2021年10月20日配信(予定)のメルマガ金原No.3499を転載します。
※Facebookに投稿したものを一部修正の上転載するものです。
「自民党政策BANK(令和3年版)」を読み、あらためて自民党改憲4項目を思い出す
いよいよ衆院総選挙が公示され、各党が公約集を公表しており、各メディアで主要項目についての比較などが行われています。
本来なら、各政党の公約集に直接あたって読んでみるのが最も良いのですが、なかなかそれだけの時間をとるのは難しく、新聞などに掲載されている一覧表に頼るのもある程度やむを得ないところです。
但し、あまりに簡単に要約され過ぎても趣旨を誤解しかねず、またあまりに詳しいと読むだけでくたびれてくるし、各党の比較がしにくいということになったりします。
やはり、自分が重大な関心を抱いている分野については、各政党の公約集に直接あたってみるべきでしょう。
ということで、「自民党政策BANK(令和3年度版)」としてホームページで公開されている自民党政策集の内、「憲法改正」と「安全保障」関連の公約に目を通してみました。以下に主要部分を引用します。
「8 日本国憲法の改正を目指す。」
(引用開始)
○「現行憲法の自主的改正」は結党以来の党是であり、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理は今後とも堅持し、国民の幅広い理解を得て、憲法改正への取組みを更に強化します。
○わが党は憲法改正の条文イメージとして、①自衛隊の明記、②緊急事態対応、③合区解消・地方公共団体、④教育充実の4項目を提示しています。衆参の憲法審査会を安定的に開催し、憲法の本体論議及び国民投票法について積極的に議論を進めます。
○憲法及び憲法改正に関する国民の幅広い理解を得るため、党内外、全国各地での取組みを積極的に行います。○憲法改正に関する国民意識を高め、憲法改正原案の国会発議、国民投票の実施、早期の憲法改正を目指します。
(引用終わり)
「6 「毅然とした日本外交の展開」と「国防力」の強化で、日本を守る。」から「安全保障」
(引用開始)
○中国の急激な軍拡や、尖閣諸島・台湾周辺等における軍事活動の急速な活発化・力を背景とした一方的な現状変更の試み、北朝鮮の核・ミサイル開発の進展、最先端技術を駆使した“戦い方”の変化など、安全保障環境が激変しており、その対応を抜本的に見直します。
○いかなる事態にあっても、国民の命や平和な暮らし、領土・領海・領空を断固守り抜くとともに、宇宙・サイバー・電磁波等の新領域における体制強化などの取組みをこれまで以上に加速化する必要があり、令和4年度から防衛力を大幅に強化します。
○自らの防衛力を大幅に強化すべく、安全保障や防衛のあるべき姿を取りまとめ、新たな国家安全保障戦略・防衛計画の大綱・中期防衛力整備計画等を速やかに策定します。NATO諸国の国防予算の対GDP比目標(2%以上)も念頭に、防衛関係費の増額を目指します。
(略)
○AI・極超音速などのゲームチェンジャー技術や、次期戦闘機などの研究開発を強化・加速化し、先進的技術の活用推進により技術的優越を確保するとともに、防衛技術・産業基盤を強化します。このため、大幅な予算増と抜本的な体制強化を実施します。
(略)
○重要土地等調査法に基づいて、防衛施設等の重要施設や国境離島等の機能を阻害する土地等の利用の防止を確実に図ります。2022年9月の施行に向け、基本計画と政省令整備を進め、制度の実効性を高めます。
(引用終わり)
防衛予算を概ね対GDP比1%以内とするという従来の慣行(現状ではこう言うべきでしょうね)を放擲し、「2%以上も念頭に」「増額を目指し」「大幅な予算増」を「実施」するそうです。
ということで、あらためて自民党改憲4項目について思い出す必要を感じます。
幸い、2017年11月21日に、「憲法9条を守る和歌山弁護士の会」が「リレートーク・自民党改憲4項目の検証」を開催しており、その時の動画もまだ視聴できます。
リレートーク 自民党・改憲4項目の検証 憲法9条を守る和歌山弁護士の会(1時間57分)
冒頭~ 司会 伊藤あすみ弁護士
0分~ 開会挨拶 山﨑和友弁護士(共同代表)
9分~ 第1トーク「自衛隊明記(9条加憲論)」 芝野友樹弁護士
31分~ 第2トーク「緊急事態条項」 浅野喜彦弁護士
54分~ 第3トーク「教育無償化+参議院の合区解消」 重藤雅之弁護士
1時間12分~ 第4トーク「国民投票をみすえたこれからの運動」 藤井幹雄弁護士(共同代表)
1時間41分~ 質疑応答
1時間52分~ 閉会挨拶 豊田泰史弁護士(共同代表)
私のブログでもレポートしており、登壇者によるレジュメも掲載しています。
※レジュメPDF
また、改憲問題対策法律家6団体連絡会が2019年に作成した『自民党憲法改正推進本部作成改憲案「Q&A」』に対する徹底批判』は1部100円で頒布されていましたが、ネットでPDFをダウンロードすることもできます。
以上、ご参考までに。