弁護士・金原徹雄のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します。

10/3(火)「ネットにあふれる子どもたちの声-子どもシェルターるーも開設10周年-」開催!(和歌山城ホール小ホール)

2023922日配信(予定)の「メルマガ金原No.3535」を転載します。
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10/3(火)「ネットにあふれる子どもたちの声-子どもシェルターるーも開設10周年-」開催!(和歌山城ホール小ホール)

 開催まであと10日ほどとなり、しかも平日の昼間のイベントですので、参加できる方は限られているかもしれませんが、虐待などにより、家庭で暮らすことができなくなった子どもたちの避難場所として開設された「子どもセンターるーも」が10周年を迎えることを記念して、和歌山弁護士会との共催で表記のシンポジウムが開催されることになりました。
 弁護士会が主催の片翼を担うのは、そもそも「るーも」設立までの準備に奔走したのが、和歌山弁護士会子どもの権利委員会の有志若手弁護士(当時は!)数名であったことから説き起こす必要があるのですが(私は実働から手を引いた半引退委員として「頼もしい」と感心していました)、設立後の10年の歩みについては、伊藤あすみ弁護士からの報告が予定されているようなので、そちらに譲ります。
 今回のシンポは、「ネット」との関わりを中心に子どもたちの人権状況を多角的に分析しようとしており、特に子どもの福祉に関わる仕事、ボランティア活動などに携わっておられる方にとって、有意義な知見が得られる機会になると思われます。
 是非1人でも大くの方にご参加いただきたく、ご案内致します。

子どもセンターるーも ホームページ 

(開催概要)
2023年度子どもの権利・全国イベント
ネットにあふれる子どもたちの声-子どもシェルターるーも開設10周年-

先着380名/予約不要/参加無料
日時:令和5年10月3日(火)午後1時~4時30分まで(開場 午後0時30分)
会場:和歌山城ホール小ホール
主催:和歌山弁護士会/特定非営利活動法人子どもセンターるーも

後援(予定):日本弁護士連合会/和歌山県/和歌山市/和歌山県教育委員会/和歌山市教育委員会/和歌山県社会福祉士会/和歌山県臨床心理士会/和歌山県児童福祉施設連絡協議会/子どもシェルター全国ネットワーク会議
連絡先:(特非)子どもセンターるーも事務局 TEL.073-425-6060
 〒640-8276 和歌山市作事丁38番地

(開催趣旨)
インターネットやSNSの普及により、子どもたちが容易に情報にアクセスできるようになった一方、子どもたちがインターネットやSNSを利用する中で犯罪に巻き込まれたり金銭トラブルが生じたりすることも増えました。
また、インターネットやSNSを通じて、子どもたちがSOSを発していることもあります。
それぞれの立場で子どもに関わる活動をしておられる講師の方々をお招きし、我々大人たちができることを一緒に考えていきましょう。

(内容)
1「子どもシェルターるーも10年間の歩み」
 子どもシェルターるーも理事・事務局 伊藤あすみ弁護士
2「和歌山弁護士会子ども電話相談に関する報告」
 和歌山弁護士会子どもの権利委員会委員
3「ネット依存相談から見た子どものメンタルへルス」
 鳥取県精神保健福祉センター所長 原田豊氏(医師)
4「和歌山県の子どものインターネット利用状況」
 和歌山県環境生活部県民局 青少年・男女共同参画課
 特定非営利活動法人 和歌山IT教育機構
5「子どものSOS救済機関の実践」
 特定非営利活動法人こどもソーシャルワークセンター 理事長 寺重忠孝氏(社会福祉士)

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追悼・藤井幹雄先生~弁護士・金原徹雄のブログで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama ”2014~2019

 202353日配信(予定)の「メルマガ金原No.3534」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

追悼・藤井幹雄先生~弁護士・金原徹雄のブログで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 20142019

 今日はゴールデンウィークの後半初日、憲法記念日ですが、コロナ禍が襲来するまでの2014年から2019年までの憲法記念日は、和歌山城西の丸広場で“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を開催し、多くの方にご来場いただき、音楽や模擬店を楽しみながら、憲法に思いを馳せる1日を過ごしたものでした。
 そして、実行委員会を代表して開会の挨拶を述べるのは、いつも藤井幹雄弁護士(9条ネットわかやま世話人代表、憲法9条を守る和歌山弁護士の会代表世話人)の役割でした。
 今のところ最後の開催となった“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”で開会挨拶をする藤井先生の写真を掲載しておきます。

DSCN4452 (2) 本年4月16日、4年ぶりに開催された全日本トライアスロン宮古島大会に勇躍出場した藤井先生が、スイム中に意識を失い不慮の死を遂げてから、まだ2週間余りしか経っていないことが信じられない思いです。
 昭和62年の春、和歌山に配属された第41期司法修習生6人の仲間として彼と初めて出会ってから、思えば36年の月日が流れていました。様々な業績を遺した藤井先生ですが、私としては、特に憲法9条を守る活動に傾けた彼の情熱に焦点を絞った追悼文を書かねばと考えていますが、今はまだその用意ができていません。
 そこで、彼が、9条ネットわかやまや憲法9条を守る和歌山弁護士の会の仲間と協力して企画を実現し、大きな成果を挙げた“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を振り返り、藤井先生の在りし日の姿を偲ぶことが、憲法記念日の今日、最も相応しい追悼の方法だと思い、本稿を書いています。

 2014年に第1回を開催した“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”については、当時私が「ブログ毎日更新」を続けていたこともあり、かなり詳しくブログに記録を残してきました。以下にリンクを貼っておきますが、とりわけ2015年(第2回)から2019年(第6回)までは、Facebookと連動させた「写真レポートで振り返る」シリーズをブログに記録として留めてきました。

(弁護士・金原徹雄のブログから/“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”関連)
2014年4月11日 
5月3日は“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”に集いましょう(和歌山城西の丸広場) 
2014年5月3日 
憲法記念日に届いた“西谷文和さん”と“はちようび”からのメッセージ(和歌山城西の丸広場にて) 
2015年4月4日 
5月3日は各地の憲法集会に!~和歌山市は“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2015” 
2015年5月3日 
右翼の街宣車を圧倒した高校生たちの演奏の力~“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama2015”から 
2015年5月12日 
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2015” 
2016年3月21日 
第一報“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2016”(5/3@和歌山城西の丸広場)今年もやります! 
2016年5月5日 
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2016” 
2017年4月30日 
今年も憲法記念日には和歌山城西の丸広場へ!~“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017”へのお誘い 
2017年5月4日
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2017” 
2017年3月15日 
速報“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2018”(5/3@和歌山城西の丸広場)~今年は玉田玉秀斎師匠による「憲法講談」上演! 
2018年5月5日 
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2018” 
2019年4月29日 
“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019”(5/3@和歌山城西の丸広場)にご参加を!~10連休ですが今年もやります 
2019年5月4日 
写真レポートで振り返る“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2019” 
2020年4月5日 
“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama 2020”中止のお知らせと“2014~2019”回顧 

 以下に、2019年の動画(小谷英治さん撮影/3本分割/撮影許可がおりた出演者の分だけですが)をご紹介します。
 藤井幹雄先生の開会挨拶は、1本目の動画の冒頭~3分の部分に収録されています。

Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 1(22分)

 冒頭~ 開会・藤井幹雄実行委員会代表挨拶
 3分~ 和歌山朝鮮初中級学校・中級部
Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 2(48分)

 冒頭~ 
Halau Uilani(ハワイアンフラ)
 30分~ 紀道(平和の祈りのダンス)
 42分~ わかやま平和賞贈賞式
Happy Birthday 憲法 in Wakayama 2019 3(1時間12分)

 3分~ 紀北農芸高校和太鼓部

 34分~ Crowfield

 またいつの日か、藤井先生の志を引き継ぎ、“HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama”を憲法記念日に開催できる日がくることを願いながら本稿を閉じたいと思います。

「安定ヨウ素剤の予防服用」についてあらためて考える

 202349日配信(予定)の「メルマガ金原No.3533」を転載します。

「安定ヨウ素剤の予防服用」についてあらためて考える

 昨日(4月8日)、和歌山ビッグ愛で、私も所属する「子どもたちの未来と被ばくを考える会」の世話人会が開かれ、出席してきました。
 議題の1つは、先日(2023年3月4日)同会が主催した今中哲二先生(京都大学複合原子力科学研究所研究員)講演会の模様を撮影した動画をDVD化したので、その活用方法などが話し合われたのですが、本動画は撮影者の小谷英治さんによって既にYouTubeにアップされていますので、そちらの方でも是非ご視聴・拡散をよろしくお願いします。
※講演動画(2時間26分)
 


 また、昨日の世話人会では、同会がこのたび50冊購入した「NPO法人原子力資料情報室」発行のリーフレット「原発事故がおきたらどうする?!子どもを守るQ&A」(28頁/頒価300円/本年3月刊)の活用方法などについても議論しました。
※リーフレット紹介動画(59秒)
 


 このリーフレットでも紹介されていますが、「甲状腺がんを引き起こす放射性ヨウ素を子どもが取り込まない対策」に必須の「安定ヨウ素剤」について、地元自治体の備蓄状況の調査や要請を進めていくことが今日の世話人会で話し合われました。

 私は、2019年1月に、それまで6年間続けていた「ブログ毎日更新」が体調不良によって途絶えて以降、はかばかしくブログの更新ができなくなってしまいましたが、それまでは、かなりの回数、安定ヨウ素剤の予防服用について関心をもってブログで取り上げていました。その一端は、末尾にアーカイブ記事にリンクを貼っておきますので、ご参照いただければ幸いです。

 特に私がこの問題に関心を持ち続けてきたのには、以下のような事情があります。
●福島県下の多くの自治体が、国や県からの安定ヨウ素剤服用指示を待ちながら、指示がなかったためにあたら住民を被ばくさせてしまった中で、三春町(みはるまち)だけが、町独自の判断で住民への組織的配布を行ったということに感銘を受けたこと。
●しかし、同町の出身者で、地震の被害を受けた婚家を逃れ、生まれて間もない息子を連れて三春町の実家に身を寄せていた女性が、せめて息子の分だけでも安定ヨウ素剤を配布して欲しいと町に要請したにもかかわらず、「町民の分しかないので」ということで配布を受けられなかったこと。
●その後、その女性が母子避難し、原発賠償関西訴訟(私も弁護団の一員)の原告に加わり、口頭弁論期日で、上記の辛い体験を交えて意見陳述するのを間近で見たこと。

 私は、国や自治体の原子力災害に備えた対応指針の「安定ヨウ素剤の予防服用」の項目を読む際には、上記の三春町の教訓(良い面も悪い面も)が反映されているかどうか?という視点で検討するのを常としています。

 その意味で、2016年10月2日のブログでご紹介した長野県松本市の「松本市災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編」には大きな感銘を受けたものです(長野県内に原発はありません)。
 ただし、松本市のホームページは最近リニューアルされたようで、以前のブログで貼ったリンクが無効になってしまっていましたので、再度探してみましたが、「松本市地域防災計画」にも「松本市災害時医療救護マニュアル」にも、「原子力災害編」は影も形もありませんでした(国は原発から30㎞圏内の自治体にのみ計画やマニュアルの作成を指示しています)。まだしっかり確認はとれていませんが、先進的だった松本市の取組も、菅谷昭(すげのやあきら)前市長の退任(2020年)と共にどうなっているのやら。「風前の灯火」もしくは「雲散霧消」というようなことでないことを願うばかりです。

 とりあえず、国のこの問題についての基本方針は以下のようなものです。

原子力規制庁「安定ヨウ素剤の配布・服用に当たって」  
(平成25年7月作成/令和3年7月21日最終一部改正)
(引用開始)
3.事前準備
1)区域別の基本的な枠組み
 原子力災害が発生した場合に住民等への防護措置を効果的に行うために、原子力災害対策重点区域が定められている。具体的には、原子力施設からおおむね半径 5km を目安として予防的防護措置を準備する区域
(Precautionary Action Zone。以下「PAZ」という。)と、原子力施設からおおむね半径 30km を目安として「緊急防護措置を準備する区域(Urgent Protective Action Planning Zone。以下「UPZ」という。)がそれぞれ定められている。安定ヨウ素剤の配布及び服用についてもその区域ごとに対応することが必要である。
a. PAZ
 全面緊急事態に至った場合には、避難の際に、服用の指示に基づき速やかに安定ヨウ素剤を服用する。このような速やかな服用を可能とするためには、地方公共団体はこの区域の対象住民に対して事前に安定ヨウ素剤を配布しておく必要がある
(略)
b. UPZ
 全面緊急事態に至った場合には、屋内退避を実施し、その後、原子力施設の状況や緊急時モニタリング結果等に応じて、避難又は一時移転の防護措置が講じられる。安定ヨウ素剤は、この避難又は一時移転の際、原子力規制委員会が配布及び服用の必要性を判断し、その判断に基づき原子力災害対策本部又は地方公共団体が指示を出すため、住民はその指示に従う。
 地方公共団体は、避難又は一時移転の際に安定ヨウ素剤を緊急配布できる体制を整備する必要がある。また、安定ヨウ素剤の緊急配布に当たって、ゼリー剤の供給ができない場合等に散剤を使用する場合には、集合場所、避難所等において薬剤師又は訓練を受けた医療従事者若しくは地方公共団体職員(以下「薬剤師等」という。)が散剤から液状の安定ヨウ素剤を調製できる体制を整備する必要がある。
 なお、PAZ 内と同様に予防的な即時避難を実施する可能性のある地域、避難の際に学校や公民館等の配布場所で安定ヨウ素剤を受け取ることが困難と想定される地域等においては、地方公共団体が安定ヨウ素剤の事前配布を必要と判断する場合は、前述の PAZ 内の住民に事前配布する手順を採用して、行うことができる。
(引用終わり)

 私の住む和歌山県に原発はありませんが(関西電力による建設計画はいくつもありましたが、全て阻止してきました)、県庁所在地の和歌山市と高浜原発が立地する福井県高浜市の間の直線距離は143㎞余りです。試みに、福島県浪江町と栃木県日光市の間の直線距離を調べてみると、約144㎞余りでした。
 国が原子力災害に備えるべき自治体の目安とする30㎞圏内ということにどれだけの意味があるのか?東京電力福島第1原発事故の教訓から明らかだと思うのですが。

 ここ何年か事実上休業状態に近かったブログを、もう少し活性化させ、原発問題にももっと力を入れねばと感じながら、昨日の世話人会をあとにしました。
 そして書いたのがこのブログです。
 ほとんど振り返りだけですが、再開のための「助走」と考えればこんなものでしょう。何とか続けていければと思っています。

(弁護士・金原徹雄のブログから/安定ヨウ素剤関連)
2013年1月6日 
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断)前編 
2013年1月6日
三春町の4日間(安定ヨウ素剤配布・自治体の決断)後編 
2013年8月31日 
『20年後のあなたへ-東日本大震災避難ママ体験手記集-』を読んで 
2014年4月30日 
もう一度「安定ヨウ素剤の予防服用」を考える 
2014年12月18日
「知ること」は「行うこと」~『20年後のあなたへ~東日本大震災避難ママ体験手記集~』をあらためてお薦めします 
2016年4月1日
浜岡原発「防波壁」完成と「避難計画」策定から石橋克彦氏の論考『原発震災 破滅を避けるために』(1997年)を思い出す 
2016年10月2日 
「松本市災害時医療救護活動マニュアル 原子力災害編」の安定ヨウ素剤についての記述を読んで欲しい

