「髪をむしるほど過酷」な中学受験の壮絶結末「中高一貫校」6年間で本当に子どもの学力を伸ばした学校ランキング

2019年06月04日

東大、ロンドン大に進学も…学力が伸びる「お得」な男子・女子中高一貫校〈AERA〉


中学受験で志望校を選ぶとき、目安となるのが入るときの偏差値と大学合格の実績だろう。その二つを比べれば「どれだけ子どもの学力を伸ばしてくれる学校か」という点が見えてくる。「学力の伸び」を数値化し、その背景を探った。

【学力が伸びる中高一貫校の一覧はこちら】

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 東京大学文科2類にこの春、合格した世田谷学園出身の竹安宏曜(たけやすひろあき)さん(18)は、中学入学当初から飛び抜けて優秀だったわけではない。

「最初の中間テストで思いがけず良い点が取れて、周囲から、おまえは東大に行けよと囃し立てられ、その気になりました(笑)」

 サッカー部の先輩の存在も大きかった。

「高3の夏まで練習を続け、慶應義塾大学に合格した姿を見て、自分もやればできると思った」

 竹安さんが入学した時の世田谷学園の偏差値は57。この春、偏差値67.5前後とされる東大の文IIに合格した竹安さんは、中高の6年間で大きく力をつけたことになる。

 今回アエラでは、在学中に学力を伸ばしてくれる「お得」な学校に焦点を当てた。表は、首都圏の国立、私立中高一貫校の2019年の大学合格実績と中学入学当時の偏差値をもとに、6年間の学力の伸びを数値化したものだ。森上教育研究所アソシエイトの小泉壮一郎さんに作成を依頼した。

 首都圏男子校の表を見てみよう。学校によって受験先の傾向が異なるため、大学を3グループに分けている。国立難関は旧7帝大の東京大、京都大、東北大、九州大、北海道大、大阪大、名古屋大に加え、東工大、一橋大。早慶上理は早稲田大、慶應大、上智大、東京理科大。GMARCHは学習院大、明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大を指す。

「2019偏差値」は各大学の実際の偏差値ではなく、各中高一貫校の合格実績を偏差値に換算した値だ。「2013偏差値」は生徒が中学に入学した13年当時の偏差値で、首都圏の中堅校から難関校をカバーする大手塾「四谷大塚」の模試の値を使っている。

「出口」となる19年偏差値から、「入り口」にあたる13年偏差値を引いた差が、6年間の学力の「伸び」を表す。この伸びが大きければ大きいほど、入りやすく難関大への進学がかなう「お得」な学校ということになる。伸びが大きな学校が一目で分かるよう、差が8以上なら赤色、6以上はオレンジ、4以上は黄色で色分けした。


12年から「学力を伸ばす学校」の一覧表作りを始めた小泉さんは、「入る時の難易度に比べ、大学の合格実績を上げている学校は、今後ますます注目を集めるだろう」と話す。

 例えば筑波大附駒場は大学の合格実績がトップだが、入学時の偏差値も高いので、ここでいう「お得」な学校にはあたらない。

 こうしたことを念頭に国立難関の表を見ると、世田谷学園が9.2と抜群の伸びを見せている。8.3の桐朋が続き、城北、巣鴨、攻玉社が6.0以上と、中堅上位校が健闘。芝、逗子開成、東京都市大付も4.0以上の伸びで迫っている。いずれも面倒見がよく、行事が盛んという共通点がある。

「共学人気に押されて別学の難易度が下がり、入りやすくなった。ただし、これらの男子校は以前と変わらない大学実績を上げているので、結果として伸びにつながりました」(森上教育研究所の森上展安代表)

 学校の規模で比較すると、小規模校の方が機動性に富むため、実績を出しやすいという。世田谷学園も、1学年約200人というメリットを生かしている。毎年、各教科の教員が集まり、その学年の特性を考慮してカリキュラムの微調整を行う。中高の職員室が一緒なので、情報を共有できるのも強みだ。中1は勉強の習慣を身につけるため毎日、英数国の宿題を出し、週に1度、小テストを実施して知識の定着をはかる。定期テストの2週間前には学習計画表を提出させ、担任がアドバイスしてバランス良く勉強するように指導する。広報部長の宝地戸通至(ほうちどゆきのり)教諭は言う。

「まずは学びを習慣にするためのレールを敷く。早いうちにしっかり身につければ、自然と自分から勉強するようになります」

 5年生(高2)から文系と理系に分かれるが、国立型のカリキュラムを組んでおり、高2までは数学が必須だ。検定教科書のほかに、教員が作成したオリジナル教材も併用している。

