弁護士・金原徹雄のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します。

再配信・国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会)

 今晩(2016年12月4日)配信した「メルマガ金原No.2650」を転載します。

再配信・国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会)

 今年の1月に召集された第190回国会(常会)は、閉会してからまだ半年しか経っていないのに、何だかはるか以前のような気がしたりしますが、陸上自衛隊東北方面隊から南スーダンに派遣される最後の部隊が今月14日に出発し、いよいよ新任務(駆け付け警護、宿営地共同防護)の実施が可能となります。
 この時にあたり、上記常会においてPKOの変質を正面切って初めて本格的に取り上げた志位和夫日本共産党委員長による本会議と予算委員会における質疑を取り上げたメルマガ&ブログ(国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会/2016年2月5日)を再配信することも無意味ではないでしょう。
 なお、2月5日時点ではまだアップされていなかった衆議院会議録にもリンクし、主要部分を引用するなどの補注を加えています。
 

国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会)
※2016年2月5日に配信した「メルマガ金原No.2357」に補注を加えて再配信します。

 昨年5月15日、安保関連2法案が内閣から衆議院に提出され、安保法制特別委員会(衆議院は「平和安全特別委員会」と略称)で本格的審議が始まった当初、各野党は党首級が質疑に立ってその意気込みを示しましたが、とりわけ多くの人を感嘆させたのは、5月27日と翌28日の両日に行われた志位和夫日本共産党委員長による質疑でした。
 私は、志位委員長による質疑が素晴らしかったポイントは、その周到な事前調査と分析、及び限られた時間の中で最大の効果を発揮させるための徹底した論点の絞り込みであったと思っています。

 2日間で結局何が取り上げられたかというと、
(1)重要影響事態法案における後方支援が、軍事的、国際的には兵站そのもの、武力行使と不可分一体のものであること。
(2)重要影響事態での後方支援、国際平和共同事態での協力支援、国際平和協力法に基づく拡大された業務のいずれにあっても、従来とは比較にならない危険な現場に自衛隊を投入し、自衛隊員に「殺し、殺される」任務を押しつけることになること。
(3)存立危機事態について、米国からの出兵要請を日本政府が自立的な判断に基づいて拒否することなど到底想定できず、結果として、自衛隊員を“米国の戦争”の尖兵として差し出すことになることが予想されること。
という、3つの論点に絞り込んで政府を追及したのでした。

 あまりに感心した私は、「志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く」と題して、2日間の質疑と安倍首相ら政府側の答弁に注釈を加えるというシリーズを、メルマガ(ブログ)に6回にわたって連載したほどです。興味のある方は、私の第2ブログに、この連載の全てにリンクをはった「まとめ」記事をアップしてありますので、ご参照ください。

(あしたの朝 目がさめたら(弁護士・金原徹雄のブログ2)から)
2015年6月6日
志位和夫日本共産党委員長による安保法制特別委員会質疑(まとめ)

 さて、本年1月4日に召集された第190回常会でも、志位和夫日本共産党委員長は、代表質問(1月27日)だけではなく、昨日(2月4日)の予算委員会にも登場し、安倍首相らを厳しく追及しました。
 「続・志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く」を連載するだけの用意はまだ出来ていませんが、とりあえずその代表質問と予算委員会での質疑の動画を日本共産党の公式YouTubeチャンネルからご紹介するとともに、その内容を報じた「しんぶん赤旗」にリンクしておきます。
 
2016年1月27日 衆議院本会議 志位和夫日本共産党委員長による代表質問(44分)


しんぶん赤旗 2016年1月28日
志位委員長の代表質問 衆院本会議

(小見出しを引用開始)
安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復を求める
南スーダンPKOに派兵されている自衛隊の任務拡大の危険
過激武装組織ISに対する軍事作戦に自衛隊が参加する危険
立憲主義の破壊――沖縄に対する憲法無視の暴圧
暮らしと経済――「アベノミクス」の破綻と、日本共産党の提案
「アベノミクス」の3年間の検証と真摯な反省を
「貧困大国」からの脱却を、しっかりと政策目標にすえる
貧困と格差をただし、暮らし最優先で日本経済再生をはかる四つの提案
「緊急事態条項」の問題点――あらゆる解釈・明文改憲に反対する
(引用終わり)

※補注
衆議院 第190回国会 本会議 第8号(平成28年1月27日(水曜日)) 会議録
(抜粋引用開始)
 安倍政権は、昨年九月十九日、国民多数の反対の声を踏みつけにして、安保法制、戦争法の強行成立をさせるという暴挙を行いました。
 戦争法ばかりは、数の暴力で成立させられたからといって、それを許したままにしておくことは決してできません。
 戦争法は、まず内容の面で、憲法九条を踏みにじって、自衛隊の海外での武力行使を行う仕組みが幾重にも盛り込まれている違憲立法です。さらに、やり方の面で、戦後六十年余にわたる、憲法九条のもとでは集団的自衛権を行使できないという政府の憲法解釈を、一内閣の勝手な判断で百八十度覆すという、立憲主義の破壊が行われました。
 戦争法は、内容もやり方も二重に憲法違反であり、廃止するしかありません。
 安保法制、戦争法は、日本に極めて重大な危険をつくり出しています。
 第一は、日本の自衛隊が戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれているということです。私は、差し迫った重大な危険として、二つの問題について総理の見解を問うものです。
 一つは、アフリカの南スーダンのPKOに派兵されている自衛隊の任務が拡大されようとしていることです。
 改定されたPKO法では、PKOに参加する自衛隊に、安全確保業務、駆けつけ警護という二つの任務を新たにできるようにするとともに、任務遂行のための武器使用もできるようにしています。総理、南スーダンに派兵されている自衛隊に、こうした任務の追加を行うことを検討しているのですか。
 仮にこうした任務拡大となれば、極めて危険な事態となることを強く警告しなければなりません。
 二〇一三年十二月以来、南スーダンでは、大統領派と副大統領派の武力衝突が起こり、住民を巻き込んでの激しい内戦状態に陥っているからです。数千人が殺害され、二百四十万人が家を追われ、虐殺、レイプ、拷問などの残虐行為が行われ、多数の子供が少年兵として戦うことを強制されています。複数回、停戦が合意されたものの、そのたびに戦闘が再開され、昨年八月下旬の和平合意後も戦闘が続いています。
 こうした状況下で、南スーダンのPKOの主要な任務は住民保護とされ、そのために必要なあらゆる措置をとる権限、武力行使の権限が与えられています。住民保護のためにPKOみずからが交戦主体、戦争の主体となって武装勢力と戦う、これが南スーダンのPKOの実態なのです。
 総理、南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますか。南スーダンでは、停戦合意を初めとするPKO参加五原則が崩壊し、自衛隊の派兵の法的前提がなくなっているのではありませんか。にもかかわらず、自衛隊の派兵を続け、その任務を拡大するならば、自衛隊が武力を行使し、武装勢力と戦うことになるではありませんか。武装勢力といっても、軍隊と民間人の区別はつきません。自衛隊が一たび少年兵や民間人を撃ってしまったら、取り返しがつきません。
 このような活動は、海外での武力行使を禁止した憲法九条のもとでは絶対に許されないと考えますが、いかがですか。日本の貢献は、憲法九条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきであります。総理の答弁を求めます。
 いま一つは、過激武装組織ISに対して、米国を初めとする有志連合が行っている軍事作戦に、自衛隊が参加する危険です。
 ISのような残虐なテロ組織がどうして生まれたか。きっかけになったのは、二〇〇一年、米国等が開始したアフガニスタン報復戦争でした。対テロ戦争は、テロを根絶するどころか、その温床を広げる結果となりました。さらに、二〇〇三年、米国等が開始したイラク侵略戦争は泥沼の内戦をつくり出しました。この二つの戦争の混乱の中からISという怪物のようなテロ組織が生まれ、勢力を拡大していったのです。
 戦争でテロはなくせない。テロと戦争の悪循環をもたらし、世界じゅうにテロを拡散した。総理、この事実をお認めになりますか。米国によるアフガン、イラク戦争に無条件の支持を与えた自民党政府は、厳しい反省が必要ではありませんか。
 この歴史的教訓に照らしても、今、一部の国が行っているISに対する空爆など軍事作戦の強化では、問題は決して解決しません。それは、多数の罪なき人々を犠牲にし、憎しみの連鎖をつくり出し、テロと戦争の悪循環をもたらすだけではありませんか。
 安保法制、戦争法との関係で私が強く危惧するのは、政府が、ISへの空爆などへの自衛隊の軍事支援について、政策判断として考えていないとしつつ、法律的にはあり得ると答弁していることです。
 総理に伺います。そういう政策判断をしている理由は何ですか。米国が、対IS軍事作戦を拡大し、日本に支援要請をしてきた場合に、それを拒否できますか。戦争法がある以上、拒否できず、軍事支援を行うことになるのではありませんか。
 テロと戦争の悪循環、憎しみの連鎖に日本自身が入り込み、日本国民をテロの危険にさらす、そのような道は断じて許すわけにいきません。
 世界からテロをなくすために何が必要か。私は、国際社会が一致結束して、次の四つの対策に取り組むことを提唱します。
 第一は、国連安保理決議を厳格に実行し、テロ組織への資金、人、武器の流れを断つ断固たる措置をとることです。
 第二は、貧困や格差、民族的、宗教的差別など、テロの土壌となっている問題をなくしていく努力を払うことです。
 第三は、ISが支配地域を拡大してきたシリアとイラクでの内戦を解決し、平和と安定を図るための政治的、外交的努力を尽くすことです。
 第四は、シリア国民の半数以上が難民として苦しむもとで、難民の人権を守り抜く国際的支援を抜本的に強化することです。
 どれも困難を伴う大仕事ですが、この道しかないのではありませんか。総理の見解を求めます。

(引用終わり)
 
2016年2月4日 衆議院予算委員会 志位和夫日本共産党委員長による質疑(1時間38分)

※補注
衆議院 第190回国会 予算委員会 第7号(平成28年2月4日(木曜日)) 会議録
(抜粋引用開始)
○志位委員 (注:南スーダン派遣自衛隊の任務拡大を)検討の対象にされているという御答弁でした。
 そうした自衛隊の任務拡大が何をもたらすか。その危険性を考える上で、国連PKOの任務がこの二十年間余りで大きく変化していることについて総理がどういう認識を持っているかについて、次にただしていきたいと思います。
 かつての国連PKO、一九九〇年代前半ぐらいまでのPKOは、国連の大原則である内政不干渉、中立性を尊重した活動を行っていました。すなわち、内戦が終結して停戦合意がされている国に、紛争当事者全ての合意を得て、中立の存在としてPKOは展開する、いざ停戦が破れて内戦が起こったら撤退する、これが基本でした。主要任務、筆頭マンデートは、停戦合意を監視することに置かれていました。一九九二年にカンボジアに展開したPKOは、そうしたPKOの典型だと思います。
 ところが、この任務に大激変が起こります。契機となったのは、一九九四年、アフリカ・ルワンダで内戦が勃発し、政権側が主導する形で引き起こされた大虐殺でした。この事件を契機として、保護する責任という考え方が出てきます。ある国で重大な人権侵害が起こった場合に、その国の政府が何もしない、あるいは政府が人権侵害を引き起こすような場合には、国連は、中立性を失おうとも、内政干渉になろうとも、そして武力を行使してでも住民を保護すべきだという考え方です。
 こうした流れの中で、一九九九年八月、当時のアナン国連事務総長が、これからの国連PKOは国際人道法、武力紛争法を遵守せよという告示をPKO要員に発します。すなわち、これから先は、任務遂行のために、国連PKO自身が武力紛争法で定義される交戦主体、紛争当事者となって、軍事紛争に積極的に関与する覚悟を持てというものであります。
 

 こうして、徐々に、武力を行使しての住民保護がPKOの主要任務、筆頭マンデートになっていきます。
 パネルをごらんください。
 二十一世紀に入って創設され現在活動中の国連PKOは九つありますが、そのうちアフリカに展開する八つのPKO、リベリア、コートジボワール、ダルフール、コンゴ、アビエ、南スーダン、マリ、中央アフリカのPKOは、その全てで武力を行使しての文民保護が任務、マンデートに位置づけられております。停戦が破れて戦闘状態になってもPKOは撤退しません。国連自身が交戦主体となって住民保護のために武力の行使をする、これが今日のPKOの主流になっております。
 総理に基本的認識を伺います。
 国連PKOの活動がこうした方向に大きく変わっている、かつての停戦監視から、武力を行使しての住民保護へと大きな変化が起こっているという認識はありますか。
 
○安倍内閣総理大臣 (略)

○志位委員 いろいろおっしゃいましたけれども、文民の保護などを重要任務にするものに変化があるということはお認めになりました。
 ただ、ここで私がさらに言いたいのは、武力を行使しての住民の保護というのは生易しいものではないという問題です。
 私は、先日、国連PKOの幹部として東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンなど世界各地で武装解除などに携わってきた、東京外国語大学教授の伊勢崎賢治さんに話を伺いました。伊勢崎氏によると、一九九九年にアナン事務総長が出した告示は、PKOの現場に大きな影響を与えたと言います。その後、PKO部隊が好戦的になっていったとして、二〇〇〇年当時、みずからの経験を次のように語っておられます。ちょっと紹介いたします。

 僕は、インドネシアから独立した東ティモールの暫定知事を務めて、PKF、平和維持軍を統括していたことがあります。そのとき、反独立派の住民によってPKFの一員であるニュージーランド軍の兵士が殺されました。彼は首がかき切られて耳がそぎ落とされた遺体で見つかりました。見せしめであることは明白でした。そのとき、僕らは復讐に駆られてしまった。ニュージーランド軍司令官の求めに応じて、僕は武器使用基準を緩めました。敵を目視したら警告なしで発砲していいと。法の裁きを受けさせるために犯人を拘束するという警察行動ではありません。敵のせん滅が目的です。現場はどんどん復讐戦の様相を呈してきました。僕自身もです。結果、全軍、武装ヘリまで動員して追い詰めていったのです。民家などをシラミ潰しにして、十数名の敵を皆殺しにした。全員射殺したので、その中に民間人がいたかどうかはわかりません。

 伊勢崎氏は、民兵の射殺は国際法上違法ではないこととはいえ、それでも、胸の中に、ある後ろめたさ、重苦しさを抱え込みましたと率直に語っておられます。
 いま一つ、伊勢崎氏がPKO部隊が好戦的になっていることを示す典型例として挙げたのが、南スーダンの隣国コンゴで二〇一〇年から活動している国連コンゴ安定化ミッションであります。コンゴPKOは、主要任務、筆頭マンデートに住民保護を掲げるとともに、三千人から成る攻撃型部隊、介入旅団を設置、その任務を武装勢力の無害化としています。
 武装勢力の無害化とは何か。コンゴPKOのトップ、マーティン・コブラー事務総長特別代表は、無害化とは、最終的に武装勢力を消すということだ、投降に応じなければ攻撃を加える、これが基本方針だと明言しています。あらかじめ対象とする武装勢力を指定し、住民や国連に対する攻撃がなくても、投降に応じなければ攻撃を加え、武装勢力を無害化、せん滅する、事実上の先制攻撃の権利が与えられています。
 総理に伺います。
 これが国連PKOの現実です。もちろん、このコンゴのPKOには日本は参加しておりませんが、現在のPKOは事実上の先制攻撃の権利まで与えられるようになっている。総理はこうした実態を御存じでしょうか。
 
○安倍内閣総理大臣 (略)

○志位委員 日本の参加は参加五原則に基づいてやるんだと繰り返しておっしゃられます。しかし、問題は、世界のPKOの実態がその五原則とはかけ離れたものになっているということなんですよ。
 パネルをごらんください。
 これは、二〇〇〇年以降の国連PKO要員の犠牲者の数の推移であります。
 任務拡大の影響もあって、年間百人超の犠牲者を出すことは、一九九〇年代までは四回だったんですが、二〇〇〇年以降は十二回と常態化しつつあります。このグラフでいいますと、赤い線の上です。二〇一五年には百二十一人が犠牲となっています。
 政府は、自衛隊が国連PKOに参加する際には、PKO参加五原則、すなわち、停戦合意の成立、全ての紛争当事者の受け入れ同意、中立的立場、いずれかが満たされない場合の撤収、武器使用は自己保存型に限定を遵守する、憲法九条で禁じた武力行使を行うことはないとしてきました。先ほど総理もそういう御答弁をされました。
 それに対して、先ほど紹介した伊勢崎賢治氏は次のように批判しております。

 PKO五原則があるから、停戦合意が破られたら帰ってくればいいと言いますが、停戦が破られてもPKOは撤退しません。住民の保護のために武力行使します。停戦合意が破られてから住民保護という本来の任務が始まるのです。それができないなら、初めから来るなという世界になっていることに政府は全く気づいていない。PKO五原則や憲法九条との整合性は、PKOそのものの変質によって完全に破綻しています。そして、二十年前の議論をしている政府の認識とPKOの現実がかつてないほど乖離している。
このように述べています。

 今日の国連PKOは、憲法九条を持つ日本が到底参加できないようなものに変化している。それを見ずに政府は二十年前の議論をしているという批判であります。
 長年国連PKOで幹部として活動してきた伊勢崎氏の発言、これは大変重いものがあると思うんです。この批判にどうお答えになりますか。

○安倍内閣総理大臣 (略)

○志位委員 伊勢崎さんの批判は、PKO五原則というのは停戦が破れたら撤退するということになっていると今おっしゃいました、しかし、世界のPKOは、停戦が破れても撤退しないで、住民保護のために武力の行使をするものになっていると。これはもうかけ離れているという現場からの批判は重く受けとめるべきだと思います。
 総理は五原則ということを繰り返し繰り返し言われるわけですが、そういう建前が通用するかということを、私は、次に、南スーダンの具体的なPKOに即して聞いていきたいと思います。
 自衛隊が参加している南スーダンのPKOの現状は、まさに住民保護のために武力の行使を行うという典型的な事例となっております。
 二〇一三年十二月以来、南スーダンでは、大統領派と副大統領派の武力衝突が起こり、住民を巻き込んで激しい内戦状態に陥っています。政府軍と反政府軍双方によって、数千人が殺害され、二百四十万人が家を追われ、虐殺、レイプ、拷問などの残虐行為が行われ、多数の子供が少年兵として戦うことを強制されています。約十八万人を超える民間人が南スーダン各地にある国連施設に逃げ込み、恐怖の余り外に出ることができない状態です。
 ここに私、持ってまいりましたが、これは、二〇一五年八月二十日に発表された国連報告書、南スーダンに関する専門家委員会の暫定報告書でありますが、ここでは、政府軍と関連武装グループによる二〇一五年四―七月のユニティ州攻撃として、次のような事実を告発しております。
 読み上げます。
 
 恐るべき人権侵害。本委員会は、政府軍がいわゆる焦土作戦をユニティ州全域で実行したことを知った。政府の同盟軍は村々を破壊し続けた。人が中にいる家屋に火をつけ、家畜その他金品を略奪し、学校や病院など主要なインフラを襲撃し破壊した。さらには、彼らは民間人を無差別に殺害し、殴打し、拷問にかけた。子供たちは特に深刻な被害を受けた。多くの子供が殺され、七歳の子供たちを含めてレイプされ、拉致あるいは少年兵として州内での戦闘を強制された。本委員会は、少女たちがしばしば両親や地域の人々の前でレイプされ、その後、生きたまま家ごと焼かれたとの証言を聞いた。

 大変深刻なレポートであります。反政府勢力だけでなく、政府軍によってもこうした残虐行為が行われているんです。これが南スーダンの現状です。政府軍と反政府勢力との間で複数回、停戦が合意されたものの、そのたびに戦闘が再開されています。昨年八月下旬に和平合意が交わされましたが、その後も戦闘が続いています。
 総理に伺います。
 私は、本会議の代表質問で、南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますかとただしました。それに対して総理は、南スーダンPKOの活動地域において武力紛争が発生しているとは考えていないと答弁しました。しかし、南スーダンの現状は今お話ししたとおりです。これは国連の報告書です。文字どおりの内戦状態が続いているではありませんか。武力紛争が続いているではありませんか。

○中谷国務大臣 (略)

○志位委員 これは、全く甘い、現地の状況を全くつかんでいない認識ですよ。
 これは、昨年十一月二十三日に発表された南スーダン・ミッションの任務見直しに関する国連事務総長の特別報告です。
 今、政府勢力と反政府勢力の間にいわば和平合意が成り立っているかのような御発言がありましたが、守られておりません。昨年八月下旬の和平合意、守られていない。
 この国連事務総長報告には何と書いてあるかといいますと、停戦違反と、和平合意実施の準備段階のために決められた当初期限を当事者たちが守れなかったことは、彼らの和平プロセスへの誓約及び彼らの実施にかかわる政治的支持に懸念を持たせると厳しく批判しております。そして、この特別報告では、南スーダンで武力紛争が続き、その結果として、UNMISS、人道関連要員、国内避難民に移動の自由がない状況が続いているとしています。
 これは去年の十一月二十三日ですよ。和平合意の後に発表された国連事務総長報告が、停戦違反が続いていること、当事者たちが平和的解決の意思を持っているかどうか疑わしいこと、そして、武力紛争が続いていることをはっきり述べているじゃありませんか。読んでいないんですか。

○岸田国務大臣 (略)

○志位委員 この認識も全くだめですね。
 今、暫定政府の閣僚ポストの合意がされたというふうにおっしゃいましたけれども、政府はつくられていないじゃないですか。一月二十二日の期限につくる予定だった政府はつくられていない。
 それから、今、政府間開発機構の声明に即した合意がされたと言いますが、その後出された二月二日のアフリカ連合、AUの声明では、スーダン和平合意が危機に瀕していることを極めて憂慮している、こう述べている。
 一つ、直近のレポートを示しましょう。ことし一月二十一日、国連人権高等弁務官事務所と南スーダンPKO、UNMISSが発表した報告書。「南スーダンの長期化する紛争下での人権状況」、直近の南スーダンの状況をこう述べております。読み上げます。

 二〇一三年十二月の暴力勃発から約二年、情け容赦ない戦闘とその多方面にわたる影響が続いており、民間人全体の人権と生活条件に対する重大な衝撃を与えている。加えて、国連の要員、施設、人道物資を狙った攻撃が続いており、二〇一三年十二月以来、三十四人の国連要員、三人の現地要員、一人の契約者の命が犠牲となった。政府軍と反政府軍の二〇一四年一月二十三日の停戦合意、両者による二〇一四年五月九日の再確認及び二〇一五年八月下旬の和平合意の実施の一環としての停戦合意にもかかわらず、戦闘は続いている。紛争当事者たちは、礼拝所や病院といった伝統的な避難場所、そして、時として国連の基地まで攻撃しているので、紛争地域で安全な場所は極めてわずかになった。

 これは直近の報告ですよ。これが、国連が公式に報告している南スーダンの直近の現状です。情け容赦ない戦闘が続き、停戦合意が何度も交わされたが、繰り返し破られ、国連の要員と基地が攻撃され、安全な場所は極めてわずかになっている。まさに現瞬間も内戦状態、武力紛争が続いているということじゃないですか。
 政府は、こうした報告書が出ていることを把握していないんですか。この報告書、読んでいないんですか。

○岸田国務大臣 (略)

○志位委員 国連事務総長報告が、武力紛争が続いているとはっきり言い切っているじゃないですか。これだけ国連の報告書に基づいて明瞭な事実を示しても、南スーダンが内戦状態、武力紛争に陥っているという事実を認めようとしない。自衛隊を派兵しておいて、余りにも無責任な姿勢と言うほかありません。
 総理に続けて伺います。
 こうした内戦状態のもとで、南スーダンPKO、UNMISSに、二〇一四年五月以降、主要任務、筆頭マンデートとして住民保護が掲げられ、そのために必要なあらゆる措置をとる権限、武力行使の権限が与えられております。昨年十月、十二月の国連安保理決議では、戦術ヘリコプター、無人機を配備することまで求めております。住民保護のためにPKOみずからが交戦主体、戦争の主体となって武装勢力と戦う、これが南スーダンPKOの実態となっております。
 こうしたもとで、改定PKO法によって、自衛隊の任務に安全確保業務、駆けつけ警護の任務が新たに付与され、任務遂行のための武器使用が可能になったらどうなるか。
 これまでは、ともかくも、PKOにおける自衛隊の武器使用は自己保存のために限定されていました。活動内容も施設や道路をつくることなどに限定されていました。ですから、深刻な内戦下での派兵でしたが、これまでのところ、幸いにも、自衛隊は一発の銃弾も撃たず、一人の死者も出さないできました。しかし、改定PKO法によって任務拡大となれば、自衛隊が武器を使用して武装勢力と戦うことになるではありませんか。
 武装勢力といいましても、政府軍と反政府軍がともに民兵を動員し、さらに、武装した住民を含むさまざまな集団が入りまじり、区別がつきません。こういう勢力を相手にして自衛隊が武器の使用をすれば、市民に向かって発砲する、少年兵を撃ってしまうということになりかねません。既に南スーダンPKOの要員から三十六名の死者が出ておりますが、自衛隊員の犠牲者が出るという強い危惧があります。
 改定PKO法によって任務拡大となれば、自衛隊が戦後初めて殺し、殺されるという危険が、私は、現実のものになる、このように強く危惧しております。
 私は、本会議の代表質問で、南スーダンPKOに派兵されている自衛隊に、改定PKO法に基づいて安全確保業務、駆けつけ警護などの新たな任務を付与し、これらの任務遂行のための武器使用権限を与えたら、憲法九条が禁止した海外での武力行使を行うことになるのではないかとただしました。それに対して総理は、何の根拠も示さずに、憲法九条の禁ずる武力の行使を行ったと評価されることはないと答弁されました。
 総理に伺います。
 なぜ、改定PKO法における任務遂行型の武器使用は憲法九条の禁ずる武力の行使を行ったと評価されることはないのか、その根拠を端的に示していただきたい。