5/20 今年の「We Love憲法~五月の風に~」は半田滋さん「敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に」@メディア・アート・ホール

 202344日配信(予定)の「メルマガ金原No.3532」を転載します。
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5/20 今年の「We Love憲法~五月の風に~」は半田滋さん「敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に」@メディア・アート・ホール

 毎年5月中旬の土曜日の午後に開催されてきた憲法九条を守るわかやま県民の会主催による恒例行事「We Love憲法~五月の風に~」。今年は5月20日(土)午後1時半から、和歌山市高松のメディア・アート・ホールで開催されます。
 講師は、昨年4月に青年法律家協会和歌山支部の招きで講演された防衛ジャーナリストの半田滋さんが、2年続けて来和されます。
 私の知る限り、
   2014年4月 青法協和歌山支部
   2016年7月 平和のための戦争展わかやま
   2022年4月 青法協和歌山支部
に続き、和歌山では4回目の講演ではないかと思います。
 昨年の12月にいわゆる防衛3文書が改定され、さらに防衛費の大幅増額が現実のものとなってきた最新の情勢を踏まえ、半田さんから再び明快な説明をうかがえる貴重な機会です。
 本日(4/4)、私の事務所にチラシをお届けいただきましたので、ご紹介することと致しました。是非多くの方にご参加いただければと思います。

 ただし、これまで使用されることの多かった「和歌山県勤労福祉会館プラザホープ」ではなく、「和歌山県立図書館 メディア・アート・ホール」が会場ということで、チラシにも注意書きがあるとおり、駐車場の台数が少ないことが懸念材料であり、バスでの来館が推奨されています。
 私は、県立図書館に隣接する和歌山大学松下会館を間借りしている放送大学(和歌山学習センター)の学生として、コロナ禍蔓延前には、毎年2回、単位認定試験を受けるために和歌山学習センターに行く必要があったのですが、その際も、近隣に利用できる駐車場がほとんどなく、やむなく自分の事務所に車を駐め、バスで松下会館まで行っていました。
 というような事情もあり、今年もオンライン参加が可能です。申し込み締切は5月15日とのこと。こちらも是非ご活用ください。

 なお、会場参加については、定員とか事前申込についてはチラシに何も記載されていませんので、「行ってみたら満員で入れなかった」ということがあっても(多分ないとは思いますが)、それは自己責任(あまり好きな言葉ではありませんが)ということでしょう。 また、会場参加、オンライン参加とも、チラシに記載はありませんが、「入場無料」のはずです(会場ではカンパ袋が回るでしょうが)。

 それでは、以下にチラシの文字情報を転記します。まことに勝手ながら、主催者に無断で私が何カ所か校正したり補充したりしていますが、何卒ご容赦ください。

(チラシ記載文字情報を引用開始)
、平和を守りきるために
講演 防衛ジャーナリスト半田滋氏が戦争の危険性をリアルに語る
演題/敵基地攻撃と日米一体化、防衛費倍増は国民負担に

2023 We Love 憲法 ~五月の風に~

2023年5月20日(土)13:00開場 13:30~16:00
メディア・アート・ホール 和歌山県立図書館2F
(〒641-0051 和歌山市西高松一丁目7番38号)

●県立図書館の駐車場は、台数に限りがあります。それ以外に周辺にほとんど駐車場がありません。お越しの際は、バス等でのご参加をお願いします。

●オンライン視聴できます
 希望者は必ず事前申し込みを5月15日までにお願いします。
 オンライン参加希望の方は、下記メールに、氏名、連絡先がわかるようお申し込みください。後日、IDとパスコードをお送りします。
 E-mail w-chihyo@naxnet.or.jp (県地評)

講師プロフィール
半田 滋(はんだ・しげる)
 1955年(昭和30年)生まれ。防衛ジャーナリスト。下野新聞社を経て、91年中日新聞社入社。元東京新聞論説兼編集委員。獨協大学非常勤講師。法政大学兼任講師。92年より防衛庁取材を担当。2007年、東京新聞・中日新聞連載の「新防人考」で第13回平和・協同ジャーナリスト基金賞(大賞)を受賞。
 著書に、「戦争と平和の船、ナッチャン」(講談社)、「変貌する日本の安全保障」(弓立社)、「安保法制下で進む!先制攻撃できる自衛隊-新防衛大綱・中期防がもたらすもの」(あけび書房)、「検証 自衛隊・南スーダンPKO-融解するシビリアン・コントロール」(岩波書店)、「零戦パイロットからの遺言-原田要が空から見た戦争」(講談社)、「日本は戦争をするのか-集団的自衛権と自衛隊」(岩波新書)、「僕たちの国の自衛隊に21の質問」(講談社)、「『戦地』派遣 変わる自衛隊」(岩波新書)=09年度日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞受賞、「自衛隊VS北朝鮮」(新潮新書)などがある。

憲法九条を守るわかやま県民の会
事務局/和歌山市湊通丁南1丁目1-3 名城ビル2F県地評内 Tel 073-436-3520
引用終わり)

(弁護士・金原徹雄のブログから/半田滋さんの和歌山での講演関連)
2014年4月26日 
半田滋さんの講演から学んだこと(付・半田滋さんの論説『首相の奇妙な状況認識』を読む) 
2016年7月30日 
戦地からの“最愛の妻”への手紙~「2016平和のための戦争展わかやま」から 
2022年4月4日 
4/28青法協和歌山支部 憲法を考える夕べ 「敵基地攻撃と日米一体化-踏み越える専守防衛-」 講師:半田 滋氏(防衛ジャーナリスト)/於プラザホープ/定員120名(要予約)

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4/28 40回目の憲法記念行事/水島朝穂早大教授講演会/青年法律家協会和歌山支部

2023330日配信(予定)の「メルマガ金原No.3531」を転載します。
Facebookにも同内容で掲載しています。

4/28 40回目の憲法記念行事/水島朝穂早大教授講演会/青年法律家協会和歌山支部

 例年、ゴールデンウイーク直前の平日夜に開催している青年法律家協会和歌山支部主催による憲法記念行事「憲法を考える夕べ」も、回を重ねて今回が第40回となります。

講師は、ちょうど20年前の2003年、20回目の憲法記念行事の講師としてお招きした水島朝穂先生(早稲田大学法学学術院教授)に再度の登壇をお願いしました。
 開催概要は以下のとおりです。

青法協憲法記念行事 憲法を考える夕べ
日時 2023年4月28日(金)開場 午後5時30分 開演 午後6時00分
会場 和歌山県民文化会館 小ホール(和歌山市小松原通1丁目1)
講師 水島朝穂(みずしま あさほ)氏(早稲田大学 法学学術院 教授)
演題 いま、日本国憲法の存在価値とはー「ウクライナ戦争」「台湾有事」「安保三文書」から考える
入場無料 予約不要
主催 青年法律家協会和歌山支部
お問い合わせ先 あすか綜合法律事務所(弁護士 重藤雅之)
 和歌山市六番丁24 ニッセイ和歌山ビル11階 TEL 073-433-3980

新型コロナウイルス感染症の影響で、
●第37回(2020年)志田陽子先生⇒中止
●第38回(2021年)志田陽子先生⇒中止
※代替措置として、志田先生に特別に収録して戴いた講演動画を青法協和歌山支部のYouTubeアカウントで公開。
 第1部

第2部

第3部

●第39回(2022年)半田滋さん⇒事前申込制で開催
ということになりましたが、ようやく4年ぶりで、ほぼ通常モードの「予約不要」での開催となります。

 思えば、米軍を中核とした多国籍軍によるイラク侵攻の直後に開催された20年前の水島先生のご講演の演題は「憲法から平和を考える」というものでした。
 それ以降の青法協和歌山支部主催による憲法記念行事のテーマは、急速に「平和問題」に集中していくことになりました。
 そして、今年2023年、「ウクライナ戦争」「台湾有事」「安保三文書」から憲法の存在価値を問うというテーマで再び水島先生にお話戴くということに、複雑な感慨を覚えざるを得ません。
 多くの方のご来場をお待ちしています。

憲法を考える夕べ2023

拡散希望!【3/12「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」開催(要事前申込)】

 202324日配信(予定)の「メルマガ金原No.3530」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

拡散希望!【3/12「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」開催(要事前申込)】

 このたび、「原発をゼロにする和歌山県民の会」から、「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション2023」のチラシをお届けいただきましたのでご紹介します。
 会場は和歌山市南コミセンですが、オンライン(ZOOM)併用ですので(人数制限なし)、遠隔地の方も含め、是非多くの方にご参加いただければと思います(事前の参加申込みが必要です)。

 今年の開催概要は以下のとおりです。

日時 2023年3月12日(日)13:30開場/14:00開会
場所 和歌山市南コミュニティセンター多目的ホール(旧「和歌山地域地場産業振興センター」)
    オンライン(zoom)併用
講師 松久保 肇 氏(認定特定非営利活動法人 原子力資料情報室 事務局長)
演題 これでいいのか、政府の方針転換!! 危険な原発を今こそゼロへ!!
主催 原発をゼロにする和歌山県民の会(事務局 和歌山県高等学校教職員組合内)
    TEL073-432-6355  FAX073-432-6357
参加申込方法
[会場参加の場合]
 氏名・所属団体・連絡先(電話番号)を明記の上(できればチラシ裏面に記入して)、3月6日までに和歌山県高等学校教職員組合宛FAX073-432-6357)に送付してください。
[オンライン参加の場合]
 2月20日(月)~3月6日(金)に下記メールアドレス宛に、氏名・所属団体(又は住所)・連絡先の電話番号を明記して申し込んでください。
 ※申込先メールアドレス ymasaji@hotmail.com 

 このイベントは、以前は実行委員会形式で開催されていましたが、その実態も形骸化し(私も当初は企画会議に参加していましたが、ご無沙汰するようになって久しいですから)、県民の会の単独開催となるのも「宜(むべ)なるかな」というところです(いつからそうなったんだろう?)。

 私が企画に関わっていた頃の記録がFacebookとブログに留められています(ご参考までに)。
Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ和歌山アクション2016」 
Facebookで振り返る「フクシマを忘れない!原発ゼロへ和歌山アクション2017」

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オリジナルで聴く「ぼっち・ざ・ろっく!」最終回エンディングテーマ~ASIAN KUNG-FU GENERATION『転がる岩、君に朝が降る』~

 20221228日配信(予定)の「メルマガ金原No.3529」を転載します。

オリジナルで聴く「ぼっち・ざ・ろっく!」最終回エンディングテーマ~ASIAN KUNG-FU GENERATION『転がる岩、君に朝が降る』~

 先日(12月24日の深夜24時~)ついに最終回(第12話)が放送された、女子高生バンド(結束バンド)の日常を描くTVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」については、Facebookなどでしつこく取り上げてきましたが、その続報です。

 そもそも、結束バンドの4人のメンバーの姓(後藤、伊地知、山田、喜多)や担当楽器がアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)由来ということからも分かるとおり、原作マンガの作者(はまじあき さん)自身がおそらくアジカンの熱烈なファンであることは間違いないでしょうし、TVアニメのサブタイトルが、第8話を除き、全てアジカンの楽曲タイトルそのままか若干アレンジしたものとなっており、原作者も密接に関わったアニメ制作の上でも、アジカンに対するリスペクトは継承されていました。

 そして最終回、それまでエンディングテーマは、結束バンドのメンバー(を演じた声優さん)が交代で歌っていたこともあり(喜多⇒山田⇒伊地知)、残るは主人公のぼっちちゃんこと後藤ひとりのみとなっていたため、ファンの間では、「最終回のエンディングは、ぼっちちゃん(の声優の青山吉能さん)が歌うのでは」という観測が有力であり、実際その期待は裏切られませんでした。
 ただし、それまで番組中で披露される曲は(オープニング、エンディングを含め)全て(結束バンドメンバー自作という設定の)オリジナル曲ばかりでしたので、最後の最後にアジカンのカバー曲(しかも、第1話「転がるぼっち」と最終話「君に朝が降る」というタイトルの由来となった)『転がる岩、君に朝が降る』(作詞作曲:後藤正文)になるとは!と、ぼざろ(ぼっち・ざ・ろっく)ファン、アジカンファンの双方を驚かせ、喜ばせることになりました。

 正直、私はアジカンの楽曲そのものについての知識はほぼないに等しく、ミュージックビデオを何曲かYouTubeで視聴しただけなのですが、メンバーの後藤正文さんについては、かなり前からその存在を意識していました。そのきっかけとなった、2013年3月11日に開催された「つながろうフクシマ!さようなら原発講演会」での坂本龍一さんと後藤さんとの対談を、ブログで簡単に紹介していました。

2013年4月1日
坂本龍一さんと後藤正文さんの対談に耳を傾けよう 

 残念ながら、当時の映像はもう視聴できなくなっていますが、ブログでは、後藤さんが発行していた個人新聞「THE FUTURE TIMES」についても紹介していました。この新聞は、どうやら2018年に発行された第9号が今のところ最終号となっているようですが、後藤さん自身が同紙に連載していた「未来に話そう」がネットでも読めますので、一部引用してみます(第9号から)。

(引用開始)
 「これだ」という楽曲ができる度に、「たった一曲で世界が変わるんじゃないか」と僕は思う。
 そうした誇大妄想はもろくも崩れて、世間的なヒット作としての評価は受けられずに、いつもがっかりしている。
 けれども、その曲が「ある世界」と「ない世界」のどちらがマシなのかと問われれば、間違いなく「ある世界」を僕は選ぶ。世界を変えられなくても、僕自身は間違いなく、その曲の誕生以前と以後では、何から何まで違う。
 これは音楽だけに限ったことではないと僕は思う。「社会をより良く変えたい」と願っていても、僕らにできることは少ない。
 たとえば、明日から、誰しもが貧困や差別について考えなくても済むような発明はできない。
 ただ、差別や貧困のない世界を僕らが求めている社会と、求めていない社会とでは、大きな違いがある。どちらがマシかは言うまでもない。
(引用終わり)

 ここまで引用したのは、実は『転がる岩、君に朝が降る』の冒頭の歌詞が以下のようなものであったことにもよります。

(引用開始)
出来れば僕は世界を塗り変えたい
戦争をなくすような大逸れたことじゃない
だけどちょっと それもあるよな
(引用終わり)

 『転がる岩、君に朝が降る』(2008年2月6日リリースの11枚目のシングル)が「ぼっち・ざ・ろっく」最終話のエンディングテーマとなることについて、後藤正文さんが寄せたコメントが公開されています。

(引用開始)
何も持たずに生まれたはずなのに、
間違うことや失うことを恐れて臆病になってゆく私たち。
それでもこの世界を丸裸のまま転がってゆくのだという決意を歌った
「転がる岩、君に朝が降る」という楽曲を、大切に扱ってくれて嬉しいです。
後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION
(引用終わり)

 女子高生バンドを主人公としたアニメ最終話のエンディングで、メンバー(を演じた声優さん)がこの曲を歌うのですよ。私は「素晴らしい!」と感動しました。
  昨日届いた、この曲を最終14曲目に収録したアルバム「結束バンド」を昨日から車の中でずっと聴いています。
 「結束バンド」による『転がる岩、君に朝が降る』のカバーは公式YouTubeチャンネルでは公開されていませんので、アジカン公式チャンネルで公開されているASIAN KUNG-FU GENERATIONによるオリジナルヴァージョンを是非皆さんも聴いてください。

ASIAN KUNG-FU GENERATION 『転がる岩、君に朝が降る』


同歌詞
 

(余談)
 TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」を製作したアニプレックスがソニーミュージックの子会社であり、ASIAN KUNG-FU GENERATIONもソニー系レーベルのキューンミュージック所属であること、さらに、アジカン自身、アニメのテーマ曲を何度か手がけていることなどが、「ぼざろ」とアジカンによる幸福なコラボの背景にあることを付け加えておきます。

(参考)
弁護士・金原徹雄のブログ2
022年12月25日 
TVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」が終わってしまった~原作者(はまじあき氏)のお礼の言葉に胸がつまる~年末年始に「一気見」しませんか 

金原徹雄Facebook
2022年10月9日 
2022年12月27日

日本学術会議が危うい!

