主張・感想

2012年10月20日

課題山積の部活動 外部との連携も必要

保護者の方々には中・高校生の時代、部活動を経験されたかたが多いことでしょう。お子さんの通う学校に部活があることも、当たり前だと思っていらっしゃることでしょう。一方で、顧問の先生が異動したり、部員が集まらなくなったりして存続が危うくなったという話を見聞きされたかたも少なくないかもしれません。ところで、部活というものについ最近まで正式な位置付けがなかったということを、どれだけのかたがご存じでしょうか。

現行の学習指導要領では「生徒の自主的、自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するものであり、学校教育の一環として、教育課程との関連が図られるよう留意すること」と明記されています。しかし、これ以前の指導要領には、部活動に関する記述はまったくありませんでした。学校の文化、慣例として続いてきたに過ぎなかったのです。ただ、ほとんどの学校で「課外活動」として行われてきたことも事実です。

あくまで「自主的、自発的」が原則ですから、顧問の先生も自発的なボランティアという形を取っています。休日に引率などを行う先生には手当も支払われているのですが、都道府県によって違うとはいえ1日2,000~3,000円程度が大勢です。ただ、実際には校務の一環として顧問を割り振っている学校がほとんどで、それが先生の多忙化に拍車を掛け、授業の準備に時間を掛けられない要因にさえなっていることも事実です。

象徴的な例があります。元リクルートの民間人校長・藤原和博氏の「よのなか科」で全国的に有名になった東京都杉並区立和田中学校では、藤原氏の後任である代田昭久校長の下で、今年度から「部活イノベーション」という取り組みを始めています。月2回までの休日、顧問の先生が付かなくても、外部団体と有料で契約して、指導や安全管理などを委託して活動ができるようにしたのです。ただし委託契約は各部活の保護者会が行う形にし、学校は関与しません。あくまで学校教育とは関係ない活動という位置付けで、生徒1人1回500円の委託料の中には障害保険料も含まれています。顧問の先生が出てこられる日は通常通り学校の教育活動の一環としての部活を行うことができますから、保護者の判断でそれにプラスして子どもに練習させることができるようになるというわけです。

なぜこのような複雑なシステムを取り入れたかというと、顧問の先生がこれ以上、休日に部活指導を行うことが限界に達しつつあるからです。やはり民間人校長である代田校長らしい発想といえますが、「和田中学校では、部活動は大切な教育的活動」と考えるがゆえの、苦肉の策でもあるのです。

新学習指導要領でも「実態に応じ、地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行うようにすること」としています。今や学校に任せるだけでなく、家庭や地域も一緒になって部活の在り方を考える必要があるのです。 


(提供:Benesse教育情報サイト

(2012.10.18 産経ニュースから転載)



wakabanavi01 at 23:01|Permalink

2011年11月13日

「早寝で学力、体力向上」、小澤東海大教授が講演/横浜

全国都道府県体育・スポーツ・保健・給食主管課長協議会の総会が11日、横浜市中区で開かれた。講演した東海大体育学部の小澤治夫教授は、夜更かしなど小中高校生の生活習慣の悪化に警鐘を鳴らし、「早寝が学力と体力向上につながる」と強調。夜更かしの要因となる携帯電話やテレビなど画面に向き合う時間を1日1時間以内に限定する必要性を訴えた。

 筑波大付属駒場中・高で25年間、保健体育を指導してきた小澤教授は、全国各地の学校で実施した調査研究を基に、「夜更かしが朝ごはん抜きにつながり、貧血など体調の悪化が力を出し切れない悪循環につながっている」と指摘。

 全国学力テストで上位の福井、秋田の両県では体力テストでも上位に並ぶ。その理由は夜更かししない生活習慣が根付いていることなどと分析。実際に改善に成功した学校の事例を基に、「早寝する生徒は授業中に居眠りしない。結果的に運動や勉強に集中できる」と教師も含めた生活習慣の改善を呼び掛けた。

 同協議会は都道府県の保健や体育などを所管する課長などで構成。情報交換や調査研究、文部科学省に予算要望などを行っている。



wakabanavi01 at 00:03|Permalink

2011年10月24日

[主張] 全国学力テスト 直ちに「全員参加」に戻せ

小学6年と中学3年を対象に行われた平成23年度全国学力・学習状況調査(学力テスト)で、文部科学省に問題配布を希望した学校が全国の76・2%を占めた。

 学力テストは民主党政権下で「過度の競争を招く」とする日本教職員組合(日教組)の主張に沿う形で全員参加から抽出方式に変更された。

 だが、テストを希望する学校が多い実態は、日教組や政府方針の誤りを明確に示している。野田佳彦政権は学力テストの需要の高さを真剣に受け止め、速やかに全員参加に戻すべきだ。

 学力テストは昭和30年代、中学生対象に行われていた。だが、日教組の激しい反対闘争で国は昭和39年を最後に実施をやめた。

 その後、「ゆとり教育」の下で児童生徒の学力低下が表面化し、教育のあり方に不信が拡大した。これが「教育水準の維持向上」という国の責任を明記した教育基本法改正につながり、学力テストも平成19年度から43年ぶりに全員参加方式で復活した。