○安倍内閣総理大臣 (略)

○志位委員 今の総理の御答弁は、結局、派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意の安定的維持、国家または国家に準ずる組織が敵対的なものとして登場しないことを前提にしたものだから、憲法が禁止する武力行使に当たらないとの御答弁でした。
 しかし、問題は、南スーダンでこういう前提が成り立つかということなんですよ。
 南スーダンPKO、UNMISSに関する国連報告を読んで、私は、極めて深刻だと痛感させられるのは、反政府勢力だけでなく、南スーダン政府軍によってもUNMISSに対する危害行為、攻撃が加えられていることです。
 パネルをごらんください。
 これは、二〇一五年八月二十一日に発表された南スーダンに関する国連事務総長報告から作成したものであります。この報告であります。
 二〇一五年四月十四日から八月十九日までの時期に南スーダン政府軍によって行われたUNMISSに対する危害行為、攻撃について、報告書では次のように記載しています。

 
この時期におけるUNMISSに対する危害行為、攻撃百二件のうち九十二件は、政府軍、治安部隊による。
 四月二十九日、五月七日、七月二十七日の三回にわたり、ユニティ州ベンティウのUNMISSの基地と国連の住民保護区のすぐ近くで政府軍が対空射撃を行い、保護を求めてきた住民五人が負傷。
 六月二十七日、ボルの北二十一キロで政府軍兵士がUNMISSのはしけに十五から二十発の砲撃。
 七月五日、二人の政府軍兵士がベンティウの国連の住民保護区に侵入し発砲、一人を殺害。
 七月九日、マラカルの南で政府軍がUNMISSのはしけ船団をロケット弾と重機関砲で攻撃。

 これは一断面ですが、南スーダン政府軍によってさまざまな形でUNMISSに対する危害行為、攻撃が加えられていることを生々しく示しております。
 改定PKO法における任務遂行型の武器使用は、派遣先国及び紛争当事者の受け入れ同意の安定的維持、国家または国家に準ずる組織が敵対するものとして登場しないことを前提にしたものだから憲法九条が禁止する武力行使に当たらないとの先ほど御答弁でした。しかし、このどちらの条件も南スーダンには存在していないじゃないですか。南スーダン政府軍がUNMISSに対して攻撃しているじゃないですか。敵対するものとして登場しているじゃないですか。
 伺います。
 南スーダンで、自衛隊に安全確保業務、住民の保護という新たな任務を付与し、任務遂行のための武器使用を認めたら、自分の身に危険が及ばなくても、住民に銃を向ける相手を殺傷することになるんです。南スーダン政府軍が住民やそれを防護するUNMISSを攻撃してきたら、自衛隊は南スーダン政府軍と銃火を交えることになるわけであります。これは、憲法が禁止する武力行使そのものになるじゃありませんか。先ほどのあなたの論理からいっても武力行使になるでしょう。こんなこと、憲法上許されませんよ。

○中谷国務大臣 (略)

○志位委員 聞いていることに答えておりません。
 偶発的なものだとおっしゃいましたけれども、先ほどの国連の報告書というのは、限られた期間ですが、百二件中九十二件は政府軍によるものだと言っているわけですよ。九十二件ですよ。そのうち、政府の側から是正がされたのはたった一件だ、あとは是正もされていない、このように国連が報告しているんです。偶発的なものとは言えません。
 それから、ジュバは安定しているというふうにおっしゃったけれども、先ほど私が紹介した一月二十一日の国連報告書では、昨年も、ジュバの国連の住民保護サイトのまさに周辺において政府軍による襲撃があって、そして住民が拉致されて殺害される、ジュバのど真ん中で起こっている、そういう報告になっているわけですよ。
 私はこれだけ具体的な事実を示して聞いている。私は、事実に即して、南スーダンで現実に起こっている事態に基づいて、自衛隊の任務を拡大し、政府軍と銃火を交える事態になったら武力の行使になるのかならないのか、これを聞いているんです。武力の行使になるでしょう。国家がまさに敵対するものとして登場しているじゃないですか。
○中谷国務大臣 (略)
○志位委員 そんな認識で自衛隊を出しているというのは本当に無責任だと思います。南スーダンの現実は、内戦状態、武力紛争が続いている。これは国連が認定していることです。そして、政府軍はUNMISSや避難民を攻撃している。これも事実です。この現実に即して質問しているのに、武力の行使か否かを答えられない。私は、ここにこの法律の危険性があると思います。
 自衛隊の任務に安全確保業務を追加し、任務遂行のための武器使用の権限を仮に与えたとすれば、住民への攻撃をしている南スーダン政府軍と自衛隊が戦うことになる。憲法九条が禁止した武力の行使そのものになります。
 私は、きょう、国連PKOが住民保護のために断固たる武力行使が求められるPKOへと大きく変化していること、そして、南スーダンPKOもその典型的な一つだということを明らかにしてまいりました。今日の国連PKOは、憲法九条を持つ日本の自衛隊が参加できるような活動ではいよいよなくなっているということを強調しなければなりません。
 もちろん、住民が深刻な人道的危機にさらされているときに、国際社会がその保護のための責任を果たすことは必要であります。しかし、日本の貢献は、憲法九条に立った非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきです。
 南スーダンでも、国連の活動はPKOだけではありません。国連難民高等弁務官事務所、UNHCR、国連児童基金、ユニセフ、世界食糧計画、WFP、いわゆる国連の人道支援の御三家と言われる機関が、各国のNGOと協力して、難民支援、食糧支援、医療支援、教育支援、児童保護など、さまざまな人道支援に取り組んでいる。日本は、憲法九条を持つ国として、こういう非軍事の人道支援こそ抜本的に強化すべきであります。
 私は、安保法制、戦争法の強行によって、日本の自衛隊が戦後初めて外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれていると思いましたが、南スーダンPKOに派兵している自衛隊の任務拡大が最初の殺し、殺されるケースになることが強く危惧されます。これまで自己防護に限っていたから、一人の犠牲者も出さないで済んだのです。それを拡大したら、最初のそういう危険なケースになることを強く危惧いたします。戦争法を廃止することが文字どおりの急務であることを強く訴えたいと思います。
(引用終わり)

 とりわけ注目されるのは、南スーダンにPKO要員として派遣されている自衛隊の置かれている現状認識を問い、その任務拡大による一層の危険について追及する質疑にあたり、伊勢﨑賢治氏(東京外国語大学教授)の年来の主張を踏まえていることです。
 例えば、1月27日の代表質問における南スーダン関連の質問は以下のように展開されます。(※補注で引用した会議録を参照願います)

(引用開始)
 安保法制=戦争法は、日本にきわめて重大な危険をつくりだしています。
 第一は、日本の自衛隊が、戦後初めて、外国人を殺し、戦死者を出すという現実的な危険が生まれているということです。私は、差し迫った重大な危険として、二つの問題について総理の見解を問うものです。
 一つは、アフリカの南スーダンのPKO(国連平和維持活動)に派兵されている自衛隊の任務が拡大されようとしていることです。
(略)
 総理、南スーダンが内戦状態に陥っているという認識はありますか。南スーダンでは、停戦合意をはじめとする「PKO参加5原則」が崩壊し、自衛隊の派兵の法的前提がなくなっているではありませんか。にもかかわらず自衛隊の派兵を続け、その任務を拡大するならば、自衛隊が武力を行使し、武装勢力とたたかうことになるではありませんか。武装勢力といっても軍隊と民間人の区別はつきません。自衛隊が一たび、少年兵や民間人を撃ってしまったら、取り返しがつきません。
 このような活動は、海外での武力行使を禁止した憲法9条のもとでは絶対に許されないと考えますが、いかがですか。日本の貢献は、憲法9条にたった非軍事の人道支援、民生支援に徹するべきです。総理の答弁を求めます。
(引用終わり)
 
 そして、2月4日の予算委員会審議では、さらに詳細にわたって質疑がなされています。YouTubeで6分~56分の部分ですが、南スーダン情勢を中心とする国連PKO変質の問題にこれだけの時間が国会審議に割かれたのは、おそらく初めてのことでしょう。
 伊勢﨑賢治さんが、Facebookに投稿(予算委員会質疑の当日でしたが)された以下の言葉を最後に引用し、さらにこの問題に関する議論が深まることを期待しましょう。
「衆院本会議の代表質問で、共産党の志位委員長に、自衛隊が南スーダンで既に「交戦主体」になっている現実を言及していただきました。ぜひ、これを機に、戦時国際法・国際人道法で定義される「交戦主体」が、安全保障と自衛隊政策で論議される語彙のコアになるように。」

(追記 2016年2月6日)
 2月6日にFacebookに投稿された伊勢﨑賢治さんの志位委員長に対する「お礼」を引用しておきます。
「一昨日の衆院予算委員会で共産党の志位さん。交戦権が支配する世界に交戦権のない自衛隊を送り続ける、日本人が犯してきた根源的な矛盾に言及していただきました。自衛隊員が命をかけられる大義を与えるのは国民です。政治ではありません。少なくとも、非常に脆弱な内戦状態だと国連が認識する南スーダンを、そうではないと言い張る日本政府ではありません。志位さん、自衛隊員にかわってお礼を申し上げます。」

代表も司令官もいなくなった国連南スーダン派遣団(UNMISS)~半田滋さんの記事(現代ビジネス)を読む

 今晩(2016年12月3日)配信した「メルマガ金原No.2649」を転載します。

代表も司令官もいなくなった国連南スーダン派遣団(UNMISS)~半田滋さんの記事(現代ビジネス)を読む

 南スーダンの情勢はどうなっているのか?陸上自衛隊は無事に帰還できるのか?全ての日本人にとって
、悩ましい問題のはずです(どうしても自衛隊に「武力行使」させたい一部の人間を除く)。
 ところで、陸上自衛隊もそのミッションの一部に組み込まれている国連南スーダン派遣団(UNMISS)の軍事部門のトップであるオンディエキ司令官(ケニア)が更迭され、まだ後任も決まっていないとは、まことに心配なことだと思っていましたが、今日、講談社の「現代ビジネス」サイトに掲載された半田滋さんが書かれた記事によると、国連南スーダン派遣団(UNMISS)の代表を務めていたエレン・ロイ事務総長特別代表(デンマーク)が11月30日付で退任し、後任の代表も決まっていないということです。
 UNMISSの最高責任者も軍事部門の責任者も「いない」という、ほとんど「あり得ない」事態の中で、日
本の自衛隊を含むPKO要員が業務を行っているということであり、重大な事態が生じた時に迅速適切な判断と指示がなされるのか、重大な懸念があると言わざるを得ません。
 そういうところに自衛隊員を送り込んだ政権を選挙で支持した1人1人の国民が、こういう事態に無関心でいて良いはずはありません(選挙で野党に投票した人も、それだけで免責されるものではありません)。
 是非、リンク先で半田さんの記事をお読みください。
 
講談社 現代ビジネス 2016年12月03日 半田 滋
【スクープ】南スーダン「国連PKO代表」が不在の異常事態!
自衛隊は、本当に無事でいられるのか?

(抜粋引用開始)
 自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を行うために派遣されている国連南スーダン派遣団(UNMISS)。
その代表を務めたエレン・ロイ事務総長特別代表(デンマーク)が11月30日付で退任し、今月1日から代表の座が空席となっていることがわかった。11月には軍事部門のオンディエキ司令官(ケニア)が更迭され、やはり空席となっている。
 会社でいえば、社長と専務がいない状態だ。決断し、実行を命じるトップが不在では会社は成り立たな
い。UNMISSには副代表や軍司令官代理がいるものの、それでコト足りるなら、最初から代表や軍司令官は
不要ということになる。やはりこれは異常事態と見るべきだ。
 そんな中、陸上自衛隊第9師団(青森)を主力とする部隊は数次に分けて南スーダンへ出発した。UNMISS
の指揮命令系統のトップ不在という異常事態下で、武器使用を拡大した「駆け付け警護」「宿営地の共同
防衛」という新任務に12日から就くことになる。
 日本政府は派遣期間を延長した10月25日の閣議決定、新任務付与を命じた先月15日の閣議決定で、それ
ぞれ「基本的な考え方」を発表し、南スーダン情勢や新任務について踏み込んだ説明をしているが、UNMISS代表が不在となることには触れていない。自衛隊が派遣される首都ジュバを10月8日に訪問してロイ代表と面会した稲田朋美防衛相は自身の進退を含めた「今後のUNMISS」について説明を受けなかったのだ
ろうか。
2016年10月15日「派遣継続に関する基本的な考え方」
(略)
 UNMISS代表は事務総長特別代表という肩書が示すように、当該PKOについて、人事権はもとより、任務の
決定、予算の執行などあらゆる面で絶大な権限を持っている。UNMISSは国連加盟の約60カ国から軍事部門13058人、文民部門769人を集め、地元スタッフを加えれば15000人以上になる巨大な国連組織だ。
 そんな組織のリーダーが不在となった現在、二人いる副代表が役割を分担して補完しているようだ。い
つ代表が決まるのか、外務省国際平和協力室は「何も聞いていません」と答えるのみ。いつになれば代表
不在という異常事態が終息するのか、見通しはまったくたっていないという。
 ロイ代表より先に更迭されたオンディエキ軍司令官は、7月に起きた武力衝突で、指導力の欠如、準備不
足、指揮命令の混乱などの責任を問われた。国連の報告書によると、ジュバの政府軍と反政府勢力の間で武力衝突が発生した際、避難民が生活するUNMISSの保護施設も襲撃を受け、7月の3日間で20人以上の避難
民を含めて73人が亡くなった。
 報告書は「(オンディエキ軍司令官ら)幹部の指導力不足により、無秩序で非効果的な対応となった。
予兆があったのに、十分な警戒態勢もとらなかった」と指摘。政府軍兵士がホテル滞在者らに残虐行為をした事件についても、報告書は「政府軍兵士が略奪を始めた際、市民がUNMISSに通報したにもかかわらず、複数の部隊が出動要請を拒絶して市民らが殺人や威嚇、性的暴力などの重大な人権侵害にさらされた」
としている。
(略)
 問題はオンディエキ軍司令官の更迭を受けて、ケニア政府がUNMISSに派遣していた1000人の歩兵部隊を
撤収させることを決め、 近く全員が南スーダンから消えることにある。ケニア軍が治安維持を担っていた
のは北部のワウ、アウェイル、カジョクの三都市でいずれも州都にあたる。
 ワウでは中国の工兵部隊がケニア軍に守られて道路補修を続けており、さぞかし心細い思いをしている
に違いない。UNMISSはジュバを守る歩兵部隊を削って三都市に移動させ、治安維持を担わせる方針と伝え
られる。
  「ケニア軍が撤収するとなると自衛隊の宿営地があるジュバが治安悪化した場合、対応できないのでは、
という不安が出てくる」というのは陸上自衛隊幹部。「駆け付け警護」「宿営地の共同防衛」という新任務が追加されたとはいえ、主任務は道路補修などの施設復旧であることに変わりなく、部隊編成もこれま
で通りという。銃の扱いが得意な普通科(歩兵)部隊も増員されなかった。 
 治安状況を安定させようと、国連安全保障理事会は8月12日、ルワンダ、ケニア、エチオピアの近隣3カ
国で構成される4000人の「地域防護部隊」の追加派遣を決めた。当初は「介入軍」とみなして反対してい
た南スーダン政府も受け入れを閣議決定している。
 ところが、こちらもケニアが不参加を表明したことで4000人のやり繰りが暗礁に乗り上げ、地域防護部
隊は現状では一人も派遣されていない。
 UNMISS代表と軍司令官の不在、ケニアの撤収、追加部隊の着任遅れという三重苦の中で、日本政府は撤
収するどころか、逆に武器使用の範囲を拡大させる新任務を自衛隊に命じたのである。
(略)
 国連が8月12日から10月25日まで2カ月以上に及ぶ情勢をまとめた報告書によると、ジュバとその周辺の
治安情勢について「『volatile(不安定な、流動的な)』状態が続いている」とし、「国全体の治安は悪化しており、とりわけ政府軍が反政府勢力の追跡を続けている中央エクアトリア州の悪化が著しい」と明
記した。同州にはジュバが含まれるのである。
 また国連人道問題調整事務所(OCHA)のジョン・ギング業務局長は11月16日、国連本部で南スーダンを
視察した状況を報告、昨年の同時期より100万人多い、推定370万人が深刻な食糧危機に直面しているとし
て「食糧不足が今ほど悪化したことはなく、さらに悪化する情勢にある」と述べた。
 なぜこれほど日本政府と国連の見方が違うのか。安全保障関連法が成立して1年以上、また同法が施行さ
れて半年以上が経過した。自衛隊を活用する「積極的平和主義」を掲げ、成立を急いだ安保法がいつまで
も適用されないようでは説明がつかない、というのが安倍晋三首相の本音ではないのか。
 日々悪化する現地情勢に加え、PKO代表不在という不安。そのような中で、自衛隊が曇った目でしか状況
判断しない政府の犠牲者になる事態だけは避けなければならない。
(引用終わり)

 なお、「現代ビジネス」サイトには、伊勢﨑賢治さんも以下のような記事を書かれていますので、是非
お読みください。
講談社 現代ビジネス 2016年9月27日 伊勢﨑賢治
南スーダンの自衛隊を憂慮する皆様へ~誰が彼らを追い詰めたのか?
ゼロからわかるPKOの今 

 伊勢﨑さんといえば、このところ、様々なメディアに積極的に登場して発言されています。そのうちの
1つ、一昨日(12月1日)、BSフジ・プライムニュースに、柴山昌彦氏(内閣総理大臣補佐官・衆議院議員)とともに出演し、そのハイライトムービーが番組ホームページで視聴できます。なお、プライムニュースでハイライトムービーが見られるのは放送から10日間だけで、その後は文字起こししたテキストが代わりに掲載されます。
 番組の全体像を掴むためには、一度ハイライトムービーを見ておいた上で、後日テキストをじっくり読むのが良いと思います。
 

12/18「ふぉーらむ 食・遊・学びの子ども居場所づくりで 地域で子そだち・子そだて支援」(放送大学和歌山学習センター)のご案内

 今晩(2016年12月2日)配信した「メルマガ金原No.2648」を転載します。

12/18「ふぉーらむ 食・遊・学びの子ども居場所づくりで 地域で子そだち・子そだて支援」(放送大学和歌山学習センター)のご案内

 知っている人は前から注目していたものの、このメッセージで初めて「子ども食堂」って何?と思った
方もおられるかもしれませんね。
 

あなたは決してひとりではありません。
こども食堂でともにテーブルを囲んでくれる
おじさん、おばさん。
学校で分からなかった勉強を助けてくれるお兄さん、お姉さん。
あなたが助けを求めて一歩ふみだせば、
そばで支え、その手を導いてくれる人が
必ずいます。
あなたの未来を決めるのはあなた自身です。
あなたが興味をもったこと、好きなことに
思い切りチャレンジしてください。
あなたが夢をかなえ、活躍することを、
応援しています。

平成28年11月8日

内閣総理大臣
安倍晋三
(引用終わり)

 SNSの世界では、「子ども食堂」がなぜ必要となったのかを考えれば、「総理大臣としてよくこんな
ことが言えるな」、「呆れ果てた」という反応が多かったと思いますが、ネトウヨ界ではこれでも「賞賛の嵐」だったのかもしれません。
 もともと、「子供の未来応援国民運動」自体、「何だかなあ」といういかがわしさはぬぐえず、その官
製・国民運動の「一周年の集い」で発表されたメッセージですから、まことに運動の実体に則した内容のメッセージだという評価(?)が可能かもしれません。
 悪くとれば、この官製・国民運動に「子ども食堂」が絡め取られて変質する恐れも絶無ではないかもしれませんが、それはさておき。
 
 いずれにせよ、「子ども食堂」の知名度アップになにがしかの貢献はあったということで、この機を逃さず、その実態を広く国民に知ってもらう必要がありますが、その一助となる企画の案内が届きましたので、ご紹介することとしました。
 それは、放送大学和歌山学習センター地域貢献プロジェクト2016「食・遊・学びの子ども居場所づ
くりで 地域で子そだち・子そだて支援」の一環としてのフォーラムを開催するという案内です。
 以下に、チラシ掲載の情報を転記してご紹介します。

チラシから引用開始)
放送大学和歌山学習センター地域貢献2016 公開講演Ⅱ

ふぉーらむ
食・遊・学びの子ども居場所づくりで 
地域で子そだち・子そだて支援

日時 2016年
12月18日(日)
    13時30分~16時15分(13時 受付開始)
場所 和歌山大学地域連携・生涯学習センター2階ホール(和歌山県立図書館の東隣り)
     和歌山市西高松1丁目7-20

第1部 基調講演 13時30分~15時00分 
①子どもはジグザグの道を歩む-生きづらさと向き合う子どもを支える-
  講師:谷尻 治 氏(和歌山大学教育学部 教職大学院 教授)
②子ども食堂でみんなの居場所づくり-私たちにできること-
  講師:新家 貢 氏(中之島子ども食堂 代表)

第2部 パネル討論 15時15分~16時15分
問題提起
地域で子そだち・子そだて支援-みんなの居場所、逃げ場所、心の修復場所づくり-
コーディネーター 
 森下順子氏(放送大学客員准教授/和歌山信愛女子短期大学准教授) 
パネリスト
 谷尻 治 氏 
 新家 貢 氏
 古賀敬教 氏(NPOフードバンク和歌山 会長)
 阪田由美子 氏(和歌山大学地域連携・生涯学習センター子そだて支援員研修担当/放送大学学生)

お申し込み・お問い合わせ
放送大学 和歌山学習センター

〒641-0051 和歌山市西高松1-7-20
TEL 073-431-0360
Email
wakayama-sc@ouj.ac.jp
(引用終わり)

 私自身、放送大学和歌山学習センターに所属する現役の学生(あと2年は在籍できます~うっかり卒業に必要な単位を取ってしまわない限り)であり、時々このような案内が学習センターから届きます。参加
したいと思う企画も少なくないのですが、なかなか日程が合わず、めったに参加できないのが残念です。
 実際、今日ご紹介した12月18日(日)の企画にしても、案内が届いた時には既に別件の予定が入っ
てしまっており、私自身は参加することができません。
 けれども、これは放送大学とは関係のない市民の方にも、きっと関心をもってご参加いただける企画だ
と思いましたので、メルマガ(ブログ)でご案内することとしました。
 なお、参加される場合には、駐車場に限りがありますので(はっきり言って少ないです)、極力公共交通機関を利用されるようにお勧めします。

マガジン9の「憲法24条を考える 自由な〈個人・結婚・家族〉のために」に注目しよう~改憲派はなぜ24条にこだわるのか?

 今晩(2016年12月1日)配信した「メルマガ金原No.2647」を転載します。

マガジン9の「憲法24条を考える 自由な〈個人・結婚・家族〉のために」に注目しよう~改憲派はなぜ24条にこだわるのか?

 今年(2016年)もあと一月となった12月1日、月日の経つのは早いものでというありきたりの感慨をマクラに、さて今日のメルマガ(ブログ)で何を取り上げようか?と考えてみると、それなりに候補はいくつか思いつくのです。

〇猿田佐世・新外交イニシアティブ(ND)事務局長出版記念企画「新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ~過去・現在・そしてアメリカ大統領選挙を経て~」(11/26)の動画がNPJサイトにアップされています。

 とはいえ、猿田さんの著書『新しい日米外交を切り拓く
』(集英社)、編著『アメリカは日本の原子力政策をどうみているか』(岩波ブックレット)を入手し、前者を読み始めたばかりなので、これを読み終え、動画もあらまし視聴した上で取り上げた方が良いのではないかと思ったりもします。


〇新任務を付与された陸上自衛隊が南スーダンに派遣されましたが、この問題に関する国会での本格的な論戦の口火を切ったのが、今年の通常国会における志位和夫日本共産党委員長による衆議院本会議における代表質問(1月27日)と2月4日開催の予算委員会での質疑だったと思います。この質疑の模様については、2月5日のメルマガ(ブログ)で取り上げたのですが(国連PKOの変質を追及した志位和夫日本共産党委員長(1/27本会議&2/4予算委員会)、これを再配信してもよいかなと思っています。
 また、PKO協力法については直接取り上げられなかったとはいえ、2015年5月27日、28日の両日に行われた志位委員長による圧巻の質疑は、「戦地に派遣される自衛隊員を待ち受ける事態」がどういうものかを考える上で、絶対に見逃すことのできないものでした。あまりに感心した私は、「志位和夫日本共産党委員長による質疑を読み解く」と題して、2日間の質疑と安倍首相ら政府側の答弁に注釈を加えるというシリーズを、メルマガ(ブログ)に6回にわたって連載したほどです。私の第2ブログに、この連載の全てにリンクをはった「まとめ」記事をアップしてありますので(志位和夫日本共産党委員長による安保法制特別委員会質疑(まとめ))、これも機会を見て、重要な部分を再配信しようかと思っています。

〇IR推進法をめぐる茶番(私の地元和歌山にもカジノ誘致のためにマカオ視察を広く推奨している衆議院議員がいます)も取り上げねばと思いますが、資料を集めるだけでもなかなか大変です。

 以上は、実現するかどうか確約のできない予告編でした。・・・という長い前置きの後にお送りする今日の話題は、「マガジン9」に、今年の1月から不定期に連載されているインタビュー・シリーズ「憲法24条を考える 自由な〈個人・結婚・家族〉のために」のご紹介です。
 これまで、斎藤美奈子さん、想田和弘さん、山口智美さん、打越さく良さん、谷口真由美さんが登場しています。
 シリーズを開始するにあたって、「マガジン9」編集部が掲げた企画意図は、以下のようなものでした。
 
「戦後「日本国憲法」によって、新しく保障されることになった「個」の尊重と男女平等。戦前の家父長制度にあった、家庭内の理不尽な序列や差別も、憲法上否定され、それに伴い多くの民法が変わりました。女性が自己決定できる立場になり、個人として財産や親権、選挙権を持てるなど、真の人権を得たのは、それ以来のことです。
しかし、自民党の改憲草案は、これらを保障する条文のひとつ、憲法24条の改訂も視野に入れています。私たちは、「平和」「自由」そして、「権利」は、あるのが当たり前として生きてきましたが、それらが当たり前でなくなったらどうなるのか?この「憲法24条を考える」シリーズでは、改憲の動きについて、憲法24条はいかにして生まれたのかについて、また旧憲法下の実体験などを知ることを通じて、身近なテーマである「結婚」「家族」と憲法、そして個人や国家との関係について考えます。」

 私は、参院選の前頃から再び自民党改憲案をテーマとした学習会の講師を頼まれる機会が増え、たまたま入手した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の大判チラシなどをつらつら眺めた結果、彼らが改憲を目指す三大テーマが、今や「9条」、「緊急事態条項」、そして「24条」なのだということに否応なく気がつかされました。
 試みに、私の手元にある「世界は変わった。日本の憲法は・・・」というタイトルのチラシには、その1/4のスペース(「9条」や「緊急事態条項」と同じだけのスペース)を割いて、以下のような主張を掲げています。少し引用してみましょう。

(引用開始)
大切な家族の絆を守ろう
家族保護の規定の導入を!
社会の基礎となる家族を守るために、
国家が責任を持って家族保護政策を推進できる規定を憲法に!

