今晩(2017年3月21日)配信した「メルマガ金原No.2758」を転載します。

閣議決定された「共謀罪」法案~闘うための基礎資料を集めました

 本日(3月21日)午前の閣議において、いわゆる共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)が閣議決定されました。
 報道によれば、今夕にも国会に提出するとされていますが、衆議院のホームページにはまだ掲載に至っていないようです。
 とりあえず今日のところは、今後に備えて基礎資料をチェックするにとどめます(それだけの時間しかないので)。
 
首相官邸ホームページ 閣議 平成29年3月21日(火)定例閣議案件
(抜粋引用開始)
法律案
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案(決定)
(法務・外務省)
(引用終わり)
 
内閣官房長官記者会見 平成29年3月21日(火)午前 閣議の概要について
※閣議後の菅義偉官房長官による記者会見の動画が視聴できます。

 「定例閣議案件」記載のとおり、共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)の所管官庁は法務省と外務省です。
 通常、閣法(内閣提出法案)については、所管官庁のホームページに、法案が閣議決定されたその日のうちに掲載されます。
 外務省ホームページには見当たりませんので、法務省ホームページにだけ掲載する方針のようです。
 
 法律案(47頁) 
 理由(1頁) 
 新旧対照条文(64頁) 

 新旧対照条文さえプリントアウトすれば、法律案そのものは印刷する必要はないでしょう。ということ
で、私は、要綱、理由を含めて69頁分をプリントアウトしました。
 以下、目的、要綱(抜粋)、新旧対照条文から「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」改正案第六条の二(及び別表の一部)を引用します。
 
理由 
(引用開始)
 近年における犯罪の国際化及び組織化の状況に鑑み、並びに国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約の締結に伴い、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画等の行為についての処罰規定、犯罪収益規制に関する規定その他所要の規定を整備する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
(引用終わり)
 
要綱(抜粋)
(引用開始)
   組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱
第一 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正
一 目的
二 犯罪収益の定義

三 テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画の処罰
1 イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結
合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。以下同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、それぞれイ又はロに定める刑に処するものとすること。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除すること。(第六条の二第一項関係)
イ 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定めら
れているもの 五年以下の懲役又は禁錮
ロ 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年
以下の懲役又は禁錮
2 1イ又はロに掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、1と同様
とすること。(第六条の二第二項関係)
四 証人等買収の処罰
五 その他
第二 条約による国外犯処罰
第三 刑法の一部改正
第四 犯罪による収益の移転防止に関する法律の一部改正
第五 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正
第六 附則
(引用終わり)
 
法律案(抜粋)
(引用開始)
   
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律
 (テロリズム集団その他の組織的犯罪集団による実行準備行為を伴う重大犯罪遂行の計画)
第六条の二 次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち
、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処
する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定めら
れているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年
以下の懲役又は禁錮
2 前項各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団に不正権益を得させ、又はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団の不正権益を維持し、若しくは拡大する目的で行われるものの遂行を二人以上で計画した者も、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、同項と同様とする。

別表第三(第六条の二関係) 略
別表第四(第六条の二関係)
一 別表第三に掲げる罪(次に掲げる罪を除く。) 略
二 第七条(組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等)の罪(同条第一項第一号から第三号までに掲げる者に係る
ものに限る。)又は第七条の二第二項(証人等買収)の罪
三イ 刑法第九十八条(加重逃走)、第九十九条(被拘禁者奪取)又は第百条第二項(逃走援助)の罪ロ 刑法第百六十九条(偽証)の罪
四 爆発物取締罰則第九条(爆発物の使用、製造等の犯人の蔵匿等)の罪
五 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本
国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法第四条第一項(偽証)の罪
六 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律(平成十九年法律第三十七号)第五十六条(組織的な犯
罪に係る証拠隠滅等)又は第五十七条第一項(偽証)の罪
(引用終わり)
 
 以上に引用した条文(第六条の二)には、条の見出しを含めると4箇所で「テロリズム集団その他の」という修飾句が出てきますが、これは、2月28日に政府が自民・公明の両党に法案を示した際にはありませんでした。
 与党から、「なぜ『テロ』という言葉が出てこないのか?」という指摘を受け、急遽、修正して4箇所
に挿入することになったものです。
 その辺のまやかしぶりについては、私が過去15回メルマガ(ブログ)に書いた共謀罪シリーズの中の、
特に3月8日と翌9日に書いた記事をお読みいただければと思います。
 なお、修正前の法律案(与党提示版)については、3月1日に、TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」公式サイトが法案の全文と新旧対照条文のPDFファイルをアップしてくれており、これが裏付資料となります。
 
 最後に、本日(3月21日)時点での大手新聞各社(+NHK)WEB版における本法案の呼称を調べてみました。紙面自体ではなく、WEB版での調査によるものですが、やはり予想したとおりの状況でした。
 
朝日新聞デジタル 2017年3月21日12時51分
「共謀罪」法案を閣議決定 今国会で成立目指す

※この記事は会員登録していなくても全文読めるようです。「「共謀罪」の対象となる法律と罪名一覧」も付いていて便利です。

 以上4紙が「共謀罪」派です。

 以上、2紙と1局が「テロ等準備罪」(読売は「テロ準備罪法案」とさらに大胆です)派です。

 昨日の毎日新聞が「<共謀罪>報道、割れる表記」という記事を掲載していましたが、1日経って、いよいよ閣議決定されても、各報道機関のスタンスは不変(当たり前か)でした。
 私たちも、朝日、毎日、日経、東京と同様、本文やスピーチで括弧付きの「テロ等準備罪」という表現を使うのは(批判するためにはどうしても必要なので)仕方がないとして、見出しでは、たとえ括弧付きでも「テロ」などという用語は使うべきではないと思います。
 
 閣議決定当日にお送りする共謀罪シリーズ(第16回)は以上です。

(弁護士・金原徹雄のブログから)
2017年2月6日
レファレンス掲載論文「共謀罪をめぐる議論」(2016年9月号)を読む
2017年2月7日
日弁連パンフレット「合意したら犯罪?合意だけで処罰?―日弁連は共謀罪に反対します!!―」(五訂版2015年9月)を読む
2017年2月8日
「共謀罪法案の提出に反対する刑事法研究者の声明」(2017年2月1日)を読む
2017年2月10日
海渡雄一弁護士with福島みずほ議員による新春(1/8)共謀罪レクチャーを視聴する
2017年2月21日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介
2017年2月23日
日本弁護士連合会「いわゆる共謀罪を創設する法案を国会に上程することに反対する意見書」(2017年2月17日)を読む
2017年2月24日
「安倍政権の横暴を許すな!」連続企画@和歌山市のご案内~3/3共謀罪学習会&3/25映画『高江―森が泣いている 2』上映と講演
2017年2月28日
共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.3
2017年3月1日
ついに姿をあらわした共謀罪法案(組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案)
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3月9日、和歌山で共謀罪に反対する街頭宣伝スタート~総がかり行動実行委員会の呼びかけで
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共謀罪をめぐる最新ニュース、動画、声明のご紹介vol.6~立憲デモクラシーの会が声明を出しました