<学力テスト>活用法で迷走…内申利用、結果公表などで混乱受験料のクレジットカード払い全体の6割に ネット出願サービス利用の首都圏の私立中高で

2015年05月11日

<大学入試>「総合入試」や「公募推薦」 私大が新たな試み

覚えた知識を短時間で答案用紙に書かせる暗記型の日本の大学入試が、変化の兆しを見せている。国の大学入試改革の議論も本格化しているが、一部の私立大は既に新しい入試に着手し始めている。国際基督教大(ICU、東京都三鷹市)は「総合教養」という総合型の試験を始めた。短い講義を聴いて設問に答えさせる試験で、受験生の「挑戦する力」を測るのが狙いだ。関西学院大(兵庫県西宮市)も今秋、総合評価型の公募推薦入試を開始する。新しい入試で何を目指すのか。


 ◇ICU 短い講義を聴いて解答

 冷戦終結前の西ベルリンよりも東ベルリンの大気汚染がひどいと感じられたのはなぜだと講演者は考えていたか。講義内容から類推される最も適切な理由を選べ--。

 ICUが今春の一般入試から導入した「総合教養」の問題の一部だ。テストを貫くテーマは「環境問題」。受験生は冒頭、環境に関する教員の講義の録音を聴き、文系・理系をとり交ぜた設問に解答していく。さらに講義内容に関係する人文、社会、自然科学各分野の論文を読ませ、いくつかの問題に答えさせる。総合型のテストだ。例えば、一般入試のA方式であれば、この総合教養の他に人文・社会科学または自然科学、英語の試験もある。

 ICUは2年前に開学60周年を迎えた。早くから英語にリスニング問題を取り入れ、大学進学のための全米共通テスト(SAT)をモデルにした適性試験を導入するなど、これまでも工夫を凝らした先進的な入試を実施してきた。この適性試験に代えて取り入れたのが総合教養だ。


 ●重点把握能力測る

 なぜ、導入したのか。教養学部長の伊東辰彦教授は「学生は講義を聴き、要点をメモする。新しい試験はそうした重要なポイントを的確に把握する能力をみる。その受験生に大学の講義への順応性があるか、試験で測りたいと考えたのです」と理由を説明する。

 他にもある。高校生らにとって、総合教養は一見、難しく見える問題もある。たじろぐ受験生もいるかもしれない。伊東教授は「実社会では知らないことが多々あるが、それでも自分の持つ力を総合して何とか答えを出す努力が必要だ。総合教養の問題にびっくりして慌てたりせず、その場で何とかする。そういう力を見たい」と説明。さらに「実際、よく読むと文脈の中に答えがある。それを読み取ろうと挑戦するかどうか。そこを見ています」と言う。


 ●学力の見方に変化

 学力に対する見方の変化も、総合教養を導入した一因だ。2014年度まで実施していた適性試験は80~100問の設問があり、受験生の迅速な判断力を測ることはできた。ただ、各設問の間に脈絡や文脈はなかったという。

 経済協力開発機構(OECD)が加盟国を中心に、15歳の生徒に実施する学習到達度調査(PISA)の存在も大きい。アドミッションズ・センター長の森島泰則教授は「PISAが求める学力観は、設問全体の文脈を考慮した上で問題をどう処理するかを重視している。総合教養には、そうした世界的傾向も反映している」と話す。応用力や分析力、独自のものの見方。これが今後の社会でより必要とされる課題対応能力であり、入試で確かめる必要があるという考えだ。

 暗記に重点を置いたこれまでの大学入試は、記憶力の良さが明暗を分けた。伊東教授は「人は思わぬ能力を秘めている。これからはその人の個性を引き出せるような測り方、試験が必要と思う。ICUがそこに風穴をあけたい」と語る。



 ◇関西学院大 「公募推薦」導入へ

 関西学院大は4月、従来の入試部を改組し、「高大接続センター」を設置。新しい入試の開発に乗り出した。まず、今年11月から総合評価型の公募推薦入試を始める。第1次審査は書類審査で、(1)自己推薦書(2)調査書(3)課題研究論文(4)大学入学後の学びの計画書--で評価。第2次審査では個別面接や集団討論、プレゼンテーションで評価し、12月中旬に合格発表する予定だ。村田治学長は「学力を担保した形の、新しい入試をつくりたい」と話す。

 出願資格は文部科学省のスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校と関学大の教育連携校に在籍する高校生に限られるが、合格予定者数は全体の1割弱で、300~400人となる見通しだ。同様の選抜方式で、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)指定校を対象にした枠(募集30人程度)も設定する。

 また、英語に関して文科相の諮問機関「中央教育審議会」の答申は外部試験の活用を提言している。関学大も16年度の大学入試センター試験利用入試で、英語外部検定試験を出願資格として評価する新入試を全11学部で導入。国際的な言語能力の規格「CEFR」のB2レベル(抽象的で複雑な話題の要点を理解し、幅広い話題について自然なやりとりができる)を出願資格とし、各学部が指定するセンター試験の英語以外の科目の得点で合否を判定するという。

 関学大では、総合政策学部で1995年から、教科横断型の入試を実施したことがある。国語の中に数学の力を測る問題があるなど教科融合型の凝った作問だった。だが、受験生は年々減り、6年で中止に追い込まれた。当時は暗記型入試が当たり前。融合型は敬遠されたのだ。だが「経験は無駄にはならなかった」と村田学長は話す。今後、教科横断型の入試も視野に検討を進め、新テストの作問に役立てる考えだ。


 ●数への対応に課題

 一方、課題もある。関学大は1学年の定員が約5700人の大規模校だ。何万人もの受験生全員に、文科省が奨励するような細かな入試ができるのか。志願者が多い私立大共通の課題といえる。暗記力ももちろん大事な力で、大学で学ぶ上での学力担保になる。「受験生の数を考えれば、現行の入試は全廃できない。新しい入試の方式をどう設定するかは今後の課題だ」。村田学長はそう話した。


(2015.5.11 毎日新聞から転載)


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