日本の憲法には、家族の保護についての規定が一切ありません。家族については、近年、家族の絆の弱体化、家族崩壊ともいうべき現象が社会問題化しており、家庭・家族関係は「静かな有事」といってよい段階になっています。
「家族の絆」に迫る危機の兆候
家庭での子どもに対する虐待事件の急激な増加
親族同士の殺人が5割を超えている
日本以外の各国は、憲法に家族保護の規定を明記し、国家機関を設けて家族政策に取組んでいます。

欧州主要国は、各国とも憲法の規定に基づく国家機関を設け、政府が責任をもって手厚い財政支出とともに家族保護政策を推進しています。
現在の日本には、そもそも家族政策という考え方がなく、家族の保護政策に責任を持つ政府機関もありません。いま、憲法に家族保護の規定を設け、国家が責任をもって家族保護に取り組むことを明確にする必要があるのではないでしょうか。
日本の家族関係社会支出の規模はわずか0.75%(各国の家族関係社会支出の対GDP比)
(引用終わり)

 憲法について何も考えたことのなかった人が、何かの拍子に「憲法おしゃべりカフェ」に誘い込まれ、まことしやかにこういう説を吹き込まれたら、「それはいいことだ」と思うでしょうね。
 それにしても、「日本の家族関係社会支出の規模」が欧米に比べて著しく少ないという棒グラフまで掲げる図々しさには呆れます。仮にその数字が正しいとしても、それは国(大半の期間は自民党が政権与党だった)の社会政策の貧しさの結果であって、憲法は関係ないでしょう。・・・ということに自分で気がつく人ばかりではないと思わねばならず、その意味でも、「9条」や「緊急事態条項」と並んで、「24条」に注目する必要は非常に大きいと思います。
 そこで、是非多くの人に読んで欲しいマガジン9の「憲法24条を考える 自由な〈個人・結婚・家族〉のために」。これまで、以下のようなテーマでインタビューが行われています。
 
2016年1月20日 UP
斎藤美奈子さんに聞く(その1)
24条改憲案にある「家族は、互いに助け合わなければならない」の真意は?
 

「確かなジェンダー視点に定評のある文芸評論家で、鋭い時事エッセイでも人気の斎藤美奈子さんは、2012年に発表された『自民党改憲草案』の中でも、24条の改憲案に危機感を持って注目しているひとり。そこで斎藤さんにじっくり聞いてみた。「何が問題?」「どこがおかしい?」と。――「そもそも憲法24条って、何だっけ?」なんていう方こそ、ぜひご注目!」
 
2016年2月3日 UP
斎藤美奈子さんに聞く(その2)
復古主義に、女性の使い倒し。個の権利がこのままでは危ない!?

「現行の日本国憲法では、婚姻についての基本的な考え方と両性の平等を示す、憲法24条。それは、改憲を進めようとしている自民党が手始めに変えたいもののひとつと言われている。
 なぜここから?なにが変えられようとしてる?という疑問を、文芸評論家の斎藤美奈子さんに聞くインタビュー、待望の2回目。前回は、2012年に自民党が発表した改憲草案(以下「自民草案」)で24条の冒頭に加えられた「家族条項」にフォーカスし、一見穏当に見えるこの一文に隠された「国に従うシステムの強化」というねらいが指摘された。しかし、この改憲の狙いは他にもある、と斎藤さん。それって何だか、聞いてみよう。 」
 
2016年5月18日 UP
想田和弘さんに聞く(その1)
結婚観や家族観は人それぞれ。その「違い」を認めよう

「昨年末に最高裁が出した、民法に定める「夫婦同姓」の強制は合憲である、との判断には、夫婦別姓という選択肢を求める多くの人から批判と失望の声があがった。結婚以来、ずっと別姓を通しているという映画監督の想田和弘さんもそのおひとり。24条の「生みの親」であるベアテ・シロタ・ゴードンさんに生前、インタビューした経験もある想田さんに、ご自身の考える「家族」や「結婚」について、そして自民党の24条改憲案について聞いてみた。前編はまず、ベアテさんの思い出とともに、想田さんが結婚したときのエピソードやその思いから──。」
 
2016年5月25日 UP
想田和弘さんに聞く(その2)
憲法は、多様な価値観や生き方を守るためにあるもの

「「家族は、互いに助け合わなくてはならない」と定める自民党の24条改憲案。それだけ聞けば、たしかに「いいこと」のようだけれど…。それを憲法に書き込むことのおかしさについて、そして危険性について、想田監督とともに考えてみた。」

2016年7月6日 UP 
山口智美さんに聞く(その1)
知ってる?右派と自民党が目指す改憲の最重要項目は、「憲法24条」!

「赤い袈裟を着た坊主のアイコンが印象的なツイッターアカウントをご存知ですか?発信者は、米国北部のモンタナ州立大学で教鞭をとる、山口智美さん。日本で起きているジェンダー周りの不可思議な動きや、アメリカまで進出(?)しようとする右派・歴史修正主義者たちの動向を捉えた鋭い発信や著作で注目を集めています。山口さんの専門は文化人類学・フェミニズム。調査の中で右派の人たちのありように直接触れてきた経験から、今、強く警告しています。
「自民党が中心となって進めている改憲では、『24条』が実は、たいへん重要視されています。特にこの24条に『家族条項』を加えることは、右派にとって、とても大きな意味を持つからです」
 知られざるその実態、ぜひ教えてください!」
 
2016年7月13日 UP
山口智美さんに聞く(その2)
日本会議などの右派が、こだわる「家」のかたち。彼らの目指す「日本」とは?

「前回は、24条の改変が、いかに右派から重視されているか、その問題点は何か?という観点から、モンタナ州立大学准教授の山口智美さんにお話をうかがいました。ここで浮かび上がってきた疑問があります。なぜそんなにも改憲を進める右派の人たちは、「家族の助け合い」「縦の関係」にこだわりを見せるのでしょうか?右派のフィールドワークを重ねてきた山口さんに、活動を支える草の根の人々の実態や共通する考え方についてたずねてみました。」
 
2016年8月24日 UP
打越さく良さんに聞く(その1)
「選択的夫婦別姓」はなぜ今もって認められないのか? ——別姓訴訟と24条

「昨年末12月16日、「選択的夫婦別姓」を求める声が広がる中、女性たちが起こした裁判に対し最高裁大法廷は〈「夫婦は…夫または妻の氏を称する」と夫婦同姓を定めて別姓を選択することを認めない民法750条は「憲法に違反しない」〉という判決を出しました。
 「個人の尊重」や、「婚姻の自由」を保障し、婚姻などの法律は「両性の本質的平等に立脚して制定」と定めた日本国憲法の下で、なぜ多くの人びとが求める「選択的夫婦別姓」は認められないままなのでしょう? そして、選択的夫婦別姓を敵視し、憲法24条改憲を強く進めようとしている現政権や改憲勢力は、21世紀の日本を、どこへ向かわせようとしているのでしょうか? 
 先の裁判で、原告側弁護団の事務局長を務めた、弁護士の打越さく良さんに、今回の判決から考える「憲法24条の危機」について、うかがいました。」
 
2016年8月31日 UP
打越さく良さんに聞く(その2)
家族内の個人の自由と尊厳を守る。そんな24条が、平和な社会を支える

「前半では「選択的夫婦別姓」の実現を阻んだ、昨年末の最高裁大法廷判決をふりかえりながら、それまでの道のり、そして判決への疑問などを、同裁判の原告弁護団事務局長・打越さく良弁護士に詳しくうかがいました。憲法24条に対しての違憲性が問われたこの裁判からは、個人の尊厳をめぐる日本の現実がいろいろと見えてきます。この裁判と24条改憲との関連、そして問題点を、後半では、さらに掘り下げてうかがいましょう。」
 
2016年11月23日 UP
谷口真由美さんに聞く(その1)
人々を家制度から解放した憲法24条は「押しつけ」ではなく「ギフト」

「今年6月、『憲法って、どこにあるの?』と題した著書を出版された、法学者にして「全日本おばちゃん党」代表代行の谷口真由美さんは、法学を学んでいた大学生の頃、ベアテ・シロタさんが書かれた24条の原案と出会い、震えるほど感動したそうです。24条がどのようにして書かれたのか、またそれを変えようとしている自民党が掲げる改憲草案の目指す方向性とはどういうものなのか、もし本当にそれが実現したら何が変わるのか、お話をうかがいました。」
 
2016年11月30日 UP
谷口真由美さんに聞く(その2)
「家族は助け合わなくてはならない」自民党の24条改憲案は「オッサンのファンタジー」?

「今年6月、『憲法って、どこにあるの?』と題した著書を出版された、法学者にして「全日本おばちゃん党」代表代行の谷口真由美さん。前回、24条は「押しつけ」ではなく、むしろ「ギフト」とのお話でしたが、一方、今出されている自民党の改憲草案の24条については「オッサンのファンタジー」だと指摘します。こうした改憲がもし実現したらどんな心配があるのか、そして、そうさせないために何をしていくべきかを考えます。」

「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから

 今晩(2016年11月30日)配信した「メルマガ金原No.2646」を転載します。

「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから

 原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)、原発被害者訴訟原告団全国連絡会、避難住宅問題連絡会、「避難の権利」を求める全国避難者の会の4団体は、「自主避難者の住宅無償提供継続を求める/原発事故被害者を切り捨てるな!/4団体共同全国集会in福島」を12月4日に開催します(会場:福島県教育会館)。
 連絡先となっている「ひだんれん」のホームページは、以下のようにアピールしています。
 
(引用開始)
 日本政府と福島県による、自主避難者の住宅無償提供打ち切りは、すでに社会的、経済的にダメージを受けている避難者を切り捨て、救済をせず無権利状態に陥れることになり、人道上も許せることではありません。また、このことは原発事故被害者全体の今後に大きな悪影響を及ぼすことになり、認めることはできません。
 私たちは12月6日からの福島県議会に、自主避難者の住宅無償提供の継続を求め、請願書を提出します。
 これに向けて、11月28日(月)から12月2日(金)までの1週間、県庁前アピールと内堀県知事に直訴する連続行動を行い、12月4日(日)は4団体共同の全国集会とデモを開催します。
 和製パンク「切腹ピストルズ」も全国から集結して一緒に福島の街を練り歩きます。参加する方の鳴り物、踊りの飛び入り大歓迎!
 原発事故被害者の切り捨てを許さないために、是非、ご参集ください!
(引用終わり)
チラシ(PDF)

 内堀雅雄福島県知事に対する「直訴状」の一部が「ひだんれん」ホームページに掲載されています(11月28日の知事への直訴状より抜粋)。

 避難先自治体が独自の支援策(公営住宅の1年間無償提供など)を決定したというニュースに接することはあるものの、国や福島県が来年3月で災害救助法に基づく住宅無償提供を打ち切るという方針を変えるという兆候も認められぬ中、避難者4団体が実施することとなった企画です。

 このような動きに呼応して(だろうと思いますが)、森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団代表、東日本大震災避難者の会 Thanks & Dream 代表)が、安倍晋三内閣総理大臣と内堀雅雄福島県知事に対する手紙(2016年11月28日付)を公開しました。
 「住宅支援を受けておられる方が最も当事者性があり説得力もあるのも承知で、私も何か力になれないか、意見表明はできないかと考え、一福島県民、一国民、一避難民として渾身の思いで書いた」そうで(森松さん自身は住宅支援は受けていません)、「無断で転記・転載、大歓迎」ということなので、私のメルマガ&ブログに「無断転載」することにしました。
 ただ、文章自体は、サンドリのホームページに掲載されたものをそのまま転載したことはもちろんですが、どこで改行するか、どこで1行空白スペースを設けるか、などの文章の体裁については、私の判断で(つまり私の読み方に従って)大幅に改めていることをお断りします(これも「無断」ですが、森松さん、「金原編集ヴァージョン」もOKですよね?)。
 「「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙」というタイトルも、手紙を読んだ上で、私が考えたものです。住宅支援継続問題も、つまりは「避難の権利」を認めるかどうかというところが岐れ目なのだ、という主張だと私は読み取ったのですが、これはあくまで私個人の読み方です。
 

内閣総理大臣 安倍 晋三さま
福島県知事 内堀 雅雄さま

 前略

「復興庁 避難者消したら 復興か」
「福島県 避難者無視して 復興か」

 福島県郡山市から大阪市に2児を連れて母子避難を5年8か月間敢行しつづけている森松明希子と申します。1年前にも内閣総理大臣および福島県知事にお手紙を差し上げました。

 何度でも繰り返します。
 放射線被曝から免れ健康を享受する権利は、人の命や健康に関わる最も大切な基本的人権にほかなりません。誰にでも、等しく認められなければいけないと、私は思うのです。
 なぜなら、少しも被ばくをしたくないと思うことは人として当然のことであり、誰もが平等に認められるべきことだと思うからです。
 また、これから先、将来のある子どもたちに、健康被害の可能性のリスクを少しでも低減させたいと思うことは、親として当然の心理であり、子どもの健やかな成長を願わない親は一人としていないと思うのです。
 そこには、一点の曇もなく、放射線被曝の恐怖、健康不安があってはならないと思うのです。
 たまたま県外に親戚・縁者・支援者のつながりがあった人だけが被ばくを免れることができる、とか、経済力はじめ運良く様々な条件に恵まれた人たちだけが被ばくから遠ざかることができた、というようなことで本当に良いのでしょうか?

 今、次々となされる施策、法律で定められている年間1ミリシーベルトを超える放射線量が確認されても帰還困難区域を解除する、避難者にとっての命綱である支援住宅の打ち切り(他方で帰還者にだけは手厚い保護)など、これらの非道な施策により、幼い子どもの被ばくを少しでも避け避難を続けていたいと願っても、泣く泣く帰還するしか選択肢がなくなるという世帯もあるということをご承知の上での措置なのでしょうか?
 そして、それが本当に平等でフェアな施策だと言えるのでしょうか?
 何よりも、それは本当に正しいことなのでしょうか?

 そもそも、避難するという選択肢を選び、安心して避難を続けるという道筋が立てられる制度が5年以上経過しても何一つ確立されることもなく、避難したくてもできない世帯があることを国や福島県は分かった上でのこれまでのこの5年8か月間のご対応なのでしょうか。
 もしもご存知ないのでしたら、それは、「声なき声」、生活者の視点、ふつうの暮らしをしている人々の思いや声を聞き漏らしていることにほかならず、大変な無礼を承知の上で申し上げますが、為政者としては致命的であると言っても過言で無いと思うのです。

 原発事故子ども被災者支援法という法律はあるのにずっと棚晒しの現状・・・
 法律があっても、実際の被災者は何ら救済されないというこの現実。
 私は、福島にとどまり日々放射線と向き合う暮らしを余儀なくされていらっしゃる方々の選択をとやかく申し上げたことは一度もありません。むしろ、子どもを育てる同じ親としてのお立場の方々を思うにつけ、心中、心よりお察し申し上げる次第です。
 一方で、避難という選択をした私たちもまた、紛れも無く福島県民であることにかわりありません。遠く離れた土地に幼子と避難をしていたとしても、福島が、3.11前の何の健康被害のリスクも不安もない状態にもどりさえするのなら、すなわち、3.11前には現存しなかった放射線がなくなり3.11前の福島でありさえするのなら、今すぐにでも家族揃って福島での生活をまた再開したいと心から願っているのです。
 そう願い続けて5年8か月の歳月が流れました。

 避難をしている福島県民の「声」は届いているのでしょうか。
 それとも「意図的に無視」されているのでしょうか。
 県政を担われる内堀知事におかれましても、どうか、避難という選択をした者もまた県民の一人として捨て置くことなく、人の生命・健康にかかわる最も大切な基本的人権を尊重していただけますよう、避難民にもまた、温容な具体的施策の継続、実施をお願いしたく存じます。
 原子力災害がひとたび起きた時に、これまでのご対応が常套の手法とされてしまうことで計り知れない国民の権利が将来にわたり侵害されることになると私は危惧するのです。
 人の命や健康よりも大切にされなければならないものはあるのでしょうか?
 国民は、等しく、自らの命を守り健康を享受する権利があるはずです。
 生命や健康を守る行為が原則であり、その原則的行為を選択した人に対して、どうか最低限度の制度を保障してください。
 そして、不幸にも原子力災害を経験してしまった県民(国民)として、次の世代に対して恥ずかしくないアクションを県政、県民として手を取り合って進めて頂きたいと思うのです。

 同様の事が、国政においても言えると思います。
 そのためには、一部の経済的利害関係の発生する人々の声だけでなく、人として当たり前の事を申し上げているだけにすぎない一母親、一生活者、一県民、一国民の真摯な声にどうか耳を傾けてくださいますよう、心からお願い申し上げます。

 避難者の存在そのものが社会的事実であり歴史的証拠なのです。「意図的な無視」により数にも数えようともしない、数に上げてしまったものは線引き・支援の打ち切りによって、全力で存在そのものを消そうとすることは、為政者としてあるまじき恥ずべき行為だと思うのです。
 私や私の子どもたちも含め、「避難している人々」は間違いなく存在しているのです。
3.11から今現在に至るまで、間断なく避難という選択をし続けています。汚染があるから帰らないという選択を尊厳をもって敢行しているのです。

 最後にこれだけはお伝えさせてください。
 トップが事実から目を背け、隠蔽体質を貫かれますと、国民・住民はさらなる苦痛と困難を強いられます。福島原発事故による国土の汚染は国のトップが世界に向けてアンダーコントロールと隠蔽しました。
 福島県からの避難者は北海道から沖縄まで全47都道府県全てに存在するというのに、
県のトップは物産売り込みには熱心で全国飛び回ったとしても、全国に散らばる避難者には会おうともせず無視しつづけています。
 私たち避難者の正確な数や実態、苦難の状況を把握しようともしないし、声も聞かない、
受け入れ先の自治体に「避難者をよろしく」とお願いもしてくれない。
 学校のいじめは学校長が無視、隠蔽したら苦しむのは子どもたちです。
 隠蔽されて再発防止策が講じられないと、被害の子も加害の子も、そして今は加害者にも被害者にもなっていないけれど、新たな犠牲者が出ることは必至です。
 そして再発防止は事実(何が起きていたかという被害の事実)と向き合わずしてはありえないと思うのです。
 いじめも原子力惨禍もそれは同じことです。
 なかったことにする、見ないことにする、臭いものに蓋が、どれだけ多くの子供たちの未来を奪っていることか・・・
 そのことに全ての人が気づくべきだと私は思うのです。
 避難児が恐喝いじめ事件に遭っていたという痛ましい事件がありましたが、全国に散らばる避難者の子どもたちは、国・県からの保護が皆無に等しく、同様の危険にさらされ続けているという現状があります。避難するという選択を尊重されないばかりか、さらなる危険にさらされながらの避難の継続を強いられることは、あってはならないことです。
 子どもたちの未来と健康を最優先に考えてください。
 子どもたちはこの国の未来であり、福島県にとっても大切な宝物です。
 避難を続ける人々の選択を尊重し、特に保護すべき避難の子どもたちをどうか全力で守ってください。
 内閣総理大臣と福島県知事が全力でその姿勢を示してください。

 長文かつ乱文、大変失礼いたしました。

 福島の復興を切に願う一県民として、また、東日本大震災の真の復興を心から願う一国民として、筆を取らせていだだきました。
 最後までお読み下さいましてありがとうございます。

  2016年11月28日

                                       森松明希子


12・4チラシweb版 

「福島の現実に向き合い、原発再稼働を止めよう 11.19集会」(脱原発を目指す女たちの会)を視聴する~UPLANの再開を待ちながら

 今晩(2016年11月29日)配信した「メルマガ金原No.2645」を転載します。

「福島の現実に向き合い、原発再稼働を止めよう 11.19集会」(脱原発を目指す女たちの会)を視聴する~UPLANの再開を待ちながら

 私のメルマガ(ブログ)を毎日読んでくださっている方がはたして何人位おられるのか、実数を把握す
るのは困難ですが、何とか2桁に乗る程度はおられるのではないかななどと期待も交えて推測しています
 メルマガを配信している先は240以上ありますが、一方的に送りつけるだけですから、毎日読んでく
れるなどと期待する方が無理でしょう。
 これに比べてブログ版は、読者が積極的に「閲覧しよう」としない限り、アクセス・カウンターの数字
は上がりませんから、まだしも実数を把握できる可能性があります。ただ、毎日の実訪問者数平均して150人~200人のうち、リピーターや常連の方は少ないようなので、やはりこちらも「毎日閲覧」という人はそうそういないでしょう。

 ・・・というようなボヤキが今日の主眼ではありません。メルマガ(ブログ)の「毎日配信」も大変ですが、それとは比べものにならないほど大変な苦労をしながら動画配信を続けてきてくださったのがUPLAN
の三輪祐児さんです。
 三輪さんによる取材・撮影・YouTubeへのアップの頻度たるや、ほとんど「毎日配信」に近く、時には1日2本立というようなこともあり、IWJのように何人もスタッフを抱えてということもなさそうな中で
、よく続くものだと驚嘆していました。
 UPLANの驚くべきところはその「頻度」だけではなく、何よりもその対象とする「企画」の選択眼の素晴
らしさにこそあります。
 原発問題を中心としながら、憲法問題、TPP、人権問題など、これぞという企画の動画がないかと探
す時、私はまずまっさきにUPLANにアップされていないかどうかを確認するのが習慣となっていました。
 これまでに2つのYouTubeアカウントに集積された動画は、まことに貴重な歴史の証言です。
 

 「祐児三輪アカウント」の「About」で、三輪さんは次のように書かれています。

(引用開始)
狭義の意味でのジャーナリストではありません。歴史資料としてこれらの映像を配信しています。10年後、20年後の人々は、原発再稼働やTPP加盟に狂奔する現代の私たち日本人を狂った、理解不能な、奇異な存
在として見ることでしょう。我々が戦時下にB29と竹槍で戦おうとした日本人を見るように・・・。
そういう未来の研究者のために、現代の我々がどういう情報や意見を持ち、何を考え、どのような未来を
構想し、そしてどのようにして敗れていったのかを伝えようと思っています。
撮影・編集および配信者:UPLAN 代表 三輪祐児
(引用終わり)

 さて、その三輪さんも、さすがに疲れた、ということだと思いますが、11月13日のFacebookに以下
のような投稿をされました。

(引用開始)
【年末の配信休止の予告】
みなさま
五年半にわたって続けてきた映像活動ですが、いったんお休みさせていただきます。12月中頃までは、す
でに約束済や予約済の映像のみの配信にいたしますが、休息後、来年初頭からは別の形で再開いたします

つかれました。最近は大切な約束を失念したり、移動中の自転車で事故をおこしかけたり、深酒による失態など、自分自身の体力、気力に自信を失っています。福島の皆さまにはとくにお詫びします。継続配信をいったん中断して、別の闘い方を模索します。決して見捨てることはいたしません。ただ、いま限界なのでしばらく休憩をとらせていただきたいと思います。お許しください。来年になったら新しい形でお目
にかかれると思います。
(引用終わり)

 この投稿に対する沢山のコメントを読めば、三輪さんの配信するUPLANの動画が、どれだけ多くの方に頼りに
されていたかが分かります。
 再開UPLANの活動に期待することはもちろんですが、今はゆっくりと心身ともにリフレッシュするため、ゆっくり休養をおとりください、と申し上げたいと思います。
 
 ところで、私自身の「休養」は?
 うーん、どうしようか。

 さて、今のところ、UPLANがアップした最新の映像は、去る11月19日(土)に東京都千代田区永田町の星陵会館で開かれた「脱原発をめざす女たちの会」主催による「福島の現実に向き合い、原発再稼働を
止めよう 11.19集会」です。
 前半は、石丸小四郎さん(双葉地方原発反対同盟代表)と千葉親子さん(3.11甲状腺ガン家族の会元代表世話人)による福島からの報告。後半は、YUKARIさん(シンガーソングライター・福島県いわき市から東京へ避難)による歌と石川賢治さん(福井原発訴訟<滋賀>弁護団事務局長)による講演です。いずれも傾聴すべき内容ですが、稼働中の原発を裁判で止める初の事例となった高浜原発運転差止・大津地裁仮処分決定について、事務局長の石川弁護士から分かりやすく説明してくれていますので、是非視聴していただければと思います。