 20221227日配信(予定)の「メルマガ金原No.3528」を転載します。

日本学術会議が危うい!

 2020年10月に発生した、菅義偉内閣による加藤陽子東京大学教授をはじめとする6名の日本学術会議会員候補者(被推薦者)に対する任命拒否事件について、菅内閣を引き継いだ岸田文雄内閣も、日本学術会議法に明確に違反する任命拒否の姿勢を踏襲し、法律で定められた定員に6名の欠員を生じさせたまま、違法状態を放置しています。
 いや、「放置」しているだけならともかく、日本学術会議の独立性を掘り崩す改悪に乗り出そうとしていることを国民の皆さんは承知されているでしょうか?

 12月16日にいわゆる「防衛3文書」が公表されたこともあり、軍事国家への転換を進めようとする政府の姿勢に目が奪われがちですが、同じ文脈の中で、日本学術会議法「改正」が(次期通常国会にも「改正案」提出を目指すことを政府は公言しています)企図されていることに最大限の注目をしていただきたいと思います。
 「同じ文脈」ということの意味は、日本学術会議が発出した以下の3つの声明を通読されれば明らかだろうと思います。

1950年「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明「日本学術会議は、1949年1月、
その創立にあたって、これまで日本の科学者がとりきたった態度について強く反省するとともに、科学文化国家、世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。
われわれは、文化国家の建設者として、はたまた世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、さきの声明を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。」

1967 年「軍事目的のための科学研究を行わない声明」
「ここにわれわれは、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、真理の探究のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する。」

2017年「軍事的安全保障研究に関する声明」
「近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。」

 2020年の任命拒否事件の背景には、日本学術会議の軍事研究に関する上記の姿勢があるのではないかということが有力に主張されてきましたが、このタイミングで政府(内閣府)が日本学術会議法の抜本的な「改正」に乗り出そうとしているということは、上記観測が決して的外れではなかっことの証左だろうと思います。

 とはいえ、私自身、この危険な動きに気が付いたのはごく最近のことであり、くわしく解説するだけの蓄積もなければ能力もありません。
 そこで、取り急ぎ最低限必要な資料をご紹介しますので、是非目を通された上で、日本学術会議の独立性を守るための声をあげていただければと念願します。

 まずは、日本学術会議の根拠法です。

日本学術会議法(昭和二十三年法律第百二十一号) 

 次に、今回の政府の日本学術会議に対する基本方針をとりまとめたのが以下の文書です。

令和4年12月6日・内閣府
日本学術会議の在り方についての方針 

 これに対し、日本学術会議が12月21日に開催した第186回総会で決定した声明をお読みください。

令和4年12月21日・日本学術会議
内閣府「日本学術会議の在り方についての方針」(令和4年12月6日)について再考を求めます 

 日本学術会議は、上記声明で6つの懸念事項を指摘しましたが、それをより詳しく説明した文書を、梶田隆章会長名で12月27日に公表しました。

令和4年12月27日・日本学術会議 会長 梶田隆章
内閣府『日本学術会議の在り方についての方針』に関する懸念事項(第186回総会による声明に関する説明) 

 以上がとりあえずの基本文書ですが、以下に、「学術会議会員の任命拒否理由の情報公開を求める弁護団」が公表した緊急アピールをご紹介します。是非ご一読ください。

2022年12月25日・学術会議会員の任命拒否理由の情報公開を求める弁護団 
学術会議会員任命拒否に抗議する全ての皆様に緊急に呼びかけます
学術会議を根幹から変質させる政府「方針」「法案」との闘いを!


 上記呼びかけの末尾の部分を引用します。

(引用開始)
 このたび唐突に出された政府の「方針」は、政府の意向に沿う人を会員にし、政府が気に入らない人を排除することを可能とする法律を作り、学術会議の独立性・自律性を完全に失わせようとするものです。これは、憲法23条に違反して、政府の下に科学・学術を従属させようとするものであり、学術会議の変質・解体に他なりません。
 学術会議は、科学者が戦争に協力したことの反省から1949年に設立され、軍事研究に反対する声明を繰り返し出してきた経緯もあります。12月16日閣議決定されたいわゆる安保3文書は、敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有、防衛予算GDP2%・5年で43兆円などを打ち出し、いま日本は、本格的な軍事国家へと梶を切ろうとしています。その中で、安保3文書は官民の技術力を安全保障分野に積極的に活用するとし、また、学術を軍事に動員する経済安保法などの法律も成立しています。このような情勢の下で、政府は、政治権力から独立した存在の学術会議が、政府の安全保障政策の妨げになると考えているのではないでしょうか。
 学術会議の独立性・自律性を侵すことは、広く国民・市民の、学問、思想、良心、表現の自由の侵害につながり、戦争への道を開くことにつながります。
 2022年12月21日、日本学術会議は、内閣府の「方針」を厳しく批判し、「強く再考を求める」声明を出しています。この声明を支持しましょう。
 通常国会の開会は、もう間もなくです。この問題の重大性・緊急性を、抗議声明など様々な方法で多くの人々に知らせ、世論の力で「方針」を撤回させ、「法案」提出を断念させましょう。国民・市民の力で、学術会議の独立と学問の自由を守りましょう。
 私たち弁護団も、力を尽くす決意です。
(引用終わり)

 最後に、日本学術会議をめぐるこの緊急事態を最も詳しく報じているのは、今のところ東京新聞だろうと思います。12月21日の学術会議総会を取材した上での記事(中に動画も埋め込まれています)をご紹介しておきます(執筆は望月衣塑子記者)。

東京新聞WEB版 20221222 0600
学術会議の独立性を阻害しないのか…政府方針の「第三者委による会員選考チェック」に会員から懸念 
(抜粋引用開始)
 日本学術会議は戦後の平和的な復興などを目指して1949年に創設。「独立して職務を行う」と日本学術会議法で規定され、科学者による軍事協力への反省も表明しつつ、政府の諮問に応じるなどしてきた。
 会員は2005年以降、会員による推薦などを基に学術会議の選考委員会が候補者を推薦し、首相が任命してきた。ところが20年、当時の菅義偉首相が候補者のうち6人の任命を拒否して以降、改めて6人の任命を求める学術会議と、学術会議改革に力を入れたい政府の対立が続く。
 こうした中で、政府は会員の選考過程のチェックに第三者委員会を加える方針を示した。21日の総会では「第三者委員会の透明性を確保できるのか」「政府に対する独立性を阻害しないか」などと、会員の学者ら約30人が2時間超にわたり疑問を投げかけた。
(引用終わり)

「12/16 防衛3文書」を理解するための資料(メモとして)

 20221224日配信(予定)の「メルマガ金原No.3527」を転載します。

12/16  防衛3文書」を理解するための資料(メモとして)

 クリスマスといっても、いまさら特別な1日にはなりようもなく、今晩、深夜24時から放送されるTVアニメ「ぼっち・ざ・ろっく」最終回(第12話)を視聴するのがとても楽しみというだけのことですが、ただ、岸田文雄内閣が去る12月16日に閣議決定した「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」(いわゆる「防衛3文書」)については、そんなのんきな感慨を吐露している訳にもいきません(内閣官房ホームページ)。
 非常にやばいことになっているという切迫感はあるものの、とにかくその内容を知ることが重要ということで、取り急ぎ参考となるサイトを、備忘録代わりにまとめておくことにしました。

まずは、「防衛3文書」の原文です。

「国家安全保障戦略」(令和4年12月16日 国家安全保障会議・閣議決定)(PDF33枚)
 同「概要」PDF9枚)
「国家防衛戦略」(令和4年12月16日 国家安全保障会議・閣議決定)(PDF33枚)
 同「概要」PDF19枚)
「防衛力整備計画」(令和4年12月16日 国家安全保障会議・閣議決定)(PDF39枚)

 次は、「防衛3文書」を批判する立場からの決議・意見書・声明等です。

日本弁護士連合会「『敵基地攻撃能力』ないし『反撃能力』の保有に反対する意見書」(2022年12月16日)(PDF28枚)
 同「趣旨」 
自由法曹団「安保3文書の閣議決定の白紙撤回を求める決議」(2022年12月17日・自由法曹団常任幹事会決議)
 同PDF版(2枚)
日本カトリック正義と平和協議会「岸田政権の『安保関連3文書』閣議決定に抗議し撤回を求めます」(2022年12月20日声明) 

 逆に、この「防衛3文書」を歓迎する立場のものも1つご紹介しておきます。

President Biden UnitedStates govermment official 
The United States stands with Japan at this critical moment. Our alliance is the cornerstone of a free and open Indo-Pacific and we welcome Japans contributions to peace and prosperity.
7:01 PM Dec 16, 2022
「バイデン大統領は16日、自身のツイッターに『アメリカはこの重大な瞬間に日本とともにある』『日米同盟は自由で開かれたインド太平洋の礎であり、日本の貢献を歓迎する』と投稿しました」テレ朝NEWSより)

 これからどんどん出てくるとは思いますが、分かりやすく問題点を指摘してくれているQ&Aをご紹介しておきます。
 改憲問題対策法律家6団体連絡会がとりまとめたリーフレット(36頁)です(閣議決定直前に書かれたものですが)。

「9条実質改憲としての安保三文書改訂―戦争させないためのQ&A―」(2022年11月)

 それから、これはネットでは読めませんが、防衛ジャーナリスト(元東京新聞論説兼編集委員)の半田滋さんが、週刊金曜日に連載している「半田滋の新・安全保障論」の第53回(12月16日号)に、「3文書改訂は『安倍政治』の尻ぬぐい 米国製武器の『爆買い』が防衛費を圧迫する」(6ページ)という分かりやすい論考を寄稿されています。半田さんの某MLへの投稿によると、「(上記記事は)16日の閣議決定について、防衛費の中身について主に論じています。敵基地攻撃の問題点については、1月13日号で論じます。」とのことでした。

第100回「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」に雨の中100人の市民が参加!(2022年10月17日)

 2022年10月17日配信(予定)の「メルマガ金原No.3526」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

第100回「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」に雨の中100人の市民が参加!(2022年10月17日)

 2014年6月23日の第1回以来、いかなる悪天候にもコロナ禍にも負けず、毎月実施してきた「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が、いよいよ今日(2022年10月17日)、記念すべき100回目を迎えました。
 最近は、毎回の参加者数は50人を前後する水準で推移しており、第1回開催時の「160人」とはいかずとも、せめて「100人」は参加して欲しいという目標を立て、様々な協力団体からも呼びかけていただき、本日を迎えたのですが、朝からあいにくの雨模様。幸い、本降りにはならなかったものの、小雨は降り続き、はたしてどれだけの方が来てくれるかと心配しましたが、最終的には目標ちょうどの「100人」の市民の方にご参加いただくことができました。

 今回のコール役は藤井幹雄弁護士でしたが、同弁護士は最初と最後だけコールし、中間のコールは、100回目を記念して、今までこのデモを支え続けてくださった市民の皆さまにコーラーをお願いすることとし、事前にお願いしていた方3人と集合した市役所前で急遽お願いした方1人の計4人にコールしていただきました。
 一応主催者においてコール案は用意していましたが、その他に、自分で考えたコールをされた方もおられ、毎回とはいかなくても、今後もコール役を参加者に分担していただく試みは続けていけるのではないかと(個人的には)思いました。

 ところで、今回のデモでは、もう1人「市民コーラー」を(咄嗟の機転で)やってくださった女性がおられたことをご紹介しておきます。
 それは、近年のランチTIMEデモの参加者数のレベルでは「起きようがなかった」事態が生じたことがきっかけでした。つまり、デモの隊列が長くなると、どうしても信号が変わるタイミングで隊列が分断されてしまう可能性が高くなる訳で(信号無視する訳にはいきませんからね)、今回も、ちょうど参加者数の半分ずつの2つの隊列に別れてしまい、コーラーが前方の隊列でコールする声が、しばらくは後方の隊列にも何とか聞こえて唱和していたものの、ほとんど聞き取れぬほど離れてしまったタイミングで、後列の先頭を歩んでおられたMさん(私とは「守ろう9条紀の川市民の会」の役員同士で旧知の仲)が、マイクもないのに、とても良く通る力強い声でコールを始められ、Mさんに続く参加者も一斉に唱和されるという、とても感動的なシーンに立ち会えました(私は、人数カウントと写真撮影のためにたまたま後列の方にいました)。

 ということで、本日のランチTIMEデモは、計5人の市民コーラーの皆さまのおかげで、素晴らしい盛り上がりを見せることができました。

 出発前の挨拶で藤井弁護士が話していたように、この100回の節目を機に、ランチTIMEデモを始めた時の初心に立ち返り、憲法を守り活かすための「不断の努力」を続けねばという思いを新たにできたのではないかと思います。

 なお、年内のランチTIMEデモの日程は以下のとおりです。いずれも、正午和歌山市役所前集合、12時20分にスタートして京橋プロムナードまでです。多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

第101回 2022年11月16日(水)
第102回 2022年12月 8日(木)

※デモ終了後、京橋プロムナードで撮影された集合写真でも翻る2本の幟(取り戻せ!!立憲主義」と「ランチTIMEデモ 100回記念」は、いずれも「憲法九条を守るわかやま県民の会」が主催するフォトコンテスト優秀賞の賞品として、私(か「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」かがやや曖昧ですが)が県民の会からいただいたものです。県民の会の皆さま、ありがとうございました。

※京橋プロムナードで流れ解散となった後、参加者に記念品として「9条ネットわかやま」提供による9条シールが配布されましたが、気が付かずに帰ってしまった人もおられたかもしれません。ご提供いただいた「9条ネットわかやま」に感謝します。

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100回目を迎える「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」@和歌山

 2022925日配信(予定)の「メルマガ金原No.3525」を転載します。

100回目を迎える「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」@和歌山

 毎月一度、平日の昼休み、和歌山市役所前に集合して京橋プロムナードまで、約15分弱の行程を歩きながら憲法の大事さをアピールし続けてきた「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」(呼びかけ:憲法9条を守る和歌山弁護士の会)が、いよいよ次回(2022年10月17日)で100回目を迎えます。

 2014年6月23日に第1回のランチTIMEデモを実施するので是非参加して欲しいという呼びかけの文章は、同年6月2日付で公表されています。初心を思い返すために、憲法9条を守る和歌山弁護士の会からの呼びかけ文(起案は私が担当しました)の本文を引用します。

(引用開始)
 去る5月15日、私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」からの報告書の提出を受け、安倍晋三首相は、長年にわたり憲法9条の下では行使できないとされてきた政府の憲法解釈を変更し、集団的自衛権行使を容認する「基本的方向性」を明らかにしました。
 これは、本来、憲法改正の手続をふみ、最終的には国民の判断にゆだねるべき重大な問題を、一内閣の恣意的な決定によって変更しようというものであり、立憲主義そのものを否定する許し難い暴挙です。
 憲法9条改正の要否やわが国の安全保障政策について、国民の間に様々な意見があることは承知していますが、今、安倍政権がやろうとしていることは、政府の一存で憲法規範を無力化しようというものであり、これに対して異議申立てをしないということは、日本が民主主義、法治主義という価値を捨て去り、為政者の独裁を許すことに加担するのも同然です。
 私たちは、従来の立場の違いを乗り越え、広汎な市民・国民が、「憲法の破壊を許さない」という一点で結集し、安倍政権の企てを阻止する行動に立ち上がることを呼びかけます。
 まずは、そのためのアピール行動として、以下の昼休みデモを企画しました。1人でも多くの方のご参加をお待ちしています。
(引用終わり)

 このデモの企画については、主催(呼びかけ)団体となった憲法9条を守る和歌山弁護士の会の定例会だけではなく、9条ネットわかやまでの議論も反映させて呼びかけ文を起案したのだということを思い出しました。
 この呼びかけ文は、すぐに私のブログに掲載したのですが、読み返してみると、当時の様子が鮮やかに甦ってきます。

2014年6月2日 
6/23「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」(@和歌山市)をやります! 

