今晩(2017年2月10日)配信した「メルマガ金原No.2719」を転載します。

海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する

 共謀罪シリーズ、昨日1日休んで今日お送りするのが第4回となります。今日は、海渡雄一弁護士(日本弁護士連合会共謀罪対策本部副本部長)によるレクチャー動画(お相手はパートナーの福島みずほ参議院議員・弁護士)とパワポ資料をご紹介します。
 これは、今年の1月8日、福島みずほさんのFacebookタイムラインで配信されたライブ動画とその時使われた資料です。動画では、海渡弁護士の解説に合わせて福島みずほさんが、紙芝居さながら、1枚1枚カメラの前で資料をめくっていますが、後日、資料をPDFファイルにしたものがネットにアップされています

 以下に、2本に分かれた動画と併せ、資料の中からその項目(一部は本文も)を抜き出して転記してお
きますので、視聴の参考にしてください。
 ただし、残念ながら音声レベルがいささか低いため、聴き取りにくいと思いますが、資料のPDFファイルにざっと目を通した上で視聴すれば、ほぼ聴き取れるだろうと思いますし、この資料「テロ等組織犯罪準備罪と名を変えた共謀罪法案の国会提出に反対する!」自体、共謀罪早分かりレジュメとなっていますので、大いに活用できるだろうと思います。
 
政府は2017年通常国会に法案提出を予定している
1.共謀罪法案の危険性
共謀罪法案とは
2003年旧政府案の定めていた共謀罪の成立要件
共謀が処罰されることの意味
日本の刑法の原則
重大犯罪すべての共謀罪処罰は国内法の原則に反するとしていた政府
イギリス・アメリカの共謀罪
我々はなぜ共謀罪に反対してきたのか
・伝統的に犯罪とは,人の生命,身体,財産などの法益が侵害され,被害が発生することと考えられてきた。そして,法益の侵害又はその危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動するというシステムが,
近代的で自由主義的な刑事司法制度の基本であるとされてきた。
・刑事法が「悪い意思」を処罰するのではなく,法益侵害の現実的危険性がある「行為」を処罰する法益
保護主義に基づくものである。
・犯罪構成要件に当たるような行為をしない限り、人は処罰されることはない。犯罪構成要件は、国家が
刑事司法を通じて市民社会に介入するときの境界線を画すものといえる。
・人は,様々な悪い考えを心に抱き,口にもすることがあるかもしれない。しかし,大多数の人は,自ら
の良心や倫理感から,これを実行に移すことはなく,悪いことを考えとしても、実行しなければ処罰しな
いことが、社会の健全な秩序となってきた。
犯罪の手前で思いとどまり引き返してくる黄金の橋を焼き捨ててよいのか
・我が国の刑事法体系では,実行に着手した犯罪であっても,自らの意思で中止すれば,中止未遂として
刑を減免してきたし,犯罪実行の着手前に放棄された犯罪の意図は,原則として犯罪とはみなされなかっ
たのである。
・1999年1月の国連条約起草会合に日本政府が提出した提案ペーパーには,次のように述べていた。「5.(前略)このように,すべての重大犯罪の共謀と準備の行為を犯罪化することは我々の法原則と両立しない。さらに,我々の法制度は具体的な犯罪への関与と無関係に,一定の犯罪集団への参加そのものを犯
罪化する如何なる規定も持っていない。」(A/AC.254/5/Add.3)。
・ところが,条約起草後に政府が策定した政府案では,長期4年以上の刑を定める600以上の犯罪について共謀罪を新設するものとなった。この中には,組織犯罪との関連が疑わしく,未遂犯も処罰対象とな
っていない犯罪が数多く含まれている。
盗聴捜査の大幅な拡大を招く危険
・人と人とが犯罪を遂行する合意をしたかどうかや,その合意の内容が実際に犯罪に向けられたものか,
実行を伴わない口先だけのものかどうかの判断は,犯罪の実行が着手されていない段階では,事柄の性質か
らして極めて困難である。
・そして,検挙しようとする捜査機関の恣意的な判断を容れる余地がある。また,共謀罪は人と人との意思の合致によって成立する。したがって,その捜査は,会話,電話,メールなど人の意思を表明する手段を収集することとなる。そのため,捜査機関の恣意的な検挙が行われたり,日常的に市民のプライバシーに立ち入って監視したりするような捜査がなされるようになる可能性があり,市民の人権に及ぼす影響が
計り知れないものがある。
・既に産経新聞は8月31日の「主張」において、「(共謀罪)法案の創設だけでは効力を十分に発揮することはできない。刑事司法改革で導入された司法取引や対象罪種が拡大された通信傍受の対象にも共謀
罪を加えるべきだ。テロを防ぐための、あらゆる手立てを検討してほしい。」とまで述べている。
監視する者は支配者 監視される者は被支配者 その関係は権力関係
密告を奨励する 自首の必要的減免も復活
 