 それでは、年明けからのUPLANの「新しいかたち」での再開を期待しつつ、上記動画をご紹介します。

20161119 UPLAN【前半】脱原発を目指す女たちの会(1時間04分)

冒頭~ 開会
3分~ 「過酷事故5年8か月後の今」石丸小四郎さん(双葉地方原発反対同盟代表)
36分~ 「多発する甲状腺ガンの現状」千葉親子さん(3.11甲状腺ガン家族の会元代表世話人)
58分~ ビデオメッセージ 福島みずほさん(社民党参議院議員)

20161119 UPLAN【後半】脱原発を目指す女たちの会(1時間11分)

冒頭~ 歌:YUKARIさん(シンガーソングライター・福島県いわき市から東京へ避難)
19分~ 講演:「大津地裁は高浜原発をどう止めたか」石川賢治さん(福井原発訴訟<滋賀>弁護団事
務局長)
1時間08分~ 閉会 司会者より

(付録)
『My Life』 作詞・作曲・演奏:Yukari
 

11/26「第3回 全国市民意見交換会」(主催:市民連合&総がかり行動実行委員会)を視聴する

 今晩(2016年11月28日)配信した「メルマガ金原No.2644」を転載します。

11/26「第3回 全国市民意見交換会」(主催:市民連合&総がかり行動実行委員会)を視聴する

 昨日も少し触れましたが(11/26自由党大阪府総支部連合会(大阪府連)総会開催~小沢一郎氏語る)、一昨日(11月26日)、東京都千代田区霞が関の全日通霞ヶ関ビルディングを会場として、午前10時開始、午後4時終了という長丁場の集会が開かれました。「市民連合(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の共催により、「市民と野党の共闘の深化と衆院選に向けた戦略の構築を目指す目的で」開催された「第3回 全国市民意見交換会」であり、市民連合わかやまも参加することとし、事務局から1名を派遣しました。
 参加した若手弁護士がMLに配付資料をPDF化してアップしてくれたのですが、各地からの報告のための資料が豊富に含まれており、じっくり読み込めば、今後の私たちの活動にとっても非常に参考になるところが多いのではないかと思います。
 その資料の冒頭に当日のプログラム(次第)が載っていましたので、以下に転記します(ただし、スペースの都合で団体名称が略称とされている場合、極力正式名称で表記するようにしました)。
 
〔第1部〕(10:30~12:30)
1 開会の挨拶 / 高田健(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)
2 選挙戦の総括 / 山口二郎(立憲デモクラシーの会)
3 北海道からの報告 / 小林久公(戦争させない市民の風・北海道)
4 三重からの報告 / 森原康仁(市民連合みえ)
5 東京からの報告 / 森田彦一(TeNネットワーク2016)
6 新潟からの報告 / 横山由美子(新潟に新しいリーダーを誕生させる会)
7 地方議員との共闘の可能性 / 市来とも子(杉並区議会議員)
8 市民参加型選挙に関する提案 / 芝田万奈(学生/元SEALDs)

昼休憩(12:30~13:30)

〔第2部〕(13:30~15:10)
意見交換会
グループA 小会議室(7F):北海道/秋田/岩手/宮城/山形/福島/栃木/群馬/茨城/埼玉/千葉/新潟/長野
グループB 大会議室(8F):東京/神奈川
グループC 中会議室(8F):静岡/愛知/岐阜/富山/石川/三重/滋賀/京都/大阪/奈良/和歌山/兵庫/岡山/山口/徳島/香川/愛媛/福岡/長崎/佐賀/熊本/宮崎/鹿児島

小休憩(15:10~15:25)

〔第3部〕(15:25~16:00)
1 各グループからの報告
2 今後の方針についての共有 / 諏訪原健(大学院生/元SEALDs)
3 全体総括 / 中野晃一(安全保障関連法に反対する学者の会)
 
 以上はあくまで「予定」ですから、実際このとおりのタイムスケジュールで進行したのかは分かりませんが、幸い、第1部と第3部の模様を収録した動画が公開されていますので(昨日もご紹介しましたが)、視聴のための目安の時間も添えてご紹介します。
 今後の各地での取組の参考となる経験が様々に語られていますので、是非1人でも多くの方に視聴していただければと思います。
 
市民連合 第3回全国市民意見交換会 2016年11月26日(2時間35分)

〔第1部〕
冒頭~ 開会
1分~ 開会の挨拶 高田健さん(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)
7分~ 選挙戦の総括 山口二郎さん(立憲デモクラシーの会)
25分~ 北海道からの報告 小林久公さん(戦争させない市民の風・北海道)
37分~ 三重からの報告 森原康仁さん(市民連合みえ)
56分~ 東京からの報告 森田彦一さん(TeNネットワーク2016)
1時間06分~ 新潟からの報告 横山由美子さん(新潟に新しいリーダーを誕生させる会)
1時間22分~ 地方議員との共闘の可能性 市来とも子さん(杉並区議会議員)
1時間34分~ 市民参加型選挙に関する提案 芝田万奈さん(学生/元SEALDs)、塩田潤さん(元SEALDs KANSAI、関西市民連合)

1時間57分~ 昼休憩

〔第3部〕
1時間58分~ グループBからの報告
2時間03分~ グループCからの報告
2時間09分~ グループAからの報告
2時間14分~ 今後の方針についての共有 諏訪原健さん(大学院生/元SEALDs)
2時間22分~ 全体総括 中野晃一さん(安全保障関連法に反対する学者の会)
2時間33分~ 閉会

11/26自由党大阪府総支部連合会(大阪府連)総会開催~小沢一郎氏語る

 今晩(2016年11月27日)配信した「メルマガ金原No.2643」を転載します。

11/26自由党大阪府総支部連合会(大阪府連)総会開催~小沢一郎氏語る

 昨日(11月26日)、先月、党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」から「自由党」に変更した
同党の大阪府総支部連合会(大阪府連)総会が、共同代表の小沢一郎氏も出席して開催されました(於:大阪市立社会福祉センター)。
 その模様が、IWJ大阪によって中継され、アーカイブが視聴できますのでご紹介します。
 
新生「自由党」大阪府総支部連合会大会 2016.11.26(1時間19分)
2分~ 開会
来賓挨拶
4分~ 平野博文氏(民進党、衆議院議員)
11分~ 辰巳孝太郎氏(日本共産党、参議院議員)
16分~ 服部良一氏(社会民主党、元衆議院議員)
総支部長挨拶
24分~ 村上史好氏(大阪府第6区総支部長、大阪府連代表、前衆議院議員)
28分~ 渡辺義彦氏(大阪府第7区総支部長、元衆議院議員)
32分~ 真白リョウ氏(大阪府第12区総支部長、音楽家・作家)
議案提案・採択
40分~ 役員人事について
42分~ 活動方針について
党代表挨拶
44分~ 小沢一郎氏(自由党共同代表、衆議院議員)
1時間14分~ 頑張ろう三唱
1時間16分~ 小沢一郎氏ぶらさがり会見

 ところで、自由党ホームページを閲覧すると、今月下旬から、各地で「総支部連合会総会」が開催され
ていることが分かります。

11月20日(日) 千葉県総支部連合会(千葉県連)総会
11月25日(土) 東京都総支部連合会(東京都連)総会
11月26日(日) 大阪府総支部連合会(大阪府連)総会
11月27日(日) 岩手県総支部連合会(岩手県連)総会
11月28日(月) 神奈川県総支部連合会(神奈川県連)総会
11月29日(火) 岡山県総支部連合会(岡山県連)総会
12月 2日(金) 沖縄県総支部連合会(沖縄県連)総会

 以上の都府県連総会には全て小沢一郎代表が出席(予定)して、以下のような挨拶をされているようで
す。

「小沢代表はあいさつの中で新綱領について述べ、党名の『自由』は今横行している競争原理に優先順位をおき、自由勝手にやらせる、一般国民にはそのうちおこぼれがくるという新自由主義とは異なり、社会保障を取り入れた民主主義、公平公正な開かれた考え方と説明。安倍政権とは根本的に考え方が違うと述べた。また、「政権をとってこれを実現するためにも選挙が重要」「野党協力で必ず勝てる。そのために最後まで尽力する」と早期解散を想定した次期総選挙に向け強い意欲を示した。」(千葉県総支部連合会総会にて

 以上の小沢代表の挨拶にあるとおり、全国各地で総支部連合会総会の開催を急ぐのも、衆議院の早期解
散を想定してのことであるのは言うまでもありません。
 もちろん、民進党や日本共産党も着々と準備は進めているでしょうが、社民党を含めた4野党間の共闘(と言いたくない人もいるようですから、「選挙協力」でも良いのですが)はどの程度進んでいるのでし
ょうか。東京では幹事長・書記長会談があったようですが、現場(各都道府県レベル)での調整がつくかどうかが問題です。
 昨日の自由党大阪府連の総会には、野党3党からの来賓挨拶がありましたが、大阪での4野党間の選挙協力(端的に言えば小選挙区の割り振り)の行方はとても気になります。何しろ、大阪では、自民、公明だけではなく、維新とも闘わねばならず、先般の参院選では立憲野党は1議席も取れなかったのですからね。

 ところで、今夏の参院選において、特に1人区における野党共闘を推進するために大きな力を発揮した
市民連合と4野党の協議が、来るべき衆院選を見据えて、11月17日に再び開催されました。
しんぶん赤旗 2016年11月18日(金)
市民と4野党 意見交換/共通政策 力合わせ豊かに/総選挙に向け定期開催確認


 さらに、昨日(11月26日)、市民連合と総がかり行動実行委員会の呼びかけにより、東京都内で第
3回全国市民意見交換会が開催され、市民連合わかやまも参加しました。
しんぶん赤旗 2016年11月27日(日)
衆院選 市民・野党の共闘大きく/市民連合総がかり実行委全国意見交換会

動画(2時間35分)


 以上のような動きと連動してと言って良いかどうかはさておき、昨日の自由党大阪府連総会には、市民連合わかやまから何人かのメンバーが参加しました(私は行っていません)。自由党近畿ブロックのホームページによると、「党員・サポータの方はもちろん、生の小沢一郎の話を聞いてみたいという方にもオブザーバー席をご用意しております。」とありましたので、その「オブザーバー席」で小沢代表の演説に耳を傾けていたのでしょ
う。
 以下の私のブログでもご紹介しているとおり、今夏の参院選和歌山県選挙区において、ゆら登信候補を推薦してくださった「生活の党と山本太郎となかまたち」の小沢一郎代表からは、節目節目に丁寧なメッセージをいただいていましたので、そのお礼を述べるという趣旨もあったのかもしれません。
 自由党が衆議院和歌山1区~3区に独自候補を立てる可能性はないでしょうが、衆院早期解散を前提として、市民連合わかやまとしても、先日の「第3回 賛同団体・賛同者の集い」で承認された当面の活動方針「来るべき衆院選において、立憲野党に共闘を呼びかけ、その実現を目指す活動を行う。」を早急に具体化しなければならないということを、自由党大阪府連総会を視聴して再確認しました。

“DAYS JAPAN”丸井春編集長が語る「いのちのものさし」ほか~「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(031~034)

 今晩(2016年11月26日)配信した「メルマガ金原No.2642」を転載します。

“DAYS JAPAN”丸井春編集長が語る「いのちのものさし」ほか~「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(031~034)

 「ラジオフォーラム」の事実上の後継番組として、今年の4月からスタートした「自由なラジオ LIGHT UP!」。そのアーカイブYouTubeとPODCASTで聴取することができますので、これまで4回にわたり、その全番組(30本)のアーカイブをご紹介してきました。
 ここまで来れば、「自由なラジオ LIGHT UP!」の全てのアーカイブを紹介するブログを目指すとの決意を前回披瀝しましたので、その公約に従い(?)、最新の4本(031~034)をご紹介します。

 いずれも興味深い内容ですが、私も定期購読者の1人となっているフォトジャーナリズム月刊誌「DAYS JAPAN」の2代目編集長・丸井春さんに注目です。
 「DAYS JAPAN」と言えば広河隆一、広河隆一と言えば「DAYS JAPAN」という具合に、きってもきれない関係と思われてきたカリスマ編集者の後を継いだのが、写真家ではない若き女性編集者であったことに、定期購読者を含め、多くの人があっと驚いたことと思います。
 基本的にこれまでの広河さんの編集方針を踏襲しながら、徐々に新編集長としての色が出せればいいという堅実な方針のように思われ、多くの読者から信頼を得つつあるというところではないでしょうか。

 ところで、何ヶ月ぶりかで「DAYS JAPAN」のホームページを閲覧してみて驚きました。旧サイトは、今年の9月号を最後に基本的に更新が止まっていました。
 そして、全面的に刷新されたホームページは、相当に雰囲気が変わっていました。
 何より注目すべきは、比較的最近の記事がかなりの本数、テキスト中心(中には写真がメインの記事もあります)ではありますが、全文掲載されていることです。
 現在のところ、まだコンテンツなしのジャンルもありますが、「チェルノブイリ」「福島」「沖縄」「戦争」「女性・子ども」「自然」「災害」「営みの地球」「コラム」に分類されて掲載されています。
 また、今はトップページに「沖縄基地問題ピックアップ」というコーナーが設けられています。
 試みに、カテゴリー「福島」に掲載されている記事は以下のとおりです。

2016年11月号
「福島県の追跡調査が示す 母親たちの深く孤独な不安」(広河隆一)
2016年7月号
「[小児甲状腺がんを追う」①ヨウソ剤服用うやむやにした責任者は誰か?」(広河隆一)
2016年7月号
「福島の母354人本音アンケート 子供の健康・避難と保養」(広河隆一)
2016年5月号
「福島原発事故から5年 復活する「福島安全神話」」(広河隆一)
2016年4月号
「DAYSから福島民友新聞へ 「風評被害」とは何か」(広河隆一、DAYS JAPAN編集部)
2016年3月号
「原発事故が変えた景色 町をのみ込む汚染廃棄物」(写真:広河隆一)
2016年3月号
「中間所蔵施設になる私の故郷 さよならをするために。」(写真・インタビュー:広河隆一、まとめ:丸井春)

 たまたま「福島」は広河隆一さんの記事や写真ばかりでしたが、「沖縄」に関しては森住卓さんの記事や写真も掲載されています。
 このように、読み応えのある記事をホームページで公開することについては、定期購読者を増やして経営を安定させるという観点から見てどうなんだろう?という意見もあるでしょうが(正直私もそう思わないでもありませんが)、それよりも、1人でも多くの人に読んでもらいたいという公益性を優先したということでしょうか。
 いずれも是非お薦めしたい記事ばかりですが、上に紹介した「福島」の記事の中でも、特に3月号に掲載された「中間所蔵施設になる私の故郷 さよならをするために。」は、是非みんなに読んでいただきたいですね。
 そして、このような素晴らしい記事が満載の月刊誌「DAYS JAPAN」が、年間(12冊)予約購読すれば、何とわずか7,700円(1冊あたり641円)で配達されてくるのです。是非皆さん申し込んでください。絶対に後悔はしません。

 さて、それでは「自由なラジオ LIGHT UP!」のアーカイブ4回分(031~034)をご紹介します。

031 2016.11.1
DAYS JAPAN若き編集長が語る「いのちのものさし」
PERSONALITY おしどりマコ・ケン
GUEST 丸井春さん(報道写真誌DAYS JAPAN 編集長)


「今回のスタジオのお客様は、報道写真誌DAYS JAPANの編集長、丸井春さんです。フォトジャーナリスト広河隆一さんの後を継いで、30代前半の若さで編集長になった丸井さんに、広告に頼ることなく真実を報道する雑誌を創っていらっしゃる、その思いをじっくりと伺いました。
 当初は講談社から発刊されていたDAYS JAPAN。その創刊号(1988年)では、「四番目の恐怖」と題し、なんと福島第一原発の爆発を予言するかのような驚きの記事が、広瀬隆氏と広河隆一氏の手によって特集されています。
 そんなこだわりの写真ジャーナリズム誌が、さまざまな圧力から休刊に追い込まれ、そしてその後、広河隆一氏の執念と多く読者の支援に支えられ、独立誌として再起するまでのエピソードを、番組前半で伺いました。
 また後半では、広河隆一氏の引退に伴い、なんと公募で編集長の座を射止めた丸井春さんに、女性ならではのしなやかな視点で編集する新しいDAYS JAPANの魅力について伺いました。
 特に力を入れている動物福祉の問題を例に、「経済のものさし」でつくられる社会の仕組みの中で、人は大切なものの多くを失っていること、そして「いのちのものさし」で世の中を見ることで、豊かで、何よりも争いのない平和な社会が見えてくることを教えてくださいました。
 今の時代だからこそ大切な「本当のことを知る権利」を保障しながら、真実を写す「写真」のもつダイナミズムによって社会を変えようするDAYS JAPAN。
 私たち自由なラジオも、ラジオというツールで同じところを目指す組織として、ぜひエールを送りたいと思います。」
 

「今回は、リスナーのあなたといつも以上に“真っすぐに向き合う”番組にしたいと思い、ちょっと変則的な構成、でもとってもあたたかなオンエアになりました!
 番組冒頭では、ずっと番組を聴いてくださっているリスナーのみなさんや、カンパをお寄せいただいている市民スポンサーのみなさんからのお便りをたっぷりとご紹介しています。本当に日々あたたかな思いをお届けくださり、ありがとうございます!そしてお志しをお分けくださっている皆さま、皆さまのお力があってこそこの番組が成り立っています!普段は時間がなくてなかなかゆっくりお伝えできていなかったのですが、でもどうしても心から感謝の気持ちを届けたく、今回のこのコーナーを収録しました。
 そして、今回はおふたりのゲストの方に、電話でお話を伺いました。お一人目は、作家の澤地久枝さんです。戦争へと転がり落ちつつあるような今の日本だからこそ、若い世代に戦争の記憶をきちんと語り伝えたい、そんな強い思いを抱いて活動をつづける澤地さん。ご著書『14歳<フォーティーン>満州開拓村からの帰還』は、まさにその思いを書き綴った作品で、これまで誰にも話したことがないことも、この本には託したといいます。そこに至ったお気持ち、執筆のご苦労などをご本人から伺いました。
 お二人目の電話ゲストは、落合恵子さんです。新潟県知事選を勝ち抜いた米山隆一氏。民主主義の中では、世の中は変わり得る可能性があると勇気を得た今回の結果。そのニュースに胸を震わせた同志の落合さんと木内さん。少し……ほんの少し希望が見える中を、あきらめないで力強く動いていかねばと誓い合いました。思えば、東京五輪に見るメディアの一色報道。その中で目くらませを食らっているかのように、見逃してはならない大切な現実が届きづらい。そんな今、私たちは目を見開き、耳を澄まして、しっかりと立っていなくては! そんなことを改めて感じるインタビューになりました。
 そして、澤地久枝さんも落合恵子さんも、またこの番組、市民のための自由なラジオ“Light Up!”に出演してもいいですよ、とおっしゃっていただけました!本当にありがとうございます!リスナーのみなさん、そして思いを同じくする仲間たちの輪が、少しずつ少しずつ広がっていっています。あなたもぜひ、市民のための自由なラジオ“Light Up!”にご参加をよろしくお願いします!」

033 2016.11.15
広告代理店からの巨額な広告費に支配されるメディアを疑え!
PERSONALITY おしどりマコ・ケン
GUEST 本間龍さん(元博報堂社員・著述家)


「今回のゲストは、元博報堂の社員で、現在は執筆活動でご活躍の本間龍さんです。「広告代理店」という言葉が期せずして一般的になった今年、ネット広告に絡む不正請求事件や過労自殺問題などの不祥事が続く「電通」を例に、広告代理店とはいったいどんな業態なのか、そしてそこに常態化している異常な体質とは具体的にはどのようなものなのかについて詳しく伺いました。(その中で、本間さん自身が犯した罪とその罪を服役して償ったお話しも後半で伺っています。)
 年商2兆円以上を稼ぎ出す巨大企業「電通」は、巨額な広告費を引き受け、国などの行政や大企業の思うままの広告を大量に投下します。市民は知らず知らずのうちにプロパカンダに洗脳され、例えば3.11以前は、ほとんど誰もが原発は「安くて安全でクリーンなエネルギー」と思いこみ、問題意識を持ちえなかったように、本当に大切な真実が見えづらい状況におかれてしまっていました。
 広告だけではなく、報道もそうです。メディアは広告収入で成り立つ故に、企業や広告代理店にとって不都合な事実は、積極報道したりはしないでしょう。そのために、市民の知る権利が大きく侵害されるケースが発生します。
 では、私たちはそんな社会の中で、どのような姿勢でいたらよいのでしょうか?大手メディアが報道することを鵜呑みにしないこと、しっかりと自分の目と耳で確かめてから理解すること。それしかありません。そしてそういった確かな意思をもつ市民が育つことが、世の中を変えていく力になることを願って止みません。資本主義の中のメディアと市民の在り方を問う、そんな放送回となりました。
■LIGHT−UPジャーナル「原発とプロパガンダ~巧妙に仕組まれた日本のメディア報道と広告~」
今回のLight Up!ジャーナルは、本間龍さんともに、原発とプロパガンダについてお伝えします。私たちはなぜフクシマまで、原発を疑わなかったのか? 巧妙に仕組まれた日本のメディア報道と広告について考えます。
本間龍・著「原発プロパガンダ」(岩波新書)
原発プロパガンダ (岩波新書)
本間 龍
岩波書店
2016-04-21



「2013年『永続敗戦論――戦後日本の核心』という本がベストセラーになりました。1945年以来、我々はずっと「敗戦」状態にある。「永続敗戦」とは戦後日本のレジーム(政治体制)の核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。そのように解くこの本は、多くの読者から支持され、現代日本を考える上での重要な指摘であると高い評価を受けました。今回は、著者である白井聡さんをゲストに迎え、「侮辱のなかに生きる」我々日本国民への提言をお聞きします。
『永続敗戦論 戦後日本の核心』(講談社+α文庫)□白井 聡

※注 今月(2016年11月)文庫化されました。
■緊急報告「豊中市私立小学校建設を巡る疑惑とは?」
 大阪豊中市で今、「瑞穂の国記念小学院」という私立小学校の建設工事を巡り、ある疑惑が浮上しています。空港移転跡地だった国有地を当該学校法人に売却したにも関わらず、公開されるべき売却金額は非公開。さらに、名誉校長は安倍昭恵氏(安倍晋三首相夫人)、法人理事長には右翼団体の大阪支部長。それ故か、この学校法人が運営する幼稚園では、子どもたちに教育勅語を暗唱させ、軍歌を歌わせている。果たしてその裏には何があるのか?豊中市会議員でこの問題を追及する木村真さんをゲストに迎え内情をお聞きします。」
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2013年11月4日
「DAYS JAPAN」新編集長募集11/1締切 素晴らしい後継者が選ばれることを祈ります

2014年3月19日
広河隆一さんの大きな懸念と『自発的隷従論』
2016年8月16日
「市民のための 自由なラジオ LIGHT UP!」のご紹介~もう19回分もアーカイブがたまっていた

2016年9月5日
古賀茂明さん、泥憲和さん、望月衣塑子さん~「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(020~022)
2016年10月1日
チェルノブイリ事故から30年目のベラルーシを訪ねた菅谷昭松本市長ほか~「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(023~026)
2016年10月25日
伊藤宏さん(和歌山信愛女子短期大学教授)が西谷文和さんと語る「現場記者が見てきた『原子力ムラ』」ほか~「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(027~030)

2016年12月前半までのTVドキュメンタリー~小泉純一郎、夏目漱石、ボブ・ディラン、原田要

 今晩(2016年11月25日)配信した「メルマガ金原No.2641」を転載します。

2016年12月前半までのTVドキュメンタリー~小泉純一郎、夏目漱石、ボブ・ディラン、原田要

 ほぼ1週間に一度お送りする、と決めている訳ではないのですが、素材探しをしている時間もない時には、まずこの「手」です。
 実際、1週間も経つと、興味深いドキュメンタリー番組の予告が新たにホームページに掲載されているのですよね。ということで、今日も備忘録代わりのTV番組案内をお届けします。
 12月4日(日)早朝(テレビ朝日:午前4時30分~5時00分、朝日放送:午前5時20分~5時50分)のテレメンタリー「飯舘村 10年後の手紙」も少し気にはなりますが、帰還推進政策との兼ね合いも懸念されますので、それ以外に目に付いた、「人物」をフューチャーした番組を4本ご紹介することにしました。
 小泉純一郎、夏目漱石、ボブ・ディラン、原田要(元海軍パイロット)が、どのように取り上げられているか、いずれも興味深いものがありそうです。
 
2016年11月28日(月)午前0時50分~1時50分(日曜深夜)
毎日放送(MBS) 映像’16
なぜ私は変わったのか~元総理・小泉純一郎と3.11

※詳細な番組案内と「取材ディレクターより」が公式サイトに掲載されていますが、コピペできない設定のようなので、是非リンク先でお読みください。小泉純一郎氏の「脱原発」に懐疑の目を向ける人の気持ちも分からないではありませんが、利用できるものは何でも利用しなければね。