「検定教科書は中学、高校で内容に重複があるので、そうした点を解消し、数学などは演習問題を中心とした編纂にしています」(宝地戸教諭)

 冒頭の竹安さんも「世界史の教材はまとまっていて、クオリティーが高かった。数学が苦手だったので、基礎的な問題に戻って復習しました」と話す。


 行事が多いのも特徴で、特に中1は入学後すぐのオリエンテーション合宿、サマースクールと宿泊行事が続く。学園祭や体育祭は、生徒が一丸となって盛り上がるという。中期の核となるのが、4年(高1)の夏休みに行われる約10日間のカナダ英語研修だ。歴史は古く、30年以上前から「広い視野を持ってほしい」と、当時としては珍しい全員参加で始めた。

 受験期になると、行事で培ってきた集団の絆が生きる。早朝から登校して自習するトップ層に刺激されて、ほかの生徒も勉強を始め、集団で受験に立ち向かうムードが高まるという。

 森上代表は「男子は集団で伸びる」と話す。

「国立大を狙うなら、理数教育に定評のある男子校が有利。男子同士でノリがよくムードも作りやすい。文化祭や体育祭などの行事でチームワークを固め、一気に受験モードへ向かうのが男子校のパターンです」

 首都圏の女子校はどうか。森上代表によると、女子校での成長の原動力になるのが英語力だという。国立難関で4.7の伸びを見せた洗足学園、早慶上理で6.3伸ばした頌栄女子学院は帰国生を早くから受け入れ、現在は多くの生徒が在籍している。

「帰国生がいると授業が活発になり、主体性のある学びができるようになります」(森上代表)

 国立難関で4.1と伸ばした鴎友学園女子も、英語でディベートを行うなど英語教育に定評がある。早慶上理で5.9の東京女学館は国際学級を設置、英語劇などを通して英語力を鍛えている。英語をバネに実績を伸ばし、優秀な生徒が入ってくると理系化するパターンも多い。豊島岡女子学園はその代表格だ。

「女性教員が理系教科を教えていると、ロールモデルとして理系をめざす女子生徒が増える傾向があります」(同)

 表は四谷大塚の模試を元に作成しているため、受けた生徒が少ない学校は母集団の要件を満たせず、偏差値を出せないことがある。佼成学園女子もそのひとつ。表にはないが、進学実績を大きく伸ばしている。首都圏模試の偏差値で算出すると、GMARCHは100人当たりの合格者が34.4人で、12.6と大きな伸びを見せている。

 今年卒業した土屋穂香さん(18)は、秋からロンドン大学SOAS(School of Oriental and African Studies)校へ進学する。


「中学入学時は、そこそこ英語ができるようになればと思っていた。まさか自分がロンドン大に留学するとは」

 土屋さんの意識を変えたのは、高1の夏に体験したスリランカの青少年たちとの交流だった。

「日本とはまるで違う文化や宗教観に衝撃を受け、もっとスリランカの研究をしたいと思うようになりました」

 南アジアの研究に力を入れている大学を探し、SOAS校がアジア、アフリカ研究の屈指の大学だということを知った。選考のエッセーはその場でテーマが出されるため、英字新聞を読んで要約し、感想を書くなどして英語での記述力を鍛えた。エッセーとスカイプでの面接を無事パスし、合格をつかんだ。

 女子を伸ばすもうひとつの原動力はキャリア教育で、「なりたい自分をイメージさせることが、進学のモチベーションにつながる」(森上代表)。GMARCHで最も大きな6.5という伸びを見せた神奈川学園は、00年に「21世紀教育プラン」を設定。平和学習やフィールドワークを通して生きる力、学ぶ力を育てている。

 前出の土屋さんと同じ佼成学園女子で学んだ徳久愛華さん(19)は、「少数民族などマイノリティーの助けになりたい」という思いを原動力に、早稲田大学法学部へ進学した。きっかけはクラス全員が参加したタイでのフィールドワーク研修で、「山岳民族のカレン族と一緒に畑を耕し生活することで、親しみを感じるようになりました」と振り返る。

 教頭の西村準吉教諭は、「本校は入学時の偏差値が比較的低いため、生徒が自分を不当に低く評価する傾向があり、それを払拭する取り組みを続けています。生徒は誰でも潜在的な力を秘めている。きっかけを与えれば驚くほど成長します」

 生徒の自己肯定感を高めることが、学力を伸ばす鍵だ。(ライター・柿崎明子)

※AERA 2019年6月10日号より抜粋

2019.6.4  転載



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