 ところが22年度から、競争原理の排除や50億円超に及ぶ費用の問題などを理由に全員参加から「サンプル抽出」方式に改められた。さらに、対象の児童生徒数も当初は全体の4割抽出だったのが、行政刷新会議の事業仕分けにより3割抽出に減らされていた。

 保護者だけでなく学校、教師らも「子供が普段の授業内容を身に付けているかを知りたい」と全員参加のテストを望む声は強い。今回も、秋田、広島などの14県で希望校は100%に達した。

 学力テストは教師が授業を工夫する上でも多くのヒントになる。同一条件下で継続調査を蓄積して初めて読み取れる傾向もある。授業をやりっ放しで済ませるような姿勢こそが問題なのだ。

 文科省は専門家検討会議が「数年ごとにきめ細かい調査が必要」とした報告を受け、25年度のみ全員参加で行う。24年度は「理科離れ」対策として国語と算数・数学に理科も加えるなど一定の改革を決めた。だが、到底十分とはいえず、改革を加速すべきだ。

 一方、国も地方もテスト結果の公表に消極的だ。「競争を煽(あお)る」との批判が根強いためだが、学力テストを真の学力向上につなげるには子供や親にも結果を明かし、学校や地域単位で教育を見直していくことが欠かせない。

(2011.10.24 産経ニュースから転載)

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2011年03月28日

教師が保護者を訴えた意味     【教育評論家・石井昌浩】

昨年9月、埼玉県行田市立小学校の女性教師が、度重なるクレームで不眠症になったなどの理由で担任する3年の児童の両親を相手に慰謝料を求めて提訴した。親が教師を訴えるのは今どき珍しいことではないが、教師が親を訴えるのは初めてのことで、訴訟の是非について議論が起きている。

 どっちもどっちだという言い方も聞くが、私はそうは思わない。この訴訟は、今まで一方的に保護者から攻撃され続けてきた教師の側が、初めて、司法の専門家である裁判所の判断を求めた一種の緊急避難と考えるべきだと思う。

 教師は今や、まるでサンドバッグのように打たれっ放しの状態に陥っているのではないか? 文部科学省の問題行動調査によっても、ここ数年小学生の対教師暴力が増加している。教師は、子供や親からの攻撃にじっと耐え続け、専門職としての誇りをはぎ取られている。教師が親を訴える非常手段に出た事実を、今の教育が抱える困難を象徴しているものと見なければなるまい。

少なくとも30年ほど前までは、親は教師にそれなりの敬意のまなざしを向けていたような気がする。教師に面と向かって大声で怒鳴ったり、何時間も続けて電話で抗議したりする親は稀(まれ)だったと思う。ところが近頃では、教師を教育サービスの提供者のように見なす一方で、自分たちはビジネスとしての教育サービスの受け手であるかのように勘違いする親が増えてきている。

 親の間には、教師には何を言っても許されると錯覚する風潮が広まっている。一部の親は公立学校の教師をなめきっているのだ。多くの学校では今、些細(ささい)なクレームでも校内のことは何でも「校長を出せ!」という話になりつつある。スーパーで買い物をして何か気に入らないことがあるとすぐキレて「店長を出せ!」と大騒ぎする不心得な客に似ている。わが子のことしか見ることのできなくなった親の身勝手な要求や、常識というブレーキの壊れた親の問題行動によって学校の教育機能が破壊され始めていると言っていい。

 自らの思い込みを絶対視して、理不尽な要求を突きつける一部の親に、教師たちは心身ともに疲れ果ておびえている。私の耳に入る限りでも、親の度を過ごしたクレームが原因でノイローゼ寸前に追い込まれる校長や教師が目立って増えている。

 今度の訴訟について「教師が親を訴えるのは前代未聞」「訴えるべき相手は上司として自分をサポートしなかった校長と市教委」と批判する人もいる。しかしこれは、事実を見ないお門違いの考えだ。問題を担任に任せて逃げ回る校長や教育委員会が多い中で、校長と市教委は筋を通してきちんと対応していると思う。

もうそろそろ、公立学校の教師をやみくもに非難し追い込むのはやめようではないか。学校教育の現場に、学びにふさわしい静かな環境と秩序を取り戻そうではないか。その上で教師には、教えることについての誇りを回復してほしい。

 東日本大震災は、地震・津波・原発事故という戦後最大の災害となった。避難所に充てられた学校で、教職員は黙々と被災者を支援している。希望を捨てず、たじろぐことなく困難に立ち向かう大人の姿を目にして、子供たちは、きっと何かを学び取ってくれるに違いない。


【プロフィル】石井昌浩

 いしい・まさひろ 都立教育研究所次長、国立市教育長など歴任。著書に「学校が泣いている」「丸投げされる学校」。


(2011年3月28日 産経ニュースから転載)


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