2016年12月3日(土)午後11時00分~午前0時30分
NHK・Eテレ ETV特集
漱石が見つめた近代~没後100年 姜尚中がゆく~

「夏目漱石没後100年。政治学者の姜尚中さんは「漱石は近代化の行く末を見抜いていた」という。留学先のイギリスで西洋近代の光と影を体験した漱石。日露戦争に勝利して大陸に進出する日本の姿を旧満州・中国東北部と朝鮮半島への旅で見つめていた。新発見の資料をもとに姜さんがロンドンから大連、旅順、ハルビン、そして韓国を訪ねる。文明批評家・夏目漱石の姿をアジアの研究者や作家・黒川創さんとの対話から探ってゆく。」
※通常は60分枠のETV特集ですが、特別に90分となっています。
 
2016年12月10日(土)午後9時00分~9時49分
NHK総合 NHKスペシャル
ボブ・ディラン~ノーベル賞詩人の素顔~(仮)

「反戦フォークの旗手、偉大な芸術家、今世紀最高の詩人・・・。1961年、ケネディ大統領誕生に沸くニューヨークに現れた一人のシンガーは、アメリカの時代の精神を歌に刻みながら歩み続け、“生ける伝説”となった。今年ノーベル文学賞を受賞したボブ・ディラン。これまで、その謎めいた比喩や歌詞は、正確な意味をめぐって研究者の間でも解釈が分かれ、議論を呼び続けてきた。ボブ・ディランとは何者なのか。そして、詩に込められた真意とはどのようなものなのか。今回、NHKはディランの秘蔵のメモやデモテープ、リハーサルを収めたフィルムなどの未公開資料を独自に入手。ひとつの歌が生まれるまでに、ディランがどんなまなざしで時代と向き合い、切り取り、詩へと凝縮させてきたのかを描いていく。その創作過程は、まさにアメリカの現代史そのものでもある。「受賞式は欠席」と伝えたあと再び沈黙を続けているボブ・ディラン。世界中が注目する授賞式の当日に、ノーベル賞詩人の知られざる素顔に迫っていく。」

2016年12月12日(月)午前2時05分~
日本テレビ系列 NNNドキュメント’16
ゼロ戦乗りの遺言~真珠湾出撃 原田要の肖像~

「零戦パイロットとしてハワイ真珠湾を戦い、その体験を語り継いできた原田要さん(享年99)。霞ヶ浦航空隊を首席で卒業、命がけで敵を撃墜することが最高の名誉と考えていたが、出撃を繰り返す中で意識が変わっていく。平和を重んじる人間を育てたいと戦後は幼稚園を経営。半世紀近く自身の体験を語らなかった原田さんが、湾岸戦争をテレビで見た園児の言葉に衝撃を受け、語り部として生きる覚悟を決めたという。元零戦乗りの遺言。」

 
(弁護士・金原徹雄のブログから)

新任務を付与されて南スーダンに派遣された陸上自衛隊と「5党合意」

 今晩(2016年11月24日)配信した「メルマガ金原No.2640」を転載します。

新任務を付与されて南スーダンに派遣された陸上自衛隊と「5党合意」

 以下は、去る10月29日に配信した「10月29日の冒険~『法華経』、『標的の村』、木村草太氏講演会」という、謎めいた三題噺のようなタイトルの記事の一部をスピンオフさせつつ、新たな視点から書き足したものです。

 この三題噺の3つ目、木村草太首都大学東京教授(憲法学)による和歌山市での初めての講演会(主催:和歌山県保険医協会)を聴講した私が、[辺野古新基地建設と日本国憲法]という論点(これについては、3日前に、「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど」で再び取り上げました)と、もう一つ取り上げた論点が、安保関連法制についてのいわゆる[5党合意]でした。
 木村さんが和歌山での講演会で「5党合意」を取り上げたのは、主には、存立危機事態における防衛出動に例外なく国会の事前承認を要するとした「5党合意」2項前段を紹介するためでしたが(この合意から、例外なき国会承認を要すると解釈するのは無理ではないかと私は思っていますが)、今日、私が「5党合意」を振り返っておこうと考えたのは、その合意の中に、「駆け付け警護」に関する条項が含まれているからです。
 まず、「5党合意」についてのおさらいをしておきましょう(以下は、10月29日に書いた私自身の文章をほぼそのまま再掲しています。
 
[5党合意について]
 2015年5月15日に内閣から衆議院に提出されたいわゆる安全保障関連法案(「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律」及び「国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律」の2法案)は、7月16日に衆議院を通過して参議院に送られました。参議院では、「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(鴻池祥肇委員長)で審議が行われてきましたが、9月27日の会期末を控え、与党による強行採決が取り沙汰される中、9月15日には中央公聴会、翌16日には地方公聴会(横浜市)が行われるという日程が確定しました。
 以上のような緊迫した情勢の中、自民・公明の与党と一部少数野党との間で修正協議が行われてきましたが、修正案を可決しても、会期末までに衆議院での再議決を行う時間的余裕はなく、結局9月16日、自由民主党、公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党は、「平和安全法制に関する合意事項」を内容とするいわゆる「5党合意」を締結し、これを踏まえ、翌17日の参議院特別委員会において「附帯決議」を付した上で安保関連2法案を可決し、9月19日未明の参議院本会議における採決によって両法案が成立したことを受け、持ち回りにより、閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」が行われました。
 参議院における「附帯決議」に法的効力はありませんが、この「5党合意」の特徴は、合意事項を担保する方法として、「附帯決議」の他に「閣議決定」を行うことも合意されたことであり、この合意に基づき、9月19日に行われた閣議決定において、「4 政府は、本法律の施行に当たっては、上記3の5党合意の趣旨を尊重し、適切に対処するものとする。」とされました。
※基本文献
「平和安全法制についての合意書」(5党合意)
「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案に対する附帯決議」
閣議決定「平和安全法制の成立を踏まえた政府の取組について」

 さて、以上の「5党合意」が行われてから1年半が経過し、ついに、新安保法制に基づく新たな任務を付与された陸上自衛隊が南スーダンに派遣されました。
 本来であれば、このような場合に、独自の立場から「5党合意」の履行と慎重な運用を政府に迫るべき野党3党(日本を元気にする会、次世代の党、新党改革)が、とてもそのような状況でないことは確認しておかねばならないでしょう。
 この「5党合意」でおそらく野党側の中心となったのは「日本を元気にする会」(当時の代表は松田公太参議院議員)でしょうが、松田氏自身、今夏の参院選に出馬せずに政界を引退し、政党要件も喪失した上に、参議院会派としての「日本を元気にする会」も解散となり、結局、実体としての「日本を元気にする会」はほぼ消滅した、と言うべきでしょう。
 また、「新党改革」は、もともと「5党合意」当時から、荒井広幸参議院議員1人しか国会議員のいない政党でしたが、その荒井氏も今夏の参院選で落選し、「新党改革」は解散ということになりました。
 結局、残るは「次世代の党」あらため「日本のこころを大切にする党」だけですが、そもそも、同党があの「5党合意」で主導的な役割を演じたとはとても思えず、当時も現在も、政府与党の暴走にブレーキをかけることなど期待する方が無理でしょう・・・と思わないでもありませんが、本当はそういう決めつけはよくありませんね。
 公党として国民のために行った「合意」なのだから、しっかりとその履行を政府に要求すべきだと声援(というか叱咤)を送るべきなのだと思います。
 もっとも、そういう声援のしがいのある「合意」なのかどうかが問題です。
 
 そこで、「駆け付け警護」です。この点については、「5党合意」3項第2文が以下のように定めています(第1文と併せて引用します)。
 
3 平和安全法制に基づく自衛隊の活動については、国会による民主的統制を確保するものとし、重要影響事態においては国民の生死に関わる極めて限定的な場合を除いて国会の事前承認を求めること。
 また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。

 PKOに特化した「合意」は、実はこの3項第2文だけです。この条項については、私がメルマガ(ブログ)に10回連載した「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」の「(4)~逐条的に読んでみた③(3項)」で詳しく検討していますので、やや長くなりますが、第2文に関する部分のみ再掲(引用)します。

(引用開始)
 重要影響事態法についてはこの程度とし、5党合意の合意事項3項第2文「また、PKO派遣において、駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること。」を検討しましょう。
 とはいえ、PKO協力法(国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律)についての概略をおさらいするだけの余力はありませんので、とりあえずは、いわゆる駆け付け警護を含む新たな業務を定めた規定を見ておきましょう。

(定義)
第三条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一~四 略 
五 国際平和協力業務 国際連合平和維持活動のために実施される業務で次に掲げるもの、国際連携平和安全活動のために実施される業務で次に掲げるもの、人道的な国際救援活動のために実施される業務で次のワからツまで、ナ及びラに掲げるもの並びに国際的な選挙監視活動のために実施される業務で次のチ及びナに掲げるもの(これらの業務にそれぞれ附帯する業務を含む。以下同じ。)であって、海外で行われるものをいう。
イ・口 略
ハ 車両その他の運搬手段又は通行人による武器(武器の部品及び弾薬を含む。二において同じ。)の搬入又は搬出の有無の検査又は確認
二~へ 略
卜 防護を必要とする住民、被災民その他の者の生命、身体及び財産に対する危害の防止及び抑止その他特定の区域の保安のための監視、駐留、巡回、検問及び警護
チ・リ 略
ヌ 矯正行政事務に関する助言若しくは指導又は矯正行政事務の監視
ル リ及びヌに掲げるもののほか、立法、行政(フに規定する組織に係るものを除く。)又は司法に関する事務に関する助言又は指導
ヲ 国の防衛に関する組織その他のイから卜まで又はフからネまでに掲げるものと同種の業務を行う組織の設立又は再建を援助するための次に掲げる業務
(1)イから卜まで又はワからネまでに掲げるものと同種の業務に関する助言又は指導
(2)(1)に規定する業務の実施に必要な基礎的な知識及び技能を修得させるための教育訓練
ワ~ソ 略
ツ イからソまでに掲げるもののほか、輸送、保管(備蓄を含む。)、通信、建設、機械器具の据付け、検査若しくは修理又は補給(武器の提供を行う補給を除く。)
ネ 国際連合平和維持活動又は国際連携平和安全活動を統括し、又は調整する組織において行うイからツまでに掲げる業務の実施に必要な企画及び立案並びに調整又は情報の収集整理
ナ イからネまでに掲げる業務に類するものとして政令で定める業務
ラ ヲからネまでに掲げる業務又はこれらの業務に類するものとしてナの政令で定める業務を行う場合であって、国際連合平和維持活動、国際連携平和安全活動若しくは人道的な国際救援活動に従事する者又はこれらの活動を支援する者(以下このラ及び第二十六条第2項において「活動関係者」という。)の生命又は身体に対する不測の侵害又は危難が生じ、又は生ずるおそれがある場合に、緊急の要請に対応して行う該活動関係者の生命及び身体の保護

 上記3条5号ラに定められた業務がいわゆる「駆け付け警護」です。ちなみに、同号トによる治安維持のための「監視、駐留、巡回、検問及び警護」は、実は「駆け付け警護」よりもはるかに危険性が高いのではないかと言われている業務です。
 これらの危険性の高い新業務については、武器使用基準も大幅に緩和されています。

(武器の使用)
第二十六条 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号卜に掲げるもの又はこれに類するものとして同号ナの政令で定めるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己若しくは他人の生命、身体若しくは財産を防護し、又はその業務を妨害する行為を排除するためやむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第四項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
2 前条第三項(同条第七項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定するもののほか、第九条第五項の規定により派遣先国において国際平和協力業務であって第三条第五号ラに掲げるものに従事する自衛官は、その業務を行うに際し、自己又はその保護しようとする活動関係者の生命又は身体を防護するため、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で、第六条第二項第二号ホ(2)及び第4項の規定により実施計画に定める装備である武器を使用することができる。
3 前二項の規定による武器の使用に際しては、刑法第三十六条又は第三十七条の規定に該当する場合を除いては、人に危害を与えてはならない。
4 (略)

 26条1項が治安維持活動における、同条2項が駆け付け警護における、それぞれ武器使用基準を定めた規定であり、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で」武器を使用することができるとされています。
 ところで、PKO協力法において、実施計画や国際平和協力業務についての国会への報告義務について定めた規定は7条であり、これは改正されておらず、従来のままです。
 
(国会に対する報告)
第七条 内閣総理大臣は、次の各号に掲げる場合には、それぞれ当該各号に規定する事項を、遅滞なく、国会に報告しなければならない。
一 実施計画の決定又は変更があったとき 当該決定又は変更に係る実施計画の内容
二 実施計画に定める国際平和協力業務が終了したとき 当該国際平和協力業務の実施の結果
三 実施計画に定める国際平和協力業務を行う期間に係る変更があったとき 当該変更前の期間における当該国際平和協力業務の実施の状況  

 5党合意の3項第2文「駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告する」とあるのは、7条に追加して(横出しして)別途報告義務を課した合意と解することができます。
 私は、個人的には、「駆け付け警護」(3条5号ラ)よりも、「治安維持活動」(3条5号ト)の方がはるかに危険な業務だと思っており、どうせなら、そちらを抑制するような合意はできなかったのか、などと思ったりもします。
 結局は、国会の事前承認でしっかりチェックできるかどうかなのですが。 
(引用終わり)

 さて、今回のいわゆる新任務「駆け付け警護」の付与は、「実施計画の変更」にあたりますから、PKO協力法7条1号に基づき、「当該決定又は変更に係る実施計画の内容」を「遅滞なく、国会に報告」しなければなりません。
 ただ、求められている報告は「実施計画の内容」に過ぎません。
 今回の「駆け付け警護」任務付与を含む「実施計画の変更」については、11月15日の閣議により、以下のとおり決定されました。

(引用開始)
2.変更内容
・国際平和協力業務の種類及び内容
国際平和協力法第3条第5号ラに掲げる業務に係る国際平和協力業務を追加

・同意の安定的維持について、UNMISSの活動内容、期間等に関して安保理における決議がなされる場合その他の必要な場合においては、速やかに国家安全保障会議を開催し再確認する旨を追記
・いわゆる参加5原則が維持されている場合でも、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難と認められる場合には、国家安全保障会議における審議の上、南スーダン国際平和協力隊及び自衛隊の部隊等を撤収する旨を追記
(引用終わり)

 そこで、「5党合意」に戻ってみれば、「駆け付け警護を行った場合には、速やかに国会に報告すること」とあり、これは、PKO協力法7条各号に規定のない事項ですから、実際に「駆け付け警護」を行ったなら、特定秘密に指定して頬被りなどせず、必ず国会に報告するように約束させた、という意義はありますが、それ以上のものではなく、「駆け付け警護」任務の遂行を抑制させる効果があるとは思えません。
 
 陸上自衛隊ホームページによると、「派遣される第11次要員は、第9師団隷下の第5普通科連隊長、田中仁朗(たなか よしろう)1等陸佐を隊長に、第9師団主体とした隊員約350名が派遣され、約6か月間にわたり、アフリカの南スーダン共和国の首都、ジュバ市及び同周辺において国連施設の整備、道路補修、給水支援などの活動を行うことを予定しています。」とありました。
 350名の派遣部隊を統率する田中仁朗1等陸佐の肩にのしかかる重圧を、どれだけの日本人が具体的に想像しているでしょうか。政治の無責任さによるしわ寄せがあげて現地派遣部隊に押しつけられているのです。

 従って、ここで想起すべき「5党合意」は、以上に紹介した3項第2文ではなく、「国会が自衛隊の活動の終了を決議したときには、法律に規定がある場合と同様、政府はこれを尊重し、速やかにその終了措置をとること。」という5項の規定ではないかと思います。
 PKO協力法は、2年ごとに国会の承認を要求していますが(6条7項、10項)、上記「合意」は、2年の期間の経過を待つことなく、国会が活動終了の決議を行って撤収させる道を開いた規定と解釈できるだろうと考えています(安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(6)~逐条的に読んでみた⑤(5項))。
 与党が衆参両院で圧倒的な議席を保有する状況では、現実に発動される見込みはないかもしれませんが、派遣自衛官全員の生命に対して全ての国会議員が責任を負っているのだということは、どうあっても自覚してもらわなければなりません。

 私は、昨年の連載「安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか」の最終回「(10・完)~私はこう読んだ(総集編)」の末尾において以下のように書きました。
 陸上自衛隊南スーダンPKO第11次要員派遣という事態を受け、その気持ちはますます強まっています。

(引用開始)
3 おわりに~5党合意をどう活かすか
 参議院・我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会で、安全保障関連2法案が強行採決される前日の9月16日に、自由民主党、公明党、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の5党間で締結された「平和安全法制に関する合意事項」については、締結直後の冷ややかな雰囲気も過ぎ去り、いまやほとんどの国民が忘れてしまっているのではないかと思える今日この頃である。
(略)
 もちろん、5党合意と一口に言っても、様々な内容を含んでおり、各条項の解釈にしても、必ずしも断定しかねる曖昧さを残すものも少なくない。それに、私自身、浅学非才の故に、思わぬ検討不足や勘違いをしている可能性も十分にある。従って、多くの人が「5党合意を自分はこう読んだ」という意見を次々と発表してくれることが一番良いと思っている。
 安保関連法制自体を廃止できる時がくれば、「5党合意」はその意味を失うが、それまでにあとどれだけの期間を要するのか誰にも分からない。それまでにも、生身の自衛官が危険な戦地に派遣される可能性は(法律の施行後は特に)常に存在する。そうである以上、自衛隊の戦地派遣を阻止する、あるいはせめて抑制するために使える手段はどんなものでも総動員しなければならない。私が5党合意の注釈をしつこく続けたのはそのためであった。
 このまことに中途半端と言えば中途半端な5党合意が、もしかすると将来、思わぬ効力を発揮する場面があるかもしれない(それが良いことなのかどうかは別論として)。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2015年10月4日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(1)~とにかく読むだけは読まなければ(資料編)

2015年10月5日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(2)~逐条的に読んでみた①(前文・1項)
2015年10月7日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(3)~逐条的に読んでみた②(2項)
2015年10月9日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(4)~逐条的に読んでみた③(3項)
2015年10月11日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(5)~逐条的に読んでみた④(4項)
2015年10月13日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(6)~逐条的に読んでみた⑤(5項)
2015年10月15日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(7)~逐条的に読んでみた⑥(6項)
2015年10月18日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(8)~逐条的に読んでみた⑦(7項、8項)
2015年10月20日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(9)~逐条的に読んでみた⑧(9項)
2015年10月25日
安保法制:「5党合意」「附帯決議」「閣議決定」をどう読むか(10・完)~私はこう読んだ(総集編)

「市民連合わかやま」が再スタートを切りました~11/23「賛同団体・賛同者の集い」開催

 今晩(2016年11月23日)配信した「メルマガ金原No.2639」を転載します。

「市民連合わかやま」が再スタートを切りました~11/23「賛同団体・賛同者の集い」開催

 週の真ん中の祝日(勤労感謝の日)となった11月23日、色々な行事が目白押しであり、私個人としても、カトリック屋形町教会で開かれた松浦悟郎司教(カトリック名古屋教区)講演会「平和の道しるべ・憲法9条―日本の危機的状況の中で―」(主催:ピース9和歌山3グループ、共催:キリスト者9条ネット和歌山)は是非行きたかったのですが、今日ご紹介する「市民連合わかやま」の集いを優先せざるを得ず、泣く泣く断念したのでした。

 さて、その「市民連合わかやま」です。もともと、2016年7月の参院選和歌山県選挙区に野党統一候補の擁立を各野党に要請しようと、昨年末に有志が集まって活動を始めた「安保法制の廃止を求める和歌山の会」が、最終的に、ゆら登信(たかのぶ)弁護士を統一候補として擁立し、野党各党に推薦を要請することが決議された今年4月16日の第2回「賛同団体・賛同者の集い」を機に、「市民連合わかやま」と名称を変更し、そのまま参院選になだれ込んでいったという次第です。

 奮闘むなしく、参院選において現職の鶴保庸介氏(自民党)の再選を許した結果、和歌山県民全体が恥ずかしい思いを強いられている中、「市民連合わかやま」が、通算3回目の「賛同団体・賛同者の集い」を開催することになりました。
 その開催趣旨については、報道機関各社に送ったプレスリリースをお読みいただければと思います。

プレスリリースの本文から引用開始)
 私たち「市民連合わかやま」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま)は、安保関連法の廃止と集団的自衛権行使を容認した閣議決定の撤回を求め、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すことを目指し、去る7月10日施行の参議院選挙和歌山選挙区に、野党統一候補としてゆら登信(たかのぶ)氏を推薦し、その後ご推薦いただいた社会民主党、日本共産党、生活の党と山本太郎となかまたち(当時)とともに、多くの市民が一丸となって選挙運動を闘い抜きました。
 結果は、残念ながら当選には至りませんでしたが、市民が主体となって野党に共闘を呼びかけ、事実上の統一候補を擁立して選挙に参加した意義は非常に大きく、この成果をさらに発展させたいと考えています。
 そこで、県下各地で「市民連合わかやま」の趣旨に賛同し、ともに活動してくださった賛同団体・賛同者の皆さまにお集まりいただき、これまでの活動を振り返るとともに、「市民連合わかやま」の理念・目的を再確認し、今後の進むべき方向について話し合うための集いを開催することと致しました。
 本「集い」は、基本的に「市民連合わかやま」の賛同団体・賛同者に限定したクローズの集会ですが、その目的の公益性に鑑み、報道機関の皆さまには是非取材をお願いしたくご案内することと致しました。何卒よろしくお願い申し上げます。
                       記
日 時 2016年11月23日(水・祝日)午後2時00分~(終了4時予定)
場 所 和歌山県勤労福祉会館プラザホープ 2階 多目的室
      (和歌山市北出島1丁目5-47)
集会名 「市民連合わかやま 賛同団体・賛同者の集い」
主  催 市民連合わかやま
連絡先 あすか綜合法律事務所
        和歌山市六番丁24番地 ニッセイ和歌山ビル11階
        TEL:073-433-3980 FAX:073-433-3981
(引用終わり)

 ということで、十分な準備期間もありませんでしたが、本日(11月23日)午後2時からの「集い」に、県下各地から数十名の方にご参加いただくことができました。
 もっとも、急なことでもあり、基本的には、過去に賛同団体・賛同者になるという連絡をFAXでいただいたことのある団体・個人のリストを基に、事務局から郵便で開催案内をお送りするという方式での告知であったため、とりわけ、団体としてではなく、個人として「市民連合わかやま」と繋がり、参院選でもいろいろと協力してくださった方への個別の案内ができておらず、私が今日の「集い」をFacebookで速報したところ、「知らなかった」というコメントを書き込まれた方もおり、今後に向けた反省点が浮かび上がってきました。
 
CIMG6798 式次第自体、開会直前に主だった何人かが相談してあらましを決め、誰が司会を担当するかに至っては、開会5分前に「私」に決まったという泥縄状態であり、いくら規約も何もない緩い組織とはいえ、今後はもう少し事前の段取りをちゃんとした方が良いのではないか、というのがもう一つの反省点です。
 掲載した写真には共同代表に選出された5人の内の3人の方が写っています。左から由良登信(ゆら・たかのぶ)さん(弁護士)、豊田泰史(とよだ・やすふみ)さん(弁護士)、そして閉会のまとめの挨拶をされる堀内秀雄さん(和歌山大学名誉教授)です。そして、後ろのホワイトボードに書かれているのが今日の式次第です。
 
1 挨拶・経過報告
2 リレートーク・意見交換
3 提案(申合事項、方針、役員)
4 閉会挨拶

 開会挨拶(とこれまでの経過報告)は、設立当初から代表を務めてきた豊田泰史弁護士。
 その後、あらかじめ発言をお願いしていた方からのリレートーク、そして参加者に自由に意見を述べていただく(一部「押しつけた」人もいましたが)ことに多くの時間(約80分)を費やしました。
 一々の発言者のお名前や発言内容のご紹介は省略しますが(司会者として次の段取りを考えていたのでメモできていないということもあり)、橋本・伊都や田辺・西牟婁などの県内各地からおいでいただいた方を含め、全部で13名の方から発言していただくことができました。

 これらの意見を踏まえ、由良さんと豊田さんから「提案」が行われました。
 まず、「市民連合わかやま」の目的を再確認するための「申合事項」が由良登信さんから提案され、全会一致で承認されました。

(引用開始)
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま 申合事項
1 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま」(略称 市民連合わかやま)は、2015年9月19日に成立した安全保障関連法を廃止し、2014年7月1日の集団的自衛権の行使を容認した閣議決定を撤回し、日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻すための活動及び個人の尊厳を擁護する政治を実現するための活動をすることを目的とする。
2 市民連合わかやまは、前項の目的を達するために必要な諸活動を行う。
3 市民連合わかやまは、本会の目的に賛同する団体・個人によって運営する。
4 市民連合わかやまの活動経費は、寄付金その他の収入をもって賄う。
以上
(引用終わり)

 続いて、豊田泰史さんから新たな役員案が提案され、いずれも異議なく承認されました。なお、今後の日常的な活動は、共同代表、事務局も加わった常任幹事会が中心になって運営していくことになりますが、さらに県下各地域での運動を実際に担ってくださる方々の中から、幹事を選出していく方針も併せて承認されました。
 
共同代表(5名)
 豊田泰史さん、堀内秀雄さん、松浦攸吉さん、由良登信さん、外1名(女性、本日欠席で就任承諾未確認)
事務局(3名)
 里﨑正さん、重藤雅之さん、芝野友樹さん
会計(1名)
 金原徹雄
常任幹事数名(メモしきれなかった)

 そして、当面の「市民連合わかやま」としての活動方針が豊田共同代表から提案されました。そして、司会者として、承認を求める提案内容を「どう要約したものか?」と悩んだ末、とりあえず以下の2点に集約しました。
 
1 来るべき衆院選において、立憲野党に共闘を呼びかけ、その実現を目指す活動を行う。
2 実際の年齢にかかわらず、青春まっただ中という気持ちをもって、楽しく賑わい豊かに活動する。

