今晩(2013年4月7日)配信した「メルマガ金原No.1318」を転載します。

シンポジウム「原発災害と生物・人・地域社会」(飯舘村放射能エコロジー研究会)

 2012年8月に設立された「飯舘村放射能エコロジー研究会」という組織があり
ます。
 公式サイトに掲載された「発足にあたって」を、少し長くなりますが全文引用します。

(引用開始)
 昨年3月11日の地震・津波をきっかけとして発生した福島第1原発事故は、3つの原子炉のメルトダウンという、原発で起こりうる最悪の事態に至り、大量の放射能が大気と海に放出された。最も大量に放射能が放出された3月15日の午後、放射能を含む大気は、折からの北西方向への風によって、阿武隈山地をはい上がって飯舘村の方向へ流れた。飯舘村は、福島第1原発から30~45kmに位置し、農業を中心に原発とは縁のない村作りを進めてきた村である。放射能を含む大気が飯舘村にさしかかった15日の夕刻、たまたま降雪と重なったことが飯舘村に大量の放射能沈着をもたらすことになった。以来、飯舘村の人々の生活は一変してしまった。飯舘村の人にとって、突然に空から降ってきた放射能汚染は、まったく“不条理”な災難だった。
 飯舘村放射能エコロジー研究会(IISORA: Iitate-mura Society for
Radioecology)は、突然の放射能汚染、放射線被曝、避難生活、生業喪失といった事態が、飯舘村の人々や自然に何をもたらし、これから何をもたらすのか、村人の生活再建はどうあるべきか、調べ、記録し、分析し、飯舘村の人々が被った“不条理”を地元の人々とともに社会に発信しようとする研究者やジャーナリスト、ならびにそうした活動の協力者の集まりである。日本大学の糸長は、住民参画の村づくりのプランニングを通じ、福島事故の20年以上前から飯舘村に関わって来た。環境ジャーナリストの小澤も、福島事故以前から、木質チップボイラー導入など飯舘村での自然エネルギー利用に関わってきた。京都大学の今中は、事故以来、飯舘村の放射能汚染調査を行っている。チェルノブイリ事故の経験が明らかにしているように、大規模原子力災害にともなう被害は、放射能汚染、放射線被曝といった原子力特有の問題に限らず、個人生活や地域社会の破壊、地域経済の破壊、さらには生態系の破壊といった問題にまで及んでくる。事故被害の全体像を明らかにするには、さまざまな分野の専門家による共同作業が不可欠である。IISORAは、飯舘村調査を通じて知り合ったもの同士が、そのような共同作業を行う場として2012年8月に発足した。“事務局”といったものを必要とするような集まりではなく、とりあえず、糸長、小澤、今中の3人が世話人を務め、今後、シンポジウムやホームページを通じて、それぞれの活動の成果について情報発信を行うつもりでいる。
(引用終わり)

 その飯舘村放射能エコロジー研究会が、去る2013
年3月30日(土)、東京大学農学部弥生講堂一条ホールを会場として、以下のシンポジウムを開催しました。
※チラシはこちら

 内容は以下のとおり、3部構成という盛り沢山なものでした。

(チラシより引用開始)
原発災害と生物・人・地域社会
福島の事故でわかってきたこととこれからの課題
 併催:飯舘村酪農家・長谷川健一写真展『飯舘村』
日時:平成25年3月30日(土) 10:00~18:00
場所:東京大学農学部弥生講堂一条ホール
〒113-8657 東京都文京区弥生1-1-1 東京大学弥生キャンパス内
定員:300名
参加費:無料(申し込み不要) 
プログラム
◆開会挨拶(10:00~10:10)
◆第1部(10:10~12:10)
放射能の生物影響と初期被曝量評価
座長 小澤祥司/NPOエコロジーアーキスケープ 
「飯舘村全域を対象とする放射能汚染と初期被曝量評価の試み」
 今中哲二/京都大学原子炉実験所 
「飯舘村での低レベルガンマ線場を用いたイネの遺伝子発現実験の報告」
 ランディープ・ラクワール/筑波大学大学院生命環境科学研究科
「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」
 大瀧丈二/琉球大学理学部
「高線量地帯周辺における野生動物の生態・被曝モニタリング」
 石田健/東京大学大学院農学生命科学研究科
「福島県に生息する野生ニホンザルにおける放射性セシウムの被ばく状況について」
 羽山伸一/日本獣医生命科学大学獣医学部
◆基調講演(13:30~14:00)
「原発災害とリスクコミュニケーション」
 鬼頭秀一/東京大学大学院新領域創成科学研究科
◆第2部(14:00~15:30)
村民の思いと現状報告
 座長 菅井益郎/國學院大学経済学部
「全村避難から2年 飯舘村民からの報告」
 酒井政秋/飯舘村小宮
 菅野榮子/飯舘村佐須
 杉下初男/飯舘村長泥
「避難生活実態と復興に関する飯舘村成人悉皆アンケート調査報告」
 浦上健司/日本大学・NPOエコロジーアーキスケープ
◆第3部(15:50~16:50)
賠償問題と支援の課題
 座長 糸長浩司/日本大学生物資源科学部
「損害賠償問題」
 小林克信/ 原発被災者弁護団(東京)弁護士
「「福島―関東対話の会」の活動から」
  渡辺瑛莉/福島―関東対話の会
◆総合討論(16:50~18:00)
 モデレーター 糸長浩司
(引用終わり)

 このシンポジウム全体は、IWJによって
USTREAM中継されました。
 ただし、非会員の方が視聴できるのは約5分のダイジェスト映像だけで、全編を視聴するためには会員登録が必要です。
 私は年会費1万円を支払った一般会員ですから全編視聴できるのですが、まだ第1部だけしか視聴できていません(いずれ第2部、第3部も必ず視聴したいと思っていますが)。
 
 しかし、第1部だけでも、是非皆さんに視聴して欲しいですね(お金がかかるけれど)。
 今中先生の「飯舘村全域を対象とする放射能汚染と初期被曝量評価の試み」も重要な発表ですが、それに引き続き4人の研究者によって発表された福島第一原発事故による放射能汚染が動植物(イネ、チョウ、ウグイス、ニホンザル)に与えた影響についての研究結果は、その射程範囲についての慎重な吟味が必要であることは当然ながら、相当に考え込まされる内容です。

 なお、IWJの中継映像は会員登録しないと視聴できませんが、この4人の研究
による発表については、「東洋経済オンライン」に詳しい記事が載っていました。

東洋経済オンライン 岡田広行記者 2013年4月3日

 最後に、私には読み解く能力はありませんが、上記研究の内、大瀧准教授ら
グループが発表した論文がネット環境で読めますのでご紹介しておきます。

「福島原発事故のヤマトシジミへの生物学的影響」(大瀧丈二 他)

(付記1)
 今中哲二さんらのグループによる調査・研究の関連資料が公開されています。

(付記2)
 飯舘村放射能エコロジー研究会が2012年11月18日に福島市で開催したシンポウム「福島原発事故が飯舘村にもたらしたもの~村民、支援者、ジャーナリスト、究者の視点から~」の資料がこちらからダウンロードできます。
 また、IWJ福島のユースト中継映像は今でも視聴できます。
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