今晩(2014年9月20日)配信した「メルマガ金原No.1854」を転載します。

映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』(11/29和歌山市)を観る意義

 長編ドキュメンタリー映画『シロウオ~原発立地を断念させた町~』和歌山市上映会のお知らせ第二弾をお送りします。
 予告的にお届けした第一弾の記事も読み返していただけると幸いです。
 

 上記第一弾の記事から、映画のダイジェスト(約5分)及び作品の中から小出裕章さん(京大原子炉実験所)と鈴木静枝さん(和歌山県日高町)をそれぞれフィーチャーした短い映像を再掲します。
 
映画「シロウオ~原発立地を断念させた町」紹介

小出裕章先生インタビュー動画~原発を問う

戦争と原発~お上の言うこと信じたらあかん



 今日は、和歌山市上映会の内容が確定し、チラシも出来上がってきましたので、その内容をご紹介します。

【和歌山市上映会 開催概要】
日時 2014年11月29日(土) 昼・夜2回上映
    昼の部 午後2時~3時50分(開場1時30分)
    夜の部 午後6時~7時50分(開場5時30分)
会場 和歌山市あいあいセンター 6階ホール
     和歌山市小人町29番地 電話073-432-4704
 (電車でお越しの方)
  南海和歌山市駅から南へ徒歩10分
 (バスでお越しの方)
  和歌山バス城北橋バス停より徒歩3分
  和歌山バス市役所前バス停から西へ徒歩5分
 (車でお越しの方)
  会場駐車場は台数僅少につき近隣のパーキングをご利用ください
参加協力券
 大人 1000円
 学生  500円
 中学生以下 無料
主催 映画「シロウオ」和歌山市上映会
お問合せ先
 090-5897-5339(土井)
 090-5120-2451(松浦)
備考 一時保育はございませんが上映会場と同じフロアの「子ども室」をご利用いただけます

【作品スタッフ】

製作・脚本:矢間秀次郎
監督:かさこ
撮影:中井正義
録音:田辺信道  
水中撮影:山口敬志
音楽協力:SHOCHIKU RECORDS『魂の歌』より
(作曲:岩代太郎 演奏:東京都交響楽団)

【作品概要/チラシ裏面から】
故郷を、自然を、仕事を、そして家族を守りたい――
原発反対運動を成功させた人々を追う
東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所の事故により、広く国民に原発の危険性が知れわたることとなったが、今から30年以上も前に、「いつか必ず原発事故が起きる。危険な原発は建てさせない」と住民が反対運動を行い、原発計画を断念させた場所が全国に34ヵ所あった。中でも紀伊水道をはさんで、双方の住民たちが協力し合い、原発計画を断念させたのが、徳島県阿南市椿町の「蒲生田原発」と、和歌山県日高町の「日高原発」だ。
南海トラフ三連動超巨大地震が心配される今、全国各地の原発再稼働が争点となっている
が、なぜ彼らはチェルノブイリ原発事故や福島原発事故が起きる前に、危険性に気づき、計画を追い出すことができたのか。当時、反対運動に関わった住民などにインタビュー。住民らの証
言を中心に約100分の映像にまとめた。
●徳島県阿南市椿町:蒲生田原発
 1976年 四国電力が計画発表
 1979年 吉原薫市長が建設中止決定
●和歌山県日高町:日高原発
 1967年 日高町議会が阿尾地区に誘致決議
 1975年 関西電力が小浦地区に立地打診
 1990年 原発反対の日高町町長・志賀政憲氏当選により実質上計画中止

 なお、チラシ(製作者提供のPDF使用)には「約100分の映像」と印刷されていますが、試写を観た際に私が自分の腕時計で確認したところでは、もう少し長かったように思います。

 さて、この和歌山市での上映会は、趣旨に賛同する呼びかけ人が協力し合って運営する手作りの自主上映会です。現時点での呼びかけ人の氏名を以下にご紹介しておきます。参加協力券はプレイガイドなどでは扱わず、呼びかけ人のうちの誰かからお求めていただくのが基本です。私も今日、参加協力券を預かったばかりなので、全ての呼びかけ人の手元に届くにはいま少し時間がかかるかもしれません。

映画「シロウオ」和歌山市上映会 
呼びかけ人(2014年8月31日現在 五十音順 敬称略)
市野弘、岩澤美賀子、内海洋一、内田嘉高、梅原清子、浦口裕成、奥野亮平、柏木克之、金川めぐみ、烏野久子、貴志公一、木野道雄、北村悦子、金原徹雄、越野章史、琴浦龍彦、西郷章、西郷香、里崎正、芝野絢子、城久道、竹内孝子、田中秀樹、田中明夫、田村悠紀栄、土みゆ子、土井康晴、道本みどり、中里佳世、中島俊之、中橋真紀人、西出いづみ、花田惠子、藤井幹雄、古谷哲二、松浦雅代、松浦攸吉、山崎喜美子、山崎知行