隣組は戦争に非協力的な者を密告し、排除するシステムでもあった
秘密保護法には既に共謀罪が導入されている
国会議員の選挙事務所が警察の監視下に
・2016年7月の参議院選挙で、大分の野党統一候補と社民党党首の選挙拠点である平和運動センター
事務所の出入りを監視するため、警察が監視カメラを設置していたことが判明。
・ 実行警官らは書類送検されたが、建造物侵入容疑。
・警察は選挙違反の摘発目的としているが、与党の選挙事務所には、このような監視はなされておらず、合理的な説明といえない。このような捜査手法は不適切としつつ、指示した警察官などの処分も見送られ
ている。
監視社会と民主主義
・政府は、憲法の改正を国会に提起しようとしている。
・既に安全保障法制が制定され、国際紛争が武力紛争化する危険性が高まっている。
・秘密保護法によって、武力行使の根拠となる政府の情報が秘密とされ、メディア・市民による表現の自
由が制約されている。
・共謀罪や盗聴捜査の拡大は監視社会を生み出し、市民は萎縮し、内部告発も困難となる。
・市民が、国の内実を知ることができず、監視を恐れて沈黙する社会では、民主主義は崩壊してしまう。
どんな行為が取り締まりの対象に?
こんな行為まで処罰が可能に
2.条約批准のために共謀罪制定は不可欠なのか?
条約批准前に国内法をどこまで整備するか
テロと組織犯罪を防ぐには
条約は各国の国内法原則の尊重を認めている
日本の組織犯罪対策とテロ対策
秘密保護法×共謀罪×盗聴拡大は民主主義の死
・秘密保護法と共謀罪、そして盗聴の拡大は、セットとなって、監視社会をもたらし、市民の知る権利を
侵害して、ひいては、民主主義的な政治プロセスの崩壊を招きかねない。
・政府は、10年前に成立させられなかった修正案よりも、さらに後退した法案を出してこようとしてい
る。私たちは、共謀罪法案の国会への提出に強く反対しなければならない。
 

(参考冊子)
 上記の海渡弁護士作成資料の冒頭で紹介されている48ページの小冊子『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』(2017年1月発行/頒価200円)が、今日の午前中に、私の事務所に
1冊届いていました。
 届けてくださったのは、3月3日(金)午後6時30分から、和歌山市勤労者総合センター6階文化ホールで開かれる学習会「共謀罪とは何か?その狙いとは」(主催:和歌山県平和フォーラム、戦争をさせない和歌山委員会)の講師を私に依頼するという大胆な(!?)決断をしたFさんでした。ありがとうご
ざいました。
 ところで、3月3日の学習会ではこの冊子を参加者に配ってくれるということなので、「これでレジュメを書かずにすむ」と私は一安心しているのです。それというのも、上記冊子の4頁~11頁に、海渡雄一さんが書かれた「共謀罪って何?自由を奪う監視社会の到来」という論考が掲載されているからで、いわば、これがレジュメのようなものなので、私がこれに上塗りするような拙いレジュメを書いても仕方がないでしょ
うから(と、一応今のところは考えています)。
 ところで、私は、この『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』という冊子では、海渡弁護士の論考と並んで、その奥書にも注目しました。特にそこに記載された「■編集・発行」者の表記
にです。書き写してみます。
 
一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる  頒価200円
■編集・発行
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会(平和フォーラム 新聞労連 ほか)
解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会(許すな!憲法改悪・市民連絡会 憲法会議)
盗聴法廃止ネットワーク(盗聴法に反対する市民連絡会 日本国民救援会)
■連絡先
日本消費者連盟

 編集・発行に名前を連ねた団体の枠組というのは、安保法制に反対する「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の共謀罪版のようなものですよね?ということは、共謀罪反対の闘いでも、総がかり行動での共闘の経験や成果が活かされようとしているのだと勇気づけられたのです
(後述の1月20日院内集会もこの流れですね)。
 ということで、私が何を言いたいかというと、3月3日の学習会に、平和フォーラム系の労組員の方た
ちだけではなく、様々な立場の方にご参加いただけると嬉しいなということです(『一(いち)からわかる共謀罪 話し合うことが罪になる』も貰えるようだし)。

(参考動画)
 今日のメインは海渡雄一弁護士による共謀罪についてのレクチャー動画のご紹介ですが、福島みずほさんとの掛け合いは面白くてためになるとはいえ、もう少し音声レベルの聴き取りやすい動画を見たいですよね?ということで探してみました。

20170118 UPLAN「共謀罪」なんていらない?!これってホントに「テロ対策」?(58分)

※1月18日に行われた『「共謀罪」なんていらない?!これってホントにテロ対策?』(合同出版/2016年12月刊)の出版記念イベントの動画であり、海渡弁護士は共著者の1人として
発言しています(10分~16分)。

 
20170120 UPLAN 秘密保護法、戦争法と一体 話し合うことが罪になる共謀罪の国会提出を許さない院内集会(2時間14分)

※1月20日に行われた「秘密保護法・戦争法と一体「話し合うことが罪になる共謀罪」新設に反対する
院内集会」の中継動画です。海渡雄一弁護士のミニ講演「平成の治安維持法・共謀罪法案の国会提出に反対しよう!」は1時間04分~1時間32分ですが、その前に、平岡秀夫元法務大臣(弁護士)による「共謀罪(テロ等準備罪)の問題点」という演題によるミニ講演が行われています(11分~41分)。

一からわかる共謀罪(表)一からわかる共謀罪(裏)