 この8年以上前に書かれたブログを読んで「懐かしい」と思うのは私だけかもしれませんが、これからの運動にとって参考になる部分があるかもしれず、長くなって恐縮ですが、引用します。

(引用開始)
 和歌山では、各地の「9条の会」の役員などが登録している「9条ネットわかやま」のメーリングリスト上に、「5.15」直後から、以下のような様々な提案が寄せられました。

①昼休みデモの実施(単発ではなく少なくとも月1回定例で、団体色を薄めて出来るだけ様々な個人・団体が結集できるように、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」からの呼びかけであることが望ましい)
①-2 市内中心部だけでは参加できない人も多いので、郊外デモもやろう。ふじと台デモ(新興住宅開発地)とかイオンモール・デモ(開業したばかりのショッピングモール)とか。
②新聞への意見広告の掲載
③様々な団体・個人が、間断なく抗議の「声明」「意見」等を首相官邸に送り続ける。
④公明党に立党の原点を守って頑張って欲しいという応援メッセージを送る。
⑤新聞・雑誌の投稿欄に積極的に自分の意見を書いて送る。

 今回、上記のうちの①の昼休みデモ(ランチTIMEデモと称することになりましたが)の内容が固まりましたので(警察への届出などはこれからですが)、お知らせすることにしたものです。

 呼びかけ文は私が起案したのですが、悩んだのは、デモ行進でよく参加者が携行して掲げる幟の扱いをどうするか?ということでした。
 昨年来、何度か行われた秘密保護法反対デモの際にもよく聞いたことなのですが、特定の政党とのつながりが強いと(世間で)思われている労働組合や平和団体の幟ばかりが目立つと、それらの団体と無縁な市民は「参加しにくい」というのです。
 かといって、長年、熱心に平和運動に取り組んできた実績のある団体の「やる気」を削ぐようなことはしたくないし、ということで、まことに悩ましい問題なのです。

 これは、「憲法9条の明文改憲に反対する」という1点で結集し、できるだけ広い層に参加を呼びかけることを建前とする各地の「9条の会」でも問題になることで、会の趣旨に矛盾するからということで、「これもダメ」「あれもダメ」と言い出すと、ウイングを広げるという本来の目的とは真逆に、どんどん出来ることの範囲を狭め、かえって運動を細らせてしまいかねないということがあり、私はこれを密かに「9条の会のパラドックス」と名付けているのです。

 結局今回の「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」については、「出来るだけ様々な立場の方に参加していただくため、団体名のみを表示した幟の携行はご遠慮願います」ということにしました。
 その「心」は、「戦争する国造りを許さない!」というようなスローガンの下に、小さく団体名が表記されているようなものは「OK」ということなのですが、これで良かったのかどうかに一応の結論が出るのは、第1回のデモが終わった後のことでしょうね。)
(引用終わり)

 5.15の衝撃(呼びかけ文冒頭で言及)を受け、実に様々な提案がなされ、そのかなりのものが実現したことを思い出しました。
 イオンモール和歌山を出発点とする地域デモも取り組まれましたし、(この時だったかどうかやや自信がないものの)全国紙の和歌山版に弁護士有志が意見広告を出しました。それに、私自身、賛同者を募り、公明党に「励ましのお便り」を送りましたもの。

2014年6月10日 
公明党に応援メッセージを送りました 

 そして、このような多種多様な提案が9条ネットわかやまのメーリングリスト上で活発に発信されていたということを思い出すにつけ、このMLはまだ生きているのだから、もっと活用しなければ・・・という思いを新たにしたりします。

 さて、100回目の「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」です。あらためて開催概要を以下に記載します。

日程 2022年10月17日(月)
     集合 午後0時00分
     出発 午後0時20分
集合場所 和歌山市役所前
コース  和歌山市役所前→公園前交差点(左折)→京橋プロムナード(ゴール)
主催団体 憲法9条を守る和歌山弁護士の会
お問合先 ℡073-436-5517(わかやま法律事務所:弁護士浅野喜彦)

 100回記念ではありますが、デモの概要自体は従来通り、同じ時間に同じコースを歩きます。
 ただ、このランチTIMEデモが多くの市民に支えられてきたからこそ、ここまで続けることができたということを具象化するような工夫ができないか、という貴重なご提案もいただいていますので、鋭意検討中です。
 また、9条ネットわかやまからは、参加者に進呈する記念品の提供を検討するという話も聞いています。

 第1回のランチTIMEデモには160人の市民が参加しました。第99回の参加者は40人でした。第1回なみというのは難しくても、次回の100回目を何とか100人規模のデモにできないかと切望しています。
 初めての方や、かつて参加されたもののしばらく遠ざかっておられた方などにも広くご参加いただければと思います。

 日本国憲法施行後、今ほど改憲の現実性が高まった時期はありませんが、問題はその改憲の方向性です。私自身、一字一句改憲してはならないなどとは思っていませんが(臨時国会召集請求があれば、2週間以内に召集を決定しなければならないとする自民党案など大変結構なものです)、世上に流布する有力な改憲案には到底賛同しかねる内容のものが多いことも事実です。
 「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」も、過去何度か「もう止めようか」という議論がありつつも、今まで続けてきたについては、それなりの理由があると言うべきでしょう。
 基本的に、このデモは立憲主義を守るデモとしてスタートし、今もその性格を変えてはいません(9条護憲が表に出ることはありつつも、ですが)。
 あなたも、多くの仲間と共に憲法の重要さをアピールしませんか?
 心からお待ちしています。
 もちろん、事前申し込みなど必要ありません。
 スタート(12時20分)に遅れないように和歌山市役所前までおいでください。

備考1 年内のランチTIMEデモの日程
 第100回 2022年10月17日(月)
 第101回 2022年11月16日(水)
 第102回  2022年12月8日(木)

備考2 ランチTIMEデモの回数について
 2014年6月以来毎月実施してきたランチTIMEデモですが、「だとすると2022年9月で100回に到達しているのでは?」という疑問を持たれる方もいますので説明しておきます。これは、2015年2月だけは、同月16日に和歌山弁護士会が主催する「集団的自衛権行使容認に反対するアピールパレード」が同じ時間帯、同じコースで実施されたため、普段のランチTIMEデモの参加者はそちらに合流することとし、ランチTIMEデモはお休みにしたのでした。

備考3 第1回と第99回の写真
 上段が2014年6月23日の第1回、下段が2022年9月14日の第99回の模様です(撮影はいずれも金原)。

第1回ランチTIMEデモDSCN5942 (2)

「憲法に緊急事態条項って!?」市民集会(和歌山弁護士会)開催のお知らせ(2022年10月28日/和歌山城ホール4階大会議室)

 2022827日配信(予定)の「メルマガ金原No.3524」を転載します。

「憲法に緊急事態条項って!?」市民集会(和歌山弁護士会)開催のお知らせ(20221028日/和歌山城ホール4階大会議室)

 2か月後に開催される和歌山弁護士会の行事「憲法に緊急事態条項を新設する憲法改正について考える」市民集会をご案内します。
 講師には、この分野の第一人者である永井幸寿弁護士(兵庫県弁護士会)をお招きし、日弁連が呼びかける「憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム」の一環として開催されるものであり、弁護士会内では憲法委員会が所管しています。

 もちろん、この内容であれば、憲法委員会が所管して当然なのですが、全国的には、憲法委員会のない単位会もあるでしょうし、もしかしたら、災害関連委員会が所管して開催するところがあるかもしれません。
 実際、後に掲載するチラシに記載されているとおり、講師としてお招きする永井先生は、日本弁護士連合会災害復興支援委員会の元委員長(現在でも委員・部会長)という経歴から分かるとおり、いわゆる「憲法族」ではなく、「災害族」なのです。

 おそらく、いわゆる「改憲派」が、大規模災害を「だし」にして緊急事態条項の必要性を声高に主張するという傾向にありましたので、そのことが、日弁連の「災害族」の中からこの問題についての論客を生みだす素地となったのではないかと思います。

 今年の5月2日、日弁連が「憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明」を発出した際、永井幸寿弁護士と小口幸人弁護士(沖縄弁護士会)が説明員を務める記者会見がPTから提案されたと聞いていますが(残念ながら実現しなかったようですが)、お2人とも「災害族」ですからね。
 上記会長声明及びそのベースとなった2つの日弁連意見書にリンクしておきますので、お読みいただければ幸いです(2017年2月の意見書はPDFで31頁もあるので通読するのは大変ですが)。これらが、この問題についての日弁連の基本的見解です。

2017年2月17日
日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書 
2017年12月22日
大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書 
2022年5月2日
憲法改正による緊急事態条項の創設及び衆議院議員の任期延長に反対する会長声明 

 それでは、以下にチラシの文字データを転記します。

(引用開始)
憲法改正問題に取り組む全国アクションプログラム
憲法に緊急事態条項って!?
市民集会 憲法に緊急事態条項を新設する憲法改正について考える

憲法に緊急事態条項を新設することで、民主主義や国民の人権保障にどのような影響があるのでしょう?
なければ何か不都合があるのでしょうか?

2022年10月28日(金)午後6時~8時(開場30分前)
和歌山城ホール4階大会議室
●参加費無料 ●席数180 ●オンライン配信は行いません

講師/永井幸寿 弁護士(兵庫県弁護士会)
【プロフィール】
■永井幸寿(ながいこうじゅ) 1955年7月生れ
■経歴□1979年(昭和54年)早稲田大学法学部卒業□1999年(平成11年)阪神・淡路まちづくり支援機構事務局長□2007年(平成19年)日本弁護士連合会災害復興支援委員会委員長■現在□関西学院大学災害復興制度研究所研究員□アンサー法律事務所所長■著書□「憲法に緊急事態条項は必要か」岩波書店□「よくわかる緊急事態条項Q&A」明石書店 ほか多数

主催/和歌山弁護士会
   〒640-8144 和歌山市四番丁5番地
   Tel073-422-4580(代)
共催/日本弁護士連合会
(引用終わり)

 チラシに記載された開催趣旨はやや簡略過ぎるので、以下に、和歌山弁護士会の会員に会長名で配布された案内文書から一部引用します。

(引用開始)
 衆議院憲法審査会で、新型コロナウイルス感染症の拡散、大規模地震・津波等の大規模災害及びロシアのウクライナ侵攻のような国家有事に備えて、憲法に緊急事態条項を新設すべきであるとの意見が語られています。そして、内閣総理大臣や政府に法律と同等の効力を持つ政令制定権限や国会の決議によらない財政支出権限を憲法に新設することや衆議院議員の緊急時における任期延長規定を設ける内容の改憲案も浮上してきています。
 しかし、憲法にこのような緊急事態条項を設けることによって、国民の人権に対する過度の制約が課されることはないか、国民の代表である国会が本来行うべきことを緊急時とはいえ、行政府に委ねることは民主主義にとって問題はないか、そもそも憲法改正をしなければ感染症、大規模災害、有事への備えと対応はできないものであるか等について、知識を得て、議論を深めることが必要です。
(引用終わり)

 過去、私のブログで緊急事態条項を取り上げた投稿は相当な数にのぼりますが、そのうちのいくつかをピックアップして巻末にリンクしておきます。しかし、振り返ってみると、2016年に集中してこの問題を取り上げていたのですね。

 最後に、講師である永井幸寿先生が、2017年(平成29年)3月23日の衆議院憲法審査会において、緊急事態条項について参考人として意見陳述をされていますので、会議録と動画にリンクしておきます。

