※Facebookから転載します。
平日の朝、和歌山市内の路線バスに乗車する機会など全くなかった私が、この8月半ば以降、3回も同じ路線のバスに乗っている。
停留所の名前を出しても、和歌山市在住の人以外には少しも土地勘が働かないだろうが、私が乗ることになったのは、JR和歌山駅前を出発し、海南駅前を終点とする路線バスであり、私は、事務所近くの「公園前」停留所から乗車し、「医大病院前」で下車している。
先日、3回目の時には、中学生と思しき生徒たちが多く乗車していたこともあり、前2回の時とは異なり、乗車した際には座る席がなかった。
ただ、「市役所前」と「県庁前」で降りる人もあり、特に「県庁前」では私の近くの席が空いた。
その席のすぐ前に立っていた女子中学生は、その制服から、私のはるか後輩らしく、であれば、「県庁前」の次の「真砂町(まさごちょう)」で降りると思われた。
実際、その女生徒は、空いた席に座るそぶりを見せず、かえって、近くにいた私が座りやすいように、身体を少し前方にずらしてくれたように見えた。
私が、彼女に会釈してその席に座った際、女生徒も会釈を返してくれたようだった。
予想通り、次の「真砂町」で、彼女や他の男女の中学生何人かが降りて行った。
「真砂町」バス停で乗り降りする中学生といえば、私の後輩としか考えられないが、私がその中学校にバス通学していた60年代終わりから既に半世紀以上が経ち、当時、「どういう場合に席を譲ろうか」と考えていた私が、いまや中学生から席を譲られて、人も自分も怪しまない年齢に達したことにそれなりの感慨を覚えたという、残暑まことに厳しいある日の挿話である。