 お知り合いの呼びかけ人がいない場合には、チラシ記載の「お問合せ先」の内、松浦さん(090-5120-2451)宛にご連絡いただければと思います。

 さて、紀伊水道をはさんだ徳島県と和歌山県で進んでいた原発立地計画をともに断念に追い込んだ両岸の運動の当事者からのインタビューによって1本の映画を構成しようというセントラルアイデアを映像化した『シロウオ~原発立地を断念させた町~』を観る意義というのは何でしょう?8月末に試写を観て以来、私が考えてきたことです。

 地元・和歌山に住む者にとっては、先人たちが身体をはって原発建設阻止運動を成功させてくれたことにあらためて感謝する契機となる作品であることは言うまでもありません。
 ただし、両県における原発反対運動の歴史を記録するという趣旨で作られた映画ではありませんから、それを主目的として観るというのはやや筋違いでしょう。そういう目的であれば、『原発を拒み続けた和歌山の記録』(寿郎社)などを読むべきです。



 この映画には、過去を回想する数々のインタビューが映し出されますが、それを通じて、原子力発電所にどう向き合うべきかという、私たち自身の“現在の責任”と“未来への責任”を考えるためのヒントが豊富にちりばめられている、というのが私の観方です。
 この作品は、決して「徳島や和歌山は、福島のようにならなくて良かったね」という作品ではないし、そのように受け取られては、製作者や出演された方々にとっても非常に不本意でしょう(そう受け取られかねない要素が全くない訳ではありませんが)。
 福島第一原発事故発生から3年半が経過し、鹿児島県・川内原発を先頭に次々と再稼働が目論まれ、さらには青森県・大間原発は建設工事続行中、山口県・上関原発も工事再開が懸念され、あまつさえ、首相自身が原発輸出のトップセールスに邁進するという異様な状態が日常化する中、今や「原発立地」というのは、市町村単位や都道府県単位の問題ではあり得なくなったということだろうと思います。
 そのような状況認識を踏まえた上で『シロウオ~原発立地を断念させた町~』を観れば、かつて反対運動の先頭に立った人たちが、何を一番大事なものと考えて守ろうとしてきたのか、それは現在の私たちが「原発立地地元」の住民(国民)として何をなすべきかについて、どういう示唆を与えてくれるだろうか、ということに当然注意が向くはずです。
 もちろん、映画の観方は1人1人違って当たり前ですから、以上はあくまで私はこの映画を「このように観た」という一例に過ぎませんが、ご参考までに。

 最後に、冒頭でご紹介した小出裕章さんと鈴木静枝さんの発言を文字起こししてみます。これらの発言を編集段階で採用したことに、監督や製作者の意図は明瞭に窺えると私は思っています。

小出裕章さんの発言から

「原子力発電所を立地されようとした地域の人たちは、もともと原子力発電所が絶対に安全な
んていう宣伝を信じていなかったのです。どこの人もそうです。その上で、でも自分たちの地域、自分たちの生活をどうやって作っていくのかというところで、やはり分かれ道が、いつの時代もあって、莫大な金が動きますので、その金にすがって地域を作りたいと、やはり思う方は、今でもいる
だろうし、かつてもいたのです」
「濱(一己)さんなんていうのは典型的ですね。要するに海で生きてきた人であって、海さえあれ
ば生きていけると、それを失うようなことがあれば、金なんてどうせ一時のものだから、駄目になると、彼はもう心底思っていた。あの海が原子力に侵されることなく、あそこにあるし、濱さんたちの生活もそこにあるという」

鈴木静枝さんの発言から

「教師ですから、戦争中は本当に忠君愛国で、自分でも感心する位一所懸命に生徒にそれ
を吹き込んだつもりですのでね。戦争が終わった時に、あっと思いました。何でこんな、どうしてまあ、人殺しがええんやと思ったんやろと思ってね。だから、自分たちの今までのこと反省すると、こりゃもう、お上が言うままに、黙って戦争賛成の授業をしていていい訳やないということ、本当に
思い知りました。だから、もう騙されたらあかんということだけ、頭の中にありましたね」
「今度こそは騙されまいと思ってね、それだけ。だから、原発いくら『ええ』ていう話聞いても、これ
やっぱり、眉に唾つけて聞かんと、だからなあと思い」