2017年3月23日 衆議院憲法審査会 会議録 
(抜粋引用開始)
○永井参考人 私は、阪神・淡路大震災で事務所が全壊して以来、二十二年間、被災者支援にかかわってきた者です。その立場でお話をいたします。
 第一に、災害を理由に緊急事態条項を憲法に設けるべきかということです。
 私は、災害を理由にした緊急事態条項を憲法に創設することには反対です。
 緊急事態条項とは、国家緊急権を憲法に創設する条項です。国家緊急権とは、戦争、内乱、大規模災害など、平時の統治機構では対処できない非常事態に、国家の存立を維持するために人権保障と権力分立を停止する制度です。
 日本国憲法は国家緊急権を置いていませんが、その趣旨は、昭和二十一年七月十五日、帝国憲法改正案委員会の議事録の中での政府の答弁で明らかにされております。国家緊急権の濫用の危険からあえて憲法には国家緊急権は設けないが、緊急事態には平常時から法律などで準備するというものです。
 では、災害関連の法規は整備されているのでしょうか。これは大変よく整備されております。
 例えば、内閣は、災害緊急事態には、国会のコントロールのもとで、四つの項目に限り罰則つきの政令制定権が認められております。また、内閣総理大臣は、関係指定行政機関の長、地方公共団体の長などに対する指示権が認められ、防衛大臣に対する自衛隊の部隊派遣要請ができ、警察庁長官を直接指揮監督して一時的に警察を統制するなど、権力が集中するシステムとなっております。
 また、人権の制限に関して見ると、都道府県知事に、医療関係者に対する従事命令、財産権の管理、使用、物資の保管命令、収用の権限、職員の立入検査などが認められ、これらを罰則つきで強制しています。さらに、市町村長に対しても、瓦れきの撤去などにつき強制権が十分認められております。
 では、被災者にとって一番重要な国のルールというのは何でしょう。これは、憲法ではなく、それよりも下位のルールである法律、通達、条例などです。
 例えば、仮設住宅に断熱材が入るのか、あるいは復興住宅に入居するには連帯保証人が必要か、これらは被災者にとって大変重要な問題ではありますが、法の運用や条例の問題であって、憲法の問題ではありません。
 災害対策の原則は何でしょう。これは、医療の専門家あるいは建築の専門家など、災害の専門家が口をそろえて言うのは、準備していないことはできないということです。
 国家緊急権は、災害が発生した後、泥縄式に権力を集中する制度です。しかし、災害後にどのような権力を強力に集中しても対処することはできません。東日本大震災で国や自治体の不手際というものが言われましたが、その多くが事前に準備していなかったことが原因です。例えば、原発事故で、原発から四・五キロの双葉病院などでは、寝たきりの高齢者が避難の前後の混乱で五十人亡くなりました。
 これは、なぜこういうことが起きたのでしょう。法律の制度では、国は防災基本計画、都道府県、市町村はこれに基づいて地域防災計画を策定する義務があり、そして、指定行政機関、自治体の長は防災教育の実施に努め、防災訓練の実施義務が認められています。
 しかし、国、自治体、事業者において、事実上、災害で原発事故は起こらないということになっていたんです。つまり、事前に、県境を越えた避難者の避難経路、あるいは渋滞のときのサブの経路、あるいは事前のドライバーや車両の確保、そして、避難した後の長期の生活の場の確保の計画、あるいはその訓練、これについての自治体の連携や住民参加がなかったことが原因です。
 法律の適正な運用による事前の準備がなかったことが原因であり、緊急事態条項を創設しても対処することはできません。
(略)
 第二に、緊急事態における国会議員の任期について申し上げます。
 衆議院議員の任期は四年、または衆議院解散のときは期間満了前、これは憲法四十五条に書かれております。参議院議員の任期は六年、これは憲法四十六条に書かれています。そこで、大規模災害が選挙のときに発生した場合のために、憲法を改正して議員の任期を延長すべきかが議論されています。特に、衆議院の解散や任期満了が問題となります。
 結論から申し上げますと、私は、憲法を改正して議員の任期を延長することに反対です。
 まず、憲法は大規模災害時の制度を二つ設けています。一つは、憲法五十四条二項の参議院の緊急集会です。衆議院が解散されたときで、国に緊急の必要があるとき、内閣は参議院の緊急集会を求めることができます。緊急集会でとられた措置は、次の国会開会の後十日以内に衆議院の同意がない場合は効力を失います。
 二つ目は、憲法七十三条六号の法律による政令への罰則委任です。永田町での直下型地震が発生した場合のように、参議院の緊急集会も請求できない場合は、内閣は法律に基づいて政令で対処することになり、政令に実効性を持たせるためには罰則が必要となります。他方で、内閣の権力の濫用の危険があるので、特に法律の委任がないと政令に罰則が設けられないとする制度です。
 これを受けて、災害対策基本法の厳格な要件のもとで、緊急時に内閣は罰則つきの政令、緊急政令が制定できます。
 では、衆議院解散中に大規模災害が発生したときはどう考えるべきでしょう。
 先ほどのように、内閣は参議院の緊急集会を求めて対処できます。また、災害緊急事態においては、国会閉会中や衆議院解散中で臨時国会や緊急集会の措置を待ついとまがない場合でも、災害対策基本法による緊急政令で対処できます。
 では、衆議院の任期満了時に大規模災害が発生したときはどうすべきでしょう。
 参議院の緊急集会の規定は、文言上は、衆議院解散のときと定めています。何らかのニーズがあった場合、憲法は最高法規でありますので、まず法律で対処することを考え、それができない場合は憲法の解釈で対処することを考え、それができないときに初めて憲法改正を検討すべきです。
(略)
(引用終わり)

2017年3月23日 衆議院憲法審査会 インターネット審議中継 

(弁護士・金原徹雄のブログから/緊急事態条項関連)
2016年1月26日
水島朝穂教授による自民党改憲案「緊急事態条項」批判論文(2013年)がネットで公開されました 
2016年2月3日
自民党改憲案・緊急事態条項はナチス授権法の再来か?~海渡雄一弁護士の論考を読む 
2016年2月6日
立憲デモクラシーの会・公開シンポジウム「緊急事態条項は必要か」を視聴する 
2016年4月11日
立憲デモクラシー講座第8回(4/8)「大震災と憲法―議員任期延長は必要か?(高見勝利氏)」のご紹介(付・『新憲法の解説』と緊急事態条項) 
2016年5月29日
金森徳次郎国務大臣答弁と『新憲法の解説』を読む~災害を理由とした緊急事態条項は不要! 
2016年10月6日
自民党の憲法改正草案批判~「緊急事態条項」を中心に(参院選の結果を踏まえた憲法学習会用レジュメ)
2016年11月20日
第12回「那賀9条まつり」とそこでお話しした「戦争法緊急事態条項とは」 
2017年2月25日
日本弁護士連合会「日本国憲法に緊急事態条項(国家緊急権)を創設することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む 
2018年11月18日
自民党の緊急事態条項・条文イメージ(たたき台素案)を読む~付・永井幸寿弁護士が訴える緊急事態条項の危険性

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司法エリート・検察エリートと原発訴訟

 2022723日配信(予定)の「メルマガ金原No.3523」を転載します。

司法エリート・検察エリートと原発訴訟

 ここ1か月ほどの間に、世間の耳目を集め、大きく報道された原発訴訟についての判決が2件、相次いで言い渡されました。しかも、その判決のよって立つ基本的見解が非常に対照的であったことも印象的でした。
 一方は最高裁(第二小法廷)、他方は地裁(東京地裁)の判決ですから、もとよりその影響力を同列に論じる訳にはいきませんが、いずれの判決についても、後続の裁判に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 まず、6月17日に最高裁判決がありました。

最高裁判所 第二小法廷
令和4年6月17日判決
裁判官:菅野博之(裁判長)、三浦 守、草野耕一、岡村和美(三浦裁判官が反対意見)
概要:東京電力福島第1原子力発電所の事故で避難住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟につき、たとえ国が東電に命じて防潮堤を設置していたとしても事故を防げなかった可能性が高いなどとして、国が電気事業法(平成24年法律第47号による改正前のもの)40条に基づく規制権限を行使しなかったことを理由として国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとはいえないとされた。

裁判所公式サイト 裁判例検索結果 
令和3年(受)第342号(原審:仙台高等裁判所) 
令和3年(受)第1205号(原審:東京高等裁判所) 

 次に、7月13日に東京地裁で以下の判決が言い渡されました。

東京地方裁判所 民事第8部
令和4年7月13日判決
裁判官:朝倉佳秀(裁判長)、丹下将克、川村久美子(下級審では個々の裁判官の意見は公表されない)
概要:東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5人に計22兆円を東電に支払うよう求めた株主代表訴訟で、被告の内、勝俣元会長ら4人が津波対策を怠ったとして、東電に対し計13兆3210億円を支払うよう命じる判決を言い渡した。
平成24年(ワ)第6274号他
 裁判所サイトの裁判例検索で見つけられなかったので、「東電株主代表訴訟」公式サイトにアップされているPDFファイルをご紹介しておきます。
判決骨子 10ページ
判決要旨 43ページ
判決全文その1 200ページ
判決全文その2 200ページ
判決全文その3(当事者目録省略) 230ページ
がPDFでアップされていましたのでご紹介します。

 まず、6月17日の最高裁第二小法廷判決についてです。判決当日、私も登録しているMLに判決骨子と判決要旨が流れてきたので一読しましたが、「えっ!それで国の責任が免除されてしまうのか」と、驚くというか、呆れるというか、何とも言えない気持ちになりましたが、4人の内、三浦守裁判官が反対意見を書いていることを知り、気を取り直して読んでみることにしました。
 上にご紹介した全54頁の判決の内、(原審:東京高裁の方では)1~11ページが3人の裁判官(菅野博之、草野耕一、岡村和美)による多数意見、11~17ページが菅野博之裁判官による補足意見、17~25ページが草野耕一裁判官による補足意見、そして25~54ページ(判決文全体の半分以上!)が三浦守裁判官による反対意見です。
 一々引用することはしませんが、三浦裁判官の反対意見は、非常に緻密に論理を積み上げていくスタイルで書かれており、とても分かりやすく(「法律家にとっては」かもしれませんが)、是非一読されることをお勧めしたいと思います。

 そして、次に私がしたことは、第二小法廷の4人の裁判官の経歴を調べてみることでした。国民審査があるということからでしょうか、最高裁ホームページには、各裁判官の経歴紹介のページがあります。

(多数意見/国の責任を否定)
菅野博之裁判官⇒東北大卒/裁判官出身
※7月3日に定年退官されたため最高裁の裁判官紹介ページからは削除されていましたので、新日本法規の裁判官情報をご紹介しておきます。
草野耕一裁判官⇒東大卒/弁護士出身
岡村和美裁判官⇒早大卒/弁護士・外資系金融機関法務部・その後検事に任官
(反対意見/国の責任を肯定)
三浦守裁判官⇒東大卒/検事出身
(引用開始)
昭和55年 東京大学法学部卒業
昭和55年 司法修習生
昭和57年 検事任官
その後,東京,宇都宮,福岡,名古屋各地検,長野地検上田支部,法務省刑事局等に勤務
平成10年 法務省刑事局参事官
平成12年 法務省大臣官房参事官
平成13年 法務省刑事局刑事法制課長
平成17年 法務省大臣官房審議官
平成21年 最高検検事
平成21年 那覇地検検事正
平成22年 最高検検事
平成22年 法務省矯正局長
平成25年 最高検監察指導部長
平成26年 最高検公判部長
平成27年 札幌高検検事長
平成29年 大阪高検検事長
平成30226日 最高裁判所判事
(引用終わり)

 上記経歴から明らかなように、三浦守裁判官は検察・法務畑のエリートコースを歩んでこられた方です。
 ところで、最高裁判所裁判官の国民審査に際し、「とにかく全員に×を付ける」という人もいれば、「裁判官出身・検事出身は全員×」という人もいたりしますが、それってどうなの?ということが前から疑問でした。
 もちろん、最高裁裁判官は様々な事件に関与しますから、個々の国民にとって、何から何まで自分と同じ意見の判決ばかりなどという裁判官などいる訳がなく、その意味では「全員に×」というのもあながち理由がない訳ではありませんが、憲法が国民審査の制度をわざわざ設けた趣旨を合理的に解釈すれば、「全員に×」とか「検察出身だから×」はないだろうと思います。
 ところで、三浦裁判官は、昨年10月の総選挙の際に行われた国民審査を受けたはずなので(個々の裁判官は10年に一度審査を受ける)、次の審査までに満70歳の定年に達してしまいますから、今回の判決(少数意見)を踏まえた審査は受けられないのですね(残念)。

 さて、次は7月13日の東京地裁判決です。前述のとおり、これは原発事故の翌年(平成24年)に提訴された東電役員を被告とする株主代表訴訟です。
 以下に判決の「主文」を引用します。

1 被告勝俣、被告清水、被告武黒及び被告武藤は、東京電力に対し、連帯して、13兆3210億円及びこれに対する平成29年6月2日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 本件原告らの被告勝俣、被告清水、被告武黒及び被告武藤に対するその余の請求並びに被告小森に対する請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は(略)の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

 請求認容額が「13兆3210億円」などという判決は初めて見ましたし、おそらく日本裁判史上のレコードでしょう。
 これは株主代表訴訟だからこそ「あり得た認容額」です。というのも、通常の民事訴訟では、原告は請求額に応じた印紙を収めねばならず(たとえば、請求額1000万円なら印紙代5万円、請求額1億円なら印紙代32万円)、兆を超える請求など「あり得ない」のですが、株主代表訴訟は例外的に、請求額にかかわらず、印紙代は一律1万3000円とされているのです。

 ところで、この判決を主導したと思われる朝倉佳秀裁判長の経歴は以下のとおりです(新日本法規の裁判官情報から)。

(引用開始)
R 2.10.26 東京地裁部総括判事・東京簡裁判事
R 2.10.16 東京高裁判事・東京簡裁判事
H31. 4. 1 検事
H29. 4. 1 東京地裁部総括判事
H27.12.18 東京地裁判事
H26. 2.20 東京高裁判事
H24. 2. 3 最高裁人事局給与課長(東京地裁判事)
H23. 9.18 最高裁民事局第一課長・最高裁民事局第三課長・最高裁広報課付(東京地裁判事)
H22. 4. 1 最高裁民事局第一課長・最高裁民事局第三課長・最高裁広報課付(東京地裁判事・東京簡裁判事)H20.10. 1 最高裁民事局第二課長(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H19. 4. 1 司法研修所教官(東京地裁判事・東京簡裁判事)
H17. 5.26 千葉地家裁判事・千葉簡裁判事
H17. 4. 1 千葉簡裁判事・千葉地家裁判事補
H13. 9.25 大阪簡裁判事・大阪地家裁判事補
H13. 9.18 東京簡裁判事・東京地裁判事補
H 9. 9. 1 検事
H 5. 4. 9 東京地裁判事補(司法修習第45期)
(引用終わり)

 原告弁護団の海渡雄一弁護士がFacebookで朝倉裁判長についてこんな紹介をしていました。

(引用開始)
この判決を主導した朝倉裁判官は最高裁で民事課長の要職をつとめた後、内閣官房に出向していた超エリートです。今日の判決、言い渡しは40分くらいの要旨を読み上げたのですが、立派でした。ゆるぎない自信と確信に満ちていました。弁護士冥利に尽きるとはこのことです。
(引用終わり)

 もう一つ、私が読んだ7月14日の朝日新聞・大阪本社13版朝刊(30面)の記事を引用します。

(引用開始)
今回の判決を言い渡した朝倉佳秀裁判長(54)は1993年に判事補任官。民事裁判の経験が長く、内閣官房内閣審議官として裁判のIT化にも関わった。2020年10月に2度目の東京地裁部総括判事となり、会社関係の訴訟を担う商事部に所属する。今回の株主代表訴訟は、12年3月の提訴時から数えて4人目の裁判長として担当した。被告の本人尋問や専門家の証人尋問を行ったほか、21年10月には『現地進行協議』を実施。原発事故をめぐる関連訴訟で、裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した。
(引用終わり)

 私はこの記事を読み、特に最後の「原発事故をめぐる関連訴訟で、裁判官として初めて福島第一原発の構内まで視察した」とある部分に感銘を受けました。

 三浦守裁判官にしても、朝倉佳秀裁判官にしても、私との共通点は、司法試験に合格したことくらいしかなく、検察エリート、司法エリートとしてお2人がどのような体験を積み重ねて今回の判決に至ったのか、想像することすら困難です。
 ただ、検察エリート、司法エリートにもいろんな人がいるのは当然として、法律家としての矜持に恥じない判決に接することができたのは幸いでした。

(参考記事)
東京新聞 2022年6月23日
「原発避難者訴訟 国の責任は否定されたが…最高裁判決文に異例の反対意見 三浦守裁判官が痛烈批判」

(抜粋引用開始)
福島訴訟原告団の馬奈木厳太郎(まなぎ・いずたろう)弁護士は「反対意見が判決の形で書かれているのは極めて異例のこと。これが本来あるべき最高裁判決だという思いを感じる。原告の思いに向き合い、法令の趣旨からひもとき、証拠を詳細に検討しているこの反対意見は後陣の訴訟にとって宝。第2判決として位置付けたい」と評する。
(引用終わり) 

7/22(金)講演会「赤木さん事件の真相と意義」(青法協大阪支部2022年総会記念講演)のお知らせ

 2022630日配信(予定)の「メルマガ金原No.3522」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

