今晩(2014年6月22日)配信した「メルマガ金原No.1765」を転載します。

田中優さんが先導する“静かな革命”

 集団的自衛権はもちろんですが、武器輸出、原発輸出、原発再稼働、残業代廃止、教育委員会制度改悪など、右を向いても左を見ても、暗澹たる事象が目白押しで、少しも未来に希望が持てず、絶望的な気分に陥っている人も多いことと思います。

 そこで、少しは元気が出るお話を皆さんと一緒に聴きたいと思い、田中優さんの「オフグリッド生活」についての実践報告の映像をインターネットで視聴できるのではないかと検索してみました。
 もちろん、田中優さんの講演映像はいっぱいあるのですが、岡山の自宅で完全オフグリッド生活に入った昨年(2013年)5月以降の講演の中から、比較的よくまとまっているものとして、昨年12月に長野県上田市で行われた講演をご紹介します。
 
2013年12月7日 上田市塩田公民会での講演会
「地球を救う未来のつくり方」(主催:うえだ環境市民会議)


 講演の中で岡山でのオフグリッド生活に触れた部分は27分以降です。
 田中優さんの完全オフグリッド生活については、昨年、メルマガ(ブログ)で取り上げましたので、お読みいただいた方もおられると思います。
 
2013年7月28日

 そこでもご紹介しましたが、田中優さん自身が書かれた「オフグリッド宣言」は是非皆さんにお読みいただきたいですね。
 

 そこで田中優さんが語っているのは、単に電気を(太陽光パネルとバッテリーで)自給自足し、電力会社からの配電を切断して電力自立を果たしたというだけのことではなく、そのことをきっかけとして 地域から、未来を見すえた生き方を作り上げていこうという将来像をこそ語っているのだということに気がつきます。
 上にご紹介した上田市での講演など、最近の優さんの講演の基調は、上記論考をベースとし、これに肉付けをしたものなのだろうと思います。

 今年の3月22日に横浜市戸塚の善了寺というお寺で行われた講演のUSTREAM映像もご紹介しておきます。

 この3月の講演の中で田中優さんが使われたのが「静かな革命」という言葉でした。
 脱原発をその重要な一部としながら、人間の生き方そのものを、極力金に頼らない、地域における共助を大切にしたものに変えていく、言い換えれば、人間を取り戻す、そのための第一歩として、電力会社に頼らないオフグリッド生活を実践する。
 声高にスローガンを叫ぶのではなく、明確な将来ビジョンに向けて自らの責任と行動で社会を変えていくこと、それを優さんは「静かな革命」と呼んでいるのだと思います。
 すぐに田中優さんのあとに続ける人は少ないかもしれませんが、優さんの実践と講演は、多くの人に勇気と、そして将来の生き方を考えるための豊富なヒントを与えてくれることでしょう。

 最後に、上記2本の講演映像を視聴していて、あらためて気付かせてもらった点をいくつかメモ書きしておきます。
 
○最大の発電所は「節電」である。
○自然(再生可能)エネルギーには、事業用消費電力向きのものと個人用消費電力向きのものがある。
○中国は原子力発電ではなく自然エネルギー開発に傾注するだろう、なぜなら、中国は「今」電力が必要なのだから(風力なら設置したらすぐに発電できる)。
○風力発電については、低周波電磁波や鳥の衝突などの問題があり、陸上風力は止めた方が良いと思うが、九州大学の大屋裕二教授が中心となって開発している洋上レンズ風車は将来性があるように思える。
 
○太陽光発電を効率的に行えるかどうかには地域差があり、北日本や日本海側よりも太平洋側の方が適している。日本は、世界的に見ても個人の家庭での平均的エネルギー消費量は少ないので、エネルギーの自立が可能である。