「メルマガ金原アーカイブス」として、2011年9月21日に配信したNo.565を載録します。同年9月19日に明治公園で開催された大集会での文字通り「歴史に残る」武藤類子さんのスピーチ書き起こしをご紹介したものです。

(必読!)スピーチ書き起こし9/19「さようなら原発5万人(6万人)集会」

 去る9月19日(月・敬老の日)、東京の明治公園で開かれた「さようなら原発5万人(6万人)集会」でのスピーチ映像は既にご紹介済みですが(No.560、564)、
いずれ、この人なら、スピーチ全文の書き起こしをやってくれるだろうと期待していた「きいこちゃん」こと「みんな楽しくHappy♡がいい♪」の管理人さんが、やはり書き起こしをやってくれました。
 
 OurPlanet-TVの中継画像も再掲します。

0分~ 鎌田慧さん 
4分~ 大江健三郎さん 
9分~ 内橋克人さん 
12分~ 落合恵子さん 
17分~ 澤地久枝さん 
25分~ フーベルト・ヴァイガーさん(FoEドイツ代表/逐次通訳)
32分~ 山本太郎さん 
36分~46分 武藤類子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会) 

 全て素晴らしいスピーチですが、私が特に深い感銘を受けた武藤類子さんのスピーチについてだ
け、「きいこちゃん」の書き起こしを、スピーチを聴き直しながら、私自身で校正しました。
 以下に、武藤類子さんのスピーチ全文を引用します。
 これだけでも、是非読んでください。そして、録画を視聴してください。
 このスピーチに心を動かされない人がいようとは信じられません。
 そのような人はいないと信じたい・・・たとえ、「あの」日本経団連の会長であってもです。

(引用開始)
武藤類子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)のスピーチ全文
 福島のみなさん、どうぞ一緒に立ちあがって下さい。
 みなさんこんにちは。福島からまいりました。今日は福島県内から、それから、避難先から、何台
もバスを連ねて沢山の仲間たちとやってまいりました。初めて集会やデモに参加する人も沢山います。それでも、「福島原発で起きた悲しみを伝えよう」「私たちこそが原発いらないの声を上げよう」と声を掛け合い、誘いあってやって来ました。
 初めに申し上げたいことがあります。
 3.11からの大変な毎日を、命を守るためにあらゆることに取り組んできたみなさんひとりひとりを
深く尊敬いたします。
 それから、福島県民に温かい手を差し伸べ、つながり、様々な支援をして下さった方々にお礼を
申し上げます。
 ありがとうございます。
 そして、この事故によって、大きな荷物を背負わせることになってしまった子どもたち、若い人々に、
このような現実を作ってしまった世代として、心から謝りたいと思います。
 ほんとうにごめんなさい。
 さて、皆さん、福島はとても美しいところです。東に紺碧の太平洋を望む浜通り。桃、梨、リンゴ
と果物の宝庫の中通り。猪苗代湖と磐梯山の周りに黄金色の稲穂が垂れる会津平野。その向こうを深い山々が縁取っています。山は青く、水は清らかな、私達のふる里です。
 3.11原発事故を境に、その風景に目には見えない放射能が降り注ぎ、私達は被ばく者となり
ました。大混乱の中で、私達には様々なことが起こりました。素早く張り巡らされた安全キャンペーンと不安のはざまで、引き裂かれていく人と人とのつながり。地域で、職場で学校で、家庭の中で、どれだけの人が悩み悲しんだことでしょう。
 毎日毎日否応なく迫られる決断。逃げる、逃げない。食べる、食べない。子どもにマスクをさせる、
させない。洗濯物を外に干す、干さない。畑を耕す、耕さない。何かに物申す、黙る。さまざまな苦渋の選択がありました。
 そして今、半年という月日の中で次第に鮮明になってきたことは、
 「事実は隠されるのだ」
 「国は国民を守らないのだ」
 「事故はいまだに終わらないのだ」
 「福島県民は核の実験材料にされるのだ」
 「莫大な放射能のゴミは残るのだ」
 「大きな犠牲の上になお、原発を推進しようとする勢力があるのだ」
 「私達は捨てられたのだ」
 私達は疲れとやりきれない悲しみに深いため息をつきます。でも、口をついて出てくる言葉は、
 「私達をバカにするな」
 「私達の命を奪うな」
です。
 福島県民は今、怒りと悲しみの中から静かに立ち上がっています。「子どもたちを守ろう」と、母親
が父親が、おじいちゃんが、おばあちゃんが、「自分たちの未来を奪われまい」と若い世代が、大量の被ばくにさらされながら事故処理に携わる原発従事者を助けようと労働者たちが、土地を汚された絶望の中から農民が、放射能による新たな差別と分断を生むまいと障害を持った人々が、一人ひとりの市民が、国と東電の責任を問い続けています。
 そして、「原発はもういらない」と、声を上げています。
 私達は静かに怒りを燃やす東北の鬼です。私たち福島県民は、故郷を離れる者も、福島の地に
留まり生きる者も、苦悩と責任と希望を分かち合い、支え合って生きていこうと思っています。
 私達と繋がって下さい。
 私達が起こしているアクションに注目して下さい。
 政府交渉、疎開裁判、避難、雇用、除染、測定、原発、放射能についての学び、そして、どこ
にでも出かけ、福島を語ります。
 今日は遠くニューヨークでスピーチをしている仲間もいます。
 思いつく限りのあらゆることに取り組んでいます。
 私達を助けて下さい。
 どうか、福島を忘れないでください。
 もうひとつ、お話ししたい事があります。
 それは私達自身の生き方、暮らし方です。私達は何気なく差し込むコンセントの向こう側を想像
しなければなりません。便利さや発展が差別と犠牲の上に成り立っていることに思いをはせなければなりません。原発はその向こうにあるのです。
 人類は地球に生きるただ一種類の生き物にすぎません。自らの種族の未来を奪う生き物が、他
にいるでしょうか?私はこの地球という美しい星と調和した、まっとうな生き物として生きたいです。ささやかでも、エネルギーを大事に使い、工夫に満ちた豊かで創造的な暮らしを紡いでいきたいです。
 どうしたら、原発と対極にある新しい世界を作っていけるのか、誰にも明確な答えは分かりません。
出来ることは、誰かが決めたことに従うのではなく、一人ひとりが、本当に、本当に、本気で自分の頭で考え、確かに目を見開き、自分が出来ることを決断し、行動することだと思うのです。
 一人ひとりにその力がある事を思い出しましょう。私達は誰でも変わる勇気を持っています。奪われ
てきた自信を取り戻しましょう。
 原発をなお進めようとする力が垂直にそびえる壁ならば、限りなく横に広がり繋がり続けていくことが
私達の力です。
 たった今、隣にいる人と、そっと手をつないでみて下さい。見つめ合い、お互いの辛さを聞き合いまし
ょう。涙と怒りを許しあいましょう。今つないでいるその手のぬくもりを日本中に世界中に広げていきましょう。
 私たち一人一人の背負っていかなければならない荷物が途方もなく重く、道のりがどんなに苛酷で
あっても、目をそらさずに支え合い、軽やかに、朗らかに生き延びていきましょう。
 ありがとうございました。
(引用終わり)