今晩(2017年3月4日)配信した「メルマガ金原No.2741」を転載します。

共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.4

 3月3日の「共謀罪」学習会(和歌山県平和フォーラムなど主催)の講師を引き受けたのを機に、今年の2月6日から私のメルマガ(ブログ)で始めた共謀罪シリーズも、学習会を終えた当日のうちに発信した昨晩の「「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも」でちょうど切りの良い第10回となりました。
 ということで、とりあえず共謀罪シリーズは打ち止め・・・など出来るはずがなく、当分続けていきますので、よろしくお願いします。
 今日は、 「共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介」のvol.4です。

(その1 ニュースの部)
ロイター=共同 2017年03月3日 20:31
共謀罪法案に「テロ」明記

(引用開始)
 政府は3日、共謀罪の構成要件を変えた組織犯罪処罰法改正案に「テロリズム」の文言を明記することを決めた。適用対象となる「組織的犯罪集団」に「テロリズム集団」を例示する方向。政府は10日の閣
議決定を目指すが、与党内では困難との見方が強まっている。
 政府はこれまで、罪名を「テロ等準備罪」と呼んで2020年東京五輪に向けたテロ対策をアピール。
しかし与党に示した条文案に「テロ」の記載がなかったため、与野党から疑問の声が上がっていた。
(引用終わり)
 
 これほど欺瞞的なやり方があるでしょうか?
 政府が2月28日に自民・公明両党に示した法案では以下のようになっていました。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着
手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定めら
れているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年
以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又は組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。

 これに、「何でもいいから、とにかく『テロ』という用語を盛り込め」と命じられたら、官僚はこういう風にするのでしょうね。上記報道をもとに、私が試みに起案すると以下のようになります。

第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるテロリズム集団その他の団体をいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
(以下略)

 このとおりになるかどうか知りませんが、テロリズム集団であろうが何であろうが、別表第三及び第四
に記載された277の犯罪のどれかをする可能性のある団体であれば、いくらでも「例示」できますからね。要するに、「テロリズム集団」に意味があるのではなく、「その他」にこそ意味があるのですから、世論を誤導するための「印象操作」であることが見え見えです。もっとも、それにひっかかる人も少なくないと思わなければなりませんから、対策がやっかいですけどね。
 
(その2 動画の部)
共謀罪を考える超党派の議員と市民の勉強会 第3回「共謀罪の問題点」(2時間57分)

冒頭~ 挨拶 佐々木隆博衆議院議員(民進党)
4分~ 挨拶 福島みずほ参議院議員(社民党)
6分~ 講演「刑事法から見た共謀罪の問題点」
       浅田和成氏(立命館大学法学部教授・刑事法)
53分~ 挨拶 藤野保史衆議院議員(日本共産党)
55分~ 挨拶 真山勇一参議院議員(民進党)
59分~ 講演「治安維持法と共謀罪」
       海渡雄一氏(弁護士・日弁連共謀罪法案対策本部副本部長)
1時間44分~ 挨拶 逢坂誠二衆議院議員(民進党)
1時間50分~ 挨拶 畑野君枝衆議院議員(日本共産党)
1時間53分~ 挨拶 糸数慶子参議院議員(沖縄の風)
1時間58分~ 挨拶 阿部知子衆議院議員(民進党)
2時間01分~ 挨拶 初鹿明博衆議院議員(民進党)
2時間07分~ 動画 インターミッション
2時間12分~ DVD『横浜事件を生きて』ダイジェスト版上映
2時間33分~ 講演「横浜事件が問いかけるもの」
       永田浩三氏(ジャーナリスト・武蔵大学教授)
2時間54分~ 閉会挨拶 福島みずほ参議院議員(社民党)

 同一集会を収録した別動画(UPLAN)もご紹介しておきます(こちらは2分割)。

20170301 UPLAN【前半】浅田和茂・海渡雄一「共謀罪の問題点」(2時間06分)


20170301 UPLAN【後半】短縮版「横浜事件」上映(42分)


(その3 声明の部)
共謀罪と同質のテロ等準備罪法案に反対する声明

(引用開始)
                      2017年2月23日
                     日本新聞労働組合連合
                     中央執行委員長 小林基秀
 政府が今国会への提出を目指す「テロ等準備罪」法案に、新聞労連は反対し、提案断念を求める。同法案は、かつて3度廃案になった「共謀罪」と骨格は同じであり、表現や思想の自由を侵害し、監視社会を招く恐れがあるなど、数々の重大な問題点を抱えていると考えるからだ。
 テロ等準備罪を新設する「組織犯罪処罰法改正案」は、犯罪の実行前でも、違法行為の計画を複数の人が合意・準備したと捜査機関がみなした場合に摘発する制度だ。政府は、適用対象は「組織的犯罪集団」に限定し、「一般市民が対象となることはあり得ない」と説明してきたが、2月16日の政府統一見解では、普通の団体が性質を一変させた場合は組織的犯罪集団になり得るとした。その認定をするのは政府の一部である捜査機関だ。政府に批判的な団体を恣意的に対象とする恐れや、少なくとも委縮させる懸念は拭えない。
 政府は、今回の法案はかつての共謀罪よりも適用を厳しくしたとして、計画(共謀)だけでなく「準備
行為」も必要だと主張する。しかし、何が準備行為となるかの判断も捜査当局に委ねられる。そもそも、犯罪が公然化する前の計画や準備の段階で摘発するには、人々の日常的な会話や電話の盗聴(傍受)、電子メールなどの通信記録の膨大な収集が必要になる。報道によると、金田勝年法相は国会で、通信傍受の対象とすることは「考えていない」としつつ、「犯罪や捜査の実情を踏まえ、導入の必要性の観点から検討すべき課題だ」と将来的な導入に含みを残した。「テロ対策」の名の下に私たちの生活や活動が監視されれば、自由にものが言いにくくなるだけでなく、人権侵害の懸念が強い盗聴が広く行われ、監視社会につながる危険性が潜んだままだ。それは、私たちが望む「成熟した民主主義・市民社会」とはほど遠い。
 政府は、特定秘密保護法により自らの情報は覆い隠す一方、テロ等準備罪により市民の情報は丸裸にしようというのか。共謀罪やテロ等準備罪は、その危険性から現代の治安維持法と指摘する法学者は少なくない。私たちは報道に携わる者の責務として、過去に無謀で非道な戦争へ突き進んだ教訓を決して忘れず、法案の問題点を社会に伝えていく。
                                       以上
(引用終わり)
(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する

2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
2017年3月3日
「共謀罪」阻止の闘いは“総がかり”の枠組みで~全国でも和歌山でも