弁護士・金原徹雄のブログ

憲法を大事にし、音楽を愛し、原発を無くしたいと願う多くの人と繋がれるブログを目指します。

新宮市、大石誠之助(大逆事件犠牲者)を名誉市民に~市民の矜恃をかけた決定に敬意を表する

   2018年1月22日配信(予定)のメルマガ金原.No.3055を転載します。
 
新宮市、大石誠之助(大逆事件犠牲者)を名誉市民に~市民の矜恃をかけた決定に敬意を表する
 
 去る1月19日、新宮市が、大逆事件の犠牲者である大石誠之助(歴史上の偉人ということで敬称は省略します)を名誉市民としたことを発表したというニュースに接し、非常に勇気付けられました。各種報道の内、毎日新聞の記事を引用したいと思います。
 
毎日新聞 2018年1月19日 20時23分(最終更新 1月19日 21時30分)
新宮市 大逆事件連座で処刑医師、大石誠之助を名誉市民に
(抜粋引用開始)
 和歌山県新宮市は19日、明治末期に起きた大逆事件に連座して処刑された新宮市出身の医師、大石誠之助(1867~1911年)を名誉市民にすると発表した。地元医療に尽くす一方、反戦・反差別を主張した自由主義者としても知られ、市は「人権思想や平和思想の基礎を築いた」として107年ぶりの復権を実現した。
 大石は新宮市仲之町で医院を開業し、貧しい人から診療代をもらわず、「ドクトル大石」「毒取る先生」と親しまれた。一方、新聞や雑誌に社会問題に関するエッセーや論評を発表して自由、平等、平和を唱え、活発な言論活動を展開。大逆事件で連座し、43歳の若さで刑死した。
 大石を巡っては、刑死100年の2011年に合わせ、市民から名誉市民に推す動きがあったが、市議会は同年3月、関連する請願を賛成少数で不採択とした。
 今回、議員有志から「国家の非をただすのが地元の矜持(きょうじ)だ」と機運が高まり、名誉市民に推す議案を提案。昨年12月、11対4の賛成多数で可決され、決定権を持つ田岡実千年市長が正式に決めた。田岡市長は「大石の遺志を後世に継承し、功績を広く発信して顕彰したい」とコメントした。
(略)
 大逆事件を研究する山泉進・明治大教授(社会思想史)の話 「共謀罪」法の成立など、国家の力が強化されつつある現代に、国に背いても信念を貫いた大石を顕彰するのは勇気ある決断で、大変評価したい。反発も懸念されただろうが、新宮の人々に受け継がれてきた反骨精神を見た思いだ。これが、幸徳秋水らの公的な名誉回復につながることを期待したい。
(略)
(引用終わり)
 
 1910年に摘発されたいわゆる大逆事件(幸徳事件とも呼称)に連座して刑死した大石誠之助をはじめとするいわゆる「熊野・新宮(紀州)グループ」については、和歌山県教育委員会が作成した「ふるさと教育副読本 わかやま発見」「第2編 わかやまの歴史」「第4章 近代和歌山の発展」の中の記述を(以前にもブログでご紹介したことがありましたが)再度引用するのが良いと思います。
 
わかやま発見 第2編 わかやまの歴史
第4章 近代和歌山の発展
『牟婁新報』と大逆事件
(引用開始)
社会主義思想と「牟婁新報」
 日露戦争に反対する声は,和歌山市でもキリスト教青年グループを中心に行われています。日露戦争の勝利は,わが国の国民に大きな自信を与えましたが,多大の負担を強いることにもなりました。そういった世相を反映して,社会主義の思想もおこってきました。
 毛利柴庵(もうりさいあん)が1900年に紀南の中心地田辺で発行した『牟婁新報(むろしんぽう)』は,社会主義の考えをもった記事も書かれている新聞として,広く世に認められていきました。柴庵は,新しい仏教の考えを取り入れた社会主義の傾向のもち主でしたが,考え方の広い人でしたから,1905年に社会主義者の荒畑寒村(あらはたかんそん)が記者として田辺に招かれ,ついで管野(かんの)スガ(後に幸徳秋水の妻)も田辺に赴任すると,同紙はさらに激しい社会主義的主張をくり広げました。また,東京などの社会主義者たちとも交流が深かった,新宮の医師大石誠之助(おおいしせいのすけ)も,この『牟婁新報』の有力な投稿者の1人でした。
大逆事件と大石誠之助らの悲劇
 社会主義思想が田辺で最も盛んであったのが,荒畑寒村(あらはたかんそん)らが活躍した1905~06年で,新宮で最も盛んになったのは1908年のことです。幸徳秋水がこの年の夏,新宮に大石をたずねています。大石は困っている人からは治療費をもらわないなど,「ドクトル(毒取る)さん」と親しまれていました。若者にも共感をよせていた大石の人柄をしたって,社会主義に関心をもつ青年たちが,大石のまわりに集まり,さかんに論議しあいました。
 1910年,長野県で弾を持っている者が見つかり,天皇の暗殺を企てたとして,全国で社会主義者の逮捕がつづきました。その中心者は,幸徳秋水ということにされました。世に大逆事件とよばれた事件ですが,このとき,大石を中心とする「紀州グループ」の人々6名も次々にとらえられていきました。そして,大石と成石平四郎(なるいしへいしろう)の2人が死刑,成石勘三郎(なるいしかんざぶろう)・高木顕明(たかぎけんみょう)らが無期懲役に処せられました。高木顕明は,新宮の浄泉寺(じょうせんじ)の住職で,貧困などで苦しんでいる人々の相談相手としてやさしく手をさしのべていました。そうしたことから,たくさんの人々からしたわれていました。また,成石勘三郎と平四郎の兄弟は請川(うけがわ)(田辺市)で将来を期待されていた青年たちでした。
 この事件をきっかけに,日本では,特に社会主義者のとりしまりがたいへん厳しくなりました。第二次世界大戦後,大逆事件にかかわる資料が次々と発見されてこの事件の真相が明らかにされ,大石らは,全くの無実であったことがわかりました。
(引用終わり)
 
 以上のとおり、和歌山県教育委員会の公刊物では、紀州グループ6人の名誉回復は事実上果たされており、また、犠牲者の出身地の議会においても、2001年9月には新宮市議会が、2004年11月には本宮町(現田辺市)議会が、名誉回復と顕彰の決議を行っています。
 今回は、さらに一歩進んで、大石誠之助の生前の功績を踏まえ、新宮市が、「名誉市民」として顕彰することになったものです。
 
 今回の動きは、先月開催の新宮市議会12月定例会において、議員発案第2号として発議された大石を新宮市名誉市民の候補者として推挙する議案が12月21日に議決され、決定権者である市長の判断が待たれていたものです。
   上に引用した毎日新聞の記事にあるとおり、市議会では、大石を名誉市民に推すことに賛成の議員が11人、反対が4人の賛成多数での議決でした。私は、どのような賛否の討論が行われたのか、是非会議録で読みたいと思ったのですが、12月定例会の会議録はまだホームページにアップされていません。そこで、市議会の議決を報じた記事の内、最も詳細であった紀南新聞の記事を引用したいと思います。
 
紀南新聞ONLINE 2017/12/22
大石誠之助を名誉市民に 改正条例に基づき推挙 市議会
(抜粋引用開始)
 新宮市議会は12月定例会最終日の21日、故・大石誠之助氏を新宮市名誉市民に推挙する議案を審議。多くの傍聴者が見守る中、賛成多数(賛成11、反対4)で可決した。最終判断は市長にゆだねられている。
 5日、議員発議で「新宮市名誉市民条例」を改正し、2人以上の賛同議員がいる場合、議会の同意を得て名誉市民に推挙できるように制度が変更されていた。
 提案者として登壇した上田勝之議員は「貧しい人々や被差別部落の人々には薬代すら取らず、貧者や青年を愛することを使命としてきた。誠之助はすでに名誉市民である佐藤春夫などに大きな共感を与えている」などと推挙理由を説明。さらに「名誉市民と大逆事件は全く別のこと。誠之助に名誉市民の称号を贈ることはある意味、国家の非礼をただすことにほかならない。今こそ民主主義や人道主義、人権意識を論じ、実践した先達である誠之助をこの時代に、名誉市民に推挙する意味がある」と力を込めた。
賛否活発に討論
 反対討論を行ったのは4人。辻本宏議員は「(紀州グループの)6人の功績を考えると大石氏のみを名誉市民とするよりは、今のままで歴史的・社会的な史実として、崇高な精神哲学を後世に学んでもらうために個人の功績などを、世間一般に広く知らせていくのが懸命(※金原注:「賢明」の誤記か)だと思う。遺族、親族の気持ちも尊重しなくてはいけない」と話した。福田讓議員は「大石先生らは冤罪事件の犠牲になったことが明らかになってきたが、国家による名誉回復はされていない。また、市民も大石先生の人物像を熟知・認識していないこの現状で、名誉市民に推挙するのは理解に苦しむ。無実を勝ちとるために国家の誤った認識をただす以外に道はないと思う」と反対の意思を示した。北村奈七海議員と大石元則議員も反対討論を行った。
 一方、賛成討論したのは3人。松畑玄議員は「時の政府のねつ造により、先覚者である大石氏を失った熊野の損害は大きい。名誉市民に推挙することは、ゆがみつつある日本に一石を投じ、大石氏の唱えた自由、博愛、平等、非戦を再確認し、熊野新宮から発信する絶好の機会」と主張。大西強議員は「大石を名誉市民に推挙することは国民、市民が日本の近代史、熊野地方の近代史に関心を持ち、研究が活発になる。専制政治、軍国主義の怖さ、それに比較して現代の平和、自由、平等、人権尊重社会の価値などの再確認につながる。決して不幸な時代に逆戻りさせない覚悟を醸成するための契機となり、教育、文化の振興について意義があると考える」と述べた。
(略)
大石誠之助
 慶応3(1867)年、新宮出身。医師。文化人としても優れ、明治24年に渡米。オレゴン州立大学を卒業後、帰国して29年に新宮で医院を開業。留学し34年に再帰国。医術を駆使し、患者にどんな差別もなく人間として平等に扱った。貧しい人からは医療費を取らず、町民から感謝されていたという。洋食レストラン「太平洋食堂」を開き、自由民権運動にも励んだ。大逆事件によって命を落とすことになったが、その功績は大きく、名誉市民となっている西村伊作や佐藤春夫、中上健次にも思想的な影響を与えている。
(引用終わり) 
 
  いかがでしょうか。皆さんも、「是非正式な会議録を読みたい」と思われたのではないでしょうか。
  賛成するにせよ、反対するにせよ、「新宮市民の矜恃」をかけて、自らの信じるところを論じ合っている様子が、発言を要約した新聞報道を読むだけでも伝わってきます。私は、なまじ大した議論もないまま「全会一致」で大石を名誉市民に推挙する議案が議決されるよりは、このような討論を経て11対4の賛成多数で議決されて本当に良かったと思います。
 私は、地元の人間ではありませんから、普段の新宮市議会の様子には全く疎く、何とも評しようがありませんが、上に引用した紀南新聞の記事を読んで、つくづく自分の住む和歌山市の議会状況と比較しない訳にはいきませんでした。
 12月21日の議会には、「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」の皆さんも傍聴に駆け付けたようですが、私たち市民1人1人が、議会における議論の状況に常に関心を注ぎ続けなければならないということだと思います。
 いずれにせよ、大石誠之助を名誉市民とした新宮市に深甚なる敬意を表します。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/大逆事件関連)
2013年10月16日
2014年5月10日
2016年2月18日
2016年2月20日
2017年4月18日

望月衣塑子さんが書いたダニー・ネフセタイさん(『国のために死ぬのはすばらしい?』著者)インタビュー(2017年3月17日)

   2018年1月21日配信(予定)のメルマガ金原.No.3054を転載します。
 
望月衣塑子さんが書いたダニー・ネフセタイさん(『国のために死ぬのはすばらしい?』著者)インタビュー(2017年3月17日)
 
 2016年12月に、高文研から出版された『国のために死ぬのはすばらしい?』(ダニー・ネフセタイ著)という本を読んだことがあるでしょうか?私は、まことに遅ればせながら、今日初めてこの本を知りました。版元(高文研)のホームページから、「この本の内容」と「編集者より」を引用します。
国のために死ぬのはすばらしい?
ダニー・ネフセタイ
高文研
2016-12-01

 
(引用開始)
この本の内容
 イスラエルの元空軍兵士だった著者が、退役後、バックパッカーとなってアジア諸国を放浪の旅に出た。以来40年近くを日本で暮らしている。
 家具作家の著者は、「世の中を良くすることも物づくりをする人間の使命である」という信条をもち、戦乱の絶えない祖国イスラエルを批判、「3.11」後の日本で脱原発の道を進むことを願い、活動をつづけている。
 本書は2部構成で、第1部は「イスラエル出身の私が日本で家具作家になった理由」として、著者の生い立ち、イスラエルの愛国心教育、軍隊経験を中心に、日本に根を下ろすまでを描いた。
 第2部は「私はなぜ脱原発と平和を訴えるのか」として、本業の家具製作のかたわら、平和運動・脱原発の活動を通して仲間と出会い、イスラエルと日本のより良い未来のための提言をまとめた。
編集者より
 本書の企画当初の仮タイトルは「イスラエル化する日本」でした。イスラエル出身の著者が受けた愛国心教育、アラブ人に対する差別意識、軍事力に頼る国防意識などを聞かされるにつれて、イスラエルの「右傾化」はそのまま日本にも当てはまると思ったからです。
 実際の原稿では、著者は日本の右傾化よりも、祖国イスラエルの政治状況に対する批判のトーンが強かったため、イスラエルの人びとの社会通念とも言える「国のために死ぬのはすばらしい」に疑問符を付けたタイトルにしました。
 著者のイスラエル批判を読めば読むほど、日本が近隣諸国を敵視し、軍事力に頼ろうとする姿勢に危機感を覚えます。著者の最後の訴えは〈「帰還不能点」に気づこう〉です。日々の生活追われ、大事なことを見過ごしていると後戻りできない状況に陥ることに警鐘を鳴らした見出しです。その言葉を日本の読者も噛みしめなければいけないと思います。
(引用終わり)
 
 編集者の意欲がよく伝わってくるホームページです。いずれ入手して読んでみたいと思いました。
 
 実は、この本のことを調べたのは、昨日(1月20日)、東京都北区の北とぴあ・カナリアホールで開かれた、著者ダニー・ネフセタイさんによる同タイトルの講演動画を見つけて興味をひかれたからです。動画は4本に分かれています。
 
2018.01.20 講演「国のために死ぬのはすばらしい?」講師:ダニー・ネフセタイ
【1/4】(28分)

【2/4】(28分)

【3/4】(20分)

【4/4】(9分)

 
 ところで、この講演は、映画『NOノー』上映会とセットの企画でした。思えば、この映画と講演の企画者(主催:(株)橋本新企画/企画・運営:ねっとわーくシネマグループ)のセンスは素晴らしいですね。映画『NOノー』の予告編もご紹介しておきます。
 
映画『NO ノー』予告編(2012年/パブロ・ラライン監督/チリ・アメリカ・メキシコ)
(引用開始)
見どころ:第85回アカデミー賞外国語映画賞ノミネートを筆頭に各国映画賞で高い評価を得た、実話ベースの社会派ドラマ。1988年のチリを舞台に、軍事独裁政権を敷くアウグスト・ピノチェト将軍の信任延長を拒否する反対派陣営に雇われた広告マンの姿を見つめる。監督は『グロリアの青春』などの新鋭、パブロ・ラライン。主演を務める『天国の口、終りの楽園。』などのガエル・ガルシア・ベルナルを筆頭に、ラテン系の実力派俳優たちが結集する。事実は小説よりも奇なりを地でゆく展開に加え、ビンテージカメラを用いた独特の映像も見もの。
あらすじ:長らく軍事独裁を強いてきたアウグスト・ピノチェト政権の信任継続延長を問う国民投票が迫る、1988年のチリ。広告マンのレネ・サアベドラ(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、反独裁政権を掲げる信任継続反対派の中心人物である友人ウルティア(ルイス・ニェッコ)から仕事を依頼される。それは、政権支持派と反対派双方に許されている、1日15分のテレビ放送を用いたPRに関して協力してほしいというものだった。レネの作るCMは徐々に国民の心をつかんでいくが、強大な力を持つ賛成派陣営の妨害に悩まされる。
(引用終わり)
 
 さて、上の動画から興味をひかれ、著者名でGoogle検索してみると、中日新聞による非常に詳しい紹介記事が見つかりました(東京新聞にも掲載)。しかも、取材・執筆した記者は今話題の望月衣塑子(もちづき・いそこ)さん!考えてみると、望月さんは、日本の軍需産業による武器輸出の問題を長年追及し、著書も出されていたのですよね。このネフセタイさんを取り上げたインタビュー記事も、望月さんのそのような問題意識に基づいて、実に力のこもった記事になっています。そこから一部引用させてもらいますが、是非全文を中日新聞サイトで読んでいただきたいですね(高文研のホームページに記事の写真が掲載されています)。
望月衣塑子著『武器輸出と日本企業』(角川新書/2016年7月)
武器輸出と日本企業 (角川新書)
望月 衣塑子
KADOKAWA
2016-07-10

 
中日新聞・東京新聞 2017年3月17日
ダニー・ネフセタイ 元イスラエル兵
◆国のために死ぬ 素晴らしくない
(抜粋引用開始)
 市街地への空爆、ロケット弾での応戦、兵士に射殺される女子高生、民間人を狙った銃の乱射や自爆テロ…。イスラエルとパレスチナ間の紛争は止まる気配がない。「なぜ終わりが見えないのか」。日本に三十七年住む、イスラエルの元兵士で家具作家のダニー・ネフセタイさん(60)は、その思いを「国のために死ぬのはすばらしい?」(高文研)にまとめ、昨年十二月に刊行した。書籍は口コミで広がり、反響を呼んでいる。
-なぜこの本を出そうと?
 子どもの時から「嫌っているのは自分たちでなく、パレスチナ人だ」「戦争を望むアラブ人と違い、私達ユダヤ人は、平和を愛する優れた民族だ」と信じ込んでいました。学校、家庭、地域や新聞、テレビで知る情報が積み重なり「悪者のアラブ人とは和平交渉は不可能だ」との“信念”ができ上がりました。「中国や韓国とは話ができず、信用できない」と言う多くの日本人にも通じるのでは、と感じ、イスラエルの歴史を伝え、今の日本を考える材料を提供したいと思ったのです。
-イスラエルでは、どんな教育を。
 就学前に教え込まれたのは「捕虜になってはいけない」「国のために死ぬのは素晴らしい」でした。西暦七〇年にローマ帝国がユダヤ教の神殿を破壊し、ユダヤ人をイスラエルから追い出しました。追放を逃れた九百人のユダヤ人が、要塞(ようさい)に逃げローマ軍に三年間抵抗しましたが七三年、集団自決します。就学前、この史実をもとに「戦争は勝つか死ぬか、たとえ自殺しても敵に降伏しない」とたたき込まれました。イスラエルでは六歳の子どもでさえ、当然だと考えています。
 二十世紀初め、欧州から移住した数十人のユダヤ人が、イスラエル北部テルハイに入植地を築きましたが、アラブ人の多い地域だったため、頻繁にアラブ人と衝突しました。
 一九二〇年の最後の戦いでリーダーのヨセフ・トルンペルドールら数人が戦死し「国のために死ぬのは素晴らしい」とのこしたとされ、その言葉を小学生の時から刷り込まれました。毎年三月「テルハイの日」の教室の横断幕には「国のために死ぬのは素晴らしい」と書かれていた。戦死は最も栄誉ある死だと、国民の共通認識になっています。
(略)
-兵役後、自由な時間を求めて世界を旅した。
 バックパッカーでまず向かった先が日本でした。日本語学校に通い、バイト先の下の店で働く妻のかほる(58)と出会いました。かほるの大学卒業後、イスラエルに二人で渡りましたが政権が右傾化し、八四年に日本に戻ります。結婚し、家具作家として埼玉県皆野町に住みました。
-二〇〇八年十二月に、イスラエルのガザ侵攻が起きました。
 三週間の攻撃で、四百五十人の子どもを含む千四百人のパレスチナ人が死亡しました。日本に居ても立ってもいられず「平和への願い」と題して講演を行い、イスラエルの人々にヘブライ語で呼び掛けるブログを始めましたが、寄せられたコメントは「批判したければ戻ってこい」「あなたは正しいけれど、外国から言われるのはたまらない」などの声でした。
 そして、六年後の一四年のガザ侵攻では、イスラエル軍は五百七十七人の子どもを含む二千二百八人のパレスチナ人を死に追いやったのです。
 イスラエルが進める、一方的な入植に反対です。パレスチナ国家の設立、中東和平を一日も早く進めなければならない。
-福島の原発事故からは何を感じましたか。
 3・11があり、戦争が日常だった国に生まれた私は日本に巣くう軍需産業と原発産業を強く意識するようになりました。二つの産業の共通点は、少しの人の利益のために大勢の人が犠牲になることです。
 防衛費に国家予算の二割を割き「国民の命を守る」というイスラエル政府も、戦争になると、国民を100%守れるとは、とても言えません。
 平和のための努力をせず、軍事費に予算を回すイスラエルと、かたや自然エネルギーに移行せず、原発再稼働を進める日本。どちらも、犠牲が出た際の合言葉は「次は絶対安全だ」でしょう。疑う心を持たないと国はやりたい放題。原発再稼働になれば、次の事故も時間の問題でしょう。3・11を経験したのに、原発輸出を進める。暴挙としか思えない。
-一四年からイスラエルの軍事企業が日本の防衛企業と商談を進めています。
 無人戦闘機開発で、両国が急接近していることをニュースで知りました。イスラエルの無人戦闘機技術に日本の高度なセンサー技術などを組み合わせるというものでした。あまりにもばかげた試みです。両国が共同開発した無人機が将来、“敵”と見なす国の空を飛び、ボタン一つで子どもたちをも巻き込み、殺す。そんな状況を日本人は許せるのでしょうか。
 中東を軍産複合体のいけにえにしてはいけないのです。日本にこそパレスチナの悲惨な現状を知ってほしい。イスラエルとパレスチナの歴史を知れば、戦争や軍拡が何をも解決しないことが分かるでしょう。
-日本はどうしていくべきだと。
 テレビや新聞は、ナショナリズムが激しくぶつかる尖閣諸島や竹島の領土問題を頻繁に扱い、その結果、中国や韓国へのイメージは悪くなるばかりです。いまの日本は、アラブ人に囲まれたイスラエルの状況に近いのかもしれません。やるべきことは“敵”に見える国を知るために、たゆまぬ努力を重ね、軍事によらない解決策を探り続けることではないでしょうか。
 軍拡や原発輸出に頼ろうとする今の日本の政治や経済のあり方を根本から見直す必要があるのでは。未来を生きる子どもたちに、戦争や軍拡に頼る「平和」を託してはいけません。どちらも平和とは全く相いれないものであることを、一人でも多くの人に気付いてほしいのです。
<ダニー・ネフセタイ> 1957年、イスラエル中部のモシャブで4人きょうだいの次男として生まれる。12歳の時に農業を営む父が自殺、二つ上の長男とともに、ナッツ畑などで働き家計を支える。高校卒業後、徴兵制でイスラエル軍に3年間入隊。退役後にバックパッカーで日本へ。妻かほるさんと出会い、85年に日本で結婚、1男2女をもうける。埼玉県皆野町に工房を開き、夫婦で注文家具などを製作、自宅ログハウスも建設。原発事故後は「原発とめよう秩父人」を設立、福島視察ツアーやデモ参加、反原発イベントの企画運営も行う。毎年3月11日には「原発事故を忘れない」をテーマにポスター2万部を配布。家具の個展や平和をテーマにした講演を全国で行っている。
◆インタビューを終えて
 二月、ダニーさんの還暦を祝おうと三年ぶりに妹シーリーさん(56)=写真(左)=とイーリスさん(47)=同(右)=が来日、一緒に食事した。イスラエルの歴史話で盛り上がったが、ガザ近郊に住むイーリスさんの近況に話が及ぶと空気が一変。ロケット弾が飛び交い、シェルターに身を潜める妹を気遣うシーリーさんが「紛争は良くない。でも弾を放つのはパレスチナ人だ」、ダニーさんは「そんなこと言ってたら平和は訪れない」。その場面に言葉を失った私にダニーさんは「前回、妹は全く耳を貸さなかったが今回は聞く耳がある。考えが変わるのは時間の問題ですよ」。一筋の希望を見た気がした。
(望月衣塑子)
(引用終わり)

(参考サイト)
安保法制違憲訴訟埼玉の会Facebook
ダニー・ネフセタイさんも原告のお1人です。 

開催予告2/25「いのちの種を未來につなぐ」~スローシネマ上映と山田正彦元農水相による講演(和歌山有機認証協会)

   2018年1月20日配信(予定)のメルマガ金原.No.3053を転載します。
 
開催予告2/25「いのちの種を未來につなぐ」~スローシネマ上映と山田正彦元農水相による講演(和歌山有機認証協会
 
 NPO法人和歌山有機認証協会(WOCA)の「サラ*いづみ*ベラ」さん(旧称?歌舞さん)からお知らせいただいた企画をご紹介します。同協会の第19回総会後の記念企画ですが、事前申し込みさえすれば(定員内であれば)、誰でも参加できます。
 昨年(2017年)の和歌山有機認証協会の総会企画は、田中優さんの講演会でしたね。ブログで紹介した上で、私も参加させていただきました(予告・田中優氏講演会「健全な農地と地球環境を未来につなぐ~奇跡の黒い土「テラ・プレタ」をヒントに」2/22@和歌山市/2017年2月13日)。
 今年のテーマはずばり「種(たね)」です。昨年の通常国会であっという間に「主要農作物種子法を廃止する法律」が成立してしまい、その施行期日(つまり、「主要農作物種子法」が廃止される日)である今年の4月1日が目前に迫っています。
 TPPや種子法廃止に反対する運動の先頭に立って奮闘してこれられた山田正彦氏(元農水大臣・弁護士)による講演の他、「種子」をテーマとしたスローシネマも上映されます(こちらは視聴料500円)。
 主催者は、「この催しは、今後各地域において、清浄な土や水と健康な種子を未來に引き継ぐための啓発であるとともに、循環型農的社会の持続発展に向け、互いの垣根を取り払い、パートナーシップをしっかり確立してゆくことをめざして開催するものです。」とその企画趣旨を説明しておられます(チラシ裏面)。
 是非1人でも多くの方が、「いのちの種」に関心を持ち、参加申込みされますようお薦めします。
 