 本当にこの「要約」で良かったのかどうか、いまだに自信はありませんが、豊田さんからも、他の出席者からも特段の異論は出ず、全員が拍手で賛成して承認されましたので、これが「市民連合わかやま」の当面の活動目標となりました。皆さん、この線で頑張りましょう。

 そして、リレートークの最初のスピーカーをお願いした堀内秀雄先生に、閉会に際してのまとめの挨拶もお願いし、終始一貫した「集い」となったと思います。
 発言の順序は、何も決まっていなかったので、司会者の一存で決めていきましたが、皆さんのご協力を得て、なかなか良かったのではないかと(自画自賛で恐縮ですが)思います。
 
 衆議院の1月解散は遠のいたという観測もありますが、まだまだ早期解散の目は消えていないと考えなければならないでしょう。
 「市民連合わかやま」に結集した私たちも、次の目標に向けて再スタートを切らねばならないということで、本日の「集い」を開催したのですが、もちろん、この動きは全国的なものです。
 今週末の土曜日(11月26日)には、「市民連合」が呼びかけて、「第3回全国市民意見交換会」が東京で開催されることになっており、「市民連合わかやま」にも参加要請がありましたので、1名派遣することになりました(※全国の市民団体に送られた「市民連合」からの参加要請書)。
 次の目標は、最低でも衆議院における「与党+日本維新の会」の議席を2/3未満に押さえ込むことですが(それだけ「関西」の責任は大きい)、もはや、スタートは遅過ぎるくらいです。さあ、頑張ろう。

「国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て-」(2016年9月19日)を読む

 今晩(2016年11月22日)配信した「メルマガ金原No.2638」を転載します。

「国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て-」(2016年9月19日)を読む

 2014年5月、12人の識者が、「政府の恣意的な「解釈変更」によって、これまで憲法が禁止してきた集団的自衛権行使を可能にすることは、憲法が統治権力に課している縛りを政府自らが取り外すことに他ならず、立憲主義の破壊に等しい歴史的暴挙と言わざるを得ない。私たちは、主権者である国民としてこの暴挙を黙認することは到底できない。かかる立憲主義の破壊に抗うべく、憲法、国際法、安全保障
などの分野の専門家、実務家が結集し、ここに「国民安保法制懇」を設立する。」と宣言しました。
 その後、国民安保法制懇によって公表された「声明」は、末尾にリンクしたとおり、その都度メルマガ
(ブログ)でご紹介してきました。
 設立当初12人で発足した国民安保法制懇ですが、現在のメンバーは以下の10人(少なくとも最近の声明に名前を連ねているのは)です(敬称略・五十音順)。
 
愛敬 浩二(名古屋大学教授)
青井 未帆(学習院大学教授)
伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)
伊藤 真(弁護士)
大森 政輔(元内閣法制局長官)
小林 節(慶應義塾大学名誉教授)
長谷部恭男(早稲田大学教授)
樋口 陽一(東京大学名誉教授)
孫崎 享(元外務省国際情報局長)
柳澤 協二(元内閣官房副長官補)

 上記メンバーは、個々に様々な活動を行っている方々であり、国民安保法制懇として恒常的な活動を行うということはありませんが、活動を休止したという訳でもなく、重要な節目に際し、メンバーの意見を
集約した「声明」を発表することにしているようです。

 最近まで気がついていなかったのですが、去る9月19日には、「国民安保法制懇見解-安保関連法制定
から1年を経て-」を公表していました。
 この「見解」は、「南スーダンPKO派遣の点に焦点を絞りつつ、安倍政権の非民主的な政権運営に対して
も批判する」ことを内容とするものです。

 新任務を付与された青森の陸上自衛隊第9師団第5普通科連隊を中心とした編成された部隊が、21日に南スーダンのジュバに到着したというニュースに接した今日(11月22日)、この「国民安保法制懇見解」をご紹介するというのは遅きに過ぎたかもしれませんが、やはり読んでいただこうと思います。
 以下に、国民安保法制懇ホームページに掲載された「お知らせ」と「見解」全文を引用します。
 「この「見解」は、これまで同様、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らそれぞれが意見を出し合い、議論を重ねて一致点を形成し、取りまとめたものです。」とあるとおり、「この部分は伊勢﨑さんか柳澤さんが主張したのだろう」とか、「ここは憲法学者の誰かが強く主張したのだろう」などと想像されたりもしますが、いずれにせよ、10人の尊敬すべき識者が「議論を重ねて一致点を形成」した「見解」であり、聴くべきところの多い意見だと思い、ご紹介することとしました。
※注 「お知らせ」の文章はどう考えても推敲不足ですが、勝手に修正する訳にもいきませんので、そのまま引用しています。
 
2016年9月19日
国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て

(引用開始)
9月19日、安保関連法が制定されて1年を迎えました。
安保関連法制定から1年を経て、安倍政権は、いよいよ安保関連法を作動し始めようとしています。
焦点となるのは、今後、南スーダンPKOに派遣される自衛隊の部隊に「駆けつけ警護」の任務が付与される
かどうかです。「駆けつけ警護」任務での武器使用は、憲法の禁止する「武力行使」に踏み出しかねませ
ん。
国民安保法制懇は、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らで結成しましたが、この間もメンバーそれぞれの立場で、安保関連法等、憲法9条を正面から破壊しようとする安倍政権の行動を批判してきまし
た。
安倍政権が現実に安保関連法を作動し始めようとしていることに対し、国民安保法制懇のメンバーとして一致した「見解」を出そう、ということとなり、南スーダンPKO派遣の点に焦点を絞りつつ、安倍政権の非
民主的な政権運営に対しても批判する「見解」を作成いたしました。
この「見解」は、これまで同様、元内閣法制局長官や元政府高官、憲法学者らそれぞれが意見を出し合い
、議論を重ねて一致点を形成し、取りまとめたものです。
見解は下記です。PDFにしておりますので、ご確認下さい。
 国民安保法制懇見解-安保関連法制定から1年を経て-
国民安保法制懇のメンバーは、今後も、より積極的に安保関連法の問題に対して積極的に発言し、行動してゆく覚悟であることも申し添えます。
(引用終わり)

 それでは、「国民安保法制懇見解」の全文をご紹介します。

(引用開始)
                  国民安保法制懇見解
              ─安保関連法制定から1年を経て-

                                   2016年9月19日
                                    国民安保法制懇

 われわれ国民安保法制懇のメンバーは、集団的自衛権行使容認へと踏み出した 2014年7月の政府見解、昨年5月に法案が提出され同年9月に制定された安全保障関連法等、憲法9条を正面から破壊
しようとする安倍政権の行動を批判し、日本の安全保障および自衛隊の活動に関する冷静で理性的な判断と対応を求めてきた。安全保障関連法の制定から1年が経過したことを踏まえ、現時点でのわれわれの見解を示したい。
 政府は、参議院選挙後の8月24日、安全保障関連法に基づく自衛隊活動の訓練を順次実施すると発表した。選挙が終わるまではなりをひそめて安保法への目を逸らし、選挙が終わってから安保法を運用に移したことになる。さらに、いかなる訓練を行うかについて、具体的な説明はまったくない。予想される訓練の中には、PKO活動に参加する国連やNGO の職員らが武装集団等に襲われたとき、武器を携行して救援に赴く「駆けつけ警護」も含まれる。

 焦点となるのは、今後、南スーダンPKOに派遣される部隊に「駆けつけ警護」の任務が付与されるか否かである。最近の南スーダンでは、首都ジュバで大規模な戦闘が行われるなど、そもそも派遣要件であるPKO参加5原則、中でも紛争当事者間での停戦への合意が満たされているか否かに疑いがある。そうした状況下で自衛隊に「駆けつけ警護」の任務を与えるならば、自衛隊員の安全に従来を大きく上回るリスクをもたらすことが予想される上、「駆けつけ警護」任務での武器使用が、憲法の禁止する武力の行使に踏み
出すことになりはしないか、再度の慎重な検討が必要となっている。
 また、自衛隊の武器使用が不幸にも民間人の殺傷をもたらした場合に、それがいかなる責任をもたらし、その責任を国と個々の自衛隊員がいかに分担することになるかがきわめて不分明であることも懸念材料である。さらに、1999年8月12日付国連事務総長告示「国連主導多国籍軍による国際人道法の遵守」はすでに、戦闘時においてPKO部隊が紛争の当事者として限定的に交戦権を行使することを一般論として想定しており、PKO活動に関する内外の認識が大きく変容しつつあることも、自衛隊の任務遂行の是非に関して考慮すべき要素であろう。

 安保法はすでに本年3月に施行されている。自衛隊の活動によって生じる現地での住民感情の悪化や緊張の激化は、やがては国内外における国民の安全を脅かすリスクを含むのであるから、この法制の下でどのような活動を行い、どのようなリスク・効果が見込まれるのかにつき、政府は国民に真摯に説明し理解を求める努力を行うべきであった。しかしながら、政府から国民に対する真摯な説明は全くなされていない。
 国民への説明を怠って選挙を戦い、選挙が終わりさえすればあたかも国民の白紙委任を得たかのように周囲の声に耳を傾けることなく、強引にことを進める政府の姿勢、人がそれぞれ自律的な判断主体であることを無視し、説明を通じて納得を求めることもしない政府の姿勢、すべては選挙結果を目当てとして人心を操作するための術策であるかのように振る舞う政府の態度は、普遍的価値を標榜するリベラル・デモクラシーの政府にはおよそ似つかわしくない。それは、形ばかりの選挙を施行する非民主的な独裁国家に、むしろふさわしい。
 政府が集団的自衛権容認の根拠としてあげた憲法第13条にいう国民の生命、自由、幸福追求の権利を真に守るのであれば、同条が定めるように、すべての国民を個人として尊重することこそが、政府には求め
られるであろう。
                                              以上

国民安保法制懇
 愛敬 浩二(名古屋大学教授)
 青井 未帆(学習院大学教授)
 伊勢崎賢治(東京外国語大学教授)
 伊藤 真(弁護士)
 大森 政輔(元内閣法制局長官)
 小林 節(慶應義塾大学名誉教授)
 長谷部恭男(早稲田大学教授)
 樋口 陽一(東京大学名誉教授)
 孫崎 享(元外務省国際情報局長)
 柳澤 協二(元内閣官房副長官補)
(引用終わり)

「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど ※追記あり

 今晩(2016年11月21日)配信した「メルマガ金原No.2637」を転載します。

「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」第2回・木村草太首都大学東京教授「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」は視聴できないけれど ※追記あり

 今日は、去る11月18日(金)、「立憲デモクラシーの会」が主催する「立憲デモクラシー講座」に
初登場した木村草太首都大学東京教授(憲法学)の講演動画をご紹介しようと考えていました。しかも、予告されていた演題が「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」という、一見して、いや、よく考えてみてもやはり「突飛」なものであり、皆さんも「是非視聴したい」と思われるでしょう?
 私も、過去の「立憲デモクラシー講座」は、全てUPLANの動画で視聴し、メルマガ(ブログ)でもご紹介して拡散に努めてきたところであり、今回の「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」についても、19日(土)にUPLANのYouTubeチャンネルで確認したところ、ちゃんとこれまで通りアップされていましたので、(
その日は視聴する時間がありませんでしたが)安心して今日に回して取り上げることにしたものです。
 ところが、今夜、視聴しようとしたところ、問題の動画がない!そこで、UPLAN主宰者である三輪祐児さんのFacebookを確認したところ、「木村草太氏ご本人からの申し出により、映像は非公開といたしました」「非公開の理由は、もともと主催者から木村氏への了解に手違いがあったことによるもの」ということでし
た。
 うーん、まことに残念。たしかに、木村さんの講演動画というのは、昨年行われたごくわずかの例外を除き、ほとんどアップされていません。ようやく見つけたと思ったら、木村さんが連載を持っている沖縄
タイムス主催の講演会であったり、同じく主催者であるヒューマン・ライツ・ナウ自身の動画アカウントによるアップであったりという「特別の事情」が推測されるものだけでした。
 けれども、見られないということになると、いよいよ気になりませんか?(私は気になります)
 そこで、仕方がないので、辺野古問題についてのこれまでの木村さんの主張などを参考に、今回の講演の内容を推測するための資料を集めてご紹介することにしました。
 
【木村草太氏の辺野古問題についての発言】
 10月29日(土)に和歌山市で行われた講演会(主催:和歌山県保険医協会)でも木村さんが言及されていたかねてからの主張、すなわち、米軍のための新基地建設は、地方自治体の権限を大きく制約するものであって、法律事項である(憲法92条)とともに、「一の地方公共団体のみに適用される特別法」(憲法95条)に他ならず、住民投票で過半数の賛成を要するが、そのような手続を践んでいない辺野古基地建設は違憲であるという説を公にした論考及び講演動画をここでもご紹介しておきます。
 
沖縄タイムス+ 2015年2月3日
【木村草太の憲法の新手(1)】なぜ、住民投票もなしに、新基地建設が進むのか?

沖縄タイムス+ 2015年4月20日
【木村草太の憲法の新手】(6)「辺野古基地設置法」問われる首相の憲法理解
ポリスタ 2015年7月10日
「辺野古基地設置法」制定で住民の意思を確認せよ  木村草太

動画・木村草太氏講演会「憲法と沖縄~戦後70年の内実を問う」(29分30秒から)

木村草太氏講演会 「沖縄で憲法を考える」(音声)


 もう1つ、本年9月の福岡高裁那覇支部判決についての所感を木村さんがビデオニュース・ドットコム
で語った映像もご紹介しておきます(やっぱり日本の裁判所は安保では不条理に踏み込めなかった)。


【辺野古訴訟は今どうなっているのか?】
 翁長知事の公有水面埋立承認取り消しに始まる一連の訴訟は、相当に複雑な経過をたどっていま
すが、とりあえず、最近の私のメルマガ(ブログ)で取り上げた記事をご紹介しておきます。
 
2016年3月4日
沖縄県と国との和解条項(2016年3月4日・福岡高裁那覇支部)を読んで考えた

2016年9月18日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「骨子」をとりあえず読む
2016年9月19日
辺野古訴訟判決(9/16福岡高裁那覇支部)の「判決要旨」をじっくりと読む

【「泣いた赤鬼」ってどんな話?】
 ウイキペディアによると、「『泣いた赤鬼』(ないたあかおに)は、浜田廣介作の児童文学である。浜
田の代表作で、学校教科書にも採用された。初出は『おにのさうだん』の表題で1933年『カシコイ小学二年生』8月号から連載。初版は1935年7月に刊行された『ひろすけひらかな童話』岡村書店に所収。」であり、浜田廣介氏の没年は1973年ということなので、まだ著者の死後50年間という著作権保護期間は切れていません。
 そこで、ウイキペディアから「あらすじ」を引用しておきます。
 
(引用開始)
 とある山の中に、一人の赤鬼が住んでいた。赤鬼はずっと人間と仲良くなりたいと思っていた。そこで、「心のやさしい鬼のうちです。どなたでもおいでください。おいしいお菓子がございます。お茶も沸か
してございます」という立て札を書き、家の前に立てておいた。
 しかし、人間たちは疑い、誰一人として赤鬼の家に遊びに来ることはなかった。赤鬼は非常に悲しみ、
信用してもらえないことを悔しがり、終いには腹を立て、せっかく立てた立て札を引き抜いてしまった。
 一人悲しみに暮れていた頃、友達の青鬼が赤鬼の元を訪れる。赤鬼の話を聞いた青鬼はあることを考えた。それは、「青鬼が人間の村へ出かけて大暴れをする。そこへ赤鬼が出てきて、青鬼をこらしめる。そうすれば人間たちにも赤鬼がやさしい鬼だということがわかるだろう」という策であった。これでは青鬼
に申し訳ないと思う赤鬼だったが、青鬼は強引に赤鬼を連れ、人間達が住む村へと向かうのだった。
 そしてついに作戦は実行された。青鬼が村の子供達を襲い、赤鬼が懸命に防ぎ助ける。作戦は成功し、おかげで赤鬼は人間と仲良くなり、村人達は赤鬼の家に遊びに来るようになった。人間の友達が出来た赤
鬼は毎日毎日遊び続け、充実した毎日を送る。
 だが、赤鬼には一つ気になることがあった。それは、親友である青鬼があれから一度も遊びに来ないことであった。今村人と仲良く暮らせているのは青鬼のおかげであるので、赤鬼は近況報告もかねて青鬼の
家を訪ねることにした。しかし、青鬼の家の戸は固く締まっており、戸の脇に貼り紙が貼ってあった。
 それは「赤鬼くん、人間たちと仲良くして、楽しく暮らしてください。もし、ぼくが、このまま君と付き合っていると、君も悪い鬼だと思われるかもしれません。それで、ぼくは、旅に出るけれども、いつまでも君を忘れません。さようなら、体を大事にしてください。ぼくはどこまでも君の友達です」という青
鬼からの置手紙であった。
 赤鬼は黙ってそれを2度も3度も読み上げ、涙を流した。その後、赤鬼が青鬼と再会することはなかった

(引用終わり)
 
【三輪祐児さん(UPLAN)の意見】
 当初、動画をアップしたUPLANの三輪祐児さんは、Facebookに以下のような投稿をされています。しかも、コメント欄への書き込みによると、「私の見解については木村氏からも好意的に評価されるコメントを
いただいています。」ということです。
 その三輪さんの見解というのは以下のようなものです。

(引用開始)
木村草太さま
●タイムパラドックスは解決できます
 タイムマシンは超光速を前提にしていますから、問題は量子論の解釈で解決できます。私の場合でした
らシュレディンガーの猫仮説を導入します。箱の中の猫は確率論的に生きていて同時に死んでいるように
、物語の中のA氏とB氏も生きていて同時に死んでいますから、パラドックスは発生しません。
 この状態は箱の蓋を開くことによって壊れます。木村さんはA氏とB氏の存在と物語を知ったわけですから、その瞬間に物語の箱の蓋は開いたわけです。それまで箱の中の存在を知らなかった私も、木村さんからこの話を伺った瞬間に箱の蓋を開いてしまいました。すなわち生きていて同時に死んでいる状態で幸せに物語を紡いでいたA氏とB氏の自由を奪い、生きているかそれとも死んでいるかを選択せよと詰め寄って永遠に逃れようのないパラドクスに陥れた犯人はまず蓋を開いた木村さんであり、次に私であったわ
けです。
●赤鬼くんの苦悩は解決できます
 適当な時が経過し、村人たちとの信頼が十分醸成された段階において自叙伝「泣いた赤鬼」を出版すれば村人もわかってくれます。全国的ベストセラーになるでしょうから、どこかで青鬼くんも見つかるでしょうから、戻ってきてもらって仲良く暮らします。したがって最良の解決方法は、赤鬼くんがUPLAN
に相談に来てくれることです。
(引用終わり)

 11月18日に行われた「立憲デモクラシー講座」第Ⅱ期第2回「泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」
の内容を推測する手がかりとして、私が提供できるのはとりあえず以上のようなところです。
 少しは推測がつきましたか?「赤鬼」「青鬼」「村人たち」という主要な配役に、辺野古訴訟当事者及びその周辺の関係者がどう割り振られているのか、正直、とんと見当がつきません。三輪さんの文章を読
んでも、さらに謎は深まるばかりです。
 そのうち、ネットでも、講演を聴いて感想をアップしてくれる人も出てくるでしょうけどね。それまでの間、上にご紹介した資料を基に、あれこれ考えていただくことが、辺野古訴訟への理解を深める一
番の近道かもしれません。そうか、だから木村草太さんは動画のアップを断ったのか(そんなことないか)。

(追記/2016年11月24日)
 立憲デモクラシー講座「
泣いた赤鬼から考える辺野古訴訟」を聴講した人がレポートを公表するのではないかと期待していたところ、「銅のはしご」というブログに「木村草太教授「青鬼を買って出たひどい判事=辺野古訴訟判決は安保条約を根拠にするヒドイ判決」という記事が掲載されていました。それにしても、青鬼が福岡高裁那覇支部の裁判官たちなら、赤鬼は誰なんだろう?まさか、日本政府?
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「立憲デモクラシー講座」関係)
2015年11月15日
佐々木惣一が発見した「国民の存在権」(憲法13条)と自民党改憲案~石川健治東大教授の講義で学ぶ(11/13立憲デモクラシー講座 第1回)
2015年12月12日
山口二郎法政大学教授による「戦後70年目の日本政治」一応の総括~12/11立憲デモクラシー講座 第3回)
2016年1月8日
中野晃一上智大学教授による「グローバルな寡頭支配vs.立憲デモクラシー」~1/8立憲デモクラシー講座 第4回)
2016年1月31日
杉田敦法政大学教授による「憲法9条の削除・改訂は必要か」~1/29立憲デモクラシー講座 第5回)
2016年3月28日
立憲デモクラシー講座第6回(3/4三浦まり上智大学教授)と第7回(3/18齋藤純一早稲田大学教授)のご紹
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項)
2016年4月25日
立憲デモクラシー講座第9回(4/22)「表現の自由の危機と改憲問題」(阪口正二郎一橋大学教授)」のご紹介(付・3/2「放送規制問題に関する見解」全文)
2016年5月15日
立憲デモクラシー講座第10回(5/13)「戦争化する世界と日本のゆくえ」(西谷修立教大学特任教授)のご紹介
2016年6月16日
立憲デモクラシー講座第11回(6/3石田英敬東京大学教授)と第12回(6/10岡野八代同志社大学大学院教授)のご紹介
2016年10月22日
「立憲デモクラシー講座・第Ⅱ期」スタート~第1回・白藤博行専修大学教授「辺野古争訟から考える立憲地方自治」(10/21)のご紹介

(弁護士・金原徹雄のブログから/「木村草太氏」関係)
2014年7月22日
「閣議決定」についての木村草太氏の見解に耳を傾ける(ビデオニュース・ドットコム)
2014年10月28日
7月1日閣議決定についての木村草太氏の解釈には無理がある
2015年4月1日
木村草太氏の那覇市での講演動画の視聴をお勧めします(3/31)
2015年5月25日
「哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義」(國分功一郎氏&木村草太氏)を読む
2015年6月13日
あらためて「存立危機事態」の解釈を問う~木村草太説と公明党(北側一雄氏)の認識

2016年3月31日
開催予告5/14「憲法という希望~対談:木村草太×国谷裕子」(大阪弁護士会)
2016年9月1日
7.1閣議決定についての木村草太説を振り返り 10.29木村草太氏講演会(和歌山県保険医協会)に期待す
2016年10月29日
10月29日の冒険~『法華経』、『標的の村』、木村草太氏講演会

第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」

 今晩(2016年11月20日)配信した「メルマガ金原No.2636」を転載します。

第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」

 今日(11月20日)は、午前11時から、和歌山県紀の川市桃山町調月(つかつき)の那賀スポーツレクリエーションセンターを会場として、「九条を守ろう」那賀郡の会が主催する「那賀9条まつり」に行ってきました。
CIMG6778 様々な美味しい食べ物を提供してくれるブースや、新鮮野菜が驚きの価格で提供されるブースなどがあり、屋根付き固定ステージでは、音楽の演奏やフラダンスなどが披露されるという、和歌山城西の丸広場で開催している“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”によく似ているというよりも、まだ3回しか開催実績のない西の丸広場に対し、「那賀9条まつり」は今年が12回目の開催ということで、こちらの方がはるかに「先輩」なのですよね。

 さて、私が今年の「那賀9条まつり」を訪れたのは、プログラムの中の「平和について」リレートーク第1部で15分ほど話して欲しいというご依頼があったことによります。こういうリレートークが出来るのも、会場が適度にこぢんまりとまとまっていればこそだろうなあというのが、実際にしゃべってみた上での私の感想です。西の丸広場で同じことをやっても、広過ぎて誰も聴いていない、というか、誰も聴いているようには見えず、話し手の方が空しくなってしまうでしょう。

 おそらく来年の憲法記念日(憲法施行70周年の節目の日)も、和歌山城西の丸広場では、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”が開催されると思いますが、その企画の参考とするため、大先輩である「第12回 那賀9条まつり」の、本日会場で来場者に配られたプログラム(私が受け取ったもの)をPDF化するとともに、以下に転記します(若干補足・訂正した部分もあります)。

プログラムから引用開始)
2016年 第12回「好きなんよ 9条」まつり プログラム
11:00~ 開会のあいさつ(9条の会呼びかけ人 増田博さん)
 署名・カンパの訴えについて(司会者より)
11:15~ オープニング ウクレレ弾き語り(momoさん)
11:45~ 「平和について」リレートーク第1部
 戦争法緊急事態条項とは(憲法9条を守る和歌山弁護士の会 金原徹雄さん)
 教育の反動化について(那賀教組 覚道さん)
12:10~12:25 ビンゴ大会(金券500円×10人)
12:25~12:50 休憩(模擬店を散策して下さい)
12:50~13:10 バンド演奏(横出ファミリー)
13:10~13:30 フラダンス(年金者組合)
13:30~ 銭太鼓(新婦人紀の川支部桃山班)
13:50~ 「平和について」リレートーク第2部
 平和への願い、沖縄問題(田林さん)
 平和の願い、若者の訴え(光部さん)
14:15~14:35 バンド演奏(ROCK OUT)
14:40~14:55 みんなで歌いましょう 2曲(見上げてごらん夜の星を、一人の手)(うたごえ那賀、指揮 城さん)
14:55 閉会のあいさつ(赤山さん)
15:00 抽選会、終了
(引用終わり)

 私は、時間の都合で、開会から「休憩(模擬店を散策して下さい)」の途中までしかいられず、横出ファミリー(“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”での粉河高校軽音楽部の演奏でいつもお世話になっている横出先生のファミリーバンド)の演奏を聴くことが出来なかったのが心残りでした。いっそ、粉河高校のメンバーと一緒に来年5月3日のステージに登場してもらったら?