7/22(金)講演会「赤木さん事件の真相と意義」(青法協大阪支部2022年総会記念講演)のお知らせ

 コロナ禍のために私たちの生活スタイルが大きな変容を強いられましたが、そのことによるプラスの側面がない訳ではありません。その1つが、ZOOMYouTubeLiveなどを活用した「オンライン講演会」の普及でしょう。
 コロナ禍前であれば、ごく稀な例外を除き、いかに興味深い講演会やシンポジウムであっても、基本的には現地に出向いて参加するしかありませんでしたが、今やオンライン講演(併用もしくは専用)がごく普通に利用できるようになってきました。

 ということで、7月22日(金)午後6時から、大阪弁護士会館で開催される青年法律家協会大阪支部の総会記念講演「赤木さん事件の真相と意義」をご紹介できることになりました(ZOOM併用)。
 チラシには、「参加費無料です。若手弁護士、修習生、学生の参加も大歓迎です。」とありますが、もちろん、「一般市民」も大歓迎という趣旨です(青法協大阪支部の佐々木正博事務局長から確認済み)。

 以下に、開催概要を転記します(佐々木事務局長の案内メールから)。是非1人でも多くの方に関心を持って参加していただければと思います。

[青法協大阪支部 2022年総会記念講演]
「赤木さん事件の真相と意義」
森友学園への国有地売却をめぐる財務省公文書改ざん問題。改ざんを強いられ、自死された近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国と佐川元理財局長を訴えた裁判が大阪地裁で闘われています。現場では何が起こっていたのか、赤木ファイルには何が遺されていたのか、国の請求認諾の背景には何があったのか…。代理人弁護士及び赤木さんから、本事件の経過や意義、工夫点、そして、訴訟手続きの中で明らかとなった真相をお話いただきます。

日時:2022年7月22日(金)18:00~
参加費:無料
場所:
①大阪弁護士会館11階 1110会議室
②ウェブ配信(ZOOM)
講師:
松丸正弁護士(堺法律事務所)
生越照幸弁護士(弁護士法人ライフパートナー法律事務所)
ゲスト:
赤木雅子さん(赤木さん事件原告)

※事前申込制とさせていただいております。
会場の人数には限りがありますので、会場の人数制限をさせていただく場合がありますがご容赦下さい。
※下記URLは申込フォームにリンクしています。
ブラウザの仕様等により、フォームが表示されない方は、チラシのQRコードからお申し込みください。
 【URL】 https://bit.ly/3a488xB
申し込みができない場合は、担当:弁護士吉留慧(06-6576-7680)もしくは、seihokyooosaka@gmail.comまでご連絡ください。
会場、web参加問わず、写真、動画撮影は禁止です。

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7/16(土)岩波新書『学問と政治』出版記念シンポジウム~学術会議任命拒否問題とは何か~(オンライン視聴あり/申込不要)

 2022621日配信(予定)の「メルマガ金原No.3521」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

7/16(土)岩波新書『学問と政治』出版記念シンポジウム~学術会議任命拒否問題とは何か~(オンライン視聴あり/申込不要)

 菅義偉政権によって違法・不当にも6人の日本学術会議会員候補が任命を拒否された「事件」からはや2年近くが経過しましたが、岸田文雄政権もその過ちを認めず、違法状態を放置するという由々しい事態が続いています。
 その任命を拒否された当事者である6人の共著として、2022年4月、岩波新書から『学問と政治 学術会議任命拒否問題とは何か』が刊行されました。
 それを記念して、版元の株式会社岩波書店と「学問と政治」出版記念シンポジウム実行委員会の共催により、以下の内容で記念シンポが開催されます。
 会場は東京ですが、オンライン視聴(申込不要)も可能ということなので、ご紹介することとしました。
 岩波新書の該当ページを閲覧してもまだオンライン視聴についての案内は掲載されていませんでしたが、申込不要なので、開催時期が近付いてから閲覧していただければ良いと思います。
 私もチラシ記載の情報しか持ち合わせがありませんが、時間をとって視聴するだけの価値は十分にあると思います。

(シンポジウムの概要)
日時:2022年7月16日(土)13:30~16:00(開場13:00)
会場:全国町村会館(会場参加は先着100名まで)
オンライン視聴(申込不要)あり
 詳細は以下の岩波書店HPに掲載予定
  https://www.iwanami.co.jp/book/b603071.html 
  http://iwnm.jp/431925
基調講演「焼け野になる前に―現在の状況を歴史家はどう見ているのか」
 講師:加藤陽子(東京大学)
◆発言・メッセージ
芦名定道(関西学院大学)/岡田正典(早稲田大学)/小沢隆一(東京慈恵医科大学)/松宮孝明(立命館大学)/池内了(名古屋大学名誉教授)/佐藤学(東京大学名誉教授)/前川喜平(元文部科学事務次官)ほか
◆シンポジウム呼びかけ人
高山佳奈子/永田和宏/長谷部恭男/廣渡清吾/福田護/藤谷道夫/三宅弘

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鵜飼信成著・石川健治解説『憲法』(岩波文庫白版)を買ってきた

 2022619日配信(予定)の「メルマガ金原No.3520」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

鵜飼信成著・石川健治解説『憲法』(岩波文庫白版)を買ってきた

 文庫に解説は付きものとはいえ、全484ページの本のうち、解説部分が389~484頁の96ページと、全体のほぼ2割を占めるというのは珍しいでしょう。
 もっとも、古典作品などの場合、注釈や書誌部分を含めた解説の方が、本文よりも分量が多いということも珍しくありませんが、昨日(6月18日)私がたまたま書店で見かけて購入してきたこの文庫本の場合、元本の初版が刊行されたのは1956年のことですからね。
 その文庫本というのは、
  書名:憲法 
  著者:鵜飼信成(うがい・のぶしげ/19061987
  解説:石川健治(いしかわ・けんじ/東京大学教授)
    岩波文庫(1260円+税)
    2022年6月15日 第1刷発行
です。

憲法 (岩波文庫 白 35-1)
鵜飼 信成
岩波書店
2022-06-17

 
 東京大学社会科学研究所長、国際基督教大学学長、成蹊大学教授、日本学士院会員などを歴任した、憲法・行政法の研究者・鵜飼信成氏については、私自身、名前に聞き覚えはあるものの、その著書を読んだことはない高名な学者のお一人というに過ぎませんでしたが、たまたま立ち寄った書店の文庫コーナーでふとこの本を見かけて手に取ったところ、
  これはひとつの奇跡である。
  ―石川健治(東京大学教授/本書解説者)
という帯の惹句に目が引き寄せられてしまい、ぱらぱらとページを繰ってみたところ、元本が1956年に岩波全書の1冊として刊行されたこと、石川教授による解説が100ページ近くもあるということが分かり、即決で購入しました。

 実は、石川教授が解説を担当された文庫本としては、2016年6月に講談社学術文庫から刊行された佐々木惣一著「立憲非立憲」を購入し、とにもかくにも一読したことがありましたので、石川教授解説本の購入は2度目ということになります。そういえば、「立憲非立憲」も充実した解説でした。

 何を言うにも、まだ、著者「はしがき」と、解説の冒頭8ページを読んだだけなので、本書自体についての感想を書くわけにはいきません。
 ただ、石川教授による解説の冒頭部分の一部を引用することにより(帯の惹句もこの部分からとられていました)、「本書を読んでみたい」という意欲を1人でも多くの方と共有できればと思います。

(解説-389頁-から引用開始)
「浩瀚な専門書とは趣を異にし、之を圧縮して一小冊子内に最も平易に且つ興味深く叙述することを本旨となし、しかも飽くまでも学究的なることをその特色とし」(金原注:岩波茂雄「岩波全書発刊に際して」より)た憲法書としては、本書が空前のものであることを本稿執筆者は疑わない。本書には、鋭い先見性をもって未来の憲法学に挑戦する趣があり、規格化された教科書には見られない精神の躍動がある。しかも、それに触発される読書公衆が実在していたからこそ、本書は、初型を維持したまま三〇年間にわたって読まれ続けた。著者の才気を縦横に展開することを許容した岩波全書という器と、五〇歳を迎えた著者自身の学問的充実と、読書する公衆という共鳴板との相乗積として産み出された、これはひとつの奇跡である。
(引用終わり)

 前述のとおり、私はまだ著者「はしがき」と解説の冒頭8ページ分を読んだだけですが、それでも本書を読み進めるためには、元本に著者によって付された詳細な脚注部分も絶対に飛ばさず読み込まねばならないということは分かりました。

 憲法制定以来、最大の転機となるかもしれない時期が迫っている今こそ、読むに値する碩学の書ではないかと思います(実際に読み終えた後でまた感想を書ければと思います)。

鵜飼信成「憲法」「

原発賠償関西訴訟での森松明希子さんの4回目の意見陳述(2022年5月26日)

 202261日配信(予定)のメルマガ金原No.3519を転載します。

原発賠償関西訴訟での森松明希子さんの4回目の意見陳述(2022526日)

 去る2022年5月26日(木)午後2時から、大阪地方裁判所において、原発賠償関西訴訟の第33回口頭弁論が開かれました。
 前回の裁判以降に裁判長と陪席裁判官のうちの1人が交代し、弁論更新手続が行われるのを機に、原告本人の意見陳述が行われることになり、原告団代表の森松明希子さんが、4回目となる意見陳述を行いました。

原発賠償関西訴訟第33回口頭弁論チラシ 森松さんが4回も意見陳述を行ったと聞くと、原告団には他に意見陳述できる人がいないのか?と疑問に思われるかもしれませんね。最初に審理を担当した裁判長が寛容だったからか、裁判が始まった当初は、毎回のように原告が交代で意見陳述をしていたのですが、やがて、裁判長の交代による弁論更新手続が行われるというような節目の時だけに原告意見陳述が行われることが慣例化し、自然と「森松さんに任せよう」ということになったのかもしれません(詳しいことは知りませんが)。

 原発賠償関西訴訟の原告弁護団に参加している和歌山の弁護士は私を含めて2名しかいないため、2人が交互に弁論期日に出頭することにしており、たまたま5月26日は私が出廷する番でした。
 前にも書いたことがありますが、私は、いつも法廷の中の傍聴席との仕切りのバーに沿って置かれたベンチの真ん中近くに席を占めるのが常なのですが、26日もいつもの席に着席し、証言台のところに立つ森松さんから約2m以内という至近の距離から、その意見陳述に耳を傾けました。
 これまで私が聞いた1回目と3回目の意見陳述と異なったのは、事前に森松さんから読み上げ用の原稿をメールで送ってもらっていたことで、私は、原稿に目を落としながら森松さんの意見を聞いていました。
 森松さんの講演を聴いたことのある方なら分かると思いますが、彼女の単位時間当たりの「発言量」は非常に多いのです。まあ、早口と言っても良いのですが、それでもしっかりとした口跡で、明快な語り口ですから、聴き取りにくいとか、分かりにくいということはありません。
 私は、26日には特に「早口になり過ぎないか」と心配しながら原稿に目を落としていました。というのは、この日には原告側から提出した準備書面について弁護士が口頭で説明(弁論)することも予定されており、どうやら弁護団事務局長から森松さんに対し、「意見陳述は15分程度でお願いしたい」という要請があったようなのですね(私の推測ですが)。
 しかし、原稿を読むととても15分で読み上げができるような分量とは思えず、そのことを開廷前に森松さんに話したところ、「予行演習では18分だったけど、大丈夫です」と自信たっぷりでした。
 ということで、「本当に大丈夫か?」と思いながら聴いていたのです。
 確かに、森松さんの陳述は早口には違いありませんでしたが、しっかりと気持ちも込められ(時にせくりあげそうになるのを堪えているのが分かりました)、感銘深い陳述となりました(21分間かかりましたけど)。ただ、もう一段ギアを上げてペースアップしていたら、いくら何でも早すぎたでしょうね。

 以下に、森松さんから送っていただいた意見陳述のための読み上げ原稿を、そのまま全文転載します。
 是非多くの方に読んでいただけるよう、「拡散」にご協力いただければと思います。

(引用開始)
平成25年(ワ)第9521号,第12947号
平成26年(ワ)第2109号 平成28年(ワ)第2098号,第7630号
損害賠償請求事件
原 告  原告番号1-1 外239名
被 告  国 外1名

                意  見  陳  述  書 

                                                                     原告番号1-1

 原告番号1-1です。
 意見陳述の機会を与えていただきまして、感謝申し上げます。
 私は福島原発事故の放射能汚染の影響で、11年間、福島県郡山市から大阪府大阪市に、子ども二人とともに国内避難を続けています。いわゆる母子避難で、2011年3月11日(3.11)当時0歳と3歳だった子どもたちは父親とは離れ離れで暮らしています。
 小学校6年生になった娘は、父親と一緒に暮らした記憶がありません。野球部に入部した中学3年生の息子は、週末、父親とキャッチボールをすることさえ叶わない日々を送っています。月に1度しか会えない父親との別れのたび、号泣していた二人ですが、11歳と14歳になった今、“なぜ、避難しているのか”十分に理解していますし、この裁判の意味も分かる年齢になってきました。
 また、子どもたちは現在も、福島県が実施している県民健康調査で甲状腺エコー検査を受け続けています。避難していても検査を受け続けなければいけない理由も、その必要性もよく理解しています。

1.原発事故は終わっていない
 原発事故から2ヶ月後に、放射線被ばくの身に迫る危険と命や健康に関わる権利が脅かされながらも、ようやく避難に至る条件がかろうじて整ったので、私は福島から大阪に逃れることができました。
 逃げるかとどまるか、客観的な状況を把握したくても、必要な情報は与えられず、他方で「ニコニコ笑っていれば放射能は来ません」「年間100ミリシーベルトまでは大丈夫」などのプロパガンダも含め、おかしいことにもおかしいといえない雰囲気が作り続けられ、耐え難きを耐え忍び難きを忍ぶかのごとくの精神論や、自分よりもっと大変な人がいるからという謎の不幸比べによる我慢大会さながらの美談による陶酔的思考が蔓延する中で、人権保護や個人の尊厳よりも「復興」「頑張ろう福島」という大合唱によって異論を唱えることが困難な雰囲気に包まれる中、「被ばくはしたくない」「子どもを被ばくから絶対に守りたい」という思いで、なんとか私は福島を出てきました。一つでも条件が整わなければ、私は避難したくても出来なかったと、それは今でも強く思います。
 やっとの思いで避難をして初めて、放射能汚染の線源からおよそ600キロメートルほど離れたこの関西の地から、避難元の状況を見つめたあの日のことが、今も鮮明によみがえります。
 今そこにある危機から即座に避難できる人の方が少ないのです。事故から2ヶ月後の避難は、1年後、3年後、5年後に避難を決断できた人と比べると、極めて早期の避難開始ともいえるのです。何の制度や保障もない中で「自力避難」を余儀なくされる状況では、避難の開始にも時間はかかるのです。
 また、一緒に住んでいた家族揃って避難することも“強制避難”でなければ難しいのが現実です。11年経っても家族・親子が離れ離れのまま避難を続けている母子避難等のケースが如実にそのことを表しています。
 さらに、実際は、多くの住民が、「避難したくても出来ない」「本当は避難できるものなら今からでもしたい」と話しています。
 国と東京電力は、全国各地の避難者が起こした裁判で、圧倒的多数の住民がとどまる中、避難している人はあなた達だけだ、というように、避難している人が何か特別で、まるで異端者であるかのような印象を裁判所に印象付けようとしています。
 しかし、避難せず福島にとどまっている人も「あのとき避難しなかった息子たちが将来、癌になったら、孫に何かあったら、ということは今でも考える。覚悟して背負って生きるしかないな、と。苦難の中で生き続けるのも抵抗の仕方として意味がある」(福島生業訴訟原告・2022年04月23日弁護士ドットコムニュースより)と公言し、とどまる人の苦悩や苦痛が現在も続いていることを、今でも多くの人々が話し続けています。
 原発は国策です。唯一の規制権限を持つのも国ですが、ひとたび事故を起こせば犠牲になるのは周辺に住む無辜の人々です。原発に賛成していた人にも反対していた人にも無差別に被ばくの脅威はおそいかかります。そして、特に被ばくに最も脆弱な子どもたちが、いちばん犠牲になるのです。
 国策による犠牲を、とりわけ子どもたちに強いることは許されないと私は思います。

