積み重ねる日本の教育もとても大切。でも社会に出たら、IBのように知識同士をつなげ、大きな流れや意味を考える力が重要になる」と述べた。

米国進学の山本さん「勉強に自信持てた」立命館宇治高卒


 ディプロマ資格課程認定校である立命館宇治高校(京都府宇治市)からは今春、1期生7人が巣立った。9月に米マサチューセッツ州のタフツ大学へ進学した山本誠さん(19)=写真=に進路選択やIBについて聞いた。

 ――進学先を決めた理由は。

 「国際的に活躍する獣医になるのが夢。国立大学にIB入試で合格したが獣医学部でなかったのでタフツ大に決めた」

 ――現在の生活は。

 「6月末に渡米し、サマースクールに通った。図書館で開館から閉館まで勉強。先生から『課題論文のテーマが絞れている』と褒められうれしかった。できれば3年で学位を取り、大学院に進みたい」

 ――高校時代の思い出は。

 「課外活動で様々なことに取り組めた。CAS(キャス)(創造、活動、奉仕)で友だちとフルマラソンに挑戦したことが印象に残っている」

 ――IBを受けて思うことは。

 「勉強に対する態度が変わった。以前は毎朝学校で宿題をやるような生徒だったが、IBは共同作業が多く、いいかげんだと友だちに迷惑をかける。勉強が『得意』とか『できる』ではなく、勉強のやり方が分かると自信を持って言えるようになった」

 
加藤学園IB修了者の主な海外進学先 マサチューセッツ工科大、デューク大、ミシガン大、オーストラリア国立大、ブリティッシュコロンビア大、エディンバラ大、リバプール大、バーミンガム大ほか。(※ハーバード大、エール大、コロンビア大は合格実績はあるが進学者なし)


2012年10月18日  読売新聞から転載)


wakabanavi01 at 10:29│ 国際バカロレア 
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