CIMG6781 ところで、私が貰ったプログラムには、「くじ引き抽選番号 0126」と印字されていますが、これは、閉会挨拶の後のお楽しみ「抽選会」まで残っていなかったので、当選していたかどうか不明です。
 ただし、私は12:10からのビンゴ大会では、真っ先に「ビンゴ!」となったうちの1人として、模擬店で使える金券500円分(100円券×5枚)をゲットしたのですよ。ただし、この金券については、残る賞品1人分となった最後で「ビンゴ!」になった3人の内、ステージ前でのじゃんけんに間に合わなかった小さな女の子に譲りました。というのも、私は「ビンゴ」の前に、主催団体から、出演料代わりに(?)金券500円分をいただいていましたので、何だかダブルでいただいたようで気が引けていましたので。
 結局、この金券は、カレーや焼きそばを食べ、野菜(白菜など)を買ったりして使い切りました(+500円出費)。
 西の丸広場の「売り」は「餅撒き」ですが、「那賀9条まつり」では、それが「ビンゴ」と「抽選会」なのですね。たしかに、「抽選会」の結果が気になる人は、最後まで残ってくれるでしょうから。

 さて、以下に、私が今日「那賀9条まつり」でお話したことのあらましを掲載します。ただし、これはスピーチ用原稿ではありません。本来なら、昨日のうちに原稿を書き上げ、今日のメルマガ(ブログ)にはその原稿をそのまま掲載する目論みだったのですが、書くための時間が確保できず、結局、原稿なしのアドリブでのスピーチとなりました。
 従って、以下に掲載するのは、「何を話したかなあ」と思い返しながら、「これも話せば良かった」という部分を補充したりした事後的「スピーチ用原稿」です。
 なお、緊急事態条項については、先月行った2回の講演でお話していますので、詳しくはそちらのレジュメをお読みいただければと思います。

第12回 那賀9条まつり
「平和について」リレートーク 第1部
「戦争法緊急事態条項について」
金 原 徹 雄 (憲法9条を守る和歌山弁護士の会)

 皆さん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました弁護士の金原と申します。
 「那賀9条まつり」では、毎年楽しい企画が盛りだくさんということは聞いていましたが、おじゃましたのは今年が初めてです。
 今日私がお話することになったのは、「憲法九条を守るわかやま県民の会」の事務局長を通じて依頼があったからですが、どうせみんな模擬店のブースなどを回るのに忙しく、話をじっくり聴くような雰囲気ではないだろうから、せいぜい「みんなで頑張りましょう」という連帯挨拶を5分程度するのかな?と思っていたところ、主催団体事務局の部屋さんからFAXで届いたプログラムを読むと、「平和について」リレートーク第1部「戦争法緊急事態条項とは」となっており、その後電話でお話した部屋さんによると、「15分程度話して欲しい」ということでした。しかも、既にチラシは配布されており、今さらテーマを変更することは無理なようでした。
CIMG6789 だいたい、「戦争法」といえば、昨年9月19日に成立してしまい、今年3月29日に施行されたいわゆる安全保障関連法のことであり、対して、「緊急事態条項」というのは、戦争、内乱、大規模自然災害などが起きた際、行政権に権限を集中して緊急事態を乗り切るための憲法上の規定を設けるかどうかという問題です。私は、このいずれについても学習会で講師を務めてきましたが、どちらも少なくとも90分は時間をいただきたいとお願いする重大なテーマであり、それを、ひとまとまりのものとして「戦争法緊急事態条項とは」何かを、しかも15分で話をしろと言われても、これは至難の業ではないだろうか?と思わないではありませんが、まあ、何とかやってみることにします。
 
 ご承知のとおり、去る7月10日に実施された参議院議員選挙の結果、衆参両院で、自民、公明、日本維新の会、日本のこころを大切にする党などの「改憲勢力」が2/3以上の勢力を有するに至り、「明文改憲」が現実のものとなる条件が整いました。そして、いわゆる「緊急事態条項」を新設する改憲発議のなされる可能性が最も高いのではないかと言われていることは、皆さんご存知のことと思います。
 現に、日本会議や神社本庁などの改憲勢力が結集した「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が作成したパンフレット類、あるいは「憲法おしゃべりカフェ」といった集会では、東日本大震災で、災害対応が十分に出来ず、多くの人が震災関連死したのは、憲法に緊急事態条項がないからだというとんでもないデマが平然と垂れ流されています。
 大規模自然災害に対する法的な備えについては、伊勢湾台風による甚大な被害を受けて制定された災害対策基本法を始め、多くの災害法制の整備が進んでおり、何より重要な災害対策は、緊急時に権限を現場の市町村に大胆に移譲することであり、中央政府に権限を集中するのは百害あって一利なしであることは、多くの識者が指摘しています。
 つまり、事前の法整備(憲法改正など必要ない)と、万一に備えた訓練や備蓄こそが災害による被害の最小化の王道であって、憲法に緊急事態条項を設ける必要などありません。 さらに、このことは、日本国憲法の制定過程を振り返ることによっても確認できます。
 日本国憲法は、大日本帝国憲法(明治憲法)の改正案として、昭和21年に召集された第90回帝国議会の議に付され、同年中に制定・公布され、翌昭和22年5月3日に施行されました。
 その帝国議会の審議において、緊急事態条項についても議論されているのです。明治憲法には、帝国議会閉会中に発生した緊急事態に対処するためとして、緊急勅令(8条)や緊急財政処分(70条)などの規定がありましたが、日本国憲法は、参議院の緊急集会を例外としつつも、明治憲法のような緊急事態条項は設けないことにしていました。これについての議員からの質問に対し、憲法問題担当の金森徳治郎国務大臣は、次のように明確にその理由を述べています。
「緊急勅令及ビ財政上ノ緊急処分ハ、行政当局者ニ取リマシテハ実ニ調法ナモノデアリマス、併シナガラ調法ト云フ裏面ニ於キマシテハ、国民ノ意思ヲ或ル期間有力ニ無視シ得ル制度デアルト云フコトガ言ヘルノデアリマス」「此ノ憲法ハ左様ナ非常ナル特例ヲ以テ――謂ハバ行政権ノ自由判断ノ余地ヲ出来ルダケ少クスルヤウニ考ヘタ訳デアリマス」
 すなわち、現行憲法に旧憲法における緊急勅令や緊急財政処分などにあたる規定がないのは、単なる「不備」などではなく、明確な意図に基づいて「削除」されたのだということが明らかなのです。
 以上のことから、大規模自然災害に備えるために憲法に緊急事態条項を設ける必要があるという改憲勢力の主張には理由がないということはご理解いただけたでしょうし、改憲派が言い募る「デマ」に対しても、皆さん1人1人が十分に反駁できるはずです。

 残された問題が1つあります。それは、諸外国では憲法に緊急事態条項があるのが普通であるという改憲派の主張についてです。確かに、緊急事態条項のある国が多いという事実はありますが、それらの国は、みな「戦争をする」からこそ緊急事態条項を設けているのですね。日本は、絶対に「戦争をしない」と憲法で決意した国ですから、その不戦の決意を撤回せずに緊急事態条項だけを憲法に規定するというのは意味がないことになります。
 言い換えれば、改憲派が緊急事態条項を憲法に新設するように主張する本当の理由は、大規模自然災害への対処などではありません。それは、国民からの賛同を調達(盗み取ると言っても良い)するための手段に過ぎません。真の狙いは「戦争をする」ために、どうしても必要だからです。
 私たちは、このことを肝に銘じ、緊急事態条項を設けるとの「憲法改正」を何としても阻む決意を新たにする必要があります。
 ここで、ようやく「戦争法」と「緊急事態条項」が結びつきました。ごく雑駁ではありますが、「戦争法緊急事態条項とは」という主催者から指定されたテーマについてのお話を以上で終わります。ご静聴ありがとうございました。

予告11/26猿田佐世ND事務局長出版記念企画~過去・現在・そしてアメリカ大統領選を経て~(白井聡氏、中島京子氏を迎えて)

 今晩(2016年11月19日)配信した「メルマガ金原No.2635」を転載します。

予告11/26猿田佐世ND事務局長出版記念企画~過去・現在・そしてアメリカ大統領選を経て~(白井聡氏、中島京子氏を迎えて)

 末尾の(弁護士・金原徹雄のブログから)に掲載した「ND(新外交イニシアティブ)」関連の記事を
数えてみたところ、2014年1月から今年の7月までの2年半の間に、全部で11本も書いていました。
 この間、私がずっとフォローしてきた団体としては、「立憲デモクラシーの会」、「自衛隊を活かす会」、「国民安保法制懇」などがありますが、「ND(新外交イニシアティブ)」に寄せてきた関心もそれ
らに劣るものではありません。

 余談ですが、ここでクイズです。以上の4団体の全てに参加しておられる方が1人だけいるのですが、分かります?「立憲デモクラシーの会」呼びかけ人は多すぎて見当がつかないでしょうが、残る3団体の評議員、呼びかけ人、メンバーは少ないので、すぐに分かります。
 
2016年9月19日付「国民安保法制懇見解─安保関連法制定から1年を経て-」に名前を連ねたメンバーは10名。
自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会(自衛隊を活かす会) 呼びかけ人

 さて、その「ND(新外交イニシアティブ)」事務局長である猿田佐世弁護士が、先月、単著と編著を相次いで刊行されました。
 


 私もようやくこの2冊の発行を知ってネットで注文したところであり、週明けには届くでしょうが、このうちの単著『新しい日米外交を切り拓く』の出版を記念して、白井聡氏と中島京子氏を招き、猿田事務局長も加わったシンポジウムを開催するという案内が、NDのホームページにはずっと前から載っていた
ものの、私は気付いていませんでした。
 そこに、猿田さんが、私も登録している某メーリングリストに下記の案内を投稿され、ようやく知るに
至ったという次第です。
 投稿自体、3日前のことであり、シンポまでもう1週間を切ってしまっていますが、非常に注目すべき
企画ですし、私のように著書の発行自体に気がついていない人もおられるでしょうから、ブログでご紹介すること自体、あながち無意味ではないと思い、取り上げることとしました。
 以下に、猿田さんから届いたメールをほぼそのまま転載します。
 
(2016年11月16日17時12分・猿田佐世さんから某MLへの投稿を転載)
みなさま(重複お許しください)

ドナルド・トランプ氏がアメリカの次期大統領に選ばれました・・・!!!
ワシントンが、アメリカの知日派が、動揺しているのが目に浮かぶようです。
11月26日に予定していた拙著の出版記念シンポジウムは、急遽、トランプ大統領就任後の日米関係に焦点を当てたものへと変更することとしました。
今後、日米関係はどうなるのか、日本の米国追随路線に変化があるのか、ベストセラー『永続敗戦論』著者の白井聡氏、直木賞作家の中島京子氏と議論したいと思います。是非、ご参加ください。

ご案内はNDのFacebookやTwitterにも掲載しております。拡散にご協力いただきますようお願い申し上げます。
Facebook:
https://www.facebook.com/NewDiplomacyInitiative/
Twitter:https://twitter.com/nd_initiative/status/798472591023321089

新外交イニシアティブ 猿田佐世

(転送歓迎)
■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
          新外交イニシアティブ(ND)主催
     ~過去・現在・そしてアメリカ大統領選を経て~
        白井聡/中島京子/猿田佐世
猿田佐世ND事務局長 「新しい日米外交を切り拓く 」出版記念企画
           2016.11/26 (土) 18:30-
         星陵会館 ホール(400人収容)

※ご参加いただいた皆様に、本書『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』(税込:1512円)を1冊差し上げます。

■□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□■
ドナルド・トランプ氏がアメリカの次期大統領に選ばれました。「就任当日TPP離脱」、「日本が駐留経費全額負担しなければ、米軍基地撤退」「日本が核兵器をもつのも悪くない」などと、既存の日米外交からは考えられない発言を続けてきたトランプ氏。日米関係はどうなるのか?日本の米国追随路線が変わるのか?沖縄の基地は?TPPは?
今回の企画では、対米姿勢に現れる日本の国の在り方について「敗戦の否認にもとづく永続敗戦状態」という構造を指摘するベストセラー『永続敗戦論』著者の白井聡氏、「創られたアメリカ像」に翻弄されることに警鐘を鳴らす直木賞作家の中島京子氏、米政府・議会へ直接働きかけを行い、政府が伝えない声をワシントンに届けてきた猿田佐世ND事務局長が、米大統領選の激震を受けた今後の日米関係を議論します。
 
●日時:2016年11月26日(土)18:30~20:30(18:00開場)
●会場:星陵会館 ホール
   住所:東京都千代田区永田町2‐16‐2
   電話:03-3581-5660(代表)
   地図:
http://www.seiryokai.org/kaikan/map.html
   最寄駅:
     有楽町線・半蔵門線・南北線 永田町駅6番出口より 徒歩3分
    千代田線 国会議事堂前駅 5番出口より 徒歩5分
    南北線 溜池山王駅5番出口より 徒歩5分

●プログラム:
18:00 開場
18:30 開演
 第一部:基調講演 白井聡 氏(京都精華大学人文学部専任講師)
 第二部:対談 中島京子 氏(小説家)× 猿田佐世(ND事務局長・弁護士)
20:30 閉会

●登壇者プロフィール:

・白井聡 氏(京都精華大学人文学部専任講師)
1977年、東京都生まれ。博士(社会学)、専攻は政治学・社会思想。日本学術振興会特別研究員などを経て現職。著書に『未完のレーニン─「力」の思想を読む』、『「戦後」の墓碑銘』、『戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ』など。『永続敗戦論─戦後日本の核心』で第4回いける本大賞、第35回石橋湛山賞、第12回角川財団学芸賞を受賞。
・中島京子 氏(小説家)
1964年、東京都生まれ。2003年『FUTON』で作家デビュー。2010年『小さいおうち』で直木賞、2014年『妻が椎茸だったころ』で泉鏡花文学賞、2015年『かたづの!』で柴田錬三郎賞、同年『長いお別れ』で中央公論文芸賞をそれぞれ受賞。最新作は『彼女に関する十二章』
・猿田佐世(ND事務局長・弁護士)
1977年、東京都生まれ。2002年に日本にて弁護士登録。2008年にコロンビア大学ロースクールにて法学修士号を取得し、2009年にアメリカ・ニューヨーク州弁護士登録。2012年にアメリカン大学国際関係学部にて国際政治・国際紛争解決学修士号を取得。2013年にシンクタンク「新外交イニシアティブ」を設立。各外交・政治問題について米議会等で自らロビイングを行うほか、日本の国会議員や地方公共団体等の訪米行動を実施。2015年6月の沖縄訪米団、2012年・14年の稲嶺進名護市長の訪米行動の企画・運営を担当。

※猿田ND事務局長は本年、白井氏、中島氏とそれぞれ雑誌で対談を行っています。下記よりご覧ください。
・白井聡氏との対談
季刊誌kotoba 2016年秋号(集英社)
・中島京子氏との対談
月刊『本の窓』5月号(小学館) 連載対談「扉をあけたら」第1回
※猿田ND事務局長の大統領選直後の今後の日米関係についての論評

●参加費:
・一般:2500円(書籍代込み)
・会員・学生:1500円(書籍代込み)(当日入会可)

●参加特典:
ご参加いただいた皆様に、本書『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、 多様な声をワシントンへ』(税込:1512円)を1冊差し上げます。
※本企画の開催までに本書をご購入いただいた方につきましては、当日、本書もしくは書籍名が明記された領収書をお持ちいただければ、参加費を1500円割り引かせていただきます(この場合、会員・学生は無料となります)。Amazonでもご購入いただけますので、ぜひお買い求めの上、ご一読いただければ幸いです。

●お申込み:
下記ページの申し込みフォームをご利用ください。
当日参加も受け付けますが、できる限り事前申込みをお願いいたします。

●定員:400名

●主催:新外交イニシアティブ(ND)
==================================
●書籍紹介
『新しい日米外交を切り拓く 沖縄・安保・原発・TPP、多様な声をワシントンへ』
著者:猿田佐世
発売:集英社
定価:1512円(税込)
発売日:2016年10月26日

〇概要
沖縄米軍基地や原発、TPPなどについて、米議会へ働きかけを行い、政府が伝えない声をアメリカの中枢ワシントンに届けてきた猿田佐世が、ロビイングの実践から見えてきた歪んだ日米関係を明らかにする。
なぜ沖縄の声がアメリカに届かないのか。日本社会に大きな影響力を持つ「アメリカの声」はいかに作られるのか。
政府と一部の大企業による従来の日米外交を切り崩す画期的な視点!
〇目次
1 プロローグ 沖縄をワシントンに伝える

新外交イニシアティブ(ND)発足の経緯/二〇一四年稲嶺名護市長の訪米/二〇一五年翁長沖縄県知事の訪米/国防権限法から「辺野古が唯一の選択肢」を取り除く ほか
2 日米外交に目を向けるまで
日本の弁護士として/国際NGOの取り組みから学ぶ ほか
3 ワシントンという街でした経験
多様性に欠けるワシントンでの日本論/「アメリカの声」として伝えられたもの/「知日派」
ほか
4 既存の日米の外交チャンネル
影響力を増すシンクタンク/ワシントンの拡声器効果/メディアによる「情報の選択」/大使館からの情報 ほか
5 日本政府や日本企業とワシントン
米シンクタンクへ資金提供する日本政府/日本企業からの資金提供/ワシントン神話 ほか
6 アメリカに声を伝えるということ
「アメリカ」とは誰か/文化の違いを見誤れば、失敗する/アメリカでの伝え方 ほか
7 日米原子力エネルギープロジェクト
福島原発事故後のワシントン/斜陽のアメリカ原発産業/日本の再処理についてのアメリカからの懸念/日米原子力協定――日本はアメリカに従属しているのか ほか
8 様々な声を政策に反映するために――NDのプロジェクト紹介
ワシントンに通用する議論を/辺野古オルタナティブプロジェクト/地位協定の国際比較プロジェクト ほか
9 ワシントンや外交の可視化を
オール沖縄/ワシントンから日本・東京を変える/結語・外交にも民主主義の反映を ほか
新しい外交とは ND評議員からのメッセージ
山口二郎/鳥越俊太郎/柳澤協二/屋良朝博/マイク・モチヅキ

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●「新外交イニシアティブ(ND)」とは:
新外交イニシアティブ(ND)は、日米および東アジア各国において、国境を越えて情報を収集・発信し、政策提言を行うシンクタンクです。政策実現のため、国内はもとより、各国における政府、議会、メディアなどへ直接働きかけます。
NDの詳細はウェブサイトをご覧ください。 

●NDへご寄付をお寄せください

NDでは、現在下記プロジェクトを進めております。プロジェクト実施に際しての各種文献調査や現地調査、ワシントンでの提言活動等について、皆さまからの温かいご寄付をお寄せいただければ大変幸いに存じます。ご支援いただけます場合には、下記ウェブページよりクレジット決済をご利用いただくか、下記口座にお振り込みください。
・歴史認識問題政策提言プロジェクト
・日米原子力エネルギープロジェクト
・日米地位協定 国際比較・政策提言プロジェクト
・普天間米軍基地返還に関する政策提言プロジェクト
【郵便局からのご送金】
 郵便振替口座 口座番号 00190-3-633335
 口座名義 新外交イニシアティブ
【他行からのご送金】
 ゆうちょ銀行 〇一九店 (019) 当座 0633335
 口座名義 新外交イニシアティブ
企画にご参加いただけない方も、ご寄付をぜひご検討下さい。

●お問い合わせ:新外交イニシアティブ(ND)事務局
 03-3948-7255
 Web:
www.nd-initiative.org
 東京都新宿区新宿 1-15-9 さわだビル 5階
 E-mail:
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 Facebook:www.facebook.com/NewDiplomacyInitiative
 Twitter:@nd_initiative

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(弁護士・金原徹雄のブログから)
2014年1月2日
急告・1/10 シンポ@名護市「普天間基地返還と辺野古移設を改めて考える」(新外交イニシアティブ)
2014年1月11日
柳澤協二さんの覚悟~1/10名護市でのシンポにて(辺野古をめぐる言葉に耳を澄まそう 3)
2014年3月27日
予告4/22新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム「今なぜ、集団的自衛権なのか-安全保障の最前線から考察する-」 
2014年4月25日
映像のご紹介・NDシンポジウム「今なぜ、集団的自衛権なのか-安全保障の最前線から考察する-」(4/22)
2014年8月1日
猿田佐世ND(新外交イニシアティブ)事務局長から学ぶ米国でのロビー活動
2015年4月7日
佐藤優氏と柳澤協二氏のかみ合わない話が面白い~NDシンポの動画を視聴して

2015年4月18日
週刊文春「沖縄のタブー」と公安情報~あなどってはいけない

2015年12月8日
ここ半年のND(新外交イニシアティブ)シンポ・報告会動画のご紹介(付・12/18シンポ「宜野湾から沖縄の未来を考える―基地・経済・地方自治―」のご案内)
2016年1月29日
猿田佐世ND(新外交イニシアティブ)事務局長の講演で学ぶ~日米関係という文脈の中の「アメリカ」とは誰のことか?
2016年4月13日
ND(新外交イニシアティブ)シンポ・講演会動画で学ぶ「原発と核」「沖縄と基地」「外交のしくみ」~2015年11月から2016年1月まで
2016年7月14日
予告7/29猿田佐世氏(新外交イニシアティブ事務局長)講演会@大阪市中央公会堂

猿田佐世事務局長出版記念企画チラシ 

放送予告11/26「路地の声 父の声~中上健次を探して~」(ETV特集)

 今晩(2016年11月18日)配信した「メルマガ金原No.2634」を転載します。

放送予告11/26「路地の声 父の声~中上健次を探して~」(ETV特集)

 和歌山弁護士会の会員向け研修の多くは午後6時~8時という時間に設定されており、これに参加して
いったん事務所に戻り、それから帰宅すると9時を回ることも珍しくありません。
 今日は、静岡県弁護士会の永野海先生(日弁連災害復興支援委員会副委員長)を講師にお招きした、
 第1部 東日本大震災の裁判例にみる災害対策、災害対応と安全配慮義務の問題
 第2部 災害関連法と被災者支援の問題
 第3部 静岡県弁護士会の平時の災害対策の取組み-自治体との災害連携を中心に-
という3部構成の欲張った(?)研修会に参加していたため、やはり帰宅は9時を過ぎました。

 そのまま、食事をし、少しテレビでも見て、風呂に入って寝る分には何の問題もありませんが、私がそういう生活と縁を切ってから既に5年半以上が経過しています。何度も書いていますが、「メルマガ金原
」創刊号の発信が2011年3月28日、以来「毎日配信」を続けて現在に至る、という訳です。
 もっとも、今夏の参院選の間、公職選挙法の規定により、やむなくメルマガ配信を休んだ日がありましたが、その場合も、ブログでは「毎日更新」を続けており、事実上、連続配信記録継続中です。・・・と、自慢するほどのことでもなく、「毎日配信」に一体何の意味があるのか?と正面切って問われると答えに窮しますけどね。

 ただし、そんな時間に帰宅しながら、その時点で「何を書くか」が全然決まっていないこともしばしば
で(実は今日がそうなのですが)、そういう時に頼るのが地上波TVドキュメンタリー紹介シリーズです。    
 12月4日(日)午後9時からのNHKスペシャル「深海の巨人~知られざる戦艦武蔵の最後~(仮)」にも少し心引かれますが、和歌山の人間としてはやはりこれでしょう。11月26日(土)午後11時から放映のETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」が見逃せません。

 私は、おそらく中上健次の良い読者ではないと思います。私の書庫に収まっている20冊余りの中上作品が、全て著者本人が生前刊行に消極的だった文庫本ばかりだから、というだけではなく、おそらく何度も読み返した本は1冊もないのですから(少なくとも長編は)。まあ、中上作品が「読んで楽しい」から
何度でも読み返したくなるという人はそうはいないでしょうが。
 けれども、ごく稀れにではありますが、相当以前に読んだ中上作品のあやふやな記憶が蘇ってくることがあります。いつになるか分かりませんが、「紀州サーガ」を一から読み返そうという日が来るかもしれ
ません。そんなことを思いながら、ETV特集を視聴したいと思います。
 
NHK Eテレ
本放送 2016年11月26日(土)午後11時00分~12時00分
再放送 2016年12月3日(土)午前0時00分~1時00分(金曜深夜)
ETV特集「路地の声 父の声~中上健次を探して~」

「今年生誕70年を迎えた作家・中上健次。36年前の肉声が録音されたカセットテープが発見された。中上の故郷、和歌山県新宮市の「路地(被差別部落)」に住む5人の老婆達への聞き取りである。長女で作家の中上紀さんは、この夏、父が出会った老婆達の遺族を新宮に訪ねた。そして、作家の星野智幸さんや「日輪の翼」の公演を続けるやなぎみわさんと対談。中上健次が路地の聞き取りからどのように作品を生み出したのか探って行く。」

トランプ大統領が誕生しても安心できない「著作権保護期間70年への延長問題」~青空文庫の主張を読む

 今晩(2016年11月17日)配信した「メルマガ金原No.2633」を転載します。

トランプ大統領が誕生しても安心できない「著作権保護期間70年への延長問題」~青空文庫の主張を読む

 米国大統領選挙において、TPPからの脱退を明言するドナルド・トランプ氏が当選したことにより、同条約の発効の見通しが立たなくなったという観測が一般的であり、他の面における影響はともかく、とりあえずTPP発効を阻止するという一点からは、トランプ大統領誕生は歓迎できると思っている日本人も少なく
ないかもしれません。
 けれども、ことはそう単純ではないというのは、仮に米国が脱退して(批准せずでも同じことですが)条約が発効しないとしても、TPP合意の過程で、とりわけ米国に譲歩した個別の案件について、米国の新政権から履行を迫られる、あるいは、迫られずとも、日本政府が独自の思惑によって、TPP合意の線で「国内法整備」を行うという可能性は否定できないからです。

 その中で、私が懸念しているものの一つに、著作権保護期間の著作者の死後50年から70年への延長問題があります

 世界的に見れば、著作権保護期間を日本と同じ50年に据え置いている国は多いのですが(ほとんどが著作権使用料の出入りに関しては赤字の国です~日本もそうです)、ことOECD加盟国に限定すると
圧倒的少数派となってしまいます。
 従って、TPP合意がなくても、かねてより著作権保護期間延長に対する「圧力」は内外からあったのであり、以下のニュースにあるとおり、文化庁などは勇んで国内法整備の方針を打ち出した(今年の「2月」
にですよ)ほどです。
 
知財情報局 発信:2016/02/25(木)
TPP合意対応、保護期間延長や非親告罪含む著作権制度見直し案まとまる

(引用開始)
 環太平洋経済連携協定(TPP)の合意に対応する国内の著作権制度の見直しについて、文化庁の文化審議会著作権分科会が2月24日に開催され、著作権保護期間の延長や非親告罪の導入を含む法制度の整
備についての方針が固まった。
 見直しのポイントは、(1)音楽・書籍の著作権保護期間を現行の著作者の死後50年から70年に延長、(2)著作権者の告訴がなくても警察が海賊版を取り締まれる「非親告罪」の導入、(3)著作権侵害の民事訴訟で
損害額の立証ができなくても、最低限の賠償金を請求できる「法定賠償」制度の導入、等となっている。
 これらのポイントのうち、非親告罪の導入については、「パロディー」など二次創作活動を委縮させる問題を避けるため、元の権利者の収益に影響を与えない二次創作や、漫画の一部を複製する行為などは除
外することが了承された。
 また、法定賠償制度の導入については、米国の損害額の3倍賠償制度などのような追加的賠償制度は導入せず、著作権管理事業者が定めた使用料の規定を目安とするなどで、米国のような乱訴は起こらないよ
う配慮された。
 政府は、この文化審議会の考え方に沿って、今国会で著作権法改正案を成立させ、2018年以降に予想さ
れている協定発効時期に施行する方針を固めている。
(引用終わり)
 
 ここで、「50年」と「70年」を比べてその利害得失を云々する能力は私にはありませんが、私個人は、著作者の死後「50年」とする現行著作権法のままで良いと思っています。・・・というだけでは説得力がないでしょうから、少し古いものですが(2013年6月)、著作権について造詣の深い福井健策弁護士による論考をご紹介するとともに、青空文庫が、文化庁著作権課からの求めに応じて提出し、2015年11月4日開催の文化審議会著作権分科会:法制・基本問題小委員会(第6回)で配布された資料の総論部分を、少し長くなりますが引用します。私個人としては、青空文庫のこの意見に大いに共鳴するのですが、皆さんはいかがでしょうか?
 