2.避難しても地獄 とどまっても地獄 帰還しても地獄
 東京電力福島第一原発事故から11年後の奇しくも本日(2022年5月26日)、東京地方裁判所では3.11当時福島県在住の6歳~16歳だった子どもたちが、小児甲状腺がんになったのは東電福島原発事故の放射能被ばくによる健康被害だとして裁判所に訴えています。健康被害の因果関係を争う裁判は、私たちの裁判以上に時間も労力も奪われることは必至です。それでも、3.11当時、子どもだった世代も、被害が顕在化しているところから、「おかしい」という声を上げ始めています。それに対し、世界中から共感と応援の声が上がっています。
 とはいえ、健康被害が明確に顕在化しなければ、そして、子どもが病気になってからでなければ、訴えを起こすことができないのでしょうか。
 避難した私たちも、避難したからそれで終わりではありません。原発事故直後の被ばくにより健康を害するリスクは確実に高まっておりその後に避難したことにより、被ばくのリスクがさらに高まることを防ぐことができているだけであり、避難したから安泰で平穏な日常が取り戻せたというわけではないのです。もしかしたら自分が、あるいは子どもたちが、がんや被ばくによる疾病を発症するかもしれない、という恐怖は、避難した人もとどまる人も帰還した人も、ずっといだき続けているのです。
 何の保護や救済もない現状は、「避難しても地獄 とどまっても地獄 帰還してもまた地獄」なのです。
 そのような被害は、裁判所以外に、一体どこの誰が正当に評価してくれるのでしょうか?
 11年後の今、原発事故までは100万人に1人か2人しかならないと言われていたにもかかわらず、分かっているだけでも300人近い子どもたちが小児甲状腺がんを発症しています。この小児甲状腺がんの多発の事実を前にして、それでも、自らに健康被害が生じなければ訴えるに値しない、「避難」の必要はないと、皆さんは考えるのでしょうか。
 事故が起こったとき、最も被害を受けるのは、社会的にも弱く、また被ばくに対しても最も脆弱な子どもたちです。子どもは親が避難しなければ基本的には自分の意思で避難することはできないのです。被ばくは嫌だと訴えも出来なければ、被ばくを避ける術も持ち合わせてはいません。制度や保障がなければ、自らの意思にかかわらず、避難することは出来ないのです。
 また、避難できたとしても、避難先でいじめられたり、家族の意見が対立する中、家族離散を経験し、「生き地獄」と表現した現在中学2年生の少女もいます(愛媛訴訟原告・最高裁弁論での原告意見陳述より)。
 この国は、子どもの権利条約を批准しているというのに、最も守られるべき子どもたちの受けた被害や損害、とりわけ「子どもの権利」侵害については、まったく評価も賠償もされていません。この14歳の少女は、最高裁判所に対し「この世は変わらない、と思わせないようにして欲しい」と訴えていますが、大人である私も全く同じ思いです。
 放射能汚染の事実があり、被ばくを避ける必要があるから、多くの人が、あらゆる困難を乗り越えてでも「避難」という決断をしたのです。
 実際に避難するのは、そしてその避難生活を継続させるのは、簡単ではありません。避難の決断とともに、避難の継続には、実際に、強制避難区域と同様に、精神的負担、経済的負担を強いられます。差別的な取扱をすることは許されず、それは国連の「国内避難に関する指導原則」にも明確な規範として国際社会でも共有されている世界の標準です。そうであるにもかかわらず、人権保護の観点からの救済はありません。人権侵害が常態化しているから、この国は、国連人権理事会ほか、国際社会からも数多くの勧告を受け続けているのです。

3.「線引き」による差別
 そして、事故直後に福島第一原発からの距離という合理性のない線引きを行い、あたかも国が認める公式の避難者と非公式の避難者といわんばかりに被害者を分断し、賠償に差別的思考を持ち込んでいるのも、紛れもなく責任を問われ、また、国策で原発を推進している国です。土壌の汚染や内部被ばくは考慮に入れず、また、年齢・性別・職業・家族構成などきめ細やかな保護も施策も救済も11年経っても確立されず、ひたすら私たち被害者は“いないこと”にされ続けています。
 私たち原告は、そうした国と東京電力が勝手に持ち込んだ避難区域内・区域外・福島県外などという差別と偏見と固定観念を助長するような線引きによる分断を乗り越え、放射能汚染地のすべての被害者の救済を求めています。
 放射能汚染という客観的事実に向き合い、「万が一にも事故を起こさない」と約束した側が「これくらいの被ばくなら良いだろう」と勝手に基準を決め、被害者は誰かを勝手に決めるような線引きをし、「被ばくしたくない」「健康を享受したい」という私たちの人間としての生命と生存に関わる根本的な権利を侵害し、尊厳を踏みにじることは決して許さない、という思いから、その思いを同じくする人々とともに、こうして司法による救済を求めることにしました。
 逃げることは簡単ではありません。原発事故による放射性物質がばらまかれても目には見えません。色もついていないし、放射能被害は晩発性障害が多く、被ばくから数年後、数十年後に起きるからです。
 火事があったら逃げるのは当たり前です。「逃げずに火を消せ」と言われたら「それはおかしい」「私は嫌だ」と言えるのは、被害を知り、避難の権利性に気づき、確信をもっているからで、たとえ圧倒的多数の人が避難を選ばなかったとしてもその権利を主張することができると私は思うのです。
 私たちは、これまで、「放射線被ばくから免れ健康を享受する権利」の具体的・直截的・積極的な被ばく防護の行為として、原発事故により拡散された放射線被ばくからの「避難の権利」ということを主張してきましたが、「逃げること(避難)」、「逃げ続けること(避難の継続)」の権利性ついて、もっと多くの人にその重要性を知ってほしいと思いますし、裁判において確立してほしいと思います。

4.避難は終わっていない
 福島をはじめとする放射能汚染地から続々と逃れる人がいる反面、戻る人もいます。福島原発事故から数年後には、避難する人より戻る人のほうが多いと喧伝され、これもまた、避難する状況にない、非常事態は終息したという宣伝に用いられるわけです。
 しかし実際のところは、「原子力緊急事態宣言」は現在も発令されたままで、今現在も緊急事態宣言下にあるのです。緊急事態宣言を解く事ができないのは、国際基準(国際原子力事象評価尺度International Nuclear and Radiological Event Scale,INES)からしてもレベル7の事故が終息していないからです。
 さらに、モニタリングポストの空間線量こそ水素爆発直後の線量よりは下がったというだけであって、土壌(土)には、まだ何万ベクレルもの汚染があり、何よりも、38万人ほどの福島県民の子どもたちを調べただけでも300人の子どもたちが小児甲状腺がんを発症し、私の子どもたちと同世代の子どもたちの身に明らかに異変が起きているという事実があるのです。
 そうであるにもかかわらず、実際に避難している人の人数さえまともに数えられたことはなく、何人が避難したのかも、そのうちの何人が戻ったのかも、11年経っても明らかではないというのが日本の現状です。
 私もこの11年間で、何人もの母親の避難させてもらえなかった涙とともに、「住み慣れた我が家に帰りたい」「子どもが父親と離ればなれで泣き続ける」「自力での避難費用が底をつき、精神的にも経済的にも不安におしつぶされてしまう」と泣きながら帰還していった母親の姿を見てきました。その声は、「復興」「頑張ろう福島」の大合唱にかき消され、いつも「ない」ことにされています。
 非常事態であればあるほど、実際には「逃げる」ことは許されません。心を一つにして、一丸となって頑張れと鼓舞されます。その雰囲気の中、本当はいやだ、逃げたい、と思っても、抗い実際に行動に移せる人がどれだけいるのでしょうか。
 確かに、避難せずに「とどまれ」という命令こそ出されはしていません。そして、多くの人々が放射能汚染の「ある」場所にとどまっています。
 でも、汚染地にとどまる人々が、みんな安全だと思ってとどまった訳ではありません。少なくない人たちが、被ばくのリスクにおびえながら避難できずに生活しています。
 被ばく防護のための施策があれば、状況は違ったと思います。もっと多くの人々が、被ばくから身を守るため、避難することが出来たと思いますし、多くの被害者がこれほど全国各地で声を上げ続けなければならないこともなかったと思います。
 少なくとも、被ばくから身を守るための何の制度も施策もない中で、放射能汚染があるところに、私は避難を終えて子どもたちを連れて帰還することは、考えられないですし、放射能汚染をばらまいた側が、客観的な汚染の事実や住民の心情も把握せず、合理的根拠もなく「いつまで避難と言い続けるのか」とか「避難はもう終わりでしょう」と勝手に避難の終期を決めることもありえないことだ と思います。

5.「平和のうちに生存する権利」について
 裁判官のみなさんは、「平和」とは何かと子どもにたずねられたら、何と答えますか?
 私は、平和とは、平穏な日常の暮らしそのものがあることだと思います。住み慣れた家や町で、家族で毎日の食卓を囲み、「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえりなさい」「おはよう」「おやすみ」と顔を見て挨拶や言葉を交わし、子どもの健やかな成長をともに見守り育てるというあたりまえの日々の暮らしそのものであると思います。
 その平和な暮らしが3.11以降、原発事故により一変し、奪われました。空気・水・土壌が汚染される中、私は、幼い子どもたちに汚染された水を飲ませてしまいました。また、自らも汚染された水を飲み、0歳の娘に母乳を与えてしまいました。葉物野菜や乳牛の出荷停止が続く中、人間にだけ放射性物質が降り注がないわけはないのです。
 知って被ばくすることと、何も知らされずに被ばくさせられることは、まったく意味が異なるのです。
 一体どれほどの初期被ばくを重ねたのかも定かではなく、避難していても、とどまる人と同じように、将来いつ自分や被ばくに脆弱な子どもたちに影響がでないだろうかと「核の脅威」にさらされ続けているのです。
 だからこそ、避難元の客観的な汚染の事実を知った今、私は、これ以上、1マイクロシーベルトたりとも無用な被ばくを重ねることはしたくないですし、被ばくの生涯積算量を無駄に増やしたくはないのです。被ばくを拒否することも、それを拒否して自身の被ばく量をコントロールする権利も私たちの側にあり、国がその圧倒的な権力で基本的人権を蹂躙し続けている現状を一刻も早く改めてほしいと願っています。
 戦争でなくても「逃げることは許さない」という雰囲気は容易に作り上げることができることを証明し続けているような11年間でした。避難し(続け)たくても出来なかった人の声は一切表には出てきません。かろうじて避難できた私たちも「非国民」とか「歩く風評被害」、「風評加害者」などと揶揄され続けています。
 さらに、東京高裁の法廷では、あろうことか、区域外避難者の損害賠償を認めると、「自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となる」(令和元年9月11日付け国側第8準備書面27頁) と国は主張しました。
 国土を放射能で汚染したのは、私たちではありません。原子力発電所を動かしていた東京電力と、唯一の規制権限を持つ国が事故を防止する義務を怠ったからです。責任転嫁も甚だしい厚顔無恥な主張を繰り返す国と東京電力によって、私たち被害者はさらなる苦痛を与えられ続けています。
 有事のときこそ、国策による人権侵害が横行するのです。
 来月2022年6月17日には、最高裁判所が国の責任を認めるかどうかの判断を下します。絶対に忘れてはならないことは、裁判所がどのような判断を下したとしても、客観的な汚染の事実が消えてなくなるわけではないということです。科学的には、半減期をすぎれば低減していくというだけで、客観的な放射能汚染の事実が今なお厳然と存在し、同時に、私たち原発事故による被害者は、国策によって稼働していた原発の事故によって苦痛を受け続けながら存在しているのです。
 目には見えないのを良いことに、放射線被ばくの問題から目をそらし、なかったことにする、もしくは、終わったことにすることは、不誠実かつ欺瞞に満ちています。「被ばくしたくない」、「健やかに平穏に暮らしたい」という、人としてあたりまえの暮らしそのものが奪われ続けているという被害事実は今もあるのです。
 なぜ、被ばくから身を護るための保護も救済もないまま11年間、私たちは放置されなければならないのでしょうか。
 なぜ、被ばく情報を直後も知らせてもらえず、今なお、私たち周辺に暮らしていた人々は、一体どれくらい被ばくしたかも知らされず、被害もなかったことにされなければならないのでしょうか。
 なぜ、将来にわたり、生涯積算被ばく量を自分でコントロールできないのでしょうか。

 放射能をばらまいておいて、無主物だとか、原状回復できないだとか、多くの人が我慢してそこに住んでいるからだとかは全く理由になりません。
 誰しも、無用な被ばくを本人の意思に反して強いられる根拠はありません。
 この問題は、人の生命・健康にかかわる基本的人権の問題なのです。
 そして、人間の尊厳に関わる問題であると私は思っています。
 この裁判を通して、核被害の脅威にさらされた時、被ばくを強いる側に立つのか、それとも被ばくから人々の命と健康を守る側に立つのか、司法がどちら側に立つのかが、明らかになります。
 被ばくするかしないかは「私が決める」、無用な被ばくを強いられることに対しては一歩も引かない、というのが私の今の思いです。
 被ばくにもっとも脆弱な子どもたちが守られる社会を実現するため、今こそ裁判所の役割を果たしてほしいと思います。そして、司法のあるべき姿を次世代に見せてほしいと私は願っています。
 この裁判で、国の責任がみとめられ、その上で、被害実態に見合った損害が認定され、人としての尊厳が、これ以上踏みにじられることのない公正な判断がなされることを、心から期待しています。
 私は、放射線被ばくから免れ、命を守る行為が原則であり、それを社会の共通認識にすべきと考えます。
 裁判長、人の命や健康よりも大切にされなければならないものはあるのでしょうか。
                                          以上
(引用終わり)


(弁護士・金原徹雄のブログから/森松明希子さん関連)

2013年9月1日 
8/31シンポ「区域外避難者は今 放射能汚染に安全の境はありますか」(大阪弁護士会)に参加して 
2013年12月21日 
森松明希子さんが語る原発避難者の思い(12/19大阪市立大学にて) 
2014年2月8日 
母子避難者の思いを通して考える「いのち」(「母と女性教職員の会」に参加して) 
2014年9月12日 
原発賠償関西訴訟と森松明希子さん『母子避難、福島から大阪へ』 
2014年9月16日 
9/18原発賠償関西訴訟第1回口頭弁論に注目を!~原告団代表・森松明希子さん語る 
2014年11月29日 
東日本大震災避難者の会「Thanks & Dream」(略称「サンドリ」)の活動に期待します 
2015年4月11日 
原発賠償関西訴訟(第1回、第2回)を模擬法廷・報告会の動画で振り返る(付・森松明希子原告団代表が陳述した意見) 
2015年10月30日 
「避難の権利」を求める全国避難者の会が設立されました 
2015年12月1日 
11/23世界核被害者フォーラム「広島宣言」&「世界核被害者の権利憲章要綱草案」(付・森松明希子さんの会場発言「避難の権利と平和的生存権」) 
2015年12月14日 
避難者の声を届けたい~森松明希子さんのお話@12/13東京都文京区(放射線被ばくを学習する会) 
2016年1月11日 
「避難者あるある五七五」東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))の挑戦~五七五だから語れる避難者の思い 
2016年9月17日 
UPLAN【原発事故避難者インタビュー】に注目しよう~まずは松本徳子さんと森松明希子さん 
2016年11月30日 
「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから 
2017年3月5日 
『3.11避難者の声~当事者自身がアーカイブ~』(東日本大震災避難者の会Thanks&Dream(サンドリ))を是非お読みください 
2017年9月19日 
「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)の動画を視聴する 
2017年9月20日 
平和のうちに生きる権利を求めて~森松明希子さんの「ともに生きる未来を!さようなら原発さようなら戦争全国集会」(2017年9月18日@代々木公園)での訴え 
2018年3月9日 
院内勉強会「国連人権理事会、福島原発事故関連の勧告の意義とは?」を視聴し、3/16国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチに声援を送る 
2018年3月21日 
国連人権理事会での森松明希子さんのスピーチ紹介~付・4か国からのUPR福島勧告と日本政府による返答 
2018年5月29日 
森松明希子さんらによる「国連人権理事会発言者による報告会~東電福島原発事故と私たちの人権~」(2018年5月27日@スペースたんぽぽ)を視聴する 
2018年7月5日 
院内勉強会「国連人権理事会に福島原発事故被災者が参加~国連国内避難民に関する指導原則を政策に生かす~」(2018年7月4日)を視聴する 
2018年7月12日 
森松明希子さん「原発事故による被ばくからの自由・避難の権利とは」(2018年8月26日@和歌山ビッグ愛)へのお誘い 
2018年8月26日 
森松明希子さん 和歌山で語る! 
2018年10月31日 
三たび「避難の権利」を訴える総理大臣と福島県知事への手紙~森松明希子さんから 
2020年8月2日
原発賠償関西訴訟での森松明希子さんの3回目の意見陳述(2020730日)を読んでください

放送大学和歌山学習センターで久々の面接授業「高野山とその文学」(下西忠高野山大学名誉教授)を受講して

 202258日配信(予定)の「メルマガ金原No.3518」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

放送大学和歌山学習センターで久々の面接授業「高野山とその文学」(下西忠高野山大学名誉教授)を受講して

 昨日・今日(5/78)の2日間、放送大学和歌山学習センターで、実に久しぶりの(コロナ禍発生以後初めての面接授業「高野山とその文学」を受講してきました。
 講師は下西忠高野山大学名誉教授であり、私が和歌山学習センターで下西先生の授業を受講するのはたしか4回目となります(前3回のテーマは「御詠歌」「中世説話文学」「中世紀行文学」でした)。

 講義の冒頭で下西先生から、今回の放送大学和歌山学習センターでの面接授業を最後に、長年の教員生活にピリオドを打つつもり(つまり、5月8日の面接授業2日目が実質的な最終講義)というお話をうかがいました。講演については、既に引き受けている分はまだ残っているものの、やはり年内には打ち止めにするつもりとか。
 高野山大学での正式な最終講義は既に何年か前に実施済みのはずですが、コロナ禍のために制限された(和歌山県外からの受講申込みは断ったそうです)わずか7人の受講生に対する2日間の面接授業が事実上の最終講義となりました。
 もちろん、研究活動、執筆活動は続けていかれるのでしょうが、もう面接授業を受講する機会もなくなり、とても寂しい限りです。

 私にとって、2017年5月13日・14日の両日、下西先生による「中世の紀行文学(東関紀行)を鑑賞する」の受講をきっかけに、「山部赤人はどこから富士を眺めたのか?~名歌「田子の浦ゆ・・・」を解釈する」という、我ながら気合い十分の「古典文学解釈」に挑んだブログを書けたことが懐かしい思い出です。

 昨日・今日の講義の内容を、受講していない方に説明するのは私には荷が重過ぎますので、面接授業の最後で、下西先生が7人の受講者に語りかけられたポイントを、私が書き取った講義メモから抜き出してご紹介します。

・古典文学は、ただ単に昔書かれたというだけではなく、常に「今」に通じるものがあるからこそ「古典」となる。
・今、文学を取り巻く状況はとても厳しいが、文学と共に生活し、文学の素晴らしさを是非体感していただきたい。
・文学を読む際には、出来れば自分なりの「解釈」を試みていただきたい。その際、「解釈は作者と読者による合作」という外山滋比古の言葉をご紹介しておく。是非「良い解釈」を!

 上でご紹介した2017年のブログは、下西先生から教えられたことの実践例だったのだな、ということにあらためて気付きました。
 あのような「解釈」に挑む機会が今後どれだけあるかは分かりませんが、下西先生の教えを忘れず、文学に接していければと思います。 

「日本国憲法施行75年 5・3憲法記念日宣伝行動inわかやま」に参加して

 202253日配信(予定)の「メルマガ金原No.3517」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

「日本国憲法施行75年 5・3憲法記念日宣伝行動inわかやま」に参加して

 日本国憲法が施行されて75年目となる5月3日、11時30分から約1時間、JR和歌山駅前(西口)において、県下3団体(憲法9条を守る和歌山弁護士の会、戦争をさせない和歌山委員会、憲法九条を守るわかやま県民の会)が呼びかける「5・3憲法記念日宣伝行動inわかやま」が行われました。
 宣伝行動の中身は、参加者が手に手に持ったプラカードや横断幕などによるスタンディングアピール、呼びかけ団体メンバーによるマイクでのアピール(リレートーク)、うたごえ9条の会メンバー(?)らと一緒に2曲ほど、といったところでした。

 この宣伝行動の事務局は、和歌山県地方労働組合評議会(県地評)と和歌山県平和フォーラムが担当していたこともあり、呼びかけ団体の一員とはいえ、私は開始時刻のぎりぎりに駅前に着いたのですが、そこでいきなりワープロ打ちの進行表のようなものを見せられ、「金原さんのスピーチは3番目なのでよろしく」と言われて驚きました。
 「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」からは、浅野事務局長が参加予定でしたから、浅野さんがスピーチするのは当然と思っていましたが、私は「行けたら行く」としか言っておらず、誰からも事前に「スピーチをよろしく」という予告などされていませんでしたからね。

 とりあえず、今日の進行を振り返っておきます。

スピーチ1 浅野喜彦さん(憲法9条を守る和歌山弁護士の会・事務局長)
スピーチ2 坂本文博さん(憲法九条を守るわかやま県民の会・代表運営委員)
スピーチ3 金原徹雄(憲法9条を守る和歌山弁護士の会)
スピーチ4 裏野勝也さん(戦争をさせない和歌山委員会、和歌山県平和フォーラム代表)
うたごえ(2曲)「ウクライナの空に」(“We shall overcome”のメロディーで)ほか新作1
スピーチ5 琴浦龍彦さん(憲法九条を守るわかやま県民の会、和歌山県地評議長)

 憲法記念日に様々な団体が共同で和歌山駅前で取組を行うようになったのはいつからか、ご存知でしょうか?
 ちょうど取材に来ていた読売新聞の記者さんからこのような質問を受けた県地評の杉さんから助け船を求められ、とっさに2006年の憲法記念日に憲法9条を守る和歌山弁護士の会が呼びかけて街頭署名行動を行ったのが最初、と答えられたのは我ながら上出来でした。
 2014年の憲法記念日からは、和歌山城西の丸広場で「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」を開催するようになったので、私自身は憲法記念日に和歌山駅前に行くことはなくなりましたが、同年以降も、少数ながら別働隊が和歌山駅前での署名集めを中心とした宣伝行動を続けていました。
 その「HAPPY BIRTHDAY 憲法 in Wakayama」もコロナ禍の影響などから2020年以来中断しており、今のところ再開のめどは立っていません。

 そのような中、私としては実に久しぶりに憲法記念日に和歌山駅前まで足を運びました。振り返ってみると、この前5月3日にここに来たのは2013年のことで、その年は駅前での署名行動の後、第1回「憲法9条を守り生かそう わかやまアピール行進」を実施したのでした。
 私が書いたブログを読み返してみると、当時90歳であった故・月山桂先生が元気に先頭を歩いてくださったことなども思い出されて感慨一入です。
 ちなみに、その翌年からは西の丸広場でイベントを開くことになったため、このデモの第2回は今までのところ行われていませんが、その精神は2014年6月以来毎月実施している「憲法の破壊を許さないランチTIMEデモ」に受け継がれています。

 ところで、私は何をスピーチしたかを書いてこの稿を終えたいと思います。
 11時半に和歌山駅前に着いて「3番目」のスピーチを頼まれてすぐにネタ探しを始め、今最も気になっている、4月26日に自民党安全保障調査会が公表した「提言」から、特に「敵基地攻撃能力あらため反撃能力」の保持と、防衛予算倍増計画の2点に絞ってお話ししようと決めました。
 ところが、私のすぐ前でお話しされた坂本文博さんが、この2つの論点についてもしっかり話されてしまったため、私の急遽立てた計画はあえなく頓挫してしまい、あれこれ考える間もなく、マイクを手に持たざるを得なくなりました。
 そこで咄嗟にお話ししたのは、やはり私の中でとても気になっていた問題でした。

 それは、4月28日に行われた半田滋さん講演会(主催:青年法律家協会和歌山支部)の質疑応答で発言された1人の女性の質問についてです。正確に再現は出来ませんが、その方の質問は大要以下のようなものでした。

・私はこれまで9条は守らなければいけないと思ってきました。
・けれども、ウクライナで戦争が始まり、連日の報道などを見聞きするにつけ、本当にこのままで良いのだろうかと心配で心配で夜も寝られないほどです。
・どう考えたら良いのでしょうか?

 この質問に対する半田さんの答えは、(これまた正確な再現ではありませんが)「戦争するための意思と能力がない限り、戦争は絶対に起こりません。日本を取り巻く中国、北朝鮮、ロシアには日本に侵攻する理由がありませんから、安心しておやすみください(※金原注:もっとも、日本が米軍と一体化して武力行使に至れば話は別という含意あり)」というものでした。時間の限られた質疑応答の中ではこれ以上の答えは無理だったでしょう。
 ただし、それでこの女性が得心できたかどうかは別問題であり、本来なら、その不安について真摯に耳を傾けながら対話する時間が必要なのだろうと思います。
 もちろん、いかに対話しても、考えの溝が埋まらない可能性は十分にありますが、9条を守ることに不安を感じる人との真摯な対話の機会をどのように確保していくかが、今後の運動にとってとても大事なことだと思います。

 概要、以上のようなことを話そうとしたのですが、とっさの思いつきで話し始めたことですし、他のスピーカーのお話とは全然方向が異なる内容なので、どれだけ伝わったか自信はありません。そこで、一文を書き留めておこうと思った次第です。

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自民党・安全保障調査会の「提言」に注目してください

 202252日配信(予定)の「メルマガ金原No.3516」を転載します。
 Facebookにも同内容で掲載しています。

自民党・安全保障調査会の「提言」に注目してください


 去る4月28日にプラザホープで開催した半田滋さん講演会(主催:青年法律家協会和歌山支部)に足をお運びいただいた皆さまにお礼申し上げます。

 講演会終了後、講師を囲む懇親会に参加したのですが(時節柄参加者1ケタ台でした)、会場がイタ飯屋風居酒屋(?)で、その日の客層は相当若く(我々はやや場違いな雰囲気)、しかも普通に会話していたのではお互いに聞き取りに苦労するほど周りがやかましく、さんざんコロナ対策に気を遣った講演会が終わった後、「飛沫感染などどこの世界のことか」という3年前に舞い戻ったかのような店内に身を置き、いささか呆然とした気分でした。

 まあ、それはさておき、講演の中で半田さんも言及されていましたが、自民党政務調査会安全保障調査会が、「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言~より深刻化する国際情勢下におけるわが国及び国際社会の平和と安全を確保するための防衛力の抜本的強化の実現に向けて~」という長ったらしいタイトルの提言をとりまとめ4月27日に岸田総理に提出しました。

 これは、12月までの改定を目指すと岸田総理が公言している安全保障関連の基本3文書「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」「国家安全保障戦略」について、改定の方針についての「提言」(表題を変えろとまで書いています)をまとめたものです。
「提言」PDFファイル

 全部で16ページもあるので、いささか億劫かもしれませんが、政府がこれを丸呑みする可能性も否定できず、是非目を通しておくべきかと思いますので情報共有しました。

 なお、この提言についての半田滋さんによる解説がネットで読めます。
 また、デモクラTVでの解説も視聴できます。


 提言は多岐にわたりますが、特に注目されている箇所を指摘すると、
●「防衛費関係」(4ページ以下)
●「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力の保有」(9ページ以下)
など
どでしょうか。

 ちなみに、「専守防衛」という項目もありますが(10ページ)、わずかに本文6行だけであり、しかも説明するだけで「守る」とも「重要」とも何とも言っていません。
 また、その(後段の)説明自体、従来の政府解釈の域を超え、勝手に拡大しているそうです(和歌山駅から会場までお送りする車の中で伺った半田滋さんのご意見)。
 以下、16ページに及ぶ自民党「提言」中の「専守防衛」の項を全文引用してみましょう。

(引用開始)
専守防衛
 専守防衛とは、相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使し、その態様も自衛のための必要最小限度にとどめ、また、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう。
 ここで言う必要最小限度の自衛力の具体的な限度は、その時々の国際情勢や科学技術等の諸条件を考慮し、決せられるものである。
(引用終わり)

 最後に、私もこの「提言」をまだ十分には読み込めておらず、流し読みしただけですが、最も気になったというか、注意をひかれた点を指摘しておきます。
●「わが国を取り巻く安全保障環境は加速度的に厳しさを増している」(1ページ)という表現があちこちにばらまかれています。2014年の安保法制懇の報告書以来、このフレーズは聞き飽きました。日本語の通常の用法に従って理解すれば、日本はとっくに「滅亡」していなければおかしいくらいです。
●「日本は、国家の独立、国民の生命と財産、領土・領海・領空の主権、自由・民主主義・人権といった基本的な価値観を守り抜いていくために」(1ページ)、「わが国の独立と平和を守り抜く上で真に必要な防衛関係費を積み上げて」(5ページ)など、「守って」とか「守る」とすれば意味が通じるにもかかわらず、「守り抜いて」とか「守り抜く」というより扇情的な用語を使っている文章に出会ったら(安倍晋三元首相のスピーチに「守り抜く」は頻出していました)、よほど警戒する必要のある内容なのだと理解すべきです。

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