 それでは、以下にフライヤー記載情報を引用します。
 なお、Facebookイベントページも開設されていますので、そちらの方もご参照ください。
 
(フライヤーから引用開始)
【和歌山有機認証協会 第19回通常総会 記念企画】
いのちの種(たね)を未來につなぐ
  『種(たね)・・・それは先人たちが受け継いできた
  わたしたちへのギフトであり いのち そのものです』
 
上映会
スローシネマ「アジアの叡智」シリーズ Vol.4
『ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて with 辻信一』
 ・14:15-15:15
 ・視聴料500円 *要事前申込み
 
講演会
『わたしたちのごはんがどうなるの?4月からの種子法廃止で』
 山田正彦氏(元農水大臣・弁護士)
  ・15:30-17:00
    ※15:35-16:35講演 16:35-17:00質疑
 ・入場無料 *要事前申込み
 
開催日時
2018年2月25日(日)
開催場所
男女共生推進センター(和歌山市あいあいセンター)6Fホール
 和歌山県和歌山市小人町29番地
 TEL:073-431-5246
 
主催
NPO法人 和歌山有機認証協会(WOCA)
協力
NPO法人 わかやま環境ネットワーク(WeNET)
サスティナブル・ライフスタイル研究会 of わかやま(SLOW)
賛同団体
紀ノ川農業協同組合 
生活協同組合 コープ自然派和歌山
和歌山県農民連
 
申込み・問合せ先 
和歌山有機認証協会
TEL 073-499-4736
FAX 073-499-4735
mail woca@vaw.ne.jp ※@マークを半角に変えてください。
 
備考
►13:00~14:00 同会場にて和歌山有機認証協会(WOCA)第19回通常総会を開催します。Open形式ですので、ご関心のある方は、どうぞご参加ください。
►上映会、講演会ともに、事前の申込みを『主催者まで直接』お願いします。受付は1月22日に開始します。いずれも定員(150名)に達し次第締切ります。お早目にお申込みください。
►キッズルーム有ります。シッターはいませんので、保護者の付き添いをお願いします。
 
講演会 山田正彦(やまだ まさひこ)
元農林水産大臣、弁護士
1942年4月8日長崎県五島市生まれ
早稲田大学第一法学部卒業。司法試験合格後に、五島で「牧場」を経営。
その後、弁護士事務所を開業し中小企業の借金問題、サラ金問題に取り組 み、暴力金融と徹底的に闘う。
1993年、4度目の挑戦で衆議院議員初当選、以後4回当選。
2009年9月農林水産副大臣、2010年6月農林水産大臣に就任。宮崎県で猛威をふるった口蹄疫では、現場の最高責任者として封鎖にあたる。
大臣退任後の2013年、弁護士法人山田正彦法律事務所を開設。2014には、子ども発達支援やまびこ学苑を開校。「TPPを慎重に考える会」の会長を務め、「TPPを考える国民会議」の副代表としても全国的に活動を展開。
著書に『アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった ! 』(サイゾー)、『TPP秘密交渉の正体』(竹書房)など。
 
スローシネマ
スローシネマ「アジアの叡智」シリーズは、危機の淵にある現代世界を、新しい時代へと導いてくれるアジアの賢人たちへのインタビューを軸に、その智慧のエッセンスを映像でとらえ、表現しようとする作品群です。
欧米先進国に主導された近代化と、それに続くグローバル化は、世界中の人々を終わりのない経済成長へと駆り立て、争いや格差を、そして資源枯渇や環境破壊を引き起こしてきました。山積する深刻な問題を前に、いまだ主流社会は既成の科学技術にその解決を委ね、経済至上主義や物質主義というマインドセット(思考の枠組み)にとり憑かれたままです。スローシネマの第一作目『今、ここにある未来』のなかで、シリーズ全体のアドバイザーでもあるサティシュ・クマールはこう言っています。
『危機の時代だと言われます。生態系の危機、地球温暖化、エネルギー危機、これら全ての〈危機〉は、しかし好機でもあります。こういった問題について話し合うよい機会であり、現在のシステムをデザインし直すための絶好の機会ともなりえます。本当の〈豊かさ〉とは何かを定義し直すのです』
この言葉通り、スローシネマはこの危機的な状況を、人々が集い、つながり、助け合い、分かち合う好機へと転じていくための、ひとつの手段となることを志しています。
(スローシネマ ムーブメントより http://slowcinema.net/
 
映画出演者プロフィール
ヴァンダナ・シヴァ Vandana Shiva
環境活動家、科学哲学博士。
有機農業や種子の保存を提唱し、森林や水、遺伝子組み換え技術などに関する環境問題、社会問題の研究と実践活動に携わる。有機農法の研究と実践、普及のための拠点として、NPO「ナヴダーニャ(9つの種)」を設立。
これまでに300を超える専門的論文を発表し、多数の本を著者・共著者として出版。それぞれ多くの言語に翻訳されている。「ライト・ライブリーフッド賞」など受賞多数。
 
辻 信一  つじ しんいち 
文化人類学者。環境運動家。明治学院大学国際学部教授。
「100万人のキャンドルナイト」呼びかけ人代表。NGOナマケモノ倶楽部の世話人を務める他、数々のNGOやNPOに参加しながら、「スロー」や「GNH」というコンセプトを軸に環境文化運動を進める。環境文化NGO・ナマケモノ倶楽部を母体として生まれた(有)スロー、(有)カフェスロー、スローウォーターカフェ(有)、(有)ゆっくり堂などのビジネスにも取り組む。2009年より 「アジアの叡智」DVDシリーズを企画。本作はその第4作にあたる。
主な著書に『ハチドリのひとしずく-いま、私にできること』(光文社)、『スロー・イズ・ビューティフル』(平凡社)、『「ゆっくり」でいいんだよ』(ちくまプリマー新書)など。

主催 メッセージ
いま、私たちのいのちを支える食と農の分野で、深刻な危機が起きています。
昨年春の国会で、主要農産物種子法(種子法)廃止法が、僅か数時間の審議で成立、今春施行(=種子法廃止)となります。予てより懸念されている、TPP協定参加による遺伝子組み換え作物の「国内乱入」、さらには、気候変動(地球温暖化)による農産物生産へのダメージや損失も年々増しています。私たちはこの危機をともに乗り越えなければなりません。そのために現状をしっかり把握すること、そして問題解決のために何ができるのかを考え、一刻も早く行動に移すことが求められています。
この催しは、今後各地域において、清浄な土や水と健康な種子を未來に引き継ぐための啓発であるとともに、循環型農的社会の持続発展に向け、互いの垣根を取り払い、パートナーシップをしっかり確立してゆくことをめざして開催するものです。
(引用終わり)
 
(参考動画1)
予告編『ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて with 辻信一』

 
(参考動画2)
日本のタネが危ない!山田正彦先生(元農水大臣)「種子法廃止とこれからの日本の農業について」ワールドフォーラム2017年10月22日(1時間02分)

 
(参考法令1)
昭和二十七年法律第百三十一号
主要農作物種子法
(目的)
第一条 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他の措置を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦、小麦及び大豆をいう。
2 この法律で「ほ場審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において栽培中の主要農作物の出穂、穂ぞろい、成熟状況等について審査することをいい、「生産物審査」とは、都道府県が、種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子の発芽の良否、不良な種子及び異物の混入状況等について審査することをいう。
(ほ場の指定)
第三条 都道府県は、あらかじめ農林水産大臣が都道府県別、主要農作物の種類別に定めた種子生産ほ場の面積を超えない範囲内において、譲渡の目的をもつて、又は委託を受けて、主要農作物の種子を生産する者が経営するほ場を指定種子生産ほ場として指定する。
2 その経営するほ場について前項の指定を受けようとする者は、農林水産省令で定める手続に従い、都道府県にその申請をしなければならない。
(審査)
第四条 指定種子生産ほ場の経営者(以下「指定種子生産者」という。)は、その経営する指定種子生産ほ場についてほ場審査を受けなければならない。
2 指定種子生産者は、次条の規定により交付を受けたほ場審査証明書に係る指定種子生産ほ場において生産された主要農作物の種子について、生産物審査を受けなければならない。
3  ほ場審査及び生産物審査(以下本条において「審査」という。)は、指定種子生産者の請求によつて行う。
4 都道府県は、指定種子生産者から前項の請求があつたときは、当該職員に、審査をさせなければならない。
5 審査の基準及び方法は、農林水産大臣が定める基準に準拠して都道府県が定める。
6 前項の農林水産大臣が定める基準は、主要農作物の優良な種子として具備すべき最低限度の品質を確保することを旨として定める。
7 第四項の規定により、審査を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の要求があつたときは、これを呈示しなければならない。
(ほ場審査証明書等の交付)
第五条 都道府県は、ほ場審査又は生産物審査の結果、当該主要農作物又はその種子が前条第五項の都道府県が定める基準に適合すると認めるときは、当該請求者に対し、農林水産省令で定めるほ場審査証明書又は生産物審査証明書を交付しなければならない。
(都道府県の行う勧告等)
第六条 都道府県は、指定種子生産者又は指定種子生産者に主要農作物の種子の生産を委託した者に対し、主要農作物の優良な種子の生産及び普及のために必要な勧告、助言及び指導を行わなければならない。
(原種及び原原種の生産)
第七条 都道府県は、主要農作物の原種ほ及び原原種ほの設置等により、指定種子生産ほ場において主要農作物の優良な種子の生産を行うために必要な主要農作物の原種及び当該原種の生産を行うために必要な主要農作物の原原種の確保が図られるよう主要農作物の原種及び原原種の生産を行わなければならない。
2 都道府県は、都道府県以外の者が経営するほ場において主要農作物の原種又は原原種が適正かつ確実に生産されると認められる場合には、当該ほ場を指定原種ほ又は指定原原種ほとして指定することができる。
3 第三条第二項の規定は前項の指定について、第四条から前条までの規定は同項の指定原種ほ又は指定原原種ほにおける主要農作物の原種又は原原種の生産について準用する。
(優良な品種を決定するための試験)
第八条 都道府県は、当該都道府県に普及すべき主要農作物の優良な品種を決定するため必要な試験を行わなければならない。
      附 則 (略)
※金原注 「ほ場」は漢字表記すれば「圃場(ほじょう)」となる。
 
(参考法令2)
平成二十九年法律第二十号
主要農作物種子法を廃止する法律
 主要農作物種子法(昭和二十七年法律第百三十一号)は、廃止する。
   附 則
 この法律は、平成三十年四月一日から施行する。
いのちの種・表いのちの種・裏

放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)

   2018年1月19日配信(予定)のメルマガ金原.No.3052を転載します。
 
放送大学あれこれ~高橋和夫教授の退任と「子ども居場所づくりで子そだち子そだて支援-学びは生きる力-」(2/10和歌山学習センター)
 
 私は、2008年度の1年間、選科履修生としてのお試し期間を経て、2009年度第1学期から放送大学(教養学部)の全科履修生となりました。明後日(1月21日)から第2学期の単位認定試験が始まりますが、私は21日に2科目受験するだけです(面接授業1科目は履修済み)。放送大学の全科履修生は、最長10年間の在籍が認められており、次年度(2018年度)が最終年となります。明後日受験する2科目の成績次第では、卒業要件である合計124単位は取得し、あとは、意図的に残してある必修の外国語科目の不足分1単位をいつ履修するか?だけとなる見込みです。ここまできたら、きっちりと10年間在籍させてもらおうと思っており、多分、2018年度第2学期に外国語科目を(おそらく面接授業で)履修して卒業することになると思います。
 今日は、放送大学に関わる話題を2つご紹介したいと思います。
 
【高橋和夫教授の退任】
 一昨日(1月17日)、放送大学から自宅に、「2018年度第1学期 授業科目案内」や「面接授業時間割表」など、次学期の科目登録のために必要な書類一式が届き、その中に入っていた「放送大学通信 オン・エア」第125号をぱらぱらとめくっていたところ、「退任に向けて 2018年3月31日ご退任予定」の専任教員の方々の冒頭に、高橋和夫教授の文章と写真が掲げられていました。放送大学教授の定年(68歳)から考えると、2年ほど早く退任することとされたようです。
 実は、高橋先生が定年前に退任されるのではないかという噂は耳にしており、ここ2年ほどの間に、(好成績を期待し難いにもかかわらず)開講中の高橋先生の科目を全て登録して受講したのも、実はその噂が一因となっていました。
 高橋先生が単独で主任講師を務められる科目の単位認定試験は、テキスト持込不可、記述式論文という最も難度の高い方式であり、正直、試験の準備は大変です(明後日も高橋先生の科目を1科目受験する予定)。
 私は、高橋先生の放送授業やテキストによって、中東問題を中心に、実に多くのことを教えていただきました。そして、高橋先生の、「知識だけでは十分ではない」「身につけた知識によって、世界を少しでも良くするために自分が何をしなければならないかを考えて欲しい」という思いを学生に伝えようという熱意に打たれ、何度もブログで高橋先生の講義を紹介させていただきました。
 幸い、「放送大学通信 オン・エア」に掲載された高橋先生の文章によれば、「放送大学で一番好きな仕事である番組制作は、しばらく担当が続きます。2018年度には現在放送中のラジオ科目『国際理解のために('13)』の改訂に取り組みます。また2019年度には、やはり現在放送中の『パレスチナ問題('16)』の改訂にあたります。」ということであり、また、4月からは、『現代の国際政治('13)』の改訂版『現代の国際政治('18)』が開講されますので、当分の間、高橋先生の講義をBSテレビ(231チャンネル)または同ラジオ(531チャンネル)で受講することができます。
 「人生の風景を変えたい」(「オン・エア」より)ということで退任を決意された高橋先生が、どこかの大学に招かれるのかどうかは分かりませんが、私を含め多くの人にとっては「放送大学の高橋和夫先生」ですから、しばらくは、放送大学で先生の講義から学ばせていただけるということを知り、ほっとしています。
 高橋先生が、新しい風景の中で、さらに充実した研究や教育に取り組まれることを願ってやみません。
 
【続 食・遊・学びの 子ども居場所づくりで 地域で子そだち・子そだて支援―学びは生きる力―】
 次は、がらっと変わって、放送大学和歌山学習センターから行事(公開講演会)の案内が届きましたので、ご紹介することにします。
 この企画は、放送大学和歌山学習センター地域貢献プロジェクト2017「続 食・遊・学びの子ども居場所づくりで地域で子そだち・子そだて支援―学びは生きる力―」(どこで切ったら良いのか分からない長いタイトルですね)の一環として開催されるものです。
 開催案内を引用しますので(チラシも参照したハイブリッド版です)、興味のある方は是非ご参加ください。
 
(引用開始)
 食eat  遊play  学studay
子ども居場所づくりで
地域で子そだち・子そだて支援
―学びは生きる力―
                                     
日時 2018年2月10日(土)13時30分~16時30分(13時 受付開始)
場所 和歌山大学松下会館 2階ホール(放送大学和歌山学習センター入居建物)
     和歌山市西高松1-7-20(〒641-0051)
プログラム
講演1 子どもの学びの心理的基盤の発達とその支援~自律性発達の視点から
       中山 留美子 氏(奈良教育大学准教授)
講演2 未来に輝き続ける子どもたちのために
       松山 利加 氏(学校法人白鳩学園理事/あやの台チルドレンセンター園長)
(休憩 15時~15時15分)
講演3 地域で子そだち・子そだて支援―学びは生きる力―
     ~子どものアイデンティティ確立に向けた課題~
       森下 順子 氏(放送大学客員准教授/和歌山信愛女子短期大学准教授)
パネル討論
中山 留美子 氏
松山 利加 氏
小山 秀之 氏(特定非営利活動法人Peer心理教育サポートネットワーク理事長/和歌山県臨床心理士会理事)
阪田 由美子 氏(和歌山大学子育て支援員研修担当/放送大学教養学部学生)
【司会:森下 順子】
 
★キッズスペースあります!
★参加無料・当日参加可能です!
 
お申し込み・お問い合わせ先
放送大学 和歌山学習センター 〒641-0051  和歌山市西高松1-7-20
 ℡:073-431-0360  Email:wakayama-sc@ouj.ac.jp
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/放送大学関連)
2015年1月30日 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/高橋和夫氏関連)
2013年8月17日
2015年1月23日 
2016年8月6日
2017年1月26日
2017年5月1日
2017年8月17日
2017年9月7日

「原発がこわい女たちの会ニュース」第103号が届きました

  2018年1月18日配信(予定)のメルマガ金原.No.3051を転載します。
 
「原発がこわい女たちの会ニュース」第103号が届きました
 
 松浦雅代さんから、「原発がこわい女たちの会ニュース」の第103号が届きました。前号(第102号)が昨年7月15日の発行でしたから、ちょうど半年ぶりとなります。
 昨年4月15日発行の第101号が、実質的な「結成30年記念号」でしたから(平均して年に3号以上発行)、やや間隔が空きましたが、3か月か4か月に1度、8ページ立てのニュースを発行するというのは容易なことではありませんから、半年に1回発行でも良いかなと思います。
 今号では、和歌山県内における使用済み核燃料中間貯蔵施設についての動向が取り上げられており、県民としては気になりますよね。次号では、このテーマで特集を組んでくれると嬉しいのですが。
 

原発がこわい女たちの会ニュース NO103号・2018年1月15日発行
事務局 〒640-0112和歌山市西庄1024-15  TEL・FAX073/451/5960松浦雅代方
原発がこわい女たちの会ブログ http://g-kowai-wakayama.seesaa.net/
 
 寒中お見舞い申し上げます。
 
103号1頁 東京電力の福島原発事故から7年になります。
 安倍政権は原発の再稼働と石炭火力をベースロードにしたエネルギー政策を積極的に進めています。そこには福島原発事故の教訓はありません。
 持続可能な社会を求めて一人一人が自分の考えで行動しないと社会は変わらない。未来に何を残すのかを私たちは行動で示していきましょう!
 

脱原発わかやま 原発学習会第二弾
和歌山に中間貯蔵施設はいらない!
                
◎講師 小山英之       
     (美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表)
◇日時 2018年1月20日(土)13:30~ 
◇会場 ひがしコミュニティセンター(田辺市立東部小学校横)
            和歌山県田辺市南新万28−1
主催 脱原発わかやま 代表:冷水喜久夫 連絡先:事務局田中(080-3034-7598)
 
※金原注 本学習会については、私のブログでもご紹介しました(和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会(2018年1月20日)のご案内/2018年1月8日)。

(追記/2018年1月20日)
 本日開催された上記学習会の動画が早速アップされました(撮影:小谷英治さん)。

 

和歌山に中間貯蔵施設はいらない!再稼働を止めること。

 1976年に日置川町(2006年に白浜町と合併して現在は白浜町日置川)は原発を誘致するかどうかでしたが、反対町長を選んで原発建設は出来ませんでした。けれども、その白浜町日置川に原発候補地であった関西電力の土地がずーっと残ってあります。PRセンターもそのままで、関西電力の職員(立地部2人と事務員が1人)が居ることは、「脱原発わかやま」メンバーも知っていました。関西電力の職員が何をしているのか、一度聞いたところ、小学生など田舎生活を体験する団体のお手伝いをしているということでした。人との交流で人脈を作っているのではないかと危惧はしていました。
 2003年には、御坊市に中間貯蔵施設誘致か?との新聞記事でびっくりしたのを思い出します。その時はまだ「中間貯蔵施設については中央でも何にも決まってないようや。」と委員会傍聴で(御坊市の委員会傍聴が出来ました)推進の旗を振っていた委員が発言していました。この時は小出裕章さんを御坊に呼んで講演してもらいました。反対の人たちも各地区の署名を集めて議会に提出し続けて中間貯蔵施設反対の姿勢を堅持していました。御坊市の中間貯蔵施設は、2010年に関電の社長の発言で再度ニュースになりました。が、推進してきた人が病気で亡くなりました。現在、二階さんの息子さんに市長選で勝った現市長は、中間貯蔵施設を推進していないそうです。
 2011年の福島の事故後の再稼働は許せない。現政権は2030年度の電源構成のベストミックスとして原子力を22~20%としている。再稼働ありきです。40年以上の原発も60年まで再稼働させようとしています。
 しかし問題は六ケ所再処理工場、1985年4月9日に当時の北村青森県知事が核燃料サイクル施設を受け入れてから今年で32年になります。ウラン濃縮工場はほとんど中止状態で、再処理工場は未だ操業せず。核のゴミだけがため込まれています。そして、この六ケ所村核燃施設、東通原発、むつ中間貯蔵施設、建設中の大間原発も、活断層の上にあるとの疑いがもたれています。(大間の昆布を毎年買っている「まるめろつうしん」45号から)
 

高速増殖炉「もんじゅの」廃炉が決定した今、核燃サイクル計画、再処理工場建設を放棄する大きなチャンス。
 
下のDATA●BOXは各原発の使用済み燃料貯蔵と管理要量(2017年9月現在) 「はんげんぱつ新聞」第476号より
[管理容量とは、貯蔵容量から1炉心分+1取替分を除いた分を言う]
 
103号3頁データ 「使用済み燃料貯蔵対策推進協議会」は、使用済み燃料の貯蔵能力拡大に向けた取り組みを官民が協力して進める目的で2015年に設置されたそうです。経産相と原子力11社社長が出席するそうです。世耕経産相は事業者全体で20年頃に4千トン程度を貯蔵する計画の実現に向け、各社の連携をより強化するように求めたました(電気新聞2017.10.25.)。
 再処理工場の竣工を3年後にのばした。専門家はガラス固化はうまくいかないとわかっている。そうなるとガラス固化の地層処分はガラス固化が上手くいかなくとも、バーチャル映像で高レベル放射性廃棄物地層処分が出来ます、と情報提供をすることで、国民をコントロールして行くつもりではないか。
 

福島の小児甲状腺がん194人に~手術は159例
 
甲状腺検査4巡目に向け激論?学校検診の行方は?
投稿者:ourplanet 投稿日時:12/25/2017-22:13

(抜粋引用開始)
 東京電力福島第一原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の検討委員会が25日に開催され、事故当時18歳以下だった子どもを対象に実施している甲状腺検査をめぐり、委員の間で激論が交わされた。来年5月から4巡目の検査に入るが、検査の方向性やデータの把握に関する議論は錯綜しており、迷走が続いている。
 公表されたデータによると、今回新たに穿刺細胞診断を実施して悪性または悪性の疑いと診断された患者はいなかった。しかし2巡目で1人、3巡目で4人、計5人が新たに手術を受け、いずれも甲状腺乳頭がんと診断された。これで、甲状腺がんと確定したのは159人となった。
検査の見直しめぐり議論
 今回の検討委員会では、来年5月からスタートする4巡目の検査のあり方についても大きく意見が対立した。日本甲状腺学会の推薦で10月から委員に就任した大阪大学の高野徹委員は、「想像するのが恐ろしいくらい過剰診断が起きている」として学校での一斉検診を辞めるよう求め、検査の変更を迫った。また国立がんセンターの津金昌一郎委員も、「第3期がん対策推進基本計画」において、「有効性(がんによる死亡の減少)が確認されたがん検診を正しく実施する」ことが謳われているとして、検査を見直すよう求めた。
 これに対し、検査を担当している緑川早苗医師は、患者に対し「早期診断にメリットがないことを説明できていない」と回答。福島県立医科大の放射線医学県民健康管理センターが、甲状腺検査について、「早期発見早期治療にメリットがない」との立場で検査を実施している姿勢を鮮明にした。
 一方、成井早苗委員は、福島県内の甲状腺検査は住民の不安のもとに実施していることを考慮すべきだと指摘。「今のご議論は一般の病気」「不安は消えていない」として、丁寧なインフォームドコンセントと心のケアサポートが大切との考えを主張。また、福島大学の富田教授は社会学者の立場から、調査方法の変更に反対し、検査の継続が大切だとの考えを示した
 これらの主張に絡み、終了後の記者会見では高野氏に質問が殺到。高野氏が「ほとんどが過剰診断」と述べたことについて、記者が15歳以下のケースについて問いただすと、高野氏は「15歳以下の剖検では、過剰診断はない」と回答し、15歳以下の甲状腺がんの発症が「過剰診断」ではなく、放射線被曝による過剰発生の可能性を否定できないことを強く示唆した。県のデータによると穿刺細胞診で悪性ないし悪性疑いと診断された194人のうち、診断当時15歳以下だった子どもは全体の3割弱にあたる53人にのぼる。
 甲状腺腫瘍の診療ガイドラインによると、甲状腺癌の危険因子としてもっとも信頼できる情報(グレードA)として挙げられているのは、小児期の「放射線被曝」と「遺伝」の2つ。「被曝影響」を否定する中、長崎大学の山下俊一教授は2014年、別の原因を特定しようと研究に着手。大量農薬使用による水質汚染に着目し、川内村の飲料水の硝酸・亜硝酸動態を測定し、その因果関係を検討する研究を行ったが有意差は認められなかった。
(引用終わり) 

※金原注
 この部分は、OurPlanet-TVによる「甲状腺検査4巡目に向け激論?学校検診の行方は?」という記事を転載したものですが、引用は前半部分にとどめました。是非、リンク先で全文をお読みください。
 なお、第29回「県民健康調査」検討委員会及び終了後の記者会見の動画を以下にご紹介しておきます。
第29回「県民健康調査」検討委員会(2時間34分)

第29回「県民健康調査」検討委員会記者会見(39分)

 

核兵器禁止条約 国連が昨年7月に採択した核兵器を違法とする条約。核兵器の使用、開発、実験、製造、保有に加え、核抑止力の根幹となる「威嚇」も禁じた。国連加盟国の6割を超える122カ国が賛成したが、核保有国と米国の「核の傘」の下にいる日本や韓国は交渉に参加しなかった。
 12月10日ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の授賞式で被爆者のサーロー節子さんが「人類と核兵器は共存できない。私たち被ばく者は72年にわたり、核兵器の禁止を待ち望んて来た。核兵器は必要悪ではなく絶対悪」と演説された。
 サーロー節子さんの演説を聞いていて、悲しい気持ちになりました。
 そして平和利用と言われる原子力発電も、その技術は皆軍事的な要請から開発されたものですし、原子力発電を行うというそのこと自体が、軍事技術の維持拡大と軍事施設の温存こそ狙ったもの。
 ・・・と、小出裕章氏が(1986年3月11日「バラが枯れる時」に寄稿・「原発の寿命が来ても、放射能はなくならない」)に書いている文章ですが、その後のチェルノブイリの核暴走事故、フクシマの複数炉の炉心溶融事故などは、ひとつの技術に軍事的も平和的もないことは当然ですし、核分裂の連鎖反応を利用する原子力の本質はもともと破壊的なものです(小出)、は見事に言い当てています。

※金原注
 松浦雅代さんが(でしょうね)引用されている小出裕章氏の文章「原発の寿命が来ても、放射能は無くならない」は、1986年に発行された『バラが枯れる時 原子力発電・夢と現実』という冊子に寄稿されたものでした。この冊子は、1986年初頭、原発を推進するために県が予算案の中に300万円の原発関連費を計上したことに対抗して出版が企画されたものだったそうです。
 私も松浦さんご夫婦から、2012年3月に1冊いただき、非常に感銘深く読ませていただきました。以前にもメルマガ&ブログでご紹介しましたが、『バラが枯れる時 原子力発電・夢と現実』を頂戴した翌日(2012年3月11日)、和歌山市内のライブハウス「OLDTIME」で開かれた「東日本大震災・紀伊半島大水害チャリティー・イベント『「わ(和・輪・我・話)』」で行ったトークの最後の部分で、私は、小出さんの文章の末尾を引用しました(松浦さんが上に引用したのとは別の箇所です)。
 6年前の「OLDTIME」でのトークを思い出しながら、トーク用原稿から該当部分を引用します(「3.11に思う(「原発問題」と「倫理」について)」)。

(引用開始)
 実は、昨日、和歌山市のあいあいセンターで、「原発がこわい女たちの会」結成25年のつどいがあり、映画『チェルノブイリ・ハート』の上映と今中哲二さんの講演会が開かれ、私も参加しました。
 その「原発がこわい女たちの会」の中心となって和歌山における反原発運動の先頭に立ってこられた松浦さんご夫婦から、26年前の1986年に発行された『バラが枯れる時 原子力発電・夢と現実』という貴重な冊子を1冊頂戴しました。
 この本は、1986年初頭、原発を推進するために県が予算案の中に300万円の原発関連費を計上したことに対抗して出版が企画されたものだそうです。
 早速、一読させていただき、非常に感銘を受けました。様々な方が県外からも寄稿されていますが、今中哲二さんの同僚である京都大学原子炉実験所の小出裕章さんも『原発の寿命が来ても、放射能は無くならない』という一文を寄せておられました。
 小出さんのこの文章の最後の部分を引用して、本日のトークを終わりたいと思います。
 
「紀伊半島にどの位昔から人々が生活を営んでいたのか、私は詳しく知りません。おそらく数千年前から営々と生活を育んできたのだと思います。日本は特に第二次世界大戦後のこの四十年間に、急速な進歩を遂げて来たかのうように言われています。しかし、その進歩というのは、非常に見かけだけのものであり、はかないものであることが、原発のことを考えると良く解ります、一時的には大量のカネがバラ蒔かれるとはいうものの、原発の寿命などたかだか数十年であり、寿命が尽きた後に残るのは、人為的に消し去ることが出来ない放射能なのです。私達が目先の欲望に溺れることによって、これからの世代が背負うものは埋め尽くされた海と、破壊し尽くされた自然環境です。」
 
 そして、原稿を書き終えた日付が末尾に書かれていました。
  「一九八六年三月十一日」と。
 チェルノブイリ原発事故のわずか1か月半前、そして、福島第一原発事故発生のちょうど25年前に小出さんがこの文章を書かれたことに、私は不思議な感慨を覚えずにはいられませんでした。
 本日は、つたないトークを聞いていただき、ありがとうございました。
(引用終わり)
 

『チエルノブイリの祈り 未来の物語』(ノーベル文学賞受賞)
スベトラーナ・アレクシェービッチ を読みながら複雑な時間の中で。
                                        
103号7頁写真 左の写真は1986年8月15日のフライデーに載った「被爆して治療中のチエルノブイリの消防士」の写真です。治療を行った米国の骨髄移植専門医ロバート・ゲール博士が撮影したもの。皆さん記憶に残っていると思います。
 その後、消防士は全員なくなられました。
 
 2015年のノーベル文学賞を受けられたスベトラーナ・アレクシェービッチ氏の本「チエルノブイリの祈り―未来の物語」(岩波現代文庫)を読み始めてすぐに、この病院に居たという消防士の妻が妊娠を隠して夫の看護をしていたことが書かれていて、びっくりしました。チエルノブイリの事故後10年を経て取材を始めているスベトラーナ氏がこの本の最初に―孤独な人間の声―消防士の妻、リュードミーラさんのことを書いています。
 
 2016年の11月にスベトラーナ・アレクシェービッチ氏がフクシマに来られました。NHKが「アレクシェービッチの旅路」としてチェルノブイリからフクシマへアレクシェービッチ氏自身が自ら取材しています。(2017年2月19日にNHK・BS放送)前編にチェルノブイリの元消防士の妻だった、リュードミーラさんを取材されていました。再婚されて男の子が居ました。
 私はこの映像を見て約32年前の週刊誌を保存していたことを思い出したのです。それが上の週刊誌の写真です。そしてこの写真のどこかでリュードミーラさんが消防士の夫を介護していて、ロバート・ゲール博士に夫の姉から夫に骨髄移植をしてもらっていた、との内容にたぐり寄せた時間に複雑な思いがしました。
 
『チエルノブイリの祈り―未来の物語』 広川隆一さんの―裏表紙解説文―
 1986年の巨大原発事故に遭遇した人々の悲しみと衝撃とは何か。本書は普通の人々が黙してきたことを、被災地での丹念な取材で聞き取る珠玉のドキュメント。汚染地に留まり続ける老婆。酒の力を借りて事故処理作業に従事する男。戦火の故郷を離れて汚染地で暮らす若者。四半世紀後の福島原発事故の渦中に、チエルノブイリの真実が蘇る   
                                                                    (松浦雅代)
※金原注 
岩波現代文庫『チェルノブイリの祈り 未来の物語』(松本妙子訳)
2011年6月16日刊
1040円+税
チェルノブイリの祈り――未来の物語 (岩波現代文庫)
スベトラーナ・アレクシエービッチ
岩波書店
2011-06-16

 

《報告》
◇伊方原発運転差止
2017年12月13日-四国電力の伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転差し止めを求め、広島県の住民らが申し立てた仮処分の即時抗告審で、広島高裁は13日、運転を差し止める決定を下した。決定要旨によると、広島高裁は、火山の噴火により火砕流が原発の敷地に到達する可能性が十分小さいと評価することはできないとして、伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理だと指摘した。差し止め期間は2018年9月30日までとしている。
※金原注 詳細は私のブログ(広島高裁・伊方原発3号機運転差止仮処分命令「決定要旨」を読む/2017年12月16日)をご参照ください。
 

◇大飯原発仮処分命令申し立て
2017年12月25日-関西電力が再稼働を目指している大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、福井市と京都府の住民2人が、運転差し止めを求める仮処分を大阪地裁に申し立てた。2人は「福井から原発を止める裁判の会」の南康人さん(55)と京都府南丹市の児玉正人さん(75)。差し止めるべき理由を島崎証言による地震動の過小評価に絞っている。
※金原注 大阪地裁に提出された「仮処分命令申立書」(PDF)
 

◇東京電力福島原発刑事訴訟
 2017年6月30日の初公判で被告人の東電元幹部は無罪を主張しましたが、検察官役の指定弁護士から、被告人の刑事責任を明らかにする数々の証拠が提出されました。明らかになった事実! 
厳正な判決を求める署名を集めています。(明らかになった事実のチラシと署名用紙同封)
第2回公判は、1月26日10時からです。
福島原発刑事訴訟支援団を広めてください !
※金原注 福島原発刑事訴訟支援団のホームページはこちらです。
 また、第1回公判の模様を伝えたOurPlanet-TVのレポートと動画も是非ご参照ください。
 

◇福島原発事故の悲劇を繰り返さないために大飯原発3・4号の再稼働に反対しよう
 避難計画を案ずる関西連絡会が冊子を作成しました。(冊子同封)
※金原注 「冊子」というのがどういうものか分からないのですが、「美浜の会」ホームページの中の「避難計画の部屋」コーナーに、「避難計画を案ずる関西連絡会」の活動が集約されています。
 

いのちを守れ くらしを守れ フクシマと共に
  2018年3月21日(水)春分の日 
さようなら原発 全国集会
代々木公園B地区 12:30開会 15:00デモ出発
※金原注 7年目の「さようなら原発 全国集会」は、3月21日に行われます。以下に、「さようなら原発1000万人アクション」ホームページに掲載された開催概要を引用します。
(引用開始)
さようなら原発全国集会2018年3月21日11:30~ ブース開店
12:30~ 開会
プレコンサート
13:30~ 集会
・発言
主催あいさつ 
 鎌田慧さん(ルポライター・呼びかけ人)
 落合恵子さん(作家・呼びかけ人)
福島現地から 
ひだんれんから
被曝労働者から
自主避難者から
韓国から
「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」から
ほか
15:00~ デモコース
渋谷コース 代々木公園~渋谷駅~(明治通り)~神宮通公園
表参道コース 代々木公園~原宿~表参道~(青山通り)~外苑前駅
〇主催・呼びかけ さようなら原発1千万署名の会、さようなら原発1000万人アクション実行委員会
〇協力 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
〇連絡先:さようなら原発1000万人アクション事務局
東京都千代田区神田駿河台3-2-11 連合会館1F 原水禁気付
(引用終わり)
 

(記)
 関西電力は白浜町に原発予定地以外に沢山土地を取得しているようです。何に使うのでしょか?
 田舎ではお年寄りが山や田畑の管理が大変なので売りたい人が多いと聞いています。過疎地の大きな問題です。
 なかなかニュースが出せなくて遅れてしまいました。
 寒さに気をつけてください。
                                                                        松浦雅代

『泣き寝入り・・・~犯罪被害者と賠償金の行方~』(1/21NNNドキュメント)&『再審決定~元看護助手・無実の訴え(仮)』(1/28映像'18)視聴の勧め

 2018年1月17日配信(予定)のメルマガ金原.No.3050を転載します。
 
『泣き寝入り・・・~犯罪被害者と賠償金の行方~』(1/21NNNドキュメント)&『再審決定~元看護助手・無実の訴え(仮)』(1/28映像'18)視聴の勧め
 
 私のブログでは、地上波で放送される優れた(と思われる)ドキュメンタリー番組を事前告知することも多く、NHKスペシャル、ETV特集、NNNドキュメント、テレメンタリー、映像(毎日放送)などは特によく取り上げてきました。
 今日は、その内、1月21日(日)深夜に放送されるNNNドキュメント(日本テレビ系列)と、その1週間後の1月28日(日)深夜に放送される映像'18(毎日放送)をご紹介します。
 いずれも、大きなくくりで言えば、「刑事事件と人権」というテーマに属する番組であり、前者は「被害者の人権」、後者は「被疑者・被告人の人権」に取り組んだ番組です。
 
 私がドキュメンタリー番組に期待するテーマは、どうしても憲法問題や原発問題に偏りがちですが、もちろん、刑事事件の弁護人を務めることは業務の一部ですし、数は少ないとはいえ、被害者代理人を務めたこともあり、「刑事事件と人権」に無関心でいることは許されず、以下の2番組をご紹介しようと思った次第です。
 
 なお、より直接的なきっかけとしては、和歌山弁護士会の私のレターケースに、「和歌山弁護士会会員各位 日弁連犯罪被害者支援委員会の活動についてもふれられています。ぜひご覧下さい。」という添え書き付きで、NNNドキュメント『泣き寝入り・・・~犯罪被害者と賠償金の行方~』(1月21日深夜放送)の視聴を推奨する文書が入っていたことを挙げなければなりません。会員全員のレターケースに番組案内の文書を届けた方は、日本弁護士連合会・犯罪被害者支援委員会の有田佳秀委員長でした(有田先生は和歌山弁護士会会員です)。
  有田弁護士が委員長を務める犯罪被害者支援委員会を中心とする日本弁護士連合会による犯罪被害者支援活動については、日弁連の以下のサイトなどをご参照ください。
 
 それでは、以下に2つの番組の内容紹介を、公式サイトから引用します。是非視聴してください。
 
NNNドキュメント'18(日本テレビ系列)
2018年1月22日(月)午前0時55分~1時25分(21日深夜)
『泣き寝入り・・・~犯罪被害と賠償金の行方~』
(番組案内から引用開始)
事件の犯人が逮捕され、裁判で判決が言い渡される。
しかしその後の現実はあまり知られていない。
関西地方に住む55歳の男性は傷害事件で脳の半分が欠損するという重傷を負った。
民事裁判で1億6千万円の損害賠償命令が言い渡されたが、
加害者からは1円も支払われないまま、あと2年で判決文は紙切れになるという。
犯罪被害者が直面する苦悩を救うため国や弁護士も動き始めた。
賠償金不払い問題の実態を追った。
ナレーター/藤田千代美 制作/読売テレビ 放送枠/30分
再放送
1月28日(日)11:00~ BS日テレ
1月28日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」
(引用終わり)
 
映像'18(毎日放送)
2018年1月29日(月)午前0時50分~1時50分(28日深夜)
『再審決定~元看護助手・無実の訴え(仮)』
(番組案内から引用開始)
去年12月、ある裁判の再審が認められた。再審を請求していたのは、元看護助手の西山美香さんだ。美香さんは13年半前、滋賀県の湖東記念病院で起きた「人工呼吸器外し事件」の犯人として逮捕された。裁判では無罪を主張したが、取り調べ途中の自白は信用できるとして懲役12年の刑が確定。だが美香さんは、獄中から無罪を訴え続けた。12年9月に申し立てた再審請求(第二次)では、弁護団は死亡した男性患者について、他殺ではなく自然死の可能性を指摘した。「これは事件でも事故でもなく、警察によるでっち上げだ」と...。そして去年12月20日、大阪高裁は「患者が自然死した合理的疑いが生じたので、自白の信用性もない」として、再審開始を決定。自白偏重の日本の司法では画期的なことだった。番組では、出所後の美香さんの独占インタビューも含め、20代から30代にかけて大事な時間を奪われた一人の女性が、「殺人罪」の汚名を晴らして、再び生き直そうとする姿を追う。
(引用終わり) 
 
(付記)
 以上は、配信日の前日(1月16日)の夜のうちに下書きを済ませていたのですが、今日、たまたま、有田佳秀弁護士にお目にかかる機会があり、「1月21日(日)深夜のNNNドキュメントも是非見て欲しいが、その翌週の27日(土)、28日(日)に2日続けて放送されるNHKスペシャルも是非見て欲しい」という強い推薦がありました。これはこれで別に取り上げた方が良いかもしれませんが、とりあえず、番組案内を引用しておきます。
 
NHKスペシャル(NHK総合テレビ)
2018年1月27日(土)午後7時30分~8時43分
『シリーズ 未解決事件File.06
赤報隊事件・第1夜~実録ドラマ~(仮)』
(番組案内から引用開始)
日本中に大きな衝撃を与え、今なお生々しい記憶を残す「未解決事件」を徹底検証し、未来へのカギを探るシリーズ第6弾。31年前、日本を震撼させた“言論へのテロ事件”「赤報隊事件(朝日新聞襲撃事件)」に迫る。1987年5月3日、朝日新聞阪神支局に突如、目出し帽の男が進入し散弾銃を発砲。記者2名が死傷し、その後、全国各地の朝日新聞関連施設を襲撃、爆破未遂、そして中曽根・竹下元首相への脅迫や、リクルート元会長宅への銃撃など事件は全国に拡大。のべ62万人の捜査員が投入されたが、15年前、全ての事件が未解決のまま時効を迎えた。犯人は何者で、なぜ事件は未解決に終わったのか。1夜目は、NHKが入手した極秘資料や関係者の証言をもとに、「実録ドラマ」で知られざる事件の闇に迫る。
(引用終わり)
※注 ドラマの主演は草薙剛です(NHK_PRサイト参照)。
 
NHKスペシャル(NHK総合テレビ)
2018年1月28日(日)午後9時00分~9時49分
『シリーズ 未解決事件File.06
赤報隊事件・第2夜~ドキュメンタリー~(仮)』
(番組案内から引用開始)
目出し帽の男は一体何者なのか?全国にまたがる“テロ事件”は単独犯の仕業なのか、複数犯の手によるものなのか?そして、犯人の真のねらいは何だったのか?2夜目は多くの謎を残して闇に消えた「赤報隊」と事件の真相に、独自取材で切り込むドキュメンタリー。真相解明のカギを握るとされた一連の「犯行声明文」をめぐる新たな事実や、NHKに接触してきた「犯人を知る」というナゾの人物、そして警察が追跡していた知られざる“真犯人の影”など、31年目にして得られた新事実をもとに、日本を震撼させた赤報隊事件の深層に分け入っていく。
(引用終わり)
 
(付記の付記)
 上記NHKスペシャルと併せ、来月、岩波書店から刊行予定の以下の本についても、有田先生から紹介があったことを付記しておきます。
 樋田 毅(ひだ・つよし)著
 2018年2月21日刊行予定
 1900円+税

「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(092~094)~藤田早苗さん、テンダーさん、SUN-DYUさん、平松邦夫さん

 2018年1月16日配信(予定)のメルマガ金原.No.3049を転載します。
 
「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブを聴く(092~094)~藤田早苗さん、テンダーさん、SUN-DYUさん、平松邦夫さん
 
 3週間毎にお届けする「自由なラジオ LIGHT UP!」最新アーカイブ。2018年の最初となる今回は、092~094の3回分です。
 3回分なのに、タイトルに掲げたゲストが4人なのは、第94回は、メインテーマが2つあり、それぞれゲストを招いたからです。
 さて、この4人の方々のお名前を読んで、知っている方が何人いるでしょうか?平松邦夫さん(元大阪市長)なら、多くの方が(アナウンサー時代を含めて)よくご存知でしょうね。
 私は、それに加え、藤田早苗さん(英国エセックス大学人権センターフェロー)のお名前は、以前、この番組に出演されたこともあり、また、特定秘密保護法や共謀罪に反対する運動の中で、講演動画を拝見したりして知っていましたが、残るお2人、テンダーさんとSUN-DYU(サンデュー)さんの存在は、全く存じ上げませんでした。
 この内、木内みどりさんがゲストに招かれたテンダーさんの「電気・ガス・水道を契約しないで暮らす」生活には驚きました。電力会社と契約しない「オフグリッド生活」については、このブログでも何度か取り上げてきましたけどね。関連サイトなども紹介されていますので、是非じっくりと拝見しようと思います。
 それ以外にも、とても大事な問題について、適切なゲストが招かれて語っておられます。是非多くの方に聴いていただければと思います。
 なお、過去のアーカイブは以下のYouTubeチャンネルから聴取できます。
 
 
092 2017.12.29
Critical Friend ~本当の友だちなら、敢えて批判する
国連特別報告者が日本政府に送ったメッセージの本当の意味
PERSONALITY アーサー・ビナード
GUEST 藤田早苗氏(英国エセックス大学人権センターフェロー)
 今回のゲストは、英国エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さん。当番組2回目の登場です。普段は英国にお住まいの藤田さんが帰国したと聞きつけて、詩人のアーサー・ビナードがインタビューしました・
 藤田さんは、近年日本政府がつぎつぎと成立させている人権やプライバシーの権利が踏みにじられていく法律、テロ等準備罪(いわゆる共謀罪)や特定秘密保護法などをいち早く英訳し国連の人権理事会に通報することで、国際社会に日本の人権の危機を周知させ、日本国政府に対して対応を求める活動をして来られました。
 共謀罪新設の折に、国連特別報告者のジョセフ・カナタチ氏が安倍首相に書簡を送ったのも、実は藤田さんの情報提供によるもの。また、特定秘密保護法にからみデビッド・ケイ氏が日本に訪れるきかっけになった通報も、藤田さんによるものでした。
 藤田さんはなぜ英国から日本に警告を発し続けるのでしょうか?同じく国際的視野をもち日本をこよなく愛しかつ日本の未来を人一倍憂う詩人アーサー・ビナードがじっくりと伺います。
 番組前半では、特にそういった国連からの警告をことごとく一蹴する日本政府の対応について、それに対して国連や国際社会はどう見ているのかについて伺いました。
 閣議決定までして特別報告者の指摘を「個人の見解」と位置付けたり、「勘違いしているようですね」などとコメントする日本政府。フランク・ラ・ルー氏やアナンド・グローバー氏の報告を受けて、国連人権機関のトップである人権高等弁務官ナビ・ピレイ氏が、「日本政府は不都合なことを隠してしまえる懸念がある特定秘密保護法の成立を急いではいけない。」と記者会見で発言した折も、日本政府は激怒し、国連への支払金を1年間取り止めるなどして抗議したといいます。
 その中で藤田さんは、カナタチさんからのメッセージから引用して、国連特別報告者は、Critical Friendだとおっしゃいます。本当の友だちだったら、友だちが危ないことになるなら全力で指摘する。日本のことを本当に心配するからこそ批判するのだという。
 そんな最高の友だちがいるのだから、日本はその力を借りて、もっともっとよい社会を構築していけるはずです。世界に視野を広げ、私たち市民もよく目を見開いて考えたい課題です。
 今回もたくさんの気づきをいただきました。どうぞお楽しみに。
(参考録音)
 藤田早苗さんがこの番組に最初に出演されたのは第63回、パーソナリティはおしどりのお2人でした(日本の人権の危機を国連に通報した!デビッド・ケイ氏が日本に来るきかっけを作った藤田早苗さんを迎えて)。

 
093 2018.1.9
己が信じること、欲することをただ粛々とやるだけ
~電気・ガス・水道を契約しないで暮らすテンダー流・筋の通し方から~
PERSONALITY 木内みどり
GUEST テンダーさん
 今回の自由なラジオは、京都からお届けします。パーソナリティ木内みどりが、12月9日、モデレーターとして参加した京都国際大学でのシンポジウム「核と鎮魂、未来に希望をつなげる市民会議」。そこで出会ったのが、今日のゲスト「テンダー」さん。シンポジウムの翌日、京都国際会館にてお話を伺いました。
 もとはと言えば横浜のシティボーイ(!?)だったテンダーさんは、今は鹿児島の豊かな自然の中で電気・ガス・水道を契約せず、太陽光で電気を使い、薪を使い、湧き水や雨水を使う暮らしをしています。
 そんなテンダーさんは、ここに来るまでには、さまざまなことを経験して来られました。お父様が原子炉の設計をされていたことでそこから芽生えた疑問と向き合うために、23歳のときに1年間、青森県六ケ所村で暮らしたこともあったとか。
 好むと好まざるとに関わらず複雑なシステムの中にて、それが当たり前のように感じている私たち。それに対してテンダーさんは、いつどんな時でもものごとの「本質」の方にしか興味がないのです。限りなく純粋でいて、いつも自分の思いのままに正直に行動されている、そんな方です。私たちが人間の長い文明の中の最先端に立っている錯覚から目覚めさせてくれるお話の数々。あなたもシンプルに、単純に生きることの「豊かさ」を感じていただけることでしょう。
 そしてテンダーさんが今もっとも力を入れているプロジェクト「ダイナックラボ」とは?限りなく新しい消費を抑えて、循環する社会を作る、人をつなげる、自然にとけていく、そんなことの実践の場なのしょうか?詳しくは番組で!
テンダーさんの本
「わがや電力~12歳からとりかかる 太陽光発電の入門書」
(参考動画)
2017.12/9「核と鎮魂」第4部 テンダー(15分)

※上記「核と鎮魂」でのプレゼンについてテンダーさん自身が書いています。
 
093 2018.1.16
1. 冤罪はなぜ多発する?当事者から見た警察・司法の問題点
2. またまた大阪都構想?一体大阪はどうなってるの?
PERSONALITY 西谷文和(ジャーナリスト)
GUEST 
ゲスト1 : SUN-DYU(サンデュー)さん(シンガー)
ゲスト2 : 平松邦夫さん(元大阪市長)
■メインテーマ:
「冤罪はなぜ多発する?当事者から見た警察・司法の問題点」
「またまた大阪都構想?一体大阪はどうなってるの?」
 今回の自由なラジオは、いつもと少し趣向を変えてダブルゲストでお送りします。
 お1人目のゲストは、オールジャンルシンガーのSUN-DYUさん。彼は5年7ヶ月前、泉大津市のコンビニエンスストアで1万円を盗んだ罪で逮捕、300日以上身柄を拘束されました。証拠は店のドアから見つかったご本人の指紋。しかし、その後、事件の5日前にSUN-DYUさんがこのドアに触れていたことが判明。結局、無罪判決が確定しました。しかし、捜査を行った警察は謝罪の言葉もなく、求めても応じない対応。なぜ、このような理不尽な対応がまかり通るのか?冤罪事件が減らない原因と警察・司法の問題点を考えます。
 お2人目のゲストは、元大阪市長の平松邦夫さん。大阪市を廃止して東京23区のような特別区に再編する「大阪都構想」住民投票がまた行われようとしています。僅差で反対多数となったってからまだ2年8ヶ月。なぜ、一度決まった制度を、再び市民に問う必要があるのか?「じゃんけんは勝つまでやるのか?」と揶揄される今回の決定の真意はどこにあるのかを考えます。
※「大阪市民会議/大阪市の存続を求める署名用紙」はこちらからダウンロードできます。
■Light Up!ジャーナル:「日米原子力協定、自動延長へ」
 使用済み核燃料の再処理を認めるなど日本の核燃料サイクル政策の根拠となっている日米原子力協定が、2018年7月に期限を迎えます。改定交渉の難航も懸念されていましたが、アメリカ・トランプ政権は、同協定を見直さず自動的に延長する方針を明らかにしました。日米原子力協定とは何を決めていて、日本の原子力政策にとってどのような意義を持つのか?今中哲二さんに伺います。
(参考サイト)
日米原子力協定(原子力の平和的利用に関する協力のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定)
 その1
 その2 
 その3 

(弁護士・金原徹雄のブログから/「自由なラジオ LIGHT UP!」アーカイブ・シリーズ)
2016年8月16日
2016年9月5日
2016年10月1日
2016年10月25日
2016年11月26日
2016年12月18日
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2017年7月11日
2017年8月1日
2017年8月24日
2017年9月12日
2017年10月3日
2017年10月25日
2017年11月14日
2017年12月5日

「稲嶺ススム市長3選めざすオール沖縄市民集会」(2018年1月12日)での翁長樹子さんと志位和夫日本共産党委員長のスピーチに心を打たれた

 2018年1月15日配信(予定)のメルマガ金原.No.3048を転載します。
 
「稲嶺ススム市長3選めざすオール沖縄市民集会」(2018年1月12日)での翁長樹子さんと志位和夫日本共産党委員長のスピーチに心を打たれた
 
 2月4日に行われる沖縄県名護市長選挙に先立ち、昨年12月11日(月)、沖縄県名護市民会館大ホールにおいて、新外交イニシアティブ(ND)がシンポジウ「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」が開催されました(NDシンポジウ「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」(2017年12月11日@名護市)を視聴する/2018年1月3日)。
   主催者としては、「稲嶺現市長の再選に向けた勢いづけの決起集会としても、辺野古反対の改めての盛り上げ、そして、基地建設を止めるためにも、何としてもこの企画を成功させなければならない」(猿田佐世ND事務局長)として実施されたもので、稲嶺進市長も挨拶のために登壇されました。
 
 このNDシンポが露払いとすれば、いよいよ本番の決起集会が、先週末1月12日(金)18時30分から、同じく名護市民会館で行われました。その全編動画を探したのですが、今のところ、IWJ沖縄によるTwitcasting録画だけしか見つかっていませんので、これをご紹介することとします。
 なお、この内 「翁長樹子(おなが・みきこ)氏(翁長雄志沖縄県知事夫人)」、「稲嶺進氏(名護市長)」、「志位和夫氏(日本共産党委員長、衆議院議員)」の3人のスピーチについては、YouTubeにアップされた動画がありましたので、これもご紹介しておきます。
 
2分~ 開会
3分~ 主催者(沖縄県統一連/やんばる統一連)挨拶 吉田務氏(やんばる統一連代表)
10分~ 翁長樹子氏(翁長雄志沖縄県知事夫人)
YouTube動画(5分38秒)

※翁長樹子さんのスピーチ書き起こしがありましたのでご紹介します。
(抜粋引用開始)
いやー本当に必死に勉強しているんです(※金原注:夫の翁長雄志知事は)、それなのに政府は言うことをコレッポチも耳を傾けてくれない、こんな苦しいこと、悔しいことはないです。
でも負けるわけにはいかないですよね、皆さん。
70年前の戦争で、私たちおじいおばあたちはもう命からがら、必死の思いで何とか生き延びて、私たちに命を継いでくれたんです。
両親と私たちの時代は米軍統治を経て、人権もなくて、憲法にも守られずに苦しい時代を過ごしました。
その時代を何とかくぐり抜けて、やっと復帰して、やっとこれで憲法に守ってもらえると思ったら、政府はあの方達です。聞いてもくれない。
沖縄県民には人権がないと言わんばかりの方達が、あらん限りの権力を持って押さえつけようとしてる。
じゃぁ負けて諦めるのか、
どうですか皆さん、諦められますか?
(会場「諦めない!」)
そうです。
諦められないし、必ず私たちはおじいおばあがやったように必ずこらえて押し返して、
先の子供達にはもっといい沖縄を残したい。
(会場拍手「ナトンドー!(そうだ!)」)
頑張るしかないです私たちは。
心折れないで下さいよ、
大丈夫ですか?
頑張りましょうね!(拍手)
(引用終わり)
18分~ 照屋大河氏(社会民主党沖縄県連合委員長、沖縄県議会議員)
29分~ 稲嶺進氏(名護市長)
YouTube動画(17分07秒)

48分~ 志位和夫氏(日本共産党委員長、衆議院議員)
YouTube動画(34分59秒)

別動画(34分57秒)

※志位委員長によるスピーチが35分と飛び抜けて長いのは、当初登壇予定であった玉城デニー自由党幹事長(衆議院議員)が他用で出席できなくなったため、急遽2人分やったのだろうか?などと勝手に想像したりしています。
 ちなみに、玉城議員が大事な名護市の集会に参加できなくなったのは、「与野党国会対策委員長会談」が開催されたからでした。自由党のような小政党では、幹事長が国会対策委員長も兼ねなければならず、なかなか大変なようです。そういえば、社民党の照屋寛徳衆議院議員も同じ国会対策委員長会談に出席していましたね。 
 なお、しんぶん赤旗から、志位委員長の発言要点を紹介した部分を引用します。
しんぶん赤旗 2018年1月13日(土)
新基地許さず 名護市政発展を 稲嶺市長必勝 志位委員長が訴え
「オール沖縄」市民集会 会場いっぱいの熱気
(抜粋引用開始)
 志位氏は、今回の選挙の最大争点は辺野古新基地問題であり、2010年の初当選以来「辺野古の海にも陸にも基地は造らせない」という公約を貫いてきた稲嶺市長の存在は「名護市民と沖縄県民にとってかけがえないもの」だと強調。稲嶺市政は保守・革新の垣根を越えた「オール沖縄」の“源流”でもあり、「絶対に負けられません。日本共産党も『オール沖縄』の一員として勝利のために総力をあげます」と訴えました。
 一方、相手の自民党候補は「辺野古隠し」でやり過ごそうとしています。志位氏は「隠しようもない。昨年末には官房長官、年明けには自民幹事長が応援に入りました。辺野古推進の官邸・自民党丸抱えです」と指摘。さらに、名護市議会で「唯一の解決策が辺野古移設」だと宣言した人物であり、市長候補としても、新基地受け入れを前提とした「再編交付金」を受け取ると公言している人物です。「日米両政府の“代理人”に市長をまかせるわけには絶対にいきません」と力をこめました。
 志位氏は、沖縄県内での米軍機の相次ぐ事故について「異常事態」だと批判。一昨年のオスプレイ墜落以降、沖縄全域で普天間所属機が事故を繰り返していることをあげ、「“普天間基地は市街地にあるから危険、海辺の辺野古に移せば安全”という基地『移設』合理化論は完全に打ち砕かれました。普天間を辺野古に移しても、危険な基地が沖縄にある限り、危険は変わりません。それどころか、辺野古には普天間の4倍の100機のオスプレイが配備され、県民全体への危険性はいよいよ深刻になります」と強調しました。
 その上で、「普天間基地は無条件撤去、辺野古新基地の中止、海兵隊の沖縄からの撤退以外に道はない」と呼びかけました。
 志位氏は、安倍政権が強権と無法で新基地建設を強行しても、現状は護岸総延長の4%にすぎないことを指摘。(1)美謝川の水路切り替え(2)埋め立て土砂の調達―など、基地建設を阻止する名護市長や沖縄県知事の法的権限をあげて、「新基地反対を貫く稲嶺市長、翁長知事がいる限り基地は絶対に造れません。追い詰められているのは安倍政権であり、追い込んでいるのは『オール沖縄』の側です。ここに確信をもって、稲嶺さんの勝利を必ず勝ち取りましょう」と訴え、大きな拍手に包まれました。
 志位氏は、相手陣営が、稲嶺市長が「米軍再編交付金」を受け取らないことを「損失だ」と述べていることに言及しました。
 そもそも「再編交付金」は新基地建設の「見返り」であり、期限は10年です。稲嶺市長が「ただでもらったものは残らない。残るのは、基地から発生する騒音、墜落、事件・事故だ」が指摘していることにふれ、「一時のカネで名護の未来を売るようなことはしない。稲嶺市長の姿勢こそ、子や孫に責任を負う政治家の取るべき姿勢です」と訴え、「そうだ」の声が響き渡りました。
 志位氏は、稲嶺市政が「再編交付金」に頼らず、この7年間で歳入を総額で508億円も増やし、中学校卒業までの子どもの医療費実質無料化、保育園増設や学校耐震化の100%達成、国保税の住民負担軽減―などの実績をあげてきたことを紹介。「稲嶺市長でこそ、誇りと尊厳ある名護市をつくることができます」と訴えました。
 志位氏は稲嶺市長について、市長になってからも8年間、交通安全指導員として路上に立ち続けていることをあげ、「温かく誠実な政治家」だと紹介。同時に、「辺野古の海にも陸にも基地を造らせない」との公約を2期8年貫いてきた「ブレない強さをもった政治家」だと強調しました。
 最後に志位氏は、「残る期間、党派を超えて稲嶺さんへの支持を広げに広げ、稲嶺勝利で辺野古新基地に決着をつけ、基地のない平和で豊かな沖縄、『子どもの夢 未来 紡ぐ名護のまち』をつくろう」と力を込めました。
(引用終わり)
1時間24分~  屋比久稔(やびく・みのる)氏(選対本部長、名護市議会議長)
1時間32分~ 情勢報告・行動提起 中村司氏(沖縄県統一連代表幹事)
1時間46分~ がんばろう三唱
 
 翁長樹子県知事夫人と志位和夫日本共産党委員長、お2人のスピーチに耳をかたむけながら、「聴衆の心を撃つ応援演説というのはこういうものなんだ」と思い知らされました。是非皆さん、これらのスピーチの内容を「拡散」し、巡り巡って少しでも、辺野古新基地建設NO!の力となれるように頑張りましょう。

『The New Constitution of Japan あたらしい憲法のはなし』(アンドリュー・ヒューズ、山本証編訳/1983年)のご紹介

 2018年1月14日配信(予定)のメルマガ金原.No.3047を転載します。
 
『The New Constitution of Japan あたらしい憲法のはなし』(アンドリュー・ヒューズ、山本証編訳/1983年)のご紹介
 
 日本国憲法が施行された年(1947年)の8月、文部省は、新制中学校1年生社会科用教科書(の一部)として『あたらしい憲法のはなし』を発行しました。
 国立国会図書館デジタルコレクションで、平成23年2月発行版の画像を見ることができます。表紙、目次、奥付などを除いて本文53頁の小冊子です。

 ところで、その奥付をよく読んでみると、「著作兼発行者 文部省」とある前の書籍名「あたらしい憲法のはなし」の下に括弧書きで、(この本は浅井清その他の人々の盡力でできました。)と付記されています。
 浅井清氏は、当時、慶應義塾大学法学部教授。その後、人事院初代総裁、国際基督教大学や駒澤大学の教授などを歴任された法学者であり、浅井氏が中心となって同書を執筆された経緯については、高見勝利氏(上智大学名誉教授)が編集された『あたらしい憲法のはなし 他二篇――付 英文対訳日本国憲法』(岩波現代文庫)の解説に詳しく書かれています。
 多くの人は、この『あたらしい憲法のはなし』を、日本平和委員会による復刻版で読まれたのではないでしょうか(私も最初はそうでした)。
 もっとも、現在は、パブリックドメインとなっており、青空文庫をはじめとするネット図書館で誰でも読めるようになっています。
 
 
 
みんなの知識 ちょっと便利帳
 
 以上に書いたことは、私もかねて知っていましたが、英語版の『あたらしい憲法のはなし』があるとは知りませんでした。英語版というのがやや正確性を欠くとすれば、英語教材用編集版と言い直しましょう。三友社出版という、英語の教科書、教材、教育書などを中心に発行している出版社から、何と1983年に刊行されていたのでした。私が購入したのは初版9刷でした。奥付の一部を引用します。
 
The New Constitution of Japan あたらしい憲法のはなし
1983年7月30日 初版第1刷
2002年5月 1日 初版第9刷
原作 文部科学省
編訳 アンドリュー・ヒューズ/山本 証
発行所 三友社出版
あたらしい憲法のはなし (Sanyusha new English course)
アンドルー・ヒューズ
三友社出版
2003-12

※定価450円(+税)
 
 私がこの本に気がついたのは、最近、書店の学参コーナーでこの本を「発見」し、喜んで買ってきた人の投稿がTwitterに流れているのをたまたま読んだことによります(私もすぐに入手しました)。
 手にとってぱらぱらと眺めただけで、「これは全訳ではない」ことはすぐに分かりました。もともとの『あたらしい憲法のはなし』は全部で15章あるのに、こちらの方は10章しかありませんし、各章の長さも、全訳にしては短めのようでしたから。 
 その辺の編集方針について、編訳者の山本証氏が、「はしがき」で以下のように書かれていました。
 
(引用開始)
 この英文テキストを編集するにあたって、原作の主旨や主要内容をきっちりと英語で伝えるように留意しながらも、次の点でいくつかの変更を加えました。まず、テキストとして適切な長さにまとめるために、省略した章があります(「天皇陛下」「政党」「内閣」「司法」「財政」)。また、章によっては部分的に割愛したり要旨をまとめたりしました。(略)その意味では本書は文部省原作の『あたらしい憲法のはなし』の英文への翻案と理解していただいたほうがよいかもしれません。
(引用終わり)
 
 なお、英文テキストの「全訳」が別冊として添付されています。もちろん、「以下の訳文は、英文にそくして訳したので、文部省原文の原本とは表現上、内容上異なっているとことがあります。」と注記されています。
 
 ここまで読んでくれば、当然皆さんも、「原文と英語テキストを読み比べてみたい」と思われるでしょうね。とはいえ、原文なら青空文庫からコピペすればよいのですが、英語テキストをスペル書き間違いに注意しながら転記するのは大変なので、「読み比べ」はごく一部だけでご容赦ください。
 
原文(あたらしい憲法のはなし) ※青空文庫から引用
六 戰爭の放棄
(略)
 そこでこんどの憲法では、日本の國が、けっして二度と戰爭をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戰爭をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戰力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの國よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。
(略)
 
英語テキスト(The New Constitution of Japan) ※14頁から引用
4.Renunciation of War
 Therefore, in order that Japan should never again be responsible for the outbreak of war, we Japanese people decided on two items in the new Constitution. The first is that Japan gives up armed forces, warships and war-planes, and everything that can be used to carry on war. Japan will never again maintain an army, a navey or an air force. This is called“renunciation of war potential”. “Renunciation”means“to give up”, but it dose not mean that we are heipless. Japan decided what is right earlier than any other nation. Nothing is stronger in the world than right.      
 
英語テキストの和訳
4.戦争放棄
 それゆえ、日本が2度と開戦の責任をとることがないように私たち日本人は新しい憲法で二つの事項を決めました。第1は、日本が兵隊も、軍艦も、飛行機もおよそ戦争を遂行するのにつかわれるものはいっさい放棄するということです。これからさき、日本は陸軍も海軍も空軍もいっさい保持しないのです。これを「戦力の放棄」といいます。「放棄」することは「すててしまう」という意味です。しかしそれは頼りないということではありません。日本は正しいことをほかの国に先がけて決めたのです。正しいことぐらい強いことはこの世にありません。 
 
 英語を学ぶための教材として編集された本ですから、ところどころに“Exercise”があります。1つだけご紹介しておきましょう。解答はあえて引用しませんが、日本語でなら答えられますよね。
 
Review Exercise
1.What are the three geatest principles of the new Constitution? Answer either in English or in Japanese.
 
 最後に、もう一度、この英語教材『あたらしい憲法のはなし』の「はしがき」から、編訳者の山本証さんが書かれた文章の一部を引用したいと思います。
 私は、この「はしがき」を、文部省『あたらしい憲法のはなし』が作られた時代の精神を、同時代の子どもがどのように受け止めたかについての証言の一つとして読みました。
 そして、私がこの英語教材を、ブログでご紹介したいと考えた理由でもあります。
 
(引用開始)
 このテキストの原作は、日本国憲法が制定された翌年1947年(昭和22年)に文部省が発行した中学生用の教科書『あたらしい憲法のはなし』です。当時わたしは小学校4年生でしたから、直接この教科書では学習しませんでしたが、社会科の授業で先生が感動をこめて「日本は二度とふたたび戦争をしかけない平和を愛する国になりました。これからは民主主義の世のんかです。平和と民主主義、自由党平等を大切にしましょう」と教えてくださったときの、先生の情熱にあふれた表情をいまでもはっきり記憶しています。
(略)
 憲法をめぐる論議はいろいろありましょう。しかし戦後40年近い歳月を経た今日、日本国憲法がわたしたち国民の生活にしっかりと根をおろしました。「前文」に述べられている「国民主権」「恒久平和主義」「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利」など新憲法のなかにつらぬかれた平和を愛し民主主義を大事にしようとする考え方が、国民みんなの財産になってきたことは確かです。若いみなさんが、憲法制定当時の文部省教科書に記された新憲法への熱いおもいと感動をかみしめていただき、わたしたちの憲法を自分たち自身の問題として考えていただきたいと希望します。
(引用終わり)

『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-(改訂版)』と「私たちの図書館宣言」を読む(図書館友の会全国連絡会)

 2018年1月13日配信(予定)のメルマガ金原.No.3046を転載します。
 
『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-(改訂版)』と「私たちの図書館宣言」を読む(図書館友の会全国連絡会)
 
 図書館友の会全国連絡会のホームページによれば、同会は、「公立図書館の充実と発展を求め、会員相互に交流し、共に活動することを目的と」して(会則)、2004年4月に発足した組織です(今までの活動)。「会の目的に賛同し、目的に沿った活動をする団体・個人を会員と」し、「①意見や情報の交換・交流を行う」「②地域での活動を相互に援助・協力し、必要に応じて全国的な活動(政策提言、要請行動等)を行う」「③その他、会の目的を達成するために必要な活動を行う」(会則)と定められています。
 
 公益社団法人日本図書館協会が、日本中の図書館施設を有する法人・団体や個人などで構成される、日本の図書館を代表する総合的な全国組織であるのに対し、図書館友の会全国連絡会は、その「参加団体一覧」を見る限り、図書館を愛する市民が中心となった団体を主体として構成されているようです。
 
 私が、図書館友の会全国連絡会(「図友連(とともれん)」というのが公式の略称)のホームページを閲覧しようと思ったのは、もちろん「和歌山市民“ツタヤ”図書館問題」の流れであることは言うまでもありません。
 知人から、「図友連が、2016年に発行した『ツタヤ図書館』の問題点を分かりやすく解説したパンフレットを2年ぶりに改訂し、間もなくホームページに掲載する」という情報を教えてもらったのが昨年末、週プレNEWSに日向咲嗣さんが、和歌山市民図書館についての力のこもった記事を3回連載する少し前のことでした。
 図友連のホームページを確認したところ、1月4日に「パンフレット「ツタヤ図書館」の“いま”改訂版(PDF)を掲載しました。」とトピック欄で紹介されていました。
 
 このパンフレット発行の趣旨を説明した部分を引用したいと思います。
 
(引用開始)
1 この「ミニパンフレット」の趣旨
○まずは知ろう
 物議をかもす「ツタヤ図書館」が全国にできようとしています。「ツタヤ図書館」の論争は図書館としてのあり方を超え、地方自治そのものを問うまで発展しています。
 この小冊子は、「ツタヤ図書館」の現状を簡単にお伝えすることで、疑問点・問題点を理解する糸口になることを目的としています。
○調べてみよう
 これを読んでさらに知りたくなったら、「図書館友の会全国連絡会」のホームページにこの小冊子の内容の元となる記事の主なURL、雑誌、新聞名がありますので読んでみてください。古い雑誌や新聞は図書館で閲覧できます。その図書館にない雑誌や新聞は、ほかの図書館から貸出やコピーをお願いすることもできます。図書館の窓口に行って「レファレンスをお願いします」とか「調べたいことがあるんです」と言って「ツタヤ図書館」について調べるための手伝いをお願いすることもできます
(以上「ツタヤ図書館」の“いま”より抜粋)
(引用終わり)
 
 全部で16ページのパンフレットで、全部読みにもそんなに時間はかかりませんので、是非通読していただければと思います。なお、本文はリンク先のPDFファイルでお読みいただくとして、以下にはその見出しのみ引用します。
 
「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-
図書館友の会全国連絡会
2016 年01 月30 日発行 2018 年01 月01 日改訂
(見出しのみ引用開始)
1 この「パンフレット」の趣旨
○まずは知ろう
○調べてみよう
コラム〈基礎知識〉図書館運営の違い
2 「ツタヤ図書館」の発生(佐賀県武雄市)
○突然の事だった
3 その他の「ツタヤ図書館」構想
◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている?
◯批判を受ける「ツタヤ図書館」
4 数字と言葉のマジック
○運営費
○来館者数と登録者数
5“こども ”と図書館
○武雄市図書館のおはなしの部屋
○「ツタヤ図書館」のこどもコーナー
○武雄市のこども図書館
6 図書購入の問題点
○明らかになった中古本購入
○中古本購入の内幕は?
○海老名市立中央図書館で図書ですらない選書
○続く騒動と疑惑
○ダミー本
7 CCCの「ライフスタイル分類」の問題点
○図書を分類する目的とは?
8 Tカード問題
○TカードとTポイント
9 「ツタヤ図書館」のその他の問題点
○意見を聞かないCCC
○「ド素人」宣言
○指定管理者としてふさわしいのか?
10 「ツタヤ図書館」を求める行政
○図書館に「にぎわい」を求める行政
11 「図書館とは何か?」もう一度考えよう
○「ツタヤ図書館」は図書館ですか?
○直営の図書館だとできないことですか?
○図書館に必要なのは、見た目と居心地ですか?
私たちの図書館宣言
(引用終わり)
 
 冒頭の「調べてみよう」にあるとおり、簡潔にまとめられたパンフレットの記載の背後には、様々な報道や文献、資料があります。そこまで遡ってこそ、理解が深まることは言うまでもありません。いわば、このパンフレットは、そのような「自ら問題意識をもって調べる」ための導入の役割を担っているのです。
 「小冊子の内容の元となる記事の主なURL、雑誌、新聞名」をまとめたページはこちらです。
 
 
 『「ツタヤ図書館」の“いま”-公共図書館の基本ってなんだ?-』自体はリンク先でご覧いただきたいのですが、あと2箇所、引用したい部分があります。それは、「◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている? 」と、巻末に掲載された「私たちの図書館宣言」です。
 前者を読めば、全国の「ツタヤ図書館」を「総ざらえ」しても「これだけ」しかないことがよく分かります。
 また、後者の「私たちの図書館宣言」を読むことにより、市民が図書館に何を求めるのか、どのような図書館にしていきたいのかという明確なビジョンを持つことが、「ツタヤ図書館」に立ち向かうための基本中の基本だということを再認識することができます。
 
◯「ツタヤ図書館」は、いまどうなっている?
(引用開始)
「ツタヤ図書館」の指定管理者は、TSUTAYA事業などを行っているCCCです。
武雄市(佐賀県) 2013年4月開館 既存の建物を改装
海老名市(神奈川県) 2015年10月開館 既存の建物を改装
小牧市(愛知県) 2015年10月白紙撤回 計画中止
多賀城市(宮城県) 2016年3月開館 新築物件に移転
高梁市(岡山県) 2017年2 月開館 新築物件に移転
周南市(山口県) 2018年2月開館予定 新築の新館
延岡市(宮崎県) 2018年3月開館予定 新築の新館*
和歌山市(和歌山県) 2019年秋開館予定 新築物件に移転
*延岡市は図書館でなく図書などの閲覧スペースも持つ公共複合施設の指定管理
(引用終わり)
 
(引用開始)
 図書館は人類の叡智の宝庫です。読み、調べ、学び、交流し、必要な情報が得られる教育機関として、 私たちの自立と地域社会の発展になくてはならない施設です。
 
 私たちは、ここに図書館のあるべき姿を掲げます。
一 知る自由と学ぶ権利を保障する図書館
二 いつでも、どこでも、誰でも、身近に無料で利用できる図書館
三 資料・情報が豊富に収集・整理・保存・提供されている図書館
四 司書職制度が確立され、経験を積んだ館長と職員がいる図書館
五 利用者のプライバシーを守る図書館
六 情報公開と民意に基づく図書館協議会が機能する図書館
七 教育委員会の責任で設置し、直接、管理運営される図書館
 
 私たちは、この実現のために、図書館を支え、守り、すべての人と手をつな ぎ、図書館とともに成長することを宣言します。
 
図書館友の会全国連絡会 2009.5.25総会決議/2012.5.22総会改訂
(引用終わり)
 
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/図書館問題関連)
2017年12月30日
2018年1月2日

日本弁護士連合会「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」を是非読んで欲しい

 2018年1月12日配信(予定)のメルマガ金原.No.3045を転載します。
 
日本弁護士連合会「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」を是非読んで欲しい
 
   第一章 総則
 (名称)
第一条 本会は弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号。以下「法」という。)の規定するところにより、日本弁護士連合会と称する。
 (人権と正義の源泉)
第二条 本会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現する源泉である。
 (目的)
第三条 本会は、弁護士及び弁護士法人の使命及び職務に鑑み、その品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図るため、弁護士、弁護士法人及び弁護士会の指導、連絡及び監督に関する事務を行うことを目的とする。
(会員)
第四条 本会は、弁護士、弁護士法人及び弁護士会をもって組織する。
(以下略)
 
 弁護士以外の方には馴染みのない「日本弁護士連合会会則」です。私自身、正直「通読」したことは一度もありません。もちろん、必要に応じて参照したことは何度もありますが、今日久しぶりに会則の冒頭部分を読んでみて驚きました。今年、弁護士になって足かけ30年となる身でありながら、第二条が、「本会は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現する源泉である。」と規定していることに(多分)初めて気がつきました。
 もちろん、この表現は、「弁護士法」冒頭の以下の規定に基づきます。
 
 (弁護士の使命)
第一条 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
 
 弁護士法第一条自体は、弁護士になる前から知っていましたが、日弁連が「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する源泉」と宣言していたとは知りませんでした。「源泉」とは、どうも意味が取りにくい表現ですね。一度、日弁連の「会則」解説書(おそらくあるでしょう)を読んでみよう。
 
 それはさておき、私が日弁連会則など読み返してみたのは、弁護士法第一条第2項中の「弁護士は、・・・法律制度の改善に努力しなければならない。」という規定が、日弁連会則にどう反映しているのかを調べたくなったことによります。そしてぶつかったのが「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する源泉」という規定でったという次第です。
 私が、なぜこんなことを調べようと思い立ったかといえば、日本弁護士連合会が2017年12月22日に決定し、昨日(2018年1月11日)執行した「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」をご紹介しようと思ったからです。
 日本弁護士連合会ホームページ(トップページ)⇒日弁連の活動会長声明・意見書等と進んでもらえば分かりますが、日弁連は、全国各地の弁護士会とともに、様々な問題についての「会長声明」や「意見書」を発表しています。その法的根拠が弁護士法第一条であり、日弁連会則の第二条という訳です。
 
 さて、「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」です。この種の意見書を「日弁連の意見」として取りまとめ、公表しようとすれば、まず担当委員会で素案を練り上げ、その後執行部(正副会長会等)の了解を得た上で、理事会の承認を得るという手続が必要です。
 今回の意見書については、日弁連・災害復興支援委員会が所管委員会であり、東日本大震災の際に、宮古ひまわり基金法律事務所所長として大活躍した(現沖縄弁護士会)小口幸人(おぐち・ゆきひと)弁護士が取りまとめの中心の1人であったようで、実はこの意見書の存在を知ったのも、意見書を記者会見で発表した小口さんのFacebookへの投稿を、日弁連・災害復興支援委員会の津久井進委員長(兵庫県弁護士会)がご自身のFacebookで引用していたのを読んだからでした。
 以下に、小口さんのFacebookへの投稿と記者会見を伝える報道をご紹介しておきます。なお、小口さんの投稿は「公開設定」であり、投稿の趣旨から考えて、全文転載も許されるだろうと(私が勝手に)判断しました。
 また、弁護士ドットコムNEWSは、簡にして要を得た良記事すぎて、カットするところが見当たりませんでした。
 
(抜粋引用開始)
 約2年携わってきた「大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書」が日本弁護士連合会で執行され、記者会見をしてきました。
 憲法改正議論の巻き添えになることなく、しっかりと法改正をしてほしいと思います。少し説明させてください。
 政府は、東日本大震災の教訓を踏まえた法改正は全て終えた、積み残しはないという立場です。しかし、2011年3月、唯一慌てて震災のためにした立法措置の教訓が活かされていません。選挙の延期と任期の延長です。阪神淡路大震災のときにも、震災を受けて選挙の実施が困難だとして、特措法が成立し選挙と任期が延長されました。その後、災害に強い選挙制度への見直しがされないまま東日本大震災が起き、同じことが起きました。
 日本には1700を超える市町村があり、首長と議会の選挙が行われていますから、例えば南海トラフ地震が起きたときにも、どこかの「自治体の選挙前だ、延期しなければ」となる可能性が十分にあります。それが、投票日前日だったら、特措法成立までの時間もないでしょう。また、東日本大震災においては、首長が災害で亡くなるという不幸も起きました。任期を伸ばしても亡くなった方は帰ってきませんから、少しでも早く、選挙できる制度にしておく必要があります。
 一見、そんなの無理だと思いがちですがそうではありません。今の選挙制度は、決められた日に、決められた唯一の場所に足を運んで投票するという、とてつもなくアナログな方法に限定されています。だからこそ、災害に弱いのです。
 例えば、どこにいても投票できる選挙制度になっていれば、せめて被災者の方だけでも避難先から投票できるようになれば選挙は実施できます。
 「備えていないことはできない」というのが重要な教訓です。災害が起きてからではなく、起きる前に、恒久的な対策が必要不可欠なのに、政府はこれに取り組んでいないのです。
 憲法を改正して災害後の議員任期延長をできるようにすべきと考える人にとっても、延長する期間は短い方がいいに決まっています。延期なしに実施できる場合が増えた方がいいことも争いはないでしょうから、災害に強い選挙制度にする努力をしてほしいと思います。
 今回の意見書では、現行法に既にある制度を少し変えるだけで、ここまで災害に強くなるというのを具体的に示したつもりです。もちろん、憲法改正が不要だという立場の人にとっても、災害に強い選挙制度にすることに異論はないはずです。
 どこの党のどの先生のところにも説明にあがりますので、ぜひ、災害大国だからこその、災害に強い、災害が起きても影響を受けにくい選挙制度にするための努力を初めていただきたいと思います。
(引用終わり)
 
弁護士ドットコムNEWS 2018年01月11日 16時11分
「今の選挙制度は災害に弱すぎる」日弁連、恒久的な制度要望…東日本大震災では被災地に大きな負担
(引用開始)
 公職選挙法が大規模災害に対する十分な備えを欠いているとして、日弁連は1月11日、法改正を求める意見書を安倍晋三首相ら4大臣に送付した。
 災害の状況に応じて、柔軟な選択ができるように、(1)大規模災害時に投票期日だけでなく、選挙自体の延長を可能とすること、(2)避難先での投票や郵便投票を容易にすること、などを求めている。
 現行法では、災害が起きても、投票日をずらす「繰り延べ投票」などしか対策がなく、意見書の作成に携わった小口幸人弁護士(日弁連災害復興支援委員会幹事)は、「今の選挙制度は災害に弱すぎる」。
 たとえば、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災では、被災地の選挙期日を延期するため、特例法を作る必要に迫られた。あらかじめ、公職選挙法で恒久的な制度を用意しておくべきというのが、日弁連の考えだ。
 また、仮に延期になったとしても、選挙はできるだけ早く行われるのが望ましい。たとえば、東日本大震災では、大槌町(岩手県)の町長が震災で死去し、約半年間、町長が不在となった。ただし、現状の仕組みで選挙をすると、被災地に大きな負担を強いてしまうことにもなる。
 意見書では、有権者を管理する選挙人名簿のバックアップを義務付け、被災者が避難先の最寄りの選挙管理委員会などから投票できるような仕組みが必要だと提案している。
(引用終わり)
 
 それでは、意見書そのものをご紹介します。以下には「第1 意見の趣旨」のみ引用しますが、PDFファイルで6枚少々という分量であり、分かりやすく書かれていますので、是非全文をリンク先でお読みいただければと思います。
 
大規模災害に備えるために公職選挙法の改正を求める意見書
2017年(平成29年)12月22日 日本弁護士連合会
(抜粋引用開始)
第1 意見の趣旨
 国は,被災者の選挙権を保障するために,以下のような公職選挙法の改正を速やかに行い,現行の選挙制度を,大規模災害が発生した場合であっても選挙を実施できる制度に改めるべきである。
1 平時における備えとして,全国の選挙管理委員会に対し,選挙人名簿のバックアップを取ることを法的に義務付けること。
2 大規模災害が発生した場合に実施できる選挙制度として,指定港における船員の不在者投票類似の制度(避難者が避難先の市町村の選挙管理委員会に出向いて投票を行うことができる制度)を創設するとともに,郵便投票制度の要件を緩和すること。
3 大規模災害が発生した場合に選挙自体を延期できる制度を創設すること。
(引用終わり)
 
 なお、本意見書の「第2 意見の理由/4 大規模災害が発生した場合に対応するための制度の創設/(1)大規模災害が発生した場合でも実施できる選挙制度の創設/③」に以下のような提言がなされているのにも注目していただければと思います。
 
(引用開始)
③ なお,先に述べたように選挙権は極めて重要な権利であるところ,住民票所在地を離れている国民の選挙権を実質的に保障するという面では,被災者の選挙権の問題と学生の選挙権の問題は類似している。18歳選挙権の導入に伴い,大きな問題となっている学生の選挙権の問題,すなわち住民票所在地を離れている学生の投票場所の問題も早急に解決すべきである。具体的には,住民票所在地で投票できることを法律上明記するとともに,学生についても上記②の制度(※金原注 大規模災害の被災者が避難先の最寄りの選管で不在者投票が出来る制度)に準じた制度を構築することにより,選挙権行使を可能とするよう,新たな立法措置を講じるべきである。
(引用終わり)
 
 1月7日に和歌山市はたちのつどい会場前で新成人の意識調査(シールアンケート)を行った民青同盟のメンバーに伺ったところ、昨年の選挙に行かなかったと答えた新成人の中には、住民票を実家に置いたまま遠隔地の大学に在籍していたため投票できなかったと答えた人もいたということでした(和歌山市・新成人アンケート2018(後編)~今年は賑わっていました(結果レポート)/2018年1月7日)。
 これはかねてから問題点を指摘されていたことであり、「大規模災害に備えるため」ではないものの、国民の基本的権利である選挙権の行使を実質的に保障すべきという趣旨は共通しており、併せて意見書に盛り込んだということだろうと思います。
 実際に、具体的な制度設計をするとなれば、色々と解決しなければならない技術的な問題はあるでしょうが、非常に重要な提言として、「大規模災害に備えるため」の公職選挙法改正とともに、実家に住民票を置いたままの学生の選挙権行使についても、改善策の検討が進むことを期待したいと思います。
 なお、余計なことかもしれませんが、上記引用部分のうち、「住民票所在地で投票できることを法律上明記するとともに」(意見書PDFファイル・4頁17~18行)とあるのは、「住民票所在地以外で(も)投票できることを法律上明記するとともに」の方が文脈的にみて「適切」と思うのですが、どんなものでしょうかね。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/小口幸人弁護士関連)
2016年7月22日
※上記ブログの中で、小口弁護士が、マガジン9などで発表した論考(大規模災害を口実として憲法に緊急事態条項を設けることの危険性、「国会議員の任期延長」も必要ないことなどを分かりやすく論じています)をご紹介していますので、併せてお読みいただければと思います。
 なお、現在、自民党憲法改正推進本部で検討中と言われている「緊急時の国会議員の任期延長」問題についての小口弁護士の見解は上掲論考をお読みいただければ分かりますが、今回の日弁連「意見書」は、議員任期延長をめぐる憲法改正についていずれの立場をとろうと、法的対応が必要な問題についてまず議論し、改正を進めるべきとの提言となっていることを申し添えます。
2016年11月2日

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表し、立憲民主党と意見交換する(2018年1月10日)

 2018年1月11日配信(予定)のメルマガ金原.No.3044を転載します。
 
原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表し、立憲民主党と意見交換する(2018年1月10日) 
 
【2017年12月28日 立憲民主党「基本政策」を発表】
 昨年末の12月28日、立憲民主党は、同党の「基本政策」を決定し、長妻昭政務調査会長が記者会見を開いて発表しました。全7項目の内、以下に「エネルギー・環境、災害・震災復興」の部分を引用します。
 
(引用開始)
■原発ゼロを一日も早く実現するため、原発ゼロ基本法を制定します。
■原発の新増設(建設中、計画中を含む)は中止します。
■原発の40年廃炉原則を徹底し、急迫かつ真の必要性が認められず、国の責任ある避難計画が策定されないままの原発再稼働は認めません。
■環境に優しいエネルギーの地産地消を推進し、地域活性化と雇用創出を図ります。
■パリ協定の目標の実現に向け、省エネルギーの徹底、再生可能エネルギーの最大限の導入、化石燃料(特に石炭)依存からの脱却などにより、2050年に80%以上の温室効果ガス削減を目指します。
■環境健康被害が生じないよう予防原則を徹底し、被害が生じた場合には速やかに被害者
の補償・救済を図るとともに、被害の回復・軽減策及び原因究明に基づく防止対策を講じます。
■動物を飼養・管理する者の責任強化などにより、人と動物が幸せに暮らす社会を実現します。
■災害時に国民の命を守るため、ハードのみならずソフト対策を徹底的に見直すとともに、
地域のコミュニティを活かした地域防災力を強化します。
■東日本大震災からの復興を加速し、地域の声を十分に踏まえ、新たな課題や行政需要にも対応できる体制を構築します。
■福島の復興なくして、日本の再生はありません。原子力政策を推進してきた国の社会的責任を認め、原子力災害からの復興及び創生を強力に推進します。健康や将来に対する不安を払拭できるよう、自主避難者も含め、健康調査の強化、母子・父子避難者への支援など、生活再建を進めます。
(引用終わり)
 
【2018年1月10日 原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表】 
 昨日(1月10日)午後1時より、衆議院第一議員会館において、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」が、吉原毅会長、河合弘之幹事長、小泉純一郎顧問、細川護熙顧問が出席し、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表する記者会見を開きました。
 原自連ホームページを見ても、今年に入ってから更新はされていないようであり、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」本文も見当たりませんでした。そこで、やむを得ませんので、時事ドットコムに掲載された法案の要旨を引用します。
 
時事ドットコムニュース
原発ゼロ基本法案の要旨
(引用開始)
 小泉純一郎元首相らが発表した原発ゼロ・自然エネルギー基本法案の要旨は次の通り。
【目的】
 すべての原子力発電の廃止および自然エネルギーへの全面転換の促進を明らかにし、国等の責務と推進体制を定め、わが国のエネルギー構造の転換を実現する。
【基本方針】
 運転されている原発を直ちに停止▽運転を停止している原発は今後一切稼働させない▽運転を停止した原発の具体的な廃炉計画を策定▽原発の新増設は認めない▽核燃料サイクル事業から撤退し、再処理工場の施設は廃止▽原発事業輸出を中止し、戦争被爆および原発重大事故の当事国として地球上の原発全廃の必要性を世界に発信▽太陽光、風力、水力、地熱など自然エネルギーの電力比率目標を、2030年までに50%以上、50年までに100%とする。
【国の責務】
 すべての原発の廃止と自然エネルギーへの全面転換を実現するため、法制、財政、税制、金融上の措置などを講じる。
【推進体制】
 内閣に、首相を長とし関係国務大臣で構成する原発ゼロ・自然エネルギー推進本部と有識者で構成する推進会議を設置する。(2018/01/10-18:44)
(引用終わり)

 昨日開かれた記者会見の動画については、1月7日の「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」に続き、「shusei ch1」さんによる動画をご紹介しておきます。
 
吉原毅氏 × 小泉純一郎氏 × 細川護煕氏 × 河合弘之氏 記者会見「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案 発表記者会見」2018.1.10 @衆議院第1議員会館多目的ホール(1時間10分)

 
【2018年1月10日  立憲民主党・エネルギー調査会第2回会合/「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」と意見交換】
 原自連の記者会見終了後、同一会場で(多分そうでしょうね)立憲民主党・エネルギー調査会(会長・逢坂誠二衆院議員)の第2回会合が開かれ、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)」から、同連盟が発表したばかりの「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」についてのヒアリングを行うとともに、今後目指すべき「原発ゼロ」について意見交換を行いました。
 原自連の記者会見と同じく、「shusei ch1」さんによる動画をご紹介します。
 
立憲民主党 × 原自連「エネルギー調査会(第2回)原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)との対話集会」2018.1.10 @衆議院第1議員会館・多目的ホール(1時間33分)
 

 なお、小泉、細川両元総理は、この立憲民主党との意見交換会には参加していません。「原発ゼロ法案」を本気でやるのなら、小泉、細川両氏と枝野代表が同じ絵に収まらなければだめだろうと思いますが、多分まだその機は熟していないということでしょう。
 実際、「立憲民主党基本政策」に書かれている「原発の40年廃炉原則を徹底し、急迫かつ真の必要性が認められず、国の責任ある避難計画が策定されないままの原発再稼働は認めません。」と、原自連が提唱する法案の骨子(「運転されている原発を直ちに停止」「運転を停止している原発は今後一切稼働させない」)との間には、実質的に見て、相当な開きがあると思いますけど。
 ただし、河合弘之弁護士も話しておられましたが、原発の息の根を止めるには「法律」の制定が必要です。その気運を盛り上げる責任が私たちに課されているということだと思います。
 「原発ゼロ」を目指す法案をめぐる動きについては、是非今後も注目していきたいと思います。

(追記:2018年1月12日)
 原自連ホームページに、「全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本法案(骨子案)〈略称〉原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」が掲載されました。以下に全文転載しておきます。

(引用開始)
                     原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟  2018年1月10日
 
         全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換
                の促進に関する基本法案(骨子案)
              〈略称〉原発ゼロ・自然エネルギー基本法案
 
第一 目的
この法律は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に関する基本的な理念及び方針を明らかにし、国等の責務及び推進体制等を定め、もって、我が国エネルギー構造の転換を実現することを目的とする。
 
第二 基本理念
東京電力福島第一原子力発電所事故によって、原子力発電は、極めて危険かつ高コストで、国民に過大な負担を負わせることが明らかとなり、使用済み核燃料の最終処分も全く見通しが立たない。また、原子力発電による発電量は全体のわずか1%(2015年段階)にすぎず、重要性を失っている。したがって全ての原子力発電は即時廃止する。
世界各国において自然エネルギーへの流れが急速に拡がり太陽光発電と風力発電ですでに原子力発電の設備容量の二倍を超えている。我が国のエネルギー政策においても、新たな産業と雇用を創出する成長戦略の柱として、安定的な電源となる自然エネルギーへ全面的に転換する。
このようなエネルギー構造の転換は、温室効果ガスの削減による地球環境の保全と経済構造の変革を伴う新たな産業革命を実現し、国土とエネルギーの安全保障、国民生活と食糧・農業の安全保障をもたらし、将来世代にわたる国民の生命と健康が守られ、平和のうちに安心して暮らせる自然エネルギー社会の形成に資するものである。
 
第三 基本方針
一 運転されている原子力発電所は直ちに停止する。
二 運転を停止している原子力発電所は、今後一切稼働させない。
三 運転を停止した原子力発電所の具体的な廃炉計画を策定する。
四 原子力発電所の新増設は認めない。
五 使用済み核燃料の中間貯蔵及び最終処分に関し、確実かつ安全な抜本的計画を国の責任において策定し、官民あげて実施する。
六 核燃料サイクル事業から撤退し、再処理工場等の施設は廃止する。
七 我が国は、原子力発電事業の輸出を中止し、人類の平和と安全のため、かつての戦争被爆及び原子力発電所重大事故の当事国として、地球上の原子力発電全廃の必要性を世界に向けて発信する。 八 急速に進んでいる省エネルギーをさらに徹底させる。
九 太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の自然エネルギーを最大限かつ可及的速やかに導入する。自然エネルギーの電力比率目標は、平成42年(2030年)までに50%以上、平成62年(2050年)までに100%とする。
十 地域経済の再生のため、各地域におけるエネルギーの地産地消による分散型エネルギー社会の形成を推進する。
 
第四 国等の責務
一 国の責務
国は、第二及び第三の基本的な理念と方針に則り、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換を実現する責務を負う。そのため、次に掲げる法制、財政、税制、金融上の措置その他の措置を講ずる。
1 原子力基本法、原子炉等規制法、エネルギー政策基本法、経済産業省設置法等の改正を行う。
2 原子力発電の円滑な廃止のため、原子力発電施設を保有する電力事業者の企業会計等に関する特別措置を講ずるとともに、廃炉技術者の育成及び廃炉ビジネスの海外展開を支援する。
3 原子力発電関連地域及び関連企業の雇用確保、及び関係自治体の経済財政対策を行う。
4 省エネルギーの徹底のため、全ての建築物の断熱義務化、公共施設の省エネルギー及び自然エネルギー利用の義務化等
5 自然エネルギーへの迅速な転換のため、自然エネルギーによる電気の送電線網への優先的な接続及び受電、農作物生産と発電の両立を図るソーラーシェアリングの促進等
6 分散型エネルギー社会形成のため、エネルギー協同組合の創設及び同組合の設立支援等
二 地方自治体の責務 
地方自治体は、国の施策に準じて必要な施策を講ずるとともに、地域の実情に即した施策を策定し、実施する責務を負う。
三 電力事業者の責務
電力事業者は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の促進に自主的に取り組み、国及び地方自治体が講ずる施策の推進に全面的に協力する責務を負う。
 
第五 推進体制
一 推進本部及び推進会議の設置
内閣に、総理大臣を長とし関係国務大臣で構成する原発ゼロ・自然エネルギー推進本部及び有識者等で構成する推進会議を設置する。
二 推進本部及び推進会議の任務
推進会議は、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換に関する基本計画を策定し、推進本部は、それに基づき、諸施策を確実に実施する。
 
第六 年次報告
政府は、毎年、全ての原子力発電の廃止及び自然エネルギーへの全面転換の推進状況に関する報告書を国会に提出しなければならない。
 
第七 附則
この法律は、公布の日から施行する。
                                             (以上)
(引用終わり)

「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る」で「加計問題」を語り、同日「寺脇研トークセッション004」では「教育」を語る(2018年1月8日@岡山市)

 2018年1月10日配信(予定)のメルマガ金原.No.3043を転載します。
 
「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る」で「加計問題」を語り、同日「寺脇研トークセッション004」では「教育」を語る(2018年1月8日@岡山市)
 
■前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る
 昨日に引き続き、動画のご紹介です。昨日(「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(2018年1月7日)の動画紹介~石川健治教授(東京大学・憲法学)の講演を是非聴講しましょう/2018年1月9日)は、目移りする位多くの種類の動画の中から選りすぐってのご紹介となりましたが、今日は、多分これ以外にはないだろうと思う動画を、それもTwitCasting による中継ではないかと思われ、画質はぱっとしないものですが、音声は何とか聴き取れると思いますのでご紹介します。

 今日ご紹介するのは、一昨日(1月8日)、岡山市(岡山国際交流センター8階イベントホール)で開かれた、「加計学園問題を考える会」主催による「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る~加計学園問題を考える会シリーズ第2回」の、IWJ岡山による中継動画です。
 地方局による公共企画の中継動画なので、多分、当分は全編無償で視聴できるのではないかと思います。
 
「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る」講演会と記者会見 2018.1.8
記事公開日:2018.1.9取材地:岡山県
 
 画面を見る限り、どうやら2部構成であったようで、IWJの説明によると、第1部「記者会見」、第2部「講演」となっていますが、どう見ても、「第1部 前川喜平氏講演」、第2部「前川さんに寺脇研さんを交えたパネルディスカッション(コーディネーター:赤松章子さん)」と言った方が良いように思います。
 
 以下に、チラシに記載された開催趣旨を転記します。
 
(引用開始)
 加計学園獣医学部(金原注:正しくは「岡山理科大学獣医学部」でしょうけど)が11月14日に認可されましたが、これで幕引きにしていいでしょうか。
 私たちの懸念は依然として解消していません。前川喜平前文部事務次官(金原注:これも文部科学事務次官の方が良いでしょう)は「わが国の大学行政に大きな汚点を残しました。不公正・不公平な行政を押し通し、国政を私物化した事実は厳然とし存在し続けます。私たち国民は、決して忘れていけないのです」と述べています。
 前川さんと寺脇さんから加計学園問題についてじっくりお聞きして、疑問を解き明かす機会にしたいと計画いたしました。ぜひ、お誘い合わせて、多数ご来場ください。
(引用終わり)
 
 前川喜平さんと寺脇研さんという文部科学省出身の弥次喜多コンビ・・・ではない、何と言えばいいのかよく分からない絶妙のコンビは、ちくま新書から好著(対談)『これからの日本、これからの教育』を刊行しただけではなく、各地でダブル講演を行う企画も引き受ける方針のようで、実際、4月27日(金)午後6時~には、青年法律家協会和歌山支部が、和歌山市でのダブル講演をお願いしています(【日程速報】2018年4月27日・前川喜平氏と寺脇研氏が和歌山で語る(青法協憲法記念の夕べ)&【必見動画】前川喜平氏ロングインタビュー(IWJ)/2017年12月7日)。

 
 4月27日の和歌山での企画には、主催団体の一員として私も関わっていますので、この岡山での動画も興味深く拝見しようと思った次第です。ただ、第1部の前川さんの講演が約40分(冒頭部分が若干切れているようですが)、第2部が約1時間半ということで、まだ全編は見られていませんが、これから頑張って視聴しようと思います。
 前川さんがお1人で加計問題を語った講演はこれまでにもあったと思いますが、寺脇さんとお2人で、ということになると、ちょっと思い出せません。
 
 今回の主催団体が「加計学園問題を考える会」であり、何より学校法人加計学園、岡山理科大学の地元ですから、市民の関心も高かったのでしょう。会場の岡山国際交流センター8階イベントホールは、同会館のホームページによると、「スクール型式195席、シアター型式270席」とあるのですが、朝日新聞の伝えたところでは「600人参加」ということで、当然、立ち見だけでは収容し切れず、「別の部屋でモニターを通して前川さんの話に耳を傾けた。」そうです。
   IWJ岡山が中継していましたから、その映像と音声を別室に飛ばしたのでしょうが、どうやらその部屋というのは地下1階のレセプションホールであったらしく、そこの収容人数も「スクール型式42席、シアター型式110席」というのですから、「600人参加」というのが本当なら、ほぼ半分の方は立ち見であったことになります。
 「入場料1,000円」という有料企画でこの状況では、主催者はさぞ頭を抱えたでしょうね。
 
 以上の状況は、4月27日(金)の主催団体の一員として、ひとごとではありません。ということで、「和歌山は大丈夫か?」と素早く検討してみました。青年法律家協会和歌山支部が押さえている会場は、岡山国際交流センター8階イベントホールよりも少し広めのところ(スクール配置:288席、椅子のみ配置:360席)なので、多分大丈夫だろうと思うキャパ以外の理由としては、
◎岡山市は加計学園の地元であり、関心を持つ市民がもともと多い。
◎岡山県の人口は和歌山県の、また、岡山市の人口は和歌山市の、どちらもちょうど約2倍の規模である。
◎4月27日の青法協和歌山支部の企画は「憲法記念の夕べ」として開催するので、おそらく「憲法と教育」をメインテーマとする可能性が高い(加計問題には触れていただくとしても)。もっとも、これはこれから決めること。
などが挙げられます。まあ、何とかなるだろうか。
 
■寺脇研トークセッション004 前川喜平・柏原拓史
 なお、一昨日の岡山市での前川・寺脇コンビの活躍は、この「前川喜平さん・寺脇研さんズバリ加計問題を斬る」だけで終わりではなく、何と次に教育問題を話し合うトークショー(と言うのかどうか)「寺脇研トークセッション004 前川喜平・柏原拓史」が、同日午後6時半から、KAMP(岡山市北区奉還町3丁目1−35)というお店で行われたそうです(定員50名)。
 「毎回、寺脇研とゲストで、お互いの活動やその時々の話題について掘り下げていきます。今回は文科省の後輩でもある前川喜平さんとNPO法人「だっぴ」を運営する柏原拓史さんを招いて、これからの教育について語ります。トーク後は、来場者とお茶やお酒を飲みながら議論を深めていきます。」ということで、一昨日がシリーズの第4回だったようです。
 「寺脇研トークセッション」Facebookページで、動画を視聴できます。一昨日の動画は2本に分けてアップされていました。
 こちらは画質・音質とも、昼間の加計問題よりずっと視聴しやすいです。こちらもお薦めです。
 
 和歌山の皆さん、4月27日(金)午後6時~、今から日程を予定しておいてくださいね。
 
(参考動画)
 前川さんの教育問題に関する講演動画はかなり出回ってきていますが、そのうちの以下のものをご紹介しておきます。
[子ども・若者の生きづらさに寄り添って 教育を語る]
日時:2017年10月4日(水)18時30分~
場所:浦和コムナーレ多目的ホール
主催:前川喜平さん講演会実行委員会(金子和夫川口自主夜間中学代表ほか)
後援:埼玉県教職員組合、さいたま教育文化研究所、子どもの人権埼玉ネット、教育と自治埼玉ネットワーク
チラシ 
動画1・講演(1時間27分)

動画2・質疑応答(43分)

 
(弁護士・金原徹雄のブログから/前川喜平氏関連)

「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(2018年1月7日)の動画紹介~石川健治教授(東京大学・憲法学)の講演を是非聴講しましょう

 2018年1月9日配信(予定)のメルマガ金原.No.3042を転載します。
 
「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(2018年1月7日)の動画紹介~石川健治教授(東京大学・憲法学)の講演を是非聴講しましょう
 
 一昨日(1月7日)午後2時から、東京都北区の北とぴあ・さくらホール(キャパ1,300席)において、「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」(共催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション実行委員会、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)が開催され、満員の聴衆が集まったそうです。
 「つどい」では、松尾貴史さん(俳優)のミニトーク、石川健治さん(東京大学教授・憲法学)による講演の他、立憲野党の代表によるスピーチなどが行われました。
 そして、今回の「つどい」については、「異例」と言えるほど多くの動画がアップされていて目移りしますが、比べてみると、メインの石川教授による講演の音量レベルが低くて甚だ聴き取りにくいものもある一方、何らかの補正を加えているのか、比較的聴き取りやすいものもあることに気がつきました。
 そもそも、石川教授のお話は、一般大衆を対象にしているということによる配慮もあるとはいえ、基本的には憲法学についての講話ですから、結構学術用語も出てきますので、そのような議論に無理なく付いていける基礎知識が有るかどうかによって、聴き取りやすさのレベルが変わってくるのはやむを得ないですけどね。
 
 そこで、以下には、私が視聴できた範囲で「これなら」とお薦めできる動画をいくつかご紹介しますので、是非皆さんも視聴してください。
 なお、松尾貴史さんによるミニ・トークは、静止画のみ撮影OK(つまり動画はNO)ということだったようなので、ご覧いただけません。しんぶん赤旗を読んでも、「俳優の松尾貴史さんはユーモアを交えたミニ・トークで、改憲派が「『(改憲しても)何もかわらない』というなら、何も変えなければいい」と語りました。」とあるだけなので、内容がよく分からないのが残念です。そのうち、トークの要点をネットにアップしてくれる参加者がいるでしょうけどね(未発見)。
 
 それではまず、「つどい」全体を収録した動画の内、映像と音声のバランスが最も良いと思った「shusei ch1」さんの動画をご紹介します。やや「引き気味」の絵になっているのは、手話通訳の方を同一画面に収めるためです。
 
[手話付き]「戦争とめよう!安倍9条改憲NO!2018新春のつどい」2018.1.7 @北とぴあ・さくらホール(2時間06分)

冒頭~ 開会
●司会
 富永誠治氏(安倍9条改憲NO!全国市民アクション事務局)
 菱山南帆子氏(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会)
●主催者挨拶
2分~ 長尾詩子氏(安保関連法に反対するママの会、弁護士)
●ミニ・トーク「いやな空気は読みたくない」
(録画なし) 松尾貴史氏(俳優)
●憲法講演「安倍9条改憲の危険性」
18分~ 石川健治氏(東京大学教授・憲法学) 
●立憲野党国会議員挨拶
1時間06分~ 青木愛氏(自由党副代表・参議院議員)
1時間11分~ 小池晃氏(日本共産党書記局長・参議院議員)
●3000万署名運動リレートーク
1時間18分~ 岡本達思氏(安倍政権にNo!東京地域ネットワーク)
1時間24分~ 遠藤敏夫氏(戦争させない・9条壊すな!総がかり取手行動)
●立憲野党国会議員挨拶
1時間30分~ 福山哲郎氏(立憲民主党幹事長・参議院議員)
●3000万署名運動リレートーク
1時間38分~ 野田静江氏(オール埼玉共同行動実行委員会)
1時間45分~ 岸牧子氏(横須賀市民9条の会)
●行動提起
1時間51分~ 福山真劫氏(戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会共同代表、安倍9条改憲NO!全国市民アクション運営委員)
  
 なお、以上の動画でも石川教授の講演が聴き取りにくいという方には、以下の2本の動画をお薦めします。「立花健夫」さんによるものと、「UPLAN(三輪祐児)」さんによるものです。いずれも会場後方からの相当な「引き」の映像ですが(特に前者)、石川教授の講演内容は、音声データを増幅しているのでしょうか、最も音声レベルが高めのようです。
 
[立花健夫]2018/1/7 戦争止めよう!安倍9条改憲NO!2018年新春の集い@北トピアさくらホール(2時間06分)
 

20180107 UPLAN 【手話付】石川健治他 戦争とめよう!安倍9条改憲NO!新春のつどい(2時間03分)

 
 流石に映像が「引き」過ぎて、表情が見えないと、かえって何を話しているのか聴き取りにくいという方には、スピーカー毎に動画を分割してアップしてくれている「The River」さんの動画をお薦めします。
 以下に、石川健治教授の講演動画(2本に別れています)をご紹介しておきます。音声レベルはやや低めですが、「立花健夫」さんか「UPLAN(三輪祐児)」さんの動画で音声のみに耳を傾け、その後で「The River」さんの動画を視聴すれば、だいたいの話の流れは分かっているので、個々の言葉も聴き取りやすいのではという気がします。もっとも、そこまでやるのであれば、最初にご紹介した「shusei ch1」さんの動画を視聴すれば良いではないか、ということになるのですが。
 
2018.01.07「戦争とめよう!安倍9条改憲 NO!2018新春のつどい」:〈憲法講演〉石川健治さん (東京大学教授・憲法学) ①【3/12】(27分)

2018.01.07「戦争とめよう!安倍9条改憲 NO!2018新春のつどい」:〈憲法講演〉石川健治さん (東京大学教授・憲法学) ②【4/12】(19分)

 
 ところで、石川健治教授は、立憲デモクラシーの会呼びかけ人として、同会設立当初から中心メンバーの1人として活躍されています。
 昨年(2017年)5月22日に立憲デモクラシーの会が「安倍首相の改憲メッセージに対する見解」を発表した際の記者会見にも、青井未帆学習院大学教授、長谷部恭男早稲田大学教授とともに出席し、発言されています。
 以下に、同会ホームページに掲載された記者会見書き起こしから、石川教授の発言の主要部分を引用します。
 
(抜粋引用開始)
石川健治(東京大学・憲法学)
 東京大学の石川です。今回の件については、いろんなかたちで、あるいはいろんな角度から検討することができると思います。特にこの立憲デモクラシーの会について申しますと、いわゆる護憲派だけではなくて改憲派もともに同一の戦列に並んでいる、という形で問題状況の深刻さを示すところに、発足の折の志がありました。それを考えますと、護憲派にとっても改憲派にとっても今回の事態は危険である、という観点を持つことが、ここでは大事なのではないかと考えます。
 まず、おそらく多くの人が前提として共有できるだろうと思われるのは、「現在はうまくいっている」という事実ですね。今、青井さんがおっしゃいましたけれども、これまでの軍事力の統制がまずまず成功であったのは間違いがない、ということです。その前提から、今回何が加えられ、何が引き算されるのかというふうに考えてみるというのが、護憲派にとっても改憲派にとっても、大事なプラットフォームになるのではないかと思うわけです。
 そう考えますと、現状において軍事力のコントロールをなりたたせている機構というのは、青井さんもおっしゃっていましたが、重層的に出来ている、ということを考えていただきたいと思うんですね。眼の前にある9条の字面がどうしたという表層的なことだけではなくて、軍事という、この典型的な統治作用について、コントロールを成り立たせている重層的な構造が、どのように今回変わろうとしているのか。そういう観点から考えるならば、仮に9条をいずれ変えたいという人にとっても、このまま、あるいはこのかたちで、現状を変えてしまうことは危険であるということは、おわかりいただけるのではないかと思います。
 ごく手短に、9条が国会に禁じているはずの軍事組織の設立がすでになされてしまっている、というふうに現状を理解するといたします。ここは、9条2項をどう解釈するかによって、実はいろいろな理解の仕方があり得ますけれども、立ち入りません。しかし、それでも9条2項は、まだ役に立っているのです。
 おおざっぱに申しましても、まずは、常に「われわれはこのようなかたちで軍隊を持っていいのだろうか」という問いかけをする根拠が、そこにあるということです。つねに組織としての存立が問われ続けることで、自衛隊の権限の行使がコントロールされてきた面があるはずです。
 そしてより大きいのは、軍事組織を持つことの正統性が常に問われ続けるということとの関係で、大幅な軍拡予算を組むことが難しくなっている、という側面です。予算編成を通じて、国の財政権の行使に実際上とりわけ大きな役割を果たしてきたのは、大蔵省、財務省だと思いますけれども、なぜそういう財務官庁が軍拡予算についてブレーキになることができたのかというと、彼らによる財政権の統制に憲法上の根拠があるからであるわけで、それが9条とりわけその2項ということになるはずなんですね。これは非常に大きい側面だったろうと思います。
 ですから、少なくとも今述べた二つの層において、9条はまだ生きているということになるわけなのですが、これらの、現在、現実に機能している統治権のコントロールが、今回の改憲提案のような形で自衛隊を憲法上正統化してしまうと、一挙に消えてしまうということになるはずです。この「一挙に消えてしまう」という点において、これは最も危険な提案になっている、ということを申し上げておきたいと思います。この点を指摘した上で、その先の議論をどうするかというのは、またいろいろな立場があり得るでしょう。けれども、立憲デモクラシーの会の最初の志に立ち返って、今このかたちで、こういう改憲提案を出されて、何の問題意識もなしに通してしまうというのは、いかなる立場にたつにせよ、きわめて危険であるということに、まずは警鐘を鳴らしておきたいと思います。以上です。
(引用終わり)
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/安倍改憲メッセージ関連)
2017年5月24日
2017年6月16日
2017年6月22日
2017年6月27日
2017年6月30日
2017年7月9日
2017年7月12日
2017年7月18日
2017年7月20日
2017年8月2日
2017年8月9日
2017年8月23日
和歌山弁護士会憲法学習集会9/20「安倍首相の新たな改憲提言について―自衛隊を憲法に書き込む改憲は何をもたらすか―」(講師:青井未帆氏)のご案内
2017年9月5日
2017年9月9日
2017年9月13日
2017年9月14日
2017年9月15日
2017年9月18日
2017年10月11日
2017年10月17日
2017年10月22日
2017年10月23日
2017年10月29日
2017年10月31日
2017年11月4日
2017年11月6日
2017年11月8日
2017年11月10日
2017年11月22日
2017年11月27日
2017年12月18日
2017年12月29日

「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内

  2018年1月8日配信(予定)のメルマガ金原.No.3041を転載します。
 
「和歌山に中間貯蔵施設はいらない!~脱原発わかやま原発学習会」(2018年1月20日)のご案内
 
 昨日(1月7日)、和歌山市はたちのつどい(成人式)が行われた和歌山県民文化会館前で、「平和と憲法を守りたい市民の声」による新成人意識調査のために来ておられた松浦雅代さん(原発がこわい女たちの会)から、「1月20日(土)に田辺市で、脱原発わかやまが中間貯蔵施設問題を考える学習会を開くことになり、チラシが届いているので、広報に協力して欲しい」というお話があり、今日、メールでチラシの画像が届きましたので、ご紹介することとしました。
 講師は、和歌山でも何度も学習会の講師を務めておられる「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」(略称:美浜の会)代表の小山英之さんです。
 まずは、チラシをお読みください。
 
(チラシから引用開始)
和歌山に
中間貯蔵施設はいらない!
脱原発わかやま 原発学習会第二弾
 
関西電力は2017年11月27日、大飯原子力発電所3・4号機(福井県)の再稼働に向けて福井県の西川知事の同意を取り付けた時、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について「2018年中に具体的な計画を示す」と表明した。
関電は現在、使用済み核燃料を各原発の敷地内で保管している。原発をこれからも長期運転したい関電にとって中間貯蔵施設の確保が課題となっている。原発の候補地がそのまま残っている和歌山県白浜町日置が中間貯蔵施設の候補地として大きくクローズアップ。中間貯蔵施設に反対して原発の再稼働も止めよう。
 
講師 小山英之 氏
  (美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会 代表)
日時 2018年1月20日(土)13:30~
会場 田辺市ひがしコミュニティセンター(田辺市立東部小学校横)
               和歌山県田辺市南新万28−1
 
講師プロフィール
1967年大阪大学大学院理学研究科博士課程(素粒子論専攻)終了。大阪府立大学工学部数理工学科で脳神経システムの数理科学的研究などを行い、講師として定年退職。スリーマイル島原発事故を契機に、原発新規立地に反対する運動に参加。91年の美浜2号機事故を契機に「美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会」を結成。同年、高浜2号機の
蒸気発生器問題で大阪地裁に提訴。99年、MOXデータ不正事件で大阪地裁に提訴。全国のプルサーマル問題や六ヶ所再処理問題に関与。2000年12月福島第一原発3号機用MOX燃料の使用差止め仮処分申請(福島地裁)で証人として法廷に立つ。
 
主催 脱原発わかやま(代表 冷水喜久夫)
連絡先 事務局 田中(080-3034-7598)
(引用終わり) 
 
 チラシで触れられている大飯原発3、4号機の再稼働と中間貯蔵施設をめぐる関西電力の動きについては、「美浜の会ニュース№150号(2017年12月6日)」に掲載された「各地から中間貯蔵施設に反対を」(美浜の会ホームページで読むことができます)に詳しく書かれています。一部を引用します。
 
(抜粋引用開始)
 関西電力の岩根社長は 11月23日、福井県知事に対し、使用済核燃料中間貯蔵施設の県外立地について「2018年には具体的な計画地点を示す」と表明した。これは、知事が大飯3・4号再稼働同意にあたり「できるだけ具体化してほしい。関電は再稼働にあたって答えを示す必要がある」と求めていたことに応じたものだ。関電はこれまで「2020年頃に計画地点確定、2030年頃に操業開始」(使用済燃料対策推進計画(2015.11))としていた。この計画は変わらないとするが、知事の同意を取り付けるため、関電は踏み込んだ方針を示した。地点の公表は「立地地点の理解を得た上で行う。公表後に協議、調査し、2020 年時点で立地の申し入れをする」としている。
 京都府等が立地反対の姿勢を示しており、現状、関電は候補地を挙げることはできていない。しかし、関電はこの4年間で延べ7000回、福井県外の管内中心に自治体や地域団体等に訪問説明を行ってきたとしている。今回の表明を受け、より強硬に進めていくに違いない。関電社長は27日、「県外立地について、ありとあらゆる可能性がある。管内は当然のことながら、管外も含めてやっていく」と述べた(関電管内:京都府・大阪府・滋賀県・兵庫県(一部地域除く)・奈良県・和歌山県・福井県(美浜町以西)・三重県(一部地域)・岐阜県(一部地域))。
 世耕経産相は26日、知事に対し「国も積極的に関与する。事業者全体で連携、協力し対策を加速させるよう強く求めている」と述べ、国としても立地に向け動きを強める姿勢を示した。
(略)
■稼働を続ければ高浜・大飯原発のプールはあと7 年しかもたない
(本文略)
■貯蔵期間「30~50 年」を経ても搬出の見通しなし。核の永久的なごみ捨て場となる
(本文略)
■蓋を開けて点検・修理できない - 安全は全く保証されない
(本文略)
■どこにも中間貯蔵施設を作らせない
 京都府は11月27日、避難計画を案ずる関西連絡会等の申し入れに対し「府内での設置に反対している姿勢は一貫して変わっていない。府内のどこにも設置させない」と回答した。舞鶴市長や宮津市議会が中間貯蔵施設に反対する中で、2年前に関電に対し府内建設を拒否した姿勢に変わりないことを示した。
 和歌山県では、関電は御坊市で文献調査等を進め中間貯蔵施設立地を狙ってきた。白浜町日置川には関電職員 2 名がいまだ常駐している。和歌山県知事は中間貯蔵施設について、2016 年1月19日の会見で「打診はありえない」「南海トラフ地震があるため、あまり適地ではない」と述べている。高レベル廃棄物処分場についても、京都と和歌山の知事は受け入れない姿勢を示している。
 関西各自治体に中間貯蔵を拒否するよう求め、どこの自治体も受け入れない状況を作っていこう。原発再稼働も中間貯蔵施設立地も阻止していこう。
(引用終わり)
 
  「原発再稼働も中間貯蔵施設立地も阻止していこう」という内の、再稼働阻止ということでは、年末ぎりぎりの2017年12月25日、福井市と京都府の住民が、大飯原発3・4号機の運転差止を求める仮処分を、大阪地方裁判所に申し立てました(※申立書PDF)。
 
 そして、使用済核燃料中間貯蔵施設の立地についての関西電力の新たな動きとして、以下のような報道もなされています。
 
日本経済新聞・電子版 2018/1/7 2:00
使用済み核燃料 関電、青森で貯蔵検討 原発長期運転にらむ
(抜粋引用開始)
 関電は、東電が8割、日本原電が2割出資する「リサイクル燃料貯蔵」が持つむつ市の中間貯蔵施設の一部を有償で利用する方向で同社と交渉に入った。ただ、原発に慎重な世論もあり、地元の青森県などとの調整は難航も予想されている。
 関電はすべての原発を福井県に置いている。大飯原発1、2号機の廃炉を決めたが、引き続き原発を基幹電源と位置付けている。現在は使用済み燃料を各原発の敷地内で一時的に保管しているが、美浜は9年程度、高浜は6~7年、大飯は7年程度で貯蔵プールが一杯になると試算。これに代わる中間貯蔵施設の確保が課題となっていた。
 福井県の西川一誠知事はこれまで中間貯蔵施設は県外に建てるように関電側に要請。関電も福井県外を前提に、20年までに建設地を決め、30年ごろに稼働させる方針を示していた。昨年11月には18年中に候補地を明らかにすると表明していた。
(略)
(引用終わり)
 
 青森県むつ市の「リサイクル燃料貯蔵」は、2013年に貯蔵建屋の1棟目が完成していますが、まだ実際に使用済核燃料の受け入れは始まっていないはずです。東電と日本電源が出資する会社の所有する施設の収容枠を金で買い取ろうという作戦のようですが、そうそう、関電の思惑通りに話が進むとも考えにくいですけどね。
 と思ったら、早速、関西電力のホームページに、報道を打ち消すコメントが掲載されました。
 
関西電力からのお知らせ 2018年1月7日
中間貯蔵施設の立地地点に関する一部報道について
(引用開始)
 一部報道機関において、中間貯蔵施設の立地地点に関する報道がされていますが、当社が使用済燃料を青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入し一時保管する方針を固めた事実は一切ありません。
(引用終わり)
 
 また、むつ市長も緊急記者会見を開いて以下のように発言したそうです。
 
河北新報 2018年01月08日月曜日
<使用済み核燃料>むつ市長「受け入れられぬ」 緊急会見で怒りあらわ
(引用開始)
 原発から出る使用済み核燃料をむつ市に建設中の中間貯蔵施設に集約するとした報道を巡り、同市の宮下宗一郎市長は7日、緊急の記者会見を開き「事実誤認。到底受け入れられない」と怒りをあらわにした。
 宮下市長は「国や県、事業者に確認したが、報道の事実はない。市民が不安に思う。遺憾」と語った。
 記事では、関西電力が福井県の美浜、大飯、高浜の3原発から出る使用済み核燃料をむつ市に搬入する方針を固めたと報道。関電は7日、ホームページで報道内容を全否定した。
 むつ市の中間貯蔵施設は、東京電力と日本原子力発電が共同出資したリサイクル燃料貯蔵(RFS)が、両社の使用済み核燃料を受け入れるために建設、運営する。
 宮下市長は「関電が入ってくることは全く想定していない。仮に関電がやりたいと言っても、地域の事情を無視しており、受け入れるレベルの話ではない」と述べた。
(引用終わり)
 
 市長の怒りはもっともと言いたいところですが、いずれ、東電と日本電源の使用済み核燃料は受け容れるということでしょうから、両社の枠を一部有償で関電に譲ったところで、実態はほとんど変わらないのでは、という気がしないこともありませんけどね。
 
  いずれにせよ、使用済核燃料の中間貯蔵施設については、和歌山県民にも大きな関係があることですから、関心をもって学習したいものです。
 
 なお、会場の田辺市ひがしコミュニティセンターといえば、2015年9月12日、安保法制賛成派(日本会議紀南支部支部長と事務局次長のお2人)と反対派(小池佳世さんと私の2人)が、安保法制(まだ成立していなかった)についての意見を述べ合った「安保法案だよ全員集合!」の会場だったところですね、懐かしい(「安保法案だよ全員集合!」(9/12@田辺市)で話すつもりだったこと ※動画追加あり/2015年9月12日)。
 チラシによると、車で行く人は駐車スペースに気をつけなければならないようなので、松浦さんからメールで届いたチラシの画像をそのまま貼り付けておきます。ご参考までに。
 
(付記)
 チラシに、「脱原発わかやま 原発学習会第二弾」とあります。脱原発わかやまがこれまで開いた学習会が1回しかなかったはずはないと思うのですが、とりあえず直近の学習会は下記のとおりでしたから、これが「第一弾」なのかと思います。

脱原発わかやま主催による
原発学習会 和歌山の歴史を知ろう
紀伊半島にはなぜ原発がないのか。
講師 日高原発について  濱 一己 氏 
    日置川原発について 西尾智朗 氏 
2017年9月24日(日)13:30
田辺市民総合センター 2階交流ホール
主催 脱原発わかやま(代表 冷水喜久夫)

(追記/2018年1月20日)
 本日開催された上記学習会の動画が早速アップされました(撮影:小谷英治さん)。


(弁護士・金原徹雄のブログから/小山英之氏関連)
2013年10月7日
2015年1月22日
2016年7月24日

JPG中間貯蔵施設チラシ

和歌山市・新成人アンケート2018(後編)~今年は賑わっていました(結果レポート)

 2018年1月7日配信(予定)のメルマガ金原.No.3040を転載します。
 
和歌山市・新成人アンケート2018(後編)~今年は賑わっていました(結果レポート)
 
 昨日の前編(和歌山市・新成人アンケート2018(前編)~今日は予告編)に引き続き、今日は結果をレポートする後編です。
 成人式会場での「取材」を終えた後、夕方から撮影した写真を整理し、順次5回に分けてFacebookに投稿したものを、基本的にそのまま転載することにします。例年、3月の「フクシマを忘れない!原発ゼロへ 和歌山アクション」や5月の「HAPPY BIRTHDAY  憲法 in Wakayama」などのレポートをお送りしている方式を採用しました。それだけ、今年の「はたちのつどい」(自体ではなく、開演前の会場外で、ということですが)が盛り沢山であったということだろうと思います。
 なお、5つのセクションの各表題部分をクリックしていただければ、Facebookへの投稿を閲覧していただけます。ブログには、各セクション1~2枚しか写真を掲載できませんでしたが、Facebookにはそれ以上アップしています。
 それでは、写真レポートで振り返る「和歌山市はたちのつどい」新成人アンケートをお読みください。
 
 和歌山市の成人式(はたちのつどい)は、ハッピイ・マンデー(1月の第2月曜日)ではなく、その前日の日曜日に開催されるのが例となっていますが、今年は、天候的にはそれがベストでしたね。今日(7日)の和歌山市は好天に恵まれ、晴れ着に身を包んだ新成人の皆さんも、衣装が雨に濡れる心配をせずに済みました。前日の土曜日(6日)だけではなく、明日の「成人の日」(8日)も雨模様のようですから、今日の開催で本当に良かったです。
DSCN2508 さて、今日は、「平和と憲法を守りたい市民の声」(世話人代表:松浦攸吉氏)が恒例の新成人アンケート(通算13回目)を行うということで、嘱託で広報担当を務めている私としても、「取材」してFacebookやブログで報告しなければ、また、その前に、アンケートの集計結果を報道機関各社に速報しなければということで、出かけてきました。
 これから、撮影した写真を何グループかに分けて、レポートをお送りしようと思います。
 まず始めは「全景」です。ある程度予想されたことではありますが、和歌山県民文化会館前は、訪れた新成人でごった返すことになりました。開演は午後1時ですが、受付は正午から始まり、受付が終われば会場の大ホールに入場して席に着くことができるのですが、多くの新成人が、会場に入るよりも、表で友人らと旧交を温め合う方を優先するのは当然のことで、昨年までの和歌山ビッグホエールなら、会場周囲にもそれなりに広い空間がありましたが、県民文化会館に会場が移った今年は、スペースが不足することになったのでした。
DSCN2511 私は、昨年の成人式参加者が2,115人だったのに対し、県民文化会館大ホールのキャパが1,989席なので、あふれないか?と心配したのですが、多分これは杞憂に終わったと思います。公式記録の参加者というのは、案内はがきを持参して記念品と交換した新成人の数をカウントしているのであって、受付を済ませた者が全員おとなしく会場の席に座って来賓挨拶などに耳を傾けているはずはありませんからね。
 それよりも、何が不足したかといえば、開演前に友人らと交歓するスペースが足らなかったということでしょう。市の職員が、「歩道に立ち止まらないでください」とか「早く会場に入ってください」とか呼びかけても、そもそも、今日の「はたちのつどい」にやって来た新成人の目的を想像すれば、「そんなこと言われてもね」ということになったのは、まあ当然といえば当然でしょう。「(ホールの)中に入れば温かいですよ」という呼びかけも聞こえましたが、去年のような悪天候ならともかく、今日のような好天の下では何の効果もありませんでした。
 ところで、このように、局所的に過剰な人口密度の状況が生まれて何が困るかというと、会場整理の市役所職員の方が困るだけではなく、アンケートをお願いしようとしてやって来た人たちも、なかなか声がかけにくく、困ってしまうのです。
 来年からも、ずっと県民文化会館でやるんだろうか?
 
DSCN2495 写真レポートの第2弾は「平和と憲法を守りたい市民の声」による新成人意識調査です。2005年にイラク派遣自衛隊の撤退の是非を問うアンケートを実施したのを皮切りに、天候不順で中止した昨年(2017年)以外は毎年実施して今年で13回目となります。 私が「取材」した過去5回分のアンケート結果については、昨日のブログ(和歌山市・新成人アンケート2018(前編)~今日は予告編)でご紹介しています。
 昨日のブログに掲載した写真でもお分かりのように、これまでは、特製のシールアンケート用の大型ボードを立て、新成人を呼び込んでシールを貼ってもらう(個別に調査員が新成人の意見を聞き取り、後にシールを貼るという方法も併用)という賑々しいやり方が、会場が変わった今年は無理だろうという想定(正しい「想定」でした)により、調査員が調査票(写真を掲載します)をはりつけた携帯用ボードを持ち、新成人に協力を求め、選択した解答のところに棒(-)を書いてもらい、「正」の字の数で人数が分かるようにした上で、最終的に調査員全員(14人)の調査票を集めて集計する、という方法をとりました。
DSCN2512 回答者総数は、原発についての質問に答えてくれた407人ということでよいと思います。やはり、会場が移ったことの影響から、例年よりやや少なめではありますが、「はたちのつどい」の参加者数(今年の正式な人数は未確認)は例年2,000人程度なので、参加者全体の約2割からの回答ということで、それなりの精度は確保されている数字だと思います。
 それでは、以下に、今年の新成人アンケート(意識調査)の質問と回答を発表します(既に報道機関にはFAXでお知らせしていますが)。
 
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 森・加計         20人
 戦争・紛争      61人
 就職      130人
 オリンピック       97人
 貧困(格差)   30人
 人間関係     64人
 沖縄        27人
 憲法        24人
 消費税           92人
2 原発は・・・
 必要        152人(37.3%)
 無くてもよい   237人(58.2%)
 分からない・どちらとも言えない(選択肢にはなし)
                        18人(4.4%)
  計             407人 
3 戦争・紛争は・・・
 武力で解決   34人(8.5%)
 対話で解決  358人(89.9%)
 分からない・どちらとも言えない(選択肢にはなし)
                          6人(1.5%)
  計             398人
 
 戦争(9条、自衛隊、安保法制など)と原発については、2012年以来、ずっと尋ねていますが、今年は関心のある問題は何かを尋ねる質問から始めることにしました(中心になった昨年も、選挙に行ったかどうかを尋ねる項目を含めて3項目で実施する予定だったのですが)。
 しかし、「森・加計」「憲法」「沖縄」が関心の低いワースト3というのが、予想通りというか何というか。それから、今から考えると、「その他」という欄も作っておけば良かったですね。「自分は〇〇に関心を持っている」と言ってくれる新成人がいたかもしれない(実際、1人いたとは聞いたのですが、〇〇の内容を書き忘れた)。
 戦争関連の質問項目は、毎年かなり内容が異なるので比較しにくいのですが、原発容認か否かについての回答率は気になりますよね。今年の37.3%ってどうなの?ということで、過去5回分を調べてみました。
 
2012年「原発を存続させる」92/430=21.4%
2013年「原発を存続させる」122/431=28.3%
2014年「原発は「いる」」110/354=31.1%
2015年「原発派再稼働する」161/481=33.5%
2016年「原発は存続させる」166/477=34.8%
 
 うーん。恐ろしいほど「順調に」原発容認派が増えている!現在19歳、20歳ということは、福島第一原発事故が起きた時には12歳か13歳。来年以降はもっと原発容認派の「成人」が増えていくのだろうか。何とかしなければ。
 「平和と憲法を守りたい市民の声」のように、継続して同じテーマでアンケート(意識調査)を続けていればこそ、このような傾向も明らかにできるということにあらためて気がつきます。来年以降もずっと継続して実施できれば良いのですが。
 
DSCN2486 「はたちのつどい」写真レポートの第3弾は、原水協(原水爆禁止和歌山県協議会)の皆さんによる「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」への協力のお願いです。
 2016年に日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が呼びかけて始まったこの国際署名は、昨年(2017年)の核兵器禁止条約の採択という大きな成果に結実しましたが、核兵器保有国のみならず、被爆国である日本政府も反対の態度を変えないことに対して抗議し、なお署名活動続行中ということのようです。
 なお、原水協の皆さんは、この国際署名以外の署名もお願いされていたようなのですが、私が白井春樹さんから入手した署名用紙は、日本被団協の国際署名だけだったので、これを紹介させていただきました。
 毎年、原水協と新婦人の会和歌山市支部の皆さんが協力して、成人式の日に署名活動をされている様子については、私の過去のレポート(ブログ)をお読みいただければと思います(昨日のブログ「和歌山市・新成人アンケート2018(前編)~今日は予告編」に過去5回分のレポートをリンクしています)。
 
 「はたちのつどい」写真レポートの第4弾は、異色の団体(でもないか)「和歌山市選挙管理委員会」です。これまでの「はたちのつどい」では(館内は知りませんが)お目にかかったことのないブース(テント)を発見しました。それが、和歌山市選挙管理委員会が設営した模擬投票所です。
DSCN2507 明るい選挙キャラクター「選挙のめいすいくん」(公益財団法人明るい選挙推進協会/イラストレーターの楠井伸也さんからFacebookコメント欄で教えていただきました。楠井さん、ありがとうございました)が、新成人をブースに招き入れるのにどれだけ貢献したかは不明ながら、面白い試みだと思いました。ただし、2016年の参院選以来、18歳以上の者に投票権が付与されており、今日の成人式に足を運んだ新成人(平成9年(1997年)4月2日~平成10年(1998年)4月1日の出生者)は、全員昨年10月の衆院選の際には有権者になっていたので(実際に行ったかどうかについては、後にご紹介する民青新聞がシールアンケートを行っていましたが)、新成人にとって、いささか新鮮味に欠けると受け取られた可能性はあります。
 それで、何について模擬投票が行われたのだろうと興味を持ち、写真に撮ってきましたのでご紹介します。
 まず、ブース(テント)の表に貼られた説明にはこう書かれていました。
 
はたちのつどい模擬投票
成人式を迎えたあなたの気持ちは?
あなたの気持ちに合うものをひとつ選んでください。
 
 そして、投票記入スペースに貼られた紙にはこう書かれていました。
 
平成三十年一月七日執行
はたちのつどい模擬投票
成人式を迎えた気持ちは?
当てはまる『番号』をひとつ書いてね
  和歌山市選挙管理委員会
 うれしい
2 将来が楽しみ
3 不安
4 親に感謝
5 特にない
 
 なお、「模擬投票の結果は公表されるのですか?」と職員の方に尋ねたところ、「今日中にホームページで公表します」とのことでした(もっとも、まだ発見できていませんが)。
  
  「はたちのつどい」写真レポートの第5弾(これで最終です)は、民主青年新聞というか、民青同盟(日本民主青年同盟)の皆さんです。私が和歌山市の「はたちのつどい」に出かけるようになった2012年以降、原水協や新婦人の会の皆さんとは毎年、新年のご挨拶をするのが恒例になっていますが、民青の皆さんとは確か初めてであったと思います(アンケートを実施するのは初めてだったらしい)。
DSCN2506 私が注目したのは、今年「平和と憲法を守りたい市民の声」が断念したシールアンケートを、彼らは堂々とやっていたことです。もちろん、手で持てる大きさのボードで集められるシール投票の数には限りがありますけどね。よく観察してみると、このシールアンケートは、本格的な「意識調査」(相当に詳細なアンケート用紙)に誘導するための呼び水として活用するという役割も担っていた模様です。
 もう1つ興味を持ったのは、「平和と憲法を守りたい市民の声」が昨年アンケート項目に入れていたものの、アンケート自体が中止となった「選挙に行きましたか」という質問項目が含まれていたことでした。
 これで撤収というタイミングで撮影させてもらった写真を見ると、明らかに、行った人よりも行かなかった人の方が多かったようですね。何故行かなかったのか?ということも尋ねていたようで、「期日前投票のことをもっと知らせるようにしなければ」という調査員の感想などをうかがいました。
 以下に、民青同盟シールアンケートの質問項目を転記しておきます。
 
Q 去年、選挙に行きましたか?
 行った/行かなかった
Q 政治や社会に望むことはなんですか?
 憲法9条変えないで 平和な日本を続けたい
 学費下げて 返さなくていい奨学金
 最低賃金1500円 長時間労働なくして

(追記/2018年1月8日)
 民青同盟の神屋高志さんから、シールアンケートの集計結果をお知らせいただきましたのでご紹介します。

Q 去年、選挙に行きましたか?
 行った  34人
 行かなかった  62人 
Q 政治や社会に望むことはなんですか?
 憲法9条変えないで 平和な日本を続けたい  24人
 学費下げて 返さなくていい奨学金  23人
 最低賃金1500円 長時間労働なくして  34人
 ※選択肢以外で、
    給与アップを希望する  1人   
    税金を下げて欲しい  2人
 という人がいたそうです(欄外に貼られたシールですね)。 

DSCN2514
 

和歌山市・新成人アンケート2018(前編)~今日は予告編

 2018年1月6日配信(予定)のメルマガ金原.No.3039を転載します。
 
和歌山市・新成人アンケート2018(前編)~今日は予告編
 
 和歌山市は、成人式「はたちのつどい」を、「成人の日」(1月の第2月曜日)の前日にあたる日曜日に開催するのが例となっており、今年も、明日1月7日(日)午後1時から、和歌山県民文化会館大ホール(キャパ1989席)で開催します(※和歌山市ホームページ報道資料)。
   今年成人式を迎えるのは、「平成9年(1997年)4月2日~平成10年(1998年)4月1日の出生者」であり、該当者数は3,543人で、対前年比56人の減ということです。ちなみに、昨年の成人式参加者は2,115人だったそうですから、昨年並みの参加者があると、キャパが少し足らなくならないか?といささか心配になります。
   昨年までは和歌山ビッグホエールで開催されており、この程度の参加者数は余裕で収容できたのですけどね。もっとも、受付を済ませたからといって、式典の間、全員が会場内でおとなしく座っているというものでもないでしょうし、万一の時は小ホールにも収容して、大ホールから画像と音声を流すという方法もあるでしょうけど。
 
 ところで、この「和歌山市はたちのつどい(成人式)」の会場付近において、市民団体「平和と憲法を守りたい市民の声」(世話人代表:松浦攸吉氏)により、新成人を対象とした意識調査(シールアンケート)がずっと行われてきました。
 このアンケートは、同会の長らく更新されていないブログによると、2005年1月9日に第1回が行われ、その時のテーマは「自衛隊撤退」だったとか。
 たしかに、この時期、2004年1月から始まった自衛隊(陸上&航空)のイラク派遣が大問題となっていましたから、新成人の意見を調べてみようということで始まったのかもしれません。
 
 私が、「平和と憲法を守りたい市民の声」の松浦攸吉さんから誘われて、成人式が行われていた和歌山ビッグホエールを訪れるようになったのは2012年からのことで、毎回、その「取材」結果を「メルマガ金原」で(2013年からはブログでも)レポートするようになりました。
 以下に、2012年(第8回アンケート)から2016年(第12回)までの5回分のテーマと結果をまとめてご紹介します。
 2011年までは、「9条」「自衛隊」など、安全保障関連のテーマだけでアンケートを実施していたものが、2011年3月の東京電力福島第一原発事故をうけ、原発問題との2本立てでアンケートを行うようになったのが2012年からであるとのことです。
 なお、昨年(2017年)は、天候不良のため、成人式自体は挙行されたものの、屋外でのアンケートは無理ということで中止のやむなきに至りました。
 
2012年1月8日(日) 和歌山市の新成人 3,699人
「平和と憲法を守りたい市民の声」第8回新成人アンケート
「あなたが総理大臣だったらどうしますか?」
◎自衛隊について
 ・アメリカの戦争に軍隊として参加する=17人
 ・災害救助に専念する=371人
 ・分からない・決められない等=8人(選択肢にはない)
 回答者計=396人
◎原発について
 ・原発を存続させる=92人
 ・原発を止めて自然エネルギーを目指す=322人
 ・分からない・決められない等=16人(選択肢にはない)
 回答者計=430人
 
2013年1月13日(日) 和歌山市の新成人 3,676人
「平和と憲法を守りたい市民の声」第9回新成人アンケート
「あなたが総理大臣だったらどうしますか?」
◎自衛隊について
 ・他国の戦争に軍隊として参加させる=39人
 ・災害救助隊に専念する=394人
 ・どちらでもない(分からないなど)=4人(選択肢にはない)
 回答者計=437人
◎原発について
 ・原発を存続させる=122人
 ・原発を止めて再生可能エネルギーを目指す=294人
 ・どちらでもない(分からないなど)=15人(選択肢にはない)
 回答者計=431人
 
2014年1月12日(日) 和歌山市の新成人 3,505人
「平和と憲法を守りたい市民の声」第10回新成人アンケート
「あなたならどうする?」
◎憲法9条
 ・「憲法9条」を「知っている」=237人
   「憲法9条」は「いる」 216人 
   「憲法9条」は「いらない」 13人
   分からない 8人(選択肢にはない)
 ・「憲法9条」を「知らない」=132人
 回答者計=369人
◎原発
 ・「原発」は「いる」=110人
 ・「原発」は「いらない」=210人
 ・分からない=34人(選択肢にはない)
 回答者計=354人
 
2015年1月11日(日) 和歌山市の新成人 3,610人
「平和と憲法を守りたい市民の声」第11回新成人アンケート
「あなたはどうしますか?」
◎憲法9条について
 ・変える=48人(10.04%)
 ・わからない=176人(36.82%)
 ・変えない=254人(53.14%)
 回答者計=478人
◎原発再稼働について
 ・再稼働する=161人(33.47%)
 ・わからない=157人(32.64%)
 ・再稼働しない=163人(33.89%)
 回答者計=481人
 
2016年1月10日(日) 和歌山市の新成人 3,537人
「平和と憲法を守りたい市民の声」第12回新成人アンケート
CIMG4960「あなたのご意見をお聞かせください」
◎安保法制で国民は
 ・守られる=93人(18.34%)
 ・危険になる=143人(28.21%)
 ・分からない=271人(53.45%)
 回答者計=507人
◎原発稼働について
 ・即廃炉=93人(19.50%)
 ・段階的廃炉=218人(45.70%)
 ・存続する=166人(34.80%)
 回答者計=477人
 
 以上のアンケート結果の一々についてのコメントはここでは控えます(興味のある方は、それぞれリンク先の私のブログをお読みください)。
 
CIMG4978 そして、明日の通算第13回となる新成人アンケートです。天気予報によると、幸い明日は晴れる模様であり、無事アンケートは実施できるでしょう。ただ、これまでのシールアンケート(2016年の写真を2枚掲載しました)を行うためのボードを県民文化会館前に立てるのは困難であろうということで、調査員1人1人がアンケート用紙を持って新成人からの回答を書き込み、最終的にそれらを集計する計画のようです。あの、毎回松浦さんが(でしょうね)自作されていた、シールを貼っていくボードが姿を消すのは何だか残念なような気がします。
 
 それでは、以下に、明日の新成人アンケートの実施をお知らせしたプレスリリース(松浦さんの依頼により、私が今日FAXで送りました)の主要部分を引用します。アンケートの結果については、明日のブログでご紹介する予定です。つまり、今日は「予告編」という訳ですね。
 なお、プレスリリースを送信するのが前日というのは、いくら何でも遅過ぎますが、まあ、いろいろ事情があったということで。とにかく、送信できて良かったです。
 
(引用開始)
プレスリリース/本文書のみ】
                                                                       2018年1月6日
報道機関 各位
                            平和と憲法を守りたい市民の声
                             世話人代表 松 浦 攸 吉
 
                   1/7 新成人を対象にアンケート調査を行います
 
 平素は私たちの活動にご理解ご協力をいただきまことにありがとうございます。
 今年も当会では、和歌山市の新成人を対象として、成人式「はたちのつどい」会場周辺での意識調査(アンケート)を行うことになりました。
 昨年は、悪天候のため中止のやむなきに至りましたので、2年ぶりの実施となります。
 これまでは、シールアンケートの形で意識調査を行ってきましたが、今年から会場がビッグホエールから県民文化会館に変更されたこともあり、調査担当者が新成人に協力をお願いしてアンケートに答えていただく方式となります。
 今年の新成人アンケートは、下記要領で実施致します。
 例年、多くの新成人がアンケートに協力してくださっており、今年、どのような結果となるか、取材の上、報道していただければまことに幸甚に存じます。
 
                                           記
○と き 2018年1月7日(日)午前11時00分~
○ところ 和歌山県民文化会館(成人式会場)周辺
〇質問予定項目
1 あなたが気になることは?
  森・加計、戦争・紛争、就職、オリンピック、貧困・格差、人間関係、沖縄、憲法、消費税
2 原発について
  必要/なくてもよい
3 紛争について
  武力で解決/対話で解決
 
※お知らせが間際となってしまったことをお詫び致します。
(引用終わり)

『辺野古ゲート前の人びと』(藤本幸久・影山あさ子共同監督作品)の映画館上映がまもなく始まります~上映権付DVDも販売中

 2018年1月5日配信(予定)のメルマガ金原.No.3038を転載します。
 
『辺野古ゲート前の人びと』(藤本幸久・影山あさ子共同監督作品)の映画館上映がまもなく始まります~上映権付DVDも販売中
 
 私自身は毎日事務所に出ていましたが、金原法律事務所としては今日が仕事始めでした。ということで、昨日までの年末年始のように、「大作」ブログを書き続ける時間はないので、いささか省力モードに入ります。もちろん、私自身は「省力」させてもらいますが、ご紹介する中身に「省力」はありません。
 
 昨日、「九条の会・わかやま」事務局の南本勲さんが、9条ネットわかやまMLに、映画『辺野古ゲート前の人びと』を藤本幸久さんと共同監督した影山あさ子さんから届いたメールを紹介し、同作の広報に協力されていましたので、私も微力ながら情報拡散に協力しようと思いつきました。
 影山さんから南本さんのところにメールが届いたのは、南本さんや私が世話人を務めている「守ろう9条 紀の川 市民の会」の憲法フェスタで上映するため、森の映画社が製作した「沖縄ニューズリール」のDVDを南本さんが何本か購入されたからではないかと思います。
 
 影山あさ子監督から届いたメール(BCCで一斉送信したものでしょう)を執筆者に無断で引用しても、引用の趣旨から見て許されるだろうと判断し、以下にご紹介します。
 
(2018年1月4日付・影山あさ子さんからのメール・引用開始)
みなさま、あけましておめでとうございます。
森の映画社・影山です。
年末・年始は、沖縄で撮影でした。
いよいよ負けられない、2018年が始まりました。
13日の大阪・シアターセブンを皮切りに、いよいよ私たちの最新作「辺野古ゲート前の人びと」の劇場公開が始まります。
座り込みに参加する思い、一人一人の人生など、人間を通して辺野古でのたたかいの現在を描く作品です。
抗うものをすべて消去しようとする、”構造的暴力”の現場が辺野古です。
2月4日には名護市長選挙がありますが、稲嶺市長がその権限で、辺野古漁港を作業ヤードに使わせない、美謝川の切り替え工事を認めないことが、埋め立て工事の最大の障害になってます。
辺野古はどうなっているのか、ぜひ、今、ご覧頂きたいと願っています。
作品の詳細・解説→ https://goo.gl/gy3zmC
劇場公開の日程は以下の通りです。
 1/13(土)~ シアターセブン(大阪・十三)
 1/27(土)~ 桜坂劇場(沖縄・那覇)
 2/3(土)~ 元町映画館(兵庫・神戸)
各劇場で、監督+ゲストトークもあります。
上映時間、トークのなどの詳細→こちら
ぜひ、多くの皆様にご覧いただきたく、各劇場用のお得な前売り券(1000円)もご用意しました。*10枚以上のお申込みで、さらにお得になります。
お申し込み方法→こちら
ぜひ、劇場にご来場ください。
今年も辺野古に張り付いて、撮影を続けます。
どうぞよろしくお願いいたします。
 「辺野古ゲート前の人びと」共同監督
   影山あさ子
※森の映画社・札幌編集室 http://america-banzai.blogspot.com/
(引用終わり)
 
 以上が、影山あさ子監督からのメッセージであり、リンク先を開いていただければ、より詳細な情報が得られますが、ややお節介ながら、主要部分を引用させてもらいます。
 
 森の映画社★札幌編集室のホームページに、藤本幸久・影山あさ子両氏のプロフィールが掲載されています。
 その一々を引用することはしませんが、これまでの監督作品のリストを以下にご紹介しておきます。
[藤本幸久監督作品]
「教えられなかった戦争-侵略・マレー半島」(共同監督:高岩仁)(1992年)
「森と水のゆめ~大雪・トムラウシ~」(1998年)
「闇を掘る」(2001年)
「Marines Go Home-辺野古・梅香里・矢臼別」(2005年)
「アメリカばんざい-crazy as usual」(2008年)
「Marines Go Home 2008-辺野古・梅香里・矢臼別」(2008年)
「アメリカ-戦争する国の人びと」(2010年)
「ONE SHOT ONE KILL-兵士になるということ」(2010年)
[藤本幸久・影山あさ子共同監督作品]
「ラブ沖縄@辺野古@高江」(2012年)
「笹の墓標」(2013年)
「圧殺の海」第1章(2015年)
「圧殺の海 第2章 辺野古」(2016年5月)
「高江-森が泣いている」(2016年9月)
「高江-森が泣いている2」(2016年11月)
 
「辺野古ゲート前の人びと」2017年/98分
 監督/藤本幸久・影山あさ子
 プロデューサー/藤本幸久
 撮影/中井信介・藤本幸久・影山あさ子・小田切瑞穂・酒村多緒・栗原良介
 編集/藤本幸久・影山あさ子・中井信介・清水千恵子
 ナレーション/影山あさ子  
 沖縄語監修/玉代㔟 章
 作画/ねこまたや 
 映像協力/蒼井渚・仁尾淳史
 製作・著作/森の映画社
 配給/影山あさ子事務所
 
全国のみなさん、是非この映画を観てください!
山城博治さん(沖縄平和運動センター議長)
 安倍内閣による新基地建設の強行は、ゲート前でスクラムを組んで座り込む県民そして全国からの支援者に容赦のない警察機動隊の暴力となって表出している。
 腕を捻られ、黒あざをつくられ、まるで何かの獲物かのごとくに囲いに放られている。許されない警察権力の暴力が炸裂している。しかしそれでもゲート前の人々はへこたれない。そして明るい。権力を笑い飛ばしながらゲート前に結集する。映画は現下に起きている真実を余すところなく伝える。
 
<構造的暴力>の標的となった沖縄基地反対の声
金平茂紀さん(TVジャーナリスト)
 <暴力>は何も物理的な力で相手を殺傷したり、理不尽な被害を与えることだけを指すのではない。冷徹な意思に基づき、執拗に、計画的に、波状的に、長期にわたって、敵対する者たち、従わない者たち、抗う者たち、少数者たち、異なった者たちといった存在自体を<消去>するべく、膨大なエネルギーが総動員される事態が、歴史上繰り返されてきた。それを僕は<構造的暴力>と呼ぶ。
 この映画のなかの印象的な1シーン。ゲート前で、若い県警機動隊員が、祖父ほどの年齢の県民と押し問答をして会話する。
 「違法な工事をやめろ」という県民に対して、警察官は「裁判官でもないあなたに、決める権利はない」と言う。県民が「決めるのは裁判官じゃない、国民だ」と言うと、警察官は「選ばれた人、裁判官や首相が決める」と言う。県民が「僕らは選んだことはない」と言うと、警官は「それだったら、もう日本から出ていかないと」と言い放つ。
 救いがないほどのすれ違いぶりだ。
 <構造的暴力>の現場では、平等・対等な人間関係などあらかじめ排除されている。<構造的暴力>を行使する側にとって、相手は<消去>の対象なのだから。沖縄の米軍基地建設という国家意思に反対する人々も<構造的暴力>の標的とされ続けている。「土人」とか「シナ人」とかの暴言を浴びせられた人々だ。
 <暴力>とはそのようなものだ。この映像を想像力をめぐらして凝視しようではないか。
 
三歩下がって歩け!
辛淑玉さん(人材育成コンサルタント)
 生活の中に政治があり、抵抗運動がある。
 山城ヒロジが独房から解放される時、妻は「(夫を)一番最後に」と言った。拘束された人はまだいるから申し訳ないと。小さく、か細いで声でそう語る彼女の言葉にシビレた。
 めちゃ素敵。
 男が働いて一家を養うのが当たり前、なんて女の横では男は育たないと実感した。
 史上最大のリストラ、組合潰し目的の国鉄解体のとき、不安に揺れ動いていた男たちの背中を押したのも妻たちだった。「なめられるんじゃない!」と。そう、危機的状況のときは、いつも女が事態を切り開いてきた。
 辺野古の女たちの闘いは朝3時の弁当作りから始まる。食うことは生きること。弁当を広げ、笑いながら語る女たちが本当に美しい。
 辺野古に来て、考えたり、対話したり、学ぶことが嬉しいと語る女性の背後に、抑圧された女の歴史がある。学ぶこと、知ること、それが命をつなぐことなのだ。
 そんな女の人生のジャマをしているのが制服組。見終わって、その滑稽さと、対照的な女の強さが胸に染みる。
 おい、制服組!お前らは女の後ろを三歩下がって歩け!
 
3度見て3度泣いた
仲宗根勇さん(うるま島ぐるみ会議共同代表・元裁判官)
 闘いに参加しているたくさんの人間の多様な個人史を入れ込み、情感溢れる感動作。一人のヒーローではなく、画面に映るひとりびとりが皆人間として尊厳に満ちたヒーローとなった傑作です。
 最高潮は地裁構内「なだれ込み」集会、一糸乱れぬ歌声と「博治を返せ!」の圧倒的場面です。3度見て3度泣けてきました。画面に映るひとりびとりの心からの権力の暴圧への怒りの歌声と病気の人間を自由の空間に取り戻そうという人間愛の絶叫です。
 
あなたに知ってほしい 私の大切な島の人たち
やすまことさん
 私のレジェンドたちの
 お名前と姿をずっと忘れない。
 辺野古ゲート前に座り込む人
 それぞれのライフストーリー
 半分皮肉も込めて、こんなこともうしたくない
 早く死んで楽になりたいって機動隊に囲まれながらつぶやくお年寄りに、戦でたくさんの兄弟を奪われたお年寄りが、何度も死んではだめだよと語りかける姿に泣けた…
 あなたに知ってほしい
 私の大切な島の人たち
 
★大阪(十三)「シアターセブン」★
■1/13(土) 12:30 上映後、監督+ゲストのトークあり!
■1/14(日) 11:40  上映後、監督+ゲストのトークあり!
■1/15(月)~19(金) 12:30
■1/20(土)~26(金)12:00
※1/27(土)以降も続映予定
★沖縄(那覇)「桜坂劇場」★
1/27(土)~2/23(金)
1/27~2/2は上映後、監督+ゲストトークあり。
2/2(金)のゲストは、山城博治さん
■1/27(土) 14:30
■1/28(日) 12:30
■1/29(月)~2/2(金) 14:30
※2/3以降は調整中
★兵庫(神戸)「元町映画館」★
2/3(土)~2/9(金)  連日10:00より
2/3(土)は上映後、影山監督トークショー開催
 
上映権付のDVDの販売を開始します。(チラシA4・裏表はこちら
ご購入いただけば、有料でも無料でも、どんな規模の上映会でも、自由に何回でも開くことができます。(ただし、DVDを他の団体や個人に貸し出しての上映会はできません。複製・コピーもできません。)
[ご注文方法]DVDの枚数・お送り先ご住所・お名前・お電話番号を持森の映画社札幌編集室まで、FAXかメールでお知らせください。請求書と郵便払い込み用紙を添えてDVDをお送りします。代金は到着後で結構です。
 FAX011-351-1068 メールはこちら(※リンク先をご覧ください)
 
 チラシを読んでみると、上映権付DVDは20,000円で購入できます。
 そういえば、「圧殺の海 第2章 辺野古」も「高江-森が泣いている2」も、和歌山では、和歌山県平和フォーラムが上映権付DVDを購入して上映会を開いたのだった。今度の「辺野古ゲート前の人びと」も購入するように頼んでみようかな(私から頼むまでもなく、森の映画社から当然案内が届いているでしょうが)。
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/「森の映画社」関連)
2015年2月20日
2015年8月2日
2016年11月16日
2017年2月24日

著作権保護期間「70年」で本当にいいのか?~元旦(パブリック・ドメイン・デイ)の青空文庫「そらもよう」を読んで

 2018年1月4日配信(予定)のメルマガ金原.No.3037を転載します。
 
著作権保護期間「70年」で本当にいいのか?~元旦(パブリック・ドメイン・デイ)の青空文庫「そらもよう」を読んで
 
 
 ところで、その翌月、12月9日には、第192回国会(臨時会)において、著作権法改正を含む「環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律案」が成立し、1週間後の12月16日に公布されました。同法で改正の対象となったのは、以下の11の法律です。
 
第1条 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
第2条 特許法
第3条 商標法
第4条  関税暫定措置法
第5条 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
第6条 畜産物の価格安定に関する法律
第7条 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律
第8条 著作権法
第9条 独立行政法人農畜産業振興機構法
第10条 特定農林水産物等の名称の保護に関する法律
第11条 経済上の連携に関する日本国とオーストラリアとの間の協定に基づく申告原産品に係る情報の提供等に関する法律
  
  著作権の保護期間は、著作権法51条ないし58条が規定しています。その条文(の主要部分)を引用しましょう。著作権法は次のように定めていました。
 
(保護期間の原則)
第五十一条 著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる。
2 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。 
(無名又は変名の著作物の保護期間)
第五十二条 無名又は変名の著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年を経過するまでの間、存続する。ただし、その存続期間の満了前にその著作者の死後五十年を経過していると認められる無名又は変名の著作物の著作権は、その著作者の死後五十年を経過したと認められる時において、消滅したものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 変名の著作物における著作者の変名がその者のものとして周知のものであるとき。
二 前項の期間内に第七十五条第一項の実名の登録があつたとき。
三 著作者が前項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したとき。
(団体名義の著作物の保護期間)
第五十三条 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後五十年(その著作物がその創作後五十年以内に公表されなかつたときは、その創作後五十年)を経過するまでの間、存続する。
2 略
3 略
(映画の著作物の保護期間)
第五十四条 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年(その著作物がその創作後七十年以内に公表されなかつたときは、その創作後七十年)を経過するまでの間、存続する。
2 略
3 略 
第五十五条 削除
(継続的刊行物等の公表の時)
第五十六条 略
(保護期間の計算方法)
第五十七条 第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項又は第五十四条第一項の場合において、著作者の死後五十年又は著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年の期間の終期を計算するときは、著作者が死亡した日又は著作物が公表され若しくは創作された日のそれぞれ属する年の翌年から起算する。
(保護期間の特例)
第五十八条 略
 
 ところが、2016年12月に成立したTPP関係法律整備法で、著作権保護期間がどのように改正されたか見ておきましょう。
 
(著作権法の一部改正)
第八条 著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)の一部を次のように改正する。
 略
 第五十一条第二項中「五十年」を「七十年」に改める。
 第五十二条第一項中「公表後五十年」を「公表後七十年」に改め、同項ただし書中「五十年」を「七十年」に改める。
 第五十三条第一項中「五十年」を「七十年」に改める。
 第五十七条中「五十年、著作物の公表後五十年若しくは創作後五十年」を「七十年」に改める。
 略
 附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、環太平洋パートナーシップ協定が日本国について効力を生ずる日(第三号において「発効日」という。)から施行する。(ただし書は略す)
(著作権法の一部改正に伴う経過措置)
第七条 第八条の規定による改正後の著作権法(次項及び第三項において「新著作権法」という。)第五十一条第二項、第五十二条第一項、第五十三条第一項、第五十七条並びに第百一条第二項第一号及び第二号の規定は、施行日の前日において現に第八条の規定による改正前の著作権法(以下この項において「旧著作権法」という。)による著作権又は著作隣接権が存する著作物、実演及びレコードについて適用し、同日において旧著作権法による著作権又は著作隣接権が消滅している著作物、実演及びレコードについては、なお従前の例による。
2 略
3 略
 
 附則1条のとおり、この法律は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)が米国の離脱宣言によって発効のめどが立たなくなった現在、当然まだ施行されておらず、著作権保護期間は何年かといえば、当然「50年」のままです。
 ちなみに、「映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後七十年」という54条の規定は、TPPとは関係なく、2003年に「50年」から「70年」に延長されていました。
 また、附則7条は、著作権保護期間を「70年」とする改正規定が施行される日(TPP発効日)の前日までにパブリック・ドメインとなっていた作品については、著作権保護は復活せず、そのままフリーで使えるという趣旨です。
 
 ところで、保護期間延長に反対する立場の者(私もそうですが)にとって、これで一安心というわけにはいきません。何しろ、著作権法自体は既に「改正」されてしまっているのですから、環太平洋パートナーシップ協定発効を施行の条件とする附則さえ改正すれば、あっという間に保護期間70年に出来るのです。
 
 その上、政府、財界はTPPを諦めてなどおらず、次のようなニュースがメディアを賑わしています。
 
Sankei Biz=共同 2017.11.14 05:00
TPP新協定、11カ国大筋合意 著作権保護期間など20項目を凍結
(引用開始)
 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加11カ国がベトナム中部ダナンで開いた閣僚会合で、議長国の日本とベトナムは11日に新協定の内容に大筋合意したと発表した。閣僚声明は最終合意に向け「努力を継続する」と明記し、日本は来年の早い時期の署名を目指す。
 米国離脱に伴う凍結対象は著作権の保護期間など20項目。カナダなどが求めた4項目は積み残し、協議を続ける。
 農林水産物の関税削減は維持しつつ、一部の貿易ルールは発効後に見直し可能とした。早期発効に向けた条件緩和も盛り込んだ。
 凍結対象は米国の要求で通った項目が多く、米国並みに作者の死後70年間の著作権保護を義務付ける規定もその一つ。医薬品のデータ保護期間を実質8年とする規定や、企業が進出先の国を提訴できる仕組みの一部も凍結する。対象は付属書を含む全項目の2%で、知的財産や投資の分野が中心。米国が復帰すれば凍結を解除する。
 新協定の正式名称は「包括的および先進的な環太平洋連携協定」。署名後、6カ国の国内承認手続きが完了してから60日後に発効する。承認国の国内総生産(GDP)に関する条件を外し、国の数だけにした。(ダナン 共同)
(引用終わり)
 
 米国抜きの「包括的および先進的な環太平洋連携協定」では凍結されたという著作権保護期間70年条項ですが、保護期間70年問題については、前門の虎(米国)の他に、後門の狼(EU)がいることを忘れてはならないのでした。
 
沖縄タイムス+=共同 2017年12月8日 22:57
日欧EPA交渉が妥結 首脳が電話会談、関税削減撤廃へ
(抜粋引用開始)
 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が8日、妥結した。輸入品にかける関税の相互撤廃・引き下げや知的財産のルールなど大半の分野で合意に達し、これらを協定化して2018年夏ごろに署名。19年の早い時期に主要部分の発効を目指す。安倍晋三首相がユンケル欧州委員長と電話会談し、妥結を表明した。投資に関する企業と国家の紛争解決手続きは7月の大枠合意後も溝が埋まらず、別の協定に切り離す方向で協議を続ける。
(略)
(引用終わり)
 
日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート
外務省経済局 平成29年12月15日
(抜粋引用開始)
14 知的財産
(2)主な内容
イ 知的財産に関する基準
 著作権及び関連する権利
著作者,実演家,レコード製作者及び放送機関の権利の保護,著作物等の保護期間の延長(著作者の死後70年等),権利の制限と例外等について規定する。
(引用終わり)
 
 以上のようなまことに厳しい情勢の下、今日読んだ青空文庫から読者へのメッセージ「そらもよう」をご紹介しようと思います。青空文庫では、毎年1月1日、その日からパブリック・ドメインとなった作家を紹介するのが恒例となっています。
 
青空文庫 そらもよう 2018年01月01日
昭和という時代のアーカイヴを目指して
(抜粋引用開始)
 今年なればこそ、ことさら大きな声で言祝ぎましょう。ハッピー・パブリック・ドメイン・デイ!2018年の年始は、青空文庫が元旦の作品公開を始めて以降、最大の作家数でお届けします。
  鮎川 義介「革命を待つ心――今の実業家、昔の実業家――」
  勝本 清一郎「カフェー」
  金沢 庄三郎「『辭林』緒言」
  木村 荘十「雲南守備兵」
  窪田 空穂「花」
  島 秋人「遺愛集 あとがき」
  新村 出「『広辞苑』自序」
  薄田 太郎「広島という名の由来」
  恒藤 恭「学生時代の菊池寛」
  壺井 栄「二十四の瞳」
  時枝 誠記「国語学と国語教育」
  富田 常雄「転がり試合 柔道と拳闘の」
  中村 清太郎「残雪の幻像」
  野上 彰「本因坊秀哉」
  早川 鮎子「穂高岳屏風岩にて」
  菱山 修三「再びこの人を見よ ――故梶井基次郎氏」
  秘田 余四郎「字幕閑話」
  三宅 周太郎「中村梅玉論 大根か名優か」
  森 於菟「放心教授」
  矢崎 源九郎「絵のない絵本 解説」
  柳原 白蓮「私の思い出」
  矢部 貞治「政治学入門」
  山浦 貫一「老人退場説」
  山本 周五郎「青べか物語」
  吉田 茂「私は隠居ではない」
  吉野 秀雄「秋艸道人の書について」
  淀野 隆三「思ひ出づるまゝに」
  笠 信太郎「デモクラシーのいろいろ」
 以上、28名の作家による28篇の文章を、社会に共有の許された財産として、誰でも自由に触れられる青空の本棚に挿し入れたいと思います。
 特に、青空文庫の呼びかけ人・富田倫生さんの大好きだった山本周五郎「青べか物語」を、無事に公開できることを仲間のひとりとして、たいへん嬉しく感じています。
 さて今回こうして、いつも以上に大勢の作家をご紹介するのは、大きな理由があります。というのも今わたしたちは、時代の大きな境目にいて、大事な瀬戸際に立っているからです。
 昨年末、日本とEU間の経済連携協定(EPA)が合意に達したとの報道がなされました。7月には大筋合意がなされていましたが、その内容は4ヵ月間伏されたままで、なんと11月にひっそりと公開されたその内容には、著作権保護期間を現行の死後50年から70年へと延長するという項目も含まれていたのです。
 TPP(環太平洋経済連携協定)からアメリカ合衆国が離脱し、知財項目も凍結されようという趨勢のなか、その逆を行く交渉が、国民に明らかにされないまま進められ、決定されたことになります。
 EPAの実際の発効は2019年頃と目されていますが、ご存じの通り、その年は「平成」という時代が終わる年でもあります。このまま進むと、来年年始をいったんの節目としてパブリック・ドメイン・デイは20年間訪れないことになり、ある文化が共有財産になるかならないかの区切りが、1968(昭和43)年と1969(昭和44)年のあいだに引かれることとなります。
 平成という30年の時を経て、昭和という時代も遠くなりつつあります。今年からパブリック・ドメインとなる作家たちも、その「昭和」を象徴する人たちが少なくありません。
 吉田茂は、言うまでもなく、戦後昭和とその復興を牽引した政治家のひとりです。富田常雄の代表作「姿三四郎」や、壺井栄の「二十四の瞳」は、繰り返し映画やTVの原作として映像化されました。
 映画好きの方であれば、秘田余四郎の名を懐かしく思う方もあるでしょう。字幕翻訳者として「天井桟敷の人々」「禁じられた遊び」などの映画を手がけましたが、なかでも彼の訳した「第三の男」の台詞「今夜の酒は荒れそうだ」は、人々の記憶に残るものとなっています。
 これからのアーカイヴには、原作のみならずその映像化作品をどう残していくか、そこへのアクセスをどうするかも問題となるでしょう。海外の映画であれば、その作品そのものだけでなく、受容に大きな役割を果たした字幕などの「翻訳台本」をどう保存して伝えていくかも、同じく課題になってくるはずです。
 しかし今の状況そして法律は、こうした昭和の文化を「あとに残して世に開く」行為を支えるものとなっているでしょうか。今後失われるかもしれない20年のパブリック・ドメインは、まさに昭和の記憶と証言の核を作ってゆくものです。
 また昨年を振り返ってみれば、あらためて近代文芸とその作家たち、そしてそこに関わった人々の関係性が再注目された一年でもありました。この元旦に公開する作品・作家も、互いに縁のあるものが少なくありません。
 菱山修三と淀野隆三はともに、昭和初期のモダニズムの機運を作った詩誌「詩と詩論」の同人でありました。
 また、昭和の自然主義的短歌の流れを生んだ窪田空穂はその晩年に、獄中から歌人を志した島秋人を見出しています。
 戦後の日本語を記録し日本社会を反映し続けた辞書「広辞苑」は新村出の名とともに普及していますが、対抗する辞書「広辞林」の元となり新村編の「辞苑」にも先行する金沢庄三郎の「辞林」も、欠くべからざるものです。
 これらが死蔵されてゆくのか、ただ限られた場でのみ公開されるものとなるのか。それとも、自由なものとして広く共有されるものとなるのか。この差は、アーカイヴにとっても、わたしたちの社会にとっても、大きな違いとなりましょう。
 平成を終えるにあたって、昭和という過去をいかにアーカイヴするのかは、わたしたち自身に突きつけられた課題なのです。
(略)
 21年目へと漕ぎ出す青空文庫というささやかな舟に、どうか良き日和と風、人のご縁がありますように。(U)
(引用終わり)
 
 この「そらもよう」を読んで、政府のEUとの合意の結果、遅くとも再来年1月1日以降は、あらたにパブリック・ドメインとなる著作物が20年間生まれない(公有の著作物が20年間全く増加しない)という危機が迫っているのだということを知り、驚かれた方も多いと思います。実は、私も今日、この「そらもよう」を読んで驚き、関連情報を検索した結果、今日のブログに取り上げることにしたものです。
 
 新年早々、何だかとても陰鬱な気分になってしまいそうですが、1月1日に青空文庫入りした28作品の内、私は今日、柳原白蓮「私の思い出」(1954年『ことたま』所収)を読みました。
 柳原白蓮(やなぎわら・びゃくれん)という著名な歌人の名前は、「白蓮事件」という何やらスキャンダラスな話柄とともに聞き覚えがあるという程度であり、その文章を読んだのは初めてでした。
 最後に、「私の思い出」の末尾近くの文章を引用したいと思います。今日、この文章を読めたのも、元旦から「私の思い出」がパブリック・ドメインになったからこそであることを心に刻みながら。
 
(引用開始)
 今はこうして老年になりましたが、しかしふしぎに、魂は年とともに、いきいきと、若く新しく育ってゆくような気がします。一九四五年(昭和二〇)、最愛の息子の戦死から、私の魂に革命を起こしました。
 幾百万戦死者を犬死いぬじにさせてはならない。この世は平和でありよろこびの天地でなければならないと思うのです。人間にどうにもならない運命があるように、国にも運命があると思うのです。世界は何か目に見えない運命の動きが足音たてて進んでいるのです。
(引用終わり)

NDシンポジウ「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」(2017年12月11日@名護市)を視聴する

 2018年1月3日配信(予定)のメルマガ金原.No.3036を転載します。
 
NDシンポジウ「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」(2017年12月11日@名護市)を視聴する
 
 2017年12月11日(月)19時30分から、沖縄県名護市民会館大ホールで開催予定の新外交イニシアティブ(ND)シンポジウ「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」の予告記事を、ND事務局長である猿田佐世弁護士のマルチポストによる呼びかけメールを転送する形でブログに掲載したのは11月26日のことでした(求拡散!12/11新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム(沖縄・名護)/「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-)。
 そこで引用した猿田さんのメールの一部をここでも引用したいと思います。
 
(抜粋引用開始)
沖縄・辺野古では埋め立ての前段階である護岸工事が、徐々に進められています。
そんな中、沖縄は2018年の選挙イヤーを迎え、まずは、2月4日に、名護市長選が行われます。
沖縄では7割以上の人々が辺野古基地建設に反対しているものの、衆院選では、オール沖縄側(翁長知事側)が、一議席落としており、名護市長選は、辺野古基地建設反対の陣営が勢いを盛り返せるかどうかの、まさに正念場でもあります。
私たちNDでは、選挙を視野に、稲嶺進現市長もおよびして、下記の大型シンポジウムを企画しました。人口6万人の名護市で1000人超の企画を行うのは、ある意味、無謀でもあるのですが、稲嶺現市長の再選に向けた勢いづけの決起集会としても、辺野古反対の改めての盛り上げ、そして、基地建設を止めるためにも、何としてもこの企画を成功させなければならないと思っています。
(引用終わり)
 
 今日は、そのシンポジウムを収録したIWJ沖縄の中継録画(幸い、非常にクリアな画質と音声であり、全編無料視聴できます)をご紹介しようと思うのですが、このIWJの動画には、キャパ1075席の会場内の映像が写っていないので、参加者数の見当がつかないのですよね。
 分からないと、かえって気になりますから、少し調べてみたところ、琉球朝日放送サイトの中の「Qプラス」というニュース番組のコーナーで、「「辺野古が唯一」に立ち向かうシンポジウム」として、ニュースで流された動画が掲載されているのを見つけました。
 この動画には、客席の様子も写っています。午後7時半に開演した後、既にパネルディスカッションが始まっていますから、早くても開演から25分経過した時点での客席の状況であり、これからさらに増えたということはないでしょう。和歌山で様々な企画に関与し、客席の入りを気にかける経験を積み重ねてきた私の目から見たところ、ざっと7割の入りといったところでしょうか。冒頭の平良朝敬氏(かりゆしグループ前CEO)の基調報告が終わったところで、かりゆしグループの社員が(開演から30分も経っていないのに)ぞろぞろ退席したとは考えにくいですし。間違っていたらご免なさい、なのですが。
 まあ、普通に考えれば、これでも十分「成功」の部類に入ると思うのですが、何しろ2014年1月10日に同じ会場で行われたNDシンポは、立ち見も出るという熱気あふれるものでしたからね。ついそれと比較してしまうのはやむを得ません。
 
 2月4日投開票の名護市長選挙に向けて、自民党・公明党が押す前名護市議の渡具知武豊氏に対する政府の露骨な肩入れが伝えられる中、現職の稲嶺進市長の陣営も危機感を強めているのではと推測されます。
 名護市民でない者にとっては、遠くから声援を送るしかないのですが、是非、稲嶺市長に当選していただきたいと願っています。
 
 さて、それでは、12月11日のシンポジウム「「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう-安全保障・経済の観点から-」の中継動画をご紹介します。明示はされていませんが、おそらく2月4日までは全編無料視聴できると思います(私の想像です)。
 
 なお、事前告知では登壇者の中にお名前のなかった名桜(めいおう)大学の真喜屋美樹准教授は、ネット検索してみると、出身の早稲田大学から学位(国際関係学博士)を授与されており、「在沖米軍基地跡地利用開発」を主要研究課題とされていることが分かりました(※名桜大学研究者総覧。また、2013年3月には、大阪市立大学研究員として、人文地理学会政治地理研究部会において、「沖縄島内軍事基地跡地の民生転換:中南部都市圏3事例の検証から」という研究発表をされています(※政治地理研究部会第4回研究会報告。普天間などの米軍基地返還を平和運動の視点から論じるだけでは解決しない問題はいくつもあるということですね。
 ところで、「真喜屋美樹」をネット検索すると、QAB(琉球朝日放送)アナウンサーに同姓同名の人が登場しますが、どうやら同一人物のようであり、しかも、さらに以前には「NHKの顔」(アナウンサー?)だったこともあるとか(猿田さんによる登壇者紹介)。すごい経歴ですね。
 
新外交イニシアティブ(ND)シンポジウム(沖縄・名護)「辺野古が唯一の選択肢」に立ち向かう―安全保障・経済の観点から― 2017.12.11(2時間03分)
IWJ 記事公開日:2017.12.19 動画
冒頭~ 主催者挨拶 猿田佐世氏(ND事務局長、弁護士)
3分~ 挨拶 稲嶺進氏(名護市長)
13分~ 基調報告 平良朝敬氏(一般財団法人 沖縄観光コンベンションビューロー会長)「やんばるの魅力と観光」
25分~ パネルディスカッション(コーディネーター:猿田佐世氏)
 28分~ 柳澤協二氏(ND評議員、元内閣官房副長官補)
 43分~ 半田滋氏(東京新聞論説兼編集委員)
 57分~ 屋良朝博氏(ND評議員、元沖縄タイムス論説委員)
 1時間11分~ 真喜屋美樹氏(公立大学法人名桜大学准教授)
 1時間27分~ ディスカッション
 
(弁護士・金原徹雄のブログから/新外交イニシアティブ関連)
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