青空文庫
文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会(2015年11月4日(水))
審議用意見提出資料

(抜粋引用開始)
 青空文庫では、知的財産に関する今回のTPP協定の合意と今後の著作権法改正が、自分たちに対してのみならず、パブリック・ドメイン(著作権保護期間の満了した公有財産としての作品)を共有していく新し
い文化のあり方にも、大きな影響を与えるのではないかと危惧しております。
 TPP大筋合意との報道に際して、先日当文庫のサイト上で公開した文章でも触れておりますが、青空文庫に関わるボランティアは、その多くが作家や作品のファンであり、また少なからぬメンバーが、自分たちの好きな本がいつまでも読み継がれ、世界じゅうで自由に分かち合われ、これから先も公有財産として大切にされてゆくことを強く願うだけでなく、共有された知や文化が社会に循環され、次の新しい創作物が
生まれて未来の文化が育まれてゆくことを心から祈って、日々の作業に取り組んでおります。
 著作権法ではその第一条に、権利を定めて保護を図る一方で、作品が広く公正に使われることにも意を払うこと、保護と利用、双方を支えとして文化の発展を目指すことが謳われています。だからこそ保護に期限を設け、社会の資産として広く活用されるよう願って、あるところで個人の手を離れるように定めて
います。
 この文化の共有を公的に保証するあり方は、インターネットを得てはじめて、実効性のある仕組みとして機能しはじめ、そして簡便な電子端末を得てようやく、その益を広く享受できはじめています。延長が現実のものとなれば、青空文庫含め、自分たちの文化を社会で共有していく試みが制約され、自由な文化
は確実に狭くなっていくでしょう。
 著作権の保護期間が満了するまで経済的価値を持つ作品はごく少数です。その数少ない作品の利益を守るために、そのほかの作品が社会で再発見され、再び人々に共有されることを妨げるのは、作品の公正な利用という側面からも問題があるものだと考えられます。多くの作品を長く社会や文化のなかで大事にしていくためには、保護と利用のバランスを考えても、そうした再発見や再活用の可能性をできるだけ大き
くしておくことが必要です。
 青空文庫はよく、文学作品が無料で読める、という形で言及されますが、同じ「フリー」でも、この一件は、単に「モノが無料で手に入るかどうか」ではなく、「文化が自由であるかどうか」の問題であると
考えております。
 当文庫はインターネット図書館というよりはむしろ、ボランティアや読者、さらに活用する人たちで作
る、ひとつの共有文化のようなものです。「自由」に「見てほしい」「読んでほしい」「残ってほしい」、そして「活用してほしい」と、ボランティアひとりひとりが思った作品を自ら電子化し、青空という共
有の棚へ並べてきました。
 また活用する側もこれに応じるように、自分から「こう読んでみたい」「こう届けてみたい」と考えて、自由なやり方でパブリック・ドメインを扱い、ネット上での朗読だけでなく、携帯端末のアプリや耐水
性の本、視障者向けの読書支援、用例検索サービス、または二次創作など様々なことをしてきました。
 つまり青空文庫を初めとするデジタル・アーカイヴで公開されるパブリック・ドメインは、ただ単に読まれるだけでなく、自由に朗読されたり、あるいは教育利用としてテキストやテスト問題等に活用された
り、視障者向けの音訳本や点字本・拡大本に活用されたり、海外にいて日本語コンテンツを手に入れづらいユーザーや研究者の益に供されたり、またビジネスでも新技術や新サービス等(お風呂で読める本やオーディオブック、オンデマンド本)が開発された際のPR用のコンテンツとして用いられたりすることがあ
るわけです。
 また、これまでにも朗読コンテストや漫画化コンテスト、表紙絵コンテストなどが、各種団体や企業で独自に実施されており、若いクリエイターが名作の肩を借りて競うことも行われています。もしこのまま進んでいけば、創作者たちがさらに多くの作品と自由に触れあうことで実力を伸ばし、より豊かな文化が
生まれていくことでしょう。
 さらに青空文庫などでパブリック・ドメインが電子化されれば、埋もれた作品に再び光を当てることに
もなります。作家の死後50年ましてや70年後まで、市場に流通する作品はごく稀です。しかしながら、作品が電子化されてインターネットで合法的に共有されることで、作品と出会いやすくなり、そこから再発見される作家は少なくありません。作家は何よりも自分の作品が読み継がれることを望み、そして芸術の愛好者たちも、自らの愛する作品がより広く愛されることを望んでおります。青空文庫を初めとする各種
デジタル・アーカイヴは、そうした希望の受け皿ともなっております。
 芥川龍之介の「後世」という短文でも、五十年百年ののち価値観が変われば、自分の作品が読まれなくなっているかもしれないが、それでも図書館の隅にあるのを誰かが見つけ、一行一文字でも読んで、何かしらの幻や蜃気楼などを思い浮かべてはくれないだろうか、と切なる願いを記し、後の世に自身の本が保存されて読まれる可能性がせめて残ることを希望しています。
 こうした願いを受け止める形で活動してきた結果、今では在外邦人や、日本に興味を持つ海外の方々にとっても大事な読書・研究リソースとなっており、国内のみならず海外も含めて、貴重な文化的財産を国際的に共有するという文化ができあがって参りました。こうしたデジタル・アーカイヴは、インターネットを介することで、海外での日本の理解や友好を深める役割もあるわけです。
 著作権保護期間の延長は、ごく一部の著作権者の利益を増やすことができる反面、パブリック・ドメインから広がるこうした豊かな活用や、作家やファンの願いを、確実に狭めてしまうものでもあります。そのような立場からすれば、影響はただ青空文庫のみならず、日本ひいては世界の文化へ大きな害を与える
ものとなるではないかと、たいへん憂慮しております。
 当文庫は、開設の際の趣意書「青空文庫の提案」にもあるように、「青空の本は、読む人にお金や資格を求めません。いつも空にいて、そこであなたの視線を待っています。誰も拒まない、穏やかでそれでいて豊かな本の数々を、私たちは青空文庫に集めたいと思うのです。」として、読者の範囲を制限せずに活動を続けて参りました。ゆえに人々が自由に読むとともに、自由に活用できていますし、そしてそこから
新しい文化が生まれ、それが基盤となって新しい経済活動も生まれてくるのだと思います。
 今ようやく芽生えてきたパブリック・ドメインによる豊かで多様な共有文化が損なわれないような、柔
軟な著作権のあり方を切に望みます。
(引用終わり)
 
※参考 青空文庫より
(全文引用開始)
 私は知己を百代の後に待たうとしてゐるものではない。
 公衆の批判は、常に正鵠を失しやすいものである。現在の公衆は元より云ふを待たない。歴史は既にペリクレス時代のアゼンスの市民や文芸復興期のフロレンスの市民でさへ、如何に理想の公衆とは縁が遠かつたかを教へてゐる。既に今日及び昨日の公衆にして斯かくの如くんば、明日の公衆の批判と雖も、亦推して知るべきものがありはしないだらうか。彼等が百代の後よく砂と金とを弁じ得るかどうか、私は遺憾ながら疑ひなきを得ないのである。
 よし又理想的な公衆があり得るにした所で、果して絶対美なるものが芸術の世界にあり得るであらうか。今日の私の眼は、唯今日の私の眼であつて、決して明日の私の眼ではない。と同時に又私の眼が、結局日本人の眼であつて、西洋人の眼でない事も確である。それならどうして私に、時と処とを超越した美の存在などが信じられやう。成程ダンテの地獄の火は、今も猶東方の豎子(じゆし)をして戦慄せしむるものがあるかも知れない。けれどもその火と我々との間には、十四世紀の伊太利なるものが雲霧の如くにたなびいてゐるではないか。
 況んや私は尋常の文人である。後代の批判にして誤らず、普遍の美にして存するとするも、書を名山に蔵する底の事は、私の為すべき限りではない。私が知己を百代の後に待つものでない事は、問ふまでもなく明かであらうと思ふ。
 時々私は廿年の後、或は五十年の後、或は更に百年の後、私の存在さへ知らない時代が来ると云ふ事を想像する。その時私の作品集は、堆うづだかい埃に埋もれて、神田あたりの古本屋の棚の隅に、空しく読者を待つてゐる事であらう。いや、事によつたらどこかの図書館に、たつた一冊残つた儘、無残な紙魚(しみ)の餌となつて、文字さへ読めないやうに破れ果てゝゐるかも知れない。しかし――
 私はしかしと思ふ。
 しかし誰かゞ偶然私の作品集を見つけ出して、その中の短い一篇を、或は其一篇の中の何行かを読むと云ふ事がないであらうか。更に虫の好い望みを云へば、その一篇なり何行かなりが、私の知らない未来の読者に、多少にもせよ美しい夢を見せるといふ事がないであらうか。
 私は知己を百代の後に待たうとしてゐるものではない。だから私はかう云ふ私の想像が、如何に私の信ずる所と矛盾してゐるかも承知してゐる。
 けれども私は猶想像する。落莫たる百代の後に当つて、私の作品集を手にすべき一人の読者のある事を。さうしてその読者の心の前へ、朧げなりとも浮び上る私の蜃気楼のある事を。
 私は私の愚を嗤笑(しせう)すべき賢達の士のあるのを心得てゐる。が、私自身と雖も、私の愚を笑ふ点にかけては、敢て人後に落ちやうとは思つてゐない。唯、私は私の愚を笑ひながら、しかもその愚に恋々たる私自身の意気地なさを憐れまずにはゐられないのである。或は私自身と共に意気地ない一般人間をも憐れまずにはゐられないのである。
(引用終わり)
 
 ここで、著作権保護期間延長問題と青空文庫について、分かりやすくまとめたサイトもご紹介しておきます。
 

 上の記事にも書かれているとおり、昭和40年(1965年)に亡くなった江戸川乱歩や谷崎潤一郎の作品が今年(2016年)1月1日からパブリックドメインとなり、青空文庫に順次作品がアップされ始めています。
 

 あれもこれもと目移りしながら、お薦め作品を選ぼうかとも思いましたが、それでは皆さんの「探索の
楽しみ」を奪うことになってしまうでしょうから止めておきます。

 江戸川乱歩や谷崎潤一郎のようなビッグネームであれば、あと20年、著作権保護期間が延長されたとしても、もしかしたら、作品の入手に不自由はしないかもしれません。けれども、彼らほどの大家であっても、全集の片隅に埋もれ、読む者もほとんどない作品というのもあるでしょう。実際、芥川龍之介が『後世』という文章を書いていることなど、私は今日初めて知りました。
 著作物が公有(パブリックドメイン)になるということは、その著作物に新たな生命が吹き込まれるチャンスでもあるのです。そのことと、著作者の子孫の経済的利益とのバランス点として、ベルヌ条約が定める最低基準の「50年」というのは、絶妙な期間だと思うのですが。
 
 著作権保護期間の延長は、最近でこそ、TPPとの関連で話題になっていましたが、(他のTPP合意の各分野でもきっとそうなのでしょうが)TPP交渉のずっと前から、様々な議論が積み重ねられてきた問題でもあるのです。従って、TPPが発効するかどうかということはもちろん大問題ですが、個別案件についての注意も怠らないようにしなければと思います。

12/9映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映@和歌山市(メディア・アート・ホール)

 今晩(2016年11月16日)配信した「メルマガ金原No.2632」を転載します。

12/9映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映@和歌山市(メディア・アート・ホール)

 今日、和歌山県平和フォーラムの藤原慎一郎さんが、私の事務所まで、以下にご紹介する映画『辺野古 圧殺の海 第2章』(藤本幸久・影山あさ子共同監督)上映会のチラシを届けてくださいました。
 藤原さんの説明によれば、この企画は、12月10日(土)に東京・日比谷野外音楽堂で開催される「最高裁は地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12.10東京集会」(主催:戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会ほか)に呼応して開催する企画ということでした(注:フォーラム平和・人権・環境からの「要請書」参照)。
 ただ、12月10日(土)は適当な会場が空いておらず、9日(金)夜に開催することになったとか。
 
 現在、沖縄県では高江でのヘリパッド建設工事を阻止しようとする住民に対する弾圧が続いていますが、工事自体は訴訟の結論待ちということで一時的に止まっている辺野古についても、年度内にも最高裁が判決を出すのではと言われており、12月10日の統一行動(全国アクション)は、「高裁判決を覆し、民主主義と地方自治を取り戻す」(前記「フォーラム平和・人権・環境」要請書)ために取り組まれるものです。
 上映会の詳細については、以下のチラシをお読みいただくとして、若干の補足説明をしておきます。

〇17時45分開会ですが、最初は「最高裁は地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12・9和歌山集会」の主催者挨拶や各団体決意表明などがあるため、実際に映画上映が始まるのは間違いなく18時を回るそうです。
〇藤原さんによると、今回の企画は、森の映画社から上映権付DVDを購入して上映するのだそうです。「今後、この作品を上映したいという場合には、遠慮なく和歌山県平和フォーラムまでご連絡ください。」ということでした。著作者から上映権を付与された和歌山県平和フォーラムが主催者に名前を連ねていれば、今後の上映も問題ないでしょう(というのは私見です)。
 実は、12月9日、私は終日大阪出張で、大急ぎで和歌山まで帰っても、映画は終わりの方しか観られないと思いますので、どこかの団体が和歌山県平和フォーラムとの共催で第2弾の上映会をやってくれると嬉しいのですが。

チラシから引用開始)
-チラシ表面-
辺野古 圧殺の海 第2章

2014年7月1日の辺野古新基地建設の着工から、
翁長知事誕生までを描いた「圧殺の海」。
その後、沖縄・辺野古では何が起きていたのか。
翁長知事は、沖縄県民は、どうたたかって来たのか。
この映画は、翁長知事誕生からの激動の18ヶ月、
その抵抗の記録である。

辺野古 圧殺の海 第2章
2016年/107分/カラー/森の映画社
共同監督:藤本幸久/影山あさ子
撮影:栗原良介/小田切瑞穂/酒村多緒/藤本幸久/影山あさ子/川村拓希
編集:栗原良介
ナレーター:影山あさ子
歌:「人間をかえせ」きむきがん(ありらん食道)
題字:金城武政
配給:影山事務所

上映日:2016年12月9日(金)17:45(開場17:30)
会場:和歌山県立図書館2階「メディア・アート・ホール」
     (和歌山市西高松1-7-38)
主催:「最高裁は地方自治の破壊を許さず、民意によりそう判決を!辺野古新基地建設を許さない!12・9和歌山集会」
 和歌山県平和フォーラム、部落解放同盟和歌山県連合会、戦争をさせない和歌山委員会
お問合せ:和歌山県平和フォーラム TEL:073-425-4180

-チラシ裏面-
 
2014年11月16日、沖縄県知事選挙。10万票差で仲井眞前知事を破り、「辺野古に新基地はつくらせない」を公約とする翁長知事が誕生した。しかし、日本政府は、前知事が承認したのだから「粛々とすすめる」と工事を再開する。
 県民は、キャンプシュワブのゲート前に座り込み、道路に寝そべり、車の下に入り込み、工事用資材と車両の搬入を止め始めた。海では、フロートを乗り越え、コンクリートブロックの投入を止めようとした。
 県民の民意を反映した直接行動を前に、安倍政権は、警察権力で圧倒しようとする。船を転覆させ、死者を出しかねない暴力を振るう。
 県民たちは、しかし、毎日、ゲート前に座り、海に出続けた。名護警察署を取り囲み、抗議し、逮捕された仲間を取り返してきた。暴力を振るい続ける海保を海には出さないと、海保の車両をゲート前で止め続けた。工事は政府の思うように進まず、ボーリング調査の予定はどんどん延びてゆく。
 そして台風の季節。
 2015年8月、安保法案に反対する市民が国会前に連日押しかけるようになると、政府は沖縄県に、1ヶ月工事を中断しての集中協議を持ちかける。そして安保法案が通ると、また工事を再開した。
 2015年10月、翁長知事は遂に公有水面の埋め立て承認を取り消す。しかし安倍政権は、工事を中止するどころか、直ちに、国土交通省へ行政不服審査を請求、知事の承認取り消しを執行停止とした。同時に、埋め立て承認取り消しの権限を知事から取り上げようと代執行訴訟を提訴する。
 知事の権限をないがしろにし、国が工事を強行するなら、自分たちが工事を止める。
 県民たちは、キャンプシュワブゲート前に駆けつける。
 毎週水曜日、と提起された早朝行動は、500人、700人、1000人と人数を増し、さらに木曜行動へ広がってゆく。沖縄県警だけでは押さえられないと、安倍政権は警視庁機動隊を導入。県民も、体にペンキを被って座り込む。コンクリートブロックを並べるなど、知恵をしぼって抵抗を続ける。工事用車両がゲートを通れない時間が増えてゆく。県民たちは、米軍車両も止め始める。
 2016年3月4日、突然、国は代執行訴訟の和解受け入れを発表した。
 「新基地建設を阻止するためにあらゆる権限を行使する」という知事の姿勢、海でもゲート前でも弾圧を恐れない県民の日々のたたかいが、国に和解を受け入れさせた。
 「和解」は、1)国は工事を中断する、2)協議をする、3)裁判手続きを地方自治法に基づいてやり直す、の3点を内容とするが、新たな裁判の判決で沖縄県の手足を縛り、工事を再開しようとする国の思惑が見え隠れしている。

 今、工事は止まっている。しかし、中止されたわけではない。それゆえ、現場での抵抗も、止まることなく、続いている。

 裁判の和解とともに新たな段階に入った辺野古。圧殺の海 第2章「辺野古」は、翁長知事誕生からの激動の18ヶ月、その抵抗の記録である。
                          (藤本幸久、影山あさ子)

企画・製作・著作:森の映画社
 
http://america-banzai.blogspot.jp/
配給 影山事務所:TEL/FAX:011-206-4570 marinesgohome@gmail.com
チラシ製作協力:スペース・オルタ
(引用終わり) 

(参考動画)
【映画 予告編】『圧殺の海 第2章「辺野古」』(1分08秒)

若手弁護士に贈る“自民党改憲案”学習会を1日で準備するための資料

 今晩(2016年11月15日)配信した「メルマガ金原No.2631」を転載します。

若手弁護士に贈る“自民党改憲案”学習会を1日で準備するための資料

 先日、さる団体から自民党改憲案を考える学習会の講師を依頼された和歌山の若手弁護士から、参考になるレジュメや資料があったら教えて欲しいと要請されました。
 そこで、いささか安直のそしりはまぬがれませんが、今年の6月以降に私のメルマガ(ブログ)に掲載した学習会・講演会のレジュメ(私のものが2つ、由良登信弁護士のものが1つ)と、今や古典的動画(?)と言っても過言ではない伊藤真弁護士の語り下ろしビデオ『憲法ってなあに?』(2013年4月収録、翌14年4月YouTubeにアップ)を紹介するメールを送りました。
 その若手弁護士からは、すぐに「早速ありがとうございます!とてもとても助かります。(略)しっかり資料を読み込んで&視聴して、あさって頑張ってきます!」というお礼の返信がありましたが、その結果についてはまだ聞いていません。
 第一、2日前に入手した資料を読み込んで(読み込む時間は何とか作れるということでしたが)間に合うのか?という疑問を持たれる方もおられるでしょうが、もともと彼は、和歌山弁護士会に入会して間もない新人の頃、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」にもすぐに入会し、シンガーソングライターの横井久美子さんコンサートを提案して実現したり、3.11後、高校の先輩であるフォトジャーナリスト・広河隆一さんの写真展&講演会を企画して開催にこぎ着けるなどの実績があり、また、障害者の人権保障を活動の中心に位置付けて素晴らしい判決などを勝ち取っていますので、少し参考資料に目を通せば、自民党改憲案のどこが問題か、聴衆に説得力豊かに講演してくれたものと想像されます。

 ということで、私自身、短時間で書き上げられるメルマガ(ブログ)の素材がどうしても必要な事情があり(ということは昨日書きました)、「そうだ、〇〇さんに送ったメールをそのまま転載しよう」と思いついた次第です。
 〇〇さんだけではなく、初めて自民党改憲案を考える学習会の講師を頼まれた若手弁護士が、丸一日準備にあてる時間を確保して以下のレジュメを読んだり動画を視聴すれば、何とか講師が務まるだろうというつもりで読んでいただければと思います。

 なお、今回、メルマガ(ブログ)に掲載するにあたり、若干の補訂を施しましたし、さらに、由良登信(ゆら・たかのぶ)弁護士の本年7月31日の講演用レジュメは、緊急事態条項に関する部分が別刷りになっていましたので、統合した最新版のレジュメを送って欲しいと由良弁護士にお願いしたところ、来る11月19日に地元の御坊市で行う講演用のレジュメを送っていただきました。そこで、そのレジュメPDFファイルも追加でご紹介することにしました。
 

〇 〇 〇 〇 先生

 金原です。
 自民党改憲案の問題点を批判する学習会のために参考となる資料をみつくろってみました。
 この種の学習会といえば、由良先生が数え切れないほどやっていて、私がぼちぼちやっているというところです。
 ただ、あまり以前のものは参考にならないと思うので、今年の6月以降に行われた3つの学習会資料をご紹介します。
 私のレジュメが2つ、由良先生のレジュメが1つです(注:由良弁護士のレジュメを1つ追加しました)。

2016年6月15日 金原徹雄
「自民党改憲草案を斬る~いま主権者がなすべきこと~」
(主催 憲法を守りくらしに活かす田辺・西牟婁会議)
レジュメ掲載サイト

レジュメPDFファイル

2016年7月31日 由良登信
「自民党「憲法改正草案」を斬る!」
(主催 憲法9条を守る和歌山市共同センター)
レジュメ掲載サイト
レジュメPDFファイル
 その1 
 その2 
 ※「その2」は緊急事態条項について
講演動画(YouTube)


2016年10月22日 金原徹雄
「参院選後の改憲の動きと私たちの課題」
(主催 憲法を生かす会 和歌山)
レジュメ掲載サイト
レジュメPDFファイル
講演動画(YouTube)

※この講演では、緊急事態条項に主眼を置いたので、それ以外は手薄です。従って、その辺は6月15日のレジュメを参考にしてください。

2016年11月19日 由良登信
「自民党「憲法改正草案」を斬る!」
(主催 憲法9条を守り・いかす日高連絡会)
レジュメPDFファイル

 それから、伊藤真弁護士が、そもそも憲法とは何のためにあるのか?自民党改憲案のどこが問題か?を、2013年4月に語り下ろしたDVD「憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?」が、1年後の2014年4月に、「憲法ってなあに?」というタイトルでインターネット(YouTube)で公開されています。(55分)
 
 なお、DVD(500円)やテキスト(文字起こし)・パワポ資料(100円)も、引き続き「ワーカーズ・フォー・ピース」によって販売中です。
 注文は、インターネットのフォームから受け付けています。

 明後日の講演、